序論

皆さんは「骨肉腫」という病名を耳にしたことがありますか?骨肉腫は、特に成長期の子どもや若年成人に好発する骨の悪性腫瘍のひとつです。一般的には膝周りに発生することが多く、痛みや腫れが続く症状が見られることが特徴です。がんの一種ですが、その症状や発生原因、治療方法について詳しく知らない方も多いでしょう。

この記事では、骨肉腫の症状や原因、診断方法、適切な治療手段について掘り下げていきます。成長期の子どもの膝の痛みや腫れが長期間続く場合、単なる成長痛やスポーツによる怪我と見逃してしまいがちです。しかし、その背後に骨肉腫が隠れている可能性もあるため、注意が必要です。本記事を通じて、骨肉腫についての理解を深め、正しい対処方法を学んでいただければと思います。

専門的な助言:

この記事では、国立がん研究センター中央病院川井 章 先生の専門知識に基づいて情報を提供しています。先生の見解や研究データを引用しながら、具体的かつ信頼できる内容をお届けします。

骨肉腫とはどのような病気?

骨肉腫は、特に成長期の子どもや若年成人に多く見られる悪性腫瘍です。膝周りに発生することが多く、悪性腫瘍そのものが新たな骨を形成するという特徴があります。ここでは、骨肉腫の基本的な特徴について詳しく説明します。

癌と肉腫の違い

「癌」と「肉腫」という言葉を混同する方も多いですが、これらには明確な違いがあります。

癌:

肉腫:

骨肉腫は、肉腫の一種であり、「腫瘍細胞自身が骨を形成する性質」を持った悪性腫瘍です。ほとんどの場合、骨から発生しますが、稀に骨以外の組織からも発生することがあります。

骨肉腫の患者数

骨肉腫は非常に稀な病気です。日本整形外科学会・国立がん研究センターがまとめたデータによれば、2015年の骨肉腫の患者数は全国でちょうど200例となっています。これは希少がんと呼ばれるカテゴリーに入ります。

希少がんとは

年間発生数が人口10万人あたり6例未満の悪性腫瘍のことを指します。骨肉腫はその代表的な例です。

骨肉腫の発症年齢と男女差

骨肉腫は成長期に特に多く見られます。発症のピークは15~19歳、次いで10~14歳です。また、高齢者にも発生しますが、これらは骨盤や軟部組織に多い傾向があります。

男女比

骨肉腫は男性に多く見られる傾向があります。データによれば、男性の方が女性よりも発生頻度が高いです。これは、男女の細胞量の差に関連していると考えられています。

骨肉腫の原因

骨の成長との関連

骨肉腫の発生原因は完全には解明されていませんが、体が成長する小児から思春期に多く見られることから、成長期の細胞分裂が関与していると考えられます。

遺伝子の関与

遺伝子異常解析も進められており、P53遺伝子やRb遺伝子の異常が見られることがわかっています。しかし、すべてのケースで遺伝子異常が確認されるわけではなく、なぜ異常が発生するのかもまだ明確にはわかっていません。

二次性の骨肉腫

他の病気や治療が原因で発生する二次性骨肉腫もあります。たとえば、網膜芽細胞腫や放射線治療が原因になることがあります。

骨肉腫の症状

痛みと腫れ

骨肉腫の代表的な症状は、痛みと腫れです。特に以下の部位に持続的な痛みや腫れが見られます。

痛みの特徴

骨肉腫の痛みは1か月以上続くことが多いです。成長痛やスポーツによる痛みとは異なり、持続的で安静にしても改善しないのが特徴です。

腫れの特徴

腫れは腫瘍が大きくなることで現れ、しこりのように硬く、動かそうとしても動かないのが特徴です。また、赤みなどはほとんど見られません。

痛みや腫れが続く場合、何科を受診すればよい?

整形外科

骨肉腫が疑われる場合、まず整形外科を受診することをおすすめします。適切な画像検査や血液検査によって診断が行われ、必要に応じて専門的な病院へ紹介されます。

次の記事では、骨肉腫の検査と治療、予後について解説します。

骨肉腫に関連する一般的な質問

1. 成長期の子どもが膝の痛みを訴えている場合、何が考えられますか?

回答:

成長期の膝の痛みは一般的には成長痛やスポーツによる怪我が考えられますが、骨肉腫の可能性も無視できません。

説明:

成長期の子どもの膝の痛みは、大半が成長痛や過度な運動が原因です。しかし、1か月以上も続く痛みや、腫れが伴う場合は骨肉腫の可能性も考えられます。この場合、専門医の診断を受けることが重要です。

ガイド:

子どもが継続的に痛みや腫れを訴えている場合は、まず整形外科を受診し、必要に応じてさらなる検査を受けることをおすすめします。


2. 骨肉腫の治療方法にはどのようなものがありますか?

回答:

骨肉腫の治療には、主に手術と化学療法(抗がん剤治療)が用いられます。

説明:

手術では、腫瘍をできるだけ広範囲に切除します。化学療法は、手術前後に行い、腫瘍細胞を縮小または根絶することを目指します。治療の具体的な方法や順序は、腫瘍の位置や大きさ、患者の健康状態などによります。

ガイド:

治療法を決定する際には、専門医としっかり相談し、最適な治療計画を立てることが重要です。


3. 骨肉腫の予後(回復の見込み)はどうですか?

回答:

骨肉腫の予後は、早期発見と適切な治療により大きく変わります。5年生存率は約60-70%とされています。

説明:

早期に発見し、手術や化学療法を適切に行うことで、治療の成功率は高まります。ただし、転移がある場合や治療が遅れると予後は悪くなることもあります。

ガイド:

定期的な健康チェックや、少しでも異常を感じたら医療機関での診断を受けることが、骨肉腫の克服につながります。

結論と推奨事項

結論

骨肉腫は稀な病気ですが、特に成長期の子どもや若年成人に多く見られます。膝周りに痛みや腫れを感じた場合、単なる成長痛と見逃さず、持続する症状に対しては早期に専門医を受診することが重要です。適切な診断と治療により、治療の成功率は高まります。

推奨事項

もし成長期の子どもが膝の痛みを訴えているなら、まずは整形外科を受診し、適切な診断を受けることをおすすめします。早期発見と適切な治療が骨肉腫の克服につながることを忘れず、常に注意を払ってください。健康な生活を送るために、少しの異常も見逃さず、専門医の診断を仰ぎましょう。

参考文献

  1. 国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍科・リハビリテーション科長 川井 章 先生のインタビュー記事
  2. 日本整形外科学会
  3. 全国骨腫瘍登録一覧表 平成27年度