序論

最近、男性も年齢を重ねることでさまざまな身体的・精神的な不調を感じることが増えてきています。そのような症状の一部として「男性更年期障害」が注目されています。この障害は、特に30代後半以降の男性に多く見られ、まさに働き盛りの年齢で発症することがしばしばです。疲労感が抜けない気分の落ち込み性機能の低下などの症状を経験している場合、それは男性更年期障害のサインかもしれません。

本記事では、男性更年期障害について詳しく解説します。症状原因発症の年齢、そして治療法など、多岐にわたる情報を提供し、この記事を通じて理解を深めていただければと思います。また、セルフチェックリストもご紹介しますので、自身や身近な男性がこれらの症状に苦しんでいる場合のお役に立てることでしょう。

専門的な助言

この記事の情報は日本泌尿器科学会日本Men’s Health医学会のガイドラインに基づいています。ソースとしては「LOH症候群診療ガイドライン」や「加齢男性性腺機能低下症候群 診療の手引き」が含まれています。

男性更年期障害とは?

男性更年期障害とは、男性が年齢を重ねる中で心身の不調を感じる状態を指します。別名「LOH症候群」とも称されます。女性の更年期障害と比べて認識が低いですが、その影響は同様に深刻です。

男性更年期障害の3つの分類

男性更年期障害の症状は大きく以下の3つに分類できます。
1. 身体的な症状
2. 性機能症状
3. 精神的な症状

身体的な症状

身体的な症状として以下のような症状が現れることがあります。

性機能症状

性機能に関連した症状も見られます。

精神的な症状

精神的な症状として以下が挙げられます。

これらの症状が一度に現れるわけではなく、時間と共に徐々に進行するため、早期の診断と治療が重要です。

男性更年期障害の原因は男性ホルモンの減少

男性更年期障害の主な原因は男性ホルモンであるテストステロンの減少です。このホルモンは精巣と副腎から生成され、さまざまな身体機能に関与しています。年齢と共にテストステロンの生成量が減少し、心身に影響を及ぼすことになります。

テストステロンが減少する主な原因

  1. 加齢:テストステロンの生成量は20代がピークであり、30代以降になると徐々に減少していきます。
  2. 慢性的なストレス:ストレスによって「コルチゾール」が分泌され、副腎が疲弊し、男性ホルモンの元である「DHEA」の生成が減少します。

発症する年齢

男性更年期障害は主に30代後半以降に発症しやすいです。特に50〜60代において発症率が高まりますが、明確な発症時期は個人差があります。

セルフチェックリスト

男性更年期障害の診断には「AMSスコア」という質問票が用いられます。以下のリストをもとに自身でチェックしてみましょう。

質問 症状 なし 軽い 中程度 重い 非常に重い
1 総合的に調子が思わしくない 1 2 3 4 5
2 関節や筋肉の痛みがある 1 2 3 4 5
3 ひどい発汗がある 1 2 3 4 5
4 睡眠に関する悩みがある 1 2 3 4 5
5 よく眠くなる、しばしば疲れを感じる 1 2 3 4 5

合計点数が27点以上の場合、男性更年期障害の可能性があります。診断結果に基づいて適切な治療を受けることが必要です。

男性更年期障害の予防法

ここからは、男性更年期障害を予防するための6つの方法を紹介します。

1. バランスの良い食生活

亜鉛タンパク質含硫アミノ酸などを多く含む食材を摂取することが重要です。例えば、牡蠣、レバー、大豆、卵や魚類などです。

2. 適度な運動

無酸素運動(スクワットや腕立て伏せ)や有酸素運動(ウォーキング、ラジオ体操)が効果的です。継続的に行うことが重要です。

3. 質の高い睡眠

寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控え、睡眠の質を高めるための環境を整えましょう。ブルーライトも体内時計に影響を与えるため、避けるようにしましょう。

4. 禁煙

禁煙は健康維持に非常に重要です。喫煙が習慣化している場合、少しずつ本数を減らしていく努力をしましょう。

5. ストレスの管理

自分なりのストレス発散方法を見つけることが大切です。趣味や運動、リフレッシュする時間を定期的に設けることが効果的です。

6. 孤独にならない・人と競争する

他人と関わり合い、コミュニケーションを取ることでテストステロンの生成が促進される傾向にあります。競争心を持つことも良い刺激になりますが、バランスを取ることが必要です。

男性更年期障害の治療方法

漢方薬による治療

漢方薬は自然の生薬を用いて複数の症状に効果があります。加味逍遙散当帰芍薬散などが代表的です。即効性は低いですが、持病がある場合に使用するケースもあります。

注射による男性ホルモンの補充

男性ホルモンを注射で補充する方法は即効性が高く、症状全般に有効です。しかし、副作用のリスクがあるため、定期的な通院と診察が必要です。

外用薬(塗り薬・貼り薬)による補充

塗り薬や貼り薬を用いる方法では、自宅で手軽に治療ができ、副作用のリスクが低いのが特徴です。

男性更年期障害の治療期間

治療方法により治療期間は異なります。漢方薬は効果を実感するまでに時間がかかりますが、次第に改善が見られる場合があります。注射治療では3カ月を目安に定期的な治療を行いますが、効果が見られない場合は他の治療方法を検討することが必要です。

男性更年期障害は何科を受診すればいい?

泌尿器科内科、あるいはメンズヘルスに対応した病院やクリニックが適しています。診断と治療のために専門の医師に相談することが大切です。

結論と推奨事項

結論

男性更年期障害は、多くの男性が年齢と共に経験する可能性がある障害です。症状は身体的、精神的、そして性機能にわたり、個人差が大きいため、早期に診断と治療を受けることが重要です。テストステロンの減少が主な原因であり、生活習慣の改善や適切な医療介入が必要です。

推奨事項

男性更年期障害の症状を感じた場合は、早めに医療機関を受診し、専門家の診断を受けましょう。また、予防のために食生活の改善や適度な運動、ストレス管理などを心掛けることが大切です。自身の健康を大切にし、積極的に取り組むことで、健やかな毎日を送ることができます。

参考文献