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JHO 病気ペディア

鼻血(鼻出血)

最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)

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✦ 結論から言うと

鼻血の7〜8割は鼻の中央にある「キーゼルバッハ部位」からの出血で、座って下を向き、小鼻の柔らかい部分を親指と人差し指で5〜10分ほどしっかりつまむことでほとんどが止まります[1][2]。上を向く・仰向けになるのは誤りで、血液が喉に流れ込み気分が悪くなる原因になります[1][2]。20分たっても止まらない、出血量が多い、繰り返す、抗凝固薬を服用中の場合などは耳鼻咽喉科(重症例は救急)を受診してください[1]。

主な原因 キーゼルバッハ部位の血管損傷(乾燥・鼻いじり・アレルギー性鼻炎など)が最多。まれに高血圧・肝疾患・血液疾患・薬剤性も[1]
正しい止め方 座って下を向き、小鼻を指で10分以上圧迫。上を向く・ティッシュを奥まで詰めるのはNG[1][2]
すぐ受診すべきサイン 20分たっても止まらない・大量出血・喉に流れ込む・繰り返す・抗凝固薬服用中・外傷後・めまいや顔面蒼白を伴う場合[1]

鼻血(鼻出血)とは?キーゼルバッハ部位から出血する仕組み

鼻の中を左右に分ける壁(鼻中隔)の入り口付近には、細い血管が網目状に集まった「キーゼルバッハ部位」という場所があります。ここは指が届きやすく、乾燥や外部からの刺激を受けやすいため、鼻血の7〜8割はこのキーゼルバッハ部位からの出血とされています[1]。国際的な医学文献でも、大半の鼻出血は「鼻中隔前下部(キーゼルバッハ部位)の血管網」から生じるとされており、日本国内の報告と一致しています[3]。

この部位からの出血であれば、血管が比較的浅く細いため、外から指で圧迫するだけで血が固まり、止血できることがほとんどです[1]。子どもは大人に比べて鼻の粘膜が薄く、指で触れる機会も多いため、キーゼルバッハ部位からの出血を繰り返しやすい一方、高齢者では動脈硬化により血管がもろくなり、鼻腔のより奥(後方)から出血するケースの割合が相対的に増えるとされています[3]。年齢によって出血しやすい部位の傾向が異なるため、いつもと違う出血の仕方に気づくことも、危険な鼻血を見分ける手がかりになります。

圧迫の位置を間違えると止まりにくいことにも注意が必要です。骨がある鼻の付け根(メガネのブリッジが乗る硬い部分)を強くつまんでも、キーゼルバッハ部位には圧力が届きません。正しくは、鼻の先端に近い、指で押すとやわらかくへこむ「小鼻」の部分を、鼻中隔を挟むようにしっかりつまむことがポイントです[1][3]。

一方、鼻の奥(鼻腔後部)にある蝶口蓋動脈などからの出血は頻度こそ低いものの、動脈からの出血のため勢いが強く、圧迫だけでは止まりにくい傾向があります。副鼻腔の一つである蝶形骨洞に隣接する内頸動脈からの出血は、致命的な状態につながる可能性がある特に危険なケースです[1]。鼻血と血の塊が混じって出てくる場合の詳しい仕組みや対処は、鼻血と血の塊、その原因は?正しい止め方から再発予防、病院での治療まで完全ガイドで解説しています。

出典:日本赤十字社「多量の出血-止血法-」(鼻出血の項)[2]/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻出血-意外と知らない」[1]をもとにJHO編集部が作図

鼻血の原因:よくある原因とまれだが注意すべき原因

鼻血の原因は、鼻の粘膜が物理的・化学的な刺激で傷つくケースが大多数を占めますが、まれに全身の病気や薬剤が関係していることもあります。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、外傷(鼻をぶつける・鼻をいじる)やアレルギー性鼻炎・副鼻腔炎などの炎症、鼻腔や副鼻腔にできた腫瘍を主な原因として挙げています[1]。米国系のMSDマニュアルでも、局所外傷(鼻をかむ・ほじる)と鼻粘膜の乾燥が最も一般的な原因とされており、この点は日米で一致しています[3]。

