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JHO 病気ペディア

手足口病てあしくちびょう / Hand, Foot, and Mouth Disease (HFMD)

最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)

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登園はいつから? 記事へ 自然治癒で大丈夫? 記事へ 帝王切開だと免疫が弱い? 記事へ 重症化のサインは何? 記事へ

✦ 結論から言うと

手足口病(てあしくちびょう)は、口の中・手のひら・足の裏に2〜3mmの水疱ができるウイルス感染症で、コクサッキーウイルスA16・A6・A10、エンテロウイルス71(EV71)などが原因です[2]。発熱は約1/3の子どもにしか出ず、多くは3〜7日で自然に治ります[2]。こども家庭庁のガイドラインは、発疹が残っていても「発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること」を登園再開の目安としています[1]。ただし、ぐったりして反応が弱い・けいれん・呼吸が荒いといった中枢神経系合併症のサインがあれば、今すぐ救急を受診してください[1][2]。

読み方・別名 てあしくちびょう/英語: Hand, Foot, and Mouth Disease(HFMD)
受診する科 小児科(皮膚症状が強い場合は皮膚科でも可)
主なリスク 無菌性髄膜炎・急性脳炎などの中枢神経系合併症(エンテロウイルス71=EV71で頻度が高い)・脱水
すぐ受診すべき目安 ぐったりして呼びかけへの反応が弱い、けいれん、意識がもうろうとする、呼吸が荒く顔色が悪い → 今すぐ119番・救急受診

手足口病とは?原因と発疹が出る仕組み

手足口病は、口腔粘膜(口の中の粘膜)や手足などに水疱性の発疹が現れる急性ウイルス感染症です。1950年代後半に世界で認識され、日本では1967年頃からその存在が明らかになりました[2]。原因となるのは、コクサッキーウイルスA16(CA16)、A6(CA6)、A10(CA10)、エンテロウイルス71(EV71)といった「エンテロウイルス(腸管系ウイルス)」の仲間です[2][4]。感染経路は、せきやくしゃみによる飛沫感染、便に排泄されたウイルスが口に入る糞口感染、水疱の中身に触れる接触感染の3つです[9]。

感染してから3〜6日(3〜5日とする資料もあります)の潜伏期間をおいて、口腔粘膜・手のひら・足の裏や甲などに2〜3mm程度の水疱性発疹が出現します。肘・膝・おしりに出ることもあります[1][2]。発熱は全体の約1/3にみられる程度で、38℃以下の軽度であることがほとんどです。通常は3〜7日の経過で消退し、水疱は痂皮(かさぶた)を形成せずに治るのが大きな特徴です[2]。

腸管で増殖したウイルスが血液中に入り(ウイルス血症)、まれに中枢神経系、特に脳に到達すると、髄膜炎や脳炎などの症状を起こすことがあります。この中枢神経系合併症は、エンテロウイルス71(EV71)でほかのウイルスより発生率が高いことが知られています[2]。米国NCBI Bookshelf(StatPearls)も、EV71はコクサッキーウイルスより神経学的合併症の関与率が高く、急性小脳失調症・ポリオ様症候群・脳炎・良性頭蓋内圧亢進症・ギラン・バレー症候群を起こしうると解説しています[5]。国内でも2000年に兵庫県で脳炎による死亡例を含む流行があり、EV71が検出されています[2]。台湾(1998年、死亡78例)や中国(2010年、死亡905例)など、東アジアではより大規模で重症例を伴う流行が断続的に発生してきました[2]。

近年はコクサッキーウイルスA6(CA6)による手足口病も増えています。CA6が原因の場合、水痘(水ぼうそう)と間違えられるほど発疹が広い範囲に出たり、発症後数週間して爪がはがれたりすることがあります(爪甲脱落症)[1][2]。米国StatPearlsも「コクサッキーウイルスA6は近年、米国および世界的に新たな原因として台頭した」と述べ、CA6が現在、米国における手足口病の主要な原因ウイルスであるとしています[5]。

流行の時期と患者数:いつ、どれくらい流行する?

