皮膚炎
最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)
✦ 結論から言うと
「皮膚炎」は皮膚に炎症が起きた状態の総称で、原因や現れ方によって「接触皮膚炎」「脂漏性皮膚炎」「アトピー性皮膚炎」「日光皮膚炎(光線過敏反応)」「口囲皮膚炎」など複数のタイプに分かれます[1][2]。同じ「かゆみのある赤い湿疹」に見えても、タイプによって避けるべき原因も治療の中心になる薬も異なるため、正しいタイプを知ることが治療の近道になります。原因物質への接触が引き金になるもの(接触皮膚炎)と、体質やアレルギー素因が土台にあるもの(アトピー性皮膚炎)、皮膚の常在真菌が関わるもの(脂漏性皮膚炎)では、原因の探し方も治療の考え方も異なります[1][2]。多くは自己判断で薬を中断・再開せず、皮膚科でどのタイプかを見極めたうえで、外用薬(保湿・ステロイド・抗真菌薬など)を使い分けることが基本です[1]。かゆみが強い・広範囲に広がる・繰り返す場合は、自己流のケアだけで様子を見ず皮膚科を受診してください。
| 原因 | 原因物質への接触・皮膚常在真菌(マラセチア)・アレルギー体質(アトピー素因)・紫外線への反応・ステロイド外用薬の長期使用など、タイプによって異なる[1][2][3] |
|---|---|
| 主な症状 | 赤み・かゆみ・湿疹・脂ぎった黄色い鱗屑(フケ)・水疱など、タイプごとに現れ方が異なる[1][2][3] |
| 受診の目安 | 広範囲に広がる・症状が繰り返す・市販薬で改善しない・顔や粘膜近くに症状がある場合は自己判断せず皮膚科を受診[1][2] |
⚠ 「湿疹」と「皮膚炎」はほぼ同じ意味で使われる言葉で、皮膚炎全般の基本(原因・症状の共通点・自宅ケアの基本)は姉妹記事「湿疹・皮膚炎」で解説しています。本記事は、それぞれの「型」ごとの原因・見分け方・治療の違いを掘り下げます。
皮膚炎とは? 湿疹との違いと、炎症が起こる仕組み
皮膚炎とは、皮膚に赤み・かゆみ・腫れなどの炎症症状が起きた状態の総称であり、医学的には「湿疹」とほぼ同じ意味で使われています[1]。原因によって、①皮膚に触れた物質が直接刺激になったり、アレルギー反応を引き起こしたりする「接触皮膚炎」、②生まれつきの体質(アトピー素因)とバリア機能の低下が土台になる「アトピー性皮膚炎」、③皮膚に常在するマラセチア属の真菌が関与する「脂漏性皮膚炎」、④紫外線を浴びたことがきっかけで起こる「日光皮膚炎(光線過敏反応)」、⑤ステロイド外用薬などが引き金になり口の周りに赤いブツブツが出る「口囲皮膚炎」など、複数のタイプに分けられます[1][2][3]。
アトピー性皮膚炎は「増悪と軽快を繰り返す、瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患」であり、患者の多くはアトピー素因(家族歴・既往歴、あるいはIgE抗体を産生しやすい素因)を持っているとされます[1]。皮膚の表面にあるバリア機能(角層のフィラグリン等)が低下していると、外からの刺激やアレルゲンが侵入しやすくなり、炎症とかゆみが悪循環になりやすいことが知られています[1]。フィラグリンの発現低下によって皮膚のバリア機能が弱まると、そこに炎症性サイトカイン(IL-13など)が作用してかゆみを引き起こし、かき壊しによって皮膚が厚く硬くなる「苔癬化」が進むという悪循環も指摘されています[1]。一方、接触皮膚炎は原因物質そのものが皮膚を刺激する「刺激性接触皮膚炎」と、原因物質に対して免疫が反応する「アレルギー性接触皮膚炎」の二つに大きく分けられ、光線の関与があるものは「光接触皮膚炎(光毒性・光アレルギー性)」として区別されます[2]。
アトピー性皮膚炎は乳幼児期に発症することが多く、ある調査では2歳までの累積有病率は21.5%、2歳までにアトピー性皮膚炎と診断された子どものうち43.2%は3歳までに軽快したと報告されています[1]。生後4カ月に症状があった子どもの70%が1歳6カ月の時点で寛解していたという調査もあり、乳幼児期に発症しても多くは成長とともに軽快する一方、軽快せずに再発を繰り返し成人まで症状が続く人もいる、と幅のある経過をたどることが分かっています[1]。