鼻血の主な原因(頻度別)
頻度 原因 特徴
よくある 鼻の粘膜の乾燥 冬場や暖房の効いた室内で悪化しやすい[3]
よくある 鼻をいじる・強くかむ(局所外傷) 子どもに特に多い原因[3]
よくある アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎 粘膜の炎症で血管が傷つきやすくなる[1]
比較的まれ 高血圧 単独の原因になることは少ないが、出血が続く・止まりにくくなる要因になる[1][3]
比較的まれ 糖尿病 高血糖の持続で血管がもろくなるとされる[1]
比較的まれ 肝臓の病気・血液の病気 肝硬変で血を固める凝固因子が作られにくくなる。血友病・白血病などでも出血しやすい[1]
比較的まれ 抗凝固薬・抗血小板薬の使用 血液をさらさらにする薬(ワルファリンなど)の服用中は出血しやすく、止まりにくい[1][4]
まれ オスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症) 全身の血管に異常が起こる難病。繰り返す鼻血が最も多い症状[1]
まれ 鼻・副鼻腔の腫瘍、鼻中隔穿孔、異物(主に小児) 片側からの反復する悪臭を伴う分泌物などが手がかりになることがある[3]

出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻出血(鼻血)~原因・止め方・こんな鼻血は要注意!~」[1]/MSDマニュアル プロフェッショナル版「鼻出血」[3]

日本の解説と海外の医学文献、原因の挙げ方に違いはあるか

項目 日本(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会) 海外(MSDマニュアル プロフェッショナル版)
最も一般的な原因の説明 キーゼルバッハ部位からの出血が7〜8割という部位を軸にした説明[1] 局所外傷(鼻をかむ・ほじる)と粘膜の乾燥という行動・環境要因を軸にした説明[3]
薬剤・違法薬物 血液をさらさらにする薬(血栓予防薬)の影響に言及[1] 抗凝固薬に加え、コカインなどの薬物使用による鼻中隔穿孔も原因として明記[3]
危険な兆候(レッドフラッグ)の挙げ方 出血量・発熱・喉への流れ込み・持続時間など、家庭で判断しやすい生活場面の指標を中心に説明[1] 循環血液量減少や出血性ショックの徴候、抗凝固薬の使用など、医療者が診察時に確認する臨床的な指標を列挙[3]

見分けるカギ:どちらの資料も、頻度としては鼻の入口付近の血管損傷が大多数という結論は共通していますが、日本の解説は家庭での応急処置を意識した部位・生活習慣の説明に重点があり、海外の専門家向け資料は診察室で医師が確認する臨床的な危険信号の整理に重点がある、という違いがあります。両方を知っておくと、自宅での判断と受診時に医師へ伝えるべき情報の両方に役立ちます。たとえば圧迫で止まる軽い鼻血かを見るときは日本側の生活習慣チェックが役立ち、受診時に何を聞かれるかを知りたいときは海外側の臨床的なチェックリストが参考になります。

出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会[1]・MSDマニュアル プロフェッショナル版[3]

正しい応急処置の手順とやってはいけないこと

鼻血が出るとあわててしまいますが、まず落ち着くことが大切です。日本赤十字社の応急手当と日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の解説はいずれも同じ手順を勧めています[1][2]。

正しい応急処置の手順
手順 内容
①姿勢 いすなどに座り、軽く下を向く。あお向けや上を向く姿勢は取らない[1][2]
②圧迫 親指と人差し指で小鼻の柔らかい部分をしっかりつまみ、そのまま5〜10分ほど安静にする[1][3]
③冷却 額から鼻にかけて冷やし、ネクタイなど首まわりの締め付けをゆるめる[2]
④喉に流れた血 飲み込まず、口から静かに吐き出す[1][2]
⑤止血後 出血が止まってもすぐに鼻をかまない[2]

出典:日本赤十字社「多量の出血-止血法-」(鼻出血の項)[2]/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会[1]/MSDマニュアル プロフェッショナル版[3]

座っているのがつらい場合は、頭をやや高くして横向きに寝た姿勢を取ります。この場合も仰向けは避け、喉に流れてきた血は口から吐き出してください[1]。市販の鼻用クリップがあれば、指の代わりに使って小鼻を圧迫することもできます[3]。手元に専用クリップがない場合、舌圧子のような薄い板状のものを2本、クリップ状にテープで留めて代用する方法も医学文献で紹介されています[3]。いずれの方法でも大切なのは指をゆるめずに一定時間つまみ続けることで、途中で何度も出血の様子を確認しようと指を離してしまうと、固まりかけた血が再びはがれて出血が長引く原因になります[1]。

