月経関連片頭痛とは?エストロゲン低下の仕組みと治療法
この記事でわかること
目次
- 結論から言うと
- 要点まとめ
- 月経関連片頭痛とは?生理中の頭痛が起こる仕組み
- 3つのタイプの違い — 純粋月経時片頭痛・月経関連片頭痛・非月経性片頭痛
- 月経関連片頭痛の特徴 — 発作が長く・重く・再発しやすい
- 受診の目安 — こんな症状は今すぐ医療機関へ
- 治療の考え方 — 急性期はトリプタン・NSAIDs、予防は短期投与という選択肢
- 薬の使いすぎに注意 — 薬剤の使用過多による頭痛
- ⚠ 前兆のある片頭痛と低用量ピル — 知っておきたい血栓リスク
- 生活面の対処 — 睡眠・食事・頭痛ダイアリーで発作をコントロールする
- 婦人科・頭痛外来を受診するときの流れの目安
- 日本のガイドラインと国際的なエビデンスの比較
- 似ている症状に注意 — 妊娠中・産後の頭痛は同じに考えない
- まとめ — 生理中の頭痛と長く付き合うために
- よくある質問
- 参考文献
- あわせて読みたい — 生理痛・月経困難症の関連記事
結論から言うと
生理の前後に決まって起こる頭痛の多くは「月経関連片頭痛」で、日本頭痛学会のガイドラインでは、生理周期に伴うエストロゲン(女性ホルモン)の急激な低下が引き金になると説明されています[1]。
この症状、いつ受診すべきか確認しますか?
回答に合わせて必要な質問だけを表示します。診断は行いません。
症状はいつから続いていますか?
回答により質問数が変わります・途中でいつでも記事に戻れます
日本頭痛学会・日本神経学会・日本神経治療学会の「頭痛の診療ガイドライン2021」では、月経開始日の前後に規則的に起こる片頭痛を「月経時片頭痛」として独立した項目で扱っており、通常の片頭痛より発作が長く、重症化しやすく、薬が効きにくい傾向があると同ガイドラインは報告しています[1]。生理中の頭痛が毎回ほぼ同じ時期に起こる・市販薬が効きにくい・寝込むほど強いという場合は、自己判断で我慢し続けず、頭痛外来や婦人科への相談を検討する価値があります。特に「前兆のある片頭痛」がある人は、低用量ピルの使用に血栓症という重要な注意点があるとPMDAの患者向医薬品ガイドが警告しているため、この記事の該当箇所を必ず確認してください[5]。
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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
要点まとめ
- 日本頭痛学会のガイドラインによれば、月経関連片頭痛は生理周期に伴うエストロゲン低下が誘因となる片頭痛で、日本の年間片頭痛有病率8.4%のうち20〜40歳代の女性に多いとされています[2]。
- ガイドラインの診断基準では、「純粋月経時片頭痛」「月経関連片頭痛」「非月経性片頭痛」は発作が起こる時期の違いで区別され、頭痛日記による3周期以上の記録が診断の助けになるとされています[1]。
- 頭痛の診療ガイドラインによれば、月経関連片頭痛の発作は、月経と無関係な片頭痛発作より長く続き、重症化しやすく、再発しやすい特徴が報告されています[1]。
- 同ガイドラインでは、急性期はNSAIDsが効かない場合にトリプタン系薬剤が推奨され、月経周辺期のみの発作には短期間の予防投与という考え方が示されています[1]。
- PMDAの患者向医薬品ガイドによれば、「前兆のある片頭痛」の人は低用量ピルの使用が禁忌とされる場合があり、これは血栓症・脳血管障害のリスクに関わる重要な安全性の論点です[5]。日本頭痛学会は、今までに経験のない激しい頭痛や意識障害を伴う頭痛について、月経中かどうかに関わらず、すぐに医療機関を受診すべきサインとして紹介しています[3]。
編集方針:JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会・査読論文と照合して作成。最終確認は人の目。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点)。
月経関連片頭痛とは?生理中の頭痛が起こる仕組み
「生理が来るたびに、決まって頭がズキズキする」「生理前になると光がまぶしく感じて仕事に集中できない」——こうした訴えは珍しくありません。「生理中の頭痛」は、月経困難症(生理痛)とは別に、頭部の血管や三叉神経の働きが関わる「片頭痛」として説明されることがあります。片頭痛は、脳を包む血管の周囲を通る三叉神経が刺激され、血管が拡張して炎症性の物質が放出されることでズキズキとした拍動性の痛みが生じると考えられている一次性頭痛の一種です。月経関連片頭痛は、この片頭痛の発症メカニズムに、月経周期に伴う女性ホルモン「エストロゲン」の急激な低下という要因が重なって起こると、頭痛の診療ガイドラインは理解を示しています[1]。
排卵後にいったん上昇したエストロゲンは、月経開始の直前になると急激に低下します。この「エストロゲン離脱」と呼ばれる急な変動が、片頭痛発作を誘発しやすくする条件の一つとして考えられています。これは、片頭痛発作の頻度がホルモンの絶対量そのものよりも、ホルモン濃度の急激な変化と関連するという考え方に基づくものです。妊娠中や、閉経後にエストロゲンの変動が緩やかになる時期には片頭痛が軽快する女性が少なくないことも、この仕組みを裏づける臨床的な観察として知られています。