主な種類:接触・脂漏性・アトピー性・日光性・口囲・貨幣状
「皮膚炎」とひとくくりに言っても、原因・好発部位・治療の考え方はタイプごとに大きく異なります。同じ「かゆみのある赤い湿疹」に見えても、原因物質との接触がきっかけなのか、体質が土台にあるのか、真菌の関与があるのかによって、避けるべきものも治療の中心になる薬も変わってきます。自己判断で「同じ皮膚炎だから」と対応を一つに決めつけず、まずは代表的な6タイプの特徴を一覧で確認してください。
| 種類 | 主な原因 | 好発部位 |
|---|---|---|
| 接触皮膚炎(かぶれ) | 刺激性:原因物質そのものの刺激/アレルギー性:金属・化粧品・植物(ウルシなど)へのアレルギー反応[2] | 原因物質が触れた部位(手・顔・首など)[2] |
| 脂漏性皮膚炎 | 皮膚常在真菌マラセチア属の数と、それに対する体の反応[3] | 頭皮・顔面・髪の生え際・耳の周囲など皮脂腺が多い部位[3] |
| アトピー性皮膚炎 | アトピー素因+皮膚バリア機能低下+アレルゲンや刺激への反応[1] | 肘・膝の内側、首、顔など左右対称に出やすい[1] |
| 日光皮膚炎(光線過敏反応) | 日光(紫外線)そのものへの反応(光毒性)、または薬剤・化粧品などが日光と反応するアレルギー(光アレルギー性)[4] | 日光にさらされた部位(顔・首・手の甲・腕など)[4] |
| 口囲皮膚炎 | 正確な原因は不明。ステロイド外用薬の使用や、フッ素を含む水・歯磨き剤が候補として考えられている[5] | 鼻の脇から口の周囲(唇そのものは通常含まない)[5] |
| 貨幣状湿疹(皮膚炎) | 接触皮膚炎の鑑別に挙がる湿疹の一種で、コイン状の境界明瞭な湿疹が特徴[2] | 手足・体幹など |
出典:日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」[1]/同「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」[2]/MSDマニュアル家庭版「脂漏性皮膚炎」[3]「光線過敏反応」[4]「口囲皮膚炎」[5]
接触皮膚炎の主な原因物質(日本接触皮膚炎研究班 全国調査)
日本接触皮膚炎研究班は、パッチテストで陽性になった原因物質の全国調査を続けており、2015年に改訂された標準アレルゲン(JSA2015)では硫酸ニッケルと金チオ硫酸ナトリウムの陽性率が急増したと報告されています[2]。
| 原因物質 | 主に含まれるもの |
|---|---|
| 硫酸ニッケル | アクセサリー・ベルトのバックル・眼鏡フレームなどの金属[2] |
| 塩化コバルト | 金属製品、顔料[2] |
| パラフェニレンジアミン | 染毛剤(ヘアカラー)[2] |
| ウルシオール | うるし(漆)などウルシ科の植物[2] |
| ゴム関連物質(黒色ゴムミックス等) | ゴム手袋・靴・ゴムバンドなど[2] |
出典:日本皮膚科学会「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」(日本接触皮膚炎研究班 原因製品全国調査ほか)[2]
各型の特徴と見分け方
接触皮膚炎(かぶれ):原因物質が触れた部分にだけ、境界がはっきりした赤み・かゆみ・ブツブツや水疱が出るのが典型です。刺激性接触皮膚炎は誰にでも起こりうる一方、アレルギー性接触皮膚炎は感作(一度その物質にアレルギーを持つようになること)が成立した人にだけ起こります[2]。金属(ネックレス・ピアス・ベルトのバックルなど)、化粧品、うるし(ウルシオール)は代表的なアレルギー性接触皮膚炎の原因として知られています[2]。原因を調べる検査として、疑わしい物質を皮膚に貼って反応を見る「パッチテスト」が用いられます[2]。
