若年性認知症とは?65歳未満の有病率・原因疾患と生活支援制度
この記事でわかること
目次
- 結論:若年性認知症とは
- 要点まとめ
- 若年性認知症とは?65歳という境界線と、見えにくい仕組み
- 若年性認知症の有病率と推計患者数 — 厚労省研究班の最新調査
- 原因疾患は何が多い?アルツハイマー型・血管性・前頭側頭型・アルコール関連の内訳
- 高齢者の認知症との違い ― 家族の負担がなぜ大きいのか
- 見逃されやすい初期症状 — うつ病・更年期障害との違い
- 診断の流れ — もの忘れ外来と画像検査
- 似た状態・見分けが必要な病気 — MCIと「治せる認知症」
- 生活と経済的な支援制度 — 就労継続・傷病手当金・障害年金・自立支援医療・支援コーディネーター
- 就労継続 — まず職場と若年性認知症支援コーディネーターに相談する
- 退職後も働きたいとき — 相談できる窓口
- 傷病手当金 — 病気で仕事を休んだときの生活保障
- 障害年金 — 初診日からおおむね1年6か月後に請求できる
- 自立支援医療(精神通院医療)・障害者手帳・高額療養費
- 収入減少・子どもの教育費への備え
- 将来の財産管理に備える成年後見制度
- 診断された本人の気持ち — 家族はどう接すればいいか
- 家族の負担と相談先 — 一人で抱え込まないために
- 子どもへの影響は年代によって異なる
- 日本と世界(WHO)のガイドライン比較 — 「65歳未満」という線引きの位置づけ
- よくある質問
- 参考文献
結論:若年性認知症とは
若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症の総称です。厚労省の研究班(東京都健康長寿医療センター研究所)は、2018年時点の推計として、18歳~64歳人口10万人あたり50.9人、全国の患者数3.57万人という数字を発表しています。[1]
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同研究班によれば、原因はアルツハイマー型が最も多く、次いで血管性、前頭側頭型、頭部外傷、レビー小体型・パーキンソン病、アルコール関連と続きます[1]。厚労省のガイドブックは、働き盛りの世代で起こるため症状が「疲れ」「更年期障害」「うつ」と誤解されやすく、診断までに時間がかかる例が少なくないと説明しています[2]。同ガイドブックはまた、発症後は治療と並行して、傷病手当金・障害年金・自立支援医療・若年性認知症支援コーディネーターといった「仕事とお金」の制度をどう使うかが、高齢期の認知症とは異なる最大の課題になるとしています[2]。
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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
要点まとめ
- 東京都健康長寿医療センター研究所の推計で、有病率は人口10万人あたり50.9人(95%信頼区間43.9~57.9)、全国推計3.57万人(2018年時点)[1]
- 同研究所の調査で、原因疾患はアルツハイマー型52.6%・血管性17.1%・前頭側頭型9.4%・頭部外傷4.2%・レビー小体型/パーキンソン病4.1%・アルコール関連2.8%[1]
- 東京都健康長寿医療センター研究所の調査によれば、平均発症年齢は54.4歳。最初に気づく症状は「もの忘れ」66.6%、「職場や家事でのミス」38.8%[1]
- 同研究所の生活実態調査で、発症時に約6割が就労していたが、そのうち約7割が調査時点で退職。世帯収入減少を約6割が実感し、主な収入源は約4割が障害年金[1]
- 国立長寿医療研究センターによれば、「もの忘れ以外の理由で急に仕事や生活が回らなくなった」ときは、もの忘れ外来など認知症疾患医療センターへの相談が受診の目安[6]
編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、厚労省・東京都健康長寿医療センター研究所・日本年金機構・全国健康保険協会・WHOなど公的機関の一次資料と照合して作成。最終確認は人の目で行っています。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・制度は改定により変わることがあります(2026年7月時点の公開情報に基づく)。
若年性認知症とは?65歳という境界線と、見えにくい仕組み
