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大腸がん

最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)

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✦ 結論から言うと

大腸がんは大腸(結腸・直腸)の粘膜にできるがんで、早期は自覚症状がほとんどなく、進行すると血便・便が細くなる・貧血などが現れます[1]。国立がん研究センターの院内がん登録によると、ステージⅠ期の5年生存率は92.3%に対し、Ⅳ期は18.3%まで下がります[4]。この差を埋める最大の武器が「40歳以上・年1回の便潜血検査」です[2]。血便や便通の変化が2週間以上続く場合は、次の検診を待たずに消化器内科・大腸肛門外科を受診してください。

主な原因・リスク 加齢、喫煙、飲酒、肥満、高身長、女性は加工肉・赤肉の摂取、家族性大腸腺腫症・リンチ症候群などの遺伝性疾患、炎症性腸疾患[2]
主な症状 早期はほぼ無症状。進行すると血便・下血、貧血、便秘や下痢の繰り返し、便が細くなる、便が残る感じ、おなかが張る[1]
受診の目安 血便・便が細くなる・便通の変化・貧血・腹痛やしこりが続く場合は、自己判断せず消化器内科・胃腸科・肛門科を受診[1]
検診 40歳以上・年1回の便潜血検査(免疫法)。要精密検査なら必ず大腸内視鏡検査を[2]

大腸がん(結腸がん・直腸がん)とは?日本人に多いがんの疫学

国立がん研究センターのがん情報サービスによると、大腸は食べ物の最後の通り道で、小腸に続いて右下腹部から始まり、おなかの中を大きく回って肛門につながる、長さ1.5〜2mほどの臓器で、結腸(盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸)と直腸に分かれています[1]。国立がん研究センターは、大腸がんはこの大腸の粘膜に発生するがんで、日本人ではS状結腸と直腸にできやすく、腺腫という良性の腫瘍ががん化して発生するものと正常な粘膜から直接発生するものがあると説明しています[1]。

国立がん研究センターによると、進行すると大腸の壁の外まで広がって膀胱や子宮、前立腺、腟といった隣接する臓器に入り込んだり、腹腔内に散らばったり(腹膜播種)し、リンパ液や血液の流れに乗って肝臓・肺などに転移することもあります[1]。国立がん研究センターの解説では、大腸がんの多くは腺がんで、乳頭腺がん、管状腺がん、低分化腺がん、粘液がん、印環細胞がん、髄様がんなどに分類されるとしています[1]。

大腸がんは早期発見なら生存率が大きく変わる代表的ながんです。国立がん研究センターの統計と院内がん登録データをもとにJHO編集部が作図しました[3][4]。

国立がん研究センターのがん統計によると、2023年に全国で新たに大腸がんと診断された人は154,039例(男性85,208例、女性68,830例)で、部位別のがん罹患数(2023年)では男女計で1位、男性では前立腺に次ぐ2位、女性では乳房に次ぐ2位を占めています[3]。2024年の大腸がんによる死亡数は54,416人(男性28,826人、女性25,590人)で、男女計の死亡数順位では肺に次ぐ2位ですが、女性に限ると大腸がんが死亡数1位のがんです[3]。人口10万人あたりの罹患率は123.9例、死亡率は45.2人と報告されています[3]。

出典:国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)について」[1]、がん統計「大腸」[3]

症状・危険なサイン:早期は無症状、進行すると血便や便が細くなるなどが出る

国立がん研究センターによると、大腸がんは早期の段階では自覚症状はほとんどなく、進行すると便に血が混じる(血便や下血)、便の表面に血液が付着するなどの症状が現れるとされています[1]。国立がん研究センターは、慢性的な出血による貧血の症状(めまいなど)や、腸が狭くなることによる便秘・下痢、便が細くなる、便が残る感じがする、おなかが張るなどの症状が現れることもあり、さらに進行すると腸閉塞となって便が出なくなり腹痛や嘔吐などの症状が起こると説明しています[1]。国立がん研究センターによれば、なかでも頻度が高いのは便に血が混じる・血が付着するなどの症状で、これらは痔などの良性の病気でも起こるため、自己判断せず早めに消化器科、胃腸科、肛門科などの身近な医療機関を受診するよう呼びかけています[1]。

🔴 すぐに医療機関を受診すべきサイン

次のいずれかが続く場合は、次の検診を待たずに消化器内科・大腸肛門外科を受診してください。国立がん研究センターも「気になる症状が続く場合は、次のがん検診を待たずに医療機関を受診してください」と明示しています[2]。

  • 血便が出る、または便に血が付着する
  • 便が細くなる、便が残る感じがする
  • 下痢と便秘を繰り返す、便通の変化が続く
  • 貧血(めまい、立ちくらみなど)
  • 腹痛やおなかのしこり

