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JHO 病気ペディア

結膜炎

最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)

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✦ 結論から言うと

結膜炎(けつまくえん)とは、白目とまぶたの裏側をおおう粘膜「結膜」に炎症が起こり、目の赤み・充血・目やに・かゆみ・涙・異物感といった症状が出る状態の総称で、原因によって「アレルギー性結膜炎」「ウイルス性結膜炎」「細菌性結膜炎」の大きく3タイプに分かれる[1]。日本眼科学会は、アレルギー性結膜炎は花粉やハウスダストなどが原因でかゆみが強く「うつらない」タイプであるとする一方[1]、ウイルス性結膜炎のうち感染力の強い「はやり目」(流行性角結膜炎・咽頭結膜熱など)は人にうつりやすく、学校保健安全法施行規則でも出席停止の対象になると位置づけている[2][6]。この記事では、3タイプそれぞれの症状・原因・感染性の違い、感染対策と出席停止・出勤の考え方、受診の目安、治療の一般的な考え方までを、日本眼科学会・日本眼科医会・国立感染症研究所(現・国立健康危機管理研究機構)・文部科学省などの公的資料にもとづいて整理する。

原因 アレルギー(花粉・ハウスダストなど)、ウイルス(アデノウイルスなど)、細菌(ぶどう球菌など)の3タイプに大別される[1][2]
主な症状 目の赤み・充血、目やに、かゆみ、涙、異物感。タイプによってかゆみの強さ・目やにの色や量・充血の強さが異なる[1][2]
受診の目安 強い痛み・視力低下・光がまぶしい・大量の目やに・症状が長引く場合や、片目から急に強い充血が広がった場合は早めに眼科を受診する[2][4]

結膜炎とは?白目とまぶたの裏に炎症が起こる仕組み

結膜は、まぶたの裏側から白目(強膜)の表面をおおう薄く透明な粘膜で、まばたきのたびに眼球表面をなめらかに保ち、外部からのホコリや異物、細菌・ウイルスから目を守る役割を担っている。この結膜に炎症が起こった状態が結膜炎で、日本眼科学会は結膜炎になると「白目が充血して赤くなり、『めやに』がでたり、涙がでたりします」と説明している[2]。結膜には毛細血管が豊富に走っているため、炎症が起こると血管が拡張して充血として目に見え、また炎症を起こした組織や体を守るための免疫細胞・分泌物が「目やに」として現れる。かゆみや異物感、涙といった症状も、こうした炎症反応の一部として起こるものであり、症状の組み合わせ方や強さが、原因タイプを見分けるための手がかりになる。

結膜炎を引き起こす原因は大きく3つに分けられる。ひとつは花粉やハウスダストなどのアレルゲンに対する免疫反応として起こる「アレルギー性結膜炎」、ふたつめはアデノウイルスなどのウイルス感染による「ウイルス性結膜炎」、みっつめはぶどう球菌などの細菌感染による「細菌性結膜炎」である[1][2]。同じ「目の充血・目やに」という症状であっても、この3タイプは原因も感染性(人にうつるかどうか)も治療の考え方もまったく異なる。とくにウイルス性結膜炎の一部(いわゆる「はやり目」)は感染力が非常に強く、家庭内や学校・職場での集団感染につながりやすいため、正しく区別して対応することが重要になる[2][4]。以下では、この3タイプをそれぞれ詳しく見ていく。

3タイプの見分け方:アレルギー性・ウイルス性・細菌性の違い

結膜炎の対応を考えるうえでもっとも大切なのは、目の前の症状がどのタイプに近いかを大まかに把握することである。ただし、これはあくまで受診時の目安であり、症状だけで確実に区別できるわけではない点には注意が必要である。一般的な鑑別の目安として、細菌性結膜炎では黄色っぽい膿性の目やにが出やすく濾胞(結膜にできる小さな粒状の隆起)ができにくいのに対し、ウイルス性結膜炎では濾胞ができやすいといった特徴の違いが知られています。

アレルギー性結膜炎はかゆみが強く人にはうつらない[1]。ウイルス性結膜炎のうち「はやり目」は強い充血と大量のめやにを伴い、感染力が強くうつりやすい[2][4]。細菌性結膜炎は黄色く粘る目やにが特徴とされる。
3タイプの比較(一般的な整理)
項目 アレルギー性結膜炎 ウイルス性結膜炎(はやり目) 細菌性結膜炎
主な原因 花粉・ハウスダストなどのアレルゲン[1] アデノウイルスなど[2][4] ぶどう球菌・肺炎球菌など[2]
かゆみ 強い(こすってしまうほど)[3] 異物感・ゴロゴロ感が中心[2] 軽度〜中等度
目やに 水っぽい〜やや粘る[1] 大量に出ることがある(EKCで顕著)[2] 黄色く粘り気のある膿性が多い
うつるか うつらない[3] 感染力が強くうつる(はやり目)[4] 目やにや手指を介して接触でうつることがある
片目/両目 通常は両目[1] 片目から始まり両目に広がりやすい[4] 片目から始まることが多い
主な治療 抗アレルギー点眼薬、重症例はステロイド点眼[1] 特効薬はなく対症療法が中心[2] 抗菌点眼薬

見分けるカギ:かゆみが目立ち左右対称に近い症状であればアレルギー性、大量の目やみと強い充血が急に片目から起こり耳の前のリンパ節が腫れて痛む場合はウイルス性(とくに流行性角結膜炎)、黄色く粘る目やにが目立つ場合は細菌性を疑う目安になる[1][2]。ただし3タイプの症状は重なり合うこともあり、混合感染(ウイルス性に細菌が二次感染するなど)が起こることもあるため[2]、あくまで受診前の目安として捉え、最終的な診断は眼科で受けることが原則である。

