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JHO 病気ペディア

蜂窩織炎ほうかしきえん / Cellulitis

最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)

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✦ 結論から言うと

日本内科学会雑誌の総説と国立長寿医療研究センターによれば、蜂窩織炎(ほうかしきえん)とは、キズや水虫などから侵入した細菌が皮膚の真皮深層から皮下脂肪組織で増殖することで起こる急性の細菌感染症です[3][5]。ふくらはぎなどが急に赤く腫れて熱を持つという症状だけで判断すると、約8割の確率で蜂窩織炎に一致するとされますが、丹毒や深部静脈血栓症など似た病気との区別は自己判断ではできません[5]。まれに、見た目の赤みに見合わない激しい痛みや出血性の水疱を伴って数時間単位で急速に悪化する壊死性筋膜炎・劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)に進行することがあり、この場合はただちに救急受診が必要です[1][3][6]。蜂窩織炎そのものは人から人にはうつらない病気なので、自己判断で様子を見ず、早めに医療機関を受診してください[5]。

原因 連鎖球菌・ブドウ球菌などの細菌が、キズや水虫(足白癬)の部位から皮下組織に侵入して発症する[5]。
主な症状 赤み・腫れ・熱感・痛みが、境界のはっきりしないまま数時間〜1日単位で広がる[1][5]。
主なリスク 糖尿病、リンパ浮腫・静脈うっ滞によるむくみ、肥満、過去のキズ・手術歴、足白癬など[1][8]。
受診の目安 臨床所見に見合わない激しい痛み・出血性の水疱・皮膚の黒ずみ・低血圧などがあれば、ただちに救急受診[1][3][6]。それ以外は早めに皮膚科を受診する[5]。

蜂窩織炎とは?原因と症状が出る仕組み

国立長寿医療研究センターによれば、「蜂窩織炎」という名前は、感染が広がる皮下脂肪組織が蜂の巣のように見えることに由来し、「蜂巣炎(ほうそうえん)」とも呼ばれます[5]。皮膚は体を守る人体最大の臓器で、表面から表皮・真皮(浅層〜深層)・皮下組織・筋膜・筋肉という層構造をしています[3]。連鎖球菌やブドウ球菌といったありふれた細菌が、キズや水虫の部位から真皮深層〜皮下脂肪組織へ侵入して増殖すると、その部位に炎症反応(赤み・腫れ・熱感・痛み)が起こります[3][5]。感染の経路がはっきりしないまま発症することもあります[5]。

IDSAのガイドラインによれば、皮膚の破れが小さく目立たない場合でも、肥満・過去のキズや手術・リンパ浮腫や静脈うっ滞によるむくみ・過去の蜂窩織炎の既往といった条件があると発症しやすくなるとされています[1]。原因菌の内訳を調べた日本国内の前向き研究では、101例中60例(59.4%)でβ溶血性連鎖球菌(BHS)の関与が確認されており、これは海外の報告とおおむね同じ傾向です[4]。

「丹毒」という言葉の使われ方は国や文献によって幅があります。IDSAのガイドラインは、丹毒の意味には(1)真皮上層と表在リンパ管に限られた感染で蜂窩織炎より境界が明瞭という考え方、(2)顔面の蜂窩織炎だけを丹毒と呼ぶ考え方、(3)ヨーロッパの一部の国のように丹毒と蜂窩織炎を同じ意味の言葉として使う考え方、の3通りがあると整理しています[1]。日本内科学会雑誌の総説も、両者の鑑別は主に臨床的な境界が明瞭かどうかで判断されてきたが、その判定には主観的な要因が大きく、丹毒・蜂窩織炎で推定される原因菌や治療方針に明確な差がないため、近年では区別せずにまとめて扱うことが多いと述べています[3]。つまり丹毒と蜂窩織炎の線引き自体、専門家の間でも厳密に一致しているわけではありません。

出典:掛屋弘「皮膚・軟部組織感染症」日本内科学会雑誌112巻11号2023/国立長寿医療研究センター 健康長寿ナビ/盛山吉弘ほか 感染症学雑誌92巻2号2018

診断の目安となる数値・基準

米国感染症学会(IDSA)のガイドラインでは、化膿を伴わない蜂窩織炎・丹毒を全身症状の有無によって軽症・中等症・重症の3段階に分けています[1]。一方、日本の内科学会誌に掲載された総説では、「蜂窩織炎と診断するための決定的な臨床所見や検査所見はない」と明記されており、他の似た疾患を除外することで診断される疾患だと説明されています[3]。数値基準の有無そのものが、日米で温度差のあるところです。

