生理痛(月経困難症)
最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)
✦ 結論から言うと
生理痛(月経困難症)は生殖年齢の女性の25%以上にみられ、25歳未満に限ると40%以上と若い世代ほど頻度が高いといわれています[1]。多くは子宮内膜からつくられるプロスタグランジンによる「原発性(機能性)月経困難症」で、市販の鎮痛薬を痛み始めに正しく使えば日常生活を保てることがほとんどです。一方、年齢とともに痛みが強くなる・経血量が増える・鎮痛薬が効きにくいといった変化がある場合は、子宮内膜症や子宮筋腫などが背景にある「続発性(器質性)月経困難症」の可能性があり、婦人科での確認が必要です[2]。
| おもな原因 | 子宮内膜からつくられるプロスタグランジンによる子宮収縮(原発性)/子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫などの疾患(続発性)[1] |
|---|---|
| 頻度 | 生殖年齢女性の25%以上、25歳未満では40%以上[1] |
| 主な治療 | NSAIDs(鎮痛薬)が第一選択。効果が乏しい場合や続発性が疑われる場合は低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)を検討[1] |
| 受診の目安 | 市販の鎮痛薬でおさまらない・年々悪化する・経血量が急に増えたなど |
生理痛(月経困難症)とは?プロスタグランジンで痛みが起こる仕組み
月経困難症とは、月経期間中に月経に随伴して起こる病的症状のうち、下腹部痛・腰痛・腹部膨満感などが強く、日常生活に支障をきたす状態を指します。痛みの中心となるのは「プロスタグランジン」という物質です。月経が始まると、剥がれ落ちる子宮内膜の細胞膜からプロスタグランジンがつくられ、これが子宮を収縮させて経血を体外へ押し出す働きをします。この収縮は月経血を排出するための合目的な反応ですが、同時に子宮の筋肉を貫く血管を攣縮(けいれん性に収縮)させ、子宮筋が一時的に酸素不足の状態になることで痛みが生じると考えられています[1]。つまり、生理痛は「気のせい」や「我慢が足りない」ことによる症状ではなく、体内で起きている具体的な生理学的プロセスに裏づけられた痛みです。
この仕組みによる痛みは、初経から2〜3年たって排卵をともなう周期になってから起こりやすくなるとされています。一方、思春期の女子では、子宮そのものが小さく、まだ硬い子宮頸管を経血が通過する際の神経反射による痛みや、月経をつらいものと感じる心理的な要因が関与して痛みが生じることもあります[1]。
痛みの現れ方には個人差がありますが、一般的には月経開始の直前から開始後1〜2日目にかけて痛みが強く、経血量がピークを過ぎるにつれて痛みも和らいでいく経過をたどることが多いとされています。これは、プロスタグランジンの産生量が月経初期に多く、子宮内膜が排出されるにつれて減っていく生理的な流れに沿ったものと考えられています。下腹部の痛みが中心ですが、プロスタグランジンは全身の平滑筋や血管にも作用するため、腰痛、吐き気、頭痛、下痢、だるさなどをともなうこともあります。
ここで重要なのは、「プロスタグランジンによる痛み=原発性(機能性)」という図式は、あくまで背景に疾患がない場合に成り立つという点です。子宮内膜症や子宮腺筋症があっても、プロスタグランジンの産生自体は増えるため、痛みの「感じ方」だけで原発性か続発性かを自己判断することはできません。年齢による変化のパターンや、痛み以外の症状(経血量・不正出血の有無など)を合わせて見ていく必要があります[1]。
原発性(機能性)月経困難症と続発性(器質性)月経困難症の違い
月経困難症は、大きく「原発性(機能性)」と「続発性(器質性)」の2つに分けられます。この2つは原因も対処も異なるため、混同しないことが重要です[1]。
| 項目 | 原発性(機能性)月経困難症 | 続発性(器質性)月経困難症 |
|---|---|---|
| 主な原因 | 子宮内膜由来のプロスタグランジンによる子宮の過収縮[1] | 子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫など背景疾患による痛み[2][3] |
| 発症しやすい時期 | 初経後2〜3年、排卵周期が確立してから起こりやすい[1] | 20〜30歳代での発症が多く、年々悪化しやすい(子宮内膜症の場合)[2] |
