精巣がん
最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)
✦ 結論から言うと
精巣がん(精巣腫瘍)は20〜30代の男性に多く発生する比較的まれながんで、多くの場合「痛みを伴わないしこり・腫れ」として気づかれます[1]。転移があっても化学療法が非常によく効くがんとして知られ、早期(ステージI)で見つかれば5年生存率はほぼ98〜99%、転移がある進行例でも適切な治療でIGCCCG予後良好群の5年生存率は90%台に達します[1]。自己触診で「いつもと違う硬さ・大きさ」に気づいたら、痛みがなくても数日以内に泌尿器科を受診してください。
| 好発年齢 | 診断時の平均年齢39.8歳、発症のピークは30〜40歳代(50歳以上も約18%を占める)[1] |
|---|---|
| 主な症状 | 片側の精巣(睾丸)の無痛性の腫れ・しこり。痛みを伴う場合は精巣炎・精索捻転など別の病気の可能性[2] |
| 受診の目安 | 無痛性のしこり→数日以内に泌尿器科/突然の激しい痛みと腫れ→直ちに救急外来(精索捻転の可能性、golden timeは発症後6〜10時間)[2] |
精巣がんとは?無痛性のしこりができる仕組み
精巣がん(精巣腫瘍)は、精子をつくる精巣(睾丸)の細胞から発生する悪性腫瘍で、そのほとんどは「胚細胞腫瘍」と呼ばれるタイプです[1]。精巣がんの罹患率は多くの国で増加傾向にあり、日本でも1970年代の1.3例/10万人年から近年は2.5例/10万人年まで上昇しています[1]。一方で死亡率は先進国を中心に低下しており、化学療法の進歩によって「かかる人は増えているが、亡くなる人は減っている」がんです。国内の年間平均死亡者数は2005〜2009年の92人から2016〜2020年には70人に減少しました[1]。
症状の多くは痛みを伴わないため、本人が入浴中や着替えの際に「片方だけ硬い・重い・大きい」と気づくことがきっかけになります[2]。精巣がんの多くは片側の精巣内で腫瘍が育つにつれて精巣全体が硬く腫大していくため、痛みがないからといって様子見を続けると発見が遅れる可能性があります。日本泌尿器科学会のガイドラインでは、精巣がんや停留精巣の既往などの特別なリスクがない場合、定期的な画像検査によるスクリーニングまでは推奨されていませんが、自己触診で変化に早く気づく啓発が重要とされています[1]。
精巣がんは比較的早期から転移をきたしやすく悪性度が高いことでも知られていますが、「転移する=治らない」という意味ではありません。診断時点で約50%はすでに転移のないステージIのセミノーマであり、経過観察や補助化学療法で対応します。残りのうち約30%は診断時にすでに転移のある進行性のがんとして見つかりますが、抗がん剤シスプラチンを中心とした化学療法が著効するため、転移のある症例でも80%以上を治癒に導けるようになっています[1]。精巣がんは、小児期にも小さな発生のピークがあるものの、最大のピークは30〜40歳代、これに40〜50歳代が続くとされ、働き盛り・子育て世代にとって特に知っておく価値のあるがんです[1]。
何がリスクを高めるのか:家族歴・停留精巣・不妊
精巣がんの発生には遺伝的因子と環境因子の両方が関わっています。家族に精巣がんの人がいる場合、父親が精巣がんであれば本人のリスクは4倍、兄弟が精巣がんであれば8倍、環境因子も共有する兄弟では10倍以上になるとされています[1]。停留精巣(生まれつき精巣が陰嚢内に降りてきていない状態)は確立したリスク因子で、メタアナリシスでは2.9〜4.0倍のリスク上昇が報告されています[1]。手術(精巣固定術)を受けた年齢によってもリスクは異なり、13歳未満で手術を受けた場合は2.23倍、13歳以上での手術では5.40倍とする大規模なスウェーデンの解析があります[1]。
そのほか、不妊症と診断された男性は2.4倍、精液検査に異常のある不妊男性では20倍のリスクがあるとする報告や、高身長・尿道下裂(2.4倍)・鼠径ヘルニア(1.4倍)との関連も指摘されています[1]。精巣がんにかかった人は反対側の精巣にも精巣がんが発生するリスクが一般の17.6倍高く、このリスクは診断後20年間続きますが、20年間の累積発生率自体は2.2%にとどまります[1]。
診断の目安となる数値・基準
