副鼻腔炎
最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)
✦ 結論から言うと
副鼻腔炎(俗称・蓄膿症)は、鼻の周りにある4つの空間「副鼻腔」の粘膜に炎症が起きる病気で、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は上顎洞・篩骨洞・前頭洞・蝶形骨洞の4空間で炎症が起こる状態と説明しています[1]。日本鼻科学会の「鼻副鼻腔炎診療の手引き2024」は、発症から4週間未満を急性鼻副鼻腔炎、12週間以上経過したものを慢性鼻副鼻腔炎と定義し、その間の4〜12週間は急性の治癒過程と慢性への移行が混在する期間としています[4]。これとは別に、両側の鼻茸と喘息合併が多い難治性の「好酸球性副鼻腔炎(好酸球性鼻副鼻腔炎)」という指定難病306のタイプがあります[3]。急性副鼻腔炎の多くはかぜに続くウイルス性で、厚生労働省は軽症の場合は抗菌薬投与を行わないことを推奨しています[2]。高熱・強い頭痛・目の腫れや視力の異常・激しい顔面痛があるときは、まぶた(眼窩)や頭の中に炎症が広がる危険なサインなので、様子見せずすぐに耳鼻咽喉科(症状によっては眼科・救急)を受診してください。
| 主な原因 | 急性はライノウイルスなどウイルス性が中心で、数日後に細菌感染へ移行することがある。慢性は急性の繰り返し・アレルギー性鼻炎・歯の感染など。好酸球性は原因不明の2型炎症が中心で喘息合併が多い[1][4] |
|---|---|
| 主な症状 | 鼻づまり、黄色〜緑色の粘性・膿性鼻汁、鼻汁がのどに流れる後鼻漏、頬や額の痛み・圧迫感、嗅覚低下、頭重感[1] |
| 受診の目安 | 10日以上続く鼻汁・咳、39℃以上の発熱を伴う膿性鼻汁が3日以上、高熱・強い頭痛・目の腫れや視力異常・激しい顔面痛は至急受診[2] |
副鼻腔炎とは?副鼻腔の位置と炎症が起こる仕組み
鼻の中の空間(鼻腔)の周りには、骨に囲まれた4つの空洞があります。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によると、これは頬の奥にある「上顎洞」、目と目の間にある「篩骨洞」、額の奥にある「前頭洞」、鼻の一番奥にある「蝶形骨洞」の4つで、これらをまとめて「副鼻腔」と呼びます[1]。副鼻腔は狭い通路(自然口)で鼻腔とつながっており、健康な状態では空気で満たされ、粘膜から出る分泌物は自然口を通って鼻腔へ流れ出ています。
副鼻腔炎は、この副鼻腔の粘膜に炎症が起きた状態で、同学会は「以前は蓄膿症という呼ばれ方もしていた」と説明しています[1]。日本鼻科学会の手引きは、鼻副鼻腔炎を、鼻副鼻腔の炎症により鼻閉・鼻漏・後鼻漏・咳嗽などの呼吸器症状を呈し、頭痛・頬部痛・嗅覚障害などを伴う疾患と定義しています[4]。かぜのウイルス感染や細菌感染、アレルギー反応などによって粘膜が厚く腫れると、自然口が狭くなって分泌物がうまく排出されなくなり、副鼻腔の中に粘りけのある鼻汁・膿がたまります。これが鼻づまり、黄色や緑色を帯びた鼻汁、頬や額の痛み・圧迫感、嗅覚の低下といった症状につながります。
出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の病気」[1]
急性副鼻腔炎とは:発症から4週間未満、多くはウイルス性で抗菌薬は原則不要
日本鼻科学会の手引きは、急性鼻副鼻腔炎を「発症から4週未満の鼻副鼻腔の感染症」と定義しています[4]。厚生労働省の「抗微生物薬適正使用の手引き」も同様に、急性鼻副鼻腔炎を「発熱の有無を問わず、くしゃみ、鼻汁、鼻閉を主症状とする病態を有する急性気道感染症」と説明しています[2]。
原因の中心はウイルスです。日本鼻科学会の手引きによれば、急性鼻副鼻腔炎はライノウイルス、パラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルスなどのウイルス感染が発端となり、発症から数日後に細菌感染へ移行する場合が多いとされます[4]。ウイルス性の鼻副鼻腔炎は発症から通常10日以内に消退しますが、細菌性に移行した場合は発症から5日以上経過してから膿性・粘膿性の鼻漏や頬部痛、発熱を伴って再燃するという経過(いわゆる二峰性の悪化パターン)をたどることが特徴とされています[4]。
抗菌薬(抗生物質)は、ウイルス性の急性副鼻腔炎には無効です。厚生労働省の手引きは「成人では、軽症の急性鼻副鼻腔炎に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する」と明記しており[2]、抗菌薬が検討されるのは、中等症以上または重症の場合に限られます。その際の基本は「アモキシシリン水和物内服5〜7日間」とされています[2]。学童期以降の子どもについても同様に、遷延性または重症の場合を除いては抗菌薬投与を行わないことが推奨されています[2]。
