序論

大腸がんは、高齢者にとって特に深刻な健康問題となります。手術はこの疾患の治療において重要な手段ですが、高齢者特有の課題が存在します。特に、高齢者は術後に合併症が発生しやすく、これに対応するための包括的なケアが求められます。この記事では、沼津市立病院の菅本祐司先生の指導のもとで、高齢者の大腸がん術後ケアについて具体的な対策と方法を解説します。

参考資料/専門的相談

高齢者の早期離床とその重要性

早期離床の目的

高齢者が手術後に長期間ベッドにいると、多くの問題が生じる可能性があります。長期にわたる安静は廃用症候群を招く危険性が高いです。廃用症候群は、長期間にわたる安静状態が続くことによって生じる運動機能および生活機能の低下を指します。

廃用症候群のリスクと影響

具体的には、以下のような問題が発生します:

これらのリスクは、患者の予後や生活の質に大きな影響を与えるため、早期の離床が重要となります。

リハビリテーション:術後回復の鍵

歩行と飲水の早期開始

手術後早期からのリハビリテーションが奨励されており、特に腹腔鏡手術を受けた大腸がん患者は、手術翌日からの飲水や歩行の開始が基本となります。この時期に作業療法士(OT)や理学療法士(PT)が介入し、患者のリハビリをサポートします。

嚥下機能のリハビリテーション

嚥下機能の改善も重要です。特に高齢者は誤嚥性肺炎のリスクが高いため、耳鼻咽喉科の専門家が嚥下機能を回復させるトレーニングを行います。これにより、飲み込みの機能が改善され、誤嚥による肺炎のリスクを減少させることができます。

リハビリテーションを成功させる鍵:意欲

意欲の重要性

リハビリテーションには患者の「意欲」が重要です。患者がリハビリに対して前向きな態度を持たない場合、体力の回復や生活の質の改善は困難になります。高齢者のリハビリ意欲を高めるためには、家族のサポートが不可欠です。

家族のサポート

家族が「頑張ってリハビリをして、元気に退院しよう」と励ますことで、患者のモチベーションが大きく変わります。このサポートがあることで、患者はリハビリに積極的に取り組み、早期回復が期待できます。

腹腔鏡手術と術後リハビリの関係

リハビリを促進する手術方法

リハビリテーションがなかなか進まない理由の一つに「術後の傷口の痛み」があります。このため、腹腔鏡手術が推奨されています。腹腔鏡手術は傷口が小さく、患者の術後回復が早いため、特に高齢者にとって大きなメリットがあります。

人工肛門(ストーマ)のケア

手術前の準備

ストーマを必要とする患者には、手術前にその使い方を理解してもらうためのビデオ視聴や、模型を使った実技指導が行われます。また、皮膚・排泄ケア認定看護師がストーマ造設位置を決めることも重要です。位置決めは体型差による影響を考慮して行われます。

手術後のケア

手術後にはストーマの洗浄方法やパウチの交換方法など、具体的なケア方法について指導が行われます。これにより、患者やその家族が術後も安心してケアを続けられるよう支援します。

地域医療との連携:2人主治医制

退院後のケア体制

退院後は、定期的な検査や問診を近隣の開業医やクリニックで行うことで、患者の負担を軽減します。この方式により、患者1人に対して2人の主治医がいる体制が取られます。

結論と推奨

結論

高齢者の大腸がん術後ケアには多岐にわたる配慮が必要です。早期離床とリハビリテーション、術前後のストーマケア、地域医療との連携など、すべてが患者の回復を促進し、生活の質を向上させるための重要な要素です。

推奨

大腸がんの予防と早期発見の重要性を再確認しましょう。定期的な大腸がん検診を受けることで、早期発見・早期治療が可能になります。また、家族や地域のサポートを活用し、患者が安心して治療に専念できる環境を整えることが大切です。

参考資料