国立がん研究センターの解説では、大腸がんの進行度によって現れやすい症状は異なり、早期がん(がんの深さが粘膜下層までにとどまるもの)は無症状のことが多く、症状で見つかったときにはすでに進行がん(粘膜下層より深いもの)であることも少なくないとされています[5]。だからこそ、厚生労働省の指針に基づく症状が出る前に見つける便潜血検査による検診が重要になります[2]。

国立がん研究センターによると、大腸がんと症状が似ている病気に炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)があり、潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる疾患で主な症状は下痢と腹痛、血便をともなうこともあるとされています[1]。国立がん研究センターは、クローン病は小腸と大腸を好発部位とし主に若年者にみられ腹痛や下痢、血便、体重減少などの症状が出ること、また炎症性腸疾患がある人は大腸の粘膜の慢性的な炎症を原因とする大腸がんになる可能性が高くなることを説明しています[1]。

見分けるカギ:痔による出血は排便時に鮮血がトイレットペーパーや便の表面に付着することが多いのに対し、大腸がんの出血は便に暗赤色の血が混じったり貧血症状を伴ったりすることがあるとされ、国立がん研究センターは自己判断せず血便に気付いたら医療機関での検査を受けるよう呼びかけています[1]。

出典:国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)について」[1]「予防・検診」[2]

原因・リスク要因:生活習慣と遺伝、両方に関わる

国立がん研究センターの予防・検診情報によると、大腸がんの発生は生活習慣と関わりがあるとされ、喫煙、飲酒、肥満、高身長により大腸がんが発生する危険性が高まり、女性では加工肉や赤肉の摂取により危険性が高くなる可能性があるといわれています[2]。国立がん研究センターは、そのほか炎症性腸疾患があると大腸がんが発生する危険性が高くなること、また大腸がんの発生には家族の病歴との関わりもあり、特に家族性大腸腺腫症(FAP)やリンチ症候群の家系では近親者に大腸がんの発生が多くみられることを示しています[2]。

大腸がんの主なリスク要因
分類 リスク要因 備考
生活習慣 喫煙・飲酒・肥満・高身長 大腸がんが発生する危険性が高まる[2]
食事(女性) 加工肉・赤身肉の摂取 発生の危険性が高くなる可能性[2]
持病 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病) 慢性炎症を背景に発生の危険性が上昇[1]
遺伝性疾患 家族性大腸腺腫症(FAP) 近親者に大腸がんの発生が多い[2]
遺伝性疾患 リンチ症候群 近親者に大腸がんの発生が多い[2]
予防要因 運動、食物繊維・カルシウム摂取 運動は予防にほぼ確実に効果的、食物繊維・カルシウムも効果的な可能性[2]

出典:国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)予防・検診」[2]

国立がん研究センターは、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群など遺伝性が疑われる場合は、一般的な検診だけでなく遺伝性腫瘍に詳しい専門外来(遺伝カウンセリング)への相談を勧めています[1]。近親者に大腸がんや若くして診断されたがんの家族歴がある場合は、通常より早い年齢からの検査や、より頻繁な大腸内視鏡検査が検討されることがあるため、まずは担当医やがん相談支援センターに相談してください。

検診・検査:40歳から年1回の便潜血検査が基本

国立がん研究センターは、がん検診の目的はがんを早期発見し適切な治療を行うことでがんによる死亡を減少させることだとし、日本では厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和6年一部改正)」でがん検診の方法が定められていると説明しています[2]。厚生労働省の指針によれば、大腸がんのがん検診の対象者は男女ともに40歳以上の人で検診の間隔は1年に1回であり、ほとんどの市区町村ではがん検診の費用の多くを公費で負担しています[2]。

国立がん研究センターによると、大腸がん検診の内容は問診と便潜血検査で、便潜血検査では大腸がんやポリープなどによる出血が便に混じっていないかを調べ、通常は便潜血は微量で目には見えないため2日分の便を採取します[2]。国立がん研究センターは、検査の結果が「要精密検査」となった場合は必ず精密検査(通常は大腸内視鏡検査)を受けるよう呼びかけています[2]。厚生労働省の集計では、大腸がん検診で要精密検査と判定された人のうち実際にがんが見つかる割合は約3.02%(要精検者約33人に1人)と報告されています[9]。

国立がん研究センターは、がんは1回の検診で見つからないこともあるため毎年定期的に受診すること、また検診と検診の間に発生して急速に進行するがんもわずかにあるため、便に血が混じる、腹痛、便の性状や回数の変化など気になる症状が続く場合は次のがん検診を待たずに医療機関を受診するよう案内しています[2]。

精密検査でわかること

国立がん研究センターによると、大腸がんが疑われた場合にはまず直腸指診や注腸造影検査、大腸内視鏡検査を行いがんかどうかを確定し、検査を行う順番は症状によって異なるとされています[6]。大腸内視鏡検査の流れや当日の準備、費用の目安については、大腸内視鏡検査の完全ガイド:がん予防の重要性から費用、準備、最新治療までで詳しく解説しています。

