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JHO 病気ペディア

五十肩(肩関節周囲炎)かたかんせつしっかん / Shoulder Joint Disorders

最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)

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✦ 結論から言うと

五十肩(医学的には肩関節周囲炎、英語ではfrozen shoulder=凍結肩と呼ばれる)は、肩関節を包む「関節包」に炎症が起こって厚く硬くなり、自分で動かしても人に動かしてもらっても腕が上がりにくくなる病気である[1][4]。40〜60歳代に多く見られ、糖尿病や甲状腺の病気がある人はなりやすいと米国整形外科学会は述べている[4]。外傷の直後に腕が挙上できない場合や、発熱を伴う安静時の激しい痛みがある場合は、肩腱板断裂や化膿性関節炎など別の病気の可能性があるため、様子を見ずに整形外科を受診してほしい。

読み方・別名 ごじゅうかた/肩関節周囲炎・凍結肩(frozen shoulder)・四十肩(発症年代による俗称)
受診する科 整形外科(可能であれば肩関節を専門とする医師)
主なリスク 放置による拘縮の悪化、肩腱板断裂や石灰沈着性腱板炎など治療が異なる病気の見逃し
すぐ受診すべき目安 外傷の直後に腕が挙上できない・発熱を伴う安静時の激しい痛み・しびれや脱力を伴う場合

五十肩(肩関節周囲炎)とは?原因と痛みが起こるしくみ

日本整形外科学会は、五十肩について「中年以降、特に50歳代に多くみられ、その病態は多彩です」と説明し、関節を構成する骨・軟骨・靱帯や腱などが老化して肩関節の周囲組織に炎症が起きることが主な原因と考えられるとしている[1]。肩関節の動きをよくする袋(肩峰下滑液包)や関節を包む袋(関節包)が癒着すると、さらに動きが悪くなる状態を拘縮または凍結肩と呼ぶ[1]。

米国整形外科学会(AAOS)も、肩関節包が厚く硬くなり、癒着と呼ばれる硬い組織の帯ができることで、関節内の滑液(関節の動きを滑らかにする液)が減ることがあると説明している[4]。NCBI Bookshelfに掲載されたStatPearlsは、関節包内で炎症と線維化(組織が硬い線維に置き換わること)が起こり、特に関節包前上方(コラコヒューメラル靱帯のあたり)が厚くなり、関節包の容量そのものが小さくなると報告している[6]。

米国整形外科学会は、40歳から60歳代の人に多く、女性が男性よりやや多いこと、糖尿病や甲状腺機能低下症・甲状腺機能亢進症・パーキンソン病・心疾患がある人はなりやすいこと、けがや手術のあとに肩を動かさない期間が続いた人もリスクが高いことを挙げている[4]。一方で、なぜ関節包に炎症が起こるのか、その根本的なきっかけについては、AAOSも原因は完全には解明されていないと述べている[4]。

NCBI BookshelfのStatPearlsは、病理の進み方をより詳しく報告している。関節鏡で観察すると、肩峰下(肩の骨の下)にある滑液包の周囲に線維組織や癒着ができて動きを制限し、周囲の組織との衝突(インピンジメント)を起こすこと、関節包の内側を覆う滑膜が過剰に増殖して炎症を起こすこと(増殖性滑膜炎)、そして関節包そのものが厚く線維化していくことの3つが確認されているという[6]。それぞれの変化がどのくらいの期間続くかは人によって幅があり、関節鏡による所見がその人の病期を判断する材料になるとされる[6]。

五十肩の症状の特徴

日本整形外科学会は、五十肩の症状について「肩関節が痛み、関節の動きが悪くなります(運動制限)」としたうえで、動かすときに痛む「運動痛」と、夜間にズキズキ痛んで眠れないこともある「夜の痛み」の2つを挙げている[1]。運動痛については、動かす際に痛みがあるからといってあまり動かさずにいると、かえって肩の動き自体が悪くなってしまい、髪を整えたり服を着替えたりする動作が不自由になることがあるとしている[1]。