アレルギー性結膜炎:症状・原因・治療

日本眼科学会は、アレルギー性結膜炎を「目に起きる色々なアレルギー疾患の総称」と説明しており、花粉やハウスダストなどのアレルゲンに対する免疫反応として、結膜の炎症と掻痒感(かゆみ)、眼がゴロゴロする異物感、めやに、涙が出るといった症状が起こるとしている[1]。公益社団法人日本眼科医会も、アレルギー性結膜炎の症状について「充血、目やに、なみだ目といった結膜炎の症状に加え、目がかゆくなるのが特徴です。思わず目をゴシゴシこすってしまうほどのかゆみです」と述べており、かゆみの強さが他タイプとの大きな違いになる[3]。

発症の仕組みについて日本眼科医会は、「アレルゲンとIgE抗体という免疫グロブリンが抗原抗体反応をおこし、15分位で充血やかゆみなどの反応がでてくる、即時型(I型)アレルギーでおこります」と説明している[3]。花粉やハウスダスト、ダニ、動物の毛といったアレルゲンが目の結膜に触れると、体がこれを異物と認識し、短時間で炎症反応を起こす仕組みである。

日本眼科学会は、アレルギー性結膜炎に含まれる主なタイプとして、花粉症に代表される季節性アレルギー性結膜炎、一年中症状が出る通年性アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎に合併するアトピー性角結膜炎、幼少期の男児に多く重症化しやすい春季カタル、コンタクトレンズなどが原因となる巨大乳頭結膜炎を挙げている[1]。季節性アレルギー性結膜炎はスギ・ヒノキなどの花粉が飛散する時期に一致して症状が出るのに対し、通年性はハウスダストやダニが原因となるため一年を通じて症状が続きやすい。春季カタルや巨大乳頭結膜炎はより重症で、角膜(黒目)にまで炎症が及ぶこともあるため、症状が強い場合は自己判断せず眼科での評価が必要になる。

治療については、日本眼科学会が「薬による治療が中心です。抗アレルギー薬や、重症度によりステロイドの目薬を使用します」としており[1]、日本眼科医会も「スギ花粉症などの季節型アレルギー性結膜炎では、まず抗アレルギー点眼薬を使います」と述べている[3]。抗アレルギー点眼薬だけで症状が改善しない場合には、炎症を強く抑えるステロイド点眼薬が追加されることがあるが、ステロイド点眼薬は眼圧上昇や感染リスクなどの副作用があるため、自己判断での長期使用は避け、医師の指示に従って使用することが基本になる。予防については、日本眼科学会が「防御メガネの使用や、ハウスダストの場合は寝具を清潔に保つなどの対策」を挙げており[1]、花粉の季節には外出時のメガネ着用や帰宅後の洗顔、室内のこまめな清掃が症状の軽減につながる。

アレルギー性結膜炎は人にうつるか:日本眼科医会は「目が赤くても、お友達にうつるわけではありません」と明確に述べており[3]、アレルギー性結膜炎は感染症ではないため、周囲の人にうつす心配はない。学校や職場を休む必要も基本的にはなく、この点がウイルス性結膜炎との大きな違いになる。

春季カタル・アトピー性角結膜炎:子どもや持病がある人の重症型

アレルギー性結膜炎の中でも、春季カタルとアトピー性角結膜炎は、一般的な花粉症の結膜炎よりも重症化しやすいタイプとして知られている。日本眼科学会は、春季カタルについて幼少期の男児に多くみられるタイプとして挙げており[1]、まぶたの裏側に石垣状の乳頭増殖という特徴的な変化が起こり、強いかゆみに加えて角膜に傷がつくこともあるため、単なる花粉症用の市販目薬だけでは対応しきれない場合がある。アトピー性角結膜炎は、アトピー性皮膚炎を持つ人にみられるタイプで[1]、まぶたの皮膚炎と結膜の炎症が同時に起こりやすく、慢性的に経過しやすいことが知られている。これらの重症型は、一般的な抗アレルギー点眼薬だけでは十分に症状が抑えられず、免疫抑制作用のある点眼薬やステロイド点眼薬など、専門的な治療が必要になることがあるため、通常の花粉症の結膜炎と比べて症状が強い、慢性的に繰り返す、視力に影響する違和感があるといった場合は、早めに眼科で相談することが望ましい。

ウイルス性結膜炎(はやり目):流行性角結膜炎・咽頭結膜熱・急性出血性結膜炎

日本眼科学会は、ウイルス性結膜炎のうち「人にうつりやすいものを『はやり目』とよび、これには、流行性角結膜炎、咽頭結膜熱、急性出血性結膜炎の3つがあります」と説明している[2]。いずれもアデノウイルスなどのウイルス感染によって起こり、感染力が強く、家庭内や学校・職場での集団感染を起こしやすい点が、アレルギー性・細菌性とは大きく異なる特徴である。ウイルス性結膜炎全体の症状・潜伏期間・治療の流れをさらに詳しく知りたい方は「ウイルス性結膜炎(はやり目)の症状と対処法の記事もあわせて参考にしてほしい。

流行性角結膜炎(EKC)

国立感染症研究所(現・国立健康危機管理研究機構)は、流行性角結膜炎(EKC)を起こすウイルスについて、「アデノウイルスは51種の血清型および52~67型までのgenotypeが知られているが、EKCを起こすのはD種の8、19、37、53、54および56型である。さらにB群の3、7型および11型、E群の4型も病因となりうる」と説明している[4]。潜伏期間について同研究所は「潜伏期は8~14日である」としており[4]、感染してから1〜2週間ほどの間隔をあけて症状が出ることになる。

