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骨粗鬆症(こつそしょうしょう)

最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)

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✦ 結論から言うと

骨粗鬆症とは骨の量(骨密度)が減り、骨の質も低下することで骨が弱くなり、わずかな衝撃でも骨折しやすくなる病気です[1]。骨粗鬆症財団によると、閉経後の女性と高齢者に多く、自覚症状がないまま進み、背骨(脊椎)や足のつけ根(大腿骨近位部)の骨折をきっかけに要介護や寝たきりにつながることがあります[1]。MSDマニュアルによると、骨密度検査(DXA)でYAM(若年成人平均値)の70%以下、または国際基準のTスコアで-2.5SD以下と判定されると骨粗鬆症と診断され、薬による治療の対象になります[3][4]。

主な原因 加齢による骨量減少、女性は閉経による女性ホルモン低下、カルシウム・ビタミンD不足、運動不足、ステロイド薬の長期使用など[13]
主な症状 骨折するまで自覚症状がないことが多い。骨粗鬆症財団によると、背中が丸くなる、身長が縮む、腰や背中の慢性的な痛みは脊椎の圧迫骨折のサインのことがある[1]
受診の目安 転倒後に股関節や背中に激しい痛みがあり立てない・歩けない場合はすぐに受診。骨粗鬆症財団によると、身長が縮んだ、背中が丸くなってきたと感じた場合も早めに整形外科を受診[1]

骨粗鬆症とは?原因と骨折しやすくなる仕組み

骨は一生を通じて、古い骨を壊す「骨吸収」と新しい骨をつくる「骨形成」という代謝を絶えず繰り返しています[5]。MSDマニュアルによると、若いうちはこの二つのバランスが保たれていますが、加齢とともに骨吸収が骨形成を上回るようになると、骨の中の骨梁(こつりょう)と呼ばれる網目状の構造がすかすかになり、骨全体がもろくなっていきます[3]。この状態が骨粗鬆症です。厚生労働省 e-ヘルスネットによると、骨量は20歳前後で生涯の中でもっとも多くなる「最大骨量(ピークボーンマス)」に達し、その後は比較的安定した状態が続いたあと、加齢とともに徐々に減っていきます[9]。厚生労働省 e-ヘルスネットによると、とくに女性は、閉経に伴って骨を守る働きをする女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少するため、閉経後の数年間で骨量が大きく落ち込みやすいことがわかっています[9]。

厚生労働省 e-ヘルスネットによると、骨の強さ(骨強度)は、骨の量を示す「骨密度」と、骨の構造や新陳代謝の質を示す「骨質」という二つの要素で決まるとされています[9]。骨密度がある程度保たれていても、骨質が低下していれば骨折のリスクは高まります。骨粗鬆症財団によると、骨粗鬆症は自覚症状がほとんどなく進行するため「静かな病気(サイレントディジーズ)」とも呼ばれ、多くの人は背骨や足のつけ根を骨折してはじめて診断を受けます[1]。骨粗鬆症財団は、骨粗鬆症による骨折を起こすと寝たきりや認知症につながることがあると説明しています[1]。骨粗鬆症財団によると、とくに大腿骨(足のつけ根)を骨折すると入院や安静を強いられ、運動機能や内臓機能が低下して寝たきりにつながりやすく、寝たきりから認知症が進行する可能性もあり、死亡リスクも高くなるとされています[1]。骨粗鬆症財団によると、骨折は一度起こると連鎖的につぎの骨折を起こしやすくなり、背骨のバランスが崩れて背中が丸くなることで、胃食道逆流などの消化器症状や呼吸機能の低下、心機能の低下につながることもあります[1]。

出典:骨粗鬆症財団「骨粗鬆症とは」「数字でみる骨粗しょう症」[1][2]/厚生労働省 e-ヘルスネット「骨粗鬆症」[7]

閉経とのかかわりについて、骨粗鬆症財団は次のように説明しています。骨粗鬆症財団によると、成人期の20歳代から40歳代くらいまでは、骨をつくる骨芽細胞と骨を壊す破骨細胞のバランスが取れた状態にあり、骨量は一定に保たれています[1]。骨粗鬆症財団によると、ところが女性が閉経期を迎えると、卵巣から出る女性ホルモン(エストロゲン)が急激に少なくなります[1]。骨粗鬆症財団によると、エストロゲンには骨の形成を促し、骨の破壊を抑える作用がありますが、この作用が欠乏すると破骨細胞が骨芽細胞よりも活発に働くようになり、骨がどんどん溶けてカルシウムが血液に供給され続けるため、骨量が減少していきます[1]。

骨粗鬆症財団は、症状の進み方を軽度と重度に分けて説明しています。骨粗鬆症財団によると、軽度の段階では、立ち上がるときや重いものを持ったときに背中や腰が痛む、背中や腰が徐々に曲がってくる、身長が縮んでくるといった変化が現れます[1]。骨粗鬆症財団によると、これらは老化によるものと思われがちで見過ごされやすい症状です[1]。骨粗鬆症財団によると、進行して重度になると、背中や腰の激しい痛みで寝込んでしまう、転んだだけで骨折する、背中や腰の曲がりがひどくなる、身長の縮みがかなり目立つといった状態になるとされています[1]。骨粗鬆症財団によると、骨粗鬆症は自覚症状がないまま加齢とともに進行し、骨折して初めて気づく人が多いため「沈黙の疾患」とも呼ばれています[1]。骨粗鬆症財団によると、骨粗鬆症と診断されたら、骨折を起こさないよう治療をすぐに始めることが大切だとされています[1]。

