はじめに
こんにちは、JHO編集部です。いつも私たちの健康に関心を寄せていただき、誠にありがとうございます。季節の変わり目には、さまざまな感染症に注意を払う必要がありますが、その中でも特に注意したいのがインフルエンザ（流感）です。インフルエンザウイルスには大きくA型とB型が存在し、多くの人に影響を与える可能性があります。今回はインフルエンザB型に焦点を当て、このウイルスの特徴や主な症状、さらに対策や医療機関の受診目安などについて詳しく解説いたします。インフルエンザB型の特徴を理解し、予防策や重症化を防ぐための対応をしっかり押さえておきましょう。
免責事項
当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
なお、本記事は一般的な健康情報をわかりやすくまとめたものであり、最終的な診断や治療を目的とするものではありません。万が一、重篤な症状を感じたり、不安な点がある場合は、必ず医療専門家にご相談ください。本稿で取り上げる内容は信頼できる情報源や研究に基づいていますが、読者の個々の状態によっては異なる対応が必要となる場合もありますので、その点を十分にご留意ください。
専門家への相談
本記事で紹介する情報は、国内外の医療機関や公的機関が公開しているデータを参考にしています。特に、アメリカ疾病予防管理センター（CDC）やメイヨー・クリニック（Mayo Clinic）といった世界的に権威のある機関が発表しているインフルエンザに関する情報を参照しています。さらに、近年（過去4年程度）に行われた研究報告なども加味し、可能な限り最新の知見を反映しています。ただし、個々の症状や健康状態に合わせた最適な治療方針は医師の診断が不可欠ですので、疑わしい症状がある場合は早めに医療専門家へご相談ください。
インフルエンザB型とは？
まず、インフルエンザB型について詳しく見ていきましょう。インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型、D型などがありますが、そのうちA型とB型が主にヒトに感染を引き起こします。B型はA型と比べると変異が比較的少ないとされていますが、それでも季節的に流行し、多くの人に症状をもたらす可能性があります。
B型には大きくB/山形系統（Yamagata系統）とB/ビクトリア系統（Victoria系統）の2種類が存在し、これらは季節によってどちらが優勢になるかが異なるため、ワクチン製造においても重要な要素になります。B型は直接的な接触や飛沫感染によって拡散し、ときに学校や職場などで大規模な流行を引き起こします。
A型ほど大規模な変異が起きにくいという特徴がある反面、油断は禁物です。A型と同様に、免疫力が低い方や持病を持つ方は重症化しやすい傾向があるため、ワクチン接種や日頃の予防策が非常に重要とされています。インフルエンザB型に感染した場合は、高熱や強い全身症状が数日以上持続するケースもあるため、早めの対応が重症化を防ぐカギになります。
インフルエンザB型の主な症状
インフルエンザB型に感染すると、一般的なかぜと比べて症状が重くなることが多いとされています。以下に代表的な症状を示します。
- 38°C以上の高熱
突然高熱が出るのが特徴です。通常、38°C以上の熱が2～3日続くことがあります。熱が引いた後もしばらく倦怠感が続くケースも少なくありません。 - 寒気と悪寒
強い寒気を伴うことが多く、布団に入っていても寒さを感じるほどの悪寒に襲われることがあります。 - 咽頭炎（のどの痛み）
喉が強く痛む場合があり、特に飲み込み時に痛みが増すことがあります。 - 乾いた咳
痰がからまない乾いた咳が長引く傾向があり、人によっては胸の痛みを伴うこともあります。 - 鼻詰まりと鼻水
鼻が詰まり、透明や黄色がかった鼻水が出る場合があります。かぜ症状との区別が難しいですが、その他の全身症状と併せて判断されることが多いです。 - くしゃみ
A型ほどではないとされる報告もありますが、B型でもくしゃみが頻発するケースがあります。 - お腹の痛みと不快感
インフルエンザは呼吸器系の感染症として知られていますが、一部の方では胃腸症状として腹部不快感や腹痛を訴えることもあります。 - 下痢
特に小児や高齢者、あるいは体力が低下している方では下痢が出現することがあります。 - 吐き気と嘔吐
子どもや高齢者に多い症状ですが、成人でも食欲不振とともに現れる場合があります。 - 食欲不振
発熱や全身倦怠感により食欲が減退することはよく見られます。 - 筋肉痛
背中や脚などにズキズキとした筋肉痛を感じる場合が多く、全身の痛みを強く訴える方もいます。 - 全身の倦怠感
とにかく身体がだるく、活動意欲が大幅に低下することがあります。 - 頭痛
持続性の強い頭痛を訴えることも多く、日常生活が困難になるほどの痛みを伴う場合もあります。 - めまい
高熱や脱水状態が背景にあると考えられ、急に立ち上がるとふらつきを感じることがあります。 - 疲労感
