序論

腎不全は多くの人々に影響を与え、生活の質を大きく左右する深刻な健康問題です。その治療法として広く用いられているのが血液透析です。血液透析を受けるためには、大量の血液を安全かつ効率的に体外に出し入れするための「バスキュラーアクセス」が必要です。中でも、人工血管内シャントが注目されています。この記事では、透析患者さんにとって重要な命綱となる人工血管内シャントおよびその移植術の重要性と最新技術について詳しく解説します。

専門的な助言:

この記事では、主に昭和大学医学部 外科学講座 消化器・一般外科部門 講師 加藤 容二郎 先生の情報を参考にしています。

バスキュラーアクセスの重要性

バスキュラーアクセスとは?

バスキュラーアクセスは、透析治療を行うために必要な血液を取り出す通路を指します。透析には1分間に100-250mlの大量の血液が必要となりますが、腕の静脈では持続的にこれだけの血液を取り出すことが難しいため、専用の通路を作る必要があります。

バスキュラーアクセスの種類

バスキュラーアクセスには以下の種類があります:

これらのうち、自己血管内シャントが最も一般的ですが、適切な静脈がない場合には人工血管内シャントが用いられます。

人工血管移植術の適応と方法

人工血管移植術が適応されるケース

適応される条件には以下の通りです:

人工血管移植の一般的な方法

人工血管移植は主に上肢にループ状に挿入されます。前腕が第一選択ですが、適さない場合は上腕やその他の部位(腋下静脈、鎖骨下静脈、大腿動静脈)にも挿入されます。

手術後のケア

人工血管内シャントは定期的にケアが必要です。同じ部位ばかり穿刺することを避けて、損傷を予防することが重要です。

人工血管の素材と特徴

e-PTFE

ポリウレタン

人工血管移植術における感染対策

人工血管内シャントは自己血管に比べて感染リスクが高いため、穿刺前には徹底的な消毒と滅菌手袋の使用が推奨されます。また、患者さん自身も人工血管の周囲を傷つけないよう注意が必要です。感染が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。

経皮的血管形成術(PTA)

PTAとは?

経皮的血管形成術(PTA)は、狭窄した内シャントや人工血管を拡張する手法です。カテーテルを使い、狭くなった部分を広げることで血流を改善します。

PTAの手順

  1. 狭窄部分を特定する。
  2. カテーテルを挿入し、バルーンで狭窄部分を広げる。
  3. 定期的に検査し、血流の状態を確認する。

PTAを行うことでシャントの一次開存率(術後1年で60%)が向上します。

人工血管の素材選びと術後管理

人工血管を選ぶ際には、個々のニーズや条件を考慮して選ばれます。e-PTFEとポリウレタンにはそれぞれの利点と欠点がありますので、医師と相談しながら最適な素材を選びましょう。術後の管理も重要で、定期的な検査とケアが必要です。

結論と推奨事項

結論

血液透析を受ける際に不可欠なバスキュラーアクセスには、自己血管内シャントが多く使用されているものの、適切な静脈がない場合は人工血管内シャントが選ばれます。人工血管内シャントの手術と管理は、患者さんの生活の質や生命に直結する重要な要素です。

推奨事項

参考文献