大腸がんの主な検査
検査 内容 備考
直腸指診 医師が指を肛門から挿し込み、直腸内のしこりや異常の有無を調べる 基本の診察[6]
大腸内視鏡検査・生検 内視鏡で直腸から盲腸までを詳しく調べ、病変があれば組織を採取して病理診断 確定診断に必須[6]
注腸造影検査 バリウムと空気を注入しX線撮影。位置・大きさ・腸の狭さがわかる [6]
CT・MRI・腹部超音波 周りの臓器への広がりや転移の有無を調べ、治療方針を決める 治療前評価[6]
PET検査 他の検査で転移・再発の診断が確定できない場合に実施 [6]
がん遺伝子検査 KRAS・BRAF・HER2遺伝子やMSI/MMR-IHCを調べ、薬物療法の選択に活用 保険診療で実施[6]
腫瘍マーカー(CEA・CA19-9) 診断の補助や経過観察、治療効果判定に使用。単独では診断できない [6]

出典:国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)検査」[6]

診断・ステージ分類と5年生存率:早期と進行期で大きく変わる

大腸癌研究会のガイドラインに基づく国立がん研究センターの解説では、がんの進行の程度は「ステージ(病期)」として分類し、0期(ステージ0)、Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期・Ⅳ期と進むにつれてより進行したがんであることを示し、ステージはTカテゴリー(原発巣の深達度)、Nカテゴリー(領域リンパ節への転移の有無)、Mカテゴリー(遠隔転移の有無)の組み合わせで決まるとされています[5]。国立がん研究センターの解説では、がんの深さが粘膜下層までにとどまるものを「早期がん」、粘膜下層より深いものを「進行がん」と呼んでいます[5]。

国立がん研究センターによると、大腸がんの深達度は大文字の「T」に数字とアルファベットの小文字をつけてTis〜T4bまでの段階で表示し、数字が大きくなるほどがんが大腸の壁の深くまで広がっていることを示すとされています[5]。国立がん研究センターの解説では、この深達度(T)にリンパ節転移の有無(N)、遠隔転移の有無(M)を組み合わせて最終的なステージが決まる仕組みだとしています[5]。

国立がん研究センターの院内がん登録によると、大腸がんと診断された人の年齢は男女ともに70歳代が最も多く、診断時のUICC TNM分類総合ステージ別の内訳はⅠ期・Ⅱ期・Ⅲ期がそれぞれ全体の26%前後、Ⅳ期が19.1%を占めています[4]。院内がん登録では、がんが見つかったきっかけ(発見経緯)として他の病気の経過観察中に見つかったケースが24.3%と最も多く、次いでがん検診が10.3%、健康診断・人間ドックが8.3%となっていることも示されています[4]。国立がん研究センターの指針が示すとおり、これは裏を返せば症状もなく他の検査の機会もなければ見過ごされやすいということでもあり、40歳を過ぎたら意識的にがん検診(便潜血検査)を受ける意味がここにあります[2]。

大腸がんのステージ別5年生存率(ネット・サバイバル)
ステージ 5年生存率 目安となる状態
Ⅰ期 92.3% がんが大腸の壁にとどまる早期の段階[4]
Ⅱ期 85.5% 大腸の壁の外まで広がるが、リンパ節転移なし[4]
Ⅲ期 75.5% 領域リンパ節に転移がある[4]
Ⅳ期 18.3% 肝臓・肺など遠隔臓器に転移がある[4]

出典:国立がん研究センター がん対策研究所がん登録センター「院内がん登録2014-2015年5年生存率集計」(令和5年3月公表、大腸がん・UICC TNM分類総合ステージ別ネット・サバイバル、男女計)[4]。この生存率は2014〜2015年に診断された症例のデータであり、その後の治療の進歩によって、これから治療を受ける人の実際の見通しとは異なる可能性があります[4]。

参考として、国立がん研究センターのがん統計では、2009〜2011年に診断された大腸がん全体の5年相対生存率は71.4%(男性72.4%、女性70.1%)と報告されています[3]。国立がん研究センターによれば、ステージ別の数値(ネット・サバイバル)と全体の数値(相対生存率)は算出方法や対象期間が異なるため単純比較はできませんが、いずれも「早期発見ほど生存率が高い」という傾向は共通しています[3][4]。

この数値については、今回参照した資料には0期の5年生存率、およびサバイバー生存率(診断から一定年数後まで生存した人のその後の生存率)の大腸がん個別データは記載が見当たりませんでした[4]。

治療:内視鏡治療・手術・薬物療法をステージに応じて選ぶ

大腸癌研究会のガイドラインに基づく国立がん研究センターの解説によると、大腸がんの治療には内視鏡治療、手術(外科治療)、薬物療法、免疫療法、放射線治療などがあり、診断されたときからがんに伴う心と体のつらさを和らげるための緩和ケア/支持療法を受けることもできるとされています[5]。国立がん研究センターの解説では、治療はがんの進行の程度(ステージ)やがんの性質(遺伝子変異など)、体の状態などを総合的に検討し、担当医と話し合って決めていくものだとしています[5]。