| 検査・項目 | 基準・数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 精巣超音波検査 | 血流の豊富な充実性腫瘤(echogenic) | 精巣がんを疑った場合に最初に行う検査[1] |
| 腫瘍マーカーAFP | 半減期 約7日 | 高位精巣摘除術後の下がり方でS分類(病期)を判定[1] |
| 腫瘍マーカーhCG | 半減期 約3日 | 絨毛がん成分があると特に上昇しやすい[1] |
| LDH | 正常上限値の何倍かで評価 | 転移例の予後を反映し、IGCCCGリスク分類にも使用[1] |
| 臨床病期 | 0期〜III期(TNM第8版) | ⅠA・ⅠB・ⅠS、ⅡA〜ⅡC、ⅢA〜ⅢCに細分[1] |
出典:日本泌尿器科学会「精巣癌診療ガイドライン2024年版」(2024年)[1]
IGCCCG予後分類:セミノーマと非セミノーマで判定基準が違う
転移のある精巣がんの治療方針は、国際的に使われているIGCCCG(International Germ Cell Consensus Classification)という予後分類で決まります[1]。セミノーマは「予後良好群」か「予後中間群」の2区分しかなく、予後不良群に分類されるセミノーマは基本的に存在しません。一方、非セミノーマは腫瘍マーカーの値と転移部位によって「予後良好群」「予後中間群」「予後不良群」の3区分に分かれます[1]。この違いは、セミノーマが元々化学療法・放射線療法への感受性が高く、非セミノーマに比べて予後がよい組織型であることの裏返しでもあります。
| 予後群 | 非セミノーマの基準 | セミノーマの基準 |
|---|---|---|
| 予後良好 | 肺以外への転移なし、かつAFP<1,000ng/mL・hCG<5,000IU/L・LDH<正常上限の1.5倍 | 肺以外への転移なし(AFPは正常範囲。hCG・LDHは問わない) |
| 予後中間 | 肺以外への転移なし、かつAFP1,000〜10,000ng/mLまたはhCG5,000〜50,000IU/Lまたは LDHが正常上限の1.5〜10倍 | 肺以外への転移あり(AFPは正常範囲。hCG・LDHは問わない) |
| 予後不良 | 縦隔原発、または肺以外への転移あり、またはAFP>10,000ng/mL・hCG>50,000IU/L・LDHが正常上限の10倍超のいずれか | 該当なし |
出典:日本泌尿器科学会「精巣癌診療ガイドライン2024年版」表4 IGCCCG分類(2024年)[1]
検査の流れ:超音波からCT・腫瘍マーカーまで
精巣がんが疑われた場合、最初に行われるのは精巣の超音波(エコー)検査です。腫瘍が「echogenic(超音波でよく反射する)」かつ「血流の豊富な充実性腫瘤」として描出されれば悪性が疑われます[1]。超音波だけで良性・悪性の判断が難しい場合や悪性リンパ腫との鑑別が必要な場合はMRI検査を追加することもありますが、精巣内に限局する充実性腫瘍であれば、鑑別を待たずに準緊急で高位精巣摘除術(精巣を摘出して病理検査する手術)に進み、MRIを省略することも少なくありません[1]。まれに、後腹膜(お腹の奥)のリンパ節転移や腫瘍が先に見つかり、そこから精巣がんが逆に発見されるケースもあるため、原因不明の後腹膜腫瘍が見つかった場合は腫瘍マーカーの測定と精巣超音波検査もあわせて行う必要があるとされています[1]。
精巣がんと診断されたあとは、転移の有無を調べる病期診断に進みます。精巣がんは後腹膜のリンパ節や縦隔(胸の中央部)のリンパ節に転移しやすいため、胸部・腹部・骨盤部の造影CT検査で転移を確認します[1]。セミノーマで腫瘍マーカーが陰性、腹部に転移がなく、胸部X線にも異常がない場合は、胸部CTを省略することも検討されます。造影剤が使えない体質の患者では、腹部MRIで後腹膜・骨盤リンパ節を評価し、その後の経過観察も同じ画像検査方法で統一するのが基本です[1]。
陰嚢水腫・精巣上体炎・精索捻転との見分け方
「陰嚢(睾丸まわり)が大きい・腫れている」という症状は精巣がん以外にもいくつかの病気で起こります。日本泌尿器科学会は、陰嚢水腫(陰嚢内に水がたまる病気で原因不明のことが多い)、精巣上体炎・精巣炎(感染症で痛みを伴う)、精索捻転(精索がねじれる緊急疾患で強い痛みを伴う)を主な鑑別疾患としてあげています[2]。
| 項目 | 精巣がん | 陰嚢水腫 | 精索捻転 |
|---|---|---|---|
