認知症
最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)
✦ 結論から言うと
認知症とは、加齢による自然な「もの忘れ」とは異なり、脳の病気や障害によって一度獲得した認知機能が低下し、日常生活に支障が出ている状態を指します[1]。厚生労働省が紹介する2022年度(令和4年度)の調査推計では、65歳以上高齢者のうち認知症の人は約12%、その前段階とされる軽度認知障害(MCI)の人は約16%で、両者を合わせるとおよそ3人に1人にのぼるとされています[1]。認知症には原因によって複数のタイプがあり、最も多いアルツハイマー型、脳梗塞や脳出血に伴う脳血管性、幻視やパーキンソン症状が特徴のレビー小体型、人格や行動の変化が目立つ前頭側頭型という4つの大きなタイプに分かれ、それぞれ特徴や初期症状が異なります[2]。もっとも重要な注意点として、現在使われている抗認知症薬(ドネペジルなど)や新しいタイプの薬(レカネマブなど)は、いずれも「進行を遅らせる」「症状を和らげる」ことを目的とした薬であり、認知症そのものを「治す」薬ではありません[2]。この記事では、4大タイプの違い、軽度認知障害(MCI)との関係、中核症状とBPSD(周辺症状)の違い、診断・治療・予防・介護支援までを、厚生労働省や日本神経学会などの公的資料にもとづいて整理します。
| 原因 | 脳の変性疾患や脳血管障害などにより脳の細胞が死ぬ、または働きが低下し、記憶・判断力などの認知機能が低下する[1] |
|---|---|
| 主な症状 | 中核症状(記憶障害・見当識障害・判断力低下・実行機能障害など)と、BPSD・周辺症状(徘徊・妄想・幻覚・不安・興奮など)に分かれる[2] |
| 受診の目安 | もの忘れが本人や周囲に自覚され生活に影響が出てきた場合、早めにもの忘れ外来・かかりつけ医・地域包括支援センターに相談する[2][4] |
認知症とは?加齢の「もの忘れ」との違いと脳の仕組み
厚生労働省は認知症について、「いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6カ月以上継続)」と説明しています[1]。公益財団法人長寿科学振興財団の健康長寿ネットも同様に、「脳の変性疾患や脳血管障害によって、記憶や思考などの認知機能の低下が起こり、6カ月以上にわたって、日常生活に支障をきたしている状態」と定義しています[2]。ポイントは、単に物忘れがあるかどうかではなく、その物忘れや認知機能の低下によって、買い物や金銭管理、服薬管理、対人関係など「日常生活・社会生活に支障が出ているかどうか」で判断される点です。
認知症は、脳の神経細胞が何らかの原因で徐々に減少・変性したり(変性疾患)、脳梗塞や脳出血によって血流が途絶えた部分の神経細胞が壊れたりする(脳血管障害)ことによって起こります。いずれの原因であっても、いったん正常に発達した認知機能が、後天的な脳の障害によって低下していく点が共通しています。生まれつきの知的発達の障害とは区別される点も、認知症を理解するうえで重要です。
加齢にともなう「もの忘れ」と認知症によるもの忘れは、しばしば混同されますが、性質が異なります。健康長寿ネットが示す整理をもとにすると、加齢によるもの忘れは体験したことの一部を忘れる(例:昨日の夕食のメニューを思い出せない)のに対し、認知症によるもの忘れは体験したこと自体を忘れる(例:夕食を食べたこと自体を覚えていない)という違いがしばしば指摘されます[2]。また、加齢によるもの忘れは自覚があり、ヒントがあれば思い出せることが多く、日常生活への支障も軽度にとどまるのに対し、認知症によるもの忘れは症状が進むと自覚に乏しくなり、ヒントを与えても思い出せず、日常生活に明らかな支障が生じやすいという傾向があります。
| 項目 | 加齢によるもの忘れ | 認知症によるもの忘れ |
|---|---|---|
| 忘れ方 | 体験の一部を忘れる | 体験そのものを忘れる[2] |
| 自覚 | もの忘れの自覚がある | 症状が進むと自覚が乏しくなることが多い[2] |
| ヒントを与えた場合 | 思い出せることが多い | 思い出せないことが多い[2] |
| 進行 | 比較的緩やか、日常生活への支障は軽度 | 進行性で、日常生活・社会生活に明らかな支障が出る[1] |
出典:厚生労働省「知っておきたい認知症の基本」[1]/公益財団法人 長寿科学振興財団「健康長寿ネット」[2]
この違いはあくまで一般的な傾向であり、「物忘れの一部か全部か」だけで自己判断できるものではありません。日によって調子の良し悪しがある人も多く、家族や周囲が「以前と比べてどう変わったか」という経過を見て判断することが大切です。判断に迷う場合は、自己判断で様子を見続けず、後述するもの忘れ外来やかかりつけ医、地域包括支援センターに早めに相談することが勧められます[2]。