米国整形外科学会も、五十肩の痛みは鈍く重い痛みで、経過の初期のうちや腕を動かしたときに悪化しやすく、肩の外側から上腕にかけて感じることが多いと説明している[4]。NCBI BookshelfのStatPearlsは、可動域の制限が外旋(腕を外側にひねる動き)から始まり、外転(腕を横に上げる動き)、内旋、屈曲の順に広がっていくことが多いと報告している[6]。また、五十肩ではしびれや麻痺といった神経症状は伴わないことが多く、この点が首や神経に由来する痛みとの見分け方の一つになるとStatPearlsは述べている[6]。

診断の目安となる数値・データ

五十肩がどれくらいの人に起こり、どのくらいで良くなるのかについて、NCBI Bookshelfに掲載されたStatPearls(米国の医学教育データベース)と米国整形外科学会(AAOS)が示す数値を以下にまとめる。

項目 数値・目安 備考
一般人口における有病率 2〜5% StatPearlsによる[6]
好発年齢 40〜60歳代に多い(平均発症年齢はおよそ55歳) AAOS[4]・StatPearls[6]
性差 女性がやや多く、男女比はおよそ1.4対1 StatPearlsによる[6]
罹患しやすい腕 利き手でない側にやや多い StatPearlsによる[6]
自然経過の目安 数ヶ月から2〜3年で症状が変化し、完全な回復までは最大3年程度かかることがある AAOS[4]・StatPearls[6]
治療後の見通し 適切な治療でおよそ80%が正常に近い肩の動きを取り戻す一方、10〜20%はこわばりなどの症状が残るとされる StatPearlsによる[6]

出典:NCBI Bookshelf StatPearls「Adhesive Capsulitis(Frozen Shoulder)」[6]/米国整形外科学会(AAOS)OrthoInfo「Frozen Shoulder」[4]

これらの数値はいずれも米国の資料によるもので、日本整形外科学会の一般向け解説ページには、有病率や男女比を具体的な数字で示した記載は見当たらない[1]。なお、NCBI BookshelfのStatPearlsは2025年3月に更新された版であるのに対し[6]、日本整形外科学会や米国整形外科学会の一般向けページには更新年月日そのものが明記されていない。ガイドラインや診療の考え方は改定されることがあるため、本稿の数値も今後変わりうる目安として読んでほしい。

五十肩・肩腱板断裂・石灰沈着性腱板炎の見分け方

肩の痛みを起こす病気は複数あり、治療の方向性がそれぞれ異なるため、自己判断で「五十肩だろう」と決めつけるのは危険である。たとえば肩腱板断裂は加齢による腱の変性が主な原因とされ、断裂の程度によっては手術による修復が検討されるのに対し[2]、五十肩は関節包そのものの炎症であり、腱板は基本的に切れていない[1]。石灰沈着性腱板炎も、腱にたまったリン酸カルシウムの結晶を抜く処置が有効な場合があるなど、五十肩とは対処法が異なる[3]。ここでは日本整形外科学会が公開している3つの病気の解説をもとに、見分けるポイントを比較する。

項目 五十肩(肩関節周囲炎) 肩腱板断裂 石灰沈着性腱板炎
発症の仕方 数週間かけて徐々に痛みが強くなる[4] 外傷によるものが半数、残りは日常動作の中で徐々に断裂が起きる[2] 前触れなく夜間に突然、激烈な痛みで発症することが多い[3]
自分で腕を挙げられるか 自動可動域(自分で動かす)も他動可動域(人に動かしてもらう)も進行性に制限される[1][4] 多くの場合、他動可動域は保たれ、自動可動域だけが力が入らず困難になる[2]。米国整形外科学会も、肩を挙げたりひねったりする際の脱力感を肩腱板断裂の代表的な症状として挙げている[5] 急性期は激痛のため自動・他動とも動かしにくくなることが多い[3]
好発年齢・性 40〜60歳代に多い[4] 40歳以上の男性に多い(男62%・女38%)、発症のピークは60歳代[2] 40〜50歳代の女性に多い[3]
夜間痛 特徴的な症状の一つ[1] みられることが多く、受診理由の第一位とされる[2] 夜間に突然生じる強い痛みが特徴[3]
診断の決め手 X線・MRIなどで他の病気を除外しつつ、自動・他動可動域の制限という臨床所見を中心に判断する[1][6] MRIで腱板部の断裂所見を確認し、挙上時の軋轢音や棘下筋萎縮の有無もあわせて調べる[2] X線で腱板部への石灰沈着を確認する[3]