片頭痛のメカニズムをもう少し詳しく見ると、頭部の血管を取り巻く三叉神経が何らかのきっかけで刺激されると、神経の末端から炎症を引き起こす物質が放出され、血管が拡張し、その周囲に炎症が広がることでズキズキとした拍動性の痛みが生じると説明されています。エストロゲンの急激な低下は、この神経・血管系の反応を起こしやすくする条件の一つとして働くと考えられており、月経周辺期に発作が集中しやすい理由の説明として位置づけられています。ただし、なぜエストロゲンの低下が神経を刺激しやすくするのかという分子レベルの詳細については、現在も研究が続けられている領域であり、単純に「ホルモンが減ったから頭痛になる」という一対一の関係だけで説明しきれるものではない点には注意が必要です。
また、片頭痛の起こりやすさには遺伝的な体質も関わっていると考えられており、家族に片頭痛持ちの人が多い場合、月経周辺期の頭痛も起こりやすくなる傾向があるとされています。月経関連片頭痛は「生理のたびに毎回頭痛がある体質だから仕方がない」と片づけられがちですが、体質的な要因とホルモン変動という誘因が重なって起こる、治療の対象になり得る状態だと理解しておくことが、適切な受診につながる第一歩です。
なお、月経困難症(いわゆる生理痛)は子宮の収縮に伴う下腹部痛が主体であるのに対し、月経関連片頭痛は頭部の拍動性の痛みが主体という点で、体の中で起きていることが異なります。両方が同時に起こる女性も多く、生理痛の対処法だけでは頭痛が改善しないケースでは、頭痛そのものへの対処が別途必要になります。生理痛全般のセルフケアについては、生理痛(月経困難症)の総合ガイドで詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
3つのタイプの違い — 純粋月経時片頭痛・月経関連片頭痛・非月経性片頭痛
「頭痛の診療ガイドライン2021」では、月経周期と片頭痛発作の関係を明らかにするために、少なくとも3回の月経周期にわたる頭痛日記による確認を求めています[1]。この記録に基づき、片頭痛は発作が起こる時期によって、大きく3つのタイプに整理されます。
| タイプ | 発作が起こる時期 | 頻度の目安 |
|---|---|---|
| 純粋月経時片頭痛 | 月経開始日(Day1)の2日前から月経3日目までの期間のみに発作が生じる | 月経3周期中2周期以上でこの時期に発作があり、それ以外の時期には発作を認めない[1] |
| 月経関連片頭痛 | 上記の月経周辺期に加え、それ以外の時期にも発作が生じる | 月経周辺期の発作に加え、月経と無関係な発作も併存する[1] |
| 非月経性片頭痛 | 発作の時期が月経と関連しない | 月経周辺期に発作が集中する傾向を認めない[1] |
出典:日本頭痛学会・日本神経学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021」Ⅱ-2-15 月経時片頭痛の診断と治療[1]
この3タイプの区別が重要なのは、治療方針が変わってくるためです。純粋月経時片頭痛のように発作が月経周辺期に限定される場合は、月経周辺期だけをねらった短期的な予防投与という考え方が選択肢になりますが、非月経性の発作も併存する月経関連片頭痛の場合は、通常の片頭痛予防療法も含めて検討する必要があると頭痛の診療ガイドラインは述べています[1]。自分がどのタイプに当てはまるかを自己判断だけで決めつけず、頭痛日記の記録を持って頭痛専門医や婦人科医に相談することが、診断の精度を上げる近道です。
この3タイプを見極めるうえで欠かせないのが、月経周期のどの時期に発作が集中しているかという視点です。月経周期は一般に、月経が始まってから排卵までの「卵胞期」、排卵前後、排卵から次の月経までの「黄体期」、そして月経期に分けて説明されます。純粋月経時片頭痛や月経関連片頭痛で問題になるのは、黄体期の終わりから月経期の始まりにかけて、エストロゲンが急激に下降する時期です。ガイドラインが定義する「月経開始日(Day1)の2日前から月経3日目まで」という期間は、ちょうどこのエストロゲン急降下の前後に重なっています[1]。
| 月経周期の時期 | ホルモン環境の目安 | 月経関連片頭痛との関係 |
|---|---|---|
| 卵胞期(月経後〜排卵前) | エストロゲンが緩やかに上昇 | 発作が起こりにくい時期とされる |
| 黄体期(排卵後〜月経前) | エストロゲン・プロゲステロンともに高い状態を経て低下し始める | 後半にかけて誘因が重なりやすい |
| 月経開始前後(Day-2〜Day3) | エストロゲンが急激に低下(エストロゲン離脱) | 純粋月経時片頭痛・月経関連片頭痛の発作が集中する時期[1] |
出典:日本頭痛学会ほか「頭痛の診療ガイドライン2021」Ⅱ-2-15の診断基準に基づき編集部が作成[1]
この時期の対応表はあくまで一般的な傾向を整理したものであり、個人によって発作が起こりやすい日にはばらつきがあります。自分自身の周期と発作のタイミングを正確に把握するには、前述の頭痛日記による記録が欠かせません。