脂漏性皮膚炎:頭皮・顔・髪の生え際など皮脂腺が多い部位に、脂ぎった黄色い鱗屑(フケのようなもの)を伴う赤みが出ます。生後3カ月ごろの乳児と、30〜70歳の成人に多く見られ、遺伝的な要因も関与すると考えられています[3]。症状は徐々に現れることが多く、頭皮の乾燥または脂ぎったうろこ状のかさつき(フケ)とかゆみが出ますが、脱毛はみられないのが特徴です[3]。また、パーキンソン病などの神経疾患やHIV感染症のある人では、頻度と重症度が高くなる可能性があるとされています[3]。
アトピー性皮膚炎:強いかゆみを伴う湿疹が、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら慢性的に経過するのが特徴です。乳幼児期に発症し小児期に軽快することもあれば、軽快せず再発を繰り返して成人まで症状が続くこともあります[1]。
日光皮膚炎(光線過敏反応):日光(紫外線)を浴びた部分にだけ赤み・水疱・かゆみが出ます。日光そのものが原因になる「光毒性反応」と、日焼け止めやアフターシェーブローション、特定の薬剤などが日光と反応してアレルギーを起こす「光アレルギー反応」があり、後者はその物質にさらされ、かつ日光を浴びたときにだけ症状が出ます[4]。光毒性反応では、日光に短時間さらされた部分の皮膚に痛みが生じ、発赤と炎症が起こるほか、ときに皮膚が褐色または青みを帯びた灰色に変色することがあります[4]。原因になる薬剤・物質は限られた数のものが大半の反応を引き起こしているとされ、アフターシェーブローションや日焼け止め、スルホンアミド系薬剤などが代表例として挙げられています[4]。
口囲皮膚炎:鼻の脇から口の周囲にかけて赤く盛り上がった発疹が出ますが、唇そのものには通常症状が及びません。妊娠可能年齢の女性や子どもに多いとされます[5]。典型的にはまず鼻の両側から下に伸びる皮膚のしわ(鼻唇溝)から発疹が現れ、口の周囲に広がり、ときに眼の周囲や前頭部まで広がることもあります[5]。にきび(尋常性ざ瘡)とは、黒色面皰・白色面皰(毛穴の詰まり)がみられないことで区別され、酒さとは口や眼の周囲に発疹が出るかどうかが見分けるポイントになります[5]。
貨幣状湿疹:コイン(貨幣)状の境界がはっきりした湿疹で、接触皮膚炎と紛らわしい湿疹の鑑別診断の一つとして挙げられています[2]。
見分けるカギ:「原因物質が触れた場所だけに出るか(接触皮膚炎)」「皮脂の多い部位に黄色い鱗屑があるか(脂漏性)」「かゆみを伴う湿疹を繰り返しているか(アトピー性)」「日光を浴びた部分だけか(日光性)」「口の周りだけでステロイドを使っていたか(口囲)」という条件が、見分ける手がかりになります。自己判断が難しい場合は皮膚科でタイプを確定してから治療を始めることが大切です。
| 種類 | 経過 | かゆみ | 診断の手がかり |
|---|---|---|---|
| 接触皮膚炎 | 原因物質との接触後、比較的短期間で発症・接触を避ければ軽快しやすい[2] | 強いことが多い | パッチテスト[2] |
| 脂漏性皮膚炎 | 徐々に発症し慢性的に経過することが多い[3] | あることが多いが脱毛は伴わない[3] | 好発部位(頭皮・顔)と鱗屑の性状[3] |
| アトピー性皮膚炎 | 増悪と軽快を繰り返す慢性の経過[1] | 強い(瘙痒が主症状の一つ)[1] | アトピー素因の有無、左右対称の好発部位[1] |
| 日光皮膚炎 | 日光を浴びた後に発症、原因を避ければ再発を防ぎやすい[4] | あり(痛みを伴うこともある)[4] | 日光にさらされた部位に限局するか[4] |
| 口囲皮膚炎 | 徐々に発症し、ステロイド中止後に一時悪化することがある[5] | 軽いことが多い | 鼻唇溝から始まり口周囲に広がる分布、面皰がない[5] |
| 貨幣状湿疹 | コイン状の湿疹が慢性・反復しやすい | あり | 境界明瞭なコイン状の形状[2] |
診断・治療:スキンケア・ステロイドのランク・抗真菌薬(脂漏性の場合)
皮膚炎の診断では、いつから・どこに・どんな経過で症状が出ているか、原因として思い当たる物質や生活環境の変化はないかといった問診と、実際に皮膚を診る視診が基本になります。接触皮膚炎が疑われる場合はパッチテストで原因物質を確認し[2]、アトピー性皮膚炎ではアトピー素因の有無や皮疹の分布・経過をあわせて確認します[1]。自己判断でタイプを決めつけず、皮膚科での診察を通じて正しいタイプを見極めることが、適切な治療の第一歩です。