厚労省のガイドブックによれば、若年性認知症は病名ではなく「65歳未満で発症した認知症」をまとめて呼ぶ言葉です[2]。同ガイドブックは、65歳以上で発症する高齢者の認知症と脳で起きている変化そのものに大きな違いがあるわけではないとしつつ、発症する年代が仕事・子育て・住宅ローンなど社会的な役割を担う時期と重なる点が最大の違いだと説明しています[2]。そのため本人も周囲も「認知症かもしれない」という発想に至りにくく、異変への気づき方や生活への影響の出方が高齢者の認知症とは異なります。
厚労省の若年性認知症支援ガイドブックは、「多くの人が現役で仕事や家事をしているので、認知機能が低下すれば支障が出て気づかれやすいと考えられるが、実際には仕事でミスが重なったり家事がおっくうになっても、それが認知症のせいとは思い至らないことがある」と指摘しています[2]。
下の図は、同ガイドブックが説明する、若年性認知症が見逃されやすい典型的な経過を3段階で示したものです[2]。①働き盛りの年代で仕事や家事のミスが増える →②本人も周囲も疲労・更年期障害・うつ状態など他の原因と考えてしまう →③症状が目立つようになって、ようやくもの忘れ外来などを受診し診断に至る、という流れです。東京都健康長寿医療センター研究所の生活実態調査でも、この「誤解の期間」が長引くほど、就労継続や制度利用の準備が遅れることが示唆されています[1]。
若年性認知症の有病率と推計患者数 — 厚労省研究班の最新調査
東京都健康長寿医療センター研究所(副所長・粟田主一)は、日本医療研究開発機構(AMED)認知症研究開発事業として2017年度~2019年度に実施した調査で、全国の若年性認知症有病率・患者数を明らかにしています[1]。同研究所の調査は、全国12地域(北海道・秋田県・山形県・福島県・茨城県・群馬県・東京都・新潟県・山梨県・愛知県・大阪府・愛媛県)の16,848か所の医療機関・介護サービス事業所・障害福祉サービス事業所・相談機関等の協力を得た大規模調査です[1]。
| 調査時点 | 有病率(人口10万人あたり) | 推計患者数 | 平均発症年齢 |
|---|---|---|---|
| 2018年(今回調査) | 50.9人(95%信頼区間 43.9~57.9)[1] | 3.57万人[1] | 54.4歳[1][2] |
| 2009年(前回調査) | 47.6人[1] | 3.78万人[1] | 51.3歳[1][2] |
出典:東京都健康長寿医療センター研究所「わが国の若年性認知症の有病率と有病者数」(2020年7月27日発表)[1]/厚労省「若年性認知症支援ガイドブック」[2]
東京都健康長寿医療センター研究所の分析では、有病率がわずかに上がった一方で患者数が減っているのは、分母となる18歳~64歳人口自体が少子高齢化で縮小しているためとされています[1]。厚労省のガイドブックは、この調査でも男性にやや多い傾向は前回調査と同様だったと紹介しています[2]。世界保健機関(WHO)は2026年7月更新のファクトシートで、世界の認知症患者は2021年時点で5,700万人、そのうち65歳未満で発症する若年性認知症が最大9%を占めるとしており、日本だけの現象ではないことがわかります[9]。
原因疾患は何が多い?アルツハイマー型・血管性・前頭側頭型・アルコール関連の内訳
東京都健康長寿医療センター研究所の調査によれば、若年性認知症の原因疾患で最も多いのはアルツハイマー型認知症(52.6%)、次いで血管性認知症(17.1%)、前頭側頭型認知症(9.4%)、頭部外傷による認知症(4.2%)、レビー小体型認知症/パーキンソン病による認知症(4.1%)、アルコール関連障害による認知症(2.8%)と続きます[1]。
| 原因疾患 | 割合(2018年調査) | 主な特徴 |
|---|---|---|
| アルツハイマー型認知症 | 52.6% | もの忘れから緩やかに進行する変性疾患[1] |
| 血管性認知症 | 17.1% | 脳梗塞・脳出血に伴い、段階的に進行することが多い[1] |
| 前頭側頭型認知症 | 9.4% | もの忘れより先に性格変化や社会的な言動の変化が出やすい[1] |
| 頭部外傷による認知症 | 4.2% | 事故等の頭部外傷が引き金になる[1] |
| レビー小体型認知症/パーキンソン病による認知症 | 4.1% | 幻視やパーキンソン症状を伴うことがある[1] |
| アルコール関連障害による認知症 | 2.8% | 長期飲酒歴を伴うことが多い[1] |
出典:東京都健康長寿医療センター研究所「わが国の若年性認知症の有病率と有病者数」(2020年7月27日発表)[1]