MSDマニュアルによると、骨密度は男女とも30歳頃にピークを迎え、その後10年ほどはほぼ横ばいの時期(プラトー)が続きますが、女性の場合は閉経とともに骨量減少が始まり、10年ほどかけて年2%程度まで減少ペースが加速し、その後は落ち着いていくとされています[3]。MSDマニュアルによると、骨粗鬆症による骨の変化は、骨の外側を覆う「皮質骨」と、内部の網目状構造である「海綿骨(骨梁骨)」の両方に及び、皮質骨は厚みが減り、海綿骨は骨梁の数やサイズが減って多孔性が増していくとされています[3]。MSDマニュアルによると、「脆弱性骨折」は、正常な骨であれば折れないはずの軽い衝撃(立った姿勢からの転倒やベッドからの転落程度)で起こる骨折で、頻度が高いのは脊椎(胸腰椎の圧迫骨折がもっとも一般的)、大腿骨頸部・大転子(足のつけ根)、手首の橈骨遠位端とされ、上腕骨近位部や骨盤にも起こることがあるとされています[3]。MSDマニュアルによると、逆に、鼻骨や肋骨、鎖骨、膝蓋骨、中足骨などの骨折は、一般に骨粗鬆症関連骨折とはみなされないとされています[3]。

骨粗鬆症の原因・危険因子——加齢・閉経・生活習慣

骨量が減少するもっとも大きな原因は加齢ですが、骨粗鬆症は遺伝、生活習慣、女性の場合は閉経の影響も受ける複合的な疾患であることがわかっています[13]。骨粗鬆症財団は、原因として「カルシウムの摂取不足」「女性ホルモンの欠乏」「カルシウム調整機能の衰え」の三つを挙げています[13]。骨粗鬆症財団によると、また、卵巣摘出、糖尿病、ステロイド薬の使用、慢性肝障害など他の病気や薬が原因で起きる骨粗鬆症の場合は、年齢や性別に関係なく発症することがあると説明されています[13]。

骨粗鬆症財団によると、骨折の危険因子としてとくに重要とされているのが、喫煙、多量の飲酒、低体重、加齢、閉経、ステロイド服薬歴です[13]。骨粗鬆症財団によると、喫煙者は禁煙者・非喫煙者と比べて骨折のリスクが高まるとされ、飲酒については1日2単位(およそビール中瓶2本、日本酒2合)程度から骨折リスクが高くなり、この傾向に男女差はないとされています[13]。骨粗鬆症財団によると、低BMI(低体重)の人はとくに大腿骨骨折を起こしやすく、同じ骨密度であっても年齢が高いほど骨折の危険が高くなること、閉経年齢が早い人や両側の卵巣を摘出している人も危険が高くなることが示されています[13]。骨粗鬆症財団によると、ステロイド治療は骨密度を低下させる代表的な薬剤性の危険因子です[13]。

MSDマニュアルによると、骨粗鬆症は原因の同定できない「原発性骨粗鬆症」と、他の病気や薬剤が原因で起こる「続発性骨粗鬆症」に分けられます[3]。MSDマニュアルは、続発性骨粗鬆症の原因として、悪性腫瘍(多発性骨髄腫など)、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、慢性腎臓病、ステロイドの長期使用や抗てんかん薬などの薬剤、グルココルチコイド過剰・副甲状腺機能亢進症・甲状腺機能亢進症・性腺機能低下症・糖尿病などの内分泌疾患、高カルシウム尿症、ビタミンD欠乏症、長期の不動状態、関節リウマチ、セリアック病などを挙げています[3]。なかでもステロイド薬(グルココルチコイド)が原因で起こる「ステロイド性骨粗鬆症」は代表的な続発性骨粗鬆症の一つで、厚生労働省の資料では、経口ステロイド薬を3カ月以上使用中または使用予定で、既存の脆弱性骨折がある、骨密度がYAM(若年成人平均値)80%未満である、あるいはプレドニゾロン換算で1日5mg以上を投与されている場合のいずれかに該当すると、骨密度がより高い数値でも治療開始の対象になるとされています[12]。国立病院機構の資料によると、これは、通常の原発性骨粗鬆症のYAM70%以下という基準よりも早い段階で治療を始めるべきだという考え方で、ステロイドそのものが骨に与える影響の大きさを示しています[4]。

続発性骨粗鬆症のおもな原因(カテゴリー別)
カテゴリー おもな例
内分泌疾患 グルココルチコイド過剰、副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、性腺機能低下症、糖尿病[3]
薬剤 ステロイドの長期使用、抗てんかん薬、甲状腺ホルモン補充療法、プロトンポンプ阻害薬、H2受容体拮抗薬など[3]
全身疾患 慢性腎臓病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、関節リウマチ、セリアック病、肝疾患、吸収不良症候群[3]
栄養・生活 ビタミンD欠乏症、不動状態(長期臥床)、長期の無重力状態(宇宙飛行)[3]
悪性腫瘍 多発性骨髄腫など[3]

出典:MSDマニュアル プロフェッショナル版「骨粗鬆症」続発性骨粗鬆症の原因の表[3]

骨に力学的な刺激が加わらないことも危険因子です。MSDマニュアルによると、骨の成長には荷重負荷などの機械的ストレスが必要なため、不動状態や長時間の座りっぱなしは骨量減少を招くとされ、BMIが低い人は骨量が減少しやすいとされています[3]。MSDマニュアルによると、食事によるカルシウム・リン・マグネシウム・ビタミンDの摂取不足も骨量減少の素因となり、喫煙および飲酒も骨量に悪影響を及ぼすとされています[3]。MSDマニュアルによると、骨粗鬆症の家族歴、とくに親の股関節骨折の既往も危険因子の一つとされています[3]。MSDマニュアルによると、白人やアジア人などの特定の集団は他の集団に比べて骨粗鬆症のリスクが高いと考えられてきましたが、個人を集団に分類することの難しさが判明したことから、こうした集団間の差についての主張には近年疑問も投げかけられているとされています[3]。