認知症は、加齢とともに有病率が高くなる病気でもあります。厚生労働省が紹介する2022年度の調査推計では、65歳以上高齢者の約12%が認知症に該当するとされていますが[1]、これは65歳以上全体をならした割合であり、実際には年代が上がるほど有病率も高くなる傾向があります。若い世代であっても発症しうる点(若年性認知症)は見逃せませんが、全体として見れば、加齢とともに発症のリスクが高まっていく病気だと理解しておくとよいでしょう。だからこそ、本人だけでなく家族も「もしかして」と感じた早い段階で、次章以降で説明する4つのタイプの特徴や、MCI(軽度認知障害)という前段階の存在を知っておくことが、慌てずに対応するための備えになります。
出典:公益財団法人 長寿科学振興財団「健康長寿ネット」認知症の中核症状・周辺症状[2]
4大タイプを区別する:アルツハイマー型・脳血管性・レビー小体型・前頭側頭型
認知症は原因となる病気によって複数のタイプに分かれ、タイプによって特徴的な初期症状や経過が異なります。ここでは代表的な4つのタイプを、あえて1つずつ分けて整理します。混同されがちですが、それぞれ原因も進み方も異なるため、区別して理解しておくことが、本人や家族の戸惑いを減らすことにつながります。
①アルツハイマー型認知症(最も多いタイプ)
健康長寿ネットによれば、認知症の原因のうち最も多いのがアルツハイマー病であるとされています[2]。脳に「アミロイドβ」と呼ばれるたんぱく質などが徐々にたまり、神経細胞が壊れて脳全体が萎縮していくことで発症すると考えられています。政府広報オンラインの整理では、アルツハイマー病が原因となり発症する認知症は、初期には昔のことはよく覚えているものの、最近の出来事を忘れやすくなり、徐々に進行して時間や場所の感覚があいまいになったり、状況に応じた判断が難しくなったりするという経過をたどるとされています[1]。もの忘れ(記憶障害)から症状が始まり、緩やかに進行していく点が特徴で、女性にやや多いとされています。
②脳血管性認知症(脳卒中に伴うタイプ)
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって、その血流が届かなくなった部分の脳細胞が壊れることで起こる認知症で、健康長寿ネットは認知症全体のおよそ20%を占めると説明しています[2]。脳血管性認知症は男性にやや多い傾向があるとされます。高血圧や糖尿病などの生活習慣病が主な危険因子とされる点も特徴です[1]。症状面では、記憶障害や言語・運動・認知・計画性の障害など、他のタイプと大きく変わらない認知機能障害が見られる一方、症状の現れ方が特徴的で、脳卒中の発作をきっかけに急激に症状が出現し、安定している時期と急に悪化する時期を繰り返す「階段状」の経過をたどりやすいこと、また、あることはできるのに別のことはまったくできないといった「まだら」な認知機能の低下(まだら認知)が見られやすいことが指摘されています[2]。脳の血管障害そのものは、いったん壊れた脳細胞が回復するわけではないため治療で元に戻すことは難しく、治療の中心は脳血管障害の再発予防と、認知症症状に対する対症療法になるとされています[2]。
③レビー小体型認知症(幻視・パーキンソン症状・症状の変動)
レビー小体型認知症は、「レビー小体」と呼ばれる特殊なたんぱく質が脳の神経細胞にたまることで発症する認知症で、健康長寿ネットは高齢者の認知症のおよそ20%を占め、アルツハイマー型に次いで多いと説明しています[2]。特徴的な症状として、発症初期から「知らない人がいる」といった、実際には存在しないものが生々しく見える幻視がしばしば現れること、体が固くなって動きづらくなる・手が震える・急に止まれないといったパーキンソン症状を伴うこと、さらに気分や態度の変動が大きく、穏やかな状態から無気力・興奮・錯乱といった状態を1日の中でも繰り返すなど、症状に変動が見られることが挙げられています[2]。物忘れよりも先に幻視や体の動きの問題が現れることも多く、もの忘れだけを目安にしていると発見が遅れる可能性がある点に注意が必要です。男性に多く、進行が比較的早いとされる点も他のタイプと異なります。
④前頭側頭型認知症・ピック病(人格・行動の変化)
前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉と側頭葉が萎縮することで起こる認知症です。健康長寿ネットの整理では、前頭葉は主に人格や社会性、言語をつかさどり、側頭葉は主に記憶・聴覚・言語をつかさどるとされ、これらの萎縮によって、他のタイプの認知症ではあまり見られない、社会性の欠如(万引きなど)や身だしなみへの無頓着といった特徴的な症状が現れると説明されています[2]。前頭側頭型認知症の代表的なものがピック病で、以前は温厚だった人が急に怒りっぽくなる、同じ行動を繰り返す(常同行動)、言葉が出にくくなるといった、記憶障害よりも人格・行動の変化が先に目立つことが特徴です[2]。比較的若い年代(60歳代以下)で発症することもあり、性格の変化が「わがままになった」などと誤解され、受診が遅れることも少なくありません。
| タイプ | 主な原因 | 特徴的な初期症状 | おおよその割合 |
|---|---|---|---|
| アルツハイマー型 | アミロイドβ等の蓄積による脳の変性・萎縮 | もの忘れ(記憶障害)から緩やかに進行 | 認知症の原因として最多[2] |