IDSAによる非化膿性蜂窩織炎・丹毒の重症度分類
分類 目安となる所見 備考
軽症 膿の病巣を伴わない典型的な蜂窩織炎・丹毒で、全身性の感染徴候がない 連鎖球菌を対象にした抗菌薬による外来治療が基本[1]
中等症 上記に加え、体温38℃超または36℃未満・脈拍90/分超・呼吸数24/分超・白血球12,000/μL超または400/μL未満のいずれかがある 全身投与の抗菌薬が必要とされる[1]
重症 外来の抗菌薬治療に反応しない、または全身性感染徴候に加えて水疱・皮膚剥離・低血圧・臓器障害の徴候がある 入院での治療、深部感染や壊死性感染の除外が必要[1]

出典:Stevens DL, et al. IDSA Practice Guidelines for SSTIs, Clin Infect Dis 2014[1]

壊死性筋膜炎を疑うときの補助的な指標として、CRP・白血球数・ヘモグロビン・ナトリウム・クレアチニン・血糖値から算出するLRINECスコアが使われることがあり、6点を超えると疑いが高まるとされます[3]。ただし、日本内科学会雑誌の総説はこのスコアについて「病初期における診断能には限界があると考えられており注意が必要」と述べており、点数だけで安心・否定はできません[3]。同じ総説は、壊死性軟部組織感染症を疑う全身徴候の目安として、脈拍120/分超・血圧低下・CK値上昇・CRP15mg/dL超も併せて挙げています[3]。いずれも、これを超えれば確実というような単独の判定基準ではなく、複数の所見を組み合わせて総合的に判断するための材料として使われています。

丹毒・うっ滞性皮膚炎・深部静脈血栓症との見分け方

国立長寿医療研究センターは、ふくらはぎの赤み・腫れ・熱感という症状だけを見た場合、結節性紅斑・うっ滞性脂肪織炎・深部静脈血栓症・硬結性紅斑・IgA血管炎・重度の虫刺され・壊死性筋膜炎・丹毒・マムシ咬傷・特殊なリンパ腫など、多くの病気が同じような見た目になり得ると説明しています[5]。それぞれ治療がまったく異なるため、自己判断せず医療機関を受診することが基本です[5]。ここでは代表的な4つの見分け方のヒントを紹介します。

項目 蜂窩織炎 丹毒 うっ滞性皮膚炎 深部静脈血栓症(DVT)
炎症の主座 真皮深層〜皮下脂肪組織[1][3] 真皮浅層〜表在リンパ管[1][3] 表皮〜真皮の慢性炎症(血管の炎症ではない)[8] 下肢深部の静脈にできる血栓(皮膚そのものの感染ではない)[2][8]
境界・見た目 境界不明瞭で、じわじわ広がる[1][8] 境界明瞭で盛り上がる[1][8] 発赤に鱗屑・色素沈着を伴う長期の変化[8] 片側の腫れ・熱感・圧痛[8]
左右差 通常は片側のみ[8] 通常は片側のみ[8] 長期・両側性で、内果(くるぶしの内側)に多い[8] 通常は片側のみ[8]
手がかりとなる背景 キズ・水虫・むくみが誘因になりやすい[1][5] 連鎖球菌が主因で、時に腎炎を合併するため尿検査が必要になることがある[5] 慢性の静脈うっ滞(静脈弁の機能低下など)が背景にある[8] 長期の不動・悪性腫瘍・血栓症の家族歴などが危険因子とされる[2][8]

出典:Stevens DL, et al. IDSA Practice Guidelines for SSTIs, Clin Infect Dis 2014[1]/NICE NG141(2019)[2]/掛屋弘 日本内科学会雑誌112巻11号2023[3]/国立長寿医療研究センター[5]/StatPearls “Cellulitis”[8]

見分けるカギ:NICEとStatPearlsの整理によれば、境界が盛り上がってくっきりしていれば丹毒を、両足に長期間続く色素沈着や鱗屑があればうっ滞性皮膚炎を、片側だけの腫れで発熱を伴わなければ深部静脈血栓症を疑う手がかりになりますが[2][8]、いずれも自己判断での確定はできず、国立長寿医療研究センターも医療機関での確定診断が必要だとしています[5]。

