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呼吸器疾患 36分で読める 14回

インフルエンザA型:普通の症状と危険な重症化のサイン

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インフルエンザA型は38℃以上の急な高熱・関節痛・筋肉痛・全身倦怠感が特徴で、多くは自宅療養で回復しますが、呼吸が苦しい・意識がおかしい・けいれんなどのサインが出た場合は「重症化」の可能性があり、ただちに医療機関を受診する必要があります[1]

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特に小児では抗インフルエンザ薬の使用有無にかかわらず異常行動が報告されており、発症後少なくとも2日間は一人にしないなどの見守りが必要です[2]。抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内の開始で発熱期間短縮が期待できます[1]。少しでも様子がおかしいと感じたら、下記の危険なサインを確認してください。

要点まとめ:上の結論を要点として整理すると、次の5つになります。

  • 普通の症状(厚生労働省):38℃以上の発熱・頭痛・関節痛・筋肉痛・全身倦怠感が比較的急速に現れる[1]
  • 危険なサイン(厚生労働省):呼吸が苦しい・胸の痛み・意識状態がおかしい・高熱が続く[1]
  • 厚生労働省によると、抗インフルエンザ薬は発症48時間以内の開始が前提。開始が遅れると効果が限定的[1]
  • 日本小児科学会によると、小児・未成年者は薬の有無にかかわらず異常行動のリスクがあり、発症後少なくとも2日間は一人にしない[2]
  • 厚生労働省によると、まれに急性脳症(インフルエンザ脳症)を起こすことがあり、意識障害・けいれんが出たら救急受診[1]

編集方針:JHO編集部がAIツールの支援を受け、厚生労働省・日本小児科学会など公的機関・学会のガイドライン原本と照合して作成しました。最終確認は人の目で行っています。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点)。誤りや古い情報にお気づきの際はお知らせください。事実を確認のうえ訂正します。

更新日:2026年7月19日

インフルエンザA型とは?重症化が起きる仕組み

「これってインフルエンザ?一般的な症状なのか、それとも危険なサインなのか」——発熱してまず気になるのはこの点だと思います。厚生労働省の説明では、インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性の呼吸器感染症です[1]。ウイルスにはA型・B型・C型がありますが、季節性の大流行を繰り返し起こすのは主にA型で、変異のスピードが速く、免疫を逃れやすい性質を持ちます。厚生労働省によると、感染すると発症前日から発症後3〜7日間、鼻やのどからウイルスを排出し続けるため、発熱が下がっても数日間は周囲への感染力が残ります[1]

多くの人は自宅療養で回復しますが、ウイルスが気道の奥まで及んだ場合や、体力・免疫力が低下している場合には、ウイルス性肺炎や細菌の二次感染による肺炎、まれに急性脳症(インフルエンザ脳症)といった重い合併症につながることがあります[1]。「普通の症状」と「危険な重症化のサイン」の境目を正しく知ることが、命を守るうえで重要です。本記事では、厚生労働省・日本小児科学会などの公的機関・学会の資料をもとに、普通の症状・危険なサイン・抗インフルエンザ薬の使い方・小児の異常行動への注意点を、実際の記載に沿ってまとめています。

世界保健機関(WHO)の解説では、妊婦・5歳未満の小児・高齢者・慢性疾患のある人が重症化のリスクが高いグループとして挙げられており、先進国ではインフルエンザに関連する死亡の多くが65歳以上の高齢者で起きているとされています[5]。現在人に流行しているA型の亜型はA(H1N1)とA(H3N2)で、ウイルスが変異するため、流行株に合わせてワクチンの組成が定期的に更新されています[5]。感染経路は、感染者の咳やくしゃみで飛び散る飛沫にウイルスが含まれる飛沫感染が主ですが、ウイルスが付着した手を介した接触感染でも広がるとされています。感染から発症までの潜伏期間は平均約2日、範囲としては1〜4日とされています[5]

図:厚生労働省「令和6年度インフルエンザQ&A」・日本小児科学会「インフルエンザ治療・予防指針」をもとにJHO編集部が作図。

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合併症の詳細 — インフルエンザ脳症・肺炎・中耳炎・心筋炎

厚生労働省の説明では、お子様ではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では細菌による肺炎を伴うなど、重症になることがあるとされています[1]。国立健康危機管理研究機構(JIHS、旧国立感染症研究所)の解説によると、インフルエンザ脳症は日本での報告が多い合併症で、0〜4歳および5〜19歳の小児・若年層からの報告数が、成人例に比べて多いとされています[11]。届出時点で死亡と報告された症例の割合は、年齢層により異なり、0〜4歳では6.9%、5〜19歳では4.9%であったのに対し、20〜59歳では9.7%、60歳以上では15.2%と報告されています[11]。この数値は届出時点の情報であり、その後の経過を反映したものではない点に注意が必要ですが、いずれの年齢層でも軽視できない合併症であることがわかります。