| 脳血管性 | 脳梗塞・脳出血などの脳血管障害 | 急激な発症、階段状の経過、まだらな症状 | 約20%[2] |
| レビー小体型 | レビー小体というたんぱく質の蓄積 | 幻視、パーキンソン症状、症状の変動 | 高齢者の認知症の約20%[2] |
| 前頭側頭型(ピック病含む) | 前頭葉・側頭葉の萎縮 | 人格変化・社会性の欠如・言語障害が先行 | 代表的なものにピック病がある[2] |
出典:公益財団法人 長寿科学振興財団「健康長寿ネット」認知症の種類[2]
4つのタイプは併存することもあり、例えばアルツハイマー型の変化と脳血管性の変化をあわせ持つ「混合型」もめずらしくありません。どのタイプが疑わしいか、あるいは複数のタイプが重なっているかは、問診・認知機能検査・画像検査などを組み合わせた専門的な診断が必要になるため、自己判断でタイプを決めつけず、後述する医療機関での診断を受けることが大切です。
タイプによって、家族が気づきやすい「最初のサイン」も異なります。アルツハイマー型では、同じことを何度も尋ねる、置き忘れやしまい忘れが増える、約束を忘れるといった記憶に関するサインが目立ちやすいとされます。脳血管性では、脳卒中の発症後に急に物覚えが悪くなった、感情の起伏が激しくなった(怒りっぽくなる、泣きやすくなるなど)、手足の麻痺やろれつの回りにくさをあわせ持つといった、脳卒中の症状と認知機能低下が同時に見られる点が手がかりになります。レビー小体型では、「誰もいないのに人がいると言う」「小刻みに歩くようになった」「日によって受け答えのしっかりさが大きく違う」といった訴えが特徴的です[2]。前頭側頭型では、「万引きなど社会のルールを気にしなくなった」「同じ行動や言葉を繰り返す」「身だしなみに構わなくなった」といった、記憶よりも人柄や振る舞いの変化が先に周囲の目を引きやすい点が特徴です[2]。こうした最初のサインの違いを知っておくと、「もの忘れがまだ軽いから大丈夫」と誤解して、レビー小体型や前頭側頭型の受診が遅れてしまう事態を避けやすくなります。
MCI(軽度認知障害):認知症の前段階、進む人・戻る人がいる
MCI(軽度認知障害)は、健康長寿ネットの整理によると、本人や周囲にもの忘れが自覚されており、年齢に対して記憶力が低下している(目安として1.5SD以下)ものの、日常生活動作はおおむね保たれている状態で、認知症ではないものの、認知症に進行する可能性がある「認知症の前段階」に位置づけられるハイリスク群とされています[2]。認知症と正常の中間に位置するグレーゾーンとイメージするとわかりやすく、記憶力の低下が中心の「健忘型MCI」と、記憶以外の認知機能(注意・遂行機能など)の低下が中心の「非健忘型MCI」に分類されます[2]。
厚生労働省の2012年の調査にもとづく推計として、65歳以上のMCIの有病率はおよそ13%、人数にしておよそ400万人と見積もられています[2]。同時期の認知症の有病率はおよそ15%、およそ462万人と推計されており、高齢者のおよそ4人に1人が、認知症またはMCIに該当する計算になります[2]。この推計はいずれも2012年時点の調査にもとづくものであり、現在の実際の人数とは異なる可能性がある点に注意してください。
MCIと診断されたからといって、必ず認知症に進むわけではありません。健康長寿ネットが紹介するBruscoliらのシステマティックレビューでは、MCIから認知症へ移行する割合は年間平均でおよそ10%とされる一方、5年経過してもおよそ半数は認知症を発症しておらず、なかには正常な認知機能に回復するケースもあると報告されています[2]。つまりMCIは「認知症一歩手前で必ず進行する」ものではなく、生活習慣の見直しや適切な対応によって、進行を遅らせたり、正常な状態に戻ったりする余地がある段階だと理解しておくことが重要です。だからこそ、MCIの段階で早期に気づき、運動習慣や社会参加、生活習慣病の管理などに取り組む「早期介入」の意義が強調されています。もの忘れが気になり始めた時点で「まだ認知症ではないから」と放置せず、早めに相談することが、将来の進行を防ぐ最初の一歩になります。
MCIについてさらに詳しく知りたい場合は、当サイトの軽度認知障害(MCI)のすべてもあわせてご覧ください。
症状を2つに分けて理解する:中核症状とBPSD(周辺症状)
認知症の症状は、大きく「中核症状」と「BPSD(周辺症状、行動・心理症状)」の2つに分けて理解することが重要です。この2つは原因も対応の考え方も異なるため、混同しないことが大切です。
中核症状は、健康長寿ネットの定義によれば、脳の細胞が死ぬ、あるいは脳の働きが低下することによって直接的に起こる、記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能障害、言語障害(失語)、失行・失認などの認知機能の障害を指します[2]。記憶障害では「新しいことを覚えられなくなり、さっき聞いたこと、したことを記憶することが難しくなる」こと、見当識障害では「今がいつで、ここがどこかという、自分の置かれている状況を把握することが難しくなる」こと、理解・判断力の低下では「理解に時間がかかるようになり、一度に2つ以上のことを言われる、早口で言われると理解が難しくなる」こと、実行機能障害では「物事を計画立てて順序良く効率的に行うことが難しくなる」ことが、それぞれ具体的な現れ方として説明されています[2]。中核症状は、脳の障害が進行すれば多くの人にほぼ共通して現れる症状であり、程度の差はあっても「起こらない人はいない」症状群だと理解しておくとよいでしょう。