見分けるカギ:日本整形外科学会は肩腱板断裂について「多くの患者さんは肩の挙上は可能です」「五十肩と違うところは、拘縮、すなわち関節の動きが固くなることが少ないことです」と述べている[2]。つまり、自分で腕を持ち上げる動きに力が入らなくても人に手伝ってもらえば挙がる場合は肩腱板断裂、人に手伝ってもらっても挙がらない場合は五十肩の可能性が高いという目安になる。ただし自己判断は難しいため、いずれの場合も整形外科でのMRIなどの画像検査による確認が推奨される。肩腱板断裂については五十肩との5つの違いから最新治療までまとめた記事で詳しく解説している。

日本整形外科学会は、肩に痛みを起こす病気として、ここで比較した五十肩・肩腱板断裂・石灰沈着性腱板炎のほかに、上腕二頭筋長頭腱炎(力こぶをつくる筋肉の腱の炎症)も挙げており、これらはX線(レントゲン)撮影・関節造影検査・MRI・超音波検査などの組み合わせで区別すると説明している[1]。自己判断だけで病名を決めず、症状が長引く場合や強い場合は画像検査を含めて整形外科で確認することが、遠回りに見えて結果的に早い解決につながる。米国整形外科学会は、X線検査は骨など密度の高い組織を映し出すのに適しており、関節症など骨に関わる異常を確認するのに役立つ一方、MRIや超音波検査は腱や関節包といった軟部組織をより詳しく描出できるとしている[4]。同学会は、MRIや超音波検査は五十肩の診断そのものに必須ではないものの、肩腱板断裂など他の軟部組織の損傷が隠れていないかを確認するのに役立つと説明しており[4]、この点は、日本整形外科学会が石灰沈着性腱板炎の解説の中で、腱板断裂の合併の診断にもMRIを用いると述べているのと共通する[3]。

経過と治療:時期別のケア

日本整形外科学会は、痛みが強い急性期には三角巾やアームスリングなどで安静を保ち、消炎鎮痛剤の内服や注射を行い、急性期を過ぎたら温熱療法(ホットパック、入浴など)や運動療法(拘縮予防や筋肉の強化)によるリハビリを行うという段階的な治療方針を示している[1]。これらの方法で改善しない場合は、関節鏡などの手術を勧めることもあるとしている[1]。この記載から、痛みの強い時期に無理なストレッチを行うことには慎重であるべきと考えられる。

米国整形外科学会は経過をより具体的に3つの時期に分けて説明している。痛みが強くなる「凍結進行期(freezing)」はおよそ6週間から9か月、続いて痛みは和らぐが硬さが残る「拘縮期(frozen)」はおよそ4か月から6か月、動きが少しずつ戻る「回復期(thawing)」はおよそ6か月から2年続くとされる[4]。治療の中心は非ステロイド性抗炎症薬・ステロイド注射・理学療法であり、糖尿病がある場合は血糖コントロールを見直すことが回復を助ける可能性があるとAAOSは述べている[4]。

NCBI BookshelfのStatPearlsは、やや異なる期間を報告しており、痛みが強い「freezing期」はおよそ2か月から9か月、こわばりが主体の「frozen期」はおよそ4か月から12か月続くとしている[6]。このように、病期ごとの具体的な期間は資料によって幅があり、国際的にも完全には統一されていない。期間はあくまで目安であり、個人差が大きいことに注意してほしい。

薬物療法・注射・リハビリ:治療の選択肢をもう少し詳しく

米国整形外科学会は、保存療法として非ステロイド性抗炎症薬(アスピリンやイブプロフェンなど)、肩関節へのステロイド注射に加え、関節内に大量の滅菌した液体を注入して関節包を広げる「ハイドロダイレーテーション」という方法も紹介している[4]。理学療法の具体例としては、戸口に立って肘を90度に曲げ、体をひねって肩の外旋を伸ばすストレッチ、仰向けに寝て健側の腕で患側の腕を頭上に持ち上げるストレッチ、患側の腕を胸の前で健側の腕を使って引き寄せるストレッチなどを挙げ、いずれも30秒ほど保持して緩めることを繰り返す方法が紹介されている[4]。ただし痛みが強い時期に無理に行うとかえって悪化する可能性があるため、担当医や理学療法士の指導のもとで行うことが望ましいと考えられる。米国整形外科学会は、糖尿病があり血糖値の指標であるHbA1c(ヘモグロビンA1c)が高い場合、かかりつけ医や糖尿病専門医と相談して糖尿病の治療計画を見直し、血糖コントロールを改善することが、実際に五十肩の回復を早める助けになりうると述べている[4]。整形外科だけでなく、糖尿病の主治医とも連携することが回復の近道になる場合があるという、見落とされがちな視点である。