| 痛み | 通常なし[2] | 通常なし[2] | 突然の激しい痛み[2] |
| 好発年齢 | 青壮年期(20〜30代)[2] | 幅広い年齢 | 思春期前後に多い |
| 緊急性 | 数日以内の受診でよい | 緊急性は低い | 発症後6〜10時間のgolden time内に手術が必要[2] |
見分けるカギ:「痛みの有無」と「発症の速さ」です。数分〜数時間で急激に痛みが強くなる場合は精索捻転を疑い、痛みがなくじわじわと大きくなる・硬くなる場合は精巣がんを念頭に置いて受診してください[2]。
経過と治療:病期別のケア
精巣がんが疑われた場合、まず精巣を摘出する「高位精巣摘除術」を行い、摘出した組織を病理検査してセミノーマか非セミノーマかを確定させます[1]。この手術は診断(生検)と治療を兼ねており、TNM分類上も生検として扱われます[1]。その後、画像検査と血液検査で転移の有無を調べ、病期・IGCCCG予後分類に応じて追加治療を決めます。
ステージIセミノーマ(転移なし・約75%がここで見つかる):経過観察、またはカルボプラチン単剤を1〜2コース投与します[1]。どちらを選んでも精巣摘除後の癌特異的生存率はほぼ98〜99%に達します[1]。
ステージI非セミノーマ(約65%がここで見つかる):無治療で経過観察した場合、約30%で再発しますが、再発しても救済治療でほとんどが治癒します[1]。血管・リンパ管への浸潤がある場合は再発リスクがさらに高いため、経過観察のほか、後腹膜リンパ節郭清やBEP療法1コースの補助化学療法が選択肢になります[1]。
ステージIIA・IIB セミノーマ:傍大動脈と患側の総腸骨動脈領域への放射線照射(IIAは約30Gy、IIBは約36Gy)が標準ですが、化学療法(カルボプラチンやBEP療法)も選択肢です[1]。
ステージIIC以上・転移のある進行がん:IGCCCGの予後群に応じて導入化学療法を行います。予後良好群はBEP療法3コースまたはEP療法4コース、予後中間群・予後不良群はBEP療法4コースが標準です[1]。化学療法後にCTなどで残存腫瘍が確認された場合は、摘除手術で奇形腫か癌細胞が残っているかを確認し、必要に応じて追加の化学療法(救済化学療法)を行います[1]。
両側同時発生・単精巣の場合の精巣部分摘除術:精巣超音波検査の普及により、偶然発見される小さな精巣内病変が増えています。男性不妊や精索静脈瘤の精査で超音波を行った約1,300例の解析では、約2%に直径3〜24mmの限局病変が見つかり、うち約6割は触診でも分かるほどでしたが、そのうち約80%は良性で精巣を温存できる病変だったと報告されています[1]。ただし精巣がんが疑われる場合、精巣部分摘除術(精巣を残す手術)が検討されるのは、両側同時に精巣がんが発生した場合や、片方の精巣がすでにない「単精巣」の場合に限られ、適応の判断や手術手技には専門性が求められるため実施できる施設は限られています[1]。片側のみに精巣がんができた一般的なケースでは、多くの場合、高位精巣摘除術(患側の精巣をすべて摘出する手術)が選ばれます。
妊孕性温存:治療前に考えておきたいこと
精巣がんの治療(精巣摘除・化学療法・放射線療法・後腹膜リンパ節郭清)は、いずれも将来子どもをもつ力(妊孕性)に影響しうるため、治療開始前の対応が重要です[1]。診断時点ですでに6〜24%の患者が無精子症、約50%が乏精子症の状態にあるとされ、片側の精巣を摘出するとさらに精液の状態が悪化することが報告されているため、精巣摘除より前の精子凍結保存が推奨されています[1]。
射精による採取が難しい場合は電気射精や精巣内精子採取術(TESE)が検討され、回収率はそれぞれ約60%、約33%と報告されています[1]。化学療法(シスプラチン併用BEP療法など)を受けても、多くの場合は治療後に造精機能が回復します。中央値12年の長期追跡研究では、BEP療法を2コース・3コース・4コース受けた患者のうち、12年以内に妊娠に成功した割合はそれぞれ100%・83%・76%でした[1]。ただし第1子出産までの期間は中央値でそれぞれ3.1年・4.8年・6.4年と、実際に妊娠に至るまでには時間がかかる傾向があります[1]。