肺炎については、ウイルスそのものが気道の奥まで及ぶウイルス性肺炎と、体力が落ちたところに細菌が二次感染する細菌性肺炎の両方が起こりえます[1]。中耳炎の合併も、特に乳幼児で比較的よく見られる合併症です。国内の医療機関を受診したインフルエンザ患者を対象とした査読付き研究では、急性中耳炎の合併頻度は全体で15.8%、2歳以下に限ると38.7%に達したと報告されています[12]。小さな子どもが発熱中に耳を気にする様子や機嫌の悪さを見せる場合は、中耳炎の合併も念頭に置いて小児科・耳鼻咽喉科に相談するとよいでしょう。まだ言葉で症状を伝えられない乳幼児の場合、耳を繰り返し触る・引っ張る、寝つきが悪くぐずる、耳だれ(耳から液体が出る)が見られる、といった様子が中耳炎のサインになることがあります。解熱後もこうした様子が続く場合は、あらためて受診を検討してください。心筋炎はまれな合併症ですが、胸の痛みや動悸、強い倦怠感を伴う場合は重篤化しうるため、そうした症状が出た場合は速やかに医療機関を受診してください[1]

普通の症状と重症化サインの基準 — 厚生労働省の説明をもとに

状態 具体的な内容 対応の目安
普通の症状 38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感が比較的急速に現れる。のどの痛み、鼻水、咳も伴う[1] 安静・水分補給・自宅療養
危険なサイン(成人・全年齢共通) 高熱が続く、呼吸が苦しい、意識状態がおかしいなど[1] 早めに医療機関を受診
危険なサイン(小児) まれに急性脳症を起こすことがある[1]。呼びかけに反応しない、けいれん、呼吸が速い・浅いなど ただちに受診・救急要請を検討
危険なサイン(高齢者・免疫低下者) 細菌による肺炎を伴うなど重症になることがある[1] 早めに医療機関を受診

出典:厚生労働省「令和6年度インフルエンザQ&A」[1]

要注意!すぐに病院へ行くべき重症化のサイン

  • 高熱が続く、呼吸が苦しい、意識状態がおかしい(厚生労働省の説明)[1]
  • 小児で、呼びかけへの反応がおかしい・けいれんを起こした(急性脳症を疑うサイン)[1]
  • 抗インフルエンザ薬を服用した/していないに関わらず、症状の最中に急に走り出す・部屋から飛び出そうとする等の異常行動が見られた[2]
  • 高齢者・基礎疾患のある方で、肺炎を疑う持続する咳・息切れが悪化した[1]

抗インフルエンザウイルス薬 — 種類・タイミング・小児の注意点

厚生労働省の説明では、抗インフルエンザウイルス薬は、症状が出始めてからの時間や病状により効果が異なり、発症から48時間以内に開始すると、発熱期間が通常1〜2日間短縮されるとされています。48時間以降の投与では十分な効果が期待できません[1]。日本小児科学会の指針では、代表的な薬剤の用法・用量が次のように整理されています[2]

薬剤(一般名/商品名) 剤型 小児の用法・用量の目安
オセルタミビル(タミフル®) ドライシロップ・カプセル 幼小児:1回2 mg/kg(最大75 mg/回)を1日2回、計5日間。新生児・乳児:1回3 mg/kgを1日2回、計5日間[2]
ザナミビル(リレンザ®) 吸入粉末剤 10 mgを1日2回吸入、計5日間(成人と同量)。4歳以下の幼児は安全性未確立[2]
ラニナミビル(イナビル®) 吸入粉末剤 10歳未満:20 mgを単回吸入。10歳以上:40 mgを単回吸入[2]
バロキサビル マルボキシル(ゾフルーザ®) 錠剤・顆粒 体重20 kg未満の小児では10 mg錠1錠の使用が示されている(2020年10月時点で顆粒製剤は20 kg未満に未承認)[2]

出典:日本小児科学会「インフルエンザ治療・予防指針」[2]。実際の投与量・可否は年齢・体重・持病により異なるため、必ず医師の指示に従ってください。

日本小児科学会は、抗インフルエンザ薬の服薬の有無や種類にかかわらず、「インフルエンザ罹患時には、異常行動を発現した例が報告されている」としており、就学期以降の小児・未成年者については、少なくとも発熱から2日間、保護者等が転落等の重大事故を防ぐための対策を講じることを求めています[2]。マンションの高層階では窓・ベランダの施錠を確認し、目を離さないようにしてください。

抗インフルエンザ薬は誰に使われますか? — 治療対象の考え方

日本小児科学会の指針では、抗インフルエンザ薬の投与対象について次のような考え方が示されています[2]

  • 幼児や基礎疾患があり重症化リスクが高い患者、呼吸器症状が強い患者には投与が推奨される
  • 発症後48時間以内の使用が原則だが、重症化リスクが高く症状が遷延する場合は48時間を過ぎていても投与を考慮する
  • 基礎疾患がない患者でも、発症48時間以内にインフルエンザと診断されれば、医師の判断で投与を考慮する
  • 一方で、インフルエンザの多くは自然に軽快する疾患であり、抗インフルエンザ薬の投与は必須ではない[2]

年齢別に見ると、新生児・乳児(1歳未満)ではオセルタミビルは積極的には推奨されず、ザナミビルは吸入が難しいため推奨されていません。幼児(1〜5歳)ではオセルタミビルは慎重に判断するとされ、6歳以上の小児・思春期ではオセルタミビル・バロキサビルともに推奨されるなど、年齢によって推奨される薬剤が異なります[2]。どの薬が適しているかは、年齢・体重・呼吸器症状の強さ・基礎疾患の有無によって医師が総合的に判断します。