経過と治療:時期別のケア

国立長寿医療研究センターによれば、治療の基本は、原因菌に効く抗菌薬による薬物治療と、患部を心臓より高く挙げて安静にする局所管理です[5]。炎症が強い急性期は患部を安静にしたほうが経過がよく、結果的に歩行機能の維持につながるとされ、炎症が落ち着いてきた時期からは少し腫れが残っていても積極的に動いたほうがよいとされています[5]。膿がたまっている場合や潰瘍を伴う場合は、切開排膿や局所の処置が必要になることがあります[5]。単純X線・CT・MRIなどの画像検査は、膿瘍やガスの有無、骨や筋肉への波及、人工関節などとの関係を確認する目的で必要になることがあります[5]。

抗菌薬の投与期間については、IDSAは典型的な症例で5日間の治療を推奨し、この期間で改善していなければ延長するとしています[1]。NICE(英国)は5〜7日間を基本とし、臨床的な判断により合計14日まで延長することがあるとしつつ、5〜7日の時点で症状が完全になくなることは期待できないとも述べています[2]。日本国内の学会誌の総説では、軽症・中等症・重症それぞれの抗菌薬の選び方は述べられているものの、具体的な投与日数の目安については、今回参照した資料には明記が見当たりませんでした[3]。治療を開始しても2〜3日以内に改善が見られない場合は、症状の悪化や急速な拡大がなくても医師に相談することが勧められています[2]。

抗菌薬治療が終了したあとも、腫れがすぐには引かないことがあります。国立長寿医療研究センターは「高齢の患者さんでは、よくあることです。いったんふくらんで変形してしまった組織が本当に元通りの形に戻るには時間がかかります。」と説明し、局所を高く挙げる対応の継続を勧めています[5]。

NICEのガイドラインは、治療を始める前に赤みの範囲を医療用のペンで一度囲んでおき、その後の広がり方を自分の目で確認できるようにすることを勧めています[2]。あわせて、皮膚の色が濃い人では赤みが見えにくいことがあるため、色の変化だけに頼らず、範囲や熱感・痛みの変化も含めて経過を見るよう注意を促しています[2]。受診する診療科は皮膚科が基本ですが、範囲が広い場合や発熱を伴う場合は内科・救急科も選択肢になります[5]。

受診の目安:今すぐ救急か、数日以内の受診か

蜂窩織炎に見えても、実は壊死性筋膜炎という別の重症感染症だったという例があります。壊死性筋膜炎は、皮下組織の脂肪組織や筋膜が細菌感染によってあっという間に壊死してしまう感染症で、速やかで適切な抗菌薬治療・外科的手術・ショックや出血傾向に対する治療が必要になります[5]。国立健康危機管理研究機構(JIHS)は、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)について「急速に増悪する痛みを伴う局所軟部組織感染症(蜂窩織炎、壊死性筋膜炎など)が多いが、はっきりした感染巣が不明な場合もある」とし、致死率は30〜40%と高いと述べています[6]。

壊死性筋膜炎を疑う手がかりとして、IDSAのガイドラインは次の8項目を挙げています:臨床所見に見合わない激しい痛み、初期の抗菌薬治療への反応不良、皮膚の見た目を超えて広がる硬く木のような皮下組織の触感、意識状態の変化を伴う全身の重篤感、紅斑を超えて広がる浮腫・圧痛、捻髪音(皮下にガスがある徴候)、水疱性病変、皮膚壊死または斑状出血[1]。日本内科学会雑誌の総説も、皮膚所見の範囲を超えて広がる強い疼痛や感覚低下、虚血による皮膚壊死所見(皮膚内の出血による紫斑・水疱)、意識障害・血圧低下・頻呼吸などの敗血症様症状、そしてこれらが数時間単位で急速に出現・悪化することの4点を挙げ、この場合は壊死性筋膜炎を疑うべきだとしています[3]。国立健康危機管理研究機構も、最近の手術歴・臨床所見に合わない疼痛・低血圧・皮膚壊死・出血性水疱が壊死性筋膜炎の鑑別に有用だとしています[6]。NICEのガイドラインも、感染に見合わない激しい痛みを、緊急性の高い病態を疑って再評価すべき所見の一つとして挙げています[2]。

