コロナ感染の母乳育児:赤ちゃんへの影響は?
感染症

コロナ感染の母乳育児:赤ちゃんへの影響は?

はじめに

こんにちは、JHO編集部です。現在、私たちはCOVID-19というパンデミックに直面しており、その中で育児を行うお母さんたちにはさまざまな疑問や不安があることでしょう。その中の一つに、「母親がCOVID-19に感染した場合でも母乳を与えても良いのか」というものがあります。この疑問に対して、WHO(世界保健機関)は母乳育児を推奨しており、それにはいくつかの理由が存在します。本記事では、COVID-19感染時の母乳育児の安全性について詳しく探り、母乳がもたらす健康効果や感染予防のための注意事項を解説していきます。この記事を通じて、皆さんが新たな気づきを得られ、不安の解消につながることを願っています。

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当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

専門家への相談

本記事の情報は、信頼性の高い情報源を基にしています。具体的には、CDC(米国疾病予防管理センター)やWHOなどの公的機関の情報を活用し、正確な知識を提供しています。実際に授乳方法や感染リスクに関する不安がある場合には、ぜひ医療専門家や保健所等へご相談ください。とくにCOVID-19に関わる知見は日々更新されていますので、最新の情報を確認することが大切です。

母乳育児の利点

COVID-19に感染した母親が母乳を与えることには、多くの利点があります。まず、母乳は赤ちゃんに栄養を供給するだけでなく、免疫力を高める重要な役割を担っていることが知られています。特に、母乳中に含まれるIgA抗体は新生児の腸内免疫を補強し、感染症から赤ちゃんを守るための重要な盾として機能します。以下に、母乳育児の具体的な利点をさらに詳しく見ていきましょう。

  • 感染予防能力の向上
    母乳に含まれるIgA抗体は、赤ちゃんの免疫システムをサポートし、特に腸内の病原体の侵入を防ぎます。新生児の免疫機能はまだ未熟であるため、こうした抗体による保護は非常に重要です。たとえば、母乳を与えられた赤ちゃんは風邪や胃腸炎などの感染症にかかりにくいとされています。これらの自然抗体が提供する予防効果は、赤ちゃんの健康を支える基盤となります。
  • 栄養の豊富さ
    母乳は新生児の成長に必要な栄養素をバランス良く含み、消化吸収にも適しているため理想的な栄養源です。ビタミン、ミネラル、タンパク質などが自然な形で含まれ、人工乳では再現しにくい酵素やホルモンも豊富に含まれています。こうした多面的な栄養供給により、赤ちゃんの成長や健康維持を強力にサポートします。
  • 病気のリスク低下
    母乳を与えられた赤ちゃんは、呼吸器感染症や胃腸炎などの罹患率が低いことが多くの研究で示されています。呼吸器系の感染症、中耳炎の発症リスクが低減するほか、病院を受診する回数も減少すると報告されています。これにより、親の精神的負担や医療費の負担が軽減されるだけでなく、赤ちゃんの免疫機能を良好な状態に保てる点が大きな魅力です。
  • ストレス軽減
    母乳を与えることで分泌されるオキシトシン(「幸せホルモン」とも呼ばれる)は、母親のリラックス効果を高めるのに役立ちます。このホルモンの働きによってストレスが軽減され、母乳の生産にも良い影響を及ぼすとされています。さらに、母子間の絆が深まることで、育児に対するモチベーションや愛着が高まり、産後うつなどのリスクを軽減する一助にもなります。
  • 簡便性と経済性
    母乳はいつでもどこでも供給でき、調乳の手間や費用がかかりません。パンデミックなど先の見えない緊急事態下でも、買い置きの必要がないため経済的負担を抑えることができます。また、夜間の授乳でミルクを温める手間がいらないなど、実用面でも大きなメリットがあります。

これらの利点を考慮すると、COVID-19に感染している状況でも母乳育児が推奨される理由が理解しやすいでしょう。母親・赤ちゃん双方にとって重要な健康上の恩恵を得られるため、できる限り継続を検討することが望ましいとされています。

安全に母乳を与えるための注意点

COVID-19に感染している母親が母乳を与える際には、いくつかの安全対策を講じることで赤ちゃんへの感染リスクを最小限に抑えることができます。以下に具体的な注意事項をまとめます。