症状については、日本眼科学会が「ある日、急に白目が真っ赤になり大量の『めやに』がでます。まぶたがはれ、耳の前にあるリンパ節がはれて触ると痛みがあります」と述べており[2]、国立感染症研究所も「急に発症し、眼瞼の浮腫、流涙を伴う。感染力が強いので両側が感染しやすいが、初発眼の症状がより強い。耳前リンパ節の腫脹を伴う」としている[4]。片方の目から始まり、数日のうちにもう片方の目にも広がることが多く、また「角膜に炎症が及ぶと透明度が低下し、混濁は数年に及ぶことがある」とされており[4]、目の充血が治まった後も見え方への影響が長く残ることがある点は、他の結膜炎にはあまりみられない特徴である。

感染経路について国立感染症研究所は、「流行性角結膜炎患者との接触により感染する。病院の医師、看護婦、さらに職場や家庭などで、ウイルスにより汚染されたティッシュペーパー、タオル、洗面器などに触れるなどして感染する」と説明しており[4]、直接目に触れなくても、ウイルスが付着したものを介した接触感染が主な感染経路になる。予防の基本についても同研究所は「予防の基本は接触感染予防の徹底である。タオルや点眼液など目に接触するものは個人用とする」と明記している[4]。

咽頭結膜熱(プール熱)

咽頭結膜熱は、発熱・のどの痛み・結膜炎の3つを主な症状とする、子どもに多いウイルス感染症である。国立感染症研究所は「アデノウイルスは正20面体構造をとる2本鎖DNAウイルスであり、エンベロープを有しない」としたうえで、流行の主な原因型として3型を挙げ、4型・7型・2型・11型なども関与するとしている[5]。潜伏期間は「潜伏期は5~7日とされている」と説明されており[5]、EKCよりやや短い。

症状について同研究所は「発熱で発症し、頭痛、食欲不振、全身倦怠感とともに、咽頭炎による咽頭痛、結膜炎にともなう」眼の充血・眼痛・羞明(まぶしさ)・流涙・眼脂(目やに)を訴え、「3~5日間程度持続する」と説明している[5]。日本眼科学会も「アデノウイルス3型、4型、7型に感染すると、結膜炎だけでなく、のどの痛みや熱がでる咽頭結膜熱をおこします」と述べており[2]、目の症状だけでなく全身症状を伴う点がEKCとの違いである。夏季にプールを介して流行することがあるため「プール熱」の通称でも知られているが、国立感染症研究所は感染経路について「通常飛沫感染、あるいは手指を介した接触感染であり、結膜あるいは上気道からの感染である」としており[5]、プールの水そのものだけでなく、飛沫や接触による感染も重要な経路である。

日本眼科学会は、便からのウイルス排出についても注意を促しており、「数週間、便の中にウイルスがでています。結膜炎が治ってもすぐにプールの許可がでないのは、このためです」と説明している[2]。目の症状や熱が治まった後も、しばらくの間は排便を介した感染力が残る可能性があるため、学校再開やプールの再開時期は自己判断せず、学校や医療機関の案内に従うことが望ましい。

急性出血性結膜炎

急性出血性結膜炎は、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスなどが原因となる、結膜下出血(白目に赤い出血斑が出る)を伴う急性のウイルス性結膜炎で、日本眼科学会が「はやり目」の3タイプのひとつとして挙げているものである[2]。潜伏期間が1日前後と非常に短く急速に発症するのが特徴とされ、EKCや咽頭結膜熱と同様に感染力が強い。今回参照した資料には、急性出血性結膜炎に特有の潜伏期間や国内での発発生状況を示す統計データの詳細な記載までは見当たりませんでした。そのため、正確な潜伏期間や重症度の目安については、症状が出た際に眼科で直接確認することが望ましい。

ウイルス性結膜炎に特効薬はない:日本眼科学会は、はやり目(ウイルス性結膜炎)には特効薬はなく、炎症をおさえたり細菌の混合感染を予防したりするための点眼薬を使用すると説明しています[2]。ウイルスそのものを直接死滅させる点眼薬は存在せず、治療の中心は炎症を抑える対症療法と、細菌の二次感染を防ぐための抗菌点眼薬の併用になる。多くの場合、体の免疫の働きによって1〜2週間程度で自然に軽快していくが、感染力が強い期間は周囲への感染対策を続ける必要がある。

細菌性結膜炎:症状・原因・治療

細菌性結膜炎は、ぶどう球菌・肺炎球菌・モラクセラ菌・インフルエンザ菌などの細菌が結膜に感染することで起こる結膜炎である。アレルギー性結膜炎のように免疫の過剰反応でもなく、ウイルス性結膜炎のように感染力が非常に強いわけでもない点が特徴で、日本眼科学会が感染性結膜炎の鑑別の中で整理しているように、黄色っぽい膿性の目やにが多く出る一方、ウイルス性結膜炎で見られるような結膜の濾胞(小さな粒状の隆起)はできにくいとされます。目やにの色や粘り気の強さは、ウイルス性か細菌性かを見分けるひとつの手がかりになるが、経過とともに性状が変化することもあるため、目やにの見た目だけで確定的に判断することはできない。

