前立腺肥大症
最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)
✦ 結論から言うと
前立腺肥大症とは、加齢とともに前立腺が大きくなり、その内側を通る尿道が圧迫されて、尿が出にくい・回数が増えるといった排尿トラブルが起こる病気です[1]。公益財団法人長寿科学振興財団の健康長寿ネットによると、70歳以上の男性の約70%に前立腺の肥大がみられ、そのうち治療が必要になるのは約4分の1とされています[1]。もっとも大切な注意点は、前立腺肥大症は良性の変化であり、前立腺がんとはまったく別の病気だということです。ただし症状が似ることがあるため自己判断は禁物で、日本泌尿器科学会の診療ガイドラインでは、血清PSA値が4ng/mL以上を精密検査の目安とし、前立腺がんとの鑑別を基本評価に組み込むよう定めています[3]。この記事では、前立腺肥大症とがんの見分け方、症状・原因、IPSSやPSAによる診断の目安、経過観察から薬物療法・手術療法までの治療の段階、ノコギリヤシなどのサプリメントに関するガイドライン上の評価、生活上の注意点、受診の目安、そして治療をしなかった場合の自然経過に関するデータまでを、日本泌尿器科学会や厚生労働省、公益財団法人長寿科学振興財団などの公的資料にもとづいて整理します。
| 原因 | 加齢に伴い前立腺が肥大し、男性ホルモンの働きが関与するとされる[1] |
|---|---|
| 主な症状 | 尿の勢いの低下・排尿困難(排尿症状)、頻尿・夜間頻尿・尿意切迫感(蓄尿症状)、残尿感(排尿後症状)に分かれる[1][3] |
| 受診の目安 | 症状が生活に影響してきたとき、また尿閉・血尿・繰り返す尿路感染などがあれば早めに泌尿器科へ相談する[2][3] |
前立腺肥大症とは?尿道が圧迫される仕組み
健康長寿ネットは前立腺肥大症について、「前立腺が大きく広がってしまうことでさまざまな機能に支障が出る病気」であり、前立腺が肥大すると尿道が狭くなって排尿が困難になると説明しています[1]。前立腺は膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲むように位置している臓器です。下部尿路症状(LUTS)は、国際禁制学会(ICS)の用語基準にもとづくと、尿をためる働きに関わる蓄尿症状、尿を出す働きに関わる排尿症状、排尿の後に残る排尿後症状に大別され、男性ではこの前立腺の存在によって、女性よりも排尿症状・排尿後症状が起こりやすいとされています[3]。加齢とともに前立腺の内側の組織が増えて体積が大きくなると、その中を通る尿道が圧迫されて細くなり、尿の勢いが弱くなったり、途中で途切れたり、出し切れずに残った感じが残ったりします。原因については、健康長寿ネットが「男性ホルモンが活発になると前立腺が肥大しやすくなる」と紹介しており、加齢に伴うホルモン環境の変化が関与していると考えられています[1]。
頻度についても、健康長寿ネットは「70歳以上で約70%の男性が前立腺肥大を示しており、そのうち治療が必要な人は約1/4です」と述べており、加齢に伴ってごくありふれた変化であることがわかります[1]。つまり、前立腺肥大症そのものは「誰にでも起こりうる加齢変化」であり、それ自体を過度に恐れる必要はありません。大切なのは、症状の程度に応じて適切に評価と対応を行うこと、そして次章で説明する「前立腺がんとの鑑別」を怠らないことです。
前立腺肥大症と前立腺がんの違い:自己判断せず鑑別を
前立腺肥大症と前立腺がんは、どちらも前立腺という同じ臓器に起こる変化ですが、まったく別の病気です。前立腺肥大症は加齢に伴う良性の変化であるのに対し、前立腺がんは前立腺の細胞が悪性化する病気です。ところが、初期の排尿症状(尿の勢いの低下、頻尿など)はよく似ているため、症状だけで両者を区別することはできません。日本泌尿器科学会の診療ガイドラインは、下部尿路症状を訴える中高齢男性に対して必ず行うべき基本評価のひとつに血清PSA(前立腺特異抗原)測定を挙げており、これは前立腺がんの診断マーカーとして有用とされています[3]。
ガイドラインでは、PSA高値(4ng/mL以上を目安)を、専門医への紹介を検討すべき「問題ある検査所見」のひとつとして明記しています[3]。ただし、PSA値は前立腺肥大症でも上昇することがあり、前立腺体積が大きくなるほどPSAも高くなる傾向があるとガイドラインは説明しています[3]。つまりPSAが高い=がんとは限らず、肥大症だけでも上昇しうるため、最終的な鑑別には専門医による評価(前立腺超音波検査や、必要に応じた精密検査)が必要になります。自己判断でノコギリヤシなどのサプリメントだけに頼り、受診を先延ばしにすることは、がんの発見が遅れるリスクにつながりかねない点に注意してください。