また、月経前後に起こる頭痛のすべてが片頭痛とは限りません。肩や首のこりを伴う「締めつけられるような」痛みで、光や音への過敏さをあまり伴わない場合は、片頭痛ではなく緊張型頭痛の可能性も考えられます。緊張型頭痛は日本人に多い一次性頭痛の一つで、月経前後のストレスや睡眠不足、同じ姿勢が続くことなどが関与すると説明されることがあります。片頭痛は「拍動性・動くと悪化・光や音に敏感」という特徴が、緊張型頭痛は「締めつけ感・持続的・肩こりを伴いやすい」という特徴が、それぞれの見分けの手がかりとして紹介されています。ただし実際には両方が混在する人も多く、正確な鑑別には医療機関での問診が必要です。
月経関連片頭痛の特徴 — 発作が長く・重く・再発しやすい
月経関連片頭痛は、月経と無関係に起こる片頭痛と比べて、いくつかの臨床的な特徴があると報告されています。まず、発作の持続時間が長引きやすいこと、痛みの程度がより重くなりやすいこと、そして急性期治療薬を使用した後の「再発(いったん軽快した頭痛が同じ発作の中で再び悪化すること)」が起こりやすいことが挙げられます[1]。これらの特徴は、月経関連片頭痛の治療満足度が月経と無関係な片頭痛より低くなりやすい一因として位置づけられています。
| 比較項目 | 月経と無関係な片頭痛発作 | 月経関連片頭痛の発作 |
|---|---|---|
| 発作の持続時間 | 比較的短時間で軽快することもある | 長引きやすい傾向が報告されている[1] |
| 痛みの強さ | 軽度〜重度まで幅がある | 重症化しやすい傾向が報告されている[1] |
| 治療後の再発 | 再発は必ずしも高頻度ではない | 急性期治療後の再発が起こりやすいとされる[1] |
| 年間有病率の背景 | 男性2.6%・女性を含めた全体で8.4%[2] | 30歳代女性17.6%・40歳代女性18.4%と、この年代の女性で高い[2] |
出典:日本頭痛学会・日本神経学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021」Ⅱ-2-15/Ⅱ-1-3[1][2]
日本頭痛学会のガイドラインが引用する疫学調査によれば、本邦の年間片頭痛有病率は8.4%で、内訳は前兆のない片頭痛が5.8%、前兆のある片頭痛が2.6%とされています[2]。さらに片頭痛の有病率は20〜40歳代の女性で高く、30歳代女性で17.6%、40歳代女性で18.4%にのぼるという地域調査が報告されています[2]。この年代はちょうど月経周期が規則的に繰り返される時期と重なるため、月経関連片頭痛が「生理中の頭痛」として多くの女性に自覚されやすい背景になっていると考えられます。WHOのファクトシートでも、片頭痛はホルモンの影響が一因となり女性に多い頭痛障害として位置づけられています[8]。
受診の目安 — こんな症状は今すぐ医療機関へ
生理中の頭痛であっても、次のようなサインがあれば「いつもの月経関連片頭痛」と自己判断せず、すぐに医療機関を受診してください。「今月はいつもより痛みが強い」程度の変化であれば経過を見てよい場合もありますが、日本頭痛学会は、以下に挙げるサインを月経周期のタイミングにかかわらず緊急性を疑うべき所見として紹介しています[3]。
- 日本頭痛学会の解説によれば、今までに感じたことのない、突然の激しい頭痛[3]
- 同学会が紹介する危険なサインとして、頭痛に加えて意識がもうろうとする・呂律が回らない・手足に力が入らないといった症状を伴う場合[3]
- 発熱を伴う頭痛や、首を前に曲げると痛みが強くなる頭痛(髄膜炎などが疑われるサイン)
- 日本頭痛学会の資料が挙げる例として、50歳を過ぎてから初めて起こるようになった持続性の頭痛、特にこめかみ周辺の痛み[3]
- 同学会が注意を促す例として、頭部を打った後、数時間〜翌日以降になって頭痛が悪化してくる場合[3]
- 日本頭痛学会が紹介する脳腫瘍のサインとして、毎朝決まって頭痛があり、起き上がってしばらくすると少し軽快するという状態が続く場合[3]
日本頭痛学会は、頭痛を大きく「一次性頭痛」(片頭痛・緊張型頭痛など、頭痛そのものが病気であるタイプ)と「二次性頭痛」(くも膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎など、他の病気が原因で起こる危険な頭痛)に分類しており、上記のようなサインは二次性頭痛を疑うきっかけとして同学会が紹介しています[3]。特に「いつもと違う突然の強い頭痛」は、くも膜下出血の可能性を念頭に置いて、迷わず医療機関を受診することが同学会の解説では勧められています[3]。月経関連片頭痛は毎回似たパターンで繰り返すことが多いため、逆に言えば「いつもと明らかに違う頭痛」に気づきやすいという側面もあります。少しでも違和感があれば、我慢せず専門家に相談してください。