症状の初期から回復期まで長く続く疲労感が特徴で、「熱は下がったが体がだるい」という状態が数日から1～2週間程度残る場合があります。
一般的には、これらの症状は数日から2週間程度で改善に向かうことが多いと報告されています。とはいえ、過度の高熱や脱水症状などが疑われる場合は自己判断を避け、医療機関での受診を考慮しましょう。
医師の診察が必要な場合
通常のインフルエンザはしっかりと休養を取り、水分をこまめに補給し、栄養を摂ることで回復が望める場合が多いです。しかし、以下のような症状がある場合は、できるだけ早期に医療機関を受診して専門的な診断・治療を受けることが推奨されます。
- 一週間以上続く症状が改善しない
通常の経過では緩和するはずの症状が長引いたり、むしろ悪化したりする場合には、他の合併症を疑う必要があります。 - 激しい胸痛
胸に強い痛みを感じたり、呼吸しづらいほど痛む場合には肺炎や気管支の炎症などを考慮しなければなりません。 - 息切れ
安静にしているのに息苦しさを感じる場合、呼吸器系の合併症が進行している可能性があります。 - 41.1ºCまで上がるような高熱
通常のインフルエンザではそこまで体温が上がらないケースも多いため、極端に高い発熱は注意が必要です。 - 発作
けいれんや意識の混濁などの症状が出た場合、特に小児や持病のある方では、医療機関での迅速な対応が求められます。 - 激しいまたは持続する嘔吐
食事や水分の摂取が困難になるほどの嘔吐が続くと脱水症状を引き起こす恐れが高まります。 - 深刻な筋肉痛
単なるだるさや筋肉痛を超える強い痛みが出た場合、身体の他の機能に影響を及ぼす恐れがあるため注意が必要です。 - 深刻なめまい
一人で立ち上がれないほどのめまいや失神が見られる場合も、医療機関での精査が望まれます。 - 意識喪失
意識がもうろうとする、または一時的に意識を失うなどの症状が認められたら、早急に受診が必要です。
特に、小児、高齢者、妊娠中の方、免疫力が低下している方は症状が急速に進行して重症化しやすいリスクがあります。これらの方々では、インフルエンザB型がもとで肺炎や脳症などの重大な合併症につながることがあるため、ご家族や周囲の人も常に状態を観察し、少しでも異変を感じたら医師に相談することが大切です。
インフルエンザB型に関する最近の研究
インフルエンザウイルスに関する研究は世界中で継続的に行われており、インフルエンザB型に関しても例外ではありません。近年、ワクチン技術の進歩や分子生物学的解析の高度化により、B型ウイルスの流行傾向やワクチン効果に関する詳細な分析が進んでいます。
たとえば、2022年にアメリカのMMWR Recomm Repにおいて公表されたGrohskopf LA.らのレポート（doi:10.15585/mmwr.rr7101a1）では、シーズンごとのインフルエンザワクチンの有効性や副反応の頻度が詳しくまとめられています。そこでは、インフルエンザB型が特に若年層に及ぼす影響や、ワクチン接種による入院リスク低減効果などが解析されており、若い世代でもワクチンの恩恵を受けられることが報告されています。
また、2021年にJournal of Infectious Diseasesに掲載されたBeard KR.らの研究（224巻1号、doi:10.1093/infdis/jiab295）では、B型インフルエンザに対するワクチンの効果を小児入院患者を対象に検証しており、ワクチン接種によって重症化や入院期間が短縮される可能性が示唆されています。このような研究成果は国内でのインフルエンザB型対策にも応用可能と考えられますが、日本の生活習慣や医療環境との違いがあるため、解釈には注意が必要です。一方で、基本的なウイルス特性は共通するため、ワクチン接種や個人の予防行動は大いに参考になるとされています。
予防策と重症化を防ぐポイント
インフルエンザB型は大半の場合、適切な予防策を取ることで感染リスクを大きく下げることができます。また、感染した場合でも、重症化を防ぐための対処を早期に行うことが重要です。以下のポイントを押さえておきましょう。
- 定期的な手洗い
外出から帰宅した際や食事前などには、石けんと流水を使った手洗いをこまめに行いましょう。インフルエンザウイルスは接触感染するリスクも高いため、手洗いは基本的な予防策として非常に有効です。 - うがい
手洗い同様、うがいも咽頭に付着したウイルスを洗い流す効果が期待されます。特にのどが乾燥しているとウイルスが粘膜に付着しやすいので、うがいや適度な水分補給でのどの乾燥を防ぐことが大切です。 - マスクの着用
感染症が流行している時期や人混みに入る際には、マスクを着用することで飛沫感染をある程度防ぐことができます。特に通勤通学時の電車やバスなど、換気が十分ではない環境でのマスク着用は推奨されています。 - ワクチン接種
