緊急度が高まる大動脈解離、その治療法とは?

序論

大動脈解離という言葉を聞いて、どのような疾患を思い浮かべますか?これは全身への血液循環を担う大動脈が裂けてしまうことで生じる、生命に直接かかわる危険な疾患です。突然の激しい胸痛や背中の痛みから始まり、適切な医療措置を受けなければ命を脅かす可能性があります。大動脈解離は大きく「A型」と「B型」の2つに分類され、それぞれの治療法が異なります。

この記事では、主にA型大動脈解離の治療法について解説します。A型は手術が基本的に必要とされ、主に「人工血管置換術」や「人工血管バイパス術」が用いられます。これらの手術方法、具体的な適用、術後の経過、そして手術ができない場合や合併症について、詳しく紹介していきます。また、一部の情報は北里大学医学部の診療准教授である宝来哲也先生から提供された内容に基づいています。

大動脈解離の手術方法——人工血管置換術と人工血管バイパス術

大動脈解離とその治療法

大動脈解離の治療法は、その解離の種類や進行状況によって異なります。特にA型の大動脈解離では「人工血管置換術」が主に行われます。この治療は解離した大動脈を人工血管に置き換えることで、血管の裂け目を修復します。

人工血管置換術

人工血管置換術は以下の手順で行われます:

  1. 手術前準備
    • 患者は全身麻酔を受けます。
    • 人工心肺装置を使用して一時的に心臓の動きを止めます。
    • 体温を約25度に低下させ、脳を含む重要な臓器を保護します。
  2. 手術の進行
    • 解離が発生している部分の大動脈を切開し、人工血管で置換します。
    • 必要に応じて、心臓の出口の弁から頭部に向かう血管まで置き換えます。
  3. 手術後の処置
    • 人工心肺装置を外し、正常な心臓活動を再開させます。
    • 持続的にモニタリングしながら術後の経過を観察します。

人工血管は感染などの問題が起きなければ、メンテナンス不要で永続的に使用できます。

人工血管バイパス術

人工血管バイパス術は、以下の場合に適用されます:

この手術は、血流障害の改善を図り、必要に応じて後で人工血管置換術を行うことができるようにします。

大動脈解離の手術時間

人工血管置換術の手術時間は以下の要因によって異なります:

大動脈解離で手術できない・手術しない場合とは

手術できない場合

以下の場合には手術が難しいことがあります:

手術しない場合

大動脈解離の手術で起こりうる合併症・後遺症とは

脳の合併症

心臓・肺の合併症

脊髄麻痺

反回神経麻痺

大動脈解離の予後

リハビリ

手術後の生活の注意点

人工血管の感染を防ぐために

宝来先生からのメッセージ

定期的に経過観察をし、必要に応じて治療する

大動脈解離の治療後も定期的に医療機関での経過観察が不可欠です。特に人工血管に置換していない大動脈の残存解離部分が広がっていないかを確認するためにCT検査が行われます。

前向きに治療に臨んでいただきたい

大動脈解離は命にかかわる危険な疾患ですが、適切な医療管理と前向きな姿勢が重要です。医師と相談しながら、継続的な治療と経過観察を行うことで、日常生活を送ることができる可能性が高まります。

参考文献