⛔ やってはいけないこと

上を向く・あお向けになる:喉の方に温かい血液が流れ込み、気持ち悪くなって吐き気を催したり、血の塊が喉に詰まって苦しくなったりすることがあります[1][2]。鼻血は上を向いて止める、という対処は誤りです。

ティッシュペーパーや脱脂綿を奥まで詰め込む:粘膜を傷つけたり、鼻の奥に入り込んで取り出せなくなったりする恐れがあるため、あまり推奨されません。外に出てきた血をやさしく拭き取る程度にとどめましょう[1]。なお、日本赤十字社の応急手当ではガーゼを軽く切って鼻孔に当てたうえで圧迫する方法も紹介されており[2]、深く詰め込まなければガーゼの使用自体が禁止というわけではありません。

止め方の手順をもう少し詳しく知りたい場合は、鼻血の止め方の完全ガイド:正しい応急手当から再発予防、病院へ行くべき危険な兆候まで徹底解説も参考にしてください。

耳鼻咽喉科での治療:自宅の圧迫で止まらないときに行われる処置

下を向いて小鼻を5〜10分ほどしっかり圧迫しても止まらない場合、医療機関ではまず血管収縮薬と局所麻酔薬を染み込ませた綿球を鼻の中に入れ、さらに10分程度圧迫する処置が行われます。それでも止まらない場合は、出血している血管の周囲を電気焼灼、または硝酸銀を用いた化学的な焼灼で止血します[3]。粘膜を深く焼きすぎると別の合併症を招くため、比較的組織への負担が少ない硝酸銀による焼灼が選ばれることが多いとされています[3]。

焼灼でも止血できない場合は、鼻の中で膨らむスポンジ状の止血材や、ワセリンを含ませたガーゼによる鼻腔パッキング(鼻の中に詰め物をして圧迫する処置)が行われます。ガーゼパッキングは痛みを伴うことが多く、通常は鎮痛薬を併用します[3]。

鼻の奥(後方)からの出血は、前方からの出血に比べて止血が難しいことが知られています。市販の止血用バルーンや、鼻の奥にパッキングを行う処置が必要になることがあり、非常に不快感を伴うため、静脈からの鎮静・鎮痛薬を使いながら入院で対応することもあります[3]。パッキングを行っている間は血液中の酸素が下がりやすいため、酸素投与を併用することもあります[3]。これらの処置でも出血をコントロールできない場合には、内視鏡を使って出血のもとになっている動脈をクリップで縛る手術や、放射線科医による血管の塞栓術(出血している血管をふさぐ治療)が行われることがあります[3]。

オスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症)で繰り返す鼻血がある場合には、鼻の粘膜に薄い皮膚を移植する手術やレーザーによる治療、血管を選択的にふさぐ塞栓術など、原因疾患に応じた専門的な治療が行われます[3]。いずれの処置も耳鼻咽喉科の専門的な設備と技術が必要なため、圧迫で止まらない鼻血は自己流で長時間粘らず、早めに受診することが結果的に負担を減らします。

出典:MSDマニュアル プロフェッショナル版「鼻出血」[3]

受診の目安:今すぐ119番か、耳鼻咽喉科か、自宅で様子を見てよいか

正しい方法で圧迫しても改善しない場合や、以下のようなサインがある場合は「危険な鼻血」の可能性があります。速やかに医療機関を受診してください[1][3]。

🔴 すぐに119番・救急受診を検討
・頭を打った後の鼻血(応急処置に時間をかけず、手当をしながら直ちに119番通報)[2]
・バケツ1杯分ほどの明らかに多い出血量(動脈からの出血の可能性)[1]
・めまいや顔面蒼白、意識がもうろうとするなど全身状態の悪化を伴う場合[3]

🟡 早めに耳鼻咽喉科を受診
・下を向いて小鼻を20分圧迫しても出血が止まらない[1]
・下を向いていても血が喉の方に流れてくる(後方からの出血が疑われる)[1]
・鼻血に加えて発熱がある[1]
・1週間に3回程度など、繰り返し鼻血が出る[1]
・抗凝固薬(ワルファリンなど血液をさらさらにする薬)を服用中[1][4]
・外傷後の鼻血、または出血性疾患の既往がある[3]

🟢 自宅で様子を見てよい目安
・下を向いて小鼻を5〜10分ほど圧迫すると止まる、一時的な軽い鼻血[1][2]