厚労省のガイドブックは、前回調査(2009年)では血管性認知症が最多だったのに対し、今回はアルツハイマー型認知症と前頭側頭型認知症の割合が高くなったと説明し、その背景として「若年性のアルツハイマー型認知症や前頭側頭型認知症に対する国民の意識の高まり」と「医療機関の診断精度の向上」を挙げています[1]。アルツハイマー型が原因の場合は、当サイトのアルツハイマー病に関する記事でより詳しい仕組みと治療の解説を読むことができます。
東京都健康長寿医療センター研究所の調査では、前頭側頭型はもの忘れよりも先に「性格が変わった」「同じ行動を繰り返す」「社会的なマナーを守れなくなった」といった変化が目立ちやすく、家族が最初に気づくきっかけがアルツハイマー型とは異なる点も特徴として整理されています[1]。同研究所によれば、血管性は脳梗塞・脳出血のたびに段階的に悪化しやすく、頭部外傷やアルコール関連は既往歴(事故歴・飲酒歴)の聞き取りが診断の手がかりになります[1]。原因疾患によって進み方も対応も変わるため、「認知症」とひとくくりにせず、原因疾患ごとの記事もあわせて確認することをおすすめします。
高齢者の認知症との違い ― 家族の負担がなぜ大きいのか
厚労省のガイドブックは、高齢者の認知症と比べたときの若年性認知症ならではの特徴を、いくつかの観点から整理しています[2]。同ガイドブックは経済面について、「働き盛りで一家の生計を支えている人が多く、休職や退職により、経済的に困窮する可能性がある」とし、収入減少への備えが最初から必要になるとしています[2]。
厚労省は、介護を担う人にも違いが出るとしています。高齢者の場合は配偶者とともに子ども世代も介護を担うことが多い一方、若年性認知症の世代では子どもがまだ若く未成年のこともあるため、介護は配偶者に集中しがちだと同省は説明しています[2]。さらに同ガイドブックは、本人や配偶者の親がちょうど要介護状態になりやすい世代と重なり、家庭内で複数の介護が同時に発生することもあると指摘しています[2]。逆に、比較的若い年代で発症した場合は、高齢の親が介護者になるケースもあると厚労省は説明しています[2]。
厚労省のガイドブックはさらに、夫婦間の問題、子どもの養育・教育・結婚など「親が最も必要とされる時期」に発症・介護が重なることが、若年性認知症の家庭内の課題を増やしていると指摘しています[2]。一方で同ガイドブックは、本人が初期で元気なうちは、身の回りのことを本人にしてもらいながら見守るという関わり方が大切だとも述べています[2]。
見逃されやすい初期症状 — うつ病・更年期障害との違い
厚労省の若年性認知症支援ガイドブックが最も強調しているのが「誤診されやすさ」です。同省は「疲れや、更年期障害、あるいはうつ状態など他の病気と思い、医療機関を受診して、誤った診断のまま時間が過ぎ、認知症の症状が目立つようになってからようやく診断された例も少なくありません」と述べています[2]。
厚労省のガイドブックは、うつ病やうつ状態は高齢者だけでなく働き盛りの世代にも多い疾患であり、認知症とうつ状態が同じ人に現れることもあるとしたうえで、「表のようにはっきりと区別できないこともあるので、心配なら医療機関を受診するとよい」と注意を促しています[2]。
| 比較項目 | うつ状態 | 認知症 |
|---|---|---|
| 発症 | 週~月単位で、何らかのきっかけがある | ゆっくりと発症し、特定しにくい |
| 経過 | 発症後、症状は急速に進行し、日内・日差変動がある | 一般にゆっくりで、変動が少なく、進行性 |
| 記憶障害 | 記憶障害を強く訴える。考えてもわからないと言う | 記憶障害を否認するが、他覚的にはみられる。最近の記憶が特に障害される |
| 答え方 | 質問に「わからない」と答える | 誤った答え・作話・つじつま合わせをする |
| 自己評価 | 自分の能力低下を嘆く | 自分の能力低下を隠す |
| 身体症状 | 不眠、食欲低下などが目立つ | あまり見られない |
出典:厚労省「若年性認知症支援ガイドブック」認知症とうつ状態との区別[2]
東京都健康長寿医療センター研究所の生活実態調査でも、最初に気づいた症状として最も多かったのは「もの忘れ」(66.6%)で、次いで「職場や家事などでのミス」(38.8%)でした[1]。同研究所の調査が示すように、もの忘れ以外の入り口、つまり「今までできていた仕事の段取りが急にできなくなった」「簡単な計算や書類作成でミスが増えた」といったサインが、若年性認知症では診断の最初の手がかりになりやすい点は、高齢者の認知症の記事だけでは拾いきれない視点です[1]。