| 項目 | 前立腺肥大症 | 前立腺がん |
|---|---|---|
| 性質 | 良性の変化(がんではない)[1] | 悪性腫瘍 |
| 初期の自覚症状 | 尿の勢いの低下・頻尿・残尿感など[1] | 初期は無症状のことが多い |
| PSAとの関係 | 前立腺体積が大きいとPSAも上昇しうる[3] | PSA高値(4ng/mL以上目安)が精密検査の契機[3] |
| 鑑別の基本検査 | 問診・IPSS・尿流測定・残尿測定・超音波[3] | PSA測定、必要に応じた前立腺生検(確定診断) |
見分けるカギ:症状の強さや種類だけで肥大症とがんを区別することはできません。PSA値と専門医による検査による鑑別が不可欠であり、排尿トラブルを感じたら自己判断せずまず泌尿器科を受診することが、がんを見逃さないための最も確実な方法です。前立腺の役割や、がんとの関係をさらに詳しく知りたい方は「前立腺がんと前立腺肥大症の全知識」もあわせてご覧ください。
症状:排尿症状・蓄尿症状・排尿後症状
前立腺肥大症の症状は、大きく3つのグループに分けて理解すると整理しやすくなります。ひとつめは「排尿症状」で、尿の勢いが弱い(尿勢低下)、排尿に時間がかかる(排尿困難)、尿の線が途中で途切れる(尿線途絶)などです。ふたつめは「蓄尿症状」で、日中のトイレの回数が増える頻尿、夜間に何度もトイレに起きる夜間頻尿、急に強い尿意を感じる尿意切迫感などが含まれます。みっつめは「排尿後症状」で、排尿した後もすっきり出し切れていない感じが残る残尿感です[1][3]。
健康長寿ネットのケアに関する解説でも、頻尿、残尿感、夜間の頻繁なトイレ、尿失禁、尿意切迫感、尿漏れなどが症状として挙げられており、初期段階からノートや排尿日誌に記録しておき、次回受診時にかかりつけ医へ相談することが勧められています[2]。症状の感じ方には個人差があり、前立腺の大きさと自覚症状の強さが必ずしも比例しないこともわかっています。そのため「前立腺が大きいから重症」「小さいから軽症」と単純に判断せず、実際の生活への支障の程度で重症度を評価することが重要です。症状ごとの詳しい解説や最新の治療法については「前立腺肥大症の症状から最新治療法のすべて」で詳しく取り上げています。
診断の目安となる数値・基準
日本泌尿器科学会のガイドラインでは、下部尿路症状を訴える中高齢男性に対して、必ず行うべき基本評価として、症状と病歴の聴取、身体所見、尿検査、血清PSA測定を挙げています。さらに症例を選んで行う評価として、IPSS(国際前立腺症状スコア)などの質問票による症状評価、排尿記録、残尿測定、尿培養、尿細胞診、血清クレアチニン測定、前立腺超音波検査があるとされています[3]。IPSSは7つの質問(尿勢低下・頻尿・尿意切迫感・残尿感など)に0〜5点で回答し、合計点数で重症度を客観的に把握するための国際的な指標です。ガイドラインはIPSSと合わせて、現在の排尿状態が続いた場合の生活の質をたずねるQOLスコア(IPSS-QOL)も評価に用いるとしており、症状の重さだけでなく、その症状が本人にとってどれだけ煩わしいかという主観的な困窮度も治療方針の判断材料になるとしています[3]。ガイドラインは、下部尿路症状(LUTS)は国際禁制学会(ICS)の用語基準にもとづき、蓄尿症状・排尿症状・排尿後症状などに分類されるとしたうえで、LUTSの重症度は必ずしも前立腺の大きさなど客観的な所見の重症度と相関しないと述べています。つまり、症状の重さそのものが治療の必要性を判断する重要な指標であり、前立腺の見た目の大きさだけで軽症・重症を決めつけることはできません[3]。
| 検査/項目 | 目安となる基準 | 備考 |
|---|---|---|
| IPSS重症度 | 軽症0〜7点/中等症8〜19点/重症20〜35点 | 国際前立腺症状スコアによる重症度の目安[3] |
| 血清PSA値 | 4ng/mL以上を精密検査の目安 | 前立腺がんとの鑑別のための基本項目[3] |
| 残尿量 | 100mL以上を専門医紹介の目安 | 超音波検査による残尿測定が勧められる[3] |
| 前立腺体積 | 30mL以上で5α還元酵素阻害薬の併用を検討 | 薬物療法の選択に関わる目安[3] |
出典:日本泌尿器科学会「男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン」(2017年)[3]