ワクチンの効果と接種の考え方

日本小児科学会の指針では、インフルエンザワクチンには発症を予防する効果があり、学校での欠席日数を減らす効果や、入院を減らす効果も報告されています[2]。厚生労働省の説明では、インフルエンザワクチンには「発病」を抑える効果が一定程度認められているものの、麻しん・風しんワクチンのような高い発病予防効果までは期待できないとされています[13]。一方で、65歳以上の高齢者福祉施設入所者を対象とした調査では、ワクチン接種により34〜55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったと報告されており、重症化・死亡を防ぐ効果は比較的大きいとされています[13]。ワクチンを接種していてもA型インフルエンザにかかることはありますが、重症化を防ぐ効果が期待されるため、流行前の接種が基本的な予防策として推奨されています。

接種の時期について、厚生労働省は、日本では例年12月〜4月頃に流行し、1月末〜3月上旬に流行のピークを迎えるため、12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいとしています[13]。定期接種の対象となるのは、65歳以上の方、および60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器の機能に障害があり日常生活が極度に制限される方です[13]。それ以外の年齢層は任意接種となり、費用や制度は自治体・医療機関により異なるため、詳細はお住まいの自治体の案内で確認してください。卵アレルギーについては、厚生労働省の説明で、ワクチンの成分または鶏卵・鶏肉など鶏由来のものにアレルギーを呈するおそれのある方は接種にあたって注意が必要とされており、あらかじめ医師に相談することが勧められています[13]。過去に卵で全身症状やアナフィラキシーショックを起こしたことがない場合は接種可能とされることが多いですが、最終的な可否は問診の上で医師が判断します。なお、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンを同時に接種することは可能とされていますが、インフルエンザワクチンとインフルエンザ以外のワクチンとの接種間隔には注意が必要とされています[2]。持病がある方や妊娠中の方は、接種の可否・時期について主治医に相談してください。毎年のワクチン株は流行予測に基づいて選定されるため、接種を検討する際は最新シーズンの情報をかかりつけ医や自治体の案内で確認するとよいでしょう。

厚生労働省と日本小児科学会 — 「48時間」の考え方を比較

項目 厚生労働省(一般向けQ&A) 日本小児科学会(診療指針)
抗ウイルス薬の開始目安 発症から48時間以内に開始すると発熱期間が通常1〜2日間短縮。48時間以降は十分な効果が期待できない[1] 発症後48時間以内の使用が原則。ただし重症化リスクが高く症状が遷延する場合は48時間を過ぎていても投与を考慮する[2]
異常行動への注意 小児ではまれに急性脳症を起こすことがあると説明[1] 薬の有無にかかわらず就学期以降の小児・未成年者に注意喚起。発熱から少なくとも2日間の見守りを明記[2]

一般向けQ&Aでは「48時間以内」がわかりやすい目安として示されていますが、専門家向けの日本小児科学会の指針では、重症化リスクが高い患者については48時間を過ぎても投与を考慮するという、より柔軟な考え方が示されています[2]。つまり「48時間」は絶対的な締め切りではなく、まずは早めの受診・相談を優先し、実際の投与判断は医師が個々の状態を見て行うものと理解しておくとよいでしょう。

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16

年齢でこんなに違う!子ども・高齢者のインフルエンザ — 年齢・持病別に見る重症化リスク

インフルエンザは誰にでも起こりうる病気ですが、重症化のリスクは年齢や持病によって差があることが、査読を経た複数の研究で示されています。厚生労働省の説明でも、高齢者や免疫低下者は細菌による肺炎を伴うなど重症になることがあるとされており[1]、持病がある方・妊娠中の方は、症状が軽いうちから早めに相談しておくと安心です。

対象 報告されているリスク 出典
糖尿病がある人 血糖値の変動(グライセミック・バリアビリティ)が大きいほど、インフルエンザの重症度が増すことが報告されている [6]
糖尿病がある高齢者 インフルエンザ関連の入院率が、糖尿病のない高齢者より高いことがサーベイランスデータで示されている [7]
妊婦 重症化アウトカム(入院・ICU管理等)のリスクが増すことがシステマティックレビューで示されている [8]
重症インフルエンザ全般 パンデミック時の死亡例では、ウイルス性肺炎に加え細菌の二次感染による肺炎が主要な死因の一つとして報告されている [9]

出典:査読付き医学論文(PubMed収載)[6][7][8][9]。個々のリスクの大きさは研究間で幅があり、持病がある方は主治医に相談してください。

パンデミック期の死亡例の解析では、インフルエンザウイルスそのものによる肺炎に加え、細菌の二次感染による肺炎が主要な死因の一つになっていたことが報告されています[9]。これらは、「熱が下がって少し楽になった後にぶり返す咳や息苦しさ」が二次感染のサインになりうることを示唆しており、回復期に症状が悪化した場合も油断せず受診を検討する材料になります。

症状の経過 — 発症から回復までの目安

厚生労働省の説明をもとにした典型的な経過として、発症前日から発症後3〜7日間はウイルスを排出し続けるとされ、発熱のピークは発症後1〜3日ごろに見られることが多いとされています[1]。以下は一般的な経過の目安であり、個人差があります。

時期 目安となる状態
発症〜1日目 急な高熱・関節痛・筋肉痛・全身倦怠感が出現[1]
2〜3日目 発熱のピーク。抗インフルエンザ薬は48時間以内の開始が前提[1]
解熱後 体調は改善に向かうが、発症後3〜7日まではウイルス排出が続くことがある[1]