BPSD(周辺症状)は、中核症状とは異なり、本人の性格やもともとの人間関係、置かれている環境、体調(便秘・脱水・痛みなど)、周囲の対応の仕方によって、現れるかどうかや程度が大きく変わる症状です。健康長寿ネットは、幻覚、妄想(物取られ妄想が典型的)、抑うつ、意欲低下などの精神症状と、徘徊、興奮などの行動異常をBPSD(周辺症状)と説明しています[2]。出現する時期にも傾向があり、抑うつや不安感は比較的早期から、物取られ妄想も初期から見られることが多いとされる一方、幻覚・妄想や徘徊は中期に多く見られやすく、末期には異食やうなり声といった症状が見られることがあるとされています[2]。また対処の難しさによって、妄想・不眠・幻覚・不安・抑うつ・身体的攻撃性・徘徊・不穏などが対処が難しいグループに、誤認・焦燥・不適当な行動・性的脱抑制などがやや対処に悩まされるグループに、泣き叫ぶ・ののしる・無気力・繰り返し尋ねるなどが比較的対処しやすいグループに分類されるという整理も示されています[2]。
この2つを分けて考える実務的な意味は大きく、中核症状は薬物療法や環境調整で「進行を遅らせる」対応が中心になるのに対し、BPSDは体調不良や環境要因、対応の仕方が引き金になっていることが多く、原因(例えば便秘や痛み、居心地の悪い環境、本人にとって理解しにくい声かけ)を取り除くことで軽減できる場合があります。BPSDが急に強く出た場合、認知症の「進行」だけが原因とは限らず、体調不良や環境変化のサインである可能性も考えられるため、自己判断で「認知症が悪化した」と決めつけず、医療機関に相談することが勧められます。
周囲が特に戸惑いやすいのが「物取られ妄想」です。財布や通帳をしまった記憶そのものを忘れてしまい(中核症状としての記憶障害)、「誰かに盗られた」という説明のほうが本人にとって納得しやすくなるために起こると考えられています。この場合、家族が「盗んでいない」と強く否定しても、本人の記憶障害という土台は変わらないため、かえって関係がこじれやすくなります。頭ごなしに否定するのではなく、まず一緒に探す、失くなったこと自体への不安に寄り添う、といった対応のほうが落ち着きやすいとされます。徘徊についても、目的もなく歩き回っているように見えて、本人なりに「家に帰ろうとしている」「探し物をしている」といった理由があることが多く、行動そのものを力ずくで止めようとするより、理由を推測して安心できる声かけを行うことが、BPSDへの対応の基本的な考え方として紹介されています。
診断の流れ:問診・認知機能検査・画像検査、そして「治せる認知症」の見逃しに注意
健康長寿ネットが示す診断の流れによると、まず問診で「どのような症状が、いつ、どのように出現し、どのように経過したのか」という病歴の聞き取りが行われます[2]。次に、どのような認知症の症状があるか、程度はどのくらいかを確認するため、長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やミニメンタルステート検査(MMSE)といった認知機能検査が行われ、日付を尋ねたり、単語の記憶力を見たり、計算をしたり、図形を書いたりするテストが実施されます[2]。あわせて、神経的な異常がないかを確認する身体検査で、麻痺やパーキンソン症状などの有無がチェックされます[2]。
画像検査としては、脳の形態を見るCTやMRI検査のほか、脳の血流や代謝を調べる脳血流シンチグラフィーやPETなどの機能画像検査が行われることがあります[2]。必要に応じて脳波検査や、脳を保護する髄液の採取が行われることもあり、脳以外の病気の可能性がある場合は血液検査も追加されます[2]。近年はアミロイドPETや、脳内のアミロイドβの蓄積に関連する血液バイオマーカーの研究・実用化も進んでいますが、どの検査をどこまで行うかは、症状の程度や経過によって医師が判断します。
| 検査 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)/MMSE | 日付の見当識、単語の記憶、計算、図形描写などを確認する認知機能検査 | 認知症の症状の有無・程度を調べる代表的な検査[2] |
| 身体検査 | 麻痺やパーキンソン症状など、神経学的な異常の有無を確認 | レビー小体型などの鑑別に関わる[2] |
| CT・MRI検査 | 脳の萎縮の部位・程度、脳血管障害の有無を画像で確認 | 正常圧水頭症など「治せる認知症」の除外にも用いる[2] |
| 脳血流シンチグラフィー・PET | 脳の血流や代謝の状態を調べる機能画像検査 | タイプ鑑別の補助に用いられることがある[2] |
| 血液検査 | 脳以外の疾患(甲状腺機能異常やビタミン欠乏など)の可能性を確認 | 治療できる原因の見逃し防止に重要[2] |