また、ガイドラインは、次のような症状・病歴・検査所見がある場合には、他の疾患の可能性を考慮して専門医への紹介を検討すべきとしています:重度な症状や膀胱・尿道の痛み・不快感、尿閉の既往、繰り返す尿路感染症、肉眼的血尿、骨盤部の手術・放射線治療歴、神経疾患、下腹部の膨隆(尿閉を示唆)、前立腺の異常(硬結・圧痛・著明な腫大)、血尿、発熱を伴う膿尿、PSA高値(4ng/mL以上を目安)、尿細胞診陽性、残尿量が多い(100mL以上を目安)、膀胱結石、画像検査の異常、腎機能障害です[3]。これらに当てはまる場合は、経過観察で様子を見るのではなく、早めに泌尿器科専門医を受診することが勧められます。
疫学:前立腺肥大症・下部尿路症状はどのくらい多いのか
前立腺肥大症に伴う下部尿路症状は、決して珍しいものではありません。アメリカ・イギリス・スウェーデンの40歳以上の男女約3万人を対象に2007〜2008年に行われたEpiLUTS研究では、「時々」以上の下部尿路症状がある人の割合は男性で72.3%、「しばしば」以上に頻度が高い症状がある人は男性で47.9%にのぼったと報告されています。同じ調査で、IPSSが中等症(8〜19点)だった男性は24.1%、重症(20〜35点)は4.2%でした[3]。
日本国内でも、2002〜2003年に日本排尿機能学会が行った住民ベースの疫学調査があります。全国の40歳以上の男女10,096人を対象に調査票を郵送し、最終的に4,480人から回答を得て解析したもので、昼間頻尿・夜間頻尿・尿勢低下・残尿感・尿意切迫感など複数の下部尿路症状について調べています[3]。これらの調査結果から、加齢に伴って下部尿路症状を抱える男性は世界的にも国内的にも少なくなく、年齢を重ねるほど頻度も重症度も高まる傾向があることがわかります。
原因・リスク要因
前立腺肥大症の最大の原因は加齢です。健康長寿ネットは「加齢が主要な原因とされ、男性ホルモンが活発になると前立腺が肥大しやすくなる」と説明しており、年齢を重ねるとともにホルモン環境が変化し、前立腺の組織が増殖しやすくなると考えられています[1]。日本泌尿器科学会のガイドラインでも、加齢のほか、前立腺体積そのものの大きさ、PSA高値、下部尿路症状の程度、QOL(生活の質)への影響の大きさ、尿流量の低下などが、症状が進行して手術に至るリスクと関連する要因として挙げられています[3]。
具体的には、ガイドラインが引用する研究では、高齢であること、IPSSが重症であること、最大尿流量が12mL/秒未満であること、前立腺体積が30mLを超えることなどが、将来的に症状が悪化しやすい・手術が必要になりやすい因子として報告されています[3]。実際に、初診時のIPSSの重症度別に3年間の経過を追った国内の報告では、手術(経尿道的前立腺切除術:TURP)に至った割合は、軽症で0%、中等症で4%、重症で21%だったとされています[3]。つまり、症状が軽いうちから状態を把握し、必要に応じて治療を始めることが、将来の手術リスクを下げることにつながる可能性があります。
症状を悪化させうる他の薬・持病:ガイドラインは、多くの薬剤が副作用として男性の下部尿路症状を悪化させる可能性があると指摘しています。前立腺部の尿道や尿道括約筋を収縮させたり、膀胱の排尿筋を弛緩させたりする作用を持つ薬は排尿困難・尿閉の原因になり、逆の作用を持つ薬は頻尿・尿失禁の原因になるとされ、抗うつ薬、抗不整脈薬、鎮痙薬など抗コリン作用を持つ薬剤が代表例として挙げられています。国内の調査では、医療用医薬品約1,800剤のうち392剤の添付文書に排尿障害に関連する副作用の記載があったと報告されています[3]。総合感冒薬も下部尿路症状を悪化させる可能性があるとされているため、風邪薬や他科で処方された薬を服用する際は、前立腺肥大症があることを伝えておくと安心です。
また、心疾患・糖尿病・高血圧・脂質異常症・肥満といった生活習慣病、うつ、飲酒、喫煙、排便習慣の乱れ、運動不足との関連も指摘されています。特に、肥満・高血圧・高血糖・脂質異常症を特徴とするメタボリック症候群は下部尿路症状の危険因子とされ、また週3回以下の排便(便秘傾向)は夜間頻尿・残尿感・腹圧をかけて排尿する症状の危険因子、週10回を超える排便は夜間頻尿の危険因子であることが示されています[3]。適度な運動やバランスの良い食生活、禁煙といった生活習慣の見直しが、症状の発症や悪化を予防・改善できる可能性があるとされています。
治療しない場合どうなるか:自然経過のデータ
「治療せずに様子を見たら前立腺はどうなるのか」という疑問について、ガイドラインはいくつかの縦断的研究を紹介しています。前立腺肥大症患者にプラセボを投与して経過観察した研究では、2年間の観察で前立腺体積が平均8.9%、4年間で14%増大したと報告されています(観察開始時の平均前立腺体積はそれぞれ39.3mL、55mL)[3]。3,047例の前立腺肥大症患者をプラセボ群・薬物療法群などに分けて4.5年間観察したMTOPS試験でも、プラセボ投与例の前立腺増大率は、観察開始時の前立腺体積や血清PSA値が高いほど大きくなる傾向が示されています[3]。つまり、前立腺体積やPSA値がもともと大きい・高いケースほど、将来さらに前立腺が大きくなりやすいと考えられます。