細菌性結膜炎は、目やにや涙、あるいは手指を介した接触によって人にうつることがあるとされ、とくに子どもの間では、目をこすった手でおもちゃや文房具を共有することを介した接触感染がみられることがある。ただし、ウイルス性結膜炎の「はやり目」のような強い感染力とは性質が異なり、通常の手洗いなどの一般的な衛生対策で感染拡大を防ぎやすいとされる。治療は、原因となっている細菌に効果のある抗菌点眼薬を使用することが基本で、正しく点眼を続ければ数日から1週間程度で症状の改善がみられることが多い。ただし、症状の経過や治療期間には個人差があり、今回参照した日本眼科学会・日本眼科医会の資料には、細菌性結膜炎に特化した治療日数や有効率などの具体的な数値データの記載までは見当たらなかった。自己判断で市販の目薬だけに頼って様子を見るのではなく、目やにの量が多い場合や症状が長引く場合には眼科を受診し、原因菌に応じた適切な抗菌点眼薬の処方を受けることが望ましい。抗菌目薬の正しい使い方や薬剤耐性への注意点は「抗菌目薬のすべての記事で詳しく取り上げている。

抗菌点眼薬を使用する際にもうひとつ注意したいのが、自己判断での使い方である。症状が軽くなったからといって医師の指示より早く点眼を中断すると、原因菌が完全に排除されず症状がぶり返したり、その菌に対して抗菌薬が効きにくくなる(薬剤耐性)リスクにつながる可能性がある。逆に、症状が改善しないからといって同じ抗菌点眼薬を自己判断で長期間漫然と使い続けることも望ましくなく、数日使用しても改善がみられない場合は、原因菌の見直しや検査も含めて医師に相談することが基本になる。新生児期にみられる結膜炎(新生児結膜炎)は、産道感染など通常の細菌性結膜炎とは異なる背景を持つことがあり、特別な注意が必要とされているが、今回参照した日本眼科学会・日本眼科医会の資料には、新生児結膜炎に特化した基準の詳細な記載までは見当たらなかったため、生後間もない赤ちゃんの目やに・充血については、自己判断せず速やかに小児科・眼科に相談してほしい。

感染対策:ウイルス性結膜炎(はやり目)はどう防ぐか

ウイルス性結膜炎、とくに流行性角結膜炎や咽頭結膜熱などの「はやり目」は感染力が強く、家庭内・学校・職場での集団感染につながりやすい。国立感染症研究所は流行性角結膜炎の予防について「予防の基本は接触感染予防の徹底である。タオルや点眼液など目に接触するものは個人用とする」と明記しており[4]、感染対策の中心は「目に触れるものを共有しない」ことに尽きる。具体的には、次のような点に注意する必要がある。

ウイルス性結膜炎の感染対策の要点
対策 内容 理由
手洗い 目を触った後、点眼した後はすぐに石けんでしっかり手を洗う ウイルスが手指を介して他人や自分の反対側の目に広がるのを防ぐ[4]
タオル・目薬の共用禁止 タオル、手ぬぐい、洗面器、点眼液などは個人専用にする 汚染された物品を介した接触感染が主な感染経路であるため[4]
目をこすらない かゆみ・異物感があっても目をこすらない 反対側の目や周囲への感染拡大、症状の悪化を防ぐ
寝具・衣類 枕カバーやシーツをこまめに交換する 目やにや涙に含まれるウイルスの付着を減らす

出典:国立感染症研究所(現・国立健康危機管理研究機構)「流行性角結膜炎(詳細版)」[4]

なお、アレルギー性結膜炎は日本眼科医会が「目が赤くても、お友達にうつるわけではありません」と述べているとおり感染性ではないため[3]、これらの感染対策は基本的に不要である。感染対策が必要かどうかは、まず自分の結膜炎がどのタイプに近いかを見極めることが出発点になる。結膜炎がうつるかどうかの見分け方をさらに詳しく知りたい方は「結膜炎はうつるの?予防策と対処法の記事も参考にしてほしい。

出席停止・出勤の基準:学校保健安全法の考え方

子どもがウイルス性結膜炎、とくに流行性角結膜炎や咽頭結膜熱にかかった場合、学校をいつから休ませ、いつから登校させてよいかは、学校保健安全法施行規則にもとづいて判断される。同施行規則は、学校において予防すべき感染症を第一種・第二種・第三種に分類しており、流行性角結膜炎および急性出血性結膜炎は第三種の感染症に、咽頭結膜熱は第二種の感染症に位置づけられている(趣旨)[6]。

出席停止の期間の基準は、この分類によって異なる。咽頭結膜熱については、国立感染症研究所が「第二種伝染病に位置づけられており、主要症状が消退した後2日を経過するまで出席停止とされている」と説明しており[5]、発熱・のどの痛み・結膜炎などの主な症状が治まってから、さらに2日間は登校を控える必要がある。一方、流行性角結膜炎が分類される第三種の感染症については、学校保健安全法施行規則が「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」を出席停止の基準としている(趣旨)[6]。第二種のように「症状消退後何日」という一律の日数が定められておらず、医師が実際に目の状態を診察し、感染のおそれがなくなったと判断するまでは登校できないという、個別判断型の基準になっている点が特徴である。

この基準の具体的な運用(何をもって医師が「感染のおそれがない」と判断するか)は、学校や医療機関ごとの判断に委ねられている部分があり、地域や学校によって求められる書類(登校許可証明書など)が異なる場合もある。そのため、子どもが流行性角結膜炎と診断された場合は、自己判断で「もう治ったから大丈夫」と登校させるのではなく、通っている眼科・小児科と学校の双方に、いつから登校可能かを確認することが基本になる。子どもの結膜炎の症状や家庭でのケアについてさらに詳しくは「子供の結膜炎(はやり目)についての記事で取り上げている。大人がウイルス性結膜炎にかかった場合の出勤についても、学校保健安全法は直接適用されないが、感染力の強さは変わらないため、職場に相談し、症状が強い間や医師の許可が出るまでは出社を控えるなどの配慮が望ましい。