同手引きは急性鼻副鼻腔炎の重症度を、鼻漏(鼻水の量)と顔面痛・前頭部痛をそれぞれ0〜2点、鼻腔所見(漿液性か、粘膿性少量か、粘液性中等量以上か)を0・2・4点で採点し、合計点で「軽症:1〜3点」「中等症:4〜6点」「重症:7〜8点」に分類する基準を示しています[2]。この重症度分類は、抗菌薬を使うかどうかの判断材料になります。
| 臨床所見 | 0点 | 1点 | 2点 | 4点 |
|---|---|---|---|---|
| 鼻漏(鼻水の量) | なし | 軽度・少量 | 中等度以上 | ― |
| 顔面痛・前頭部痛 | なし | 軽度・少量 | 中等度以上 | ― |
| 鼻腔所見(鼻汁・後鼻漏) | 漿液性 | ― | 粘膿性少量 | 粘液性中等量以上 |
出典:厚生労働省健康局結核感染症課「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 ダイジェスト版」(合計点:軽症1〜3点・中等症4〜6点・重症7〜8点)[2]
小児(学童期以降)については、以下のいずれかに当てはまる場合を「遷延性又は重症」と判定し、抗菌薬投与を検討するとされています[2]。
| 該当する状態 | 目安 |
|---|---|
| 症状の長さ | 発症から10日間以上続く鼻汁・後鼻漏や日中の咳 |
| 発熱・鼻汁の程度 | 39℃以上の発熱と膿性鼻汁が少なくとも3日以上続き重症感がある |
| 経過のパターン | 感冒に引き続き、発症から1週間後に再度の発熱や日中の鼻汁・咳の増悪が見られる |
出典:厚生労働省健康局結核感染症課「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 ダイジェスト版」[2]
抗菌薬を使う場合の基本は、成人が「アモキシシリン水和物内服5〜7日間」、学童期以降の小児が「アモキシシリン水和物内服7〜10日間」です[2]。抗菌薬が不要な軽症例では、鼻づまりや痛みをやわらげる対症療法(去痰薬・鎮痛薬、鼻噴霧用ステロイド薬など)が中心になります。乳幼児(学童期未満)に関する判定基準は今回参照した資料には具体的な数値の記載が見当たりませんでした。かかりつけの小児科・耳鼻咽喉科の判断に従ってください。
「かぜ」と急性副鼻腔炎は症状が重なって見えますが、厚生労働省の手引きは急性気道感染症を主な症状のパターンで区別しています。感冒(かぜ)は鼻汁・鼻閉、咽頭痛、咳・痰の3系統の症状が同時に同程度みられる病態であるのに対し、急性鼻副鼻腔炎は鼻汁・鼻閉が主要症状で、咽頭痛や咳・痰は目立たないという違いがあります[2]。
| 病型 | 鼻汁・鼻閉 | 咽頭痛 | 咳・痰 |
|---|---|---|---|
| 感冒(かぜ) | △ | △ | △ |
| 急性鼻副鼻腔炎 | ◎ | × | × |
| 急性咽頭炎 | × | ◎ | × |
| 急性気管支炎 | × | × | ◎ |
◎:主要症状/△:際立っていない程度で他症状と併存/×:症状なし〜軽度。出典:厚生労働省健康局結核感染症課「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 ダイジェスト版」[2]
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)とは:発症から12週間以上続く炎症と治療の考え方
慢性副鼻腔炎は、急性副鼻腔炎とは区別して考える必要がある病態です。日本鼻科学会の「鼻副鼻腔炎診療の手引き2024」は、慢性鼻副鼻腔炎を「発症から12週以上経過したもの」と定義しています[4]。発症から4〜12週間の期間は、急性の治癒過程にあるものと、慢性へ移行しつつあるものが混在する時期とされ、この時点だけで急性・慢性を機械的に線引きできるわけではありません[4]。かつては「蓄膿症」という呼び名で広く知られていました[1]。原因・症状の全体像は、関連記事「副鼻腔炎(蓄膿症)のすべて」もあわせてご確認ください。
原因は一つではなく、急性副鼻腔炎を繰り返すうちに炎症が慢性化するケースのほか、アレルギー性鼻炎による鼻づまりが副鼻腔の排出路をふさいでしまうケース、虫歯や歯周病が上顎洞に波及する歯性上顎洞炎などが知られています。歯性上顎洞炎は、上顎の奥歯の根が上顎洞の底に近い位置にあることから、虫歯や歯周病の感染がそのまま上顎洞へ波及して起こるとされ、左右どちらか片側だけに症状が出やすいことが、両側性のことが多い好酸球性副鼻腔炎との見分けのポイントの一つになります。慢性化すると、鼻づまり、粘り気の強い鼻汁・後鼻漏、頭重感、嗅覚障害といった症状が長引き、鼻の中に鼻茸(ポリープ)ができることもあります。
日本鼻科学会の手引きは、炎症の主体となる細胞・サイトカインの違いから、慢性鼻副鼻腔炎を1型・3型炎症(好中球性炎症が主体)が中心の「従来型慢性鼻副鼻腔炎」と、2型炎症(好酸球性炎症が主体)が中心の「好酸球性鼻副鼻腔炎」の大きく2つに分けて説明しています[4]。ただし実際には、好酸球性と診断された症例でも1型・3型炎症が少なからず関与するなど、両方の病態が様々な割合で混在していることも指摘されています[4]。国際的には、欧州のガイドラインEPOS2020が2型炎症の慢性鼻副鼻腔炎を「eosinophilic CRS(eCRS)」、それ以外を「non-eCRS」と呼んでいます[4]。