症状(IPSS)についても、ある海外の追跡調査では42か月間の観察でIPSSが年間0.18点ずつ増加したとする報告があり、加齢とともに症状は緩やかに悪化していく傾向があることがわかっています[3]。もちろん個人差は大きく、症状が悪化せずに安定する人もいますが、こうしたデータは「症状が軽いうちから経過を把握しておくことの意味」を裏づけるものといえます。
国内の15年間にわたる縦断的研究では、IPSSは15年間で1.6点(年間0.11点)増加し、最大尿流量は15年間で20.6mL/秒から18.1mL/秒へと有意に減少したと報告されています[3]。前立腺肥大症患者を無治療で3年間経過観察した研究では、平均でおよそ1.5点のIPSSの増加がみられた一方、時間の経過とともに症状が自然に軽くなる人もいたとされ、一部の症例では経過観察そのものが治療法になりうることが示唆されています[3]。縦断的研究で有意な悪化がみられた症状は、尿意切迫感・尿勢低下・夜間頻尿の3つで、これは横断的な調査結果とも一致しているとされています[3]。前立腺体積やPSA値が経過中に急速に増大・上昇した人では、症状の急激な悪化が認められたとする報告もあり、定期的な評価によってこうした変化の兆候を早めに捉えることが役立つと考えられます[3]。
治療の段階:経過観察・薬物療法・手術療法
日本泌尿器科学会のガイドラインが示す診療の流れでは、前立腺肥大症が疑われる場合、まず患者本人の治療希望と治療の必要性(重い症状、大きな前立腺の腫大、合併症の有無など)を確認し、治療の希望や必要性がなければ経過観察を考慮するとされています。治療の希望・必要性がある場合は、まず行動療法や薬物療法を検討し、それでも効果が不十分な場合や患者が手術を希望する場合には、手術療法を前提とした評価を行う、という段階的な流れが基本になります[3]。原因・症状・治療・生活への影響までをまとめて確認したい方は「前立腺肥大症(BPH)の完全ガイド」も参考にしてください。
①経過観察・生活指導
症状が軽く、生活への支障が少ない場合は、すぐに薬を使うのではなく、生活習慣の見直しをしながら経過を観察することも選択肢のひとつです。ガイドラインでも、治療の希望・必要のない場合には経過観察を考慮するとされています[3]。
②薬物療法
ガイドラインは、薬物療法はα1遮断薬またはPDE5阻害薬を基本とし、前立腺の腫大が30mL以上の場合は5α還元酵素阻害薬の併用・変更を検討するとしています[3]。それぞれの薬は作用の仕組みが異なります。α1遮断薬は前立腺や尿道の平滑筋にあるα1受容体を遮断することで尿道の抵抗を下げる薬剤で、ガイドラインによれば、いずれのα1遮断薬もIPSSを4〜6点(30〜40%)、尿流測定の最大尿流量を20〜60%改善させるとされています[3]。前立腺への選択性が高いシロドシン・タムスロシン・ナフトピジルといったサブタイプが、心血管系への副作用が少ないことから広く使われているとされます[3]。5α還元酵素阻害薬(一般名:デュタステリド)は、男性ホルモンの一種であるテストステロンが前立腺内で作用の強いジヒドロテストステロンに変換されるのを妨げることで、前立腺そのものの体積を縮小させる方向に働くとされ、効果が現れるまでに数か月を要するとされています。PDE5阻害薬(一般名:タダラフィル)は、前立腺や膀胱・尿道の平滑筋を弛緩させる作用があるとされ、IPSSの改善が報告されています[3]。なお、これらの薬はいずれも一般名としての作用機序の説明であり、特定の商品名を推奨するものではありません。薬の選択や併用は、個々の症状や前立腺の大きさ、他の持病との兼ね合いによって医師が判断します。ガイドラインは、前立腺に対する選択性が高いサブタイプ選択的α1遮断薬(シロドシン・タムスロシン・ナフトピジル)のほうが、心血管系への副作用が少ないとしており[3]、他院で降圧薬などを処方されている場合は、その事実を主治医に伝えておくことが望ましいといえます。