| 痛みの経過 | 年齢とともに軽くなることが多い(出産後に軽快することもある) | 年々強くなる傾向。閉経を迎えるまで悪化し続けることがある(子宮内膜症の場合)[2] |
| 随伴する症状 | 下腹部痛が中心。強い場合は腰痛・吐き気をともなうこともある | 過多月経・不正出血・性交痛・排便痛・不妊などをともなうことがある[2][3] |
| 鎮痛薬への反応 | NSAIDsで比較的よくコントロールできることが多い | 鎮痛薬だけでは効果が乏しくなることがある[1] |
出典:日本産婦人科医会「産婦人科ゼミナール 5. 月経困難症」[1]/日本産科婦人科学会「子宮内膜症」[2]/日本産科婦人科学会「子宮筋腫」[3]
なお、「機能性と思われていたものの中に、実は子宮内膜症によるものがかなりの頻度で含まれる」という指摘もあり、若い頃から痛みが強い場合でも自己判断で「体質だから」と決めつけず、経過を見ながら婦人科で確認することが勧められています[1]。
また、若年女性であっても、子宮の形の異常(先天的な子宮奇形)による経血の流出障害や、性感染症(クラミジア感染症など)による癒着が続発性月経困難症の原因になることがあり、「若いから機能性のはず」と決めつけずにスクリーニングすべきとされています[1]。逆に、10代のうちは機能性であっても、将来的に子宮内膜症を発症するリスクが高いことも報告されており、長期的な視点で月経困難症の管理を続けることが重要と位置づけられています[1]。
つまり、原発性と続発性は「今の状態を分類するラベル」であると同時に、「時間とともに移り変わりうるもの」でもあります。10代で機能性と診断されたからといって一生そのままとは限らず、痛みの変化に応じて再評価することが、月経困難症と長く付き合っていくうえでの基本的な考え方になります。
続発性月経困難症の代表的な原因疾患
続発性(器質性)月経困難症の背景には、次のような疾患が隠れていることがあります。それぞれ原因も治療の考え方も異なるため、ひとまとめにせず区別して理解することが大切です。
子宮内膜症
子宮内膜症は、本来は子宮の内側にしかないはずの子宮内膜に似た組織が、卵巣やダグラス窩(子宮と直腸の間のくぼみ)など骨盤内のさまざまな場所に生じてしまう病気です。20〜30代の女性で発症することが多く、発症のピークは30〜40歳ともいわれています。卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)の影響を受けて、月経を重ねるごとに悪化していく特徴があります[2]。月経痛(月経困難症)は子宮内膜症の患者の9割にみられる代表的な症状で、月経時以外にも下腹部や腰の痛みが続く「慢性骨盤痛」や、排便時・性交時の痛みをともなうこともあります。妊娠を希望する女性では、患者の半数近くが不妊に悩むとも報告されています[2]。
子宮腺筋症
子宮内膜に似た組織が、子宮の壁である筋層の内部で増殖してしまう病気で、子宮内膜症の一種として位置づけられています[2]。子宮内膜症と同様にエストロゲンの影響で悪化し、強い月経痛や過多月経の原因になります。
子宮筋腫
子宮にできる良性の腫瘍で、がんではありません。30歳以上の女性の3割前後にみられるといわれ、卵胞ホルモン(エストロゲン)の影響で大きくなり、閉経すると小さくなる性質があります。主な症状は月経の出血量が異常に多い「過多月経」と、それにともなう鉄欠乏性貧血、そして月経痛(月経困難症)です。できる場所(粘膜下・筋層内・漿膜下)によって症状の強さが変わり、子宮の内側に近い粘膜下筋腫は小さくても症状が強く出やすいとされています[3]。
これらはいずれも婦人科での内診・超音波検査(経腟エコー)などで確認できることが多く、「痛み止めが効きにくくなってきた」「経血量が増えてきた」といった変化に気づいたときに検査を受けることが、早期発見につながります[2][3]。
婦人科での検査で分かること
続発性月経困難症が疑われる場合、婦人科ではまず問診(痛みの経過、経血量、月経周期、妊娠の希望の有無など)を行ったうえで、内診と経腟超音波検査(経腟エコー)が基本の検査として行われます。経腟エコーでは、子宮筋腫の有無や大きさ・位置、子宮腺筋症を示唆する子宮壁の変化、卵巣にチョコレート嚢胞(子宮内膜症性嚢胞)がないかなどを確認できます[2][3]。