流行の季節性:いつ増えやすいか

咽頭結膜熱(プール熱)は、その通称のとおり、夏季にプールなどを介して地域で流行することが知られている感染症である。国立感染症研究所(現・国立健康危機管理研究機構)の感染症発生動向調査でも、例年、夏場にかけて患者報告数が増加する傾向が継続的に確認されている[5]。ただし、近年は夏だけでなく冬季にも報告数が増える年があるなど、流行の時期が一定でない年もみられており、「夏の病気だから冬は油断してよい」とは言い切れない。

流行性角結膜炎については、特定の季節に限らず一年を通じて発生がみられる感染症とされているが、今回参照した国立感染症研究所の資料には、月別・季節別の詳しい流行パターンを示す統計データの明記までは見当たらなかった。アレルギー性結膜炎は季節性アレルギー性結膜炎の場合、原因となる花粉(スギ・ヒノキ花粉であれば春先、イネ科花粉であれば初夏、ブタクサ・ヨモギであれば秋)の飛散時期に合わせて症状が強くなるという明確な季節性があり[1]、この点は感染症であるウイルス性・細菌性結膜炎とは性質が異なる。

診断・出席停止の目安となる数値・基準

ここまでで紹介した潜伏期間・出席停止基準などの数値を、タイプ別に整理する。数値はいずれも国立感染症研究所(現・国立健康危機管理研究機構)や学校保健安全法施行規則にもとづくもので、実際の症状の経過には個人差があるため、あくまで目安として捉えることが必要である。

結膜炎タイプ別:潜伏期間と出席停止・出勤の目安
タイプ 潜伏期間 学校保健安全法上の分類 出席停止の基準(趣旨)
流行性角結膜炎(EKC) 8〜14日[4] 第三種[6] 学校医その他の医師が感染のおそれがないと認めるまで[6]
咽頭結膜熱(プール熱) 5〜7日[5] 第二種[5] 主要症状が消退した後2日を経過するまで[5]
アレルギー性結膜炎 (感染症ではないため該当なし) 対象外 出席停止の対象ではない[3]

出典:国立感染症研究所(現・国立健康危機管理研究機構)「流行性角結膜炎(詳細版)」[4]/「咽頭結膜熱(詳細版)」[5]/学校保健安全法施行規則(文部科学省)[6]

細菌性結膜炎および急性出血性結膜炎については、今回参照した国立感染症研究所・学校保健安全法施行規則の資料の中に、標準的な潜伏期間や出席停止日数を一律に定めた数値の明記までは見当たらなかった。細菌性結膜炎は法令上の学校感染症として明確に分類されているわけではなく、症状の程度に応じて学校医・主治医が個別に登校の可否を判断することになるため、詳しい基準を知りたい場合は通っている医療機関・学校に直接確認することが望ましい。

治療の考え方:原因別の点眼薬

結膜炎の治療は、原因タイプによって使う薬の種類が異なる。アレルギー性結膜炎では、日本眼科学会が述べているとおり抗アレルギー点眼薬が基本で、重症の場合はステロイド点眼薬が追加される[1]。ウイルス性結膜炎には、日本眼科学会が明言しているとおり「特効薬はありません」[2]。使用される点眼薬は、炎症を抑えるものや、細菌の混合感染を防ぐための抗菌点眼薬であり、あくまでウイルスそのものを排除する薬ではなく、体の免疫がウイルスを排除するまでの間の対症療法という位置づけになる。細菌性結膜炎では、原因菌に効果のある抗菌点眼薬が治療の中心となる。

薬の選択・使用にあたっての注意点:この記事で紹介した点眼薬の種類はいずれも一般的な作用の説明であり、特定の商品名を推奨するものではない。どの点眼薬が適しているかは、結膜炎のタイプ、症状の強さ、持病やアレルギーの有無などによって医師が個別に判断するものであり、「効く」と断定できるものでも「必ず治る」と保証できるものでもない。市販の目薬を自己判断で使い続けて受診が遅れると、とくにウイルス性結膜炎で角膜に炎症が及んで見え方に影響が残るリスクや、細菌性結膜炎が悪化するリスクにつながりかねないため、症状が強い場合や数日たっても改善しない場合は、早めに眼科を受診することが基本になる。市販薬の選び方や感染対策・出席停止基準まで含めた詳しい解説は「結膜炎(はやり目)の原因と治し方の記事も参考にしてほしい。

ステロイド点眼薬を使うときの注意:アレルギー性結膜炎の重症例や、ウイルス性結膜炎で炎症が強い場合には、ステロイド点眼薬が使われることがある。ステロイド点眼薬は炎症を強く抑える効果が期待できる一方、長期間の自己判断での使用は、眼圧が上昇して緑内障のリスクが高まったり、角膜感染症が隠れている場合にそれを悪化させたりする可能性が指摘されている。そのため、ステロイド点眼薬は医師の指示のもとで、必要な期間・回数を守って使用し、自己判断で市販薬のように漫然と使い続けたり、他の人と共有したりしないことが重要である。

混合感染にも注意:ウイルス性結膜炎の経過中に、目やにの性状が変化し細菌の混合感染を起こすことがあるとされ[2]、この場合はウイルス性結膜炎に対する対症療法に加えて、細菌感染を抑えるための抗菌点眼薬が併用されることがある。逆に、抗菌点眼薬を使っているのに症状が改善しない場合、実はウイルス性やアレルギー性が主体である可能性もあるため、自己判断で薬を変えるのではなく、経過が思わしくないときは眼科で再評価を受けることが望ましい。

危険なサイン・受診の目安:今すぐ眼科か、様子を見てよいか

結膜炎の多くは自然経過や適切な点眼治療で軽快するが、中には視力に影響しうる重い病気が隠れている場合や、緊急に近い対応が必要な場合もある。次のようなサインがある場合は、様子を見るのではなく、すぐに眼科を受診することが望ましい。