抗凝固薬を服用中の患者では、鼻出血がより重度になりやすく治療も難しくなる傾向があるとMSDマニュアルは指摘しています[3]。厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアルでも、ワルファリンなどの薬を服用中に鼻血や皮下出血斑が現れた場合は、薬の作用が過剰になっている可能性を疑うべきとされています。ただし、自己判断で薬を減らしたり中止したりすると血栓症を引き起こすおそれがあるため、必ず処方医に相談してください[4]。

子どもの鼻血と大人の鼻血で注意点に違いがあるかについては、鼻血の原因と正しい止め方の完全ガイド:子供から大人まで、危険なサインと対処法のすべてで詳しく解説しています。また、鼻血に喉の痛みや首のしこりが伴う場合など、鼻以外の病気との見分け方は咽頭がんの初期症状セルフチェック完全ガイド:首のしこり・喉の痛み・鼻血は危険信号か?も参照してください。

繰り返す鼻血の背景にある病気

1週間に何度も鼻血が出る、あるいは圧迫してもなかなか止まらないというときは、単なる乾燥や鼻いじりだけでなく、背景に病気が隠れている可能性があります[1]。

背景疾患 鼻血との関係
高血圧 単独で鼻血を引き起こすことは少ないとされますが、すでに起きている出血を持続させたり、出血の勢いを強めたりする要因になります[1][3]
肝臓の病気(肝硬変など) 血液を固める凝固因子が肝臓で作られにくくなり、出血が止まりにくくなります[1]
血液の病気(血友病・白血病・血小板減少症など) 凝固因子の先天的な欠損や血小板の減少により、出血しやすく止まりにくい状態になります[1][3]
オスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症) 全身の血管に異常が生じる遺伝性の難病で、顔・唇・口腔粘膜・手足の指先に毛細血管拡張がみられ、繰り返す鼻血が最も多い症状です。家族歴がある場合は特に念頭に置く必要があります[1][3]
抗凝固薬・抗血小板薬の服用 ワルファリンなど血液をさらさらにする薬を服用中の患者は、鼻血が出やすく、また重度化・長期化しやすい傾向があります[1][3][4]

出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会[1]/MSDマニュアル プロフェッショナル版[3]/厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル「出血傾向」[4]

これらの病気が疑われる場合、耳鼻咽喉科では鼻の中を内視鏡で観察するほか、必要に応じて血液検査(血算・プロトロンビン時間・部分トロンボプラスチン時間など)を行い、出血しやすい状態がないかを確認します[3]。

市販薬にも注意:アスピリン・NSAIDs

血液をさらさらにする薬というと処方薬のワルファリンやDOAC(直接経口抗凝固薬)を思い浮かべがちですが、MSDマニュアルは問診の際にアスピリン、イブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)、クロピドグレルなどの抗血小板薬の使用についても必ず確認すべき薬として挙げています[3]。頭痛薬や解熱鎮痛薬として市販薬を日常的に使っている場合も、鼻血が出やすく止まりにくい一因になり得るため、繰り返す鼻血がある人は、常用している市販薬も含めて受診時に医師に伝えることが望ましいとされています[3]。

受診の際は、自己判断で薬を中止せず、いつから、どのくらいの頻度で、どんな薬を服用中かをメモしておくと、原因の特定がスムーズになります[3]。自己判断で体質だから仕方ないと放置せず、繰り返す場合は一度受診して原因を確認することが大切です。

子どもの鼻血で特に注意したいこと

子どもの鼻血の多くは、鼻をいじる・強くかむといった局所的な刺激によるもので、キーゼルバッハ部位からの軽い出血がほとんどです[3]。乾燥する季節や、鼻炎で鼻がむずがゆいときに悪化しやすい点は大人と共通しています[1]。一方で、片方の鼻からの出血に加えて、反復する悪臭を伴う分泌物がある場合は、豆やビーズなど小さな異物が鼻に入っている可能性が考えられます[3]。この場合は自宅で取り除こうとせず、耳鼻咽喉科を受診してください。子どもが嫌がって暴れると、圧迫による止血が難しくなることがありますが、保護者が落ち着いた声かけをしながら根気強く小鼻を圧迫することが大切です[1]。