診断の流れ — もの忘れ外来と画像検査
症状に気づいたら、まず認知症疾患医療センターや、国立長寿医療研究センターのようなもの忘れ外来のある専門機関に相談します[6]。厚労省によれば、認知症疾患医療センターは専門の医師による診断・治療方針の選定・入院にも対応できる医療機関で、令和2年3月現在、全国に456か所設置されており、少なくとも都道府県に1か所はあります[2]。同省は、診断名がまだつかない段階でも医療福祉相談の窓口として電話で問い合わせてよい機関だとしています[2]。国立長寿医療研究センターのもの忘れセンター外来は、「同じことばかり聞く、置き忘れやしまい忘れがめだつ、料理や買い物をしなくなった、以前はあった興味や関心がなくなった」といった症状がある場合を受診対象としています[6]。
国立長寿医療研究センターが公開している診断の流れによれば、初診日には問診票の記入に続き、専門スタッフによる身体機能・認知機能の検査(約1時間)、担当医師による診察(約30分)、血液検査・心電図・画像検査(レントゲン)などが行われます[6]。同センターによれば、後日の検査日には神経心理検査(約1時間)、脳MRI検査(約40分)、脳血流検査(スペクト、約1時間)が実施され、再診日に検査結果の説明と治療方針が伝えられます[6]。
厚労省によれば、若年性認知症の場合、うつ病や更年期障害との鑑別のために経過観察に時間がかかることがあります[2]。国立長寿医療研究センターは、初診時にかかりつけ医からの紹介状やお薬手帳を持参し、家族と一緒に来院することを勧めています[6]。
似た状態・見分けが必要な病気 — MCIと「治せる認知症」
診断の過程では、認知症そのものと紛らわしい状態も区別されます。厚労省は、もの忘れの自覚はあるものの日常生活動作は自立しており、全般的な認知機能はおおむね年齢相当という状態を軽度認知障害(MCI)と呼び、MCIの人は認知症になる確率が健常な人より高いとされる一方、そのままの状態が続く人や正常に戻る人もいるため、厚労省によれば、MCIと言われても過剰に心配する必要はないとされています[2]。MCIの詳しい基準や生活での対策は、当サイトの軽度認知障害(MCI)の記事も参考にしてください。
また、厚労省の分類によれば、原因疾患のうち「頭部外傷による認知症」には慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症(iNPH)が含まれると考えられており、これらは手術など早期の治療で症状が改善する可能性がある「治せる認知症」として区別されます[2]。歩行障害を伴うタイプについては、正常圧水頭症を扱った記事で詳しく解説しています。
誤診による受診の遅れが問題視される一方で、厚労省は早期受診・早期診断の重要性も強調しています。同省によれば、アルツハイマー型認知症であれば進行を遅らせる薬があり、本人の日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)の維持、介護負担の軽減につながるほか、理解力や判断力が保たれているうちに病気を受け入れ、厚労省によれば、今後の人生を設計する時間を持てる点も大きいとされています[2]。同省はさらに、社会的にも早期に治療を始めることで医療費・介護費用の抑制につながるとしており、「疲れかもしれない」で様子を見すぎないことの意味は、厚労省の説明を踏まえると、働き盛りの世代ほど大きいといえます[2]。
厚労省によれば、受診の際は①最初に気づいた症状や今までの経過、②他の疾患の有無、③服用している薬の内容、④家族歴を聞かれるため、あらかじめメモに書いて準備しておくとスムーズです[2]。厚労省は、受診する診療科は「もの忘れ外来」のほか神経内科・精神科・脳神経外科でも対応しているが、事前に病院へ確認しておくと安心だとしています[2]。
厚労省のガイドブックによれば、専門医を探す目安として、国の「認知症サポート医養成研修」を受け、かかりつけ医への助言や地域の認知症医療の中心的役割を担う認知症サポート医のほか、日本老年精神医学会や日本認知症学会がそれぞれ認定する専門医がいます[2]。同ガイドブックは、各学会のサイトで認定医のいる病院・施設を調べられると案内しています[2]。
早めの受診が必要なサイン(厚労省・国立長寿医療研究センターの資料をもとに作成)
生活と経済的な支援制度 — 就労継続・傷病手当金・障害年金・自立支援医療・支援コーディネーター