ステージ別の標準治療の目安
ステージ 標準治療の考え方
0期〜Ⅲ期 まず切除できるかを判断し、切除できる場合は内視鏡治療または手術(外科治療)を行う。Ⅲ期もしくは再発リスクが高いⅡ期では、手術後に薬物療法(補助化学療法)を行うことがある[5]
Ⅳ期 遠隔転移巣・原発巣ともに切除可能なら原発巣を切除し転移巣の切除を検討。切除できない場合は薬物療法・放射線治療などが中心。薬物療法でがんが小さくなり切除可能となることもある[5]

出典:大腸癌研究会編「大腸癌治療ガイドライン 医師用 2024年版」に基づく国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)治療」[5]

内視鏡治療

国立がん研究センターによると、内視鏡治療は内視鏡を使って大腸の内側からがんを切除する方法で、適応はがんがリンパ節に転移している可能性がほとんどなく技術的に一度で完全に切除できる大きさと部位にある場合、がんの深さでいうと粘膜下層への広がりが軽度(1mmまで)にとどまっているがんだとされています[5]。国立がん研究センターは、ポリペクトミー、EMR(内視鏡的粘膜切除術)、ESD(内視鏡的粘膜下層剝離術)などの方法があり、病変の大きさや部位、肉眼型などによって選択されると説明しています[5]。

手術(外科治療)

国立がん研究センターの解説によると、内視鏡治療によるがんの切除が難しい場合は手術を行い、がんの部分だけでなくがんが広がっている可能性のある腸管とリンパ節も切除し、つなぎ合わせることができない場合は人工肛門(ストーマ)をおなかに造るとされています[5]。国立がん研究センターの解説では、直腸がんでは直腸局所切除術、直腸前方切除術、直腸切断術、括約筋間直腸切除術(ISR)などから、がんの部位や進行状況に応じて選択されること、また腹腔鏡下手術やロボット支援下手術は開腹手術に比べて創が小さく回復が早い長所がある一方、手術時間がかかる傾向があることが示されています[5]。腸管を切除する範囲や術式の選び方、大腸切除術そのものの適応や費用の目安については、大腸切除術のすべて:適応、種類、費用から術後生活までの完全ガイドで詳しく解説しています。

術後合併症

国立がん研究センターによると、手術後には縫合不全(腸管をつなぎ合わせたつなぎ目から内容物が漏れること)、創感染、腸閉塞などが起こることがあり、直腸がんのように肛門に近いところで腸管をつなぐ場合はほかの場所に比べて縫合不全が起こりやすくなるとされています[5]。国立がん研究センターは、感染や炎症が軽い場合は食事制限や点滴治療で治ることもあるが腹膜炎の症状がある場合は再手術が必要になることもあること、より長期的な影響として排尿や排便の障害、性機能への影響などがみられることがあることを説明しています[5]。

薬物療法・免疫療法・放射線治療

国立がん研究センターによると、薬物療法には手術後の再発を防ぐ「補助化学療法」と、手術でがんを取り切ることが難しい場合に症状を緩和する目的で行う「切除不能進行・再発大腸がんに対する薬物療法」があり、使う薬は細胞障害性抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬に大きく分けられるとされています[5]。国立がん研究センターは、2025年3月現在、大腸がんの治療に効果が証明されている免疫療法はMSI-High/dMMR、または腫瘍遺伝子変異量高スコア(TMB-High)の場合に免疫チェックポイント阻害薬を使用する方法のみで、それ以外の免疫療法で効果が証明されたものはないとしています[5]。放射線治療については、直腸がんの骨盤内再発を抑える「補助放射線治療」と、痛みなどの症状を和らげる「緩和的放射線治療」があると説明されています[5]。

⚠ 国立がん研究センターは、薬物療法によって生存期間の延長やQOL向上が報告されている一方、がんを完全に治すことを保証するものではなく、効果や副作用には個人差があるため、どの治療を選ぶかは担当医とよく相談して決めることが大切だとしています[5]。

国立がん研究センターによると、切除不能進行・再発大腸がんに対する薬物療法には複数のレジメン(薬剤の用量・用法・治療期間を明記した治療計画)があり、まず一次治療から開始し効果が低下したり副作用が強く治療を続けることが難しくなったりした場合には二次、三次と順に異なるレジメンに切り替えていくとされています[5]。国立がん研究センターは、細胞障害性抗がん薬はがん細胞だけでなく正常な細胞にも影響するため、だるさ、吐き気・嘔吐、食欲不振、便秘、下痢、口内炎、しびれ(末梢神経障害)、手足症候群などの副作用や、白血球・血小板の減少、貧血、肝機能や腎機能の悪化など検査でわかる副作用があり、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬は薬ごとに異なる副作用が現れると説明しています[5]。国立がん研究センターは、副作用の種類や程度によっては治療の継続が難しくなることもあるため、どんな副作用がいつ起こりやすいか、どう対応すべきかを治療開始前に担当医によく確認しておくよう勧めています[5]。