それぞれのサインについてもう少し具体的に見ていきます。日本頭痛学会の解説によれば、くも膜下出血では「やぶけた瞬間に血液があふれ出るため、その勢いで、頭蓋骨と脳との間にある痛みを感知する膜(硬膜といいます)を刺激して突然に強い頭痛が出現します」とされ、多くの患者が「今までに感じたことのない頭痛」と表現すると同学会は説明しています[3]。片頭痛の発作は通常、数十分から数時間かけて徐々に強くなっていくため、この「立ち上がりの速さ」の違いは自分で気づける手がかりになります。頭部を打った後に時間差で悪化する頭痛については、頭部外傷後1か月ほど経ってから頭痛や嘔吐、半身の動きにくさが出てくる慢性硬膜下血腫のような病態を同学会が紹介しており、「外傷当日は何となく問題なく経過したとしても、翌日以降に頭痛が続く場合がある」ケースでは頭部CT検査が同学会の解説で勧められています[3]。50歳を過ぎてから初めて起こるこめかみ周辺の持続痛は、側頭動脈炎という血管の炎症性疾患を疑うきっかけとして日本頭痛学会が挙げています[3]。月経関連片頭痛は多くの場合10代後半から40歳代にかけて発症・悪化するため、50歳以降に初めて経験する頭痛パターンの変化には、月経周辺期であっても注意が必要です。
治療の考え方 — 急性期はトリプタン・NSAIDs、予防は短期投与という選択肢
月経関連片頭痛の急性期治療(発作が起きてしまった時の治療)は、月経と無関係な片頭痛の治療と大きな枠組みは変わりません。ガイドラインでは、「過去の発作でNSAIDsの効果がない場合にはトリプタン系薬剤が推奨される」とされています[1]。つまり、まずNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を試し、効果が不十分であった発作の経験があるなら、次の発作からトリプタン系薬剤を検討するという段階的な考え方が基本になります。
一方、発作が月経周辺期に集中して繰り返す場合には、「月経に関連してのみ起こる場合には短期間の投与が望ましい」という予防的な考え方を頭痛の診療ガイドラインが紹介しています[1]。具体的には、月経の1〜2週間前から月経終了までの短い期間に限定して、トリプタン系薬剤やNSAIDsを予防的に数日間服用する方法の有効性が検討されていると同ガイドラインは説明しています[1]。これは、毎日休みなく予防薬を飲み続ける通常の片頭痛予防療法とは異なり、月経周辺期という限られた期間だけに絞って薬を使うという発想です。
| 治療の場面 | 考え方 | 薬剤の例 |
|---|---|---|
| 急性期(発作時) | NSAIDsを基本とし、効果不十分な発作歴があればトリプタン系薬剤を推奨[1] | NSAIDs/トリプタン系薬剤(例:スマトリプタンなど)[6] |
| 短期予防(月経周辺期のみ) | 月経の1〜2週間前〜月経終了までの限られた期間に予防的投与[1] | トリプタン系薬剤・NSAIDsを数日間予防的に服用[1] |
| ホルモン面からのアプローチ | エストロゲンの変動を緩やかにする方法が検討されることがある(適応は個別判断) | 低用量ピル等(血栓リスクの評価が前提[5]) |
出典:日本頭痛学会・日本神経学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021」Ⅱ-2-15[1]/PMDA患者向医薬品ガイド[5][6]
PMDAの患者向医薬品ガイドによれば、トリプタン系薬剤は、頭痛発作時に過度に拡張した頭部の血管を収縮させ、神経末端からの炎症性物質の放出を抑えることで片頭痛を改善する薬として位置づけられています[6]。同ガイドでは、心血管系の病気がある人や、エルゴタミン製剤・MAO阻害剤を使用している人などへの使用は禁忌とされており、PMDAは薬剤の使用過多による頭痛(頭痛薬を使いすぎることでかえって頭痛が悪化する状態)を重大な副作用として挙げています[6]。市販薬・処方薬いずれも、自己判断で使用回数を増やすのではなく、効果が不十分と感じた時点で医師に相談することが望ましいとされています。トリプタン・NSAIDsによる月経関連片頭痛の予防効果については、海外の系統的レビューでも、複数のプラセボ対照試験を統合した結果、短期的な予防治療の選択肢として有効性が報告されています[7]。
NSAIDsは日本国内でも市販薬として広く入手できる鎮痛薬の総称で、イブプロフェンやロキソプロフェンなどが代表例として知られています。月経関連片頭痛では、月経困難症による下腹部痛と頭痛が同時に起こることも多く、同じNSAIDsが両方の痛みに使われる場面もあります。ただし、NSAIDsも連用すれば胃腸障害などの副作用リスクが伴うため、月経のたびに毎回大量に使用するのではなく、必要な期間・量にとどめることが基本です。
低用量ピルなどのホルモン剤によるアプローチについても補足しておきます。PMDAの資料によれば、低用量ピル製剤の中には月経困難症や子宮内膜症に伴う疼痛の改善を目的として承認されているものがありますが、月経関連片頭痛そのものへの効果を適応として明記した製剤は、今回参照した資料の中には見当たりませんでした[5]。臨床の現場では、エストロゲンの変動を緩やかにする目的で低用量ピルが選択肢として検討されることがあると説明されますが、これは個々の患者の状態を踏まえた医師の判断によるものであり、月経関連片頭痛の治療薬として一律に推奨されているわけではない点に注意してください。
薬の使いすぎに注意 — 薬剤の使用過多による頭痛
月経関連片頭痛は毎月繰り返すため、市販の鎮痛薬やトリプタン系薬剤を使う回数が知らず知らずのうちに増えていく人がいます。ここで注意したいのが「薬剤の使用過多による頭痛」です。これは、頭痛薬を頻繁に使い続けることで、かえって頭痛の頻度や強さが悪化してしまう状態を指し、PMDAが公開するトリプタン系薬剤の患者向医薬品ガイドでも重大な副作用の一つとして位置づけられています[6]。
