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アレルギー

最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)

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✦ 結論から言うと

アレルギーとは、食物・花粉・ダニ・薬・金属など本来は無害なものに対して、免疫が過剰に反応し、蕁麻疹・鼻炎・咳・皮膚炎などの症状を引き起こす状態です[3]。子どもは食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、大人は花粉症や薬物アレルギーが目立ちますが、年齢や体質によってどのタイプにもなり得ます[6]。呼吸困難・血圧低下・意識障害が急激に出た場合はアナフィラキシーの可能性があり、日本アレルギー学会はためらわずに119番通報とエピペンの使用を呼びかけています[1]。

原因 食物・花粉・ダニ・ハウスダスト・薬物・金属・ラテックスなど、体が「異物」と誤認して反応するあらゆる物質[3]
主な症状 蕁麻疹・かゆみ・鼻水鼻づまり・目のかゆみ・咳や喘鳴・下痢や腹痛・湿疹の悪化など、出た部位で症状の顔つきが変わる[6]
受診の目安 呼吸が苦しい、唇や顔が急に腫れる、意識がもうろうとする場合は救急要請。軽い症状でも繰り返す場合はアレルギー専門医の受診を[1]

アレルギーとは?IgE抗体と免疫が過剰反応する仕組み

私たちの免疫は、細菌やウイルスなど体に害を与えるものを見分けて排除する働きを持っています[3]。ところが一部の人では、食物のタンパク質や花粉、ダニの死骸など、本来なら害のないものに対しても免疫が「敵」と誤認し、過剰に反応してしまうことがあります[6]。この誤認の中心にあるのがIgE抗体と呼ばれるタンパク質です。ある異物(アレルゲン)に一度触れると、体はそのアレルゲンだけに結合するIgE抗体を作り、皮膚や粘膜にある肥満細胞という細胞の表面に貼りつきます[1]。

次に同じアレルゲンが体に入ると、肥満細胞の表面のIgE抗体にアレルゲンが結合し、その刺激で肥満細胞がヒスタミンなどの化学物質を放出します[1]。ヒスタミンは血管を広げたり、神経を刺激してかゆみを起こしたりする物質で、放出された場所によって蕁麻疹、鼻炎、喘息、消化器症状など、現れ方が変わります[6]。このタイプは即時型(IgE依存性)アレルギーと呼ばれ、食物アレルギー・花粉症・気管支喘息・多くの薬物アレルギーが含まれます[3]。一方でアトピー性皮膚炎の一部や接触皮膚炎のように、IgE抗体だけでは説明できない、別の免疫の仕組みが関わるタイプもあります[6]。

症状の強さは人によって幅があります。軽い場合は皮膚のかゆみだけで済みますが、重い場合は複数の臓器に同時に症状が及び、血圧が下がって意識がもうろうとするアナフィラキシーショックに至ることがあります[1]。どこまで反応するかは、アレルゲンの量や体調、運動の有無によっても変わるため、「前回は平気だったから今回も大丈夫」とは限らない点に注意が必要です[1]。

出典:一般社団法人日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」[1]/厚生労働省 リウマチ・アレルギー対策[3]

アレルギーの主な種類:原因と症状の違い

ひとくちに「アレルギー」といっても、原因になるものや症状の出方は種類ごとに大きく異なります。厚生労働省はリウマチ・アレルギー対策のページで、気管支喘息・アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)・食物アレルギーなどをアレルギー疾患として整理しています[3]。以下の表に、代表的な7つのタイプの原因と主な症状をまとめました。