鼻血の予防:日常生活でできること

キーゼルバッハ部位からの鼻血の多くは、日々のちょっとした習慣で予防できます。

誘因 対策
鼻の粘膜の乾燥(特に冬) 加湿器などで室内の乾燥を防ぐ。乾燥は粘膜の表面を傷つきやすくします[1]
鼻をいじる・強くかむ癖 鼻を触る回数を減らす。かむときは片方ずつ、力を入れすぎない[3]
睡眠不足・疲労の蓄積 自律神経のバランスが乱れ血管が拡張しやすくなるとされるため、十分な睡眠を心がける[1]
チラミンを含む食品(赤ワイン・チーズ・チョコレートなど)の摂りすぎ 血圧を上げる作用があるとされ、摂りすぎに注意する[1]
ビタミンC不足 血管を強くするコラーゲンの生成に関わるとされ、不足しないよう食事に気を配る[1]
アレルギー性鼻炎の放置 かゆみで鼻をこすってしまうことが出血につながるため、鼻炎自体の治療も鼻血予防になる[1]

出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会[1]/MSDマニュアル プロフェッショナル版[3]

乾燥対策の目安(一般的なセルフケア)

鼻の粘膜の乾燥を防ぐことは、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も鼻血対策として挙げている生活習慣の一つです[1]。一般的なセルフケアの目安として、加湿器を使う、洗濯物や濡れタオルを室内に干すなどして空気の乾燥を和らげる工夫が知られています。今回参照した資料には、室内湿度の具体的な数値目標や、就寝前に鼻の入口へワセリンなどを塗る方法についての記載は見当たりませんでした。気になる場合は、耳鼻咽喉科で自分に合った乾燥対策を相談することをおすすめします。市販の保湿剤やワセリンを鼻に使う場合も、まずは少量から試し、しみたり刺激を感じたりする場合はすぐに使用をやめてください。

鼻血は冬に増える傾向があり、また眠っている間やリラックスしている時間帯は自律神経の副交感神経が優位になって血管が拡張しやすくなるため、夜間から明け方にかけて出やすいとされています[1]。冬場の暖房が効いた室内など、空気が乾燥しやすい環境に長時間いるときも、同じ理由で鼻血が出やすくなると考えられます[1]。花粉症などのアレルギー性鼻炎の時期は、くしゃみや鼻をかむ回数自体が増えるため、鼻血が増えやすい時期でもあります[1]。朝起きたときに鼻血に気づいた場合の原因と対処については、朝の鼻血は危険なサイン?考えられる原因、正しい止め方、予防法まですべて解説で詳しく取り上げています。

医療費の目安

耳鼻咽喉科での鼻出血の診察・止血処置は保険診療の対象で、多くの場合は自己負担3割で受診できます。出血の程度によっては鼻の中にガーゼやパッキング材を留置する処置や、電気メスやレーザーで出血部位を焼灼する処置が追加されることがあります。処置の内容によって費用は変わるため、詳しくは受診先の医療機関にご確認ください。

後鼻出血で鼻腔後部のパッキングが必要になったり、内視鏡による血管の結紮術や血管造影による塞栓術が必要になったりする場合は、外来ではなく入院での治療になることがあります[3]。入院を伴う検査・処置は自己負担額が高くなりやすいため、あらかじめ加入している医療保険の内容や、後述する高額療養費制度を確認しておくと安心です。繰り返す出血の検査や入院を伴う止血処置で自己負担が高額になった場合に使える公的制度の目安は以下の通りです。

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16


よくある質問(FAQ)