この経過の中でも、呼吸が苦しい・意識状態がおかしい・高熱が続くといったサインが出た場合は、経過を待たずに受診してください[1]

子どもや高齢者では、発熱や倦怠感のために水分・食事が十分にとれず、脱水を起こすことがあります。おしっこの回数や量がいつもより明らかに少ない、口や唇が乾いている、ぐったりして元気がない、といった様子が見られたら、脱水のサインの可能性があるため、経口補水液などでの水分補給を試みつつ、改善しなければ早めに医療機関に相談してください。高齢者では、暑さや発熱による自覚症状がわかりにくいこともあるため、周囲の家族が水分摂取量や表情・反応をこまめに確認することが助けになります。経口摂取が難しく水分・食事がほとんど摂れない状態が半日以上続く場合や、ぐったりして呼びかけへの反応が鈍い場合は、脱水や合併症の可能性を考え、様子を見続けずに医療機関へ連絡することが勧められます。

自宅療養での看病のポイント

自宅療養では、安静と十分な水分補給が基本です。脱水を防ぐため、経口摂取が可能であれば少量ずつ頻回に水分を摂ることが勧められます。看病する家族自身の感染予防として、部屋の換気、マスクの着用、こまめな手洗いが基本的な対策として挙げられています[16]。食事は無理に普段通りの量を摂る必要はなく、消化のよいものを本人の食欲に合わせて用意することが基本です。子どもの場合は、水分・食事が十分に摂れているか、おしっこの回数が普段より少なくなっていないかも見ておくとよい目安になります。

  • 安静・保温:無理に動かず、室温・湿度を保って休ませる
  • 水分補給:経口摂取が可能なら少量ずつ頻回に。吐き気が強い場合は無理をしない
  • 解熱剤:自己判断で使う前に、種類・量を医師・薬剤師に確認する(特に子どもは使える薬が限られる)
  • 異常行動への備え:発症後少なくとも2日間は、子どもを一人にせず、窓・ベランダの施錠を確認する[2]
  • 周囲への配慮:看病する家族はマスク着用・こまめな換気・手洗いを続ける[16]

市販の解熱剤を使う場合は、成分にも注意が必要です。PMDA(医薬品医療機器総合機構)の使用上の注意改訂情報によると、子ども、特に15歳未満では、アスピリン(アセチルサリチル酸)を含む解熱鎮痛薬は、インフルエンザなどのウイルス感染症にかかっているときにライ症候群という重い合併症を起こすリスクと関連することが知られており、使用を避けるべきとされています[17]。市販薬を選ぶ際は、パッケージや添付文書に記載された一般名(有効成分名)を確認し、不明な点は薬剤師に相談してください。小児科領域では、アセトアミノフェンが比較的使いやすい解熱剤として用いられることが多いですが、量や使用間隔は年齢・体重により異なるため、自己判断で市販薬を使う前に医師・薬剤師に確認することが基本です。解熱剤はあくまで一時的につらさを和らげるためのものであり、飲んだからといって治りが早まるわけではない点も知っておくとよいでしょう。厚生労働省の説明では、インフルエンザはウイルス感染症であり、抗生物質(抗菌薬)は効きません。細菌にもウイルスにも感染すること(混合感染)による気管支炎・肺炎等の合併症が疑われる場合にのみ、医師の判断で抗菌薬が使用されることがあります[1]

自宅療養中の経過としては、発熱のピークを過ぎたあとも数日間はだるさや咳が残ることが珍しくありません。いったん解熱しても再び発熱する「二峰性発熱」や、咳・息切れが悪化する場合は、細菌の二次感染による肺炎などのサインである可能性があるため、経過中に症状がぶり返した・悪化したと感じたら、自己判断で様子を見続けず、早めに医療機関に相談してください[9]

予防 — 手洗い・マスク・換気の基本

政府広報では、インフルエンザの感染を防ぐポイントとして「手洗い」「マスク着用」「咳エチケット」の3つが基本として挙げられています[16]。流行期には、人混みを避ける、こまめに換気する、十分な睡眠と栄養で体調を整えることも基本的な対策として推奨されています。

  • 手洗い:帰宅時・食事前など、石けんと流水でこまめに
  • マスク着用:人混みや電車内など、飛沫を浴びやすい場面で
  • 咳エチケット:咳・くしゃみをするときはティッシュや袖で口・鼻を覆う
  • 換気:部屋の空気をこまめに入れ替える
  • ワクチン:流行前の接種を基本的な予防策として検討する[2]