手足口病は、日本では春から夏にかけて流行します[1]。感染症発生動向調査の週別データを見ると、例年は第20週(5月中旬)ごろから定点あたりの報告数が増え始め、第30週(7月下旬)前後にピークを迎え、第40週(10月上旬)には落ち着き、第48〜50週(11月末〜12月中旬)にはほぼ終息するパターンが続いてきました[4]。

ただし、新型コロナウイルス流行以降はこのパターンが崩れています。2021〜2023年は流行のピークが第36〜41週(9月上旬〜10月中旬)にずれ込み[3]、2024年は第28週(13.34、41,885例)と第41週(10.78、33,760例)の2回の山(二峰性)ができるという、過去にない動きを見せました[4]。2024年の最初のピークではCA6が、2回目のピークではCA16が主に検出されています[4]。2025年は例年より流行が緩やかで、第30週時点でも大きな流行には至っていません[4]。

患者数で見ると、2009〜2019年の10年間では、報告数がもっとも少なかった年は2016年(69,139例)、もっとも多かった年は2019年(402,529例)でした[3]。2024年第27週の年齢別内訳は、1歳が33.1%(11,887例)でもっとも多く、次いで2歳が19.8%(7,116例)で、この2つの年齢だけで報告全体の半数を超えています[3]。

診断の目安となる数値・基準

手足口病は感染症法上の5類感染症定点把握疾患に指定されており、全国の小児科定点医療機関から週単位で報告されます(2025年4月からは約2,000か所に変更)[4]。診断は主に臨床所見(発疹の性状・分布・季節・周囲の流行状況)で行われ、次の基準が使われています。

手足口病の届出基準(感染症発生動向調査、2項目)
項目 基準
発疹の場所・大きさ 手のひら、足底または足背、口腔粘膜に出現する2〜5mm程度の水疱
治り方 痂皮(かさぶた)を形成せずに治癒

出典:国立健康危機管理研究機構(JIHS)「手足口病(詳細版)」感染症法における取り扱い[2]

参考:手足口病の主な臨床経過(届出基準ではなく、症状の目安)
項目 目安
潜伏期間 3〜6日(3〜5日とする資料もある)
発熱の頻度 約1/3、多くは38℃以下
自然経過 多くは3〜7日で軽快

出典:こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」[1]/国立健康危機管理研究機構(JIHS)「手足口病(詳細版)」[2]

この基準を必ずしも満たさなくても、医師が症状・所見から手足口病を疑い、かつ病原体診断や血清学的診断で確定した場合も届出対象になります[2]。血清診断を行う場合は、エンテロウイルス間で交差反応のない中和抗体を測定し、急性期と回復期の血清で抗体価が4倍以上上昇することで診断します[2]。ただし、実際の医療現場では血清診断まで行うことは少なく、発疹の見た目と経過で診断されるのが一般的です。

ヘルパンギーナ・水痘との見分け方

手足口病・ヘルパンギーナ・水痘(水ぼうそう)は、いずれも口の中に水疱ができる夏の子どもの感染症で、保護者が混同しやすい3つです。見分けるカギは「発熱の出方」と「発疹の場所・治り方」です。

手足口病・ヘルパンギーナ・水痘の比較
項目 手足口病 ヘルパンギーナ 水痘(水ぼうそう)
主な原因 CA16・CA6・CA10・EV71[1] 主にコクサッキーA群[4] 水痘・帯状疱しんウイルス[1]
潜伏期間 3〜6日[1] 3〜6日[1] 14〜16日[1]
発熱の出方 約1/3のみ・軽度(38℃以下が多い)[2] 突然の高熱(高熱が数日続く)[1] 今回参照した資料に記載なし
発疹の場所 口腔粘膜・手のひら・足の裏(肘・膝・おしりにも)[1][2] のどの奥(口蓋垂付近)だけ。手足には出ない[4] 顔・頭部→全身に拡大[1]
治り方 痂皮を形成せず治る[2] 2〜4日の経過で解熱・治癒[1] 赤み→水疱→痂皮と段階が混在[1]
かゆみ 稀[2] 今回参照した資料に記載なし 今回参照した資料に記載なし

出典:こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」(手足口病・ヘルパンギーナ・水痘の各項)[1]/国立健康危機管理研究機構(JIHS)「手足口病(詳細版)」[2]・「IDWR 2025年第30号」[4]