併用療法について:ガイドラインは、前立腺体積が30mL以上の症例では、α1遮断薬と5α還元酵素阻害薬の併用療法が、それぞれの単独療法より有効とする根拠が十分にあるとして推奨しています(推奨グレードA)。代表的な研究であるCombAT試験(前立腺肥大症4,844例を対象に4年間投与)では、IPSSの減少幅は、タムスロシン単独群で3.8点、デュタステリド単独群で5.3点だったのに対し、併用群では6.3点と有意に大きく、急性尿閉や手術に至った割合も、タムスロシン単独群11.9%、デュタステリド単独群5.2%に対し、併用群では4.2%にとどまったと報告されています。ただし、前立腺体積が60mL以上の症例では、5α還元酵素阻害薬単独に対する併用療法の優越性は明確でない可能性があるともされています[3]。
PSA値を見るときの注意:5α還元酵素阻害薬(デュタステリド)を服用していると、血清PSA値がおおむね半分程度に低下することが知られています。ガイドラインは、服用中の実測PSA値のおおよそ2倍が、その患者の「真のPSA値」に近いと注意を促しています[3]。デュタステリドを服用中の方がPSA検査を受ける際は、この薬を服用している事実を必ず医師に伝えることが、前立腺がんの見逃しを防ぐうえで重要です。
③手術療法
薬物療法でも十分な改善が得られない場合や、患者が手術を希望する場合には、手術療法が検討されます。ガイドラインが挙げる手術適応には、十分な症状改善が得られないことに加え、尿閉・血尿・膀胱結石・腎機能障害・尿路感染症などの合併症がある場合が含まれます[3]。ガイドラインが推奨グレードAとして整理する代表的な術式には、経尿道的前立腺切除術(Monopolar TURP・Bipolar TURP)、経尿道的前立腺切開術(TUIP)、ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)、532nmレーザーによる前立腺蒸散術(PVP)があり、このほか経尿道的バイポーラ電極前立腺核出術やツリウムレーザー前立腺切除術なども推奨グレードBとして位置づけられています[3]。前立腺が非常に大きい場合には、開腹による被膜下前立腺腺腫核出術が選ばれることもあります。
手術に伴う性機能への影響は術式によって差があります。ガイドラインによれば、手術療法におけるED(勃起障害)の発現頻度は0〜21.4%とされ、開放手術(被膜下核出術)で11.3%、TURPで6.5〜21.4%と報告されている一方、ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)やホルミウムレーザー前立腺蒸散術(HoLAP)、KTPレーザー光選択的前立腺蒸散術(PVP)はEDに影響しないとされています[3]。射精障害(主に逆行性射精)については、開放手術で80%、TURPで65.4%、HoLEPで75〜100%と報告されており、レーザー手術のほうが必ずしも射精機能を温存できるわけではない点に注意が必要です[3]。ガイドラインは、性機能障害を心配する患者について、勃起障害を心配する場合はPDE5阻害薬が推奨され、手術療法ではHoLEPやPVP以外の方法ではEDをきたす若干の可能性があるとしています。また、射精障害を心配する場合は手術療法・α1遮断薬・5α還元酵素阻害薬・抗アンドロゲン薬を避けること、性欲低下を心配する場合は5α還元酵素阻害薬や抗アンドロゲン薬を避けることが推奨されるとしています(推奨グレードA)[3]。薬物療法における射精障害の頻度は、国内でのα1遮断薬の検討で1.6〜22.3%、勃起障害はタムスロシンで0.8〜4.4%(プラセボで0〜3.4%)と報告されています[3]。どの術式・薬剤が適しているかは、前立腺の大きさや合併症の有無、患者本人が何を最も避けたいかによって専門医が判断するため、性機能への影響が気になる場合は治療開始前に率直に相談することが大切です。
| 段階 | 主な内容 | 検討される目安 |
|---|---|---|
| 経過観察 | 生活指導をしながら定期的に評価 | 症状が軽く生活への影響が少ない[3] |
| 薬物療法 | α1遮断薬/PDE5阻害薬を基本に、前立腺30mL以上で5α還元酵素阻害薬を併用検討 | 症状があり治療を希望する[3] |
| 手術療法 | TURP、HoLEP、PVPなど | 薬物療法で不十分、または尿閉・血尿・腎機能障害などの合併症[3] |
出典:日本泌尿器科学会「男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン」(2017年)[3]
症状が改善した場合でも、漫然と治療を継続するのではなく、定期的に評価を行い、薬剤の減量や中止を含めて治療内容を見直すことが望ましいとガイドラインは述べています[3]。
植物療法・サプリメント(ノコギリヤシ等)の位置づけ