これらの対策は、インフルエンザだけでなく風邪や新型コロナウイルス感染症など、他の飛沫感染・接触感染する病気の予防にも共通して役立ちます。

家族ができる看護と感染対策 — 家庭内感染対策

家庭内にインフルエンザにかかった人がいる場合、他の家族への感染を防ぐための基本的な対策は、政府広報が挙げる「手洗い」「マスク着用」「換気」の3つに、可能な範囲での「隔離」を組み合わせることです[16]。具体的には、症状のある人はできるだけ個室で過ごし、部屋を分けられない場合もカーテンやパーティションで空間を分ける、看病する人以外の出入りを減らすといった工夫が挙げられます。看病する家族は、患者と接するときにマスクを着用し、接触の前後には石けんと流水での手洗いを徹底します[16]。部屋の換気は、窓を2か所以上(難しい場合は1か所でも)少しずつ開けてこまめに行うと、空気中のウイルス量を減らす助けになります。エアコンを使用している時期でも、1時間に数回、数分間窓を開けるなどして外気を取り入れることが換気の基本です。マスクを嫌がる乳幼児や、着け続けるのが難しい高齢者と同居している場合は、無理にマスクを着けさせるよりも、看病する側がマスクを着用し、こまめな換気と手洗いを徹底するほうが現実的な対策になることもあります。タオルや食器の共用は避け、使用後の食器は通常の洗浄で問題ありませんが、患者が使ったティッシュはすぐにふた付きのごみ箱に捨てるなど、飛沫が残ったものの取り扱いにも気を配るとよいでしょう。乳幼児や高齢の同居家族がいる場合は、感染した本人と接する時間を最小限にし、可能であれば別の家族が主に看病を担当することも、家庭内感染を減らす一つの工夫です。共働き世帯などで看病役を交代する場合は、交代のたびに手洗い・うがいを行い、共有するタオルは使わず個人用のものに分けるなど、細かな点にも気を配ると、家庭内での連鎖的な感染を防ぎやすくなります。

特に注意が必要な方(ハイリスク群) — 高齢者・妊婦・基礎疾患のある人・乳幼児

厚生労働省・WHOの説明を踏まえると、インフルエンザにかかったときに重症化しやすいグループとして、高齢者、妊婦、基礎疾患のある人、乳幼児が挙げられます[1][5]。高齢者は、免疫力の低下により細菌による肺炎を合併しやすく、先進国ではインフルエンザ関連死亡の多くが65歳以上の高齢者で起きているとされています[5]。妊婦は、査読付きのシステマティックレビューで、入院やICU管理といった重症化アウトカムのリスクが上昇することが報告されています[8]。基礎疾患のある人のうち、特に糖尿病がある人は血糖値の変動が大きいほど重症度が増す可能性が、また糖尿病のある高齢者はそうでない高齢者に比べて入院率が高いことが、いずれも査読付き研究で報告されています[6][7]。乳幼児、特に5歳未満の小児は、WHOの分類でも重症化リスクの高いグループとされ[5]、国内のデータでもインフルエンザ脳症の報告が0〜4歳・5〜19歳に多いことが示されています[11]。これらのグループに当てはまる方は、流行期に入る前のワクチン接種を検討するとともに、症状が軽いうちから早めに医療機関に相談する、家庭内感染対策を徹底するなど、予防と早期受診の両面で注意することが勧められます。

何科を受診すればいいですか? — 受診の目安

発熱・のどの痛み・咳など一般的な症状であれば、内科・小児科(子どもの場合)が基本の受診先です。呼吸が苦しい、意識状態がおかしいなど危険なサインがある場合は、救急外来の受診や救急要請(119番)を検討してください[1]。持病があるかかりつけの診療科がある場合は、まずそこに電話で相談すると、院内感染対策も含めてスムーズに案内してもらえることが多いです。妊娠中の方は、産婦人科とかかりつけ内科のどちらに相談すべきか迷う場合、まず産婦人科に電話で確認するとよいでしょう。子どもの場合は、かかりつけの小児科に電話で症状を伝え、受診可能な時間帯を確認してから向かうと安心です。

〈受診時に医師へ伝えるメモ〉いつから発熱したか/最高体温/呼吸の苦しさの有無/意識状態の変化の有無/異常行動の有無/持病・服薬中の薬/妊娠の有無/ワクチン接種歴。このメモを印刷して持参すると診察がスムーズです。
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入院が必要になった場合の治療

危険なサインが見られ入院となった場合、日本小児科学会の指針では、原則として全例に抗インフルエンザ薬による治療が推奨されるとしています[2]。経口投与が可能であれば幼児にはオセルタミビルの投与が推奨され、経口投与が困難な場合はペラミビルの点滴静注が考慮されます。呼吸器の基礎疾患や肺炎のない年長児では、確実に吸入投与ができる場合に限りザナミビルやラニナミビルが選択されることがあります。集中治療が必要な重症例・肺炎例に対して使用経験が最も多い薬剤はオセルタミビルですが、経口投与が困難な場合はペラミビルの静注投与が推奨されます[2]。これはあくまで専門家向けの一般的な考え方であり、実際の治療方針は入院先の医師が個々の病状を見て決定します。

今、流行しているかを確認する方法

日本では、定点となっている医療機関からの週ごとの患者報告数をもとに流行状況が公表されており、全国的な「流行入り」の指標は定点あたり1以上とされています[10]。地域ごとの流行レベルは、国立感染症研究所・国立健康危機管理研究機構(JIHS)の流行レベルマップで確認できます[4]。より詳しい週別の報告数は、JIHSが毎週公表している感染症発生動向調査週報でも確認できます[3]。お住まいの地域で流行が拡大している時期は、上記の「危険なサイン」により注意しながら過ごすことが大切です。