治療の中心は薬物療法です。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、慢性化した場合の治療として「抗菌薬を通常の半分の量で長期間服用するマクロライド少量長期療法やネブライザー療法を行う」としています[1]。手引き2024によれば、この14員環マクロライド系抗菌薬の少量長期投与法は「鼻漏・後鼻漏などの過分泌症状が顕著で、好中球性炎症が主体の従来型慢性鼻副鼻腔炎」に有効とされ、広く用いられています[4]。ただし、その有効性と限界を理解した上で使う必要があり、重大な副作用の一つとしてQT延長(心室頻拍・心室細動といった致死的な不整脈につながりうる心電図の変化)があるため、いたずらに長期投与を続けないよう注意が必要とされています[4]。手引き2024は、日本国内における抗不整脈薬による薬剤性の心血管イベント発生率が2.0〜8.8%と比較的高い一方、マクロライド系抗菌薬を含むそれ以外の薬剤(抗菌薬・抗真菌薬・抗精神病薬など)によるものは1万〜10万人に1人程度の頻度にとどまると紹介した上で、もともと軽度のQT延長がある人に事象が起こりやすいため、マクロライド療法を行う際には心疾患の有無や抗不整脈薬との併用に特に注意が必要だとしています[4]。薬物療法で改善しない場合には、内視鏡を使った副鼻腔の手術(内視鏡下副鼻腔手術・ESS)が選択肢になり、手引きは副鼻腔の単洞化・粘膜保存・鼻内気流の適正化を基本手技として挙げています[1][4]。手引きはこのほか、手術の副損傷として眼窩紙様板損傷・血管損傷・天蓋部損傷(髄液漏)についても注意点として記載しています[4]。薬物療法・手術療法それぞれの選択肢は、関連記事「慢性副鼻腔炎の最新治療」でさらに詳しく解説しています。
なお、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、上顎洞から発生するがん(上顎がん)について、「重症の慢性副鼻腔炎が長年放置されると発生しやすくなると考えられている」としつつ、「最近では、慢性副鼻腔炎の軽症化とともに上顎がんは減少しつつある」とも説明しています[1]。上顎がんは初期には骨の空洞の中にあるため症状が出にくく、鼻づまり、悪臭のある鼻汁、鼻出血、歯痛、頬の腫れ、視力障害などが、特に左右どちらか片側だけに現れたときは注意が必要とされています[1]。慢性副鼻腔炎の症状が片側だけ強い、あるいは急に変化したという場合は、自己判断せず耳鼻咽喉科で相談してください。
症状のくわしい見分け方:鼻づまり・鼻汁・後鼻漏・顔面痛・嗅覚低下
副鼻腔炎の症状は一つひとつが独立しているわけではなく、副鼻腔と鼻腔のつながりの障害から連鎖的に起こります。「鼻づまり(鼻閉)」は、炎症で粘膜が厚く腫れることに加え、鼻の中の空気の通り道そのものが狭くなることで起こります。「膿性鼻汁」は、副鼻腔の中にたまった分泌物が自然口を通じて鼻腔へ流れ出たもので、色が黄色や緑色を帯びるのは、炎症にかかわる白血球や細菌の死骸が混ざるためです。
「後鼻漏」は、鼻汁が鼻の前方(鼻の穴)ではなく、のどの奥へ流れ落ちる状態を指します。慢性副鼻腔炎では、この後鼻漏が喉の違和感や咳、痰がらみの原因になることがあります。「頬や額の痛み・圧迫感」は、副鼻腔の中に分泌物や炎症による圧力が高まることで生じ、うつむいた姿勢や顔を下げたときに痛みが強まるのが特徴とされています。「嗅覚低下(嗅覚障害)」は、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によれば、鼻の最上部にある嗅上皮まで「におい分子」が届かなくなることで起こり、かぜ・アレルギー性鼻炎・慢性副鼻腔炎・鼻中隔弯曲症などが原因になるとされています[1]。慢性副鼻腔炎や好酸球性副鼻腔炎で嗅覚低下が長引く場合、鼻の処置・投薬・手術に加えて、ステロイドの点鼻が効果的なことがありますが、長期間の使用は主治医の指導のもとで行う必要があるとされています[1]。
経過とセルフケアの目安:発症からの時期で考える
急性副鼻腔炎の多くは、発症からの日数によっておおまかな見通しを立てることができます。日本鼻科学会の手引きによれば、ウイルス性の鼻副鼻腔炎は発症から通常10日以内に消退します[4]。この期間は、安静・水分補給・去痰薬や鎮痛薬による対症療法が中心で、厚生労働省の手引きが示すとおり軽症であれば抗菌薬は不要です[2]。