日本内科学会雑誌の総説によれば、壊死性軟部組織感染症の発症率は10万人あたり0.3〜15例、死亡率は20〜30%程度とされています[3]。頻度は高くありませんが、進行が数時間単位と速いため、悪化するまで様子を見るのではなく、赤旗所見があればその時点で様子を見ずに救急受診することが重要です。

蜂窩織炎そのものの頻度についても触れておきます。StatPearls(NCBIブックシェルフ)は、アメリカでは年間1,400万件以上の蜂窩織炎が診断され、外来診療費だけで約37億ドル、入院は年間65万件に上ると紹介しています[8]。同資料は、年間の再発率が8〜20%、生涯を通じた再発率は最大49%に達するとも報告しています[8]。これらはいずれもアメリカでの集計であり、日本国内における同種の全国規模の統計は、今回参照した資料の範囲では見当たりませんでした。

日本とアメリカ・イギリスのガイドライン比較

蜂窩織炎の治療方針は、実は国によって細部が異なります。日本の医師は主に国内の教科書・総説を参照しますが、アメリカのIDSAガイドライン(2014年)やイギリスのNICEガイドライン(2019年)が最新の推奨を出していることまでは、必ずしも知られていません。ここでは3つの資料を横並びで比較します。

項目 日本(掛屋弘、日本内科学会雑誌 2023) アメリカ(IDSA 2014) イギリス(NICE NG141 2019)
第一選択の抗菌薬(軽症) 第1世代セフェム系(セファレキシン、セファクロルなど)の内服[3] 連鎖球菌を対象とした薬剤(ペニシリン、アモキシシリンなど)。CA-MRSAを対象とした薬剤は重症例を除き不要としている[1] フルクロキサシリン(ブドウ球菌・連鎖球菌の両方をカバーする薬剤)[2]
投与期間の目安 今回参照した資料には具体的な日数の明記が見当たりませんでした[3] 5日間が目安。改善がなければ延長[1] 5〜7日間が基本。臨床判断で最大14日まで[2]
MRSAへの対応 重症例やコントロール不良の糖尿病などの免疫不全者ではバンコマイシン併用も検討[3] 典型的な蜂窩織炎では不要。国内101例の前向き研究でも、CA-MRSAを対象とした抗菌薬が必要だった例は0例だった[1][4] MRSAが疑われる・確定した場合はバンコマイシン、テイコプラニン、リネゾリドのいずれかを併用[2]
重症度の数値基準 蜂窩織炎そのものを診断するための決定的な数値基準はないとされる。壊死性筋膜炎の疑いに限りLRINECスコア(>6)などの補助指標がある[3] 体温・脈拍・呼吸数・白血球数を用いた軽症/中等症/重症の3段階分類がある[1] 数値による重症度分類は明示されていないが、全身状態不良・眼や鼻周囲の感染などを入院・専門医相談の判断材料としている[2]

3者で最もはっきり分かれているのは第一選択薬の考え方です。アメリカのIDSAは連鎖球菌を主な標的として抗ブドウ球菌薬を弱く推奨するにとどめているのに対し、イギリスのNICEは連鎖球菌とブドウ球菌の両方をカバーするフルクロキサシリンを最初から第一選択にしています[1][2]。日本の総説が挙げる第1世代セフェム系は、連鎖球菌にもブドウ球菌にも一定の効果があり、どちらかといえばNICEに近い考え方です[3]。国内101例を調べた前向き研究では、β溶血性連鎖球菌の関与が59.4%で確認され、CA-MRSAを標的にした抗菌薬は101例中0例で不要だったとされ、重症例を除きCA-MRSAへの対応は不要というIDSAの考え方が、日本人の患者でも成り立つことを示すデータとなっています[4]。

入院が必要かどうかの判断基準にも違いがあります。IDSAは、全身性炎症反応症候群(SIRS)・意識状態の変化・血行動態の不安定さがなければ外来治療でよいとし、深部感染や壊死性感染が疑われる場合、治療への反応が乏しい場合、重度の免疫不全がある場合などに入院を勧めています[1]。NICEは、全身状態が重い場合・眼や鼻の周囲の感染・通常と異なる病原体が疑われる場合(穿通性のケガ、水にさらされた後、海外で感染した場合など)・経口の抗菌薬で改善しない場合・内服ができない場合に、病院への紹介や専門医への相談を勧めています[2]。日本内科学会雑誌の総説には、蜂窩織炎そのものについて同様の入院基準の一覧は見当たらず、重症度や基礎疾患、全身状態を総合的に判断して方針を決めるという記載にとどまっています[3]。