MSDマニュアルによると、また、性腺機能が正常で二次的な原因が見当たらないにもかかわらず、小児・青年・閉経前女性・50歳未満の男性に脆弱性骨折が起こるまれなケースは「特発性骨粗鬆症」と呼ばれています[3]。若いのに骨折を繰り返す、といった通常のパターンに当てはまらない場合は、背景に見えにくい原因が隠れている可能性があるため、専門的な検査が必要になることがあります。

厚生労働省が運営するe-ヘルスネットでも、骨粗鬆症の危険因子を「除去できない危険因子」と「除去できる危険因子」に分けて整理しています。厚生労働省 e-ヘルスネットによると、除去できない危険因子には加齢、性(女性)、人種、家族歴、遅い初潮、早期閉経、過去の骨折が含まれ、除去できる危険因子にはカルシウム不足、ビタミンD不足、ビタミンK不足、リンの過剰摂取、食塩の過剰摂取、極端な食事制限(ダイエット)、運動不足、日照不足、喫煙、過度の飲酒、多量のコーヒーが含まれるとされています[9]。厚生労働省 e-ヘルスネットによると、生涯を通じての骨粗鬆症の予防は、若いうちに獲得する最大骨量をできるだけ大きくすることと、その後の骨量減少を最小限に抑え、除去できる危険因子を早期に取り除くことが基本とされています[9]。MSDマニュアルによると、なお、続発性骨粗鬆症(他の病気や薬が原因で起こるもの)は女性における骨粗鬆症の5%未満を占め、男性では約20%を占めるとされています[3]。

診断の目安となる数値・基準

骨粗鬆症の診断基準(骨密度による判定)
状態 骨密度の基準 備考
正常 YAMの80%以上 骨密度は若年成人平均値(YAM)の何%にあたるかで表す[4]
骨量減少(骨粗鬆症予備群) YAMの70%を超え80%未満 脆弱性骨折がない場合の基準[4]
骨粗鬆症 YAMの70%以下、または-2.5SD以下 脆弱性骨折がない場合。国立病院機構の資料によると、既存の脆弱性骨折がある場合は骨密度の基準がさらに緩和される[4]
WHO基準(国際的なTスコア) Tスコア -2.5以下 同性・同人種の健康な若年者の骨量ピークと比べた標準偏差。国際的にはこちらが広く使われる[3]

出典:独立行政法人国立病院機構が公表する資料が引用する骨粗鬆症の診断基準(YAM=若年成人平均値、腰椎では20〜44歳、大腿骨近位部では20〜29歳の健康な人の平均値)[4]/MSDマニュアル プロフェッショナル版「骨粗鬆症」[3]

骨密度の測定にはいくつかの方法があり、腰椎や大腿骨近位部(足のつけ根)といった骨粗鬆症性の骨折が起こりやすい部位の骨密度を2種類のX線で測定するデキサ法(DXA)がもっとも標準的とされています[5]。骨粗鬆症財団によると、大型のDXA装置がない場合は、前腕骨や手のひらのX線写真を用いるMD法でも評価できます[5]。骨粗鬆症財団によると、かかとの骨を超音波で測定するQUS法は、X線による被ばくがなく検診などで広く使われていますが、骨粗鬆症の診断や治療効果の判定そのものには用いることができないとされています[5]。MSDマニュアルは、DXAが推奨される対象として、65歳以上のすべての女性、危険因子を持つ閉経後から65歳までの女性、脆弱性骨折を経験したあらゆる年齢の患者(男女とも)などを挙げています[3]。

診断は骨密度の数値だけで決まるわけではありません。国立病院機構の資料によると、すでに背骨(椎体)や大腿骨近位部の骨折がある場合や、その他の脆弱性骨折があって骨密度がYAMの80%未満の場合も骨粗鬆症と診断されます[4]。国立病院機構の資料によると、脆弱性骨折とは、立った姿勢からの転倒程度以下の軽い衝撃で起こる骨折を指します[4]。

DXAの結果はTスコアとZスコアの2種類で報告されます。MSDマニュアルによると、Tスコアは、患者の骨密度が同性・同人種の健康な若年者の骨量ピークからどれだけ標準偏差(SD)で外れているかを示す値で、これが本記事で扱っている-2.5SDという基準にあたります[3]。MSDマニュアルによると、一方Zスコアは、患者の骨密度が同年齢・同性の人の平均骨密度からどれだけ外れているかを示す値で、小児、閉経前女性、50歳未満の男性の評価に用いるべきとされ、Zスコアが-2.0以下であれば骨量減少の二次的な原因(続発性骨粗鬆症)を疑うべきとされています[3]。また、薬物療法の必要性を判断する材料として、骨密度に加えて骨折リスク評価ツール「FRAX」も使われます。FRAXは骨密度や年齢、家族歴などの危険因子から、今後10年間に主要な骨粗鬆症性骨折(股関節・脊椎・前腕・上腕骨)が起こる確率を予測するもので、骨粗鬆症財団もセルフチェックの一つとしてFRAXを紹介しています[3][5]。

骨粗鬆症財団によると、治療開始後は、骨密度の変化や治療への反応を確認するために、定期的なDXA検査に加えて、血液・尿検査で骨代謝マーカー(骨から放出される物質の量)を測定することがあります[5]。MSDマニュアルによると、骨代謝マーカーは、骨吸収抑制薬による治療を受けている患者で薬がきちんと効いているか(アドヒアランスや吸収状態)を確認するのに役立つとされていますが、測定方法によって信頼性が異なるため、日常診療での使い方には注意が必要とされています[3]。MSDマニュアルによると、骨密度の経過を追う場合は、同一のDXA装置で継続して測定し、Tスコアではなく実際の骨密度の値(g/cm²)で比較することが望ましいとされています[3]。