保存療法で改善しない場合、米国整形外科学会は麻酔下授動術(マニピュレーション)と関節鏡視下関節包切離術の2つを主な選択肢として挙げ、多くの場合は両方を組み合わせて行われるとしている[4]。ただしNCBI BookshelfのStatPearlsは、麻酔下授動術で肩に強い力を加えることにより、まれに上腕骨骨折や二頭筋・肩甲下筋腱の断裂といった合併症が起こりうると注意を促している[6]。日本整形外科学会も、保存療法で改善しない場合に関節鏡などの手術を勧めることがあるとしている[1]が、具体的な手技の種類までは公開ページに記載されていない。五十肩の実際の治療経過をより詳しく知りたい場合は、五十肩の痛みと拘縮で眠れない方へ:原因・見分け方・治療法を徹底解説もあわせて参考にしてほしい。

受診の目安:今すぐ整形外科か、様子を見てよいか

五十肩そのものは緊急性の高い病気ではないが、似た症状を起こす病気の中には、対応が遅れると困る種類のものが含まれる。石灰沈着性腱板炎は「夜間に突然生じる激烈な肩関節の疼痛で始まる事が多い」と日本整形外科学会が説明しており[3]、数週間かけて徐々に痛みが強くなる五十肩とは発症のしかたが明らかに異なるため、急に動かせないほどの激痛が生じた場合はこの病気の可能性も考えたほうがよい。日本整形外科学会は石灰沈着性腱板炎の経過について、発症後1〜4週間で強い症状を呈する急性型、中等度の症状が1〜6か月続く亜急性型、運動時の痛みなどが6か月以上続く慢性型があるとしている[3]。急性型はX線検査で腱板部への石灰沈着を確認したうえで、針を刺して石灰を吸引する処置で早く痛みが取れることが多いとされ、五十肩とは対処のしかたが異なる[3]。肩の痛みの中には、外傷後の肩関節脱臼のように、自己判断で放置すると神経や血管を傷つける危険がある病気も含まれる。関連記事の肩関節脱臼の応急手当とリハビリガイドにもある通り、無理な自己整復はせず医療機関を受診してほしい。また、安静時にも続く強い痛みや腫れは、まれに骨の腫瘍など重大な病気のサインである場合もあるため、注意が必要である。何科を受診すればよいか迷う場合も、まずは整形外科を選べば問題ない。

なお、肩の動く範囲そのものは制限されず、筋肉のこわばりや重だるさが中心となる「肩こり」は、本稿で扱う関節の病気とは性質が異なる。セルフケアの工夫は肩こり・首こりをやわらげるヨガの記事で紹介している。

日本と米国のガイドライン比較

日本整形外科学会の一般向け解説ページと、米国整形外科学会(AAOS)のOrthoInfoを比べると、同じ五十肩について説明の詳しさや取り上げる論点に違いがある。どちらが正しいという話ではなく、日本の医療機関を受診する際にも知っておく価値がある違いとして紹介する。