一方、発症から5日以上経過してから、膿性・粘膿性の鼻漏や頬部痛、発熱を伴って症状が再び悪化する場合は、細菌感染への移行が疑われるサインとされています[4]。この時点で症状が中等症以上(前述の重症度分類で4点以上)であれば、耳鼻咽喉科で抗菌薬投与を検討してもらう目安になります[2]。発症から10日間以上鼻汁や咳が続く場合、あるいは39℃以上の発熱を伴う膿性鼻汁が3日以上続く場合は、子どもでは遷延性・重症と判定される基準に該当するため、早めの受診が推奨されます[2]。
発症から4〜12週間が経過しても症状が続く場合は、急性の治癒過程にあるのか、慢性へ移行しつつあるのかを耳鼻咽喉科で見極めてもらう時期にあたります[4]。発症から12週間(3ヶ月)を超えて鼻づまり・後鼻漏・嗅覚低下が続く場合は慢性副鼻腔炎と考えられ、マクロライド少量長期療法などの計画的な治療が検討されます[1][4]。どの時期であっても、高熱・強い頭痛・目の症状・激しい顔面痛が出た場合は、経過日数にかかわらずすぐに受診してください。
検査・診断の流れ:CTと鼻内視鏡が中心、単純X線は限定的
副鼻腔炎の診断は、症状の問診と鼻内視鏡検査が基本です。手引き2024は、急性鼻副鼻腔炎は通常、臨床症状と鼻内所見で診断し、治療に抵抗性を示す例や合併症が疑われる場合にCT検査を行うとしています[4]。かつて広く行われていた単純X線撮影は、CT所見との相関が上顎洞では78%と比較的良好であるものの、篩骨洞では52%にとどまり、感度・特異度が低いため、現在は限定的にしか使われません[4]。CT検査の評価には「Lund-Mackayスコア」という国際的な基準が広く使われています[4]。
慢性副鼻腔炎で鼻茸がある場合は、そのサイズを0〜4点で採点する「鼻茸スコア」が使われ、生物学的製剤の治療効果判定などにも国際的に利用されています[4]。なお、日本の厚生労働省「最適使用推進ガイドライン デュピルマブ」には、デュピルマブ使用判定のためだけに作られた別の鼻茸スコアがあり、国際基準ではスコア2に相当するものがスコア3として扱われることがあるため、混同しないよう注意が必要と手引きは指摘しています[4]。小児では、単純X線撮影は上顎洞以外の診断には不十分で、特に6歳以下では補助的な位置づけにとどまり、CT検査は放射線被曝の観点から、頭蓋内・眼窩内合併症が疑われる場合など厳格に適応を絞って行うとされています[4]。
このほか、手引き2024は、症状の重さを患者自身が採点する臨床スコア「SNOT-22」、鼻鏡・鼻内視鏡検査、細菌検査、病理組織検査と鼻汁塗抹検査(好酸球の有無を調べる検査を含む)、鼻腔通気度検査、嗅覚検査なども診断に用いられる検査として挙げています[4]。診断のためのフローチャートは、まず2型炎症(好酸球性の炎症)の関与の有無で大きく分け、次に鼻茸の有無や末梢血好酸球の割合といった手掛かりとなる所見によって、従来型慢性副鼻腔炎か好酸球性副鼻腔炎かを見極める流れになっています[4]。SNOT-22は、鼻づまりや後鼻漏、頭痛、睡眠への影響、集中力の低下といった項目を患者自身が点数化する質問票で、治療の前後でスコアを比較することで、薬物療法や手術がどれだけ症状を改善させたかを客観的に確認する目的で使われます[4]。
好酸球性副鼻腔炎とは:指定難病306・両側の鼻茸と喘息合併が特徴
好酸球性副鼻腔炎(好酸球性鼻副鼻腔炎)は、慢性副鼻腔炎の中でも特に治りにくいタイプとして区別されている病態です。診断基準や治療の詳細は、関連記事「好酸球性副鼻腔炎の専門解説」でも取り上げています。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は「近年では好酸球が局所に多く出現する好酸球性副鼻腔炎が増加傾向にある」とし、「難治性で従来の治療が効きにくく、ステロイドを中心とした治療が有効」「喘息を合併したり、匂いがしない、あるいはわかりにくいという症状があったり、鼻茸を伴うことが特徴」と説明しています[1]。
好酸球性副鼻腔炎は厚生労働省の指定難病306号に指定されており、難病情報センターは疾患概要を「両側の多発性鼻茸と粘調な鼻汁により、高度の鼻閉と嗅覚障害を示す、成人発症の難治性副鼻腔炎である」と記載しています[3]。気管支喘息やアスピリン不耐症(NSAID過敏症、NSAIDs-exacerbated respiratory disease:N-ERD)を合併しやすいことも知られており、手引き2024も末梢血好酸球5%以上と篩骨洞優位の副鼻腔陰影、気管支喘息・NSAID過敏喘息の有無によって重症・中等症・軽症に分類されると説明しています[4]。令和元年度の医療受給者証保持者数は9,211人と難病情報センターに記載されています[3]。
診断には「JESRECスコア」と呼ばれる基準が用いられます。難病情報センターによれば、①鼻の両側における病巣の有無、②鼻茸の有無、③篩骨洞優位の陰影、④血中好酸球の割合の4項目を17点満点で採点し、「スコアの合計が11点以上」かつ「鼻茸組織中の好酸球数(400倍視野)が70個以上」の両方を満たす場合に確定診断となります[3]。この4項目は、片側だけの病変や、鼻茸がなく血中好酸球も高くない典型的な従来型の慢性副鼻腔炎とは異なる、好酸球性副鼻腔炎に特徴的な所見を数値化したものです。CT画像で篩骨洞(目と目の間の空間)に炎症の陰影が強く出て、上顎洞よりも篩骨洞側の陰影が優位であることは、好酸球性副鼻腔炎を疑う画像所見の一つとされています[3]。手引き2024によれば、このJESRECスタディは、内視鏡下鼻副鼻腔手術後に鼻茸が再発しやすい難治症例の特徴を検討する中から生まれた基準で、両側性病変・鼻茸・篩骨洞優位の副鼻腔陰影・末梢血好酸球増多などを指標としています[4]。