風邪・新型コロナウイルス感染症との違い

厚生労働省の説明では、インフルエンザは、38℃以上の発熱・頭痛・関節痛・筋肉痛・全身倦怠感等の症状が「比較的急速に」現れるのが特徴とされています[1]。普通の風邪は、のどの痛み・鼻水・咳といった上気道症状が中心で、高熱や強い全身症状を伴うことは比較的少ない傾向があります。新型コロナウイルス感染症は、発熱・せきに加えて味覚・嗅覚の異常を伴うことがある点や、潜伏期間・経過が異なる点が知られていますが、症状だけで確実に区別することは難しいため、心配な場合は医療機関での検査を検討してください。より詳しい見分け方は、風邪とインフルエンザの違いを解説した記事もあわせてご覧ください。最終的な診断は医療機関での検査や診察によって行われるため、自己判断だけで済ませず、心配な症状があれば早めに相談することをおすすめします。特に危険なサインが一つでも当てはまる場合は、検査の結果を待たずに受診を検討してください[1]

比較項目 インフルエンザ 普通の風邪
発熱 38℃以上の高熱が比較的急速に出現[1] 微熱〜37℃台のことが多い
全身症状 関節痛・筋肉痛・全身倦怠感が強い[1] 比較的軽い
のど・鼻の症状 のどの痛み・鼻水・咳も見られる[1] のどの痛み・鼻水・咳が中心
症状が出るスピード 比較的急速[1] 徐々に

出典:厚生労働省「令和6年度インフルエンザQ&A」[1]を基に作成。個人差があり、この表だけで確実に診断することはできません。

診断と治療について — 検査:迅速抗原検査とPCR検査

インフルエンザの診断には、鼻やのどの粘膜を綿棒でぬぐって調べる迅速抗原検査が広く使われています。国内の医療機関を対象とした前向き観察研究では、リアルタイムPCR法を基準として迅速抗原検査の感度を発症からの経過時間別に比較したところ、発症後12時間未満では感度38.9%、12〜24時間で40.5%、24〜48時間で65.2%、48時間以降で69.6%と、発症からの時間が経つほど感度が上がる傾向が報告されています(同研究全体での感度は54.3%、特異度は100%)[14]。つまり、発熱してすぐの検査では、実際に感染していても「陰性」と出てしまうことがあり、これは検査の精度の問題であって体内にウイルスがいないことを意味するわけではありません。発熱直後に検査を受けて陰性だった場合でも、症状が続くようであれば、時間をおいて再検査を勧められることがあります。

発症からの経過時間 迅速抗原検査の感度(PCRを基準)
12時間未満 38.9%
12〜24時間 40.5%
24〜48時間 65.2%
48時間以降 69.6%

出典:査読付き前向き観察研究(感染症学雑誌)[14]。研究全体での迅速抗原検査の感度は54.3%、特異度は100%と報告されています。個々の検査結果の解釈は医師の総合的な判断によります。

PCR検査は、ウイルスの遺伝子を増幅して検出する方法で、迅速抗原検査より感度が高いとされますが、結果が出るまでに時間がかかり、外来ですぐに使えるとは限りません。どちらの検査を用いるか、いつ受けるべきかは、症状の経過や重症度、医療機関の設備によって医師が判断します。危険なサインがある場合は、検査結果を待たずに受診・相談することが優先されます[1]

感染期間・出席停止の考え方

厚生労働省の説明では、インフルエンザは発症前日から発症後3〜7日間、鼻やのどからウイルスを排出するとされています[1]。学校保健安全法施行規則第十九条では、インフルエンザ(鳥インフルエンザ(H5N1)および新型インフルエンザ等感染症を除く)の出席停止期間の基準として、「発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあつては三日)を経過するまで」と定められています[15]。発症日(発熱が急に始まった日)を0日目として5日を数え、解熱日(解熱剤を使わずに平熱が続いた最初の日)を0日目として、小学生以上は2日、未就学の幼児は3日を数えるのが基本的な考え方です。ただし、実際の登校・登園の可否判断や日数の数え方の細かな運用は学校・園により異なる場合があるため、通っている学校・園・かかりつけ医の指示に従ってください。

なお、学校保健安全法施行規則の出席停止基準は児童・生徒・幼児を対象としたものであり、社会人(成人)の出勤停止について法律上一律の日数が定められているわけではありません。多くの職場では、就業規則や社内ルールとして、学校の基準(発症後5日かつ解熱後2日)を参考にした自主的な出勤停止・在宅勤務のルールを設けていますが、内容は勤務先により異なります。発症した場合は、感染を広げないためにも、早めに勤務先に連絡し、就業規則や上長の指示を確認することが望ましいでしょう。

結論 — 普通の経過と危険なサインの見分け方

結論として、インフルエンザA型の多くは、38℃以上の急な高熱・関節痛・筋肉痛・全身倦怠感を伴いながらも、安静と水分補給による自宅療養で数日〜1週間ほどで回復します[1]。一方で、呼吸が苦しい・意識状態がおかしい・高熱が続くといった危険なサイン、小児であればけいれんや呼びかけへの反応の異常が見られた場合は、インフルエンザ脳症や肺炎など重い合併症の可能性があるため、様子を見ずにただちに医療機関を受診・救急要請を検討する必要があります[1][11]。抗インフルエンザ薬は発症48時間以内の開始が効果の目安であり[1]、小児では薬の有無にかかわらず発症後少なくとも2日間の見守りが推奨されています[2]。高齢者・妊婦・基礎疾患のある人・乳幼児といったハイリスク群は、流行前のワクチン接種と早めの受診の両方を意識することが、重症化を防ぐうえで重要です[5]