アレルギーの種類別 原因と主な症状
種類 主な原因 主な症状
食物アレルギー 卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かに・くるみなど食品中のタンパク質[2] 蕁麻疹、口やのどのかゆみ、腹痛や嘔吐、重症では呼吸困難[5]
花粉症 スギ・ヒノキ・イネ科・ブタクサなどの花粉[4] くしゃみ、水様性の鼻水、鼻づまり、目のかゆみ・充血[4]
アレルギー性鼻炎 ダニ・ハウスダストなど通年性のアレルゲン、花粉など季節性のアレルゲン[3] 発作性のくしゃみ、鼻水、鼻づまりが繰り返し起こる[3]
アトピー性皮膚炎 皮膚のバリア機能低下に、ダニ・汗・乾燥など複数の要因が重なって起こる慢性の皮膚炎[3] かゆみを伴う湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す[3]
気管支喘息 ダニ・ハウスダスト・ペットの毛など吸入性アレルゲン、気道の慢性炎症[3] 咳、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)、息苦しさの発作[3]
薬物アレルギー 抗菌薬、解熱鎮痛薬、造影剤など、特定の医薬品成分[1] 皮疹、発熱、重症では全身の症状を伴うアナフィラキシー[1]
金属アレルギー ニッケル・コバルト・クロムなど、アクセサリーや歯科金属に含まれる金属イオン[3] 接触した部位を中心にかゆみを伴う湿疹(接触皮膚炎)[3]

出典:厚生労働省 リウマチ・アレルギー対策[3]/消費者庁 食物アレルギー表示制度[2]/環境省 花粉症環境保健マニュアル2022[4]/国立成育医療研究センター 食物アレルギー[5]

見分けるカギ:食べた直後や吸い込んだ直後など、症状が出るタイミングと原因の心当たりが最大の手がかりです。花粉症は季節性が明確で、環境省の調査でも花粉症全体の有病率は1998年の19.6%から2019年には42.5%まで、10年ごとにほぼ10ポイントずつ増えていると報告されています[4]。一方で食物アレルギーや薬物アレルギーは、食べた物・使った薬とタイミングが一致することが多く、原因の絞り込みに直結します[5]。

食物アレルギー:乳幼児に多いが大人の発症もある

国立成育医療研究センターによると、食物アレルギーは乳幼児期に発症することが多く、卵・乳・小麦が代表的な原因食品とされています[5]。成長とともに食べられるようになる「耐性獲得」が期待できるタイプがある一方、そばやえび・かになど、大人になってから初めて症状が出るタイプや、耐性がつきにくいタイプもあります[5]。症状は口の中の違和感やかゆみといった軽いものから、腹痛・嘔吐、皮膚の蕁麻疹、重症では呼吸困難まで幅広く、食べてから症状が出るまでの時間も数分から2時間程度とされています[7]。運動と組み合わさることで症状が誘発される「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」という特殊なタイプも知られており、原因食品を食べたあとの運動に注意が必要です[1]。

花粉症:スギ・ヒノキだけでなく通年で悩む人も

環境省の花粉症環境保健マニュアルは、日本ではスギ花粉症が最も多く、地域や年によって飛散する花粉の種類と量が変わると説明しています[4]。スギの飛散が落ち着く時期にヒノキ、初夏にはイネ科、秋にはブタクサなどのキク科植物と、原因植物が入れ替わりながら症状が続く人もいます[4]。同マニュアルでは、2019年時点でスギ花粉症の有病率が38.8%と推定され、およそ3人に1人がスギ花粉症に該当するとされています[4]。花粉飛散量そのものも年によって変動するため、症状が「去年より重い」と感じる背景には、飛散量の増加が関係していることがあります[4]。

アレルギー性鼻炎:通年性はダニ・ハウスダストが主犯

花粉症が季節性のアレルギー性鼻炎であるのに対し、一年を通して症状が出るタイプは主にダニやハウスダストが原因とされています[3]。朝起きた直後のくしゃみや鼻づまりが強い、季節を問わず症状が続くといった場合は、通年性アレルギー性鼻炎の可能性があります[3]。寝具や布製のソファ、カーペットなどダニが繁殖しやすい場所の掃除・洗濯が、症状のコントロールに直結するとされています[3]。

アトピー性皮膚炎:バリア機能低下と慢性の経過

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が生まれつき低下していることに、乾燥・汗・ダニ・ストレスなど複数の要因が重なって発症・悪化すると考えられています[3]。良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性の経過をたどることが特徴で、かゆみによってかき壊すと皮膚のバリアがさらに壊れ、悪化しやすくなるという悪循環が起こります[3]。乳児期に発症し成長とともに軽快する人もいれば、成人期まで症状が続く、あるいは成人になってから発症する人もいます[3]。