結腸がんと直腸がんで治療は何が違うのか

国立がん研究センターによると、大腸がんは大腸のどこにできるかによって「結腸がん」と「直腸がん」に分けられますが、治療の基本的な考え方(ステージに応じて内視鏡治療・手術・薬物療法を選ぶ)は共通しているとされています[5]。国立がん研究センターの解説では、結腸がんの手術ではがんの周囲のリンパ節を同時に切除するため、がんのある部位から口側・肛門側にそれぞれ10cmほどの距離をとって腸管を切除し、部位ごとに回盲部切除術、結腸右半切除術、横行結腸切除術、結腸左半切除術、S状結腸切除術などが選ばれるとしています[5]。

一方、国立がん研究センターは、直腸は骨盤内の深く狭いところにあり周りに前立腺、膀胱、子宮、卵巣があるため、直腸局所切除術、直腸前方切除術、直腸切断術、括約筋間直腸切除術(ISR)など部位ごとに選択肢が細かく分かれ、がんが肛門に近い場合は肛門も切除して永久人工肛門を造る場合があると説明しています[5]。国立がん研究センターによれば、直腸の周囲には排尿機能や性機能を調節する自律神経があるため、がんが自律神経の近くに及んでいなければ手術後の機能障害が最小限ですむように自律神経を残す手術(自律神経温存術)が行われ、放射線治療も直腸がんの骨盤内再発を抑える目的で手術前後に行われることがある一方、結腸がんでは通常用いられないとされています[5]。直腸がんの詳しい症状・生存率・治療については、直腸がん 徹底解説:科学的根拠に基づく予防戦略と早期発見の完全ガイドもご覧ください。

医療費の目安

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16

大腸がんの治療は保険診療の対象で、自己負担は通常3割(年齢や所得により1〜2割の場合もあります)。手術や薬物療法が高額になる場合は、上の高額療養費制度により自己負担の上限が定められています。詳しい手続きは、入院先の医療機関の相談窓口やがん相談支援センターに確認してください。

経過観察・治療後の生活:通院の頻度とストーマ助成制度

国立がん研究センターによると、治療後は定期的に通院して検査を受け、頻度はがんのステージや治療法によって異なり、内視鏡治療を行ったあとは主に大腸内視鏡を用いた定期検査を受けるとされています[10]。国立がん研究センターの解説では、手術を行ったあとは治療後3年目までは3カ月ごとの血液検査や6カ月ごとの画像検査(CT検査)を受け大腸内視鏡検査も定期的に行い、治療後4年目以降は6カ月ごとに血液検査と画像検査を受け、画像検査の間隔は切除した大腸がんのステージによって6〜12カ月ごとに異なり、定期検査が必要な期間の目安は5年間だとされています[10]。

内視鏡治療・手術後の日常生活

国立がん研究センターによると、内視鏡治療は大腸の機能を大きく損なうことがないため治療後は1週間程度で治療前と同じような生活を送れるようになり、手術後もほとんどの場合は治療前と同じような生活を送れるようになりますが、回復にかかる時間は年齢や体力、手術の方法などにより異なるとされています[10]。

国立がん研究センターは、手術の影響により排尿を調節している自律神経が影響を受け、尿意を感じない、排尿してもすっきりしないなどの症状が出ることがあり、時間の経過や薬で改善することが多いものの、症状が重い場合や続く場合は担当医に相談し必要に応じて泌尿器科を受診するよう案内しています[10]。排便については、国立がん研究センターによると、腸を切除した影響や癒着により下痢や便秘、おなかの張りが起こることがあり、直腸がんの手術後には1日に何度も便意を感じることがあるものの、多くの場合は時間の経過とともに少しずつ改善するとされ、排便や排ガスが全くない場合は腸閉塞の前触れの可能性があるためすぐに担当医に相談するよう呼びかけられています[10]。国立がん研究センターは、手術後の食事について退院後は制限がないのが通常だが、食物繊維の多い食品(海藻類、煮くずれしにくい野菜など)や消化しにくいもの(揚げ物など)は手術後しばらく控えることが勧められ、大腸を切除しても栄養吸収への影響や体重減少はほとんどないと説明しています[10]。国立がん研究センターによれば、手術後1〜3カ月程度はウォーキングなど軽い運動から始めて少しずつ体を動かし、腹筋を使う激しい運動は数カ月間控えることが勧められています[10]。