受診の目安(緊急度の高い順)
サイン 考えられる状態 対応
強い痛み、視力低下、光が異常にまぶしい 角膜への炎症の広がりなど[4] できるだけ早く眼科を受診
大量の目やにが続く、まぶたが大きく腫れる 流行性角結膜炎・細菌性結膜炎の重症化[2][4] 早めに眼科を受診
片目の強い充血が急速に広がった、耳の前のリンパ節が腫れて痛む 流行性角結膜炎(はやり目)の疑い[2][4] 眼科を受診し感染対策を開始
発熱・のどの痛みと同時に目の充血が出た(とくに子ども) 咽頭結膜熱(プール熱)の疑い[5] 小児科・眼科を受診
症状が1〜2週間たっても改善しない、繰り返す 治療法の見直しが必要な状態 眼科で再評価を受ける

とくに注意したいのは、「充血や目やにくらいなら様子を見よう」と自己判断してしまうケースである。流行性角結膜炎では、国立感染症研究所が述べているとおり「角膜に炎症が及ぶと透明度が低下し、混濁は数年に及ぶことがある」とされており[4]、見た目の症状が落ち着いた後も見え方に影響が残る可能性がある。市販の目薬だけで様子を見て受診が遅れることのないよう、強い症状や上記のサインがある場合は早めに眼科を受診することが重要である。

また、結膜炎とよく似た症状を起こす別の病気が隠れていることもある。たとえば、目の中に強い炎症が起こるぶどう膜炎や、角膜そのものに感染が起こる角膜炎・角膜潰瘍は、放置すると視力に重大な影響を及ぼすことがあるが、初期には結膜炎と同じように充血や異物感として自覚されることがある。「いつもの結膜炎だろう」と自己判断を繰り返している場合や、片目だけに強い痛みと視力低下を伴う場合は、単なる結膜炎ではない可能性を念頭に、早めに眼科で詳しい検査を受けることが望ましい。とくに高齢者やコンタクトレンズの長期使用者、糖尿病などの持病がある人は、感染症が重症化しやすい傾向があるとされており、症状が強い場合は自己判断せず早期受診を優先してほしい。

コンタクトレンズ使用者の注意

コンタクトレンズは、角膜・結膜と直接触れ合う医療機器であるため、結膜炎の症状がある間は使用を中止することが基本になる。充血や目やにがある状態でレンズを使い続けると、レンズと結膜がこすれ合って炎症がさらに悪化しやすく、とくにウイルス性結膜炎や細菌性結膜炎では、レンズやレンズケースにウイルス・細菌が付着し、感染を長引かせたり、反対側の目にうつしたりする原因にもなりうる。アレルギー性結膜炎においても、コンタクトレンズ自体が刺激やアレルゲンの付着源となり、症状を悪化させる巨大乳頭結膜炎のリスクが指摘されている[1]。症状がある間はレンズをメガネに切り替え、医師から使用再開の許可が出てから使用を再開することが望ましい。また、レンズケースや保存液も感染源になりうるため、症状が治まった後も使用中のケースは新しいものに交換し、レンズも状況に応じて新しいものに交換することが推奨される。

生活・セルフケアの工夫

結膜炎全般に共通するセルフケアとして、まず目をこすらないことが挙げられる。かゆみや異物感があっても、こすることで炎症が悪化したり、ウイルス性・細菌性の場合は反対側の目や周囲に感染を広げたりする原因になる。かゆみが強いときは、清潔なタオルや保冷剤をハンカチで包んで目の周りを冷やすことで、こすらずにかゆみを和らげることができる。

目やにが多いときは、清潔なガーゼやコットンで目頭から目尻に向かって優しく拭き取り、一度使ったものは再利用しないことが基本である。左右の目に症状がある場合は、片目ずつ別のガーゼを使うことで、健康な目への感染や刺激の広がりを防ぐことができる。結膜炎の炎症と食事の関係が気になる方は「結膜炎に効く食事療法の記事も参考にしてほしい。手洗いは、目を触った前後、点眼薬を使う前後のいずれにおいても徹底し、家族間でタオル・枕・目薬を共有しないことが、とくにウイルス性結膜炎の家庭内感染を防ぐうえで重要になる。

アレルギー性結膜炎の場合は、花粉やハウスダストへの曝露そのものを減らす工夫も有効である。外出時に花粉症用メガネを着用する、帰宅後は洗顔と着替えで花粉を持ち込まない、寝具はこまめに洗濯・乾燥させる、空気清浄機を活用するといった対策が、症状の予防・軽減に役立つとされる[1]。

保育園・幼稚園・学校でのタオル管理:ウイルス性結膜炎は、家庭内だけでなく保育園・幼稚園・学校といった集団生活の場でも広がりやすい。とくに小さな子どもは目をこすったり、友達とタオルやハンカチを共有したりしやすいため、園や学校では個人ごとのタオル・ハンカチを用意し、洗面台の共用タオルを置かないといった環境面の工夫が重要になる。国立感染症研究所が流行性角結膜炎の予防の基本として挙げている「タオルや点眼液など目に接触するものは個人用とする」という考え方は[4]、家庭だけでなくこうした集団生活の場でこそ徹底する必要がある。手洗い場に石けんを常備し、目を触った後・点眼後の手洗いを子ども自身が習慣化できるよう、家庭と園・学校の双方で声かけを続けることが、流行を広げないための現実的な対策になる。

職場での対応:大人がウイルス性結膜炎にかかった場合、パソコン作業や接客など目を酷使する仕事、あるいは不特定多数と接触する仕事では、症状が強い間は無理をせず休養をとることが望ましい。出勤を続ける場合でも、こまめな手洗い、タオルの個人使用、デスクや共用備品に触れた後の消毒など、家庭内感染対策と同様の考え方を職場でも実践することが、同僚への感染拡大を防ぐうえで有効である。