Zスコアが-2.0以下で続発性骨粗鬆症が疑われる場合、MSDマニュアルは血液・尿検査として、カルシウム・マグネシウム・リンの血清中濃度、25-ヒドロキシビタミンD濃度、肝機能検査、インタクトPTH値(副甲状腺機能亢進症の確認)、男性では血清テストステロン(性腺機能低下症の確認)、カルシウムとクレアチニンの24時間尿(高カルシウム尿症の確認)などを、臨床像に応じて考慮すべきだとしています[3]。MSDマニュアルによると、体重減少がある患者では、悪性腫瘍だけでなく消化管疾患のスクリーニングも行うべきとされ、骨生検はまれな症例(原因不明の若年での脆弱性骨折など)に限って行われるとされています[3]。

日本骨代謝学会・JADECOMによると、なお、日本の「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」は長らく2015年版が使われてきましたが、2025年8月1日付で10年ぶりに改訂され、2025年版が発表されています[11]。今回の改訂ではガイドライン作成プロセスの見直しに加え、米国骨代謝学会(ASBMR)/米国骨粗鬆症財団(NOF)が2024年に発表した治療アルゴリズムが取り入れられ、骨折リスクに応じた治療目標や初期治療薬がより分かりやすく整理されたとされています[11]。本記事のYAM70%/-2.5SDという診断基準そのものは長年変わらず使われてきた数値ですが、薬物治療の章立てなど詳細な内容は2025年版で更新されているため、実際の治療方針は主治医が参照する最新版のガイドラインに基づいて決めることが重要です。

骨粗鬆症の治療薬——タイプ別の一覧

骨粗鬆症と診断されると、薬による治療の対象になります。骨粗鬆症財団によると、薬の選択は、年齢、骨折の部位、骨密度を上げる薬剤の強さのほか、通院できる回数といったライフスタイルなども考慮して決められ、治療方針は主治医とよく相談のうえ決めるべきとされています[6]。骨粗鬆症財団は、治療薬を大きく「骨吸収抑制」「骨形成促進」「骨代謝調整」の3タイプに分類しています[6]。

骨粗鬆症の主な治療薬(分類)
薬剤の種類 働き 備考
ビスホスホネート薬 骨吸収抑制 のみ薬・点滴薬など。骨粗鬆症財団によると、骨を壊す働きを抑える薬の代表格[6]
抗ランクル抗体薬(デノスマブ) 骨吸収抑制 注射薬。骨粗鬆症財団によると、骨を壊す細胞(破骨細胞)の働きを抑える[6]
選択的エストロゲン受容体作用薬(SERM) 骨吸収抑制 のみ薬。骨粗鬆症財団によると、女性ホルモンに似た作用で骨吸収を抑える[6]
副甲状腺ホルモン薬(テリパラチドなど) 骨形成促進 注射薬。骨粗鬆症財団によると、骨をつくる働きを高める[6]
抗スクレロスチン抗体薬(ロモソズマブ) 骨形成促進・骨吸収抑制 注射薬。骨粗鬆症財団によると、骨をつくる働きを高めると同時に骨を壊す働きも抑える[6]
活性型ビタミンD3薬 骨代謝調整 のみ薬。骨粗鬆症財団によると、腸からのカルシウム吸収を助ける[6]
ビタミンK2薬 骨代謝調整 のみ薬。骨のつくり替えのバランスを整える[6]

出典:骨粗鬆症財団「治療の基本方針」骨粗鬆症治療薬一覧(2021年)[6]

骨粗鬆症といっても、骨折の有無、慢性あるいは急性の痛みの有無、骨折に引き続く合併症の有無など、病態や時期はさまざまです[6]。骨粗鬆症財団は、骨折予防のためには正しい用法で継続して薬を使うことが不可欠だとしています[6]。骨粗鬆症財団によると、すでに骨折が起きている人には、骨折に対する処置が行われるケースも多くあります[6]。効果や副作用の程度は薬剤ごと・患者ごとに異なり、どの薬が確実に骨折を防ぐと断定できるものではないため、必ず医師・薬剤師に相談したうえで選ぶことが重要です。

ビスホスホネート薬について。MSDマニュアルは、ビスホスホネートを骨吸収抑制薬の第一選択としています。MSDマニュアルによると、骨吸収を阻害することで骨量を維持し、脊椎や股関節の骨折を最大50%程度減少させる可能性があるとされ、治療開始から早ければ1年程度で骨折リスクの低下がみられるとされています[3]。MSDマニュアルによると、経口薬は空腹時にコップ1杯の水とともに服用し、服用後30分(薬剤により60分)は横にならず、その間は飲食を控える必要があるなど、服用方法に注意点があります[3]。MSDマニュアルによると、治療期間は経口薬でおよそ5年間、点滴薬(ゾレドロン酸)でおよそ3年間を支持する根拠があるとされていますが、骨折リスクが特に高い患者ではより長期の治療が必要になることもあるとされています[3]。

デノスマブ・ロモソズマブについて。MSDマニュアルによると、デノスマブ(抗ランクル抗体薬)は破骨細胞の形成を阻害して骨吸収を抑える注射薬で、他の治療に耐えられない患者や腎機能障害のある患者で選択されることがあります[3]。MSDマニュアルによると、重要な注意点として、デノスマブを自己判断で中止すると骨密度が急速に低下し、脊椎骨折(しばしば多発性)のリスクが高まる可能性があるため、休薬すべきではないとされています[3]。MSDマニュアルによると、ロモソズマブ(抗スクレロスチン抗体薬)は骨吸収を抑える作用と骨形成を促す作用の両方を持つ薬剤として位置づけられています[3]。