指定難病としての医療費助成(自己負担の軽減)の対象になるのは、重症度分類で中等症以上、または好酸球性中耳炎を合併している場合です[3]。重症度は末梢血好酸球率・CT所見・合併症の有無などをもとに分類されます[3]。ここでいう「好酸球性中耳炎」は、好酸球性副鼻腔炎と同じ2型炎症の機序が中耳(鼓膜の奥)にも及び、粘りけの強い滲出液がたまって難聴を伴うタイプの中耳炎で、好酸球性副鼻腔炎と合併しやすいことが知られています。好酸球性中耳炎を合併している場合は、副鼻腔の重症度分類だけでは中等症未満であっても、医療費助成の対象になり得るという点は覚えておく価値があります[3]。
治療は、まず鼻噴霧用ステロイド薬や短期間の全身ステロイド薬、マクロライド少量長期療法や手術(内視鏡下副鼻腔手術)が検討されます[1]。手引き2024は、薬物療法の選択肢として抗菌薬・マクロライド療法・気道粘液溶解薬・ステロイド薬・生物学的製剤・漢方薬を挙げています[4]。喘息合併など重症の好酸球性炎症を伴う場合には、生物学的製剤という種類の注射薬が治療の選択肢に加わることがあります。一般名としてはデュピルマブなどが該当しますが、どの患者にどの薬が適するかは重症度や合併症、費用面を含めて主治医が判断する事項であり、特定の商品名を推奨する趣旨のものではありません。生物学的製剤の効果判定には、前述の鼻茸スコア(0〜4点)が国際的に用いられており、日本独自の使用ガイドラインでは国際基準とスコアの対応関係が異なる場合があるため、主治医による評価が前提になります[4]。
急性・慢性・好酸球性の見分け方
3つのタイプは、期間・原因・治療方針がそれぞれ異なります。同じ「副鼻腔炎」という名前でも、急性副鼻腔炎に効く対応が慢性副鼻腔炎や好酸球性副鼻腔炎にそのまま当てはまるわけではありません。
| 項目 | 急性副鼻腔炎 | 慢性副鼻腔炎(蓄膿症) | 好酸球性副鼻腔炎 |
|---|---|---|---|
| 期間の目安(発症からの経過) | 4週間未満[4] | 12週間(3ヶ月)以上[4] | 慢性の経過をとることが多い、成人発症[3] |
| 主な原因 | 多くはウイルス性、一部細菌性[4] | 急性の繰り返し、アレルギー性鼻炎、歯性など(1型・3型炎症中心)[4] | 原因ははっきりせず、2型炎症が両側に多発[3][4] |
| 鼻茸(ポリープ) | 通常は目立たない | 伴うことがある[1] | 両側に多発しやすい[3] |
| 喘息の合併 | 関連は乏しい | 一部でみられる | 合併が多い[1] |
| 抗菌薬の位置づけ | 軽症は原則不要、中等症以上で検討[2] | マクロライド少量長期療法が中心[1] | ステロイド・生物学的製剤が中心、通常量の抗菌薬は主目的でない[1] |
| 指定難病 | 該当しない | 該当しない(従来型) | 指定難病306[3] |
見分けるカギ:「発症から12週間以上続いているか」「両側に鼻茸があり喘息を合併しているか」の2点を耳鼻咽喉科で確認してもらうことが、タイプを見分ける出発点になります。自己判断で市販薬だけに頼らず、長引く場合は検査(鼻内視鏡・CT)を受けることが重要です。
治療を始めた後の経過観察でも、この3タイプの区別は意味を持ちます。急性副鼻腔炎であれば発症から数日〜1週間程度で改善傾向がみられるかどうかが一つの目安になり、慢性副鼻腔炎のマクロライド少量長期療法は数ヶ月単位の経過をみながら効果を判断します[1][4]。好酸球性副鼻腔炎は再発しやすい特性があるため、症状が一時的に落ち着いても、定期的な耳鼻咽喉科でのフォローアップが継続的に必要になる点が、他の2タイプと異なる特徴です[3]。
危険なサイン・今すぐ受診すべき目安
副鼻腔は薄い骨を隔てて目(眼窩)や脳に隣接しているため、まれに炎症がそちらへ広がることがあります。学術誌「頭頸部外科」に掲載された鼻性眼窩内合併症の総説は、眼窩と篩骨洞の間はきわめて薄い篩骨眼窩板で隔てられているだけで、副鼻腔の感染が眼窩内へ波及しやすい解剖学的な位置関係にあると説明しています[5]。同総説は、抗生物質のない時代には眼窩内合併症の17%が髄膜炎を併発して死亡し、20%が失明に至ったという統計を紹介しており、早期診断や抗菌薬療法が発達した現在でも視力低下などの後遺症が残り得ると指摘しています[5]。
