序論

現代社会において、私たちの生活はスマートフォンやパソコンといったデジタルデバイスに依存することが増えています。このため、目の酷使が日常化し、多くの人々が眼精疲労や視力低下を感じることが一般的になっています。しかし、目の健康を保つための具体的な対策を講じている人はどれほどいるでしょうか?

目の健康は、自覚症状が出にくいために見過ごされがちな問題です。特に緑内障糖尿病網膜症のような進行性の病気は、症状が現れたときにはすでに手遅れということも少なくありません。したがって、定期的な眼科検診が目の健康を維持するために極めて重要です。近年では、目の奥を詳細に観察できるOCT(光干渉断層計)検査が注目されています。

この記事では、目の健康の重要性と眼科検診の一環として実施されるOCT検査のメリットについて掘り下げていきます。定期的な検診の重要性を認識し、一生涯にわたる視力維持に役立てるための具体的なアドバイスを提供します。

専門的な助言

以下の専門家と組織の情報を本記事で参照しました:

目の健康はなぜ重要なのか?

目と全身の健康

目の健康を考えるうえで、「健康」とは何か?を理解することが大切です。健康とは、心身ともに全身の状態が良好であることを指します。目が健康であっても他の部分が健康でなければ、本当の意味で健康とは言えません。逆も然り、全身の健康が目の健康にも影響を及ぼすことは少なくありません。

例えば、加齢に伴う動脈硬化は、目の血管にも影響を与えることがあります。眼底検査を通じて、目の奥にある極小の血管を観察することで、身体全体の循環器系の状態を知る手掛かりとなるのです。

目の病気とその影響

目の病気には状態が悪化するまで自覚症状がほとんどないものも多く存在します。自覚症状が出やすい病気には網膜裂孔やそれに伴う飛蚊症(視界に浮遊物が見える症状)、網膜剥離加齢黄斑変性などがあります。しかし、自覚症状が出にくい病気も存在し、これらには緑内障糖尿病網膜症網膜静脈閉塞症などが含まれます。

目の病気を放置するリスク

目の病気を見過ごして放置しておくと、深刻な視力低下や失明に至ることがあります。例えば、糖尿病網膜症はかなり進行するまで自覚症状が無く、視力低下が生じた時には治療が難しいことが多いです。また、緑内障は一度ダメージを受けた視神経を回復させる治療法が現時点ではなく、早期発見と治療が非常に重要です。

OCT検査の重要性

眼科検診での重要な役割

一般的な眼科検診では、視力検査、眼圧検査、眼底検査が行われます。これに加えて、近年ではOCT(光干渉断層計)検査が導入されています。この検査は眼底を断層撮影することで、視神経や網膜の詳細な状態を観察することが可能です。

OCT検査の利点

OCT検査の特筆すべき利点は、以下の点にあります:

年齢と目の病気

若い年代にもリスク

目の病気は高齢者に多いと考えがちですが、若い年代にも発症リスクがあります。例えば、日本緑内障学会の調査によれば、40歳以上の日本人の5.0%が緑内障に罹っていることが示されています。

定期的な検診の重要性

若い年代でも定期的に眼科検診を受けることが重要です。これにより、早期発見と早期治療が可能となり、視力低下や失明のリスクを減らすことができます。

実際のOCT検査の流れ

検査手順

OCT検査は以下のような手順で行われます:

  1. 遮光性の布に覆われた顎台に顎を乗せ、正面のレンズを見る。
  2. 臨床検査技師の指示に従い、目を見開いたりつぶったりしながら、画面上の×印を見つめる。
  3. 撮影は片目ずつ行われ、数分で完了します。

検査の結果

リアルタイムで映像が観察できるため、その場での状況確認が可能です。異常が認められた場合は、さらに詳しい精密検査が推奨されます。

おわりに:自発的な行動が目の健康を守る

自分の目で一生を見るために

視覚情報は全ての知覚情報の約80%を占めるとも言われています。目の健康を守ることは、生活の質(QOL)向上につながります。異常を感じた時だけでなく、異常がなくても定期的に眼科検診や眼底検査を受けることをおすすめします。

専門家からのアドバイス

埼玉医科大学病院の足立雅樹先生は、眼科検診の結果によって精密検査が必要となった場合でも、異常がなかったとしても定期的に受診を続けることが重要だと強調しています。目の健康状態を知ることで、全身の健康にも意識を向けるきっかけとなり、長期的な健康維持につながると言えます。

参考文献