まれだが知っておきたい副作用。MSDマニュアルによると、ビスホスホネート、ロモソズマブ、デノスマブによる骨吸収抑制療法を受けている患者では、まれに顎骨壊死(あごの骨が壊死する状態)や非定型大腿骨骨折が報告されています[3]。危険因子には抜歯などの侵襲的な歯科処置、点滴のビスホスホネートの使用、がんなどが挙げられていますが、MSDマニュアルは、骨粗鬆症関連骨折を減らすベネフィット(利益)は、このまれなリスクを大きく上回るとしています[3]。歯科治療の予定がある場合は、事前に主治医・歯科医に服薬状況を伝えることが望まれます。MSDマニュアルによると、ビスホスホネートを中止する目安としては、他の危険因子がほとんどない骨粗鬆症患者ではおよそ3〜5年間の使用後、骨折歴があるなどさらなる危険因子がある患者ではおよそ5〜10年間の使用後に中止を検討することがあるとされ、休薬期間中は新たな骨折や骨密度の急な低下がないか注意深く経過をみるべきだとされています[3]。

SERM(選択的エストロゲン受容体作用薬)について。ラロキシフェンなどのSERMは、ビスホスホネートやデノスマブを服用できない女性に選択されることがある経口薬です。MSDマニュアルによると、脊椎骨折を約50%減少させるとされる一方、股関節骨折を減少させる効果は証明されていないとされています[3]。MSDマニュアルによると、子宮を刺激せず、乳房ではエストロゲンの効果と拮抗するため浸潤性乳がんのリスクを減らす一方、血栓塞栓症のリスクを高める可能性があるとされています[3]。MSDマニュアルによると、エストロゲン製剤そのものも骨密度の維持に使われることがありますが、血栓塞栓症や子宮内膜がん、乳がんのリスク増大との兼ね合いから、使用は限られた症例にとどめられているとされています[3]。

骨形成促進薬が選ばれるケース。MSDマニュアルによると、テリパラチドやアバロパラチドなどの副甲状腺ホルモン(PTH)アナログ、およびロモソズマブといった骨形成促進薬は、骨吸収抑制薬に耐えられない・禁忌がある場合、カルシウム・ビタミンD・運動に加えて骨吸収抑制薬を使っても新たな骨折や骨密度低下がみられた場合、Tスコアが-3.0未満などの重症骨粗鬆症や脊椎の多発性脆弱性骨折がある場合などに選択されることが一般的とされています[3]。MSDマニュアルによると、いずれも皮下注射により連日または定期的に投与するタイプの薬剤です[3]。どの薬剤を選ぶかは骨折リスクの重症度、腎機能、他の病気の有無などによって大きく変わるため、個々の患者にとっての最適解は主治医の判断に委ねられます。それぞれの薬の効果・副作用・費用をさらに詳しく知りたい場合は、骨粗鬆症の薬 全解説|効果・副作用・費用から最新治療戦略までもあわせてご参照ください。

鼻から吸入するカルシトニン製剤について。MSDマニュアルは、サケカルシトニンの鼻腔内投与を骨粗鬆症治療として定期的に用いてはならないとしています。MSDマニュアルによると、急性の痛みを伴う脊椎骨折の後に短期的な鎮痛効果が得られることはあるものの、骨折そのものを減らす効果は証明されていないとされています[3]。「痛み止めになる薬=骨折を防ぐ薬」ではない、という点は誤解しやすいポイントです。

⚠ 骨折したら——今すぐ受診が必要なサイン

骨粗鬆症による骨折のなかでも、とくに要介護の原因になりやすいのが大腿骨(足のつけ根)の骨折です。骨粗鬆症財団によると、この骨折の80%以上は転倒により発生しており、骨密度が低下した状態では転倒を予防することが重要とされています[10]。骨粗鬆症財団によると、大腿骨を骨折すると入院や安静を強いられ、運動機能や内臓機能が低下して寝たきりにつながりやすく、寝たきりから認知症が進行する可能性もあり、死亡リスクも高くなるとされています[1]。

骨粗鬆症財団によると、🔴 今すぐ受診(できれば整形外科の救急・当日受診)

転倒したあとに股関節(足のつけ根)や背中に激しい痛みがあり、立てない・歩けない・体重をかけられない場合は、大腿骨近位部骨折や脊椎の圧迫骨折の可能性があるため、すぐに受診してください[1][3]。

MSDマニュアルによると、🟡 早めに受診(数日以内に整形外科へ)

身長が縮んだ、背中が丸くなってきたと感じる場合は、症状のない脊椎の圧迫骨折が起きているサインのことがあります[3]。MSDマニュアルは、3cmを超える身長低下を報告する患者では、無症状の脊椎の脆弱性骨折を確認するための検査を考慮すべきとしています[3]。MSDマニュアルによると、腰や背中に急に痛みが出て体を動かすと悪化する場合も、脊椎の圧迫骨折が疑われます[3]。

MSDマニュアルによると、🟢 骨粗鬆症検診・骨密度検査の対象

65歳以上の女性、危険因子(家族歴、低体重、喫煙、過度の飲酒など)を持つ閉経後から65歳までの女性は、骨折がなくても骨密度検査(DXA)の対象として推奨されています[3]。