前立腺肥大症の症状に対して、ノコギリヤシなどの植物由来のサプリメントが市販されていますが、その有効性についてはガイドライン上、慎重な評価がなされています。厚生労働省が案内するeJIM(「統合医療」情報発信サイト)は、ノコギリヤシに関する複数の研究結果を紹介しており、「ハーブのノコギリヤシがBPHに伴う泌尿器系の症状にいくらかの有用性がある可能性が示唆されており、最近のエビデンスでは、その有用性はある種の薬物療法に匹敵するかもしれない」とする一方で、「ノコギリヤシは通常より多い量を摂取しても、プラセボより有用性が低いという結果が出ている」研究もあると、両方の結果を紹介しています[4]。
日本泌尿器科学会のガイドラインでも、ノコギリヤシ果実エキスに関するプラセボ対照試験の結果が紹介されており、服用量を増やしてもプラセボを上回る下部尿路症状の軽減は得られなかったとする報告があります[3]。厚労省eJIMは、イラクサ単独またはノコギリヤシとの併用、アフリカスギがBPHの一部症状を改善する可能性について「限定的なエビデンス」があるとし、リコピンについては「BPHの予防や治療に使用することを支持する十分なエビデンスはない」としています[4]。
これらを踏まえると、現時点でノコギリヤシなど植物由来サプリメントの前立腺肥大症への効果は、研究によって結果が分かれており、確立した効果とは言えない状況です。サプリメントを摂取すれば治療の代わりになる、あるいは必ず症状が改善するとは断定できません。特にサプリメントに頼って泌尿器科の受診を遅らせることは、前述の前立腺がんとの鑑別の機会を逃すリスクにもつながるため、症状がある場合はまず医療機関で評価を受けたうえで、サプリメントの利用については主治医に相談することが望ましいといえます。植物療法・サプリメントごとのエビデンスをさらに詳しく知りたい方は「前立腺肥大症の植物療法:日本の診療ガイドラインと世界の研究が示す有効性と限界」、漢方薬との使い分けは「前立腺肥大症の最新治療:泌尿器科の標準治療から漢方・ノコギリヤシまで徹底解説」も参考にしてください。
生活・セルフケアの工夫
健康長寿ネットは、前立腺肥大症のケアについて、「普段から規則正しい生活を心がけ、バランスの良い食事やストレスを溜めない生活を送るようにしましょう」と述べています[2]。具体的な工夫としては、就寝前の水分やカフェイン・アルコールの摂取を控えめにすること、症状の記録を排尿日誌としてつけ、受診時にかかりつけ医へ伝えることなどが挙げられます。健康長寿ネットも「ノートに記録しておき、次回の受診の時にかかりつけ医に相談しましょう」とし、排尿日誌の活用によって「自覚症状の変化が分かりやすくなります」と説明しています[2]。
体重管理も症状に関わる可能性が示されています。ガイドラインが引用する研究では、肥満のある2型糖尿病男性1,910例を対象に、食事・運動指導を中心とした集中的な減量指導を行った群では、体重減少とともに尿失禁が有意に改善したとする報告や、BMI30以上の肥満男性を対象に12週間の食事療法を行ったところ、体重減少幅が大きいほどIPSSの改善幅も大きかったとする報告が紹介されています[3]。また、看護師による30分以上の生活指導(症状に関する教育、過度な水分摂取の制限、アルコール・カフェイン摂取の制限、排尿・膀胱訓練、便秘の改善など)を受けた群では、受けなかった群に比べて、IPSSやQOLスコアが有意に改善し、治療がうまくいかず薬物療法や手術、急性尿閉に至る割合も低かったと報告されています[3]。こうした生活習慣の見直しは、薬物療法や手術療法の代わりになるものではありませんが、症状の管理に役立つ可能性がある取り組みとして位置づけられます。
性生活への影響について、薬物療法や手術療法にはそれぞれ射精や勃起機能に影響しうる報告があることは前章で触れたとおりです[3]。個人差が大きい領域であり、治療法の選択にあたって性機能への影響が気になる場合は、治療を始める前に担当医へ率直に相談し、術式や薬剤ごとの一般的な傾向を確認しておくことが望ましいといえます。夫婦生活への影響を最小限に抑える工夫について詳しくは「前立腺肥大症治療が夫婦生活に与える影響のすべて」で取り上げています。
診療の流れ:かかりつけ医から専門医へ
日本泌尿器科学会のガイドラインが示す診療アルゴリズムは、50歳以上で何らかの下部尿路症状(頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、尿失禁、排尿困難、膀胱痛など)を訴える中高齢男性を対象としており、若年男性や要介護高齢男性は対象外とされています。前立腺肥大症のほかにも、前立腺炎、前立腺がん、過活動膀胱、膀胱炎、膀胱がん、尿道狭窄、神経疾患など、似た症状を起こしうる病気が複数あるため、まず基本的な評価で原因を絞り込むという考え方がとられています[3]。だからこそ、自己判断で「年のせいの頻尿だろう」と決めつけず、医療機関で幅広く評価を受けることが、他の病気の見逃しを防ぐうえで大切です。