薬剤の使用過多による頭痛の恐ろしいところは、頭痛がつらいから薬を使う→薬の使いすぎで頭痛がさらに悪化する→もっと薬に頼るようになる、という悪循環に陥りやすい点です。月経のたびに市販薬を毎回複数回使っている、頭痛のない日がほとんどなくなってきた、以前効いていた薬の効きが悪くなってきた、といった変化を感じたら、それは薬を増やすサインではなく、医療機関に相談するサインだと捉えてください。
| 気づきのポイント | 考えられる状態 | とるべき対応 |
|---|---|---|
| 月経のたびに鎮痛薬を複数回使っている | 使用頻度が増加している可能性 | 使用日数・回数を頭痛ダイアリーに記録する[4] |
| 頭痛のない日がほとんどない | 薬剤の使用過多による頭痛の可能性[6] | 自己判断で薬を増やさず医療機関を受診する |
| 以前効いていた薬が効きにくくなった | 治療方針の見直しが必要な可能性 | 医師に薬剤変更・予防投与の相談をする[1] |
出典:日本頭痛学会ほか「頭痛の診療ガイドライン2021」[1]/PMDA患者向医薬品ガイド「イミグラン錠50」[6]/日本頭痛学会「頭痛ダイアリー」[4]
薬剤の使用過多による頭痛が疑われる場合、対応は自己流の減薬ではなく、医師の指導のもとで行うことが基本です。急に薬をやめることでかえって頭痛が一時的に悪化することもあるため、専門的な管理のもとで見直していくことが望ましいとされています。月経関連片頭痛のように発作が周期的に繰り返す場合こそ、単発の頭痛薬だけに頼るのではなく、短期予防投与などガイドラインに示された選択肢を医師と一緒に検討する意義があります[1]。
⚠ 前兆のある片頭痛と低用量ピル — 知っておきたい血栓リスク
月経関連片頭痛やそれに伴う月経周期の管理を考える際、多くの人が気になるのが低用量ピル(低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤)の使用です。ここには、必ず知っておくべき重要な安全性の論点があります。
PMDAが公開する低用量ピル(ヤーズフレックス配合錠)の患者向医薬品ガイドでは、「前兆(視界にチカチカした光があらわれ、この光が拡大していくにつれギザギザした光となり中心が見えにくくなるなどの視界の異常等)がみられる片頭痛のある人」は、この薬を使用することができないとPMDAは明記しています[5]。同ガイドでは血栓性静脈炎・肺塞栓症・脳血管障害・冠動脈疾患のある人や既往のある人も使用できないとされ、警告としてPMDAは「本剤の服用により、血栓症があらわれ、致死的な経過をたどることがある」と記載しています[5]。一方、「前兆のない片頭痛のある人」については、PMDAのガイドで使用にあたって特に注意が必要な対象として位置づけられており、禁忌とまでは分類されていません[5]。
| 片頭痛のタイプ | 低用量ピルの扱い | 理由とされていること |
|---|---|---|
| 前兆のある片頭痛 | 使用できない(禁忌)[5] | 前兆を伴う片頭痛の患者は脳血管障害(脳卒中等)が発生しやすくなるとの報告がある[5] |
| 前兆のない片頭痛 | 特に注意が必要な対象(禁忌ではない)[5] | 血栓症リスクの他の因子(喫煙・肥満・年齢など)と合わせて総合的に判断される |
出典:PMDA患者向医薬品ガイド「ヤーズフレックス配合錠」2026年2月更新[5]
「前兆」とは、頭痛が始まる前に現れるチカチカした光やギザギザした視界の異常などの神経症状のことで、片頭痛の一部の患者に見られます。片頭痛そのものに前兆があるかどうかは、婦人科や頭痛外来を受診する際に必ず伝えるべき情報です。低用量ピルは月経関連片頭痛のホルモン変動をコントロールする目的で処方が検討されることがある一方、前兆のある片頭痛の人にとっては血栓症のリスクという別の重大な安全性の問題が関わってくるため、PMDAの資料は自己判断での使用や、前兆の有無を伝えないままの処方希望を避けるよう注意を促しています[5]。血栓症が疑われる症状として、足の痛み・腫れ・しびれ、息切れ、胸の痛み、激しい頭痛、吐き気・嘔吐などがPMDAの患者向医薬品ガイドに挙げられており、ピル服用中にこうした症状が出た場合は直ちに医師に相談することが求められています[5]。
低用量ピルの添付文書情報では、前兆のある片頭痛以外にも、35歳以上で1日15本以上喫煙する人、血栓性静脈炎・肺塞栓症・脳血管障害・冠動脈疾患のある人や既往のある人、血栓性素因のある人、抗リン脂質抗体症候群のある人などがPMDAのガイドで使用できない対象として挙げられています[5]。また、40歳以上であること、喫煙していること、肥満であること、血縁に血栓症になった人がいることなどは、PMDAの資料で使用にあたって特に注意が必要な因子として位置づけられています[5]。前兆のある片頭痛という一つの因子だけで判断するのではなく、これらのリスク因子を医師が総合的に評価したうえで処方の可否が決まる、という理解が重要です。