見分け方の実践的なポイントとして、接触皮膚炎は原因物質が触れた場所「だけ」に境界のはっきりした赤みが出て、強いかゆみを伴うことが多く、原因を避ければ比較的早く軽快に向かいます[2]。脂漏性皮膚炎は頭皮・顔・髪の生え際など皮脂の多い場所に、脂ぎった黄色い鱗屑を伴う赤みとして徐々に現れ、慢性的に経過しやすい一方、脱毛を伴わない点が抜け毛の悩みと区別するポイントです[3]。アトピー性皮膚炎は左右対称の好発部位(肘・膝の内側、首、顔など)に、強いかゆみのある湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら慢性的に続くのが特徴で、単発の接触皮膚炎とは経過の長さが異なります[1]。この3タイプは症状が似て見えることがありますが、「原因物質との接触歴があるか」「皮脂の多い部位に限局するか」「左右対称かつ慢性的に繰り返すか」を手がかりに見分けます。
皮膚炎の治療は、まず保湿外用薬による日常的なスキンケアを土台にしたうえで、炎症の強さに応じてステロイド外用薬などの抗炎症外用薬を使い分けるのが基本です[1]。アトピー性皮膚炎の治療目標は、症状がない状態か、あっても軽微で日常生活に支障がない状態を維持することであり、そのためには炎症とかゆみをすみやかに抑える「寛解導入」と、その状態を保つ「維持療法」の両方が重要とされています[1]。
| ランク | 強さの位置づけ | 代表的な使い分けの考え方 |
|---|---|---|
| ストロンゲスト(Ⅰ群) | もっとも強い | 重症の皮疹に短期間、医師の管理下で使用[1] |
| ベリーストロング(Ⅱ群)〜ストロング(Ⅲ群) | 強い〜中間 | 体幹・四肢など皮膚が比較的厚い部位の中等症〜重症に[1] |
| ミディアム(Ⅳ群) | 中程度 | 顔や首など皮膚が薄い部位、軽症の皮疹に[1] |
| ウィーク(Ⅴ群) | 弱い | 乳幼児や顔など、より慎重な部位に[1] |
出典:日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」表8 ステロイド外用薬のランク[1]
ステロイド外用薬は、急性増悪期には1日2回(朝・入浴後の夕方)を原則として使用し、炎症が落ち着いてきたら1日1回に外用回数を減らしていくという使い方が示されています[1]。「個々の皮疹の重症度」に応じてステロイド外用薬のランクを選ぶのが治療の主体であり、症状が改善した後も保湿によるスキンケアを続けながら、抗炎症外用薬を週2回程度など間隔をあけて塗り続ける「プロアクティブ療法」で再燃を抑える方法も有効とされています[1]。ステロイド外用薬のほか、タクロリムス軟膏、デルゴシチニブ軟膏(JAK阻害外用薬)、ジファミラスト軟膏(PDE4阻害外用薬)といった非ステロイド系の抗炎症外用薬も治療の選択肢です[1]。中等症〜重症で外用薬だけでは効果が不十分な場合は、シクロスポリン内服や、デュピルマブ・ネモリズマブ・トラロキヌマブといった生物学的製剤の皮下注、JAK阻害薬の内服が検討されます[1]。
脂漏性皮膚炎では、頭皮の症状に対してマラセチア属の真菌を抑える抗真菌薬(ケトコナゾールなど)を含むシャンプーが使われ、症状が抑えられるまでは週2回、その後は週1回程度の使用が目安とされています[3]。接触皮膚炎では、原因物質を特定してそれを避けることが治療の大前提であり、パッチテストの結果をもとにした生活指導が行われます[2]。
口囲皮膚炎では、原因の候補とされるフッ素入りの歯磨き剤やステロイド外用薬の使用を避け、一部の油性の化粧品(特に保湿剤)も病状を悪化させる傾向があるため使用を控えます[5]。治療には抗菌薬のクリームやゲル、あるいは内服の抗菌薬が用いられます[5]。ここで注意したいのは、口囲皮膚炎自体がステロイド外用薬の使用によって引き起こされている可能性がある点で、自己判断で顔にステロイドを塗り重ねると悪化しかねません[5]。