一番のチェックポイントは、①手足に発疹が出るか(出なければヘルパンギーナの可能性)、②発疹が最終的にかさぶたになるか(なれば水痘の可能性が高い)の2点です。ヘルパンギーナは「突然の高熱での発症」と「口蓋垂付近の水疱疹・潰瘍・発赤」の2つを満たす患者として報告されており、手足の発疹を伴いません[4]。水痘は発疹が顔や頭部から全身へ拡大し、赤い丘疹→水疱→痂皮という段階の異なる発疹が同時に混在するのが特徴で、最終的にすべての発疹が痂皮になれば感染性がなくなると考えられています[1]。自己判断が難しい場合は、小児科での確認をおすすめします。

経過と治療:時期別のケア

手足口病に特効薬はなく、抗生剤の投与も意味がありません[2][9]。治療の中心は、症状に応じた対症療法です。米国StatPearlsも「軽症の臨床症候群で7〜10日で軽快する。治療は基本的に対症療法」とし、痛みと発熱にはNSAIDsやアセトアミノフェンを使い、しっかり水分補給することが重要だとしています[5]。

時期別のケアの目安
時期 症状 ケアのポイント
発症〜数日 発熱(約1/3)、口腔内の水疱・小潰瘍、手足の発疹 刺激にならない柔らかめ・薄味の食事。水分不足を防ぐことが最重要[2]
口の痛みが強い時期 水疱が破れて小潰瘍に。食事や水分を嫌がる 経口補液を少量頻回に。冷たいものや刺激の少ないものを選ぶ[2]
3〜7日目 多くは自然に軽快 発熱に対しては通常、解熱剤なしで経過観察可能[2]
治癒後数週間 まれに爪がはがれる(爪甲脱落症、CA6型に多い) 自然に生え変わるため、基本的に治療は不要[1][7]

出典:国立健康危機管理研究機構(JIHS)「手足口病(詳細版)」[2]/米国CDC「HFMD Symptoms and Complications」[7]

ステロイドの多用は症状を悪化させる可能性が示唆されているため、自己判断でステロイド外用薬を使うことは避けてください[2]。米国CDCも「発熱や痛みには市販薬を使ってよいが、子どもにアスピリンは絶対に与えないこと」と注意を促しています[6]。

食事・水分補給のコツと、感染を防ぐには

口の中の水疱が痛むと、子どもは食事や水分を嫌がりがちです。JIHSは「口腔内病変には、刺激にならないよう柔らかめで薄味の食べ物を勧めるが、何よりも水分不足にならないようにすることが最も重要」としています[2]。具体的には、次のようなNG/OKの目安が参考になります。

口の痛みがあるときの食事の目安
避けたいもの 試しやすいもの
熱いもの・辛いもの・酸っぱいもの(柑橘類、酢の物) 常温〜冷たいもの(ゼリー、プリン、冷ましたおかゆ)
塩気の強いもの、かたく刺激になる食感 薄味で柔らかいもの(豆腐、うどん、スープ)
炭酸飲料、濃い果汁 経口補水液や麦茶を少量ずつ・頻回に[2]

水分がまったく摂れない、半日以上おしっこが出ていない場合は、上記の「受診の目安」を参考に医療機関に相談してください。経口補液で水分が足りないと判断された場合は、点滴による補液が必要になることもあります[2]。

予防の基本は手洗いです。特に、便やおむつには症状が消えたあとも数週間〜数か月ウイルスが排出され続けるため[1]、次の点を日頃から徹底することが、家族内や保育施設での感染拡大を防ぐいちばんの方法です。

  • おむつ交換後・トイレのあとは、流水と石けんでしっかり手を洗う[1][9]
  • タオルの共有は避ける[9]
  • おもちゃやドアノブなど、よく触れる物の表面を清潔にする[6]
  • 抱っこやキスなど、症状がある人との濃厚接触を控える[6]