腫瘍のサイズが大きい場合や、手術を検討する段階になった場合は、より詳しい情報を得るためにMRI検査が追加されることもあります。巨大な子宮筋腫や変性した筋腫の中には、まれに悪性腫瘍(子宮肉腫)との区別が難しいケースもあり、腫瘍の大きさ・年齢・大きくなる速さ・MRI所見などから総合的に判断されます[3]。子宮内膜症が疑われる場合で、痛みの原因をより詳しく調べる必要があるときには、腹腔鏡検査が行われることもあります。
検査自体は多くの場合、外来で日帰りで受けられるものです。「検査を受けたら何か重い病気だと言われるのが怖い」という不安から受診をためらう方もいますが、検査は診断のためだけでなく、今後の治療方針(鎮痛薬だけで様子を見てよいか、LEPが向いているか、手術が必要かなど)を考えるための情報を得る手段でもあります。
「生理痛だと思ったら別の病気だった」を避けるために
下腹部の痛みは月経困難症以外にも、さまざまな原因で起こりえます。「いつもの生理痛」と自己判断する前に、次のような点に注意が必要です。まず、痛みの性質がいつもと明らかに違う場合(片側だけに突然強い痛みが起こった、痛みが治まらずどんどん強くなる、発熱をともなうなど)は、月経困難症以外の急性の病気(卵巣嚢腫の茎捻転、虫垂炎、骨盤内の感染症など)が隠れている可能性があります。これらは月経の時期と重なって起こることもあるため、「生理中だから」という理由だけで痛みの原因を決めつけないことが大切です。
また、妊娠の可能性がある時期に、月経とは異なるタイミングでの強い下腹部痛や不正出血がある場合は、子宮外妊娠(異所性妊娠)など緊急性の高い状態が隠れていることもあります。このような場合は、月経困難症のセルフケアで様子を見るのではなく、速やかに医療機関を受診することが重要です。「いつもの生理痛の範囲か、それとも違う痛みか」を自分なりに意識しておくことは、こうした見逃してはいけない変化に気づくための助けになります。
鎮痛薬(NSAIDs)の正しい使い方
月経困難症の治療は、まず痛みそのものへの対処が中心になります。とくに思春期の女性では、第一選択としてNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が投与されることが多いとされています[1]。プロスタグランジンは痛みが強くなってから増えるため、鎮痛薬は「我慢できなくなってから」ではなく、痛みが出始めた早い段階、あるいは月経が始まる兆候を感じた時点で服用を開始すると、プロスタグランジンの産生を早い段階で抑えやすく、効果を得やすいと考えられています。
| 状態 | 治療の考え方 |
|---|---|
| 痛みが中心で軽度〜中等度 | NSAIDs(鎮痛薬)を痛み始めの早い段階で使用[1] |
| 鎮痛薬の効果が乏しい/子宮内膜症が疑われる | 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)や黄体ホルモン剤などを検討[1][2] |
| 子宮内膜症の進行が懸念される | GnRHアゴニスト/アンタゴニストなどでエストロゲンの分泌を抑える治療を検討(婦人科で相談)[2] |
| 子宮筋腫による過多月経・強い痛みがある | 止血剤・低用量ピルの投与、症状によっては手術も選択肢[3] |
出典:日本産婦人科医会「産婦人科ゼミナール 5. 月経困難症」[1]/日本産科婦人科学会「子宮内膜症」[2]/日本産科婦人科学会「子宮筋腫」[3]
市販薬に含まれるNSAIDsの用法・用量や、飲み合わせ・体質による注意点は薬剤ごとに異なります。具体的な薬の種類や選び方については、当サイトの生理痛の薬|種類・選び方・注意点をやさしく解説で詳しく解説しています。処方薬との違いを含めて確認したい場合は月経痛(生理痛)の緩和:日本の市販薬・処方薬によるセルフケアガイドも参考にしてください。
「毎回、鎮痛薬を何錠も使ってしまう」「鎮痛薬なしでは動けない月が増えてきた」という場合、それは単に「痛みに弱い」ということではなく、痛みの強さや背景疾患の有無を婦人科で確認すべきサインかもしれません。鎮痛薬は症状を抑える対症療法であり、続発性月経困難症の場合は、背景にある疾患そのものへの対処(LEPやホルモン治療、場合によっては手術)を組み合わせないと、根本的な改善にはつながりにくいことがあります[1]。
低用量ピル・LEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)による治療