鼻血が出たとき、上を向いてはいけないのはなぜですか?
上を向くと血液が鼻から喉の方へ流れ込み、飲み込んでしまって気分が悪くなったり、血の塊が喉に詰まって苦しくなったりするおそれがあるためです。日本赤十字社・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会とも、下を向いて小鼻をつまむ方法を勧めています[1][2]。
鼻血はどのくらいの時間、圧迫すればよいですか?
小鼻の柔らかい部分を親指と人差し指でしっかりつまみ、5〜10分ほど圧迫を続けるのが目安です[1]。MSDマニュアルでは10分間つまむ方法が紹介されています[3]。指をゆるめて様子を見るのを繰り返すと血が固まりにくくなるため、時間が来るまで圧迫を続けてください。20分圧迫しても止まらない場合は受診の目安です[1]。
ティッシュペーパーを鼻に詰めるのはよくないのですか?
奥まで深く詰め込むと粘膜を傷つけたり、取り出せなくなったりする恐れがあるため、あまり推奨されません。外に出てきた血を軽く拭き取る程度にとどめ、圧迫による止血を優先してください[1]。
子どもの鼻血が多いのはなぜですか?
子どもは鼻をいじる、強くかむといった局所的な刺激による出血が多いとされています。多くはキーゼルバッハ部位からの軽い出血で、正しい圧迫で止まります[3]。ただし、片方の鼻から反復して悪臭を伴う分泌物と出血がある場合は、鼻に異物が入っている可能性も考えられます[3]。
高血圧の薬を飲んでいると鼻血が出やすくなりますか?
高血圧そのものが鼻血の直接的な原因になることは少ないとされていますが、血圧が高い状態は出血の勢いを強め、止まりにくくする要因になり得ます[1][3]。血圧を下げる薬自体が鼻血を増やすという説明は、今回参照した資料には見当たりませんでした。気になる場合は主治医に相談してください。
血液をさらさらにする薬を飲んでいますが、鼻血が出たらどうすればよいですか?
まずは通常どおり下を向いて小鼻を圧迫してください。抗凝固薬を服用中は出血が止まりにくく重度化しやすい傾向があるため、圧迫しても止まらない場合や繰り返す場合は早めに受診してください[1][3]。自己判断で薬を中止すると血栓症のリスクが高まるおそれがあるため、薬の中止や減量は必ず処方医に相談してから行ってください[4]。
鼻血が1週間に何度も出ます。何科を受診すればよいですか?
耳鼻咽喉科の受診が基本です。繰り返す鼻血の背景には、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎のほか、まれに血液の病気やオスラー病などが隠れていることがあります[1]。内視鏡での観察や、必要に応じた血液検査で原因を調べます[3]。
頭を打った後に鼻血が出ています。様子を見てもよいですか?
頭部外傷を伴う鼻血は、止血にむやみに時間をかけず、応急手当をしながら直ちに119番通報することが勧められています[2]。頭蓋底の骨折など、鼻血以外の重大なけがが隠れている可能性があるためです。
鼻血が夜間や朝方に多いのはなぜですか?
眠っている間やリラックスしているときは自律神経の副交感神経が優位になり、血管が拡張しやすくなることが一因と考えられています。また、ダニアレルギーがある場合、就寝中に無意識に鼻を触ることも関係し得ます[1]。
圧迫しても止まらない鼻血は、病院でどんな処置をされますか?
まず血管収縮薬を含んだ綿球を入れて再度圧迫し、それでも止まらなければ出血点を電気焼灼または硝酸銀で焼灼します。それでも止血できない場合は、鼻腔内にガーゼなどを詰めて圧迫するパッキングという処置が行われることがあります[3]。
鼻血のときにガーゼを鼻に当てるのは正しいですか?
日本赤十字社の応急手当では、ガーゼを軽く切って鼻孔に当てたうえで小鼻を強くつまむ方法が紹介されています[2]。ティッシュや脱脂綿を奥まで深く詰め込むのとは異なり、軽く当てて圧迫を補助する使い方であれば問題ないとされています。粘膜を傷つけないよう、無理に押し込まないことが大切です[1]。
鼻血を予防するために日常生活で最も効果的なことは何ですか?
加湿器などで室内の乾燥を防ぎ、鼻の粘膜を乾燥させないことが基本です[1]。加えて、鼻を強くいじったり必要以上に力を入れてかんだりしないこと、睡眠不足をためないことも予防につながるとされています[1]。アレルギー性鼻炎がある場合は、その治療を続けることも鼻血の予防になります[1]。

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鼻血の原因を完全に一つに特定できるかどうかや、体質による出血しやすさの度合い、またチラミンやビタミンCの摂取量と鼻血の起こりやすさの関係を定量的にどこまで説明できるかについては、今回参照した資料の範囲では明確な結論が示されているわけではなく、確定的な結論はありません。鼻血が出やすい体質という感覚的な理由付けだけで片付けず、繰り返す・止まりにくいといった具体的なサインがあれば、自己判断で終わらせず耳鼻咽喉科で相談することをおすすめします。この記事は特定の症状の診断や治療を保証するものではなく、実際の受診・治療方針は医療機関で確認してください。

参考文献

  1. 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻出血(鼻血)~原因・止め方・こんな鼻血は要注意!~」(監修:兵庫医科大学 医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室 主任教授 都築建三先生) jibika.or.jp/owned/contents4.html
  2. 日本赤十字社「多量の出血-止血法-」(鼻出血の項) jrc.or.jp/study/safety/bleed
  3. MSDマニュアル プロフェッショナル版「鼻出血」16. 耳鼻咽喉疾患 msdmanuals.com(鼻出血)
  4. 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 出血傾向」 mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1f09.pdf