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JHO 病気ペディア

血腫

最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)

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ぶつけたのは数ヶ月前? 今週34人が確認 記事へ 皮下血腫の危険性 今週30人が確認 記事へ 認知症と見分けがつく? 記事へ 1ヶ月後に症状が出る? 記事へ

✦ 結論から言うと

「血腫」とは、けがや病気によって血管が破れ、皮膚の下・筋肉の中・耳・そして頭蓋骨の中など体のさまざまな場所に血液がたまってできる血のかたまりのことです[1]。同じ「血腫」という言葉でも、皮膚の下にできる青あざ(皮下血腫)は自然に消えていく軽いものがほとんどですが、頭を打った後に頭蓋骨の中にできる硬膜下血腫・硬膜外血腫は命に関わる救急疾患であり、まったく別物として理解する必要があります[1]。頭を打った後にろれつが回らない・片方の手足に力が入らない・意識がぼんやりする・けいれんが起きたときは、様子を見ずただちに救急要請(119番)をしてください[1]。

血腫とは けが・打撲などで血管が破れ、体のすき間に血液がたまってできる塊[1]
主な種類 ①皮下血腫(あざ)②硬膜下血腫・硬膜外血腫(頭蓋内)③筋肉内血腫④耳介血腫(柔道耳)
受診の目安 頭部打撲後に頭痛・嘔吐・意識障害・手足の麻痺・けいれんがあれば直ちに救急受診(119番)[1]

血腫とは?原因と血液がたまる仕組み

血腫(けっしゅ)は、外傷や手術、あるいは血が止まりにくくなる病気・薬の影響によって血管が破れ、血液が血管の外に漏れ出し、皮膚の下や筋肉の中、体内の臓器のすき間などにたまって塊になった状態を指します[1]。正常なけがのあざや出血は誰にでも起こりうるものですが、あきらかなけがのきっかけがないのに繰り返し血腫やあざができる場合は、血が止まりにくくなる病気が隠れていることもあります[4]。血腫ができる場所によって危険度はまったく異なり、皮膚の表面に近い場所(皮下)にできる血腫の多くは自然に吸収されて消えていきますが、頭蓋骨の中(硬膜の上下)にできる血腫は脳を圧迫し、命に関わることがあります[1]。血腫が大きくなるほど、その場所の圧力(内圧)が高まり、周囲の神経や血管を圧迫して症状を悪化させるという共通の仕組みがあります[6]。

また、アスピリンや抗凝固薬(血液をさらさらにする薬)を服用している人、特に高齢者では、軽いけがであっても出血が止まりにくく、血腫ができるリスクが高くなることが知られています[1]。この点については後述の「抗凝固薬を服用している人は特に注意」の項で詳しく説明します。

出典:MSDマニュアル家庭版「頭蓋内血腫」[1]/JHO編集部が作図

血腫と混同されやすい言葉に「点状出血」「紫斑」があります。点状出血は、色の薄い皮膚では赤色または紫色、色の濃い皮膚では茶色に見える小さな点状の出血で、紫斑はそれより大きい斑点状の出血を指します[4]。これらは血腫のように盛り上がった塊にはならず、皮膚の表面の細かい出血にとどまる点が血腫とは異なります。あきらかなけがのきっかけがないのに点状出血・紫斑・複数のあざ(斑状出血)が繰り返し現れる場合や、鼻血・歯ぐきからの出血・過多月経など他の出血症状を伴う場合は、血が止まりにくくなる病気(出血性疾患)のサインである可能性があるため、医療機関での評価が勧められます[4]。