鼻性眼窩内合併症は、軽いものから重いものへ「A:眼瞼蜂巣炎(眼窩隔膜より前方、まぶたの皮膚側の感染)」「B:眼窩蜂巣炎(眼窩の中まで炎症が広がった状態)」「C:眼窩骨膜下膿瘍(眼窩骨膜と骨の間に膿がたまった状態)」「D:眼窩内膿瘍(眼窩内容そのものに膿がたまった状態)」「E:海綿静脈洞血栓症(頭蓋内の静脈にまで血栓が及ぶ最重症の状態)」の5段階に分類されています(ただし、実際には眼窩骨膜下膿瘍より眼窩蜂巣炎の方が眼窩内容物への影響が大きいとする意見もあると同総説は付け加えています)[5]。このうち眼瞼蜂巣炎は、副鼻腔とは別に顔面の皮膚感染から広がることもあるとされています[5]。同総説がまとめた眼窩内合併症の症状の出現頻度は、眼瞼の腫脹・発赤が100%〜90.1%、眼球運動障害が81.4%、眼球突出が76.7%、結膜浮腫が44.2%、視力低下が18.6%です[5]。視力障害は初発症状としての頻度は高くないものの、もっとも警戒すべき重要な症状であると同総説は強調しています[5]。
以下のサインがあれば、様子見をせず、すぐに耳鼻咽喉科(時間外なら救急外来・症状によっては眼科)を受診してください。
| レベル | サイン | 対応 |
|---|---|---|
| 今すぐ受診 | まぶたの腫れ・発赤、眼球運動障害、眼球突出、物が二重に見える、視力低下、意識がぼんやりする、激しい頭痛や高熱を伴う顔面の腫れ | 眼窩内合併症・頭蓋内合併症の恐れ。当日〜救急受診[5] |
| 早めに受診 | 発症から39℃以上の発熱と膿性鼻汁が3日以上、または感冒後1週間で再び発熱・鼻汁・咳が悪化[2] | 数日以内に耳鼻咽喉科・小児科を受診 |
| 経過をみてよい | 軽い鼻づまりや鼻汁のみで、発熱や顔面痛が強くない状態 | 市販薬や自宅ケアで様子見、発症から10日以上続けば受診[2] |
出典:厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き」[2]/頭頸部外科23(2)2013「鼻性眼窩内合併症の診断と治療」[5]
子どもの場合:前頭洞がまだ発達していない乳幼児では、炎症が前頭洞を経由せず篩骨洞だけを経由して眼窩内へ広がりやすいとされ、症状を自分でうまく訴えられないことがあるため、まぶたの腫れや機嫌の悪さ、高熱の持続には保護者が早めに気づく必要があります[5]。
高齢者の場合:糖尿病など基礎疾患があると感染が広がりやすく、症状が典型的でないまま重症化することがあるため、いつもと違う顔の痛みや腫れ、発熱が続く場合は早めの受診が安全です。持病で免疫を抑える薬(ステロイドや抗がん剤など)を使っている人も同様に、感染が広がりやすい状態にあるため、注意が必要です。
頭蓋内合併症にも注意:副鼻腔炎に続発する頭蓋内合併症(脳膿瘍、硬膜外膿瘍、髄膜炎など)は、抗菌薬の進歩にともない現在は減少傾向にあるものの、依然として致命的になりうる疾患であると学術誌「頭頸部外科」の症例報告は指摘しています[6]。同報告では、発熱・頭痛を主訴に急性副鼻腔炎と診断された13歳の男児が、抗菌薬治療でいったん症状と血液検査所見が改善して退院したにもかかわらず、退院12日後に脳膿瘍・硬膜外膿瘍を発症し、緊急の脳神経外科入院と、内視鏡下鼻副鼻腔手術+開頭による膿瘍ドレナージが必要になった例が報告されています(この患者は後遺症なく退院しています)[6]。この症例が示すように、いったん熱が下がり症状が良くなっても、その後の頭痛の再燃や様子の変化には注意し、気になる変化があれば再受診することが大切です。
日本と欧米のガイドラインの違い
副鼻腔炎(鼻副鼻腔炎)の診療指針は国によって改訂の時期や重点が異なります。日本鼻科学会は2024年に「鼻副鼻腔炎診療の手引き」を刊行し、これは2007年の初版刊行から17年ぶりの大きな改訂です[4]。欧州では2020年に「European Position Paper on Rhinosinusitis and Nasal Polyps(EPOS2020)」が8年ぶりに、米国では2021年に「International Consensus Statement on Allergy and Rhinology: Rhinosinusitis(ICAR-RS-2021)」が5年ぶりに改訂されています[4]。
| 項目 | 日本(日本鼻科学会 2024) | 欧州・米国(EPOS2020/ICAR-RS-2021) |
|---|---|---|
| 病名の使い方 | 「鼻副鼻腔炎」を採用(鼻腔の炎症を伴うことがほとんどのため)[4] | 「rhinosinusitis(鼻副鼻腔炎)」の用語が一般的[4] |
| 好酸球性慢性副鼻腔炎の呼び方 | 好酸球性鼻副鼻腔炎(難病病名としては「好酸球性副鼻腔炎」)[4] | EPOS2020は「eosinophilic CRS(eCRS)」、それ以外を「non-eCRS」と表現[4] |
| 最新改訂年 | 2024年(前回2007年)[4] | EPOS2020は2020年(前回2012年)/ICAR-RS-2021は2021年(前回2016年)[4] |
