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序論:

子どもの病気には、親として気づきにくいものも多くあります。しかし、早期に発見・対応することで重篤な状況を回避することが可能です。この記事では、子どもに見られる注意すべき症状と、それに対する対応について詳しく説明していきます。健康な子どもが突然調子を崩すことは珍しいことではありませんが、親として何に注意すべきかを知っておくことは大切です。具体的な徴候が見られたら、すぐに病院へ連れて行くべきです。

参考資料/専門的相談:

この記事は、国立研究開発法人国立成育医療研究センターの理事長であり、日本小児科学会の専門医である五十嵐隆先生の情報を元に作成されています。また、青梅市立総合病院 小児科 部長の横山美貴先生や、帝京大学医学部附属溝口病院 小児科 教授の井田孔明先生のアドバイスも参考にしています。

異常な呼吸音(喘鳴)に注意

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子どもの健康状態をチェックする際にまず気にすべき症状の一つが呼吸音の異常(喘鳴)です。これは、空気の通り道に狭いところができた場合に発生します。具体的には、呼吸がしづらくなり、息苦しさを感じる状態を指します。特にひどい場合には、直ちに医療機関を受診することが必要です。

呼吸音の異常とは?

空気の通り道(気道)の内側がむくんだり、痰がついたりして狭い部分ができると、息をする音が異常に聞こえることがあります。この異常な音を喘鳴(ぜんめい)と呼びます。狭い部分を空気が通るため、普段はしない音が出るのです。例えるならば、笛を吹く音のようなものです。

気道の口側、つまり太いところが狭くなると、息を吸うときに低い「グーグー」という音が聞こえることがあります(クループ)。一方、肺側の細い通り道が狭くなると、息を吐くときに「ゼーゼー」や「ヒューヒュー」といった音がします(喘息)。

緊急対応が必要な場合

子どもがクループ症や、異物を喉に詰まらせるなどで気道が狭くなり、息を吸うのが難しくなっている場合は非常に危険です。このような場合、夜間でもすぐに病院を受診するべきです。特に喘鳴があり、息苦しさを感じている場合は、緊急事態の可能性が高いです。

過去にゼーゼーと呼吸が荒くなった経験がある場合は、水分を取り、胸や背中を軽くトントン叩いて痰を出す手助けをすることも有効です。

(青梅市立総合病院 小児科 部長 横山 美貴先生)

皮膚や粘膜の黄疸に注意

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子どもの白目や皮膚、爪が黄色くなる場合、その背後には重大な病気が隠れていることがあります。この症状は黄疸(おうだん)として知られており、全身にビリルビンがたまって黄色く染まった状態です。

黄疸の原因と特徴

黄疸は、血液中にある胆汁色素のビリルビンが2mg/dLを超えることで発現します。柑橘類の摂取で見られる柑皮症(かんぴしょう)との区別が重要です。黄疸は白目も黄色くなるのに対し、柑皮症では白目は通常通りです。

新生児期に見られる黄疸(新生児黄疸)や、体質的な黄疸を除いて、異常な場合が多いため、早急に医療機関を受診することが求められます。生後1か月頃の黄疸が特に危険です。この場合、胆道閉鎖症という重篤な病気を見逃さないためにも注意が必要です。胆道閉鎖症では便が白っぽく、肝臓が大きく腫れることがあります。

受診の必要性

年齢に関係なく、黄疸は肝臓の病気だけでなくその他の原因でも発現することがあります。例えば、母乳性の黄疸と思い込み、自分で判断することは避けるべきです。異常が疑われる場合は、まず医師の診断を受けることが大切です。

(医療法人社団堅江会はたクリニック 院長 秦 堅佐工先生)

出血や容易にあざができる状態に注意

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子どもの体に出血傾向や頻繁にあざができる場合、それは血液の異常を示すサインかもしれません。出血傾向とは、血が止まりにくくなっている状態を指します。

出血傾向の原因

けがをしたときに血が止まるのは、血液中の血小板という細胞と凝固因子と呼ばれるタンパク質の働きによるものです。血小板がまず集まって穴をふさぎ、次に凝固因子がそのつながりを強化します。しかし、血小板の数が少ない、働きが悪い、凝固因子が足りないなどの原因があると、壊れた血管の穴が修復されず、血が止まりにくくなります。このため、皮膚の下に小さな出血(1mmから3mm程度の赤い点)やあざができたりします。

早期の医療機関受診

鼻血がなかなか止まらない場合や、ぶつけてもいないのに体にあざができる場合は、医療機関の受診が必須です。これらの症状は、血液の病気の可能性を示していることがあるため、専門的な診断と治療が必要です。

(帝京大学医学部附属溝口病院 小児科 教授 井田 孔明先生)

排尿痛や頻尿に注意

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排尿痛頻尿も子どもの健康問題を示す重要な症状です。腎臓で作られた尿が体外に出る過程で問題が発生することがあります。

排尿痛と頻尿の原因

排尿痛とは尿の通り道に異常があり、排尿前、排尿中、排尿後に痛みを感じることを指します。また、尿の回数が増える頻尿も見逃せない症状です。これには、水分の摂取過多や精神的要因も含まれますが、膀胱炎や尿道炎などの感染症、膀胱や尿道の炎症が原因となることが多いです。

医療機関での必要な検査

いずれの場合も原因を特定するために医療機関で尿検査を行うことが推奨されます。自己判断で終わらせず、適切な検査と診断を受けることが大切です。

(東京大学医学部附属病院 小児科 講師 張田 豊先生)

問題に関するよくある質問

1. 子どもの呼吸音が異常で、特にゼーゼーしていますが、どう対処すれば良いですか?