項目 日本整形外科学会(JOA) 米国整形外科学会(AAOS)
病期の期間 具体的な週数・月数は示さず、急性期から回復期への経過として説明している[1] 凍結進行期6週間〜9か月、拘縮期4〜6か月、回復期6か月〜2年という具体的な期間の目安を示している[4]
糖尿病との関連 公開されている解説ページには、糖尿病との関連についての記載は見当たらない[1] 糖尿病がある人は五十肩になりやすく、血糖コントロールの見直しが回復を助ける可能性があると明記している[4]
急性期の基本方針 三角巾・アームスリングによる安静、消炎鎮痛剤の内服、注射を挙げている[1] 非ステロイド性抗炎症薬・ステロイド注射に加え、関節内に滅菌した液体を注入して関節包を広げる「ハイドロダイレーテーション」という選択肢も紹介している[4]
保存療法で改善しない場合 関節鏡などの手術を勧めることがあるとするにとどまる[1] 麻酔下授動術(マニピュレーション)と関節鏡視下関節包切離術を具体的に挙げ、術後のリハビリ期間の目安(6週間〜3か月)もあわせて示している[4]
自宅でできる運動の具体例 「運動療法(拘縮予防や筋肉の強化)」という総論的な説明にとどまる[1] 戸口を使った外旋ストレッチ、仰向けでのストレッチなど、名称と手順つきの具体的な運動例を複数示している[4]
手術・処置の合併症への言及 公開されている解説ページには、手術に伴う具体的な合併症の記載は見当たらない[1] 麻酔下授動術に伴う骨折や腱断裂のリスクについて、StatPearlsが具体的に注意を促している[6]

この比較から分かるとおり、糖尿病との関連、病期ごとの具体的な期間、自宅でできる運動の具体例、手術に伴うリスクの説明のいずれについても、米国整形外科学会やStatPearlsの資料のほうが数値や手順を詳しく示している。これは日本整形外科学会の解説が不十分という意味ではなく、一般向けページとして簡潔にまとめられているためと考えられるが、日本の整形外科を受診した際にこうした国際的な情報が診察の場で毎回共有されるとは限らないため、糖尿病がある人は自分から医師に伝えておくとよいだろう。

医療費の目安

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16

よくある質問(FAQ)

五十肩と四十肩は違う病気ですか?
「四十肩」「五十肩」は発症する年代による通称で、日本整形外科学会の解説ページでも年代によって呼び分けず、一つの病気「五十肩(肩関節周囲炎)」として説明されている[1]。医学的に別の病気として区別されているわけではないと考えられる。
五十肩は放置しても自然に治りますか?
米国整形外科学会は、五十肩は手術をしなくても時間とともに良くなることが多いが、完全な回復までに最大3年程度かかることがあるとしている[4]。StatPearlsも、適切な治療でおよそ80%が正常に近い動きを取り戻す一方、10〜20%はこわばりなどの症状が残ると報告している[6]。自然経過に任せきりにせず、一度整形外科で確認することが望ましい。
五十肩と肩腱板断裂はどう見分ければいいですか?
日本整形外科学会によれば、肩腱板断裂では多くの場合、人に動かしてもらう他動可動域は保たれ、自分で持ち上げる自動可動域だけが力が入らず困難になる[2]。人に手伝ってもらっても腕が挙がらない場合は五十肩の可能性が高いが、自己判断は難しいため整形外科でのMRIなどの確認が推奨される。なお肩腱板断裂は40歳以上の男性・右肩に多く発症のピークは60歳代とされるのに対し[2]、五十肩は40〜60歳代で女性がやや多いとされており[4]、年齢・性別の傾向にも違いがある。
石灰沈着性腱板炎と五十肩の違いは何ですか?
日本整形外科学会は、石灰沈着性腱板炎について「夜間に突然生じる激烈な肩関節の疼痛で始まる事が多い」と説明している[3]。数週間かけて徐々に痛みが強くなる五十肩とは発症の仕方が異なり、X線検査で腱板部への石灰沈着が確認できるかどうかで区別される[3]。
五十肩はどのくらいで治りますか?
米国整形外科学会は、凍結進行期6週間〜9か月・拘縮期4〜6か月・回復期6か月〜2年、完全な回復までは最大3年程度としている[4]。ただしStatPearlsはやや異なる期間(freezing期2〜9か月・frozen期4〜12か月)を報告しており、期間の目安は資料によって幅があることに注意してほしい[6]。
五十肩になりやすい人はいますか?糖尿病と関係がありますか?
米国整形外科学会は、40〜60歳代・女性・糖尿病や甲状腺の病気がある人・けがや手術後に肩を動かさない期間が続いた人は五十肩になりやすいとしている[4]。糖尿病との関連について、日本整形外科学会の公開ページには具体的な記載は見当たらない[1]。
五十肩の急性期にストレッチやマッサージをしてもいいですか?
日本整形外科学会は、痛みが強い急性期には三角巾やアームスリングなどで安静を保つことを挙げている[1]。この方針から考えると、痛みを我慢してまで強いストレッチやマッサージを行うことは避けたほうがよいと考えられる。急性期を過ぎてから温熱療法や運動療法によるリハビリに移るのが基本である[1]。
五十肩は手術が必要になることがありますか?
日本整形外科学会は、保存療法で改善しない場合に関節鏡などの手術を勧めることがあるとしている[1]。米国整形外科学会は、麻酔下授動術(マニピュレーション)や関節鏡視下関節包切離術を具体的に挙げており、多くは組み合わせて行われ、良好な結果が得られることが多いとしている[4]。
五十肩は何科を受診すればいいですか?
整形外科を受診するのが基本で、可能であれば肩関節を専門とする医師がいる医療機関が望ましい。日本整形外科学会も、圧痛の部位や動きの状態を診察したうえで、X線・関節造影検査・MRI・超音波検査などで他の病気と区別すると説明している[1]。
五十肩は再発しますか?
米国整形外科学会は、五十肩の再発は多くはないものの、糖尿病など背景となる要因が残っている場合には起こりうるとしている[4]。糖尿病がある場合は血糖コントロールを続けることが、再発予防の観点からも意味を持つと考えられる。
五十肩のストレッチは自己流でやってもいいですか?
米国整形外科学会が紹介している外旋ストレッチや仰向けでのストレッチなどは、いずれも痛みのない範囲で30秒ほど保持する方法として紹介されている[4]。ただし痛みが強い時期に自己流で無理に伸ばすと悪化する可能性があるため、まずは整形外科や理学療法士の指導を受けたうえで行うことが望ましい。
麻酔をかけて動かす治療(授動術)にリスクはありますか?
NCBI BookshelfのStatPearlsは、麻酔下授動術で肩に強い力を加えることにより、まれに上腕骨骨折や二頭筋・肩甲下筋腱の断裂といった合併症が起こりうると注意を促している[6]。手術を検討する際は、こうしたリスクについても担当医から説明を受けておくとよい。
夜間痛で眠れないのですが、様子を見ていいですか?
日本整形外科学会は、夜中にズキズキ痛み、ときに眠れないほどになることもある「夜の痛み」を五十肩の代表的な症状の一つに挙げている[1]。夜間痛は五十肩・石灰沈着性腱板炎のいずれでもみられる特徴的な症状であり[1][3]、睡眠に支障が出るほどの痛みが続く場合は、様子を見続けずに整形外科を受診し、原因を確認したうえで痛みを抑える治療を相談することが望ましい。