両者で用語や分類の切り口は異なりますが、慢性副鼻腔炎の中に「2型炎症(好酸球性)」というタイプがあり、通常の治療が効きにくいと位置づけている点は共通しています。日本の医療現場では、指定難病としての行政上の病名は「好酸球性副鼻腔炎」のまま使われている一方、学術的には「好酸球性鼻副鼻腔炎」という用語も使われており、この2つの言葉が同じ病態を指している点は覚えておくとよいでしょう[4]。
このように国内外でガイドラインの発行年や重点が異なるのは、副鼻腔炎という病気そのものの理解が、好酸球性の炎症タイプの発見や生物学的製剤の登場によって、この十数年で大きく更新され続けているためです。日本の耳鼻咽喉科医が日本鼻科学会の手引きに沿って診療していても、海外で近年改訂された基準までは把握しきれていない場合があり得るため、海外の家族や海外在住の経験がある人が「向こうではこう言われた」という場合に、どちらが正しい・誤りというより、参照している基準の版が異なる可能性がある、という視点を持つことが役立ちます。
鼻洗浄(生理食塩水によるセルフケア)
鼻の中を生理食塩水で洗い流す「鼻洗浄」は、鼻づまりや粘性の鼻汁をやわらげるセルフケアとして広く行われています。日本鼻科学会の手引きも、処置・局所療法の一つとして鼻洗浄を挙げています[4]。洗浄液は、体液に近い濃度に調整された生理食塩水を使うのが一般的で、水道水をそのまま使うのではなく、洗浄用に調製された製品や、清潔な方法で作られた食塩水を使用することが基本的な注意点です。容器やボトルは使用後によく洗って乾燥させ、清潔に保つことも大切です。
具体的な塩分濃度や作り方の詳しい数値については、今回参照した学会・厚労省の資料には明記が見当たりませんでした。自己流の濃度で作ると刺激になったり、洗浄効果が下がったりすることがあるため、市販の鼻洗浄キットの説明書に従うか、耳鼻咽喉科で指導を受けることをおすすめします。鼻洗浄の具体的な手順や器具の選び方は、関連記事「効果的な鼻洗浄の完全ガイド」で詳しく解説しています。
鼻洗浄は、急性副鼻腔炎の急な症状緩和だけでなく、慢性副鼻腔炎の維持ケアとしても行われることがあります。ただし、耳の痛みや中耳への圧迫感が出た場合は洗浄の圧や姿勢を見直す必要があり、痛みが続く場合は自己判断で続けず耳鼻咽喉科に相談してください。鼻洗浄はあくまで対症的なセルフケアであり、慢性副鼻腔炎や好酸球性副鼻腔炎そのものを治す治療法に置き換わるものではない点にも注意が必要です。
予防と生活習慣
副鼻腔炎そのものを完全に防ぐ方法はありませんが、引き金になりやすい要因を管理することはできます。急性副鼻腔炎の多くはかぜに続いて起こるため、手洗いやうがいなどかぜの一般的な予防策が土台になります。アレルギー性鼻炎がある人は、鼻づまりが副鼻腔の自然口をふさぐ原因になるため、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が示すように、原因物質(ハウスダスト・ダニ・花粉・ペットなど)の回避と、内服薬・点鼻薬によるアレルギー症状のコントロールが副鼻腔炎の予防にもつながります[1]。
喫煙は気道粘膜の防御機能を落とし、鼻腔・副鼻腔の炎症を悪化させやすくするため、禁煙は慢性副鼻腔炎の管理においても重要とされています。虫歯や歯周病を放置しないことも、歯の根が上顎洞の底に近いことから起こる歯性上顎洞炎による副鼻腔炎を防ぐ意味で役立ちます。長引く鼻づまりや黄色い鼻水が続くときは、自己判断で放置せず、早めに耳鼻咽喉科を受診することが、急性から慢性への移行を防ぐ最も確実な方法です。関連記事「黄色い鼻水に関する解説記事」もあわせてご覧ください。
アレルギー性鼻炎については、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が、原因物質の除去が原則としつつも実際には困難なことが多いため、内服薬・点鼻薬による症状コントロールに加えて、原因物質のエキスを少しずつ注射して体を慣らすアレルゲン免疫療法(減感作療法)や、口腔粘膜から抗原を吸収させる舌下免疫療法が根本的な治療法として開発されていると説明しています[1]。花粉症の時期に鼻づまりが悪化しやすい人は、季節性のアレルギー対策を早めに始めることが、副鼻腔炎の引き金を減らすことにつながります。
年に数回かぜをひくたびに副鼻腔炎を繰り返す人は、生活習慣の見直しだけでなく、鼻中隔弯曲症など解剖学的な要因が背景にないかを含めて、一度耳鼻咽喉科でまとまった検査を受けておくと、その後の予防や早期対応の計画を立てやすくなります。
受診時に伝えるとよいこと
耳鼻咽喉科を受診する際は、次の情報を整理しておくと診断がスムーズになります。まず「症状がいつから続いているか(発症日)」は、急性(4週間未満)・移行期(4〜12週間)・慢性(12週間以上)のどれに当たるかを判断する材料になるため重要です[4]。次に「鼻水の色や粘り気の変化」「発熱の有無と最高体温」「顔のどのあたりが痛むか、片側だけか両側か」「においの感じ方の変化」「これまでにかぜをひいた後に症状が悪化するパターンがあったか」を伝えると、重症度分類やタイプの見極めに役立ちます[2]。喘息や薬のアレルギー(特にNSAIDsで具合が悪くなったことがあるか)の有無も、好酸球性副鼻腔炎の可能性を考える上で重要な情報です[3]。糖尿病など免疫が下がる持病がある場合や、妊娠中である場合も、必ず伝えてください。