妊婦・基礎疾患のある方の重症化リスクの詳細な数値(発生率・入院率の具体的なパーセンテージなど)については、今回参照した厚生労働省・日本小児科学会の資料には具体的な記載が見当たりませんでした。海外の査読論文では傾向としてリスク上昇が報告されていますが[8]、日本国内の最新の統計数値については、かかりつけ医または産婦人科にご確認いただくのが確実です。

よくある質問

インフルエンザA型と普通の風邪はどう違いますか?
厚生労働省の説明では、インフルエンザは38℃以上の発熱・関節痛・筋肉痛・全身倦怠感が比較的急速に現れるのが特徴です[1]。風邪は主にのどの痛みや鼻水など上気道の症状が中心で、高熱や強い全身症状は伴いにくい傾向があります。
抗インフルエンザ薬はいつまでに飲めば効果がありますか?
発症から48時間以内に開始すると、発熱期間が通常1〜2日間短縮されます。48時間以降の投与では十分な効果が期待できないとされています[1]
子どもが異常行動を起こすのは薬の副作用ですか?
日本小児科学会は、抗インフルエンザ薬の服薬の有無や種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時に異常行動を発現した例が報告されているとしています[2]。薬だけが原因とは言い切れず、病気そのものに伴うリスクとして、発症後少なくとも2日間は子どもを一人にしない見守りが推奨されています。
どんな症状が出たら救急を呼ぶべきですか?
厚生労働省の説明では、呼吸が苦しい、意識状態がおかしい、高熱が続くといったサインは早めの受診が必要です[1]。小児で呼びかけに反応しない・けいれんが見られる場合は急性脳症の可能性もあるため、ただちに受診・救急要請を検討してください。
インフルエンザ脳症とは何ですか?
厚生労働省の説明では、インフルエンザにまれに伴う急性脳症で、意識障害やけいれんなどの神経症状を伴います[1]。特に小児に見られることがあり、早期の受診が重要です。
何日くらい人にうつす可能性がありますか?
厚生労働省の説明によると、発症前日から発症後3〜7日間、鼻やのどからウイルスを排出するとされています[1]。解熱してもしばらくは感染力が残る可能性があるため、マスク着用や換気を続けることが勧められます。
ゾフルーザとタミフルはどちらが良いですか?
どちらも発症48時間以内の開始が前提です。ゾフルーザ(バロキサビル)は単回投与で完結する一方、体重による使用制限があります。タミフル(オセルタミビル)は乳幼児にも用法が設定されています[2]。どちらが適しているかは年齢・体重・持病により異なるため医師の判断によります。
解熱後もマスクは着け続けた方がいいですか?
厚生労働省の説明では、発症前日から発症後3〜7日間はウイルスを排出し続けるとされているため[1]、解熱してすぐに感染力がなくなるわけではありません。人混みに出る際や、高齢者・基礎疾患のある方と接する際は、しばらくマスクを着用しておくと安心です。
受診・薬にかかる費用の目安はどれくらいですか?
診察料・検査料・薬剤費は、保険適用の有無、医療機関、処方される抗インフルエンザ薬の種類(内服・吸入・点滴)によって変わります。健康保険が適用される場合、自己負担割合(通常3割など)に応じて実際の支払額が決まりますが、具体的な金額は医療機関ごとに異なるため、受診時に医療機関の窓口で確認するのが確実です。
高齢者や持病がある人は何に注意すべきですか?
厚生労働省の説明では、細菌による肺炎を伴うなど重症になることがあるとされています[1]。糖尿病がある方は血糖値の変動が大きいほど重症度が増す可能性が報告されています[6]。持続する咳や息切れの悪化、高熱が続く場合は早めに医療機関を受診してください。
妊娠中にインフルエンザにかかると危険ですか?
海外の査読論文では、妊娠は重症化アウトカムのリスク因子となりうることがシステマティックレビューで報告されています[8]。発熱や呼吸苦などの症状があれば早めに産科・内科に相談してください。
今シーズン流行しているかはどこで確認できますか?
国立感染症研究所・国立健康危機管理研究機構(JIHS)の流行レベルマップで地域ごとの流行状況を確認できます[4]。全国的な流行入りの指標は、定点あたりの報告数が1以上とされています[10]
子どもにゾフルーザは使えますか?
日本小児科学会の指針では、バロキサビル(ゾフルーザ)は体重20 kg未満の小児で10 mg錠1錠の使用が示されていますが、2020年10月時点で顆粒製剤は20 kg未満に承認されていません[2]。年齢・体重により推奨が異なるため、必ず医師の指示に従ってください。
抗インフルエンザ薬は必ず飲まないといけませんか?
いいえ。インフルエンザの多くは自然に軽快する疾患であり、抗インフルエンザ薬の投与は必須ではないとされています[2]。幼児や基礎疾患があり重症化リスクが高い方、呼吸器症状が強い方には投与が推奨されますが、最終的な判断は医師が行います。
解熱したらすぐ学校や仕事に行っても大丈夫ですか?
発症前日から発症後3〜7日間はウイルスを排出し続けるとされ、解熱してもしばらく感染力が残る可能性があります[1]。学校保健安全法上の出席停止基準は学校・園により運用が異なるため、通っている学校・園の指示に従ってください。
インフルエンザの検査はいつ受けるのがベストですか?
国内の査読付き研究では、迅速抗原検査の感度は発症から時間が経つほど上がる傾向が報告されており、発症後12時間未満では感度38.9%にとどまる一方、24〜48時間では65.2%まで上がるとされています[14]。発熱直後は「陰性」と出やすいため、症状が続く場合は再検査を検討することがあります。危険なサインがある場合は検査結果を待たずに受診してください。
インフルエンザ脳症はどのくらい危険な合併症ですか?
国立健康危機管理研究機構(JIHS)の報告では、インフルエンザ脳症は0〜4歳・5〜19歳の小児・若年層からの報告が多い合併症です[11]。呼びかけへの反応がおかしい・けいれんなどの症状が出た場合は、様子を見ずにただちに受診・救急要請を検討してください。
子どもの解熱に市販薬を使ってもいいですか?
PMDA(医薬品医療機器総合機構)の使用上の注意改訂情報によると、15歳未満の子どもがインフルエンザなどのウイルス感染症にかかっているときは、アスピリン(アセチルサリチル酸)を含む解熱鎮痛薬は、ライ症候群という重い合併症のリスクと関連するとされ、使用を避けるべきとされています[17]。市販薬を選ぶ際は有効成分名(一般名)を確認し、種類・量は医師・薬剤師に確認してください。
卵アレルギーがあってもインフルエンザワクチンは接種できますか?
厚生労働省の説明では、ワクチンの成分や鶏卵・鶏肉など鶏由来のものにアレルギーを呈するおそれのある方は、接種前に医師へ相談することが必要とされています[13]。過去に卵で全身症状やアナフィラキシーショックを起こしたことがなければ接種可能とされることが多いですが、最終的な判断は問診の上で医師が行います。
家族が感染したとき、家庭内で他の家族にうつさないためにできることは?
政府広報が挙げる「手洗い」「マスク着用」「換気」に加え、できる範囲で患者を個室にする・接触を最小限にするといった隔離の工夫が基本です[16]。乳幼児や高齢の同居家族がいる場合は、感染した本人との接触時間を減らし、別の家族が主に看病を担当することも家庭内感染を減らす工夫になります。