部位別に見る血腫の緊急度と対処法

血腫は「どこにできたか」によって緊急度がまったく異なります。次の表で、体のどの部位に血腫ができたかによる緊急度と対処の目安を確認してください。

血腫のできる部位別・緊急度と対処の目安
部位 血腫の名称 緊急度 対処の目安
皮膚の下(打撲・ぶつけた場所) 皮下血腫(あざ) 低い 冷却・安静で様子を見てよいことが多い。数週間以内に色が変化しながら自然に消えていく[4]
頭蓋骨と硬膜の間 硬膜外血腫 最高(救急) 受傷直後〜数時間で症状が急激に悪化しうる。頭部打撲後の意識障害・激しい頭痛は直ちに救急要請[1]
硬膜とくも膜の間 硬膜下血腫(急性・亜急性) 最高(救急) 数時間〜数日で意識障害が進行することがあり、直ちに脳神経外科・救急を受診[1]
硬膜とくも膜の間(高齢者に多い) 慢性硬膜下血腫 高い(緊急ではないが放置不可) 受傷から1〜2ヶ月かけて症状が出るため見逃されやすい。物忘れ・歩きにくさが急に出たら脳神経外科を受診[2]
筋肉の中(大腿部・ふくらはぎなど) 筋肉内血腫 中〜高 腫れが強く激痛・しびれを伴う場合はコンパートメント症候群の可能性があり整形外科を受診[6]
耳(耳介) 耳介血腫(柔道耳) 中(放置で変形が残る) 放置すると軟骨が硬く変形するため、早期に耳鼻咽喉科・形成外科で血液を抜く処置を[3]

出典:MSDマニュアル家庭版「頭蓋内血腫」[1]/MSDマニュアル家庭版「あざと出血」[4]/済生会「慢性硬膜下血腫」[2]/創傷誌 大腿部血腫の症例報告[6]/日本耳鼻咽喉科学会愛媛県地方部会「耳介血腫」[3]

4つの血腫の見分け方

「血腫」とひとくくりに呼んでも、できる場所によって原因・症状・治療がまったく異なります。同じ「頭を打った」というきっかけでも皮下血腫だけで済むこともあれば、硬膜下血腫のように命に関わる場合もあり、逆にスポーツによる耳や筋肉の血腫は命の危険は低いものの、放置すると耳の変形やコンパートメント症候群という別の問題を引き起こします。以下の表で4つのタイプを比較します。

項目 ①皮下血腫 ②硬膜下・硬膜外血腫 ③筋肉内血腫 ④耳介血腫
できる場所 皮膚のすぐ下 頭蓋骨と脳の間[1] 筋肉の内部[6] 耳の軟骨と皮膚の間[3]
典型的な原因 ぶつける・転ぶ 頭部打撲・転倒(高齢者は軽微な打撲でも)[1] 強い打撲・肉離れ[6] 柔道・レスリング・ラグビーなど耳の摩擦・打撲[3]
危険度 低い 非常に高い(命に関わる)[1] 中程度(まれにコンパートメント症候群)[6] 低いが、放置で耳の変形が残る[3]
症状が出るまで 直後〜数日 急性は数分〜数時間、慢性は1〜2ヶ月後[2] 直後〜数時間 直後(放置で数週間かけ硬化)[3]
治療の基本 冷却・安静(多くは無治療) 手術による血液除去(穿頭ドレナージ等)[2] 安静、大きい場合は穿刺・切開[6] 注射針で血液を抜き圧迫固定[3]

見分けるカギ:頭部を打った後に「頭痛・吐き気・意識がぼんやりする・手足の麻痺・けいれん」のいずれかがあれば、それは皮下血腫の心配ではなく硬膜下血腫・硬膜外血腫を疑うべきサインです[1]。

経過と治療:血腫のタイプ別ケア

①皮下血腫(打撲によるあざ・青たん)

皮下血腫は、日常生活でぶつけたり転んだりしたときに毛細血管が破れて血液が皮膚の下にたまり、赤紫色のあざとして見える最も身近な血腫です[4]。けがをしたときのあざや出血は正常な反応であり、多くは治療の必要がなく、時間の経過とともに血液が体内に吸収されて自然に消えていきます[4]。受傷直後は患部を冷やし、腫れがある程度落ち着いた後は温めて血流を促すという対処が一般的です。ただし、ぶつけた覚えがないのに繰り返しあざができる、あざと同時に鼻血や歯ぐきからの出血がある、というような場合には、血が止まりにくくなる病気が背景にある可能性があるため、そのようなときの原因の特定には医療機関での評価が必要です[4]。

②硬膜下血腫・硬膜外血腫(頭蓋内血腫)── 命に関わる救急疾患

硬膜外血腫は、頭蓋骨と、脳を覆う膜(髄膜)の一番外側の層である硬膜との間にある動脈や太い静脈が、主に頭蓋骨骨折によって破れることで起こります[1]。受傷直後あるいは数時間後に激しい頭痛が起こり、ときには頭痛がいったん治まったように見えて(この時間を「意識清明期」といいます)、その後急激に意識状態が悪化するという経過をたどることがあります[1]。永続的な脳の損傷を防ぐには迅速な診断と手術(頭蓋骨に穴をあけて血液を排出する等)が必要とされています[1]。