答え:

子どもが異常な呼吸音(特にゼーゼー)を発している場合、冷静に対処しつつも、すぐに病院を受診することが基本です。

説明:

喘鳴(ぜんめい)と呼ばれる異常な呼吸音には、さまざまな原因があります。気管支喘息や感染症、アレルギー反応などが考えられます。まず、子どもの呼吸を楽にするために、背中や胸を軽くトントン叩いて痰を排出させることが推奨されます。しかし、これだけでは改善しない場合がほとんどであり、直ちに医療機関を受診することが最善の対策です。以前に同様の症状があった場合でも、再度医師の診断を受けることが重要です。特に、夜間や休日などでも緊急の受診が求められる場合があります。

ガイドライン:

  1. 痰の排出を促すために、背中や胸を軽く叩く。
  2. 一刻も早く医療機関へ連れて行く。
  3. 既往歴がある場合でも、自己判断せず医師の診断を受ける。
  4. 夜間や休日でも緊急の対応が必要な場合は、迷わず救急医療を利用する。

2. 子どもの黄疸が見られた場合、どのように対処すれば良いですか?

答え:

子どもに黄疸の症状が見られた場合、すぐに医療機関を受診し、専門の診断と治療を受けることが大切です。

説明:

黄疸は血液中のビリルビンが正常値を超えた場合に発生する症状で、皮膚や白目が黄色くなります。柑橘類の摂取による柑皮症と区別するために、ビリルビンの数値を検査することが必要です。特に新生児期に見られる黄疸は、胆道閉鎖症などの重篤な病気が背景にあることが多いため、早急に対応することが求められます。さらに、黄疸は感染症や肝臓の病気と関連することがあり、年齢に関係なく必ず診察を受けるべきです。

ガイドライン:

  1. 黄疸の症状が見られたら、自己判断せずすぐに医療機関を受診する。
  2. 医師の指示に従い、必要な検査を受ける。
  3. 背景にある可能性のある病気(例えば胆道閉鎖症)の診断を確定する。
  4. 早期の診断と治療が重要なので、異常が少しでも疑われた場合は迅速に行動する。

3. 子どもの血が止まりにくい、または頻繁にあざができる場合、どうすれば良いですか?

答え:

子どもが血が止まりにくい、または頻繁にあざができる場合は、直ちに医療機関を受診し、血液検査などを行ってもらうことが必要です。

説明:

血が止まりにくい状態や頻繁にあざができる場合、それは血液の凝固機能に問題がある可能性を示しています。このような症状は血小板や凝固因子の異常によって発生します。具体的には、血小板の数が少ない、働きが悪い、または凝固因子の一部が欠如している場合、出血が止まりにくくなります。こうした症状は、血液の精密検査によって診断されることが多いため、早めに医療機関を受診し、専門の血液検査を行うことが重要です。

ガイドライン:

  1. 血が止まりにくい場合、特に鼻血が頻繁に出る場合や体にあざができる場合は、医療機関を受診する。
  2. 血液検査を行い、血小板や凝固因子の異常を確認する。
  3. 診断が確定した場合、適切な治療法を講じる。
  4. 日常生活での注意点や予防策について医師から指導を受ける。

4. 子どもが排尿時に痛みを訴える、または頻尿の場合、どう対処すれば良いですか?

答え:

排尿時に痛みを訴える、または頻尿の症状が見られた場合、速やかに医療機関を受診し、尿検査を受けることが必要です。

説明:

排尿時の痛みや頻尿は、膀胱炎や尿道炎などの感染症が疑われます。尿の通り道に異常がある可能性が高いため、まずは尿検査をして原因を突き止めることが重要です。特に、泌尿器感染症は放置すると腎臓に影響を及ぼすことがあるため、早期診断と治療が求められます。自己判断で放置せず、医師の診断を受けて適切な治療を受けましょう。

ガイドライン:

  1. 子どもが排尿時に痛みを訴えたらすぐに医療機関を受診する。
  2. 尿検査を行い、原因を特定する。
  3. 膀胱炎や尿道炎などが診断された場合、指示通りの投薬や治療を行う。
  4. 日常的なケアや予防策について医師からのアドバイスを受ける。

結論と推奨

結論:

子どもに見られるさまざまな症状について理解し、早期に対応することが非常に重要です。呼吸音の異常、黄疸、出血傾向、排尿痛・頻尿などの症状が見られた場合には、自己判断をせず専門の医療機関で診断を受けることが最善です。この記事で紹介した情報をもとに、親として子どもの健康を守るために適切な対応を行ってください。

推奨:

特定の症状が見られた場合は、直ちに医療機関を受診し、専門の診断を受けることが推奨されます。特に呼吸音が異常に聞こえた場合、皮膚や白目が黄色くなった場合、出血が止まりにくい場合、排尿時に痛みを感じる場合や頻尿の場合は、専門医の意見を仰ぎましょう。早期の診断と適切な治療が、子どもの健康を守るために非常に重要です。専門医からのアドバイスや指導に基づいて、日常生活でのケアや予防策を適切に行いましょう。

参考資料

  1. 五十嵐隆先生(2016)「子どもの異常な症状と対策」国立研究開発法人国立成育医療研究センター
  2. 横山美貴先生(2016)「喘鳴とその対応」青梅市立総合病院 小児科
  3. 秦堅佐工先生(2016)「黄疸の原因と対策」医療法人社団堅江会はたクリニック
  4. 井田孔明先生(2016)「出血傾向の原因と対策」帝京大学医学部附属溝口病院 小児科
  5. 張田豊先生(2016)「排尿痛や頻尿の診断と治療」東京大学医学部附属病院 小児科