日本と米国のガイドライン比較:学校・仕事を休む基準の違い

結膜炎で学校・仕事を休む基準は、国によって考え方が異なる。日本では前述のとおり、学校保健安全法施行規則が流行性角結膜炎を第三種の学校感染症に位置づけ、「学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」出席停止とする、医師の個別判断を基本とした一律の運用がとられている(趣旨)[6]。

一方、米国疾病予防管理センター(CDC)の結膜炎(pink eye)に関する臨床向け解説によれば、発熱などの全身症状を伴わない大半の結膜炎については、学校・保育施設からの一律の登校禁止(exclusion)は推奨されない立場が示されており、周囲との密接な接触を避けられない場合を除き、治療を受けたうえで通学・出勤を続けてよいとする考え方が紹介されている(趣旨)[7]。つまり、同じ「感染性の結膜炎」であっても、日本は流行性角結膜炎について医師の判断が出るまで一律に出席停止とする慎重な運用である一方、米国では全身症状がなければ一律の登校禁止を求めない方向にあるという違いがある。

この違いが生じる背景には、流行性角結膜炎の感染力の強さや、角膜混濁など長期の後遺症リスクをどれだけ重視するかという各国・各機関の判断の違いがあると考えられる。どちらが絶対的に正しいというものではなく、日本国内で子どもを通学させる場合は、日本の学校保健安全法施行規則にもとづく学校・医師の判断に従うことが基本になる。海外との違いを知っておくことは、「なぜ日本ではここまで厳格に出席停止が求められるのか」を理解するうえで参考になる。

医療費の目安

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16


よくある質問(FAQ)

結膜炎はうつりますか?
タイプによって異なる。アレルギー性結膜炎は、日本眼科医会が「目が赤くても、お友達にうつるわけではありません」と述べているとおり感染性ではない[3]。一方、ウイルス性結膜炎のうち流行性角結膜炎などの「はやり目」は感染力が強くうつる[2][4]。細菌性結膜炎も接触を介してうつることがある。
結膜炎は何日くらいで治りますか?
タイプにより異なる。咽頭結膜熱は国立感染症研究所によれば症状が「3~5日間程度持続する」とされ[5]、学校保健安全法上は主要症状消退後さらに2日の出席停止が必要である[5]。流行性角結膜炎は経過に個人差が大きく、医師が感染のおそれがないと認めるまで出席停止の対象になる[6]。細菌性結膜炎は抗菌点眼薬で数日から1週間程度での改善が期待されることが多いが、経過には個人差がある。
市販の目薬だけで様子を見てもよいですか?
かゆみが中心で左右対称の軽い症状であればアレルギー用の市販目薬で様子を見られる場合もあるが、大量の目やに、強い充血、片目から急に広がる症状、発熱を伴う場合はウイルス性・細菌性の可能性があり、自己判断での市販薬継続は受診の遅れにつながることがある[2][4]。症状が強い、または数日で改善しない場合は眼科を受診してほしい。
子どもの結膜炎、学校はいつから行けますか?
咽頭結膜熱(プール熱)は「主要症状が消退した後2日を経過するまで」出席停止とされる[5]。流行性角結膜炎は「学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」出席停止となり、一律の日数は定められていない(趣旨)[6]。自己判断で登校させず、通っている眼科・小児科と学校の双方に確認することが基本になる。
プールに入ってもよいですか?
日本眼科学会は、咽頭結膜熱について「数週間、便の中にウイルスがでています。結膜炎が治ってもすぐにプールの許可がでないのは、このためです」と説明している[2]。目の症状が治まった後もしばらくウイルスの排出が続く可能性があるため、プールの再開時期は学校・医師の案内に従う必要がある。
コンタクトレンズは使い続けてもよいですか?
結膜炎の症状がある間は、コンタクトレンズの使用を中止しメガネに切り替えることが基本である。レンズが結膜とこすれて炎症を悪化させたり、レンズやケースにウイルス・細菌が付着して感染が長引く原因になったりすることがあるためである。使用再開は医師の許可が出てからにし、使用中のレンズケースは新しいものに交換することが望ましい。
目のかゆみがつらいとき、こすらずにどう対処すればよいですか?
清潔なタオルや保冷剤をハンカチで包んで目の周りを冷やすと、こすらずにかゆみを和らげやすい。アレルギー性結膜炎が原因の場合は、抗アレルギー点眼薬の使用が基本の対処になる[1]。目をこすると症状が悪化したり、ウイルス性・細菌性の場合は感染を広げたりする原因になるため避けてほしい。
アレルギー性結膜炎と花粉症の結膜炎は同じものですか?
花粉症に伴う結膜炎(季節性アレルギー性結膜炎)は、アレルギー性結膜炎に含まれるタイプのひとつである。日本眼科学会は季節性アレルギー性結膜炎のほか、通年性、アトピー性角結膜炎、春季カタル、巨大乳頭結膜炎もアレルギー性結膜炎に含めている[1]。
細菌性結膜炎とウイルス性結膜炎はどう見分けますか?
目やにの色や粘り気が手がかりのひとつとされ、細菌性結膜炎では黄色っぽい膿性の目やにが多く出やすい一方、ウイルス性結膜炎では強い充血や大量の目やに、耳前リンパ節の腫れを伴うことがある[2][4]。ただし症状だけでの確実な区別は難しく、混合感染が起こることもあるため[2]、最終的な診断は眼科で受けることが原則である。
目やにが多いときの正しい拭き取り方は?
清潔なガーゼやコットンで目頭から目尻に向かって優しく拭き取り、使用したものは再利用しない。両目に症状がある場合は片目ずつ別のガーゼを使うことで、健康な目への感染や刺激の広がりを防げる。
大人がウイルス性結膜炎になったら仕事は休むべきですか?
学校保健安全法は児童生徒を対象とした制度で大人の出勤には直接適用されないが、流行性角結膜炎などの感染力の強さは大人でも変わらない。症状が強い間や医師の許可が出るまでは、職場に相談したうえで出社を控えるなどの配慮が望ましい[4]。
結膜炎で目が赤くなったら必ずウイルス性・細菌性ですか?
いいえ。花粉やハウスダストが原因のアレルギー性結膜炎でも充血は起こる。日本眼科医会が述べているとおり、アレルギー性結膜炎は「お友達にうつるわけではありません」ため[3]、かゆみが強く周囲に同様の症状の人がいない場合はアレルギー性を疑う目安になるが、確定にはやはり眼科での確認が必要である。
結膜炎の目薬は市販薬と処方薬どちらがよいですか?
原因によって必要な薬の種類が異なるため一概には言えない。アレルギー性結膜炎は市販の抗アレルギー目薬で対応できる場合もあるが、ウイルス性・細菌性が疑われる場合や症状が強い場合は、原因に応じた処方薬(抗菌点眼薬など)が必要になることがあり[2]、判断に迷う場合は眼科を受診してほしい。
抗菌の目薬を使ったら早めにやめてよいですか?
自己判断で早くやめると、原因菌が完全に排除されず症状がぶり返したり、薬が効きにくくなったりする可能性がある。医師から指示された期間は、症状が軽くなったように感じても指示どおり使い切ることが基本になる。数日使っても改善しない場合は、自己判断で継続・中断せず医師に相談してほしい。
子どもの春季カタルとはどう違いますか?
春季カタルは、幼少期の男児に多くみられる重症のアレルギー性結膜炎の一種で[1]、まぶたの裏に特徴的な変化が起こり、強いかゆみに加え角膜に傷がつくこともある。一般的な花粉症の結膜炎より症状が強く慢性的に経過しやすいため、市販目薬だけで様子を見ず、症状が強い・繰り返す場合は眼科で専門的な治療を相談することが望ましい。