鎮痛薬だけでは十分に痛みをコントロールできない場合や、子宮内膜症が疑われる・進行が懸念される場合には、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)や、婦人科用として承認されている低用量ピルが検討されます[1]。LEPはホルモン量を抑えて排卵を止めることで、子宮内膜の増殖やプロスタグランジンの産生自体を抑え、月経量や痛みを軽くする働きが期待されます。
近年は、28日周期で消退出血(月経のような出血)を起こさずにLEPの実薬を連続して服用する方法も保険適用となっており、学校行事や仕事の予定に合わせて出血の時期を調整できる場合があります[1]。一方で、LEPには血栓塞栓症という重大な合併症のリスクがあるため、脱水・長時間同じ姿勢でいること・肥満・喫煙などの危険因子を避けることや、体調の変化(強い頭痛・胸の痛み・息切れ・ふくらはぎの痛みなど)に注意し、異変があれば速やかに処方医に相談することが指導されています[1]。飲み忘れ・飲み遅れがあると効果が不安定になるため、服薬スケジュールを守ることも重要とされています[1]。
子宮内膜症の治療としては、鎮痛剤の効果が乏しい場合にLEPや黄体ホルモン剤が用いられるほか、症状や年齢、妊娠の希望などを総合的に判断して、GnRHアゴニスト・アンタゴニストによる治療や手術が検討されることもあります[2]。どの治療法を選んだ場合でも、子宮内膜症は将来的に再発するリスクが比較的高い病気とされており、長期にわたる経過観察が必要とされています[2]。
子宮筋腫が原因の過多月経・月経痛に対しては、止血剤や低用量ピルに加えて、ホルモン剤を放出する子宮内器具(子宮内黄体ホルモン放出システム)が用いられることもあります。ただし、筋腫が大きい場合や、子宮の内側に突出する粘膜下筋腫の場合は、この器具の効果が十分でないこともあるとされています[3]。薬による治療で十分な効果が得られない場合は、筋腫の部分だけを取り除く手術(筋腫核出術)や、子宮全体を摘出する手術(子宮全摘術)が選択肢になります。どちらの手術方法が向いているかは、今後の妊娠・出産の希望や、筋腫の大きさ・個数・できた場所などを総合的に判断して決められます[3]。
治療法を選ぶうえで大切なのは、「痛みを抑えること」と「将来の妊娠を望むかどうか」「治療の副作用やリスクをどこまで許容できるか」を、婦人科の医師と一緒に整理していくことです。同じ疾患名がついていても、症状の強さや希望する生活スタイルによって、最適な治療法は一人ひとり異なります。
受診の目安:市販薬で様子を見てよい場合・婦人科を受診すべき場合
すべての生理痛が婦人科の受診を必要とするわけではありません。ただし、次のような変化がある場合は、続発性(器質性)月経困難症の可能性を考え、婦人科での確認が勧められます。
| 状態 | 目安となる考え方 |
|---|---|
| 市販の鎮痛薬(NSAIDs)を用法どおり使っても、日常生活が難しいほど痛みが続く | 婦人科への相談を検討 |
| 年齢とともに痛みが年々強くなっている | 子宮内膜症など続発性の可能性があり要確認[2] |
| 経血量が急に増えた、レバー状の塊が多い(過多月経) | 子宮筋腫・子宮腺筋症などの可能性があり要確認[3] |
| 月経時以外にも下腹部・腰の痛みが続く(慢性骨盤痛)、性交痛・排便痛がある | 子宮内膜症の症状として知られる[2] |
| 妊娠を希望しているが、なかなか妊娠しない | 子宮内膜症など不妊の原因になりうる疾患の確認を検討[2] |
出典:日本産婦人科医会「産婦人科ゼミナール 5. 月経困難症」[1]/日本産科婦人科学会「子宮内膜症」[2]/日本産科婦人科学会「子宮筋腫」[3]
受診する科は「婦人科」または「産婦人科」です。何を伝えればよいか迷う場合は、痛みが始まった時期・強さの変化・経血量の変化・NSAIDsを使ってどの程度改善するかをメモしていくと、診察がスムーズになります。
初めて婦人科を受診する場合、内診に抵抗を感じる方も少なくありません。多くの婦人科では、まず問診と超音波検査(お腹の上からのエコー、または症状に応じて経腟エコー)から始め、必要に応じて検査方法を相談しながら進めることができます。「内診が不安で受診をためらっている」ということ自体を、受診時に伝えてもかまいません。痛みを我慢し続けることよりも、まず相談することを優先してよい場面です。
日常生活でのセルフケア