硬膜下血腫は、硬膜とくも膜の間にある架橋静脈などからの出血によって起こり、症状が現れるまでの時間によって「急性(受傷後数分〜数時間で発症)」「亜急性(数時間〜数日)」「慢性(数週間〜数ヶ月かけて徐々に発症)」に分類されます[1]。急性・亜急性の硬膜下血腫は、転倒・転落や交通事故などの重い頭部外傷で急速に出血し、脳の腫れを伴って頭蓋内の圧力を急上昇させることがあるため、命に関わる救急疾患です[1]。

慢性硬膜下血腫は特に高齢者に多く注意が必要です。頭部外傷後、通常1〜2ヶ月かけて硬膜と脳の間にじわじわと血液がたまり血腫ができる病気で、人口10万人あたり年間1〜2人程度が発症するとされています[2]。血腫が大きくなり脳を圧迫することで、頭痛、物忘れ、認知症によく似た症状(意欲の低下、性格の変化、反応の低下など)、歩きにくさ、片方の手足に力が入らないといった症状が現れます[2]。高齢者は加齢による脳の萎縮によって架橋静脈が引っ張られており、軽い外傷でも血管が切れやすく、出血が長引く傾向があるため、本人も家族も「軽くぶつけただけ」という記憶しかなく、受傷から症状出現までのタイムラグのために診断が難しくなることがあります[1]。認知症のような症状がある高齢者で、実は認知症ではなく慢性硬膜下血腫が原因だったというケースもあり、慢性硬膜下血腫であれば手術によって効果的に治療できる可能性があります[1]。血腫が小さい場合はまれに自然に治癒することもありますが、通常は外科的治療(穿頭ドレナージ術)が必要になります[2]。この手術は局所麻酔下に頭皮を3cmほど切開し、頭蓋骨に1cmほどの穴を開けて細い管(ドレーン)で血腫を洗浄・排出するもので、比較的短時間で終了し、術後約1週間で退院可能となることが多いとされています[2]。ただし10%程度に術後の再発が見られ、血液をさらさらにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を飲んでいる人は一般的に再発しやすいとされています[2]。硬膜下血腫の血液が吸収された後も、高齢者は若い人のように脳が元の大きさまで順調には戻らないため、液体がたまる空間(ヒグローマ)が残ることがあり、そこに細い血管の再出血が起きて再び血腫が大きくなることもあるとされています[1]。なお、乳児は頭蓋骨が軟らかいため、硬膜下血腫ができると頭部がふくらむという特徴があり、年長の小児や成人ほどには頭蓋内の圧力が上がらないとされています[1]。

脳内血腫は、頭部外傷による脳そのものの損傷(脳挫傷)によって脳の内部に生じる血腫で、重度の頭部外傷でよく見られます[1]。損傷を受けた脳の領域によって、眠気、錯乱、血腫とは反対側の体の麻痺、発話や言語能力の障害などの症状が現れ、損傷部位に体液がたまること(脳浮腫)で頭蓋内の圧力がさらに上昇することもあります[1]。脳内血腫は血腫そのものが脳組織の中にあるため、血腫に到達するにはその上にある脳の組織を取り除く必要があり、それが脳機能の喪失につながることから、通常は手術を避ける方針がとられるとされています[1]。大きな急性硬膜下血腫がある場合、治療を受けても生存率は約50%にとどまるとされており、この数字からも頭部外傷後の急性硬膜下血腫がいかに重篤な救急疾患であるかがわかります[1]。

出典:MSDマニュアル家庭版「頭蓋内血腫」[1]/済生会「慢性硬膜下血腫」[2]

③筋肉内血腫(大腿部・ふくらはぎなどの打撲)