気管支喘息:慢性の気道炎症が土台にある

気管支喘息は、発作のないときも気道に慢性的な炎症が続いているのが特徴で、この炎症があるためにダニやハウスダスト、気温の変化、運動、風邪などさまざまな刺激で気道が過敏に反応し、咳や喘鳴、息苦しさの発作が起こるとされています[3]。発作時の症状だけでなく、発作が起きていない期間も気道の炎症を抑える治療を続けることが、重症化を防ぐうえで重要と位置づけられています[3]。

薬物アレルギー:原因薬剤の特定が最重要

薬物アレルギーは、抗菌薬や解熱鎮痛薬、造影剤などの医薬品成分に対して起こる反応で、皮疹や発熱などの軽い症状から、アナフィラキシーのような重篤な反応まで幅が広いとされています[1]。一度アレルギー反応が確認された薬剤は、以後同じ薬剤はもちろん、化学構造が似た薬剤でも交差反応が起こることがあるため、原因薬剤の特定と記録がその後の治療の安全性に直結します[1]。お薬手帳やアレルギー情報を医療機関ごとに正確に伝えることが推奨されています[1]。

金属アレルギー:汗と接触時間が発症のきっかけ

金属アレルギーは、ピアスやネックレスなどの装身具、時計の裏蓋、ベルトのバックル、歯科治療で使われる金属などに含まれるニッケル・コバルト・クロムといった金属イオンが、汗で溶け出して皮膚のタンパク質と結合し、免疫反応を引き起こすことで起こるとされています[3]。接触した部位を中心にかゆみを伴う湿疹が出る接触皮膚炎のタイプが多く、装身具を長時間つけ続ける習慣がある人ほど発症のリスクが高まるとされています[3]。

食物アレルギー:表示義務のある特定原材料とは

食品を買うとき、パッケージの原材料表示にアレルゲンの記載があるのを見たことがある人は多いはずです。これは消費者庁が食品表示基準で定めた制度で、重篤な健康被害が多く報告される品目を「特定原材料」として表示を義務付け、それに準ずる品目についても表示を推奨しています[2]。特定原材料は、卵・乳・小麦・そば・落花生(ピーナッツ)・えび・かに・くるみ・カシューナッツの9品目です[2]。くるみは2023年に、カシューナッツは2026年(令和8年)4月に、それぞれ特定原材料に準ずるものから格上げされ、表示義務の対象に加わりました(いずれも経過措置期間が設けられています)[2]。

特定原材料に準ずるもの(表示が推奨される品目)は、社会状況の変化に合わせて消費者庁が随時見直しています。たとえば2019年にアーモンドが追加され、2024年にはマカダミアナッツが追加される一方でまつたけが削除されました[2]。表示は義務ではなくても、重い症状を起こす人が一定数いる品目として、原材料表示を確認する習慣が推奨されています[2]。

食物アレルギー表示制度の品目区分
区分 表示 代表的な品目
特定原材料 表示義務 卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに、くるみ、カシューナッツ(9品目)[2]
特定原材料に準ずるもの 表示推奨 アーモンド、キウイフルーツ、大豆、バナナ、牛肉、豚肉、鶏肉、さけ、さば、いか、いくらなど、消費者庁が随時見直す品目群[2]

出典:消費者庁 食物アレルギー表示制度[2]

国立成育医療研究センターは、食物アレルギーが乳幼児期に発症することが多く、成長とともに耐性がついて食べられるようになるケースがある一方、大人になってから発症するタイプもあると説明しています[5]。自己判断で除去する食品を増やすと栄養バランスを崩すおそれがあるため、医師の指導のもとで必要な範囲だけ除去することが重要とされています[5]。

出典:消費者庁 食物アレルギー表示制度[2]/国立成育医療研究センター 食物アレルギー[5]

診断の方法と種類別の治療

アレルギーが疑われるとき、医療機関ではまず問診で症状が出たタイミングと状況を詳しく確認します。そのうえで、血液検査による特異的IgE抗体の測定や、皮膚に少量のアレルゲンを付けて反応を見る皮膚テスト(プリックテストなど)が行われます[5]。食物アレルギーで診断がはっきりしない場合には、医師の管理下で実際に少量から原因食品を食べて症状の有無を確認する食物経口負荷試験が行われることがあります[7]。この検査は自宅で自己判断で行うものではなく、急な症状に対応できる医療機関で実施することが前提とされています[7]。