ワクチンはインフルエンザの予防・重症化防止に有効な手段とされています。WHOや各国の公衆衛生機関でも毎年の接種を推奨しており、日本国内でも保険適用や自治体補助などが行われています。近年の研究（前述のGrohskopf LA.ら、Beard KR.らなど）でも、B型インフルエンザに対しても予防効果がある程度確認されており、特に小児や高齢者、基礎疾患を持つ方は検討してみる価値が高いとされています。 - 適切な栄養と十分な休養
日常的にバランスのよい食事を摂取し、睡眠をしっかり取ることで免疫力を維持することができます。免疫力が低い状態では、インフルエンザB型に限らずあらゆる感染症にかかりやすくなるため、普段からの体調管理は欠かせません。 - 人混みを避ける
流行シーズンには不要不急の外出を控えるのも一つの方法です。どうしても外出が必要な場合は先述のマスク着用や手洗いを徹底し、帰宅後のケアも忘れずに行いましょう。 - 早期受診
症状が疑わしい場合や高リスクの状態（妊娠、基礎疾患、高齢など）にある方は、少しでも異変を感じたら早めに医療機関を受診して、適切なアドバイスや治療を受けることを検討してください。
インフルエンザB型と合併症のリスク
インフルエンザB型は、多くの場合は軽症～中等症で済み、適切な対応を取れば2週間ほどで回復に向かうといわれています。しかし、高齢者や免疫力が低下している方にとっては、肺炎や気管支炎、急性脳症といった重篤な合併症を引き起こす可能性も否定できません。特に小児では中耳炎なども伴いやすく、インフルエンザB型の流行とともに小児科外来が混雑する時期が出てくることが知られています。
さらに、持病（ぜん息や糖尿病、心臓病など）を持っている方は、インフルエンザB型に感染すると病状が悪化しやすい傾向があると報告されており、日頃から定期検診などで健康状態を管理しつつ、インフルエンザシーズンに備えることが大切です。
結論と提言
本記事では、インフルエンザB型の特徴や主な症状、重症化リスク、および予防策について詳しく解説しました。インフルエンザB型はA型ほど大きな遺伝子変異を繰り返しにくいとされていますが、流行シーズンには依然として多くの方を悩ませています。特に、高齢者、妊娠中の方、免疫力の低い方、小児などは重症化しやすいため、ワクチン接種をはじめとする予防策に積極的に取り組む意義が大きいと考えられます。
一方で、発症してしまった場合でも、早めに医療機関を受診することで重症化や合併症を防ぐ可能性が高まります。高熱が続く、強い咳や呼吸苦がある、嘔吐や下痢などで水分補給が困難といった症状がある場合は、自己判断せず医師の診断を受けるよう心がけてください。とりわけ、小児や高齢者は体力的にもリスクが高いため、周囲の方が早期に症状を把握し、適切なサポートを行うことが大切です。
また、普段の生活の中でバランスのよい食事や十分な睡眠、適度な運動を行い、免疫機能を維持することがあらゆる感染症の予防に役立ちます。特に冬場や気温差の激しい季節には、空気の乾燥もウイルス感染を助長する要因となりますので、室内の湿度管理などにも気を配りましょう。
免責事項と医療専門家の意見推奨
本記事は、インフルエンザB型に関する一般的な情報を提供し、読者の皆様が日常生活での健康管理に活かせるように執筆されたものです。ただし、ここで紹介した内容はあくまで参考であり、すべての医療的判断を包括するものではありません。実際の診断や治療方法は、個人の病歴や症状、体質によって異なります。疑わしい症状がある場合や対処に迷う場合は、必ず医療専門家へ相談してください。
参考文献
- Flu Symptoms & Complications. アクセス日: 12/09/2022
- INFLUENZA BASICS. アクセス日: 12/09/2022
- Key Facts About Influenza (Flu). アクセス日: 12/09/2022
- Influenza (flu). アクセス日: 12/09/2022
- Types of Influenza Viruses. アクセス日: 12/09/2022
（以下、近年の研究および論文）
- Grohskopf LA.ら “Prevention and Control of Seasonal Influenza with Vaccines: Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices—United States, 2022–23.” MMWR Recomm Rep 71(1), 1–28, 2022. doi:10.15585/mmwr.rr7101a1
- Beard KR.ら “Comparative effectiveness of influenza vaccines among hospitalized children.” J Infect Dis 224(1), 24–35, 2021. doi:10.1093/infdis/jiab295
本記事は情報提供を目的としており、医療上のアドバイスを代替するものではありません。症状や治療に関する最終的な判断は、必ず医療専門家と相談のうえ行ってください。