⚠ ステロイド外用薬は自己判断で急にやめると症状がぶり返すことがあるため、中止や減量は必ず医師の指示に従ってください[1]。また、皮膚炎で皮膚のバリア機能が低下していると、細菌・真菌・ウイルスによる皮膚感染症を合併しやすくなることも報告されています[1]。ステロイド外用薬の局所的な副作用としては、毛細血管拡張・皮膚萎縮・皮膚線条・酒皶様皮膚炎・口囲皮膚炎などが知られており、目や口の周りなど皮膚の薄い部位ではとくに長期連用に注意が必要とされています[1]。つまり、口囲皮膚炎はステロイド外用薬の使い方によって「引き起こされうる」副作用の一つでもあり、顔への自己判断での長期使用がすすめられない理由の一つになっています[1][5]。皮膚炎は体質や環境が絡むため、これらの治療で症状を管理することはできても、「絶対に治る」「すぐにすっかり治りきる」と保証できるものではありません。
受診の目安・危険サイン
皮膚炎の多くは緊急性が高くありませんが、なかには自己判断のケアを続けることでかえって悪化したり、原因が特定できないまま長引いたりするケースがあります。次のような場合は自己判断でのケアを続けず、早めに皮膚科を受診してください。
| サイン | 考えられること |
|---|---|
| 市販の保湿剤やかゆみ止めを数日使っても改善しない、または悪化する | アレルギー性接触皮膚炎や別のタイプの皮膚炎の可能性[2] |
| かゆみが強く眠れない・広範囲に広がる | アトピー性皮膚炎など、外用薬の見直しが必要な状態[1] |
| 顔や口の周りにステロイド外用薬を長く使っていて発疹が広がってきた | 口囲皮膚炎の可能性。自己判断で塗る量を増やさない[5] |
| 日光に当たった部分だけに水疱やひどい赤みが出た | 光毒性・光アレルギー性の皮膚炎の可能性[4] |
| ジクジクした滲出液や膿、発熱を伴う | 細菌の二次感染を起こしている可能性があり、自己流のケアでは悪化しやすい |
とくに、症状が急速に全身へ広がる場合や、発熱・強い倦怠感を伴う場合は重篤な皮膚症状のサインであることもあるため、様子見をせずすぐに医療機関を受診してください。
妊娠可能年齢の女性は口囲皮膚炎が起こりやすい層とされており[5]、また乳幼児期に発症するアトピー性皮膚炎・脂漏性皮膚炎は経過の見通しが成人と異なるため[1][3]、妊娠中の方や小さな子どもの皮膚症状は自己判断せず、早めに医療機関(皮膚科・小児科)に相談してください。
日常ケア・予防
皮膚炎全般に共通する予防・悪化防止の基本は、①刺激になりうる物質(原因が分かっている場合はそれを含む)との接触を避ける、②保湿によって皮膚のバリア機能を保つ、③強くこすらない・かきむしらないことです[1][2]。
- 接触皮膚炎:原因と特定された物質(金属・化粧品・うるしなど)を避ける。うるし等の植物にはできるだけ触れず、触れた可能性がある場合は早めに石けんで洗い流す[2]。
- 脂漏性皮膚炎:頭皮を清潔に保ち、症状に応じて抗真菌薬入りシャンプーを規則的に使用する[3]。
- アトピー性皮膚炎:保湿外用薬による日常的なスキンケアを続け、症状が良くなっても自己判断で治療を中断しない[1]。
- 日光皮膚炎:日焼け止めや日傘・帽子などで紫外線を避ける。光アレルギーが疑われる薬剤・化粧品を使っている場合は医師・薬剤師に相談する[4]。
- 口囲皮膚炎:顔へのステロイド外用薬の自己判断での長期使用は避ける[5]。フッ素入り歯磨き剤や油性の保湿剤・化粧品も、悪化因子として使用を控えるよう案内されることがあります[5]。
皮膚炎はタイプが異なっても「刺激を避ける」「保湿でバリア機能を保つ」「自己判断で薬を増減しない」という3点は共通の土台です。かゆくても強くこすらず、爪を短く整えて無意識のかきむしりによる悪化・感染を防ぐことも大切です。入浴時は熱すぎるお湯や強くこすり洗いする習慣を避け、体を洗ったあとはできるだけ早く保湿外用薬を塗ることも、バリア機能を保つうえで基本的なケアとして案内されています[1]。
医療費の目安
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
よくある質問(FAQ)
皮膚炎と湿疹はどう違いますか?
