序論:

心不全という言葉を聞くと、多くの人が年齢とともに避けられない病気であると感じたり、反対に命にかかわる重篤な病気であるとイメージしたりするかもしれません。実際、心不全は心臓が十分に血液を送り出せなくなる状態であり、そのまま放置すれば命に関わるリスクがあります。本記事では、日本における心疾患、特に心不全の現状とその重大性について、国際医療福祉大学の岸拓弥教授の見解をもとに詳述します。

参考資料/専門的相談:

岸拓弥教授(国際医療福祉大学 大学院医学研究科 循環器内科学、福岡薬学部 教授)


日本における心疾患・循環器疾患の現状:

近年、日本では心疾患や循環器疾患による死亡数が増加しています。厚生労働省の「平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、心疾患はがんに次いで2番目に多い死因となっており、毎年約35万人が循環器疾患で命を落としています。特に心疾患による死亡数は、1998年から2018年までの20年間で約6万人も増加しました。

背景にある要因:

心疾患による死亡数の増加には、以下のような要因があります。

循環器疾患の治療における課題:

心疾患や循環器疾患の治療に関しては、いくつかの課題が存在します。その中でも特に注目すべきは「健康寿命と平均寿命の差」です。

健康寿命と平均寿命の差:

日本では、男性の平均寿命は約80歳、女性は約87歳ですが、それに対して健康寿命は男性で約71歳、女性で約75歳です。これはつまり、人生の最後の約10年間は多くの人が何らかの形で支援や介護を必要とし、日常生活に制限がある期間となることを意味します。

心疾患と脳卒中が原因で要介護となるケースが、要介護全体の約4分の1を占めています。この事実は、高齢化が進む日本社会において非常に重要な問題です。

心不全の慢性化とその影響:

心疾患の中でも特に注目されるのが、「心不全」です。急性心不全は救急医療や集中治療によって一時的に改善することがありますが、一度発症すると完全に治癒することが難しく、慢性心不全に移行するケースが多いです。慢性心不全の患者は、症状の寛解と増悪を繰り返しながら、徐々に身体機能が低下し、最終的には死に至ることが多いです。

命にかかわるリスクが高い心不全は、予防対策が可能:

心不全は命に関わる病気であり、適切な対策を講じることでその発症や進行を防ぐことが可能です。特に重要なのは、心不全のリスクを抱える前の段階からの予防です。

予防の具体的な方法:

心不全のリスクを減らすための具体的な方法には、以下が挙げられます。

早期発見と治療:

早期発見は心不全の進行を遅延させる鍵となります。初期症状の段階で医療機関を受診し、適切な治療を受けることで、心不全の進行を抑え、生活の質を保つことが可能です。


よくある質問

1. 心不全とは何ですか?

答え:

心不全は心臓の機能が低下し、必要な血液を全身に送ることができなくなる状態です。

説明:

心不全は心臓が正常に機能しなくなるため、身体の様々な部位に影響を与えます。具体的には、呼吸困難やむくみ、極度の疲労感などが典型的な症状です。これらの症状は、心臓が十分な酸素供給を行えなくなることから生じます。心不全の原因としては、高血圧や冠動脈疾患、心筋梗塞などが挙げられます。初期症状に気づいた場合は、早期に医師の診断を受け、適切な対策を講じることが重要です。

2. 心不全の予防策はありますか?

答え:

はい、心不全の予防策は複数存在します。

説明:

心不全を未然に防ぐためには、いくつかのライフスタイル改良が非常に有効です。まず定期的な健康診断を受けることで、心臓の健康状態を常にチェックすることが大切です。また、バランスのとれた食事、適度な運動、ストレスの管理、禁煙などが予防には欠かせません。これらの習慣を身につけることで、心疾患のリスクを大幅に減少させることができます。

3. 心不全は完全に治るのでしょうか?

答え:

完全に治すことは難しいですが、適切な治療で症状を管理できます。

説明:

心不全は慢性的な病気であり、一度発症すると完全に治癒することは難しいです。しかし、適切な治療と生活習慣の改善により、症状をコントロールし、生活の質を向上させることが可能です。薬物療法や定期的な医療機関でのフォローアップが重要です。

4. 心不全の初期症状は何ですか?

答え:

心不全の初期症状には、息切れ、むくみ、疲労感などがあります。

説明:

心不全の初期症状は比較的分かりやすいものであることが多いです。例えば、軽い運動で息切れが生じる、足やくるぶしがむくむ、持続的な疲労感を感じるなどです。これらの症状が現れた場合は、早期に医師の診断を受けることが推奨されます。早期に対策を講じることで、症状の進行を防ぎ、健康を維持することができます。

5. 日本で心不全が増加している理由は何ですか?

答え:

高齢化社会の進行と生活習慣病の増加が主な原因です。

説明:

日本の心不全患者数が増加している背景には、高齢化と生活習慣の変化があります。高齢者が増えることで、心臓の機能低下が進行しやすくなるため、心不全のリスクが高まります。また、不健康な食生活、運動不足、喫煙などの生活習慣病も心不全の増加に寄与しています。これらの要因を考慮しながら、予防策を講じていくことが重要です。


結論と推奨

結論:

心不全は命にかかわる重大な病気であり、日本においてもその影響は拡大しています。初期段階での診断と適切な治療、そして予防策の実行が非常に重要です。

推奨:

読者の皆さんには、心不全のリスクを認識し、健康的なライフスタイルを心掛けることをお勧めします。定期的な健康チェック、バランスのとれた食事、運動習慣、禁煙、ストレス管理を実践することで、心不全のリスクを大幅に減少させることができます。早期発見と適切な治療を行うことで、生活の質を高め、健康で充実した日々を送ることができるでしょう。

参考資料

  1. 厚生労働省 平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況
  2. 岸拓弥. 国際医療福祉大学 大学院医学研究科、福岡薬学部 教授.