強い打撲を受けると、筋肉の中で血管が破れて出血し、筋肉の中に血液の塊(筋肉内血腫)ができることがあります[6]。打撲後に血腫を生じることは日常診療でもよく経験し、自然に軽快することも多いため、外科的な処置が選ばれることは比較的少ないとされています[6]。しかし、大腿部などの大きな筋肉に強い外力が加わって出血量が多くなると、筋肉を包む膜(筋膜)の中の圧力が急激に高まり、神経や血管を圧迫する「コンパートメント症候群」という緊急事態を起こすことがあります[6]。実際に、打撲によって生じた大腿部血腫でコンパートメント症候群を発症し、筋区画内圧の上昇を確認したうえで、圧を下げるための切開手術(減張切開)が行われた症例も報告されています[6]。強い腫れとともに、じっとしていても治まらない激痛、しびれ、皮膚の色が悪くなるといった症状がある場合は、単なる打撲と自己判断せず整形外科を受診することが重要です。実際の症例報告では、大腿部の皮膚欠損や膝を伸ばす筋力の低下を伴うケースや、打撲部に漿液(じょうえき、血液の水分成分)がたまり続けて穿刺吸引を繰り返しても改善しなかったケースなど、打撲後の筋肉内血腫が数週間にわたり治りにくい経過をたどった例も報告されています[6]。同じ大腿部の打撲であっても、受傷した体型や外力の加わり方によって異なる病態(筋区画内の血腫、皮下から深筋膜上にかけての血腫など)を呈することがあるとされており、打撲後の腫れが長引く場合は自己判断で様子を見続けず、早めに整形外科で画像検査(CTなど)を受けることが勧められます[6]。

④耳介血腫(柔道耳・カリフラワー耳)

耳介血腫は、耳(耳介)の皮膚と軟骨の間に血液がたまって腫れる状態で、柔道、相撲、レスリング、ラグビーなどの選手で、耳への反復する摩擦刺激や打撲によってしばしば見られるスポーツ外傷です[3]。発症直後は耳の前面が柔らかく腫れますが、放置すると血腫は徐々に硬くなって耳が大きくなり、再発を繰り返すことで最終的にはこぶのように硬くなった「カリフラワー耳」と呼ばれる永続的な変形につながります[3]。治療は、発症直後で腫れが軽いときは冷湿布程度で改善することもありますが、基本は太い注射針で血液を頻繁に抜き取ることです[3]。血液が固まって十分抜けないときは皮膚を小さく切開して抜くこともあります[3]。血液を抜いた後は再発予防のため圧迫固定を行いますが、耳の複雑な形から確実な固定は難しく、頻繁に血液を抜いても再発を繰り返し、なかなか完治しないことも多いのが実情です[3]。最終的に硬いカリフラワー耳になってしまうと、形成外科的な手術治療が必要になります[3]。予防としては、レスリングではヘッドギアなどの防具の装着によって耳の保護が期待できるとされています[3]。

抗凝固薬を服用している人は特に注意

ワーファリン(ワルファリン)やDOAC(直接経口抗凝固薬:ダビガトラン、リバーロキサバン、エドキサバン、アピキサバンなど)、アスピリンなどの血液をさらさらにする薬を服用している人は、血が止まりにくいため、軽いけがであっても血腫が大きくなりやすく、特に注意が必要です[1]。独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の患者向け資料では、頭蓋内出血には脳出血、出血性脳梗塞、硬膜下血腫、くも膜下出血、硬膜外血腫、脳室内出血などがあり、重症の場合は死亡する恐れや、片麻痺・言語障害などの後遺症が残る可能性があるとされています[5]。同資料は、ワルファリンよりも出血の副作用が少ない抗凝固薬として直接経口抗凝固薬(DOAC)があるものの、DOACも出血の副作用がないわけではないと注意を促しています[5]。

抗凝固薬・抗血小板薬を飲んでいる人は、「手足に点状出血」「皮下出血」「歯ぐきの出血」などの症状によって早期に出血傾向に気づくことが重要とされています[5]。頭を打った自覚がなくても、頭痛・物忘れ・歩きにくさなどが後から出てくることがあるため、抗凝固薬を服用中に頭部を打撲した場合は、症状がないように見えても医療機関に相談することが望ましいとされています[1]。また、慢性硬膜下血腫の治療(穿頭ドレナージ術)を受けた後も、抗凝固薬・抗血小板薬を服用している人は一般的に再発しやすいとされているため、服薬の継続や再開については必ず主治医・脳神経外科医の指示に従ってください[2]。

ワルファリンを服用している場合、効き過ぎによって出血傾向が起こることがあるため、勝手に薬の量を減らしたり中止したりせず、主治医に相談することが重要とされています[5]。ワルファリンの効果はPT(INR)(プロトロンビン時間の国際標準化比)という血液検査の数値で管理されており、また解熱消炎鎮痛薬や抗生剤などとの飲み合わせによってワルファリンの作用が強く出て出血しやすくなることもあるとされています[5]。頭蓋内出血(脳出血、出血性脳梗塞、硬膜下血腫、くも膜下出血、硬膜外血腫、脳室内出血など)が疑われる症状として、吐き気、めまい、頭痛、うなじのこわばり(項部硬直)、意識障害、麻痺、視力障害、感覚障害が挙げられており、これらに気づいたら医療機関を受診してCTやMRIなどの画像検査を受けることが勧められています[5]。抗凝固薬・抗血小板薬を服用している方は、こうした初期症状を家族とも共有しておくと、慢性硬膜下血腫のように症状が数週間かけてゆっくり現れるタイプの血腫にも早く気づきやすくなります。

