序論

最近、低リン血症性くる病骨軟化症という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。これらの疾患はFGF23というホルモンの異常に関連して発症するもので、骨の強度が低下し、痛みや変形を引き起こすことがあります。実は、くる病や骨軟化症は非常に見過ごされやすい病気であり、適切な治療を受けるためには早期の正確な診断が不可欠です。

この記事では、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の症状、検査方法、そして診断のフローチャートについて詳しく解説していきます。東京大学医学部附属病院の伊東伸朗先生の専門的な意見を交えながら、読者がこの疾患に対する理解を深め、早期の発見と適切な治療を受ける手助けとなるよう努めます。

FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の症状とは?

くる病と骨軟化症

くる病骨軟化症は、いずれも低リン血症による骨の病気です。骨端線が閉鎖する前に発症すればくる病、閉鎖した後に発症すれば骨軟化症として分類されます。これらの病気の主な症状は、骨の痛みや筋力低下です。特に重症な場合は、患者が寝たきりの状態になることもあります。

主な症状

くる病の主な症状:
成長障害 (低身長など)
骨変形 (O脚やX脚、節くれ立った肋骨など)

骨軟化症の主な症状:
偽骨折 (骨に亀裂が入ること)、骨折
骨痛 (骨の痛み)
筋力低下
歯の異常 (虫歯、膿瘍、歯が抜けやすいなど)

その他の症状として、関節周囲の骨棘形成(骨にできるとげのような構造)やそれに伴う疼痛、アキレス腱や後縦靭帯の骨化、脊柱管狭窄症なども見られることがあります。

症状の経過、実際の病状

次に、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の症状がどのように進行するのか、具体的なケースを通じて説明します。

診断がついて治療に進める例

若い患者でも、動くことがほとんどできず、寝たきりの状態になることがあります。詳しい検査で腫瘍が見つかれば、手術により摘出するという選択肢があります。腫瘍が原因であれば、完全な治療が可能です。しかし、早期発見が重要であり、無治療のまま放置すると症状が進行し、治療が困難になることがあります。

診断はついても腫瘍が見つからない例

骨に痛みを感じるようになってから数年で症状が進行し、寝たきりの状態になることがあります。診断がついても、原因となる腫瘍が見つからないことがあります。この場合、活性型ビタミンDやリン製剤、最近ではFGF23抗体医薬のブロスマブなどが使用されますが、必ずしも全ての症状が改善するわけではありません。複数回の検査が必要な場合や、別の病気の可能性も考えられます。

診断がつくまでに時間がかかる例

診断がつくまでに長い時間がかかるケースも多く見られます。その間に症状が進行し、退職を余儀なくされたり、日常生活に支障をきたすこともあります。早期の診断が課題であり、低リン血症やFGF23関連疾患の認識率向上が期待されています。

FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の診断

正しい手順で診断することが大切

FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の診断には、いくつかの重要なステップがあります。
1. くる病・骨軟化症の可能性を考える:
 骨痛(骨がズキズキするような痛み)がある場合、この病気の可能性を疑うことが重要です。関節の痛みとは異なる場所の骨痛を感じたら、正確に医師に伝えることが必要です。

  1. 血中のリン濃度を測定する:
     低リン血症の診断には、血中リン濃度の測定が不可欠です。複数回測定することで、慢性的な低リン血症を確認します。

  2. 血中のリン濃度が低ければ病因鑑別フローチャートに従う:
     慢性の低リン血症が確認されたら、まずFGF23を測定します。病因鑑別フローチャートに従って、病気の種類を特定します。

腫瘍性骨軟化症(TIO)の検査

腫瘍が原因である場合の検査方法:
CT、MRI: 小さな腫瘍や思いがけない場所に生じた腫瘍の発見が難しいこともあります。
ソマトスタチン受容体シンチグラフィ: 腫瘍がソマトスタチン受容体を発現しているかどうかを調べる。
全身静脈FGF23サンプリング: カテーテルを使用して、原因腫瘍の近くでFGF23濃度が高い場所を特定する。

骨の痛みが治らないと悩んでいる方へ

リウマチや変形性関節症などと診断され、長期にわたって治療を受けているのに症状が改善しない場合、その痛みがもしかしたらFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症に由来している可能性もあります。このような場合、かかりつけの医師と相談し、血中のリン濃度を測定することが一つの方法です。特に、どうしても原因が分からない痛みが続く場合、FGF23関連疾患の専門医に相談することで、新しい治療の可能性が開かれます。

FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症に関連する一般的な質問

1. くる病・骨軟化症の早期発見のポイントは何ですか?

回答:

早期発見には、以下のような症状や兆候に注目することが重要です。

説明:

骨の痛みが続く場合、特に体重がかかる部分(足や脛骨など)に痛みを感じる場合は、くる病や骨軟化症を疑うべきです。また、骨の変形や筋力低下も見逃さないようにしましょう。

ガイド:

骨のズキズキする痛みが続く場合、関節とは異なる場所の痛みがある場合は、かかりつけの医師に相談し、血中のリン濃度を測定してもらうことが重要です。

2. FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の治療方法について教えてください。

回答:

治療方法は、原因に応じて異なりますが、一般的には薬物療法と場合によっては外科手術が行われます。

説明:

腫瘍が原因の場合、手術で腫瘍の摘出が行われます。腫瘍が見つからない場合や他の原因であれば、ビタミンDやリン製剤、最近ではFGF23をターゲットにしたブロスマブなどが用いられることがあります。

ガイド:

自身の症状に応じた最適な治療法を見つけるためにも、専門医に相談して適切な診断と治療を受けることが重要です。

3. 低リン血症が疑われる場合、どのような検査を受けるべきですか?

回答:

低リン血症が疑われる場合、まずは血液検査で血中のリン濃度を測定します。その後、必要に応じてFGF23濃度の測定や画像検査が行われます。

説明:

血中のリン濃度が低ければ、いくつかの追加検査が必要です。例えば、CTやMRIで腫瘍の有無を確認したり、ソマトスタチン受容体シンチグラフィや全身静脈FGF23サンプリングが行われることもあります。

ガイド:

かかりつけの医師に相談し、リン濃度測定を依頼して確認を行いましょう。

結論と推奨事項

結論

FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症は見過ごされやすい疾患ですが、早期の診断と治療が非常に重要です。骨の痛みや筋力低下などの症状がある場合、適切な検査と診断を受けることで、日常生活の質を向上させることができます。伊東伸朗先生の解説を通じて、この疾患に対する理解を深めていただけたかと思います。

推奨事項

骨の痛みや筋力低下を感じた場合、迅速に医療機関で相談し、血中のリン濃度を測定してもらうことを強くお勧めします。また、難病指定受けることが難しい場合は、専門医に相談し、適切な治療を受けることが重要です。読者の皆様が、早期診断と適切な治療によって、健康な生活を取り戻せるよう応援しています。必要に応じて、専門医による診断や新しい治療の可能性について情報を収集し、自分自身の健康管理に役立ててください。

参考文献

  1. Medical Note. (2018). FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症——症状、検査、診断. リンク
  2. 東京大学医学部附属病院 難治性骨疾患治療開発講座 伊東 伸朗 先生.