💰 知っておきたい制度:永久人工肛門(ストーマ)と身体障害者手帳

国立がん研究センターによると、永久的な人工肛門(ストーマ)を造設した場合には身体障害者の認定の対象となり、認定されると身体障害者手帳が交付されストーマ装具費用の給付や公共交通機関の割引、税金の減免などの助成が受けられ、条件により障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)を受給できる場合もあるとされています[10]。申請できる条件や手続き方法は、お住まいの市区町村の福祉関係の窓口やがん相談支援センター、ソーシャルワーカーに確認してください。

国立がん研究センターによると、薬物療法中は近年は通院で行うことが増えており自宅での生活を続けながら治療を受けられるとされ、予想される副作用やその時期、対処法については事前に医師や薬剤師、看護師からよく説明を聞いておくことが大切だとされています[10]。国立がん研究センターは、性生活についてがんの進行に悪影響を与えることはないが骨盤内の手術は性機能に関係する神経に影響することがあり、薬物療法中やそのあとは腟分泌物や精液に薬の成分が含まれることがあるため、パートナーへの配慮としてコンドームの使用や治療中・治療後一定期間の避妊が勧められると説明しています[10]。

出典:国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)療養」[10]

日本と米国のガイドライン比較:検診開始年齢が違う

大腸がん検診は国によって推奨される開始年齢が異なります。厚生労働省の指針では40歳以上・年1回の便潜血検査が対象ですが[2]、米国予防医療専門委員会(USPSTF)は2021年の勧告で、平均的リスクの成人に対する検診対象年齢を45歳からに拡大しています(以前は50歳から)[7]。

大腸がん検診:日本と米国のガイドライン比較
項目 日本(厚生労働省の指針) 米国(USPSTF、2021年)
検診対象年齢 40歳以上[2] 45〜75歳(推奨度A・B)、76〜85歳は個別に判断(推奨度C)[7]
基本の検査 問診+便潜血検査(免疫法)、年1回[2] 便潜血検査、大腸内視鏡検査(10年ごと)など複数の検査法から選択[7]
要精検時の対応 大腸内視鏡検査などの精密検査を必ず受診[2] 異常所見があれば大腸内視鏡検査等でのフォローアップを推奨[7]

日本と米国で数値が違って見えますが、これは「どちらが正しいか」ではなく、対象人口の年齢別罹患動向や医療体制の違いを反映したものです。USPSTFによると、45〜49歳の若年層でも大腸がんの罹患率が上昇していることを踏まえて対象年齢を拡大したとされています[7]。厚生労働省の指針では日本国内の検診は40歳以上・年1回で運用することとされているため[2]、まずはお住まいの自治体の案内に従って受診することが基本です。

この点について、今回参照した資料には、日本国内で検診開始年齢を米国のように引き下げるべきかどうかの学会としての結論は記載が見当たりませんでした。なお、USPSTFが対象年齢を引き下げた背景には、40〜49歳の若年層で大腸がんの罹患率が上昇しているという米国内のデータがあります[7]。日本でも生活習慣の欧米化などを背景に、若い世代の大腸がんが話題になることがありますが、この点についての厚生労働省・国立がん研究センターとしての公式な年齢引き下げの方針は、今回参照した資料の範囲では確認できませんでした。気になる症状がある場合は、年齢にかかわらず検診を待たずに医療機関を受診することが優先されます[2]。

予防・受診の目安:40歳を過ぎたら検診を、遺伝性が疑われるときは専門受診を

国立がん研究センターによると、日本人を対象とした研究では、がん全般の予防には禁煙すること、飲酒を控えること、バランスのよい食事をとること、活発に体を動かすこと、適正な体形を維持すること、感染を予防することが有効であることが分かっているとされています[2]。国立がん研究センターは、運動は大腸がんの予防に効果的であることがほぼ確実であるといわれ、食物繊維やカルシウムの摂取も予防に効果的である可能性があると説明しています[2]。

大腸がん予防のために日常的にできること
項目 内容
禁煙 喫煙は大腸がんの発生する危険性を高めるとされる[2]
節酒 飲酒は大腸がんの発生する危険性を高めるとされる[2]
運動 大腸がんの予防に効果的であることがほぼ確実[2]
体形管理 肥満・高身長は発生の危険性を高めるとされ、適正体重の維持が勧められる[2]
食事 食物繊維・カルシウムの摂取は予防に効果的な可能性。女性は加工肉・赤身肉の摂取に注意[2]

出典:国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)予防・検診」[2]

IF-THEN(もし〜なら)の受診判断

  • 血便・便が細い・便通の変化・貧血のいずれかが続く → 次の検診を待たずに消化器内科・大腸肛門外科を受診[2]
  • 40歳以上で今年まだ大腸がん検診(便潜血検査)を受けていない → 自治体のがん検診案内を確認し、年1回受診[2]
  • 便潜血検査で「要精密検査」と判定された → 自覚症状がなくても必ず大腸内視鏡検査を受ける[2]
  • 近親者に大腸がん、または家族性大腸腺腫症・リンチ症候群の診断歴がある → 一般の検診だけでなく、遺伝性腫瘍の専門外来に相談[1]