治療は種類によって異なります。花粉症やアレルギー性鼻炎では、抗ヒスタミン薬などで症状を抑える対症療法に加え、アレルゲンを少量ずつ体に取り込んで体質を変えていく舌下免疫療法が選択肢になります[3]。気管支喘息は吸入薬による長期管理が中心で、アトピー性皮膚炎は保湿とスキンケアに加えて炎症を抑える外用薬が基本です[3]。食物アレルギーは、必要最小限の原因食品の除去と、症状が出たときの対応方法をあらかじめ決めておくことが柱になります[5]。薬物アレルギーは原因薬剤を特定し、以後その薬剤(および構造の似た薬剤)を避けることが基本です[1]。

検査結果の数値は、あくまで診断を補助する情報の一つです。国立成育医療研究センターは、血液検査の数値が高いほど症状が出る可能性は高くなる傾向はあるものの、数値だけで「食べられる・食べられない」を判断せず、実際の症状の経過や食物経口負荷試験の結果とあわせて総合的に医師が判断すると説明しています[5]。皮膚テストについても、陽性であっても実際には症状が出ない「感作のみ」の状態があり、検査結果を過大に解釈しないことが重要とされています[7]。治療方針は、原因の特定・重症度・年齢・生活スタイルによって一人ひとり異なるため、検査結果は必ず担当医と一緒に確認し、自己判断で除去や薬の中止を行わないことが基本です[5]。

出典:国立成育医療研究センター 食物アレルギー[5]/厚生労働科学研究費補助金 食物アレルギー診療の手引き[7]/厚生労働省 リウマチ・アレルギー対策[3]

⚠ アナフィラキシー:今すぐ119番が必要なサイン

アナフィラキシーとは、アレルゲンなどの侵入によって複数の臓器に全身性のアレルギー症状が急速にあらわれ、生命に危機を与えうる重篤な過敏反応を指すと、日本アレルギー学会は説明しています[1]。血圧が低下し、ぐったりして意識がもうろうとする状態に陥った場合はアナフィラキシーショックと呼ばれ、迅速に対応しないと命に関わるおそれがあると同学会は警告しています[1]。

次のサインが1つでもあれば、ためらわずに119番通報してください。

アナフィラキシーの危険なサイン(すぐ受診)
症状の系統 具体的なサイン
呼吸器 呼吸困難、のどや胸が締めつけられる感じ、声のかすれ、持続する強い咳[1]
循環器 血圧低下、脈が触れにくい、顔面蒼白、唇や爪が青白い[1]
意識 ぐったりする、呼びかけへの反応が鈍い、意識障害[1]
皮膚・粘膜 全身に広がる蕁麻疹、まぶたや唇の急な腫れ[1]

出典:一般社団法人日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」[1]

アナフィラキシーを疑う症状が出たとき、医療現場では直ちにアドレナリン0.3mg(小児は体重1kgあたり0.01mg)を用意し、診断がついたらためらわずに筋肉注射することが標準的な対応とされています[1]。医師以外の場でこれに相当するのが、あらかじめ処方されたアドレナリン自己注射薬(エピペン)です。エピペンはアナフィラキシーに対する補助的な治療薬で、使用したあとも症状がぶり返すことがあるため、使用後は必ず救急要請のうえ医療機関を受診するよう指導されています[1]。「症状が良くなったから」と自己判断で受診をやめることは避けてください[1]。

受診の目安(3段階)

  • 🔴 今すぐ119番+エピペン:呼吸困難、血圧低下(ぐったり・顔面蒼白)、意識障害、全身の強い蕁麻疹が急激に出た場合[1]
  • 🟡 早めに医療機関を受診:症状は落ち着いているが、初めての重い症状だった場合や、原因がはっきりしない場合[1]
  • 🟢 様子を見つつ相談:軽い皮膚のかゆみや軽度の鼻炎症状のみで、全身症状がない場合[3]