参考文献

  1. 厚生労働省「令和6年度インフルエンザQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2024.html
  2. 日本小児科学会「2023/24シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」2023年11月22日 https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20231122_influenza.pdf
  3. 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「感染症発生動向調査週報」 https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/index.html
  4. 厚生労働省「感染症流行レベルマップ」 https://kansen-levelmap.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/new_jmap.html
  5. 世界保健機関(WHO)「Influenza (seasonal)」 https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/influenza-(seasonal)
  6. Hulme KD, Pothlichet J, Yang J, et al. Glycemic Variability in Diabetes Increases the Severity of Influenza. J Infect Dis. 2020;221(11):1826-1835. doi:10.1093/infdis/jiaa072 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32047919/
  7. Ferdinands JM, Kim Y, Spencer S, et al. Rates of Severe Influenza-Associated Outcomes Among Older Adults Living With Diabetes – FluSurv-NET, 2012-2017. Open Forum Infect Dis. 2020. doi:10.1093/ofid/ofaa163 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32548194/
  8. Mertz D, Geraci J, Winkup J, et al. Pregnancy as a risk factor for severe outcomes from influenza virus infection: A systematic review and meta-analysis of observational studies. Vaccine. 2017;35(4):521-528. doi:10.1016/j.vaccine.2016.12.012 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28024955/
  9. Morens DM, Taubenberger JK, Fauci AS. Predominant role of bacterial pneumonia as a cause of death in pandemic influenza. J Infect Dis. 2008;198(7):962-970. doi:10.1086/591708 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2599911/
  10. 厚生労働省「最新の季節性インフルエンザの状況」 https://www.mhlw.go.jp/content/000574838.pdf
  11. 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「インフルエンザ脳症について」IASR https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/6068-dj4295.html
  12. 矢野寿一、末武光子、遠藤廣子、他「インフルエンザに伴う急性中耳炎症例の検討」日本化学療法学会雑誌. 2003;51(7):419-424. doi:10.11250/chemotherapy1995.51.419 https://www.jstage.jst.go.jp/article/chemotherapy1995/51/7/51_7_419/_article/-char/ja/
  13. 厚生労働省「インフルエンザワクチン(季節性)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/influenza/index.html
  14. 明石祐作、鈴木宏、竹内正人、他「発症から検査までの時間がインフルエンザ迅速抗原検査に与える影響:前向き観察研究」感染症学雑誌. 2021;95(1):9-16. doi:10.11150/kansenshogakuzasshi.95.9 https://www.jstage.jst.go.jp/article/kansenshogakuzasshi/95/1/95_9/_article/-char/ja/
  15. e-Gov法令検索「学校保健安全法施行規則」第十九条 https://laws.e-gov.go.jp/law/333M50000080018
  16. 政府広報オンライン「インフルエンザの感染を防ぐポイント「手洗い」「マスク着用」「咳(せき)エチケット」」 https://www.gov-online.go.jp/article/200909/entry-8422.html
  17. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「使用上の注意改訂情報(平成10年12月24日指示分)サリチル酸系製剤」 https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/revision-of-precautions/0007.html

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Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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