国立がん研究センターによると、家族性大腸腺腫症(FAP)やリンチ症候群などの遺伝性疾患の家系では、近親者に大腸がんの発生が多くみられるとされています[2]。これらが疑われる場合は、通常の検診間隔よりも早い年齢から、より頻繁な大腸内視鏡検査が必要になることがあるため、自己判断せず、遺伝カウンセリングを行っている医療機関やがん相談支援センターに相談してください。

遺伝性大腸がんが疑われるとき

国立がん研究センターの解説によると、大腸がん全体のうち遺伝性のものは一部ですが、家族性大腸腺腫症(FAP)は大腸に多数のポリープ(腺腫)ができる病気で放置すると高い確率で大腸がんに進行するとされ、家系内で若い年齢から大腸がんが多発する特徴があります[1]。国立がん研究センターの解説では、リンチ症候群は遺伝子の傷を修復する機能(ミスマッチ修復機能)に生まれつき異常がある遺伝性疾患で、大腸がんだけでなく子宮体がんなど他のがんも家系内で多くみられる場合があるとされています[1]。次のような場合は、通常の検診だけに頼らず、遺伝性腫瘍に詳しい専門外来への相談が勧められます。

  • 近親者(親・きょうだい・子)に大腸がんと診断された人が複数いる
  • 近親者が50歳未満など若い年齢で大腸がんと診断されている
  • 大腸に多数のポリープ(腺腫)がみつかっている
  • 近親者に子宮体がんなど大腸がん以外のがんも多くみられる家系である

これらに当てはまるかどうかの判断や、遺伝子検査を受けるかどうかは自己判断せず、まずは担当医やがん相談支援センターに相談し、必要に応じて遺伝カウンセリングを行っている医療機関を紹介してもらいましょう[1]。

大腸がんの治療について、100%の確実さで治癒や再発防止を保証するものはありません。ステージⅠ期の5年生存率が92.3%と高いのは事実ですが[4]、これは過去に診断された人たちのデータであり、一人ひとりの経過は年齢や併存疾患、治療への反応によって異なります[4]。不安な点は自己判断せず、担当医やがん相談支援センターに確認してください。

よくある質問(FAQ)