過去にアナフィラキシーを起こしたことがある人、重い食物アレルギーがある人は、エピペンを携帯し、家族や周囲の人にも使い方を伝えておくことが勧められています[1]。自己判断で受診を先延ばしにしたり、症状が軽いからと薬の使用や治療を自己中断したりすることは避け、必ず専門医の指示に従ってください[1]。

出典:一般社団法人日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」[1]

日常でできる予防と対処:除去・環境整備・舌下免疫療法

アレルギーとのつきあい方は、種類ごとに重点が変わります。食物アレルギーでは、診断されていない食品まで自己判断で除去せず、必要な範囲だけを避けることが栄養面でも重要とされています[5]。外食や加工食品を利用する際は、原材料表示で特定原材料9品目を必ず確認する習慣が推奨されています[2]。

花粉症やダニ・ハウスダストによるアレルギー性鼻炎では、環境整備が症状のコントロールに直結します。環境省の花粉症環境保健マニュアルは、花粉飛散が多い時間帯の外出を控える、外出時にマスクや眼鏡を使う、帰宅時に衣服や髪についた花粉を払ってから室内に入るといった対策を紹介しています[4]。室内環境については、こまめな掃除や寝具の洗濯でダニ・ハウスダストを減らすことが、通年性のアレルギー性鼻炎や気管支喘息の症状軽減につながるとされています[3]。

根本的な体質改善を目指す治療として、スギ花粉やダニのアレルゲンを少量ずつ舌の下に投与し、時間をかけて体を慣らしていく舌下免疫療法があります[3]。効果が出るまで数年単位の継続が必要ですが、対症療法とは異なり、治療終了後も症状の軽減が続くことが期待される治療法として位置づけられています[3]。開始できる時期や対象年齢には条件があるため、耳鼻咽喉科やアレルギー専門医への相談が勧められます[3]。

アトピー性皮膚炎では、保湿による皮膚バリアの維持が基本です。汗をかいたらこまめに洗い流す、爪を短く切ってかき壊しを防ぐといった日常のケアも、症状の悪化を防ぐうえで重要とされています[3]。金属アレルギーがある場合は、汗をかきやすい部位で長時間金属製品を身につけることを避け、歯科治療で使う金属についても事前に医師や歯科医師に伝えることが勧められます[3]。

出典:環境省 花粉症環境保健マニュアル2022[4]/厚生労働省 リウマチ・アレルギー対策[3]/国立成育医療研究センター 食物アレルギー[5]/消費者庁 食物アレルギー表示制度[2]

外食・旅行・学校生活での対処

食物アレルギーがある場合、外食では店舗にアレルゲンの有無を事前に確認し、可能であれば原材料が明記されたメニューを選ぶことが基本とされています[5]。学校給食については、厚生労働省・文部科学省の関連資料でも、学校側との事前の情報共有や、緊急時の対応(エピペンの保管場所・使用できる人)をあらかじめ決めておくことの重要性が指摘されています[3]。旅行先では、常備薬やエピペンを手荷物に入れて携帯し、現地の医療機関の場所も事前に確認しておくと安心です[1]。

花粉症のシーズンには、天気予報などで飛散情報を確認し、飛散量が多いと予測される日は外出時間を調整する、洗濯物や布団を外に干す時間を短くするといった工夫が、環境省の資料でも紹介されています[4]。症状が出始めてから薬を飲むよりも、飛散が本格化する前から抗アレルギー薬を使い始める「初期療法」が有効な場合があるともされており、毎年症状が重い人は、シーズン前に一度医療機関に相談しておくとよいでしょう[4]。

子どものアレルギーマーチ:症状が年齢とともに移り変わる理由

子どものアレルギー疾患は、一つのタイプだけで終わらず、成長とともに別のタイプへ移り変わっていくことがあります。乳児期にアトピー性皮膚炎や食物アレルギーとして始まり、幼児期から学童期にかけて気管支喘息、その後アレルギー性鼻炎や花粉症が加わっていくこの経過は「アレルギーマーチ」と呼ばれ、厚生労働省もアレルギー疾患対策の中で重要な視点として位置づけています[3]。すべての子どもがこの順番をたどるわけではありませんが、乳児期に湿疹や食物アレルギーがあった子どもほど、その後に喘息や鼻炎を発症しやすい傾向があるとされています[3]。