MSDマニュアルによると、一度脆弱性骨折を起こした患者は、別の骨折や無症状の脊椎圧迫骨折のリスクが高いとされています[3]。骨粗鬆症財団によると、骨粗鬆症による骨折を起こし、すでに治療を開始している人には、骨粗鬆症リエゾンサービスなどを通じて再骨折予防に向けた適切な治療・指導が行われている例が多く見られます[10]。

MSDマニュアルによると、脊椎の圧迫骨折は、実は約3分の2が無症状のまま起こるとされ、痛みを伴う場合は通常放散しない急性の痛みで始まり、体重をかける動作で悪化し、脊椎に圧痛点を伴うことがあるとされています[3]。MSDマニュアルによると、多くは1週間ほどで軽快し始めますが、痛みが数カ月続いたり、いったん軽快したのに再び強くなったりする場合は、新たな骨折や、がん・感染症など他の原因を疑うべきとされています[3]。MSDマニュアルによると、複数の胸椎の圧迫骨折が重なると、背中が丸くなる「亀背(dowager hump)」を引き起こし、胸郭の容積が減ることによる息切れや、胃が圧迫されることによる早期の満腹感が現れることもあるとされています[3]。

転倒そのもののリスクにも注意が必要です。MSDマニュアルは、高齢患者の多くが、協調運動やバランス感覚の障害、視力低下、筋力低下、めまいや立ちくらみ(起立性低血圧)を引き起こす薬剤の使用などにより転倒のリスクを抱えていると指摘し、医師は最近の転倒について定期的に確認すべきだとしています[3]。

骨粗鬆症の予防——カルシウム・ビタミンD・運動・日光浴

骨粗鬆症による骨折は、日常の活動性(ADL)や生活の質(QOL)を低下させ、要介護状態に陥る原因の多くを占めているとされています[10]。骨粗鬆症財団によると、そのため、骨粗鬆症予防の最終的な目的は骨折を予防することにあります[10]。骨粗鬆症財団は予防を「1次骨折予防」と「2次骨折予防」の二段階で説明しています。骨粗鬆症財団によると、骨折が心配になるのは中高年になってからですが、初回の骨折(1次骨折)を防ぐためには、若い時期により高い骨量を獲得すること、中高年になってからは若年時の骨密度をできる限り維持することがポイントとされ、早いうちから自分の骨量を知り、栄養・運動などの生活習慣を見直すことが大切だとされています[10]。骨粗鬆症財団によると、すでに骨粗鬆症による骨折を起こした人に対する2次骨折予防では、骨粗鬆症リエゾンサービスなどを通じて、再骨折予防に向けた適切な治療および指導が実施されている例が多くみられるとされています[10]。

カルシウム。厚生労働省 e-ヘルスネットによると、骨の重要な構成成分であるカルシウムが慢性的に不足すると、骨からカルシウムが取り出される量が増え、骨量が減少して骨粗鬆症になる可能性が高くなります[9]。骨粗鬆症財団によると、牛乳をはじめとする乳製品はカルシウム源としてもっとも効率がよく、豆腐や納豆などの大豆製品、骨ごと食べられる小魚、ひじき・わかめ・のりなどの海藻類、小松菜やチンゲン菜などの緑黄色野菜も優れた供給源とされています[14]。

カルシウムの食事摂取基準(1日あたり、抜粋)
年齢区分 男性 推奨量 女性 推奨量 耐容上限量(男女とも)
18〜29歳 800mg 650mg 2,500mg
30〜64歳 750mg 650mg 2,500mg
65〜74歳 750mg 650mg 2,500mg
75歳以上 700mg 600mg 2,500mg

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「骨粗鬆症の予防のための食生活」(日本人の食事摂取基準に基づく抜粋)[9]

厚生労働省は、通常の食品からの摂取で耐容上限量を超えることは非常に少ないとしています[9]。国際的な目安として、MSDマニュアルはすべての成人男女が少なくとも1日1000mgのカルシウムを摂取すべきであり、閉経後の女性や高齢男性、思春期・妊娠期・授乳期などカルシウムの必要量が増える時期には1日1200mg(食事からの摂取を含む)が推奨されるとしています[3]。MSDマニュアルによると、カルシウムは食事からの摂取が基本で、不足する場合にサプリメントで補うことが望ましいとされています[3]。MSDマニュアルによると、ビタミンDの補給量としては、1日600〜800単位(IU)が目安として挙げられており、ビタミンD欠乏がある場合はより高い用量が必要になることもあるとされています[3]。骨粗鬆症財団によると、カルシウムの摂りすぎについては、日本人のカルシウム摂取量はもともと不足しがちで、多くとっても骨に蓄えられるだけで、通常の食事の範囲で害が生じることはほとんどないとされています[14]。

ビタミンD・日光浴。厚生労働省 e-ヘルスネットによると、ビタミンD不足は骨粗鬆症の除去できる危険因子の一つとされています[9]。厚生労働省 e-ヘルスネットによると、ビタミンDは腸でのカルシウム吸収を助ける働きがあり、体内で合成するためには適度な日光浴が推奨されています[8]。

運動。厚生労働省のe-ヘルスネットは、骨粗鬆症を予防するためにはカルシウムの摂取と日光浴に加えて、ウォーキングや筋力トレーニングなど骨に刺激が加わる運動が推奨されるとしています[8]。厚生労働省 e-ヘルスネットによると、骨はその長軸に対して物理的な刺激が加わると強さが増すといわれており、重力のかかるウォーキングやジョギングのような運動が効果的と考えられています[8]。厚生労働省 e-ヘルスネットによると、骨は腱を介して筋肉とつながっているため、ウエイトマシンなどを使った筋力トレーニングで骨に直接刺激を与える方法も効果的とされ、ウォーキングだけでは強化しにくい上半身の骨も鍛えられるとされています[8]。MSDマニュアルも、荷重運動(体重を支えながら行う運動)は骨密度の増加に役立つ可能性があり、至適な運動量は確立されていないものの1日平均30分間が一つの目安として挙げられるとしています[3]。MSDマニュアルによると、ただし、閉経前の女性が十分な食事を摂らずに過度な運動を行うと、体重減少や無月経を招き、かえって骨量減少につながる可能性があるため、極端な運動やダイエットとの組み合わせには注意が必要とされています[3]。MSDマニュアルによると、飲酒については、女性は1日1ドリンク以下、男性は1日2ドリンク以下(1ドリンク=純アルコール約14g相当)が目安とされています[3]。