大腸がん検診は何歳から、どのくらいの頻度で受ければいいですか?
厚生労働省の指針に基づき、対象は男女とも40歳以上で、検診の間隔は1年に1回です。内容は問診と便潜血検査(免疫法)で、多くの市区町村で費用の一部を公費で負担しています[2]。
血便が出たら、それは大腸がんということですか?
血便は痔などの良性の病気でも起こる、頻度の高い症状です。ただし、大腸がんでも便に血が混じる・血が付着するといった症状が最も多くみられるため、自己判断で「痔だろう」と決めつけず、消化器科・胃腸科・肛門科などの医療機関を受診して確認することが大切です[1]。
大腸がんの生存率はどのくらいですか?
国立がん研究センターの院内がん登録(2014〜2015年診断例)によると、ステージⅠ期の5年生存率は92.3%、Ⅱ期は85.5%、Ⅲ期は75.5%、Ⅳ期は18.3%です。早期発見ほど生存率が高くなります[4]。
大腸がんは遺伝しますか?
多くの大腸がんは生活習慣などが関わりますが、一部は家族性大腸腺腫症(FAP)やリンチ症候群といった遺伝性疾患が背景にあり、これらの家系では近親者に大腸がんの発生が多くみられます。家族歴が気になる場合は、遺伝カウンセリングを行う医療機関に相談してください[2]。
大腸ポリープが見つかったら、必ずがんになりますか?
大腸がんには、腺腫という良性のポリープががん化して発生するタイプと、正常な粘膜から直接発生するタイプがあります。ポリープがすべてがん化するわけではありませんが、内視鏡検査で見つかった病変は組織を採取して病理診断(生検)を行い、必要に応じて内視鏡的に切除することでがん化を防ぐことにつながります[1][6]。ポリープの種類やがん化のリスク、切除の判断基準については、直腸ポリープのすべて:原因、がん化リスク、最新治療法を専門家が徹底解説もあわせてご確認ください。
大腸がんの手術後、下痢や便秘になりやすいと聞きました。どう対処すればいいですか?
手術による腸の切除や癒着の影響で、排便が不規則になり下痢や便秘、おなかの張りが起こることがありますが、多くの場合は手術から1〜2カ月で次第に改善します。下痢が続くときは水分をこまめにとり、食物繊維の多い食品やカフェイン・アルコールを控えます。便秘や腹部膨満感、嘔吐などが重なる場合は腸閉塞の可能性があるため、すぐに担当医や看護師に連絡してください[8]。
人工肛門(ストーマ)になったら生活はどう変わりますか?
人工肛門は一時的なものと生涯使用するものがあります。ストーマ袋には防臭加工がされているため、通常の生活でにおいが気になることはほとんどなく、仕事や旅行、入浴、軽い運動も可能です。ストーマには痛みを伝える神経がないため、排泄時や触れた際に痛みを感じることもありません。管理方法は看護師と練習しながら身につけていきます[5][8]。
転移していると言われました。もう治療の選択肢はありませんか?
遠隔転移(Ⅳ期)でも、転移巣と原発巣がともに切除可能であれば手術を検討します。切除が難しい場合も、薬物療法・放射線治療などで症状を抑えたり、薬物療法でがんが小さくなり後から切除可能になったりすることがあります。転移しやすい部位は肝臓、肺、腹膜、卵巣、骨、脳などで、部位に応じた治療法が用意されています。肝転移・肺転移では、切除可能なら手術を、切除できなくても薬物療法の効果で切除可能となる場合があります。骨転移は主に薬物療法で、脳転移には手術と放射線治療があります[5]。Ⅳ期だからといって治療の選択肢がなくなるわけではなく、担当医と状況を確認しながら方針を決めていくことが大切です。
大腸がんが進行すると、どんな症状が出ますか?
がんが大きくなって腸が狭くなると、便秘や下痢、便が細くなる、便が残る感じ、おなかの張りなどが出ることがあります。さらに進行すると腸閉塞(便が出なくなる状態)となり、腹痛や嘔吐などの症状が起こります。慢性的な出血が続くと貧血によるめまいなどが現れることもあります。おなかが張って便やガスが全く出ない場合は腸閉塞の可能性があるため、早めに医療機関に連絡してください[1]。
治療後どのくらいで元の生活に戻れますか?
内視鏡治療の場合は体への負担が比較的小さく、入院が必要かどうかも状態や施設によって異なります。手術の場合は、術後の入院中に消化のよい食事から徐々に常食に戻し、退院後1カ月ほどをかけて手術前の食生活に戻していくのが目安です。個人差が大きいため、担当医に確認しながら無理のない範囲で生活を戻していきましょう[8]。
お酒は飲んでもいいですか?
必ずしも禁酒をする必要はありませんが、治療の内容や体の状態によっても異なるため、担当医に確認してください[8]。
大腸がんの検診で「要精密検査」と言われました。どのくらいの確率でがんが見つかりますか?
厚生労働省の集計によると、大腸がん検診で「要精密検査」と判定された人のうち、実際にがんが見つかる割合は約3.02%(要精検者約33人に1人)です。多くの場合はがん以外の原因ですが、この割合は無視できる数字ではないため、要精密検査となったら必ず大腸内視鏡検査などの精密検査を受けてください[9]。
永久人工肛門(ストーマ)になった場合、公的な助成はありますか?
永久的な人工肛門を造設した場合は、身体障害者の認定対象となります。認定されると身体障害者手帳が交付され、ストーマ装具費用の給付、公共交通機関の割引、税金の減免などの助成が受けられ、条件により障害年金を受給できる場合もあります。申請できる条件や手続きは、お住まいの市区町村の福祉関係の窓口やがん相談支援センターに確認してください[10]。

大腸がん(結腸がん・直腸がん)に関する記事一覧

大腸がんの薬物療法のレジメンや、個々の合併症への詳しい対処法、直腸がんに特有の手術方法の適応判断などについては、専門的かつ個別性が高く、今回参照した資料の範囲では一般論以上の記載が見当たりませんでした。具体的な治療方針は、必ず担当医と相談のうえ決めてください。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)について」(更新・確認日:2025年3月24日) ganjoho.jp/public/cancer/colon/about.html ↩
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)予防・検診」(更新・確認日:2025年3月24日) ganjoho.jp/public/cancer/colon/prevention_screening.html ↩
  3. 国立がん研究センター がん統計「大腸」 ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/67_colorectal.html ↩
  4. 国立がん研究センター がん対策研究所 がん登録センター「院内がん登録2014-2015年5年生存率集計」(令和5年3月公表) ganjoho.jp(PDF)hosp_c_reg_surv_all_2014-2015.pdf ↩
  5. 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)治療」(大腸癌研究会編「大腸癌治療ガイドライン 医師用 2024年版」より、更新・確認日:2025年3月24日) ganjoho.jp/public/cancer/colon/treatment.html ↩
  6. 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)検査」(更新・確認日:2025年7月17日) ganjoho.jp/public/cancer/colon/diagnosis.html ↩
  7. 米国予防医療専門委員会(USPSTF)「Colorectal Cancer: Screening」(2021年公表) uspreventiveservicestaskforce.org/uspstf/recommendation/colorectal-cancer-screening ↩
  8. 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)Q&A」 ganjoho.jp/public/cancer/colon/qa.html ↩
  9. 厚生労働省「地域保健・健康増進事業報告」(令和6年度、大腸がん検診の要精検者に対するがん発見率) mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059490.html ↩
  10. 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)療養」 ganjoho.jp/public/cancer/colon/follow_up.html ↩