リンパ浮腫・むくみとの関係

むくみ(リンパ浮腫や静脈うっ滞など)は、蜂窩織炎のリスクを高める代表的な背景の一つです。皮膚が薄くなって傷つきやすくなるため、細菌が侵入しやすくなるとされています[1][8]。国立国際医療センターは、蜂窩織炎をリンパ浮腫の患者が注意すべき代表的な合併症の一つとして挙げています[7]。日本内科学会雑誌の総説も、特にリンパ浮腫を伴う場合には短時間で重症化することがあるため注意が必要だと述べています[3]。また、過去に蜂窩織炎にかかったことがあること自体も、再発のリスクを高める要因の一つとされています[1]。

国立長寿医療研究センターは、再発予防のポイントとして「下肢の浮腫を軽減する」「足の水虫をきちんと治療する」「キズを適切に早く治す」の3つを挙げています[5]。国立国際医療センターによれば、リンパ浮腫そのものへの対策としては、圧迫療法・リンパドレナージ・運動療法・スキンケアといった保存療法があり、なかでも圧迫療法が重要とされています[7]。それでも再発することがあり、そのときは「その時と割り切って」早めに受診することが勧められています[5]。

リンパ浮腫がない人にとっても、予防の考え方は共通しています。IDSAは繰り返し蜂窩織炎にかかる患者への対応として、むくみ・肥満・湿疹・静脈の機能低下・足の指の間の水虫やひび割れといった、発症のきっかけになりやすい状態を見つけて治療することを推奨しています[1]。StatPearlsも、患部を清潔で乾燥した状態に保つこと、可能であれば心臓より高く挙げること、手指の衛生を保つこと、キズやすり傷ができたら早めに手当てすることを、日常的な注意点として挙げています[8]。

医療費の目安

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16

よくある質問(FAQ)