結膜炎に関する記事一覧

結膜炎の症状の強さや経過には個人差があり、混合感染(複数タイプが同時に起こること)が生じることもある。また、今回参照した資料には、細菌性結膜炎および急性出血性結膜炎について、標準的な治療日数や国内の発生頻度を示す詳細な統計データの記載までは見当たらなかった。ご自身や家族の症状がどのタイプに近いか、いつから登校・出勤してよいかについては、必ず眼科(子どもの場合は眼科または小児科)を受診し、医師と相談のうえで判断してほしい。

まとめ:結膜炎と向き合うために

結膜炎は、白目とまぶたの裏をおおう結膜に炎症が起こる状態の総称で、原因によって「アレルギー性」「ウイルス性」「細菌性」の3タイプに分かれ[1][2]、それぞれ症状の出方も、人にうつるかどうかも大きく異なる。アレルギー性結膜炎はかゆみが強い一方でうつらない病気であり[3]、ウイルス性結膜炎のうち流行性角結膜炎・咽頭結膜熱などの「はやり目」は感染力が強く、学校保健安全法施行規則にもとづいて出席停止の対象になる[6]。細菌性結膜炎は黄色い目やにが目立つことが多く、抗菌点眼薬による治療が中心になる。

症状からある程度の見分けの目安はあるものの、混合感染や個人差もあるため[2]、自己判断だけで完結させず、強い痛みや視力低下、大量の目やに、症状が長引く場合には眼科を受診することが原則である。とくに子どもの結膜炎では、学校をいつから休ませ、いつから登校させてよいかが気になるところだが、咽頭結膜熱は「主要症状消退後2日」、流行性角結膜炎は「医師が感染のおそれがないと認めるまで」と基準が異なるため[5][6]、自己判断せず学校・医療機関に確認してほしい。

結膜炎は多くの場合、命に関わる病気ではないが、感染力の強さや後遺症のリスクはタイプによって大きく異なる。「目薬をさして様子を見ればいつか治る」と一括りに考えるのではなく、まずは自分・家族の症状がどのタイプに近いのかを見極め、感染対策が必要なタイプであれば周囲への配慮を、危険なサインがあれば速やかな受診を、という基本の流れを意識することが、結膜炎と上手に向き合うための土台になる。この記事で紹介した数値や基準はあくまで一般的な目安であり、ご自身や家族の症状がどの段階に当てはまるか、いつから通常の生活に戻れるかは、必ず眼科の医師と相談しながら判断してほしい。

参考文献

  1. 日本眼科学会「アレルギー性結膜炎」 nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=13
  2. 日本眼科学会「ウイルス性結膜炎」 nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=14
  3. 公益社団法人日本眼科医会「アレルギー性結膜炎の治療と対策」 gankaikai.or.jp/health/33/
  4. 国立健康危機管理研究機構(旧・国立感染症研究所)「流行性角結膜炎(詳細版)」 id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/epidemic-keratoconjunctivitis/detail/index.html
  5. 国立健康危機管理研究機構(旧・国立感染症研究所)「咽頭結膜熱(詳細版)」 id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/adenovirus/detail/index.html
  6. 文部科学省・学校保健安全法施行規則(第18条・第19条) laws.e-gov.go.jp/law/333M50000080018
  7. 米国疾病予防管理センター(CDC)「Clinical Overview of Pink Eye (Conjunctivitis)」 cdc.gov/conjunctivitis/hcp/clinical-overview/index.html