東京都健康長寿医療センター研究所の生活実態調査では、発症時点で約6割が就労していましたが、そのうち約7割が調査時点で退職していたことがわかっています[1]。同調査ではまた、約6割が世帯収入の減少を感じており、主たる収入源は約4割が障害年金、約1割が生活保護という結果でした[1]。高齢期の認知症の記事では出てこない「仕事とお金」の制度こそ、若年性認知症で最初に押さえるべき情報です。
就労継続 — まず職場と若年性認知症支援コーディネーターに相談する
厚労省のガイドブックは、若年性認知症支援コーディネーターについて、「若年性認知症の人の自立支援に関わる関係機関やサービス担当者との調整役」として、必要に応じて職場や福祉サービス事業所と連携し、就労継続や居場所づくりに向けて働きかける専門職だと説明しています[2]。認知症介護研究・研修大府センターによれば、各都道府県(一部指定都市を含む)に相談窓口が設置され、コーディネーターが配置されています[7]。若年性認知症コールセンター(認知症介護研究・研修大府センター運営)に問い合わせると、最寄りの窓口を案内してもらえます[8]。
職場に病名をどう伝えるかで悩む人も少なくありません。厚労省のガイドブックによれば、認知症介護研究・研修大府センターが企業の人事担当者向けに「若年性認知症の従業員とともに働く」というリーフレットを作成しており、若年性認知症支援コーディネーターを通じて職場との連携を仲介できます[2]。診断後すぐに退職を決めるのではなく、まず職場の産業医・人事担当者とコーディネーターに間に入ってもらい、業務内容の見直しや配置転換の可能性を相談することが、就労継続の第一歩になります。
退職後も働きたいとき — 相談できる窓口
結果として退職した後も、経済的な理由や本人の希望で働き続けたい場合に相談できる窓口があります。厚労省のガイドブックによれば、医療機関のソーシャルワーカーは病気の状態や生活上の悩みの相談に加え、就労についての助言や会社との連絡・調整をしてくれる場合があります[2]。同ガイドブックによれば、ハローワークの障害者専門窓口は、障害の状態や適性、希望職種に応じたきめ細かな職業相談・職業紹介・職場適応指導を行っています[2]。
厚労省によれば、全国47都道府県にある地域障害者職業センターは、ハローワーク等と連携しながら職業評価・職業指導・職業準備支援や、事業主への相談・援助まで一貫して支援し、必要に応じて職場に出向いて直接支援する「ジョブコーチ」(職場適応援助者)も利用できます[2]。同省によれば、就業と生活の両面で支援が必要な場合は、障害者就業・生活支援センターが、就業支援担当者と生活支援担当者による相談・職場訪問・家庭訪問などの一体的な支援を行っています[2]。
傷病手当金 — 病気で仕事を休んだときの生活保障
全国健康保険協会(協会けんぽ)によれば、傷病手当金は、協会けんぽまたは健康保険組合に加入している本人が、若年性認知症などの病気で仕事を休み給料を得られないときの現金給付制度です[4]。厚労省のガイドブックによれば、連続して3日間休んだ「待期期間」の後、4日目から支給が始まります[2]。支給期間について、厚労省は「令和4年1月1日から、傷病手当金の支給期間が支給開始日から通算して1年6か月になる」と定めており、途中で復職して給与が支払われた期間は1年6か月のカウントから除外され、その分だけ支給終了日が後ろ倒しになるとしています[3]。厚労省によれば、この通算化は、令和3年12月31日時点で支給開始から1年6か月を経過していない傷病手当金(令和2年7月2日以降に支給が開始されたもの)が対象です[3]。
障害年金 — 初診日からおおむね1年6か月後に請求できる
厚労省のガイドブックによれば、障害年金は、病気やけがで生活や仕事が制限される状態になったときに受け取れる年金で、初診日にどの年金制度に加入していたかによって、障害基礎年金(国民年金加入者)と障害厚生年金(厚生年金保険加入者)のいずれか、または両方が対象になります[2]。同ガイドブックによれば、障害認定日は、原因となった傷病の初診日から1年6か月たった日か、それ以前に症状が固まった日とされ、この認定日に障害等級に該当するかどうかで受給の可否が決まります[2]。厚労省によれば、1年6か月時点で軽度で該当しなくても、65歳になるまでは症状が重くなれば改めて請求できます[2]。東京都健康長寿医療センター研究所の調査で、生活実態調査の主な収入源の約4割を障害年金が占めていたのは[1]、この制度が退職後の生活を支える柱になっていることを示しています。
自立支援医療(精神通院医療)・障害者手帳・高額療養費