現時点で、手足口病そのものを防ぐ実用化されたワクチンはありません[2][6]。手洗いなど基本的な感染対策の積み重ねが、今できる最善の予防策です。

大人が手足口病にかかったら

手足口病は主に4歳くらいまでの乳幼児に多く、2歳以下が半数を占めます[2]。学童以上になると、多くの人がすでに何らかのエンテロウイルスに感染(症状の出ない不顕性感染も含む)した経験があるため、成人での発症はあまり多くありません[2]。ただし、手足口病になって免疫ができるのはその原因ウイルス1種類に対してだけです。CA16にかかって免疫ができても、CA6やEV71には免疫がないため、大人でも別の原因ウイルスで手足口病を発症することがあります[2]。米国CDCも「HFMDは5歳未満の子どもに多いが、誰でもかかる可能性がある」としています[6]。

正直に書きます。「大人は子どもより症状が重くなりやすい」という説明は医療系サイトでよく見かけますが、今回参照した国のガイドライン・JIHS・米国CDC・NCBI Bookshelfのいずれにも、大人と子どもの重症度を直接比較したデータは見当たりませんでした。確実に言えるのは、①CA6型は年齢を問わず、水痘に似た広範囲の発疹や爪の脱落を起こしやすいこと[1]、②妊娠中に感染が疑われる場合は自己判断せず主治医に相談すべきということです。米国CDCは「妊娠中にHFMDへの曝露が疑われる場合は医師に連絡を。合併症はまれだが、既往歴や妊娠週数によって状況が変わりうる」としています[6]。米国StatPearlsも、免疫が抑制されている人への感染を避けるよう患者・家族に伝えることの重要性を強調しています[5]。

受診の目安:今すぐ119番か、自宅で様子見か

手足口病の多くは軽症で自然に治りますが、まれに無菌性髄膜炎・急性脳炎などの中枢神経系合併症、さらに心筋炎・神経原性肺水腫・急性弛緩性麻痺といった重篤な合併症を伴うことがあります[9]。次のフローチャートを目安に判断してください。

米国CDCは、受診の目安として「水分がうまく摂れず脱水が心配」「発熱が3日以上続く」「免疫が弱い」「症状が重い」「10日たっても症状が改善しない」「生後6か月未満と特に幼い」の6点を挙げています[7]。JIHSは「元気がない、頭痛、嘔吐、高熱、2日以上続く発熱」がある場合には髄膜炎・脳炎への進展に注意するよう呼びかけています[2]。判断に迷うときは、平日夜間・休日でも相談できるこども医療電話相談(#8000)を活用してください。

保育所・学校の登園基準(日本の公式ガイドライン)

「発疹が残っているうちは保育園を休ませるべき?」は、保護者からもっとも多い質問の一つです。こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」(2018年改訂版、2023年5月一部改訂)は、手足口病を「医師の診断を受け、保護者が登園届を記入することが考えられる感染症」に分類しており、医師の意見書は不要としています[1]。

登園再開の目安は?
「発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること」です。発疹が残っていても、この2つを満たせば登園して差し支えありません[1]。

ガイドラインは、登園を控える意味についても明確に述べています。手足口病は、症状が消えたあとも便からは数週間〜数か月、のどや鼻水からも1〜2週間ウイルスが排出され続けます[1][2]。そのため「感染拡大を防止するために登園を控えることは有効性が低く、またウイルス排出期間が長いことからも現実的ではない」と明記されています[1]。JIHSの資料も同様に、「急性期のみ登校登園停止を行って、学校・幼稚園・保育園などでの流行阻止をねらっても、効果はあまり期待ができない」「発疹だけの患児に長期の欠席を強いる必要はなく、また現実的ではない」としています[2]。実際、手足口病は学校保健安全法上の「学校で予防すべき感染症」の1〜3種には含まれていません[2]。

一方で、次の場合は登園を控え、本人の全身状態が安定してから再開するよう案内されています。

登園を控えたほうがよい状態
状態 対応
発熱がある 全身状態が安定するまで登園を控える
のどの痛みが強い 食事が摂れるようになってから再開
下痢がある おさまってから再開
食べ物が食べられない 水分・食事が普段どおり摂れるまで控える
発疹のみ・全身状態良好 登園可(発疹の有無は登園可否の条件ではない)

出典:こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」(2018年改訂版、2023年5月一部改訂)[1]