転倒予防。骨粗鬆症財団によると、骨粗鬆症による骨折のなかでも要介護の原因になりやすい大腿骨近位部の骨折は、その80%以上が転倒により発生しているため、筋肉やバランス能力の強化、室内環境の改善、衣服・履物の見直し、服用中の薬や食事の見直しなど、転倒そのものを防ぐ対策が重要とされています[10]。

厚生労働省 e-ヘルスネットによると、喫煙・過度の飲酒・極端な食事制限(ダイエット)は、いずれも骨量を減らす方向に働くため、避けることが望ましいとされています[9][14]。骨粗鬆症財団によると、無理なダイエットで女性ホルモンが減り生理が止まると、骨を守る女性ホルモンの働きが失われ、中年女性にみられるような骨量減少が起こることがあるとされています[14]。骨粗鬆症財団によると、ダイエットは、医学的にみて肥満の程度が強い人や、糖尿病などがあってどうしても食事制限が必要な人以外は、むやみに行わないほうがよいとされています[14]。

間食との付き合い方。骨粗鬆症財団によると、スナック菓子には多量のリンが含まれていることがあり、リンを摂りすぎるとカルシウムが便として排出されやすくなるとされています[14]。骨粗鬆症財団によると、また、お菓子に含まれる砂糖は、適量であればカルシウムの吸収を助ける一方、食べ過ぎるとカルシウムを尿の中に排出させてしまうとされています[14]。骨粗鬆症財団によると、スナック菓子を食べる場合は、カルシウム補給を兼ねて牛乳を一緒にとるなどの工夫が勧められており、何より間食のとりすぎで食事からのカルシウム摂取が不足しないよう注意することが大切だとされています[14]。

厚生労働省 e-ヘルスネットによると、骨の健康にはカルシウムだけでなく、カルシウムの吸収を促進するビタミンDや、骨へのカルシウムの取り込みを助けるビタミンKなど、さまざまな栄養素が必要とされ、エネルギーと栄養素を過不足なく摂取することが基本とされています[9]。特定の食品や成分だけを極端に増やすのではなく、日々の食事全体のバランスを見直すことが、骨粗鬆症予防の土台になります。食事から摂りにくい場合の栄養補助食品の選び方は骨粗しょう症対策ミルクの選び方:栄養素の科学的分析と製品徹底比較ガイド、閉経後の女性のビタミンD摂取の考え方は閉経後の女性必見:ビタミンDで骨粗しょう症を予防する完全ガイドで詳しく解説しています。

医療費の目安

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16


よくある質問(FAQ)