受診の目安:今すぐ救急(119番)か、自宅で様子見か

血腫の危険度は、以下のように「赤(今すぐ救急)」「黄(早めに受診)」「緑(自宅で様子見可)」の3段階で考えると判断しやすくなります。

段階 状態 行動
赤:今すぐ救急(119番) 頭部打撲の後に、意識がもうろうとする・呼びかけへの反応が鈍い・けいれん・片方の手足が動かせない・ろれつが回らない・繰り返す嘔吐のいずれかがある[1] その場で救急要請。移動させず安静を保つ
黄:早めに脳神経外科・整形外科・耳鼻咽喉科を受診 頭部打撲後に頭痛が続く・物忘れや歩きにくさが数週間かけて出てきた(特に高齢者)[2]/打撲後に筋肉の激痛・しびれが治まらない[6]/耳の腫れが引かない[3] 数日以内に該当する診療科を受診
緑:自宅で様子見可 ぶつけた場所が青あざになっているだけで、意識障害・神経症状・強い腫れがない[4] 冷却・安静。数週間で自然に色が変化しながら消えていくか経過観察

特に、抗凝固薬・抗血小板薬を服用している人、高齢者、飲酒習慣のある人は、軽い頭部打撲でも血腫のリスクが高くなるため、「大丈夫だろう」と自己判断せず、少しでも様子がおかしいと感じたら医療機関に相談してください[1]。慢性硬膜下血腫のように受傷から症状出現までに1〜2ヶ月ものタイムラグがあるタイプもあるため、「少し前に頭をぶつけたが、そのときは何ともなかった」という記憶自体が、後から起きる症状との結びつきを見えにくくすることも念頭に置いておく必要があります[2]。

アメリカの医学情報と日本の医療現場での説明の比較

項目 アメリカ(MSDマニュアル家庭版) 日本(済生会などの医療機関)
頭蓋内血腫の分類 硬膜外血腫・硬膜下血腫(急性・亜急性・慢性)・脳内血腫の3種に整理して説明[1] 慢性硬膜下血腫を独立した病気として、頭部外傷後1〜2ヶ月というタイムラグを強調して説明[2]
慢性硬膜下血腫の発症頻度の示し方 高齢者、飲酒習慣のある人、抗凝固薬・抗血小板薬服用者に多いと定性的に説明[1] 人口10万人あたり年間1〜2人という具体的な発症率を提示[2]
手術後の見通し 「治療によって症状が改善されるか、あるいはそれ以上悪化しなくなる」と幅を持たせた表現[1] 「症状が改善し、術後約1週間で退院可能となることが多い」と具体的な入院期間を提示[2]

両者の記述で大きく矛盾する点はありませんが、日本の医療現場の説明は発症率や入院期間など具体的な数字を示す傾向がある一方、アメリカの一般向け資料は重症度に応じた経過の幅を丁寧に説明している点に違いがあります。どちらも「高齢者・抗凝固薬服用者は軽い頭部打撲でも要注意」という結論は共通しています[1][2]。

医療費の目安

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16


よくある質問(FAQ)