登園を再開したあとも、おむつ交換後や排便後の手洗いは徹底してください。回復後もウイルスは長期間排出されるため、家庭内での手洗い・タオルの共有回避が、次の感染を防ぐいちばんの対策になります[1][9]。

日本とアメリカ(CDC)のガイドライン比較

手足口病は東アジアと北米で、原因ウイルスの主流や捉え方に違いがあります。両国の一次資料を並べて比較しました。

日本(JIHS・こども家庭庁)と米国(CDC・NCBI)の比較
項目 日本 米国
主な原因ウイルス CA16・CA6・CA10・EV71[2] CA16が最多とされてきたが、近年はCA6が優勢[8][5]
EV71の位置づけ 中枢神経系合併症の発生率が高く、警戒対象[2] まれだが、東・東南アジアでの流行と重症化(脳炎)に関連するとされる[8]
流行期 春〜夏、特に第20〜30週にピーク[4] 主に夏〜秋だが、年間を通じて発生しうる[8]
登園・登校の目安 発熱がなく普段どおり食事がとれること。発疹の有無は問わない[1] 発熱がない、授業に参加できる、口の水疱でよだれが制御できないことがない[6]
ワクチン 実用化されたワクチンはない(2014年時点、台湾・中国で開発が進行中と記載)[2] 米国で承認されたワクチンはない[6]
治療方針 特異的治療法なし。対症療法が基本[2] 対症療法が基本。NSAIDs・アセトアミノフェンで痛みと発熱を管理[5]

出典:国立健康危機管理研究機構(JIHS)「手足口病(詳細版)」[2]・IDWR 2025年第30号[4]・こども家庭庁ガイドライン[1]/米国CDC「About」[6]・「Causes and How It Spreads」[8]/NCBI Bookshelf StatPearls[5]

ここが日本と米国でいちばん違う点は、「登園・登校を止めることの意味づけ」への踏み込み方です。こども家庭庁のガイドラインは「感染拡大を防止するために登園を控えることは有効性が低く、またウイルス排出期間が長いことからも現実的ではない」と、踏み込んで理由まで明記しています[1]。米国CDCは「基本的に登校・登園を続けてよい」という結論は同じですが、「地域の保健当局がアウトブレイク対策として自宅待機を求める場合がある」という留保を添えています[6]。どちらも「発疹だけを理由に長期間休ませる必要はない」という方向性は共通しており、これは日米双方の一次資料を実際に読み比べて確認できた一致点です。

医療費の目安

手足口病は基本的に外来通院で対応でき、健康保険(3割負担)の範囲内でおさまることがほとんどです。特効薬がないため、処方されるのは解熱鎮痛薬や、口内炎の痛みを抑える塗り薬・うがい薬などが中心です[2]。

まれに無菌性髄膜炎や脳炎などの中枢神経系合併症で入院が必要になった場合、医療費が高額になることがあります。その場合に自己負担を一定額に抑える公的制度が「高額療養費制度」です。

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16

子どもの医療費については、多くの自治体で独自の「子ども医療費助成制度」があり、自己負担がさらに軽減される場合があります。助成の範囲は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の窓口で確認してください。

よくある質問(FAQ)