厚労省によれば、認知症で通院治療を続ける場合、自立支援医療(精神通院医療)を申請すると医療費の自己負担が原則1割に軽減されます(世帯の所得等に応じて自己負担額の上限が設定されます)[2]。厚労省によれば、申請は申請書・主治医の診断書・健康保険証等を市区町村の福祉課等に提出し、都道府県(または指定都市)が支給認定を行う流れです[2]。厚労省の案内では、原則として1か所の医療機関・薬局・訪問看護事業所での利用となります[2]。
日常生活に支障がある場合は、精神障害者保健福祉手帳の対象にもなり得ます。厚労省によれば、この手帳は該当疾患で初めて医療機関にかかった日(初診日)から6か月経過した時点の障害の程度で認定され、税制の優遇措置や公共交通料金・施設利用料の割引などが受けられます[2]。厚労省によれば、申請はお住まいの市区町村の障害福祉担当課や保健所で、申請書・診断書等を提出して行います[2]。医療費が高額になった場合の高額療養費制度の自己負担限度額は、年齢・所得区分によって細かく分かれているため、以下の早見表で目安を確認してください。
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
| 制度 | 主な内容 | 請求・相談先 |
|---|---|---|
| 傷病手当金 | 休業4日目から、支給開始日を起点に通算1年6か月まで現金給付[3] | 勤務先の健康保険組合/全国健康保険協会(協会けんぽ)[4] |
| 障害年金 | 初診日からおおむね1年6か月後の障害認定日に請求可能[2] | 年金事務所/市区町村役場[5] |
| 自立支援医療(精神通院医療) | 通院医療費の自己負担が原則1割に軽減[2] | 市区町村の福祉課等[2] |
| 若年性認知症支援コーディネーター | 制度・サービスの一括相談、職場との連携調整[7] | 都道府県の相談窓口/若年性認知症コールセンター[8] |
出典:厚労省「若年性認知症支援ガイドブック」[2]/厚労省「傷病手当金支給期間の通算化」[3]/全国健康保険協会[4]/日本年金機構[5]/認知症介護研究・研修大府センター[7]/若年性認知症コールセンター[8]
収入減少・子どもの教育費への備え
厚労省によれば、60歳未満で自営業や退職により国民年金の第1号被保険者になった人が、収入減で保険料の支払いが難しくなった場合は、申請により保険料の全額または一部が免除される制度があります[2]。同省によれば、障害年金の1級・2級を受けているとき、生活保護法による生活扶助を受けているときは「法定免除」の対象になります[2]。同ガイドブックによれば、所得の低い世帯には、低利または無利子で資金を貸し付ける生活福祉資金貸付制度もあり、市区町村の社会福祉協議会が窓口です[2]。
本人が発症したとき、子どもがまだ就学中であることも珍しくありません。厚労省のガイドブックによれば、世帯の経済状況によって就学費用の支援が必要な場合は、日本政策金融公庫の教育ローンや日本学生支援機構の奨学金のほか、都道府県や学校独自の奨学金・学資免除が使えることがあります[2]。診断直後は治療や仕事の調整に気を取られがちですが、こうした家計面の制度は早めに確認しておくと安心です。
将来の財産管理に備える成年後見制度
働き盛りで発症した場合、今後の人生が長いぶん、判断能力が低下したときの財産管理や契約をどうするかも早めの課題になります。厚労省によれば、成年後見制度は判断能力が不十分な人を法律的に保護し、財産管理や介護サービス契約などを支援する制度で、本人の判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」に分かれる法定後見制度と、判断能力が十分なうちに将来に備えて契約しておく任意後見制度があります[2]。同ガイドブック(令和2年8月改訂4版)によれば、法定後見人の申立ては住まいの地域の家庭裁判所が窓口で、申立てから審判までおよそ4か月、戸籍謄本や収入印紙代など1万5千円程度に加え、鑑定が必要な場合は鑑定料5万~10万円程度がかかります[2]。同ガイドブックによれば、相談窓口は地域包括支援センターや社会福祉協議会、法テラス、弁護士会・司法書士会などです[2]。
診断された本人の気持ち — 家族はどう接すればいいか
制度の話の前に、診断された本人がどう感じているかにも触れておきます。厚労省のガイドブックは、認知機能の低下の程度によって受け止め方に個人差はあっても、「大きな不安を抱えていることは誰でも同じ」だとしています[2]。同ガイドブックによれば、「これから自分はどうなっていくのだろう」「これまでと同じような生活は無理なのだろうか」「家族に迷惑をかけてしまうのだろうか」という不安を抱えながら、本人はこれまでの自分を何とか保とうと四苦八苦し、それ自体がストレスになっていきます[2]。