ここで強調しておきたいのは、「前兆のある片頭痛=一生ピルが使えない」という単純な話ではなく、少なくとも現在の添付文書上は禁忌に分類されているという事実を、本人と処方する医師の双方が正確に把握しておく必要があるということです。婦人科を受診してピルの処方を希望する際は、片頭痛の既往、特に前兆の有無を自己申告することが、思わぬリスクを避けるための第一歩になります。逆に、頭痛外来を受診する際も、現在ピルを服用中かどうか、服用を検討しているかどうかを伝えることで、医師はより適切な治療方針を組み立てやすくなります。
生活面の対処 — 睡眠・食事・頭痛ダイアリーで発作をコントロールする
薬による治療と並行して、生活面の工夫が発作の頻度や重症度に影響すると説明されることがあります。片頭痛は睡眠不足や睡眠過多、特定の食品、寒暖差、光や音などの刺激、空腹、ストレスの増減(緊張が緩んだ時を含む)などが誘因として挙げられることが多く、月経周辺期はホルモン変動という誘因がすでに重なっている分、他の誘因が加わると発作が起こりやすくなる可能性があると考えられます。
特に月経周辺期は、規則正しい睡眠リズムを保つこと、食事を抜かず血糖値の急激な変動を避けること、カフェインの摂取量を普段から大きく変えないことなどが、一般的な片頭痛の生活指導として紹介されています。これらはあくまで発作の頻度を減らす可能性がある工夫であり、既に起きてしまった発作を薬なしで完全にコントロールできると保証するものではありません。
睡眠については、足りなさすぎても寝すぎても発作の誘因になり得るとされ、休日にまとめて寝だめをするような極端な睡眠時間の変動を避け、平日・休日を問わずできるだけ同じ時間に就寝・起床することが勧められる場合があります。月経周辺期はホルモン変動そのものが眠りの質に影響することもあるため、普段以上に睡眠リズムを意識することが助けになる可能性があります。
食事に関しては、空腹の時間が長く続くと血糖値が下がり、それが片頭痛の誘因になり得ると説明されることがあります。月経周辺期に食欲が落ちて食事の間隔が空きやすい人は、少量でもよいので欠食を避ける工夫が役立つ場合があります。特定の食品(チョコレート、赤ワイン、熟成チーズなど)が誘因になると言われることがありますが、実際に誘因になるかどうかは個人差が大きく、全ての人に同じ食品を避けるよう勧めるものではありません。自分にとって何が誘因になっているかを見極めるためにも、頭痛ダイアリーに食事内容や睡眠時間を書き添えておくと、後から振り返りやすくなります。
入浴や軽い運動、ストレスとの付き合い方も、片頭痛の生活指導の中でしばしば取り上げられるテーマです。強い痛みが出ている発作の最中は、無理に運動をせず、静かな暗い場所で安静にすることが基本とされます。一方、発作が起きていない時期に適度な有酸素運動を習慣化することが、長期的には頭痛の頻度に良い影響を与える可能性があるという考え方もありますが、月経周辺期に無理をして体調を崩しては本末転倒です。自分の体調に合わせて、できる範囲で続けることが大切です。
そして、月経関連片頭痛の診断・治療において特に重要なのが「頭痛ダイアリー」です。日本頭痛学会は、頭痛ダイアリーの目的について「あなたを悩ます頭痛をじっくり観察することです。そのためには頭痛を記録することが重要です」と説明しています[4]。日本頭痛学会が挙げる記録項目としては、「頭痛の起こった日時、どのような痛みか(脈打つようか、締め付けられるようか、など)、頭痛はどれくらい続いたか、吐きけや光・音・匂いなどが気になったか、薬を飲んだかどうか」などがあります[4]。これを月経周期と重ねて記録することで、純粋月経時片頭痛か月経関連片頭痛かの判断材料にもなります。日本頭痛学会は、この記録を医師と共有することで「治療を行う医師にもあなたの頭痛の情報がきちんと伝わります」としており[4]、受診時に頭痛ダイアリーを持参することは、診断の精度と治療方針の決定に役立つと位置づけられています。
受診前に準備しておきたいメモ(コピーして使えます)
- 頭痛が始まったのは何日前から/何時頃からか
- 月経開始日との関係(何日前・何日目に頭痛が始まったか)
- 痛みの性質(拍動性・締めつけ感・片側か両側か)と強さ(日常生活にどの程度支障があるか)
- 吐き気・嘔吐・光や音への過敏さの有無
- 前兆(チカチカした光・視界の異常など)の有無 ─ ピルの適否に直結する重要な情報
- 現在使用している市販薬・処方薬の名前と使用頻度(月に何日・何回使っているか)
- 過去に血栓症・脳血管障害・心疾患にかかったことがあるか、家族にいるか
- 医師に聞きたいこと(低用量ピルは使えるか/短期予防投与は適応になるか、など)
限られた診察時間の中で、月経周期・前兆の有無・薬の使用頻度という3点を漏れなく伝えられるかどうかで、診断や治療方針の精度は大きく変わります。診察の直前に思い出そうとするよりも、日頃から頭痛ダイアリーとあわせてこのメモを更新しておくと、いざという時に落ち着いて伝えられます。
婦人科・頭痛外来を受診するときの流れの目安
「生理中の頭痛」で医療機関を受診しようと思っても、婦人科と脳神経内科(頭痛外来)のどちらに行けばよいか迷う人は少なくありません。結論から言えば、どちらを最初に受診しても大きな問題はありません。婦人科では月経周期やホルモン環境の観点から、頭痛外来・脳神経内科では頭痛そのものの診断・治療の観点から、それぞれアプローチしてもらえます。両方が連携している医療機関であれば、より一貫した診療を受けやすくなります。