手足口病はうつりますか?きょうだいがかかったらどうすればいい?
非常にうつりやすい感染症です[6]。症状が出た最初の週の感染力が最も強く、回復後も飛沫や鼻汁からは1〜2週間、便からは数週間〜数か月ウイルスが排出されます[2]。ただし、きょうだいが感染しても、本人に発熱・口の痛み・発疹がなければ、登園・登校して差し支えないと考えられています[1]。
発疹はいつまで続きますか?水ぶくれを潰してもいい?
多くは3〜7日の経過で自然に消退し、痂皮(かさぶた)を作らずに治ります[2]。水疱の中身にはウイルスが含まれているため[7]、自分で潰すのは避け、清潔に保って自然に治るのを待ってください。
お風呂に入ってもいい?
今回参照した一次資料には入浴そのものを制限する記載はありません。全身状態が安定していれば、水疱を強くこすらないよう配慮しつつ、短時間の入浴やシャワーで清潔を保つのが一般的です。発熱が強い、ぐったりしているときは無理をさせず、体調を優先してください。
解熱剤は使ってもいいですか?
発熱に対しては通常、解熱剤なしで経過観察が可能とされています[2]。米国CDCも、市販の解熱鎮痛薬で発熱や口内炎の痛みを和らげてよいとしつつ、子どもには絶対にアスピリンを使わないよう注意しています[6]。使用量や使ってよい薬は、かかりつけ医・薬剤師に確認してください。
発症後しばらくして爪がはがれました。何かの病気ですか?
手足口病、特にコクサッキーウイルスA6(CA6)が原因の場合に、発症後数週間して爪が生え際からはがれる「爪甲脱落症」が報告されています[1][2]。米国CDCも「まれだが、発症から数週間後に手足の爪が抜けることがある。多くは子どもの報告で、爪は自然に生え変わる」としています[7]。基本的に心配のいらない現象ですが、気になる場合は小児科・皮膚科に相談してください。
予防接種(ワクチン)はありますか?
日本にも米国にも、実用化され承認されたワクチンは現時点でありません[2][6]。重症例が多く報告される台湾・中国など一部のアジア諸国では、EV71ワクチンの開発が進められてきました(2014年時点の情報)[2]。予防の基本は手洗いです[4]。
一度かかったら、もうかかりませんか?
いいえ。手足口病になると、その原因となったウイルスに対する免疫はできますが、原因ウイルスは複数あるため、別のウイルス(例:CA16のあとにCA6やEV71)による手足口病に何度でもかかる可能性があります[2][1]。
プールに入っても大丈夫ですか?
今回参照した日本の一次資料にプールに関する直接的な記載はありませんでした。米国CDCは「消毒が不十分なプールの水を飲み込むことで、まれに感染することがある」と説明しています[8]。症状がある間は、全身状態を優先し、施設のルールに従ってください。
妊娠中に感染が心配です。赤ちゃんに影響はありますか?
米国CDCは「妊娠中にHFMDへの曝露が疑われる場合は医師に連絡してください。合併症はまれですが、既往歴や妊娠週数によって状況が変わることがあります」としています[6]。自己判断せず、産婦人科医に相談してください。

出典・参考文献

  1. こども家庭庁.「保育所における感染症対策ガイドライン」(2018年改訂版、2023年5月一部改訂).手足口病・ヘルパンギーナ・水痘(水ぼうそう)の各項.cfa.go.jp(PDF)↗ ✓ 最終確認 2026年7月17日↩
  2. 国立健康危機管理研究機構(JIHS、旧国立感染症研究所).「手足口病(詳細版)」感染症の話(2014年10月17日改訂).id-info.jihs.go.jp ↗ ✓ 最終確認 2026年7月17日↩
  3. 国立健康危機管理研究機構(JIHS).「IDWR 2024年第27号<注目すべき感染症> 手足口病」.id-info.jihs.go.jp ↗ ✓ 最終確認 2026年7月17日
  4. 国立健康危機管理研究機構(JIHS).「IDWR 2025年第30号<注目すべき感染症> 手足口病・ヘルパンギーナ」.id-info.jihs.go.jp ↗ ✓ 最終確認 2026年7月17日
  5. NCBI Bookshelf.StatPearls「Hand, Foot, and Mouth Disease」.ncbi.nlm.nih.gov ↗ ✓ 最終確認 2026年7月17日↩
  6. 米国疾病予防管理センター(CDC).「About Hand, Foot, and Mouth Disease (HFMD)」.cdc.gov ↗ ✓ 最終確認 2026年7月17日
  7. 米国疾病予防管理センター(CDC).「HFMD Symptoms and Complications」.cdc.gov ↗ ✓ 最終確認 2026年7月17日
  8. 米国疾病予防管理センター(CDC).「HFMD: Causes and How It Spreads」.cdc.gov ↗ ✓ 最終確認 2026年7月17日
  9. 厚生労働省.「手足口病」感染症情報.mhlw.go.jp ↗ ✓ 最終確認 2026年7月17日↩

本ページは情報提供を目的としており、医師による診断・治療の代替ではありません。数値・基準はガイドライン改定により変わることがあります。症状や対応に不安がある場合は、必ず医療機関を受診してください。誤りや古い情報にお気づきの際は、サイト運営者までお知らせください。事実を確認のうえ訂正いたします。