凍結精子の実際の使用率は国内の多施設共同研究で21%、使用した場合の挙児成功率は61%と報告されています[1]。精子の凍結保存自体は保険適用外診療ですが、国と自治体による助成金制度(小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業)が整えられつつあり、日本泌尿器科学会が認めた登録施設で保存すれば助成の対象になります[1]。治療を担当する医師から妊孕性温存の説明がない場合は、こちらから「精子凍結保存はできますか」と相談することをおすすめします。
化学療法の主な副作用:ブレオマイシン肺障害・聴神経障害・末梢神経障害
進行がんの標準治療であるBEP療法(ブレオマイシン+エトポシド+シスプラチン)は、転移のある精巣がんを高い確率で治癒に導く一方、特有の副作用にも注意が必要です。ブレオマイシンは肺障害(間質性肺炎)を起こすリスクがあり、腎機能が低下している患者や喫煙者などではこのリスクがさらに高まるとされ、リスクが高い場合はブレオマイシンを含まないEP療法やVIP療法へ変更することがあります[1]。
シスプラチンを中心とした化学療法は、聴神経障害(耳鳴り・高音域を中心とした聴力低下)を起こすことがあり、BEP療法を受けた患者の20〜25%に長期にわたって認められると報告されています[1]。また、手足の先がしびれる「手袋靴下型」の末梢神経障害は、導入化学療法を受けた患者の25〜35%に生じ、シスプラチンを5コース以上受けるとさらに頻度が高まります[1]。パクリタキセルを併用した場合は約40%に末梢神経障害が生じ、BEP療法に追加すると単独療法に比べて約7%頻度が増加するとされています[1]。治療中に手足の冷却や圧迫療法を行うことで末梢神経障害を予防できる可能性が報告されていますが、凍傷などの別のリスクもあるため、実施する場合は必ず医療スタッフの管理のもとで行ってください[1]。これらの副作用は治療の効果を否定するものではなく、事前に知っておくことで治療中の変化に早く気づき、主治医に相談しやすくなるための情報です。
治療後のフォローアップと晩期合併症:治って終わりではない
精巣がんは治療成績が非常によいがんですが、治療後は再発を早期に見つけるための定期的なフォローアップ(血液検査での腫瘍マーカー測定、CT検査、胸部X線など)を年単位で続ける必要があります[1]。一方で通院が長期にわたるため、経過観察を自己判断で中断してしまう「ロストフォローアップ」も課題です。海外の報告では、経過観察開始から1年後・2年後・3年後のロストフォローアップ率がそれぞれ9%・9%・19%、別の報告では14%・38%・71%にのぼったとされ、診断時36歳未満の若い患者や症例数の多い施設ほどロストフォローアップのリスクが高い傾向が指摘されています[1]。「治った気がするから通院をやめる」という判断は避け、主治医が示す間隔を守ることが重要です。
化学療法・放射線療法を受けた患者では、数年〜数十年後に現れる「晩期合併症」にも注意が必要です。シスプラチンを中心とした化学療法後は心血管疾患(CVD)の相対危険度が上昇し、その発症頻度は約8%、これは喫煙によるCVDリスクとほぼ同等と報告されています[1]。後腹膜領域への予防的放射線照射を受けた患者を中央値20年間観察した報告では、狭心症などの動脈硬化性疾患のハザード比が放射線療法群で2.3倍、化学療法群で2.6倍に上昇していました[1]。一方、ステージIセミノーマを対象にした検討では、心血管系合併症の発症率は予防的放射線照射で16%だったのに対し、カルボプラチンによる予防投与では0%だったとする報告もあり、治療法選択の際の材料になります[1]。また、化学療法を受けた患者は外科手術のみの患者と比べて膀胱がんの発症リスクが約5倍、化学療法に放射線療法を併用した場合は胃がんの発症リスクが24倍上昇したとするノルウェーの癌登録の報告もあり、長期的な二次がんのリスクも念頭に置いたフォローアップが推奨されます[1]。こうした晩期合併症のリスクは「治療をしない・遅らせる」理由にはなりません。精巣がんは無治療なら命に関わる一方、適切な治療を受ければ大多数が治るがんであるため、主治医とリスク・ベネフィットを共有したうえで治療法を選ぶことが大切です。
受診の目安:今すぐ救急外来か、数日以内の予約受診か
片方の精巣に痛みのないしこり・硬さ・重さの変化に気づいたら、緊急性は高くありませんが数日以内に泌尿器科を受診してください[2]。一方、突然の激しい痛みと腫れが同時に起きた場合は精索捻転の可能性があり、発症後6〜10時間のgolden time内に手術できるかどうかで精巣を残せるかが決まるため、直ちに救急外来を受診してください[2]。発熱・排尿時の痛みを伴う腫れは精巣上体炎・精巣炎の可能性があり、この場合も早めの受診が必要です[2]。何科に行けばよいか迷う場合は「泌尿器科」を選んでください。かかりつけの内科などで診てもらう場合も、最終的には泌尿器科への紹介につながりますので、遠慮せず気になる症状を伝えて相談してください。