出典:公益財団法人 長寿科学振興財団「健康長寿ネット」認知症の診断[2]
診断のうえで特に見逃してはならないのが「治せる認知症」の存在です。健康長寿ネットは、頭蓋内異常状態(脳腫瘍、硬膜下血腫、正常圧水頭症、てんかん、多発性硬化症、ウィルソン病など)、身体疾患(呼吸不全、不整脈、重度貧血、多血症、尿毒症、低ナトリウム血症、肝性脳症など)、欠乏性疾患(ビタミンB12欠乏、ビタミンB1欠乏、葉酸欠乏、ペラグラ(ナイアシン欠乏)など)、内分泌性疾患(甲状腺機能低下症・亢進症、副甲状腺機能異常、反復する低血糖症など)、そのほかアルコール・薬物・重金属中毒、感染症、睡眠時無呼吸症候群などを、治療によって認知機能の低下が改善しうる原因として挙げています[2]。なかでも正常圧水頭症は、歩行障害・認知機能低下・尿失禁を特徴とし、手術(シャント術)によって症状の改善が期待できる代表的な「治せる認知症」として知られています。もの忘れがあるからといって「認知症だから仕方がない」とすぐに諦めず、まずはこうした治療可能な原因が隠れていないかを、血液検査や画像検査を含めた診察できちんと確認してもらうことが重要です。正常圧水頭症について詳しくは、当サイトのその歩行障害、治せる認知症かも?正常圧水頭症(iNPH)の症状・診断・最新治療のすべても参照してください。
診断は1回の検査だけで確定するとは限らず、複数回の受診・検査を経て、経過を見ながら総合的に判断されることも少なくありません。診断が確定するまで時間がかかることに不安を感じる方も多いですが、正確な診断・タイプの鑑別は、その後の治療方針を左右する重要な過程であるため、焦らず医師の指示に従って検査を受けることが大切です。
受診の際にあらかじめ準備しておくとよい情報として、いつ頃からどのような変化に気づいたか、変化は緩やかだったか急だったか、既往歴(脳卒中・糖尿病・高血圧・甲状腺の病気など)、現在服用中の薬、日常生活で困っていること(金銭管理・服薬管理・車の運転・料理など)、家族から見た性格や行動の変化などが挙げられます。本人だけでは症状の自覚が乏しいことも多いため、可能であれば普段の様子をよく知る家族が付き添い、経過をメモにまとめて持参すると、問診がスムーズに進みやすくなります。初診時にすべてが明らかにならなくても、日頃の変化を記録しておくことは、その後の診断や治療方針の見直しにも役立ちます。
治療:薬物療法は「進行を遅らせる」「症状を和らげる」もの、治す治療ではない
ここが認知症の治療でもっとも誤解されやすく、かつもっとも重要なポイントです。認知症は、いったん壊れてしまった脳の神経細胞を元通りにする治療法が確立されているわけではなく、現在の薬物療法は、症状の進行を遅らせる、あるいは症状そのものを和らげることを目的としています[2]。「認知症が治る薬」という趣旨の表現は、少なくとも本記事で参照した資料の範囲では確認できず、本記事でもそうした断定は行いません。
アルツハイマー型認知症に対して使われる薬として、軽度から中等度にはドネペジル・ガランタミン・リバスチグミンといったコリンエステラーゼ阻害薬(一般名)が、高度な段階には高用量のドネペジルやメマンチン(一般名)が用いられ、これらの薬は進行をおよそ1年程度遅らせる効果が示されているとされています。コリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンを併用することが、進行を遅らせるうえで望ましいと考えられている一方、頻度の高い副作用として100人あたり1〜3人程度に食欲低下や吐き気などが生じるとされ、少量から投与を開始することが勧められています。
近年の動きとして、国立長寿医療研究センターは、脳に蓄積したアミロイドβという物質の除去を目的とした新しいタイプの薬であるレカネマブ(一般名)について解説しており、アルツハイマー病の原因病理に直接働きかけ、進行を抑制する薬として位置づけられています[5]。厚生労働省は、レカネマブについて「アルツハイマー病による軽度認知障害、および軽度の認知症の進行抑制」という効能・効果で薬事承認したことを公表しています[6]。あくまで対象は早期(軽度認知障害〜軽度認知症)の段階であり、進行を抑制する薬であって、認知症を治す、あるいはすでに進行した認知症を回復させる薬ではない点に注意が必要です[5][6]。本記事は薬の一般名レベルでの中立的な説明にとどめ、特定の商品名を挙げて効果を推奨したり、「治る」と保証したりする趣旨のものではありません。どの薬が適応となるか、どの段階で投与できるかは、画像診断や病型の確認を含めた専門的な評価が必要になるため、自己判断ではなく、必ず専門医療機関で相談してください。
薬物療法とあわせて重要なのが非薬物療法です。回想法や音楽療法、作業療法、デイケアなどのリハビリテーション、住み慣れた環境を維持する・生活のリズムを整える・見当識の手がかり(カレンダーや時計を見やすい場所に置くなど)を用意するといった環境調整は、中核症状そのものを大きく改善するものではないものの、BPSD(周辺症状)の軽減や、本人の混乱・不安を減らすことにつながるとされています。薬物療法だけに頼るのではなく、非薬物的なケアを組み合わせることが、認知症の人の生活の質を保つうえで重要だと位置づけられています。