この視点が重要なのは、乳児期の皮膚炎を早期にきちんと治療し、皮膚のバリア機能を整えることが、その後のアレルギー疾患の発症や重症化を防ぐことにつながる可能性があるためです[3]。子どもの肌荒れや湿疹を「そのうち治る」と放置せず、保湿と適切なスキンケアを続けること、症状が長引く場合は早めに皮膚科や小児科に相談することが、長期的なアレルギー疾患の管理においても意味を持つとされています[3]。

出典:厚生労働省 リウマチ・アレルギー対策[3]

アレルギー表示の国際的な位置づけ:日本とWHO・AAAAIの視点

アナフィラキシーの重症度分類や治療の細かな数値は国・学会ごとに独自の基準を持ちますが、「複数臓器に急速に症状が及ぶ生命に関わる反応であり、疑ったら直ちにアドレナリンを使う」という骨格は、日本アレルギー学会と国際的なアレルギー専門機関のあいだで大きくは変わりません[1]。日本アレルギー学会のガイドラインは、複数臓器にまたがる急性の症状という定義と、アドレナリン筋注を第一選択とする治療方針を明確に打ち出しています[1]。

項目 日本(日本アレルギー学会 2022) 国際的な考え方(WHO・AAAAI等)
アナフィラキシーの定義 複数臓器に全身性の症状が急速に出る、生命に危機を与え得る過敏反応[1] 複数系統の急性症状、または既知アレルゲン曝露後の血圧低下など、国際アレルギー機関も同様に急性・全身性・重症の反応として位置づけている[1]
第一選択の治療 アドレナリンの筋肉注射(0.3mg、小児は体重1kgあたり0.01mg)[1] アドレナリン筋注を最優先とし、抗ヒスタミン薬やステロイドは補助的位置づけとする点で一致[1]
自己注射薬使用後の対応 使用後も症状がぶり返すことがあるため、直ちに医療機関を受診[1] 自己注射のみで様子を見ず、必ず救急医療につなげる考え方が国際的にも共通[1]

細かな重症度スコアや薬剤の投与量の刻み方は資料によって表現が異なりますが、「疑わしければ様子を見ずアドレナリンを使い、使ったら医療機関に必ずつなげる」という優先順位は共通しており、この骨格を覚えておくことが、実際の場面で最も役立つ知識になります[1]。

出典:一般社団法人日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」[1]

受診の目安:今すぐ救急か、自宅で様子見か

アレルギー症状が出たとき、多くの人が迷うのは「これは救急車を呼ぶレベルなのか、それとも自宅で様子を見ていいのか」という判断です。日本アレルギー学会や厚生労働省の資料をもとに整理すると、判断の軸は「症状が複数の臓器(皮膚・呼吸・循環・意識)に同時に及んでいるか」「症状の進み方が急激かどうか」の2点に集約されます[1][3]。皮膚のかゆみだけ、鼻水だけといった一つの臓器にとどまる軽い症状であれば、多くの場合は自宅で様子を見ながら、翌診療日にアレルギー専門医や皮膚科・耳鼻咽喉科を受診する対応で問題ないとされています[3]。一方で、蕁麻疹に加えて呼吸が苦しい、声がかすれる、意識がぼんやりするなど、複数の症状が短時間で重なって出てきた場合は、アナフィラキシーへの進行を疑い、様子を見ずに119番通報することが求められます[1]。

特に注意が必要なのは、症状が一度おさまったように見えても、数時間後に再び悪化する「二相性反応」が一部の人で起こることです。日本アレルギー学会のガイドラインは、アナフィラキシーの既往がある人について、症状消失後も一定時間の経過観察が望ましいとしています[1]。自己判断で「もう大丈夫」と外出や運動を再開せず、医療機関の指示に従って経過を見ることが重要です[1]。

出典:一般社団法人日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」[1]/厚生労働省 リウマチ・アレルギー対策[3]

医療費の目安

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16


よくある質問(FAQ)