厚労省によれば、家族の言葉がつい強くなってしまうと、本人が自信を失ったり怒りを感じたりすることがあり、そうした不安が徘徊や暴言など認知症の行動・心理症状(BPSD)につながっていくこともあります[2]。厚労省は、家族が病気を理解し、本人の思いに寄り添って接することで、本人の不安は徐々に和らいでいくとしています[2]。制度や手続きに追われがちな時期こそ、本人の「自分が自分でなくなっていくのではないか」という不安に向き合う時間も大切にしてください。
家族の負担と相談先 — 一人で抱え込まないために
東京都健康長寿医療センター研究所の生活実態調査では、約3割が介護保険の申請をしていないこともわかっています[1]。40歳以上65歳未満でも、特定疾病に該当すれば介護保険(第2号被保険者)の対象になり得るため、申請していない世帯が3割に上るという同研究所の結果は、制度の存在自体が届いていない可能性を示しています[1]。厚労省のガイドブックも、「その家族である配偶者や子どもを含めれば、もっと多くの人が不安の中にいることになる」と述べています[2]。
子どもへの影響は年代によって異なる
厚労省は、親がこの病気になったとき、子どもへの影響のあらわれ方は年代によって大きく変わると整理しています[2]。同省によれば、幼い子どもの場合、変化していく親を怖がったり敬遠したりすることがある一方、その時期の子どもには親に甘えることも発達上必要であり、介護で余裕のなくなった親に代わって、身近な大人が子どもの気持ちを受け止める役割を果たすことが勧められています[2]。
同ガイドブックによれば、思春期の子どもの場合は、親が自分の生き方のモデルになる時期に、今までと違う言動をする親に対して反発したり悩んだりしやすく、友人の親と比べてしまい相談しづらくなることもあるため、スクールカウンセラーなど話を聴いてくれる第三者が必要になるとされています[2]。同ガイドブックはまた、成人した子どもの場合は、就職・仕事と介護の両立・結婚・出産といった人生の節目に親の病気が影響し、周囲から介護者としての役割を期待されがちだが、「介護者でない子ども自身の人生の側面もあることを意識しながらのサポートが必要」だとしています[2]。
相談先を1か所に絞れないときは、まず若年性認知症コールセンターに連絡すると、地域の若年性認知症支援コーディネーターや相談窓口を案内してもらえます[8]。厚労省のガイドブックによれば、同コールセンターは「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」の一環として平成21年10月1日に認知症介護研究・研修大府センターに設置され、フリーコールの利用時間は月曜日~土曜日(10:00~15:00)、専門の教育を受けた相談員が対応しています[2]。
お住まいの地域の窓口としては、地域包括支援センターも選択肢になります。厚労省によれば、主任介護支援専門員(ケアマネジャー)・保健師・社会福祉士の3職種がチームで対応する窓口で、平成31年4月末現在、全国に5,167か所あり、高齢者だけでなく若年性認知症の場合も専門職が相談に応じます[2]。同ガイドブックによれば、公益社団法人認知症の人と家族の会は、各都道府県に支部を持つ当事者・家族団体で、同じ境遇の人と経験を分かち合える場としても知られています[2]。介護保険の申請や地域の窓口については、当サイトの認知症介護ガイドの記事も参考にしてください。診断名や進行の見通しについて詳しく知りたい場合は、原因疾患ごとの記事(アルツハイマー病、前頭側頭型認知症など)もあわせて確認することをおすすめします。
日本と世界(WHO)のガイドライン比較 — 「65歳未満」という線引きの位置づけ
厚労省の施策は、認知症施策推進大綱に基づき、都道府県ごとに若年性認知症の相談窓口を設置し、若年性認知症支援コーディネーターを配置する体制を取っています[7]。これは「65歳未満での発症」という年齢を基準に、就労・経済面の支援を専門の調整役が担う、日本独自の制度設計です。
| 項目 | 日本(厚労省・研究班) | WHO(2026年7月更新) |
|---|---|---|
| 若年性認知症の定義 | 65歳未満で発症する認知症[2] | 65歳未満で症状が始まる認知症[9] |
| 全体に占める割合・規模 | 18~64歳人口10万人あたり50.9人、推計3.57万人(2018年)[1] | 世界の認知症患者5,700万人(2021年)のうち最大9%[9] |