一般医(かかりつけ医)が行う基本評価には、症状と病歴の聴取、身体所見、尿検査、血清PSA測定が必ず含まれます。これに加えて、症例によっては、IPSSなどの質問票による症状・QOL評価、排尿記録、残尿測定、尿培養、尿細胞診、血清クレアチニン測定、前立腺超音波検査などが選択的に行われます[3]。この基本評価で、前述したような問題のある症状・病歴・所見(尿閉の既往、肉眼的血尿、PSA高値など)が見つかった場合は、専門的診療(泌尿器科専門医への紹介)が検討されます。問題がなければ、前立腺肥大症や過活動膀胱を想定した行動療法・薬物療法が開始され、効果が不十分であれば、あらためて専門医への紹介が検討される、という段階的な流れになります[3]。
夜間頻尿だけが目立つ症状である場合は、まず24時間の排尿記録を用いて夜間多尿の有無を確認し、飲水過多や高血圧、心不全、睡眠時無呼吸症候群など下部尿路と直接関係のない原因がないかを調べたうえで、改善しなければ夜間頻尿診療ガイドラインを参照する、あるいは専門医へ紹介するという流れが示されています[3]。このように、同じ「頻尿」という症状でも、背景にある原因によって診療の道筋が分かれる点が、この病気の診断を複雑にしている理由のひとつです。
受診の目安:今すぐ受診すべきサインと放置のリスク
健康長寿ネットは、内服治療の段階でも「肉眼的血尿、尿路感染、尿閉、膀胱結石、腎機能障害など合併症にも気を付ける必要があります」と注意を促しています[2]。特に尿閉(尿がたまっているのに自分で出せなくなる状態)は緊急性の高い症状です。長期間その状態が続くと腎臓に負担がかかり腎機能障害につながるおそれがあるため、尿道カテーテルによる一時的な処置が必要になることがあります。次のような症状がある場合は、経過観察で様子を見るのではなく、すぐに泌尿器科(時間外であれば救急外来)を受診してください。
| サイン | 考えられる状態 | 対応 |
|---|---|---|
| まったく尿が出ない、出そうとしても出せない | 尿閉(緊急)[2] | すぐに泌尿器科・救急外来を受診 |
| 尿に血が混じる | 肉眼的血尿[3] | 速やかに泌尿器科を受診 |
| 発熱を伴う排尿時の痛み、繰り返す尿路感染 | 尿路感染症・前立腺炎の疑い[3] | 早めに泌尿器科を受診 |
| 下腹部が膨らんで張っている | 尿閉を示唆する所見[3] | すぐに泌尿器科・救急外来を受診 |
日本泌尿器科学会のガイドラインでも、尿閉、再発性尿路感染症、肉眼的血尿、血尿、発熱を伴う膿尿、PSA高値、残尿量が多い(100mL以上目安)、膀胱結石、腎機能障害などは、専門的診療(専門医への紹介)を考慮すべき所見として整理されています[3]。これらの合併症は、放置すると腎機能へのダメージが進んでしまう可能性があるため、症状が軽いからと自己判断で放置せず、早めの受診を心がけることが重要です。
実際に尿閉が起きた場合、まず腎機能を守るために導尿や尿道カテーテルの留置が行われます。ガイドラインが引用する研究によれば、急性尿閉後にα1遮断薬を投与した群ではカテーテルが不要になった割合が76.7%だったのに対し、投与しなかった対照群では36.7%にとどまったと報告されています[3]。一方で、70歳以上であること、前立腺体積が50mL以上であること、尿閉時の残尿量が1,000mL以上であることは、カテーテルの離脱が難しくなる要因として挙げられており、また前立腺体積が50mL以上、尿閉時の血清PSA値が10ng/mL以上であることは、その後手術が必要になりやすい予測因子として報告されています[3]。こうしたデータからも、尿閉に至る前の段階で症状を把握し、必要な治療を早めに始めておくことの重要性がうかがえます。
なお、実際に医療機関を受診するかどうかは、症状の重さそのものだけでなく、本人がその症状をどれだけ煩わしく感じているか(困窮度)に最も左右されるという調査結果もあります。海外の調査では、IPSSの重症度、日常生活への支障度とあわせて、この困窮度が受診行動を決める最も有意な因子であったと報告されています[3]。逆にいえば、数値上は軽症であっても、本人が生活のしづらさを感じているのであれば、それは受診を検討してよい十分な理由になるということです。「数値が軽症だから我慢しなければ」と考える必要はありません。
前立腺肥大症と過活動膀胱(OAB)が併存する場合