頭をぶつけて青あざができただけですが、病院に行くべきですか?
意識がはっきりしていて、頭痛・嘔吐・手足の麻痺・けいれんなどの症状がなければ、皮膚の下のあざ(皮下血腫)は多くの場合治療の必要がなく、時間の経過とともに自然に吸収されて消えていきます[4]。ただし抗凝固薬を服用中の方や高齢者は、症状が後から出てくることがあるため注意してください[1]。
あざ(皮下血腫)はどのくらいで消えますか?
個人差はありますが、一般的に赤紫色から緑色・黄色へと色を変えながら、数週間程度かけて自然に吸収されて消えていきます。ただし今回参照した資料には具体的な日数の基準についての記載は見当たりませんでした。あざが2週間以上経っても大きくなり続ける、あるいは痛みが強くなる場合は医療機関に相談してください。
慢性硬膜下血腫はどのくらいの割合の人がなりますか?
人口10万人あたり年間1〜2人程度が発症するとされ、特に高齢者に多いとされています[2]。
頭を打ってから何日後まで慢性硬膜下血腫を疑えばよいですか?
通常、頭部外傷後1〜2ヶ月かけて血腫がゆっくりとでき、頭痛・物忘れ・歩きにくさなどの症状が現れるとされています[2]。頭部打撲の記憶がはっきりしないまま、数週間後から物忘れや歩きにくさが急に出現した場合は、慢性硬膜下血腫を疑って脳神経外科を受診することが勧められます[2]。
慢性硬膜下血腫は手術しないと治りませんか?
血腫が小さい場合はまれに自然に治癒することもありますが、極めてまれとされ、通常は外科的治療(穿頭ドレナージ術)が必要です[2]。手術は比較的短時間で終わり、術後約1週間で退院可能となることが多いとされていますが、10%程度に再発が見られます[2]。
筋肉に血腫ができて強い痛みとしびれがあります。放置しても大丈夫ですか?
打撲後の血腫は自然に軽快することも多いですが、強い腫れとともにじっとしていても治まらない激痛やしびれがある場合は、筋肉を包む膜の中の圧力が急上昇する「コンパートメント症候群」という緊急事態の可能性があり、実際に切開手術が必要になった症例も報告されています[6]。自己判断せず整形外科を受診してください。
耳が腫れてカリフラワー耳になりそうです。どこを受診すればいいですか?
耳介血腫は柔道・レスリングなどのスポーツ外傷でよく見られ、放置すると軟骨が硬くなり永続的な変形につながるため、耳鼻咽喉科または形成外科の受診が勧められます[3]。治療は太い注射針で血液を抜く処置が基本です[3]。
耳介血腫は血を抜いても再発しますか?
はい、頻繁に血液を抜いていても再発を繰り返し、難治性になることが多いとされています[3]。同じスポーツで受傷を繰り返している状況では完治が難しいことも多く、処置後はしばらく競技を休むことが勧められています[3]。
血液をさらさらにする薬(ワーファリンなど)を飲んでいますが、頭を軽くぶつけただけでも受診すべきですか?
アスピリンや抗凝固薬を服用している人、特に高齢者では、軽い頭部外傷でも血腫が発生するリスクが増加するとされています[1]。症状がなくても、服用中の薬について医療機関に伝えたうえで相談することが望ましいとされています。
皮下血腫と血腫の違いは何ですか?
皮下血腫は「血腫」という大きな分類の中の一種類で、皮膚のすぐ下にできる比較的軽い血腫を指します[4]。血腫全体には、皮下血腫のほかに頭蓋内にできる硬膜下血腫・硬膜外血腫、筋肉内血腫、耳介血腫など危険度の異なるさまざまな種類が含まれます[1]。
子どもが頭を打って一度泣き止んだのに、後からぐったりしてきました。大丈夫でしょうか?
頭部外傷では、受傷直後は意識がはっきりしていても、いったん精神機能が回復した後に再び意識障害が生じる「意識清明期」と呼ばれる経過をたどることがあり、これは硬膜外血腫などで見られる危険なサインです[1]。一度落ち着いたように見えても、その後に眠気が強くなる、ぐったりする、嘔吐を繰り返す、けいれんするなどの様子があれば、様子を見ずに直ちに救急要請(119番)をしてください[1]。

血腫に関する記事一覧


血腫の日数ごとの色の変化の詳細な目安や、部位別の圧迫時間の統一基準については、今回参照した資料には記載が見当たりませんでした。

参考文献

  1. MSDマニュアル家庭版「頭蓋内血腫」(2024年10月)msdmanuals.com
  2. 社会福祉法人恩賜財団済生会「慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)とは」saiseikai.or.jp
  3. 日本耳鼻咽喉科学会愛媛県地方部会・愛媛県耳鼻咽喉科医会「耳介血腫」ehime.med.or.jp
  4. MSDマニュアル家庭版「あざと出血」(2025年9月)msdmanuals.com
  5. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「重篤副作用疾患別対応マニュアル 出血傾向」患者様へpmda.go.jp
  6. 見目和崇ほか「打撲により大腿部血腫を生じ,異なる経過で手術に至った3例」創傷 3(1):35-40, 2012jstage.jst.go.jp
  7. 公益社団法人日本整形外科学会「スポーツ外傷の応急処置」joa.or.jp