初診では、まず問診でこれまでの頭痛の経過を詳しく聞かれることが一般的です。いつ頃から頭痛があるか、月経周期との関係、痛みの性質や強さ、前兆の有無、吐き気や光・音への過敏さ、市販薬・処方薬の使用状況、家族歴(片頭痛や血栓症の家族歴を含む)などが質問される項目として挙げられます。ここで日本頭痛学会が勧める頭痛ダイアリーを持参できると、記憶に頼らず正確な情報を伝えられるため、診断の助けになります[4]。
問診の内容や症状によっては、二次性頭痛を除外するために頭部の画像検査(CTやMRI)が検討されることがあります。特に、日本頭痛学会が紹介する「今までにない激しい頭痛」「神経症状を伴う頭痛」「50歳以降に初めて起こった頭痛」などのサインがある場合は、画像検査の優先度が上がると考えられます[3]。逆に、若い頃から同じパターンで繰り返している典型的な片頭痛で、危険なサインがない場合は、必ずしも毎回画像検査が必要というわけではありません。
診断がついた後は、急性期治療薬の選択、月経周辺期の短期予防投与の適応、生活面の工夫、そして必要に応じて低用量ピルなどホルモン面からのアプローチについて、医師と相談しながら方針を決めていくことになります。一度の受診ですべてが解決するとは限らず、頭痛ダイアリーをつけながら数か月単位で治療効果を確認し、必要に応じて薬の種類や投与タイミングを調整していく、という継続的なプロセスになることが一般的です。
日本のガイドラインと国際的なエビデンスの比較
日本頭痛学会のガイドラインが示す「NSAIDsが無効な場合にトリプタン系薬剤を推奨」「月経周辺期のみの短期予防」という考え方は、国際的な研究の流れとも同じ方向を向いています。トリプタン系薬剤を月経関連片頭痛の予防に用いた複数のプラセボ対照試験を統合した系統的レビュー(2013年発表)では、フロバトリプタンやナラトリプタン、ゾルミトリプタンなどのトリプタン系薬剤が、月経周辺期に限定した短期的な予防治療の選択肢として有効性を示したと報告されています[7]。
| 項目 | 日本(頭痛の診療ガイドライン2021) | 国際的なエビデンス(系統的レビュー等) |
|---|---|---|
| 急性期治療 | NSAIDs無効時にトリプタン系薬剤を推奨[1] | トリプタン系薬剤の有効性を支持する複数のプラセボ対照試験[7] |
| 予防投与のタイミング | 月経の1〜2週間前〜月経終了までの短期投与[1] | 月経周辺期に限定した短期的プロトコルで有効性を検証[7] |
| 診断の起点 | 3回以上の月経周期にわたる頭痛日記による確認を重視[1] | ホルモンの影響を一因とする女性に多い頭痛障害という位置づけ[8] |
出典:日本頭痛学会ほか「頭痛の診療ガイドライン2021」[1]/The Journal of Headache and Pain掲載の系統的レビュー[7]/WHOファクトシート[8]
両者を照らし合わせると、急性期・予防治療いずれについても、日本のガイドラインと国際的な研究データはおおむね同じ結論に向かっていると言えます。大きく食い違う点は見当たりませんが、どの薬をどのタイミングで使うかという細かな運用は、個々の患者の体質や既往歴(特に前兆の有無や血栓症リスク)によって変わってくるため、最終的には日本の医療機関で自分の状態に合わせて相談することが前提になります。
もう一点補足すると、The Journal of Headache and Pain掲載の系統的レビューが対象としたトリプタン系薬剤(フロバトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタンなど)の中には、日本国内で承認されている製剤とは剤形や用量が異なるものも含まれます[7]。海外のエビデンスをそのまま日本の保険診療にあてはめられるわけではなく、日本国内で使用可能な薬剤・用法の範囲内で、医師が個々の患者に合わせて処方を検討することになります。この点は、海外データを参照する記事を読むときに一般的に注意しておきたいポイントです。
似ている症状に注意 — 妊娠中・産後の頭痛は同じに考えない
この記事は、通常の月経周期がある人の「生理中の頭痛」を主な対象としていますが、妊娠中や産後に頭痛が強くなる場合は、月経関連片頭痛と同じように考えるべきではありません。妊娠中の血圧上昇を伴う頭痛は、母体・胎児の双方に関わる別の病態が背景にある可能性があるため、自己判断で「いつもの生理前の頭痛と同じだろう」と考えず、産科を受診して相談することが重要です。産後についても、ホルモン環境が急激に変化する時期であり、頭痛の性質が普段と異なると感じたら、我慢せず医療者に伝えてください。
また、思春期に月経が始まったばかりの若い人や、更年期にさしかかり月経周期が不規則になってきた人では、月経と頭痛の関係そのものが読み取りにくくなることがあります。こうした年代でも、頭痛日記をつけて医師に相談するという基本的な対処法は変わりません。年代による体の変化を踏まえたうえで、その都度、頭痛のパターンを見直していく姿勢が大切です。