頻尿や尿意切迫感といった蓄尿症状は、前立腺肥大症そのものだけでなく、膀胱の機能である過活動膀胱(OAB)によっても起こります。ガイドラインの診療アルゴリズムでは、下部尿路症状が前立腺肥大症を伴わないOABによると推定される場合と、前立腺肥大症が主体と推定される場合とを区別しつつ、実際には両者が合併していることも多いとされています[3]。前立腺肥大症の治療(α1遮断薬やPDE5阻害薬など)を行ってもOAB症状の改善が得られない場合、OABSS(過活動膀胱症状スコア)が6点以上であることを目安に、抗コリン薬やβ3作動薬の併用が検討されます[3]。ただし、抗コリン薬やβ3作動薬は、排尿症状を悪化させたり残尿量を増やしたりする可能性があるため、前立腺肥大症による尿道の圧迫が強い場合には慎重な判断が必要とされ、ガイドラインも専門医への紹介を勧める場合があるとしています[3]。自己判断でOAB治療薬だけを使うのではなく、まず前立腺肥大症の評価を受けたうえで、必要に応じて併用を検討することが望ましいといえます。
医療費の目安
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
よくある質問(FAQ)
前立腺肥大症は前立腺がんとどう違いますか?
ノコギリヤシのサプリメントは効きますか?
前立腺肥大症の薬は一生飲み続けなければなりませんか?
手術は必ず必要になりますか?
夜間頻尿だけでも受診したほうがよいですか?
治療は性機能にどのような影響がありますか?
前立腺肥大症は放置するとどうなりますか?
IPSSとは何ですか?どう使いますか?
70歳を過ぎたら誰でも治療が必要になりますか?
PSAが高いと言われたら、必ずがんですか?
薬物療法にはどんな種類がありますか?
市販薬や漢方だけで治療してもよいですか?
デュタステリドを飲んでいるとPSA検査の結果はどう見ればよいですか?
2種類の薬を併用したほうが効果は高いですか?
体重管理や運動は症状に効果がありますか?
便秘は前立腺肥大症の症状に関係しますか?
前立腺肥大症と過活動膀胱(OAB)は何が違いますか?
前立腺肥大症に関する記事一覧
記事一覧 6件
食事・生活 1
治療・薬 5
薬剤の効果や合併症の頻度には、年齢や前立腺の大きさ、合併症の有無など個人差が大きく関わります。また、今回参照した資料には、市販のサプリメントごとの個別銘柄に関する効果比較についての記載は見当たりませんでした。具体的な治療方針や、ご自身の症状がどの段階に当てはまるかについては、必ず泌尿器科を受診し、担当医と相談のうえで判断してください。
まとめ:前立腺肥大症と向き合うために
前立腺肥大症は、加齢に伴って多くの男性に起こりうる、ごくありふれた良性の変化です。70歳以上の男性の約70%にみられる一方で、治療が必要になるのはそのうち約4分の1とされ[1]、症状の程度に応じて経過観察・薬物療法・手術療法を段階的に選んでいく病気です[3]。もっとも重要なのは、症状が似ていることのある前立腺がんとの鑑別を怠らないことです。PSA値の測定を含む基本評価を受けたうえで、ノコギリヤシなどのサプリメントに頼りきりにせず、尿閉や血尿など緊急性の高いサインが出た場合はためらわず泌尿器科・救急外来を受診してください。数値上は軽症であっても、生活のしづらさを感じているのであれば、それだけで受診を検討する十分な理由になります。この記事で紹介した数値や治療の考え方は、あくまで一般的な目安です。ご自身の症状がどの段階に当てはまるか、どの治療が適しているかは、必ず泌尿器科の医師と相談しながら判断してください。排尿日誌をつけて受診時に持参する、他院で処方されている薬をメモしておくといった準備をしておくと、限られた診察時間の中でより的確な評価につながり、専門医への紹介が必要かどうかの判断もスムーズになります。
参考文献
- 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「前立腺肥大症」 tyojyu.or.jp/net/byouki/zenritsusenhidaishou/about.html
- 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「前立腺肥大症のケア」 tyojyu.or.jp/net/byouki/zenritsusenhidaishou/care.html
- 日本泌尿器科学会「男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン」2017年 urol.or.jp/lib/files/other/guideline/27_lower-urinary_prostatic-hyperplasia.pdf
- 厚生労働省 eJIM「前立腺肥大症に対する補完療法について知っておくべき5つのこと」 ejim.mhlw.go.jp/pro/communication/c03/39.html