接触皮膚炎(かぶれ)の原因はどうやって調べますか?
脂漏性皮膚炎は何が原因ですか?
アトピー性皮膚炎はすっかり治りますか?
ステロイド外用薬は自己判断でやめてもいいですか?
日光に当たった部分だけ赤くなったり水疱ができたりするのはなぜですか?
口の周りだけ赤いブツブツができました。何が原因ですか?
うるし(ウルシ)に触れるとかぶれるのはなぜですか?
脂漏性皮膚炎の頭皮症状にはどんなケアが有効ですか?
皮膚炎が悪化しやすいタイミングはありますか?
貨幣状湿疹とはどんな湿疹ですか?
市販薬だけで皮膚炎は治りますか?
ステロイド外用薬はいつまで塗り続ければいいですか?
治療をやめるとまたぶり返すのはなぜですか?
皮膚炎の治療で使うステロイド外用薬に強さの違いはありますか?
金属アレルギーによる接触皮膚炎はどんな金属で起こりやすいですか?
皮膚炎かなと思ったら何科を受診すればいいですか?
染毛剤(ヘアカラー)でかぶれたことがあります。同じ製品を使い続けても大丈夫ですか?
皮膚炎に関する記事一覧
記事一覧 13件
基礎知識・原因 2
食事・生活 1
治療・薬 8
- ウルシかぶれ(接触皮膚炎)の症状・見分け方・治療法|皮膚科医が解説
- ペニスのかゆみ:性病?皮膚炎?原因別の症状・写真・治療法を徹底解説
- 日光性皮膚炎の全貌:紫外線(UV)の科学的理解から最新の予防・治療戦略まで
- 脂漏性皮膚炎の治し方、医師が推奨しない「自然療法」と科学的セルフケア
- 脂漏性皮膚炎はどんな薬で治療する?正しいシャンプー選びとスキンケア・セルフケアを徹底解説
- 頭皮のカビが顔に?脂漏性皮膚炎と白癬(たむし)の見分け方と専門医による治療法のすべて
- 顔のカビ(真菌)完全ガイド:皮膚科専門医が教える顔面白癬・脂漏性皮膚炎の見分け方と治療法
- 顔の脂漏性皮膚炎は自然治癒しない?皮膚科専門医が原因・最新治療・セルフケアを徹底解説
その他 2
本記事は、日本皮膚科学会の診療ガイドラインおよびMSDマニュアル家庭版を参照して作成していますが、個々の症状の診断・治療方針は必ず皮膚科医にご相談ください。掲載していない皮膚炎のタイプ(脂漏性湿疹以外の乳児湿疹、うっ滞性皮膚炎など)や、記載のない体質・既往歴による例外については、今回参照した資料には記載が見当たりませんでした。「原因不明の皮膚炎が長引く」「市販薬を試しても改善しない」といった場合も、自己判断で様子を見続けず、皮膚科での相談を検討してください。
参考文献
- 公益社団法人日本皮膚科学会・一般社団法人日本アレルギー学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」 dermatol.or.jp
- 日本皮膚科学会接触皮膚炎診療ガイドライン改定委員会「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」 dermatol.or.jp
- MSDマニュアル家庭版「脂漏性皮膚炎」 msdmanuals.com
- MSDマニュアル家庭版「光線過敏反応」 msdmanuals.com
- MSDマニュアル家庭版「口囲皮膚炎」 msdmanuals.com