治療方針や薬の選択は、認知症のタイプ、進行の程度、持病(腎機能・肝機能の状態など)、併用薬の有無によって個人差が大きいため、一律の目安を示すことはできません。薬の量や開始・中止のタイミングを自己判断で変更せず、必ず主治医と相談しながら方針を決めることが基本です。
薬の使い方についても注意点があります。抗認知症薬は少量から開始し、体の反応を見ながら段階的に増量していく方法がとられることが一般的で、開始直後や増量の直後に食欲低下・吐き気・下痢といった消化器症状が出やすいとされています。服薬の管理そのものも、認知機能の低下によって難しくなることがあり、飲み忘れや飲み過ぎを防ぐために、一包化(1回分の薬をまとめて包装してもらう)や、家族・訪問看護・介護サービスと連携した服薬管理の工夫が有効な場合があります。自己判断で「効いていないから」と量を増やしたり、逆に「副作用が心配だから」と服薬を急にやめたりすることは避け、体調の変化があれば早めに処方医に相談することが安全です。また、レビー小体型認知症の人は、一部の抗精神病薬に対して過敏に反応し、パーキンソン症状が強く出るなどの副作用が起こりやすいことが知られているため、BPSDに対する薬を検討する際は、タイプに応じた薬の選び方が特に重要になります。どのタイプかによって使える薬・避けたほうがよい薬が変わりうるという点でも、自己判断での服薬管理ではなく、専門医療機関での診断・処方が欠かせません。
予防・リスク低減:修正できる危険因子への対応
認知症の発症には、加齢や遺伝的な要因など変えられない因子だけでなく、生活習慣に関わる「修正可能な危険因子」が関わっていると考えられています。国際的な研究委員会(Lancet委員会等)の知見として広く紹介されている一般的な整理では、難聴、高血圧、糖尿病、喫煙、運動不足、社会的孤立、うつ、頭部外傷、過剰飲酒、大気汚染、肥満といった要因が、認知症の発症リスクに関わりうる修正可能な因子として挙げられています。これらはあくまで「関連が指摘されている因子」であり、どれか1つを完全にゼロにすれば発症を防げるという単純なものではなく、神経質になりすぎる必要はありません。生活習慣病の管理や社会参加など、無理のない範囲で複数の対策を積み重ねていくという考え方が基本になります。
具体的には、次のような対応が一般的に勧められています。難聴に対しては、聞こえにくさを放置せず、必要に応じて補聴器の使用を検討し、コミュニケーションの機会を保つこと。高血圧・糖尿病・脂質異常症については、脳血管性認知症の主な危険因子でもあるため[1]、生活習慣の改善や必要な薬物治療によって適切にコントロールすること。喫煙については禁煙を検討すること。運動不足に対しては、ウォーキングなど無理のない範囲で体を動かす習慣を続けること。社会的孤立に対しては、地域の集まりや趣味の場など、人との交流の機会を意識的に持つことなどが挙げられます。難聴・高血圧・糖尿病といった持病がある人ほど、その管理そのものが認知症予防の一部にもなりうるという理解が役立ちます。
また、MCI(軽度認知障害)の段階での介入も重要です。前述のとおり、MCIは適切な対応によって進行を遅らせたり、正常な状態に戻ったりする可能性がある段階とされているため[2]、もの忘れが気になり始めた早期の段階から、生活習慣の見直しや社会参加、必要に応じた医療機関への相談を行うことが、将来の認知症発症リスクを下げることにつながると考えられます。なお、特定のサプリメントや食品、脳トレアプリなどについて、認知症の発症を確実に防ぐと断定できる根拠は、今回参照した資料には見当たりませんでした。過度な期待や高額な費用をかけた対策よりも、生活習慣病の管理・運動・社会参加といった地道な積み重ねが基本であることを押さえておくとよいでしょう。
予防の考え方で誤解しやすいのが、「予防に取り組んでいれば発症しない」という受け止め方です。修正可能な危険因子への対応は、あくまで発症リスクを下げる方向に働くと考えられているものであり、生活習慣を整えていても発症する人はいますし、逆に特に対策をしていなくても発症しない人もいます。したがって、家族がすでに認知症を発症した場合に、「生活習慣の管理が足りなかったのではないか」と自分や本人を責める必要はありません。予防は「発症を保証してゼロにするもの」ではなく、「発症の確率やリスクを下げる、あるいは発症時期を遅らせる可能性がある取り組み」として理解しておくことが、過度な自責や誤解を避けるうえで大切です。
介護・支援:地域包括支援センター、介護保険、若年性認知症の就労、介護者のケア
認知症の診断を受けた後、本人と家族の生活を支える公的な仕組みとして中心的な役割を果たすのが、地域包括支援センターです。市区町村ごとに設置されており、認知症に関する相談のほか、介護保険サービスの利用相談、地域の「認知症ケアパス」の案内などの窓口になっています[4]。もの忘れが心配になった段階、あるいは診断を受けた後の生活上の悩みなど、医療機関を受診する前後を問わず、まずは地域包括支援センターに相談することができます。