アレルギーは大人になってから急に発症することはありますか?
あります。国立成育医療研究センターも食物アレルギーについて乳幼児期の発症が多いとしつつ、大人になってから発症するケースもあると説明しています[5]。花粉症も、それまで平気だった花粉に急に反応するようになる例が珍しくなく、環境省の資料でも有病率が年々上昇していることが示されています[4]。
アレルギー検査(血液検査)が陰性でも、アレルギーの可能性はありますか?
あります。国立成育医療研究センターの説明によれば、血液検査による特異的IgE抗体の値だけでは確定できず、症状が出た状況や食物経口負荷試験の結果を総合して診断されます[5]。数値が陽性でも症状が出ない場合、陰性でも症状が出る場合、どちらもあり得ます[7]。
エピペンを使ったら、そのまま病院に行かなくてもいいですか?
いいえ。日本アレルギー学会は、エピペンの使用はあくまで補助的な治療であり、使用後は症状がぶり返すことがあるため、必ず直ちに医療機関を受診するよう求めています[1]。119番通報も同時に行ってください[1]。
食物アレルギーの子どもに、自己判断で除去食を増やしても大丈夫ですか?
おすすめできません。国立成育医療研究センターは、診断されていない食品まで自己判断で除去すると、成長期に必要な栄養が不足するおそれがあると注意を促しています[5]。除去する範囲は医師の診断に基づいて決めることが基本です[5]。
特定原材料9品目以外なら、表示を確認しなくても安心ですか?
いいえ。消費者庁が定める特定原材料は表示が義務付けられた9品目ですが、それに準ずる品目(アーモンド・大豆など)も表示が推奨されており、重い症状を起こす人が一定数いる品目として原材料表示の確認が勧められています[2]。
花粉症の症状は、毎年同じ強さで出ますか?
年によって変わります。環境省の花粉症環境保健マニュアルは、花粉の飛散量が年ごとに変動し、飛散量が多い年は症状が強く出やすい傾向があると説明しています[4]。長期的には花粉症全体の有病率自体が上昇傾向にあることも報告されています[4]。
舌下免疫療法は誰でもすぐに始められますか?
いいえ。厚生労働省の資料によれば、舌下免疫療法は対象となるアレルゲンや年齢などの条件があり、効果が出るまで数年単位の継続が必要な治療です[3]。開始できるかどうかは、アレルギー専門医や耳鼻咽喉科での診察・検査を経て判断されます[3]。
薬物アレルギーが心配なとき、市販薬を自己判断で使ってもいいですか?
避けるべきです。過去に薬でアレルギー症状が出たことがある場合、日本アレルギー学会は原因薬剤や構造の似た薬剤を避けることを基本としており、自己判断での使用は思わぬ再発を招くおそれがあります[1]。薬を使う前に医師や薬剤師に必ず伝えてください[1]。
金属アレルギーは血液検査でわかりますか?
金属アレルギーの多くは接触皮膚炎のタイプで、皮膚に金属を貼って反応をみるパッチテストが用いられます[3]。食物アレルギーで使う血液検査(特異的IgE抗体)とは異なる検査方法が必要になる点に注意してください[3]。

アレルギーに関する記事一覧

記事一覧 25件

基礎知識・原因 2

症状・見分け方 3

食事・生活 6

治療・薬 7

合併症・リスク 6

その他 1


金属アレルギーの原因になりやすい金属の詳しい種類別データや、成人発症の食物アレルギーの国内発症率の経年推移については、今回参照した資料には記載が見当たりませんでした。

参考文献

  1. 一般社団法人日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」 jsaweb.jp/uploads/files/Web_AnaGL_2022_1201.pdf
  2. 消費者庁「食物アレルギー表示制度(特定原材料等)」 caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy
  3. 厚生労働省「リウマチ・アレルギー対策」 mhlw.go.jp/…/ryumachi/index.html
  4. 環境省「花粉症環境保健マニュアル2022」 env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf
  5. 国立成育医療研究センター「食物アレルギー」 ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/allergy/food_allergy.html
  6. 一般社団法人日本アレルギー学会「アレルギーの手引き2026」 jsaweb.jp/huge/JSA_tebiki2026.pdf
  7. 厚生労働科学研究費補助金(免疫・アレルギー疾患政策研究事業)「食物アレルギー診療の手引き2023」 foodallergy.jp/…/FAmanual2023.pdf