月経関連片頭痛の発症頻度が月経周期のどの段階で最も高まるかについて、個人差がどの程度あるかを定量的に示す日本国内の大規模データは、今回参照した資料には記載が見当たりませんでした。日本頭痛学会が勧める頭痛日記による自己記録が、現時点でもっとも確実に自分の傾向をつかむ方法として位置づけられます[4]。
まとめ — 生理中の頭痛と長く付き合うために
生理のたびに繰り返す頭痛は、「体質だから」「みんな我慢していることだから」と片づけられがちですが、月経関連片頭痛は診断名がつき、対処の選択肢がある状態です。日本頭痛学会のガイドラインを踏まえて押さえておきたいのは次の5点です。①エストロゲンの急激な低下が誘因の一つと同ガイドラインは考えています[1]。②純粋月経時片頭痛・月経関連片頭痛・非月経性片頭痛という3タイプに分かれ、頭痛日記による記録が診断の助けになると同ガイドラインは述べています[1]。③急性期はNSAIDs・トリプタン系薬剤、月経周辺期に限定した短期予防投与という選択肢があると同ガイドラインは示しています[1]。④前兆のある片頭痛では低用量ピルの使用に血栓症という重要な安全性の論点があるとPMDAの資料は警告しています[5]。⑤突然の激しい頭痛や神経症状を伴う頭痛は、月経周期にかかわらずすぐに医療機関を受診すべきサインだと日本頭痛学会は紹介しています[3]。
「生理中の頭痛だから仕方ない」と我慢を重ねるのではなく、頭痛ダイアリーを味方につけて自分のパターンを把握し、婦人科や頭痛外来で相談する。それが、月経関連片頭痛と長期的にうまく付き合っていくための、遠回りに見えて確実な道筋です。
よくある質問
月経関連片頭痛と生理痛(月経困難症)はどう違いますか?
低用量ピルを飲めば月経関連片頭痛は改善しますか?
前兆とはどのような症状のことですか?
緊張型頭痛と月経関連片頭痛はどう見分けますか?
妊娠中や更年期になると月経関連片頭痛はどうなりますか?
子どもの頃から生理のたびに頭痛がある場合、何科を受診すればいいですか?
市販の頭痛薬を飲む回数が増えてきました。何か問題がありますか?
月経関連片頭痛は将来も治療を続ける必要がありますか?
頭痛外来に行くほどではない気がします。それでも受診したほうがいいですか?
更新日:2026年7月21日。本記事の内容に誤りや古い情報がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。ガイドラインの改定や新しい報告により、記載内容が今後変わる可能性があります。
参考文献
- 日本頭痛学会・日本神経学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021」Ⅱ-2-15 月経時片頭痛の診断と治療 https://www.jhsnet.net/GUIDELINE/2/2-2-15.htm
- 日本頭痛学会・日本神経学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021」Ⅱ-1-3 本邦における片頭痛の有病率はどの程度か https://www.jhsnet.net/GUIDELINE/2/2-1-3.htm
- 日本頭痛学会「2次性頭痛(危険な頭痛、他の病気に伴う頭痛)」 https://www.jhsnet.net/ippan_zutu_nijisei.html
- 日本頭痛学会「頭痛ダイアリーで頭痛を攻略」 https://www.jhsnet.net/dr_medical_diary.html
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)患者向医薬品ガイド「ヤーズフレックス配合錠」2026年2月更新 https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/guide/ph/630004_2482011F2027_1_00G.pdf
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)患者向医薬品ガイド「イミグラン錠50」2023年6月更新 https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/guide/ph/340278_2160003F1022_1_10G.pdf
- Hu Y, Guan X, Fan L, Jin L. “Triptans in prevention of menstrual migraine: a systematic review with meta-analysis.” The Journal of Headache and Pain, 2013 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3620011/
- World Health Organization “Headache disorders” https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/headache-disorders
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