| 制度的な支援の重点 | 就労継続・傷病手当金・障害年金など「働き盛り」向けの経済支援を専門コーディネーターが調整[7] | 年齢を問わないケアと権利擁護、危険因子対策を重視し、各国の具体的な制度設計は個別の政策に委ねている[9] |
出典:厚労省「若年性認知症支援ガイドブック」[2]/認知症介護研究・研修大府センター[7]/WHO Dementia fact sheet(2026年7月3日更新)[9]
WHOのファクトシートによれば、「65歳未満」という線引き自体はWHOも日本もほぼ共通していますが[9]、認知症介護研究・研修大府センターの説明では、日本は都道府県単位の相談窓口とコーディネーター配置という具体的な運用まで制度化している点が特徴です[7]。海外の制度と日本の傷病手当金・障害年金を単純比較できる一次資料は今回の調査範囲では見当たらず、この点は今後の追加調査課題として残ります。
WHOは、認知症が高齢者における障害・要介護状態の主要な原因のひとつであり、家族など無償の介護者(インフォーマルケアラー)が1日平均5時間のケアと見守りを提供していると報告しています[9]。同ファクトシートによれば、ケアの時間の70%は女性が担っているとされ[9]、2019年時点で世界の認知症関連コストは1.3兆米ドルに上ると推計されています[9]。発症年齢が現役世代である分だけ介護期間が長期化しやすいという点で、WHOが示すこの負担の構図は、日本の若年性のケースにもそのまま当てはまります[9]。
傷病手当金・障害年金・自立支援医療の具体的な金額や自己負担上限は、加入している制度・所得区分・自治体によって細かく異なり、今回参照した資料だけでは個々のケースに当てはめた金額までは確定できません。最終的な金額や適用条件は、勤務先の健康保険組合、年金事務所、お住まいの市区町村の窓口で必ず確認してください。
よくある質問
医療費の負担を減らす制度はありますか?
介護保険は40代・50代でも使えますか?
参考文献
- 東京都健康長寿医療センター研究所(副所長・粟田主一)「わが国の若年性認知症の有病率と有病者数」2020年7月27日発表(日本医療研究開発機構(AMED)認知症研究開発事業) http://web.archive.org/web/20250905162304/https://www.tmghig.jp/research/release/2020/0727-2.html
- 厚生労働省「若年性認知症支援ガイドブック」令和2年8月改訂4版 https://www.mhlw.go.jp/content/guidebook_2020.pdf
- 厚生労働省「令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22308.html
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html
- 日本年金機構「障害認定基準」 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/ninteikijun/index.html
- 国立長寿医療研究センター「もの忘れセンター外来」 https://www.ncgg.go.jp/hospital/shinryo/senmon/monowasure.html
- 認知症介護研究・研修大府センター 全国若年性認知症支援センター「若年性認知症支援コーディネーター」 https://www.dcnet.gr.jp/about/jyakunensei_2017_03.php
- 若年性認知症コールセンター(認知症介護研究・研修大府センター運営) https://y-ninchisyotel.net/
- World Health Organization「Dementia」Fact sheet(Updated 3 July 2026) https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/dementia
更新日:2026年7月21日。本記事の内容に誤りや古い情報を見つけた方は、お問い合わせフォームよりご指摘・ご連絡いただければ幸いです。順次確認し、修正いたします。
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本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。