医療費の目安
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
好酸球性副鼻腔炎で指定難病306の医療費助成の対象となった場合、重症度分類で中等症以上であること、または好酸球性中耳炎の合併があることが要件です[3]。助成の対象となるかどうかや自己負担の上限額は、世帯の所得や治療内容によって個別に決まるため、詳しい手続きはお住まいの自治体の窓口や、難病情報センターの案内でご確認ください。指定難病の医療費助成を受けるには、都道府県・指定都市が指定する医療機関(指定医療機関)で、指定医による診断書(臨床調査個人票)の作成を経て申請する流れが一般的です。急性副鼻腔炎や、指定難病に該当しない従来型の慢性副鼻腔炎の治療費は、通常の保険診療の範囲内で扱われ、手術(内視鏡下副鼻腔手術)を受ける場合は高額療養費制度の対象になり得ます。自己負担限度額は年齢や所得区分によって異なるため、加入している健康保険(協会けんぽ・組合健保・国民健康保険など)の窓口にあわせて確認することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
副鼻腔炎は自然に治りますか?
副鼻腔炎に抗生物質(抗菌薬)は必要ですか?
副鼻腔炎に市販薬は使えますか?
副鼻腔炎に手術は必要ですか?
副鼻腔炎は何科を受診すればよいですか?
子どもも副鼻腔炎になりますか?
蓄膿症と副鼻腔炎は同じ病気ですか?
好酸球性副鼻腔炎とはどう違うのですか?
黄色い鼻水が出たら副鼻腔炎ですか?
鼻洗浄は副鼻腔炎に効果がありますか?
妊娠中でも同じ治療を受けられますか?
副鼻腔炎は人にうつりますか?
CTやレントゲンは必ず必要ですか?
鼻茸(ポリープ)があると言われました。がんの心配はありますか?
いったん熱が下がって良くなったのに、また悪化することはありますか?
花粉症(アレルギー性鼻炎)があると副鼻腔炎になりやすいですか?
鼻を温めたり、蒸気を吸ったりするセルフケアは効果がありますか?
副鼻腔炎に関する記事一覧
記事一覧 11件
基礎知識・原因 1
症状・見分け方 1
食事・生活 1
治療・薬 7
- 【専門医が徹底解説】日本の難治性「好酸球性副鼻腔炎」とは?最新治療(デュピクセント等)から国の助成制度まで
- 【専門医監修】治らない慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の最新治療|難病指定「好酸球性副鼻腔炎」の薬と手術費用も解説
- 【耳鼻咽喉科医が解説】黄色い鼻水は副鼻腔炎のサイン?原因・治し方・市販薬の選び方まで徹底網羅
- 副鼻腔炎(蓄膿症)とは?〜その原因から最新治療までを専門家が徹底解説〜
- 副鼻腔炎(蓄膿症)のすべて:症状・原因から最新治療まで国際ガイドラインと日本の最新手引きを徹底解説
- 急性副鼻腔炎の治し方|抗菌薬は本当に必要?危険なサインも解説
- 耳鼻咽喉科三大急性疾患(副鼻腔炎・中耳炎・咽頭炎)の全て:診断・治療の完全ガイド
合併症・リスク 1
好酸球性副鼻腔炎の生物学的製剤ごとの詳しい効果の比較や、慢性副鼻腔炎の手術後の再発率、鼻洗浄の具体的な塩分濃度については、今回参照した資料には明確な数値の記載が見当たりませんでした。ガイドラインや指定難病の認定基準は今後も改訂され得るため、この記事の内容も定期的に見直しを行っていきます。個別の治療方針については、必ず主治医にご確認ください。
参考文献
- 一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の病気(副鼻腔炎)」2023年1月11日更新 jibika.or.jp/modules/disease
- 厚生労働省健康局結核感染症課「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 ダイジェスト版」 mhlw.go.jp(PDF)
- 難病情報センター「好酸球性副鼻腔炎(指定難病306)」 nanbyou.or.jp/entry/4538
- 清水猛史「特別企画1『鼻副鼻腔炎診療の手引き』の要点」日本鼻科学会会誌63巻1号、162-164頁、2024年 jstage.jst.go.jp/jjrhi
- 近藤健二・井上亜希「鼻性眼窩内合併症の診断と治療―眼窩骨膜下膿瘍を中心に―」頭頸部外科23(2):123-127,2013 jstage.jst.go.jp/jjshns
- 竹内一隆・足守直樹「副鼻腔炎による鼻性頭蓋内合併症例」頭頸部外科29(2):169-176,2019 jstage.jst.go.jp/jjshns
