序論

急性胆嚢炎は、右上腹部に痛みを引き起こす一般的な疾患です。その発症後、迅速な診断と適切な治療が必要不可欠で、適切な処置が遅れると敗血症やショックを引き起こすリスクもあります。急性胆嚢炎の治療の中心は、胆嚢の摘出ですが、全身状態が悪化している場合にはすぐに手術を行えません。そのような場合、緊急的に「ドレナージ」と呼ばれる膿を排出する処置を行います。

このような急性胆嚢炎の診断方法、手術、およびドレナージ後の対処法について詳しく解説していきます。本記事では、胆嚢炎の精密な診断技術や治療の選択肢、再発リスクの管理について、具体的な専門家の見解を元に紹介します。

専門的な助言:

以下の情報は、福岡山王病院で肝臓・胆のう・膵臓内科の専門家であり、国際医療福祉大学の教授である伊藤鉄英先生の知見に基づいています。信頼できる情報源としてご参照ください。

急性胆嚢炎の症状と診断

症状と初期検査

急性胆嚢炎を診断する際、まず考慮されるのは右上腹部の激しい痛みです。患者によっては、発熱、吐き気、嘔吐も見られます。これらの症状を確認した時点で、次のような検査を実施します。

エコー検査

エコー検査により、胆嚢の状態を確認します。胆嚢が腫れている、大きさが通常の1.5~2倍に腫れている、もしくは胆嚢壁がむくんでいることが判明すれば、急性胆嚢炎の疑いがあります。

採血検査

血液検査では、白血球数やC反応性タンパク(CRP)の値を測定します。これらが上昇している場合、体内で炎症が進行していることを示します。

精密検査

必要に応じてさらに詳しい検査を行います。

腹部CT検査

CT検査では胆嚢の周辺組織まで含めた詳細な画像を取得し、重症度を正確に評価します。

MRI検査

胆石の有無や位置を特定するためにMRIを使用します。この検査により、胆石が原因で急性胆嚢炎を引き起こしていることを確認できます。

急性胆嚢炎の治療

抗生物質の投与

診断が確定したら、まず抗生物質を投与して炎症を抑えます。合わせて痛み止めを使用し、全身状態を管理します。

ドレナージ

急性胆嚢炎が重症化し、腹部内に膿がたまっている場合は「ドレナージ」という処置を行います。

経皮経肝的胆嚢ドレナージ(PTGBD)

これは皮膚を経由して肝臓を通り、膿を胆嚢から直接排出する手法です。特に緊急を要する場合に使用されます。

内視鏡的経乳頭的胆嚢ドレナージ(ETGBD)

比較的侵襲の少ない方法として、内視鏡を用いたドレナージがあります。この手法は通常、口から挿入した内視鏡で行われ、体内に傷を作らずに膿を排出します。

手術のタイミング

急性胆嚢炎の発症後48時間以内に、胆嚢摘出術を行うことが推奨されます。手術までの数日は絶食とし、絶飲食は喉を潤す程度にとどめます。

ドレナージ後の対処と再発リスク

再発リスク管理

ドレナージ処置のみで胆嚢摘出術を実施しなかった場合の再発率は22~47%とされています。したがって、ドレナージ後の適切なタイミングでの胆嚢摘出術が推奨されます。

胆嚢摘出後の生活

胆嚢を摘出しても、日常生活には大きな影響はありません。食事に関しては、脂肪分の多い食事を控え、バランスの良い食事を心がけることが重要です。

急性胆嚢炎に関する一般的な質問

1. 急性胆嚢炎の診断を受けたらすぐ手術が必要ですか?

回答:

急性胆嚢炎の診断が確定した場合、多くのケースで早急な手術が必要です。

説明:

炎症が進行し、ショックや敗血症のリスクが高まることから、迅速な手術が望まれます。ただし、全身状態が悪い場合は、一時的にドレナージを行ってから手術を行う場合もあります。

ガイド:

発症後48時間以内に手術を行うのが理想ですが、患者の状態に応じて柔軟な対応が求められます。

2. 手術後の生活や食事に注意が必要ですか?

回答:

手術後の生活や食事に一定の注意が必要ですが、大きな制約はありません。

説明:

胆嚢摘出後も消化吸収には影響が少なく、時間とともに生活への影響は軽減されます。

ガイド:

脂っこい食事を控え、バランスの取れた食事を心がけることで、健康的な生活を維持できます。

3. 高齢で全身麻酔が難しい場合の治療方法は?

回答:

高齢で全身麻酔が難しい場合は、ドレナージを行い炎症が治まるまで経過観察を行います。

説明:

高齢や全身状態の悪い患者には、まず内科的な管理を行い、術後合併症のリスクを減少させる必要があります。

ガイド:

鎮痛剤や抗生物質の投与、経過観察を行い、適切なタイミングで手術を行います。

結論と推奨事項

結論

急性胆嚢炎は早期の診断と治療が重要です。エコー検査、採血、CT、MRIなどの検査を駆使して、正確な診断と重症度分類を行います。初期治療として抗生物質の投与が行われ、必要に応じてドレナージが実施されます。最終的には胆嚢摘出術が推奨され、術後の再発リスクを軽減します。

推奨事項

  1. 急性胆嚢炎の診断が確定したら、可能な限り早急に治療を開始してください。
  2. 診断方法や治療方法に関して、医師と詳細に相談し信頼できる医療機関で処置を受けることが大切です。
  3. 手術後の生活においては、バランスの取れた食事を心がけ、脂肪分の多い食品を控えることで健康を維持してください。

参考文献