介護保険制度は、原則として65歳以上を対象としていますが、40歳以上65歳未満の人であっても、認知症の原因となる病気が加齢に伴う「特定疾病」に該当する場合は、要介護認定を受けることで介護保険サービスの対象になります。若年性認知症(65歳未満で発症する認知症の総称)は、この特定疾病に含まれるため、条件を満たせば65歳未満でも介護保険サービスを利用できます。若年性認知症の人は現役世代であることが多く、仕事を続けられるかどうかという就労の問題、住宅ローンや子どもの教育費など経済面の課題が同時に重なりやすく、高齢者の認知症とは異なる視点での支援が必要になります。厚生労働省は若年性認知症支援ガイドブックを公表しており[7]、診断を受けた本人や家族が、症状や制度について理解し、一人で抱え込まずに医療機関のソーシャルワーカーや最寄りの地域包括支援センター、市区町村の窓口に早めに相談することの重要性が案内されています。就労の継続については、職場への症状の伝え方や業務内容の調整、障害年金や傷病手当金といった経済的な支援制度の活用など、個々の状況に応じて多方面からの支援が必要になるため、まずは専門の相談窓口に問い合わせることが勧められます。
家族など介護者の関わり方については、本人の言動を頭ごなしに否定せず、できる限り本人のペースやこれまでの生活習慣を尊重すること、BPSD(周辺症状)が強く出たときは、叱ったり無理に訂正したりするのではなく、その背景にある体調不良や環境要因、不安を探ることが基本的な考え方として挙げられます。ただし、介護者自身が症状を正しく理解し、適切な対応をとるには専門的な知識やトレーニングが必要な場面も多く、家族だけで抱え込まないことが重要です。デイサービスやショートステイなどの介護保険サービスを利用して介護者の負担を軽減すること、地域の家族会や認知症カフェなど、同じ立場の人と経験を共有できる場を活用することも、介護を続けるうえで有効とされています。介護者自身が心身の不調を感じた場合は、我慢せず、地域包括支援センターやかかりつけ医、介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談することが、共倒れを防ぐうえで大切です。介護は先の見通しが立てにくく、症状の進行や介護の負担がいつまで続くかわからない不安から、介護者自身が孤立感や疲労感を強めてしまうことも少なくありません。「介護は家族が担うのが当然」と一人で背負い込まず、ショートステイなどで定期的に介護から離れる時間を確保すること、他の家族や親族と役割を分担すること、外部の専門職やサービスを積極的に頼ることも、介護を長く続けていくうえで欠かせない工夫です。認知症介護の詳しい実践については、当サイトの日本の認知症介護 完全ガイドもご参照ください。
国の施策としては、令和6年(2024年)1月1日に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が施行され、同法にもとづく「認知症施策推進基本計画」が令和6年12月3日に閣議決定されています[4]。認知症の人が尊厳を保ちながら地域で暮らし続けられる「共生社会」の実現が、国レベルの方針として位置づけられている点も押さえておくとよいでしょう。
財産管理や契約行為についても早めに検討しておきたい制度があります。認知機能の低下が進むと、預貯金の管理や不動産の売買、介護サービスの契約などを本人だけで適切に行うことが難しくなる場合があります。こうした場合に備える制度として、家庭裁判所が本人を支援する後見人等を選ぶ「成年後見制度」や、判断能力が保たれているうちに将来の後見人をあらかじめ決めておく「任意後見制度」があります。財産管理や契約に不安を感じ始めた段階で、市区町村の窓口や地域包括支援センター、司法書士・弁護士などの専門家に相談しておくと、本人の意思が反映されやすい形で準備を進めやすくなります。あわせて、地域には認知症の本人・家族・地域住民が気軽に集える「認知症カフェ」を設けている自治体も多く、同じ立場の人と情報交換をしたり、専門職に気軽に相談したりする場として活用されています。
受診の目安:早期受診の意義と、もの忘れ外来・かかりつけ医への相談
次のような場合は、様子を見続けずに、もの忘れ外来やかかりつけ医、地域包括支援センターに相談することが勧められます。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 本人や周囲がもの忘れを自覚し、生活に支障が出始めている | 自己判断で様子を見続けず、もの忘れ外来・かかりつけ医に相談する[2] |
| 幻視やパーキンソン症状(手の震え・動作の緩慢化)が先に目立つ | レビー小体型の可能性もあるため、神経内科・精神科・もの忘れ外来へ相談する[2] |
| 性格・行動の急激な変化(社会性の欠如・言葉が出にくいなど)がある | 前頭側頭型の可能性もあるため、専門医療機関で相談する[2] |
| 脳卒中(脳梗塞・脳出血)の既往があり、その後に認知機能の低下が見られる | 脳血管性認知症の可能性もあるため、脳神経内科・脳神経外科に相談する[2] |