蜂窩織炎とは何ですか?
キズや水虫などから侵入した細菌が、皮膚の真皮深層から皮下脂肪組織で増殖して起こる急性の細菌感染症です[3][5]。感染が広がる皮下脂肪組織の見た目が蜂の巣に似ていることから、この名前が付けられました[5]。人から人にはうつりません[5]。
蜂窩織炎の原因は何ですか?
主な原因は連鎖球菌やブドウ球菌で、キズや水虫(足白癬)の隙間から皮下組織に侵入して発症します[5]。国内の前向き研究では、101例中60例(59.4%)でβ溶血性連鎖球菌の関与が確認されています[4]。糖尿病、リンパ浮腫によるむくみ、肥満、過去のキズ・手術歴なども発症しやすくする要因とされています[1]。
蜂窩織炎の症状にはどのようなものがありますか?
赤み・腫れ・熱感・痛みが、境界がはっきりしないまま数時間〜1日単位で広がるのが特徴です[1][5]。発熱を伴うこともあります[8]。下肢に多く、通常は片側のみに起こります[8]。
丹毒と蜂窩織炎はどう違いますか?
丹毒は真皮の浅い部分〜表在リンパ管を主座とし、境界がはっきりして盛り上がりやすいのに対し、蜂窩織炎は真皮深層〜皮下脂肪組織まで広がり境界がぼやけやすいとされます[1][3]。丹毒は連鎖球菌が主な原因で、時に腎炎を合併するため尿検査が必要になることがあります[5]。見た目だけで確実に区別することはできません[5]。
蜂窩織炎は放っておいても自然に治りますか?
軽い赤みでも自己判断で様子を見るのは避けてください。症状だけでは他の皮膚疾患と区別できず、放置すると壊死性筋膜炎のような重い感染症に進むこともあるため、早めに皮膚科などを受診して確定診断を受けることが基本です[5]。
抗生物質(抗菌薬)を飲んでいれば安心ですか?
抗菌薬治療を始めていても、臨床所見に見合わない激しい痛み・出血性の水疱・皮膚の黒ずみが出た場合は、壊死性筋膜炎など緊急性の高い病態の可能性があるため、すぐに医療機関に連絡してください[1][3][6]。自己判断での服薬中断も避けてください。
蜂窩織炎はどのくらいで治りますか?抗菌薬は何日飲みますか?
IDSA(アメリカ)は5日間の抗菌薬治療を目安とし、改善がなければ延長するとしています[1]。NICE(イギリス)は5〜7日間を基本に、状態により最大14日まで延長するとしつつ、5〜7日の時点で症状が完全になくなることは期待できないとも述べています[2]。日本国内での具体的な標準日数については、今回参照した資料には明記が見当たりませんでした。治療終了後もむくみがすぐには引かないことがあります[5]。
一度治ったのにまた同じ場所が腫れます。なぜですか?
リンパ浮腫やむくみ、足白癬など細菌の侵入口になりやすい要因が残っていると、再発を繰り返しやすくなります[1][7]。むくみを軽減する圧迫療法、水虫の治療、キズの早期ケアが再発予防の基本とされ、それでも再発したときは早めに受診することが勧められています[5][7]。
蜂窩織炎で画像検査(レントゲンやCTなど)は必要ですか?
状況によって必要になることがあります。皮下の状態、膿瘍やガスの有無、骨や筋肉への波及、人工関節などとの関係を確認する目的で、単純X線・CT・MRIなどが行われることがあります[5]。
蜂窩織炎とお風呂・入浴はどう付き合えばよいですか?
患部を強くこすったり長時間お湯につかったりすると悪化することがあるため、腫れが強い間はシャワーで患部を清潔に保つ程度にとどめ、詳しい入浴の可否は診察を受けた医師に確認することが勧められます。蜂窩織炎自体は人にうつる病気ではありません[5]。
何科を受診すればいいですか?
皮膚科の受診が基本ですが、範囲が広い場合や発熱を伴う場合は内科・救急科も選択肢になります[5]。臨床所見に見合わない激しい痛み・出血性の水疱・低血圧など赤旗所見がある場合は、科を選んでいる時間を惜しんで救急を受診してください[1][3][6]。
ペニシリンアレルギーがある場合、治療はどうなりますか?
NICEのガイドラインでは、ペニシリン系薬(フルクロキサシリン)が使えない場合の代替薬として、クラリスロマイシン・エリスロマイシン(妊娠中)・ドキシサイクリンなどが挙げられています[2]。IDSAも、蜂窩織炎に有効な薬剤の一つとしてクリンダマイシンを挙げています[1]。自己判断で薬を選ばず、アレルギーの既往は必ず医師に伝えてください。

蜂窩織炎に関する記事一覧

丹毒と蜂窩織炎を厳密に区別する数値基準や、日本国内での標準的な抗菌薬投与日数、そして蜂窩織炎そのものの国内発症者数といった全国規模の統計については、学会によって統一された結論が出ているとは言えず、今回参照した資料の範囲では明確な記載が見当たらない部分もありました。海外のガイドラインと日本国内の実診療との間にどの程度の差があるのかも含め、見解が分かれており、現時点で確定的な結論はありません。

参考文献

  1. Stevens DL, Bisno AL, Chambers HF, et al. Practice Guidelines for the Diagnosis and Management of Skin and Soft Tissue Infections: 2014 Update by the Infectious Diseases Society of America (IDSA). Clin Infect Dis. 2014;59(2):e10-52. idsociety.org ↗
  2. National Institute for Health and Care Excellence (NICE). Cellulitis and erysipelas: antimicrobial prescribing (NG141). 2019. nice.org.uk ↗
  3. 掛屋弘.「皮膚・軟部組織感染症」日本内科学会雑誌. 2023;112(11):2068-2075. jstage.jst.go.jp ↗
  4. 盛山吉弘、岩本和真、片桐正博、結束怜子.「本邦での蜂窩織炎の起因菌,および適切な抗菌薬選択の検討」感染症学雑誌. 2018;92(2):115-119. jstage.jst.go.jp ↗
  5. 国立長寿医療研究センター. 健康長寿ナビ「蜂窩織炎(ほうかしきえん)って何? 急にふくらはぎが腫れて痛くて歩きにくいです!」. ncgg.go.jp ↗
  6. 国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症対策支援サービス.「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」. dcc-irs.jihs.go.jp ↗
  7. 国立国際医療センター(JIHS).「リンパ浮腫の原因や症状、合併症について」. hosp.jihs.go.jp ↗
  8. Brown BD, Syed HA, Hood Watson KL. Cellulitis. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing. ncbi.nlm.nih.gov ↗