骨粗鬆症は治りますか?
薬による治療で骨密度を維持・改善し、骨折のリスクを下げることを目指しますが、「完治する/必ず治る」と断定できる病気ではありません。MSDマニュアルによると、治療の目標は、骨量を温存し、骨折を予防し、痛みを軽減し、日常生活の機能を維持することにあるとされています[3][6]。MSDマニュアルによると、薬物療法だけでなく、十分なカルシウム・ビタミンDの摂取と身体活動を続けることも、骨密度を維持するうえで重要とされています[3]。
骨粗鬆症の検査はどこで受けられますか?
整形外科や、骨粗鬆症検診を行っている医療機関でDXA(デキサ法)などの骨密度検査を受けられます。MSDマニュアルによると、65歳以上の女性、危険因子のある閉経後から65歳までの女性、脆弱性骨折を経験した人などが検査の対象として推奨されています[3][5]。骨粗鬆症財団によると、大型のDXA装置がない施設では、手のひらのX線写真を用いるMD法や、かかとを超音波で調べるQUS法(検診向け、確定診断には使えません)が用いられることもあります[5]。
骨密度がYAM70%以下と言われました。すぐ薬を始めるべきですか?
YAM70%以下、または-2.5SD以下は骨粗鬆症の診断基準にあたり、薬による治療の対象となる目安です[4]。骨粗鬆症財団によると、ただし薬の選択は年齢、骨折の有無や部位、骨密度を上げる薬剤の強さ、通院できる回数といった生活スタイルなどによって変わるため、主治医との相談が必要です[6]。国立病院機構の資料によると、すでに脊椎や大腿骨近位部の骨折がある場合は、骨密度の数値がYAM70%を上回っていても骨粗鬆症と診断され、治療の対象になることがあります[4]。
骨粗鬆症は何歳くらいから注意が必要ですか?
骨量は20歳頃に最大骨量(ピークボーンマス)に達したあと、比較的安定した期間を経て、加齢とともに減少していきます[9]。骨粗鬆症財団によると、とくに女性は閉経に伴って骨を守る女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少するため、閉経前後の年代から骨密度検査などで自分の骨量を把握しておくことが勧められています[1][9]。
男性も骨粗鬆症になりますか?
なります。骨粗鬆症は閉経後の女性に多い病気ですが、高齢男性にも発生します。MSDマニュアルによると、骨粗鬆症全体のうち、他の病気や薬剤が原因で起こる続発性骨粗鬆症は、女性では5%未満である一方、男性では約20%を占めるとされ、男性の場合は他の病気が背景にないか確認する重要性が相対的に高いとされています[3]。
牛乳を飲みすぎるとカルシウムの摂りすぎになりませんか?
日本人のカルシウム摂取量はもともとアメリカ人の3分の1程度ともいわれるほど不足しがちで、多くとっても骨に蓄えられるだけで、通常の食事の範囲で摂りすぎによる害が生じることはほとんどないとされています[14]。厚生労働省はカルシウム摂取量の耐容上限量の目安を成人でおよそ2,500mg/日としており、通常の食事でこれを超えることは非常に少ないとされています[9]。
身長が縮んできたのは骨粗鬆症のサインですか?
可能性があります。MSDマニュアルによると、身長が縮む、背中が丸くなるのは、自覚症状のない脊椎(背骨)の圧迫骨折で起きていることがあり、3cmを超える身長低下がある場合は無症状の脊椎骨折を確認するための検査が勧められています[3]。骨粗鬆症財団も、背中や腰が曲がってくる、身長が縮んでくるといった変化を軽度の骨粗鬆症の症状として挙げています[1]。
骨粗鬆症の薬はどれくらいの期間続ける必要がありますか?
薬の種類や病状によって異なり、一律に「何年で終わる」とは言えません。MSDマニュアルによると、ビスホスホネート薬では経口薬でおよそ5年、点滴薬でおよそ3年の使用を支持する根拠があるとされる一方、骨折リスクが高い患者ではより長期の治療が必要になることもあるとされています[3]。MSDマニュアルによると、骨折予防のためには正しい用法で継続して使うことが不可欠とされており、とくにデノスマブのように自己判断での中断が骨折リスクを高めるとされる薬もあるため、自己判断で中止せず主治医の指示に従うことが重要です[3][6]。
一度骨折すると、また骨折しやすくなりますか?
はい。骨粗鬆症による骨折を一度起こすと、再び骨折を起こす危険度が高くなるとされています。骨粗鬆症財団によると、すでに骨折した人には、骨粗鬆症リエゾンサービスなどを通じて再骨折予防に向けた治療・指導が行われる例が多く見られます[10]。
運動が苦手でも予防できますか?
ウォーキングのような、体重を支えながら行う「荷重運動」でも骨密度の増加に役立つ可能性があるとされ、1日平均30分間程度が一つの目安として挙げられています[3]。厚生労働省 e-ヘルスネットによると、過重負荷の少ない水泳選手は、陸上で行うスポーツの選手よりも骨密度が低い傾向があるといわれており、体重を支える歩行系の運動のほうが骨密度への効果が高いと考えられていますが、いずれにせよ無理のない範囲で継続することが大切です[8]。
親が大腿骨を骨折しました。自分も骨粗鬆症になりやすいですか?
骨粗鬆症の家族歴、とくに親の股関節骨折の既往は危険因子の一つとされています[3]。骨粗鬆症財団によると、加齢、閉経、低体重、喫煙、多量の飲酒なども重なる危険因子であるため、心当たりがある場合は早めに骨密度検査を受けることが勧められます[13]。

骨粗鬆症に関する記事一覧

本記事で扱いきれなかった個々の薬剤の細かな副作用プロファイルや、地域・年代別の詳細な統計については、今回参照した資料には記載が見当たりませんでした。気になる症状がある場合は、自己判断せず整形外科・かかりつけ医にご相談ください。骨粗鬆症全体の合併症や予防策をさらに幅広く知りたい方は骨粗鬆症の全貌:日本の「見えない災害」を乗り越え、健康寿命を守るための完全ガイドも参考にしてください。

参考文献

  1. 公益財団法人骨粗鬆症財団「骨粗鬆症とは」 jpof.or.jp/osteoporosis/tabid249.html
  2. 公益財団法人骨粗鬆症財団「数字でみる骨粗しょう症」 jpof.or.jp/osteoporosis/tabid265.html
  3. MSDマニュアル プロフェッショナル版「骨粗鬆症」 msdmanuals.com/ja-jp/professional
  4. 独立行政法人国立病院機構福山医療センター 参考資料(骨粗鬆症の診断基準を掲載) fukuyama.hosp.go.jp(PDF)
  5. 公益財団法人骨粗鬆症財団「骨粗鬆症の検査」 jpof.or.jp/…/tabid255.html
  6. 公益財団法人骨粗鬆症財団「治療の基本方針」 jpof.or.jp/…/tabid253.html
  7. 厚生労働省 e-ヘルスネット「骨粗鬆症」 kennet.mhlw.go.jp(旧e-healthnet)
  8. 厚生労働省 e-ヘルスネット「骨粗鬆症予防のための運動-骨に刺激が加わる運動を」 kennet.mhlw.go.jp(旧e-healthnet)
  9. 厚生労働省 e-ヘルスネット「骨粗鬆症の予防のための食生活」 kennet.mhlw.go.jp(旧e-healthnet)
  10. 公益財団法人骨粗鬆症財団「骨粗鬆症の予防とは」 jpof.or.jp/osteoporosis/case/prevention.html
  11. 一般社団法人地域医療機能推進機構(JADECOM)「骨粗鬆症治療ガイドライン2025年版の発表」 jadecom.or.jp(PDF)
  12. 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 骨粗鬆症(医療関係者向け)」平成21年5月 mhlw.go.jp(PDF)
  13. 公益財団法人骨粗鬆症財団「どんな人がなりやすい」 jpof.or.jp/osteoporosis/tabid250.html
  14. 公益財団法人骨粗鬆症財団「カルシウムの摂り方」 jpof.or.jp/osteoporosis/nutrition/calcium.html