日本とEAU(欧州泌尿器科学会)のガイドライン比較
| 項目 | 日本(日本泌尿器科学会 2024年版) | 欧州(EAU Guidelines 2024) |
|---|---|---|
| ステージIセミノーマの標準方針 | 経過観察またはカルボプラチン単剤1〜2コースを並列の選択肢として提示[1] | 腫瘍径4cm超・精巣網浸潤という2つのリスク因子で層別化し、リスク因子がなければ経過観察を第一選択として推奨(「強い推奨」)[3] |
| ステージIセミノーマの再発率の目安 | 個別の再発率の数値は総論に明記せず、経過観察・カルボプラチンいずれでも生存率はほぼ98〜99%と強調[1] | リスク因子なしで経過観察した場合の再発率6〜8%、リスク因子ありで15〜20%、カルボプラチン後の再発率は約5%(AUC7を1コース)[3] |
| ステージI非セミノーマの鍵となる予後因子 | 血管・リンパ管浸潤の有無で再発リスクが変わると記載[1] | 血管・リンパ管浸潤(LVI)を「最も再現性の高い予後因子」と明記し、LVIなしなら経過観察15%前後、LVIありなら経過観察で最大50%が再発しうると具体的に数値化[3] |
両者の方針の大枠(早期がんは治療を抑えても生存率がほぼ変わらない)は一致していますが、EAUガイドラインは腫瘍径や精巣網浸潤・血管浸潤の有無で治療の強さを個別に決める「リスク層別化」をより具体的な数値とともに前面に出しているのに対し、日本のガイドラインは経過観察とカルボプラチンを並列の選択肢として示すにとどまっている点が異なります[1][3]。どちらを選ぶべきかは主治医と病理結果(腫瘍径・浸潤の有無)をもとに相談してください。日本で治療を受ける場合でも、海外ガイドラインのリスク層別化の考え方を知っておくと、主治医への質問(「腫瘍径は何センチでしたか」「精巣網への浸潤はありましたか」)がより具体的になります。
医療費の目安
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
精巣がんの治療(手術・化学療法・放射線療法)は健康保険の対象で、高額療養費制度を利用すれば自己負担の上限を抑えられます。一方、妊孕性温存のための精子凍結保存やTESEは保険適用外の自由診療で、国・自治体の助成金制度の対象になる場合があります(前述の妊孕性温存の項目を参照)[1]。
よくある質問(FAQ)
精巣がんは何歳くらいの人がなりやすいですか?
片方の精巣が少し大きい・硬い気がしますが、痛みはありません。様子を見てよいですか?
セミノーマと非セミノーマの違いは何ですか?
転移があっても治りますか?
治療後、子どもをつくることはできますか?
自己触診はどうやればよいですか?
精巣がんの原因は何ですか?防ぐ方法はありますか?
片方の精巣を摘出したら、もう片方はどうなりますか?
精索捻転と精巣がんはどう違いますか?
治療でどんな副作用がありますか?
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治療・薬 5
その他 1
セミノーマ・非セミノーマそれぞれの詳細な組織分類(GCNIS由来かどうかなど)や、思春期前の小児に発生する胚細胞腫瘍との違いについては、今回参照した資料には専門的な分類の記載はあるものの、一般の方向けにかみ砕いた説明までは見当たりませんでした。
参考文献
- 日本泌尿器科学会「精巣癌診療ガイドライン2024年版」金原出版 2024年 urol.or.jp/精巣癌診療ガイドライン2024
- 日本泌尿器科学会「睾丸(精巣)が腫れてきた・陰嚢(内容)が大きくなってきた」 urol.or.jp/症状から探す
- European Association of Urology「EAU Guidelines on Testicular Cancer」2024年版 uroweb.org/Testicular Cancer Guidelines
- 国立がん研究センター がん情報サービス「胚細胞腫瘍(成人)」 ganjoho.jp/胚細胞腫瘍(成人)