五十肩に関する記事一覧

関節包に炎症がなぜ起こるのか、その根本的なきっかけについては、米国整形外科学会もNCBI BookshelfのStatPearlsも、現時点では十分に解明されていないと述べている[4][6]。糖尿病がある人になぜ五十肩が起こりやすいのかについても、はっきりとした理由は分かっていません。また、病期ごとの具体的な期間は資料によって幅があり、四十肩・五十肩という年代による呼び方の違いが治療方針にどこまで影響するのかについても、確定的な結論はありません。分からないことは分からないと書くのも、本稿の役割だと考えている。

参考文献

  1. 公益社団法人 日本整形外科学会「五十肩(肩関節周囲炎)」症状・病気をしらべる joa.or.jp/public/sick/condition/frozen_shoulder.html
  2. 公益社団法人 日本整形外科学会「肩腱板断裂」症状・病気をしらべる joa.or.jp/public/sick/condition/rotator_cuff_tear.html
  3. 公益社団法人 日本整形外科学会「石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)」症状・病気をしらべる joa.or.jp/public/sick/condition/calcific_tendinitis.html
  4. American Academy of Orthopaedic Surgeons(米国整形外科学会・AAOS)OrthoInfo “Frozen Shoulder” orthoinfo.aaos.org/en/diseases–conditions/frozen-shoulder
  5. American Academy of Orthopaedic Surgeons(AAOS)OrthoInfo “Rotator Cuff Tears” orthoinfo.aaos.org/en/diseases–conditions/rotator-cuff-tears
  6. NCBI Bookshelf StatPearls “Adhesive Capsulitis (Frozen Shoulder)” ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK532955