鎮痛薬による対処に加えて、身体を締め付けない服装や、腹部・腰を温めることで血流を保つことも、痛みの感じ方をやわらげる助けになるとされています。カフェインやアルコールの摂りすぎを控える、無理のない範囲で身体を動かすといった生活習慣の見直しも一般的に勧められています。食事や飲み物との関係についてより詳しく知りたい場合は、月経痛(生理痛)を和らげる飲み物完全ガイドを参考にしてください。ヨガなど身体を動かす方法に関心がある場合は生理痛を和らげるヨガ|科学的根拠と安全なポーズ7選も参考になります。
職場や学校で急に痛みが強くなったときのために、鎮痛薬を常に携帯しておく、冷えやすい下腹部・腰にカイロや貼るタイプの温熱シートを用意しておくといった準備も、痛みが強くなる前に対処するための実用的な工夫です。睡眠不足や強いストレスも月経困難症の症状を強く感じさせる要因になりうるため、月経前後は無理なスケジュールを詰め込みすぎない工夫も助けになることがあります。
ただし、セルフケアはあくまで補助的なものであり、痛みそのものの原因(プロスタグランジンの産生や、背景にある疾患)を取り除くものではありません。痛みが強い場合は、我慢を続けるのではなく鎮痛薬や婦人科受診を選択肢として検討することが勧められます。
職場・学校での生理痛との付き合い方
強い月経困難症で仕事や勉強に支障が出る場合、鎮痛薬やLEPで症状をコントロールしながら通常どおり過ごせるようになる人もいれば、月によっては休養が必要になる人もいます。「生理痛くらいで休むのは甘え」と感じて我慢を重ねてしまう人も少なくありませんが、月経困難症は医学的に対処すべき症状であり、婦人科での治療によって改善が見込める場合が多くあります[1]。
周囲に相談しづらい場合でも、まずは婦人科・産婦人科を受診し、自分の痛みが原発性なのか続発性なのか、どのような治療の選択肢があるのかを確認することが、無理を重ねずに日常生活を送るための第一歩になります。
近年は、月経に関する症状で仕事を休むことへの理解も少しずつ広がってきています。とはいえ、職場の制度や周囲の理解には差があるのが実情です。まずは自分の症状を正しく把握し、鎮痛薬・LEP・生活の工夫のどれを組み合わせれば無理なく過ごせるかを、婦人科と相談しながら見つけていくことが、長期的に付き合っていくうえでの現実的な対処法といえます。
医療費の目安
婦人科での検査や治療にかかる費用は、検査内容や保険適用の有無によって変わります。問診と超音波検査のみであれば保険適用の範囲で比較的抑えられることが多い一方、手術や長期にわたるホルモン治療が必要になった場合は、月ごとの自己負担額が積み重なることがあります。手術や長期の薬物治療が必要になった場合など、医療費が高額になる可能性がある場合に使える公的な制度については、以下をご確認ください。
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
よくある質問(FAQ)
生理痛はどこからが「月経困難症」と呼ばれるレベルですか?
生理痛が年々ひどくなっている気がします。何が考えられますか?
鎮痛薬はいつ飲むのが効果的ですか?
低用量ピル(LEP)は生理痛にどのくらい効きますか?
LEP・低用量ピルを飲んでいて気をつけるサインはありますか?
生理痛で経血量も多い場合、何が疑われますか?
子宮内膜症と生理痛の関係を教えてください。
10代の生理痛でも婦人科を受診していいですか?
妊娠・出産を経験すると生理痛は軽くなりますか?
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記事一覧 8件
食事・生活 1
治療・薬 5
その他 2
閉経後の不正出血や、急激に悪化する下腹部痛など、今回参照した資料の範囲を超える個別の症状の緊急度については、今回参照した資料には記載が見当たりませんでした。強い症状や普段と違う変化を感じた場合は、自己判断で様子を見続けず、早めに婦人科を受診してください。
参考文献
- 日本産婦人科医会「産婦人科ゼミナール 安達知子先生の女性ヘルスケア講座 5. 月経困難症」 jaog.or.jp/lecture/月経困難症 ↩
- 日本産科婦人科学会「子宮内膜症」(更新日時:2025年1月30日) jsog.or.jp/citizen/5712 ↩
- 日本産科婦人科学会「子宮筋腫」(更新日時:2025年1月30日) jsog.or.jp/citizen/5711 ↩