| 歩行障害・尿失禁を伴うもの忘れがある | 正常圧水頭症など治療できる認知症の可能性もあるため、早めに検査を受ける[2] |
出典:公益財団法人 長寿科学振興財団「健康長寿ネット」[2]
早期受診の意義は、大きく2つあります。1つは、正常圧水頭症や甲状腺機能低下症、ビタミン欠乏など「治せる認知症」を見逃さず、早く対応できることです[2]。もう1つは、たとえ進行性の認知症であっても、早期に診断がつけば、進行を遅らせる薬物療法の開始や非薬物療法、生活環境の調整、介護保険サービスの利用準備、若年性であれば就労に関する相談などを早く始められることです。とりわけレカネマブのような新しい薬は、対象がMCI〜軽度認知症の段階に限られているとされているため[5][6]、選択肢を狭めないためにも早期の受診・診断が重要になります。「歳のせい」「認知症だったら怖いから」と受診を先延ばしにせず、気になる変化があれば、まずはかかりつけ医やもの忘れ外来、地域包括支援センターに相談することをお勧めします。
運転免許についても、早期の受診・診断が関わってきます。一定の年齢以上の免許更新時には認知機能検査が行われ、その結果によっては医師の診断が求められることがあります。もの忘れが気になりながら車の運転を続けている場合、事故のリスクを避けるためにも、自己判断で「まだ大丈夫」と決めつけず、早めに専門医療機関で認知機能を確認し、必要であれば運転の継続について家族や医師と相談しておくことが、本人と周囲の安全を守ることにつながります。
医療費の目安
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
認知機能検査、画像検査(CT・MRI・SPECT・PETなど)、血液検査、抗認知症薬による薬物療法、デイケアなどのリハビリテーションは、いずれも保険診療の対象です。診断や治療にかかる自己負担額は、年齢や所得区分に応じた保険の負担割合、検査内容、通院・入院の有無によって幅があり、同じ検査でも人によって実際の支払額は変わります。介護保険サービス(デイサービス、ショートステイ、訪問介護など)を利用する場合の自己負担は、原則として所得に応じた一定割合となり、要介護度によって利用できるサービス量の上限が異なります。実際にかかる費用は、検査の種類、通院・入院の頻度、利用する介護サービスの内容によって大きく変わるため、詳しい金額の目安は上記の情報、またはかかりつけの医療機関、地域包括支援センター、加入している医療保険・介護保険の窓口にご確認ください。
若年性認知症の場合、現役世代であることから、医療費に加えて収入の変化(休職・退職など)も大きな課題になります。傷病手当金や障害年金、自立支援医療(精神通院医療)など、経済的な負担を軽減する公的制度が利用できる場合があるため、費用面で不安がある場合も、自己判断で受診や相談を控えず、医療機関のソーシャルワーカーや地域包括支援センターに早めに相談することをお勧めします。介護保険サービスの利用計画(ケアプラン)は、原則としてケアマネジャーが本人・家族の希望や経済状況も踏まえて作成するため、費用を抑えたい場合はその希望を率直に伝え、無理のない範囲でサービスを組み合わせてもらうとよいでしょう。
よくある質問(FAQ)
もの忘れと認知症はどう違いますか?
認知症は何科を受診すればよいですか?
認知症は治りますか?
認知症を予防することはできますか?
認知症は遺伝しますか?
認知症はどのくらいの速さで進行しますか?
介護保険は何歳から使えますか?
MCI(軽度認知障害)と診断されたら、必ず認知症になりますか?
幻視や人格の変化はアルツハイマー型でも起こりますか?
抗認知症薬を飲めば進行は完全に止まりますか?
家族が認知症かもしれないと思ったら、まず何をすればよいですか?
若年性認知症とはどう違いますか?
物取られ妄想があるとき、どう対応すればよいですか?
財産管理や契約が心配な場合、どんな制度がありますか?
認知症に関する記事一覧
記事一覧 13件
症状・見分け方 1
検査・数値 2
食事・生活 1
治療・薬 7
合併症・リスク 1
その他 1
各タイプの併存(混合型)の判定基準や、個々の患者における長期的な進行速度の詳細な見通しについては、今回参照した資料には具体的な記載が見当たらない部分があり、断定は避けています。気になる点は、必ずかかりつけ医・専門医療機関に直接ご確認ください。
参考文献
- 厚生労働省「知っておきたい認知症の基本」(政府広報オンライン掲載) 2025年 gov-online.go.jp
- 公益財団法人 長寿科学振興財団「健康長寿ネット」認知症 tyojyu.or.jp
- 日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」 neurology-jp.org
- 厚生労働省「認知症施策」(共生社会の実現を推進するための認知症基本法 等) mhlw.go.jp
- 国立長寿医療研究センター「アルツハイマー病の新しい治療薬(前編)レカネマブについて」 ncgg.go.jp
- 厚生労働省「アルツハイマー病の新しい治療薬について」 mhlw.go.jp
- 厚生労働省「若年性認知症支援ガイドブック」 mhlw.go.jp