  • 手洗いの徹底
    授乳前に必ず石鹸と流水を用いて20秒以上の手洗いを行いましょう。ウイルスや細菌が付着した手で赤ちゃんに触れると、感染リスクが高まる可能性があります。外出先から戻った際はもちろん、日常的にこまめな手洗いを徹底することが重要です。
  • マスクの着用
    授乳中に母親が咳やくしゃみをした場合、飛沫を介してウイルスが赤ちゃんに伝播するおそれがあります。医療用マスクが入手できれば理想的ですが、家庭用の布マスクでも一定の予防効果が期待できます。赤ちゃんの顔に飛沫がかからないようにするだけでも、感染リスクを大幅に抑えられます。
  • 距離を保つ
    母子間の距離を完全に離すことは授乳中には難しいですが、日常の生活空間では可能な限り物理的距離を確保すると良いでしょう。たとえば、睡眠時にはベビーベッドを少し離れた場所に置く、室内の換気をこまめに行うなどが考えられます。接触回数を減らすことで、ウイルスの伝播経路を断つ効果が期待できます。
  • 個別の搾乳ポンプの使用
    搾乳ポンプを共有すると、ポンプを介した間接的な感染リスクが高まります。自分専用のポンプを使用し、使用後には消毒を徹底しましょう。パーツを取り外して洗浄したうえで、熱湯消毒やアルコール消毒を行うことで衛生状態を維持できます。
  • 定期的なポンプの消毒
    搾乳後は毎回ポンプを消毒し、パーツにウイルスや細菌が残留しないようにすることが大切です。特にCOVID-19流行下では、これまで以上に細心の注意を払って器具を衛生的に保つ必要があります。

これらの対策を実践することで、COVID-19に感染している母親であっても安全に母乳を与えられます。赤ちゃんにとって必要不可欠な免疫と栄養をしっかり提供しつつ、感染リスクを低減できるのが母乳育児の大きなメリットです。

新生児の健康観察と発症時の対応

新生児は免疫システムが未熟なため、健康状態をこまめに観察し、少しの異変でも早めに対処することが求められます。COVID-19に感染するリスクは比較的低いとされていますが、以下のような症状が現れた場合には医療機関に連絡を取りましょう。

  • 発熱
    体温が38度以上になった場合は、すぐに医師の診察を受けることが大切です。新生児は体温調節が未熟であり、わずかな発熱であっても重大な症状に発展することがあります。毎日、同じ時間帯に体温を測る習慣をつけ、変化を見逃さないようにしましょう。
  • 呼吸器症状
    咳や鼻水、呼吸の乱れなどが見られる場合は早急に医療機関へ相談してください。新生児は自身で症状を訴えられないため、呼吸が苦しそう、顔色が悪いなど普段と違う様子がわずかでもあれば受診を検討する必要があります。
  • 消化器症状
    嘔吐や下痢が続く場合は脱水症状を引き起こすリスクがあり、特に注意を要します。母乳やミルクの摂取量が減ると水分不足に陥る可能性があるため、こまめに授乳や水分補給を行い、疑わしい場合は医師に相談するのが望ましいです。
  • 元気がない
    いつもよりぐったりしている、泣く力が弱い、あるいは眠りが極端に深い/浅いなど、普段と異なる様子が続く場合も注意が必要です。小さな変化を見逃さないために、日頃から赤ちゃんの行動パターンを把握し、気になる点があれば早めに専門家に相談しましょう。

新生児の体調は急変しやすいため、何らかの異常が疑われる場合には早急に医療専門家へ連絡することが推奨されます。特にパンデミック下では、病院の受診タイミングを迷う方も多いかもしれませんが、赤ちゃんの健康と安全を最優先に考え、適切な判断を行いましょう。

母乳供給の維持

COVID-19に感染している期間であっても、母乳育児は継続できます。以下のポイントに注意しながら取り組むことで、母乳の供給を安定させることが可能です。

  • 定期的な搾乳
    機械または手での搾乳を定期的に行うことで、乳腺が刺激され母乳の生産が促されます。1日に何回か決まったタイミングで搾乳することでリズムが整い、母体にも負担が少なくなります。乳房の張りや痛みを防ぐうえでも、こまめな搾乳は有効です。
  • 栄養補給
    良質な母乳をつくるためには、母親自身がバランスの良い食事を摂ることが大切です。特に鉄分や葉酸、カルシウムなどを積極的に摂取し、水分補給を怠らないよう注意しましょう。ほうれん草や小松菜、レバーなどの食材を活用しながら、日々の献立を工夫すると良いです。
  • 医師の指導を受ける
    授乳方法やスケジュール管理、栄養バランスに関する具体的なアドバイスは、医療従事者が持つ専門知識を頼るのが最も確実です。定期的な健康チェックを受けることで母体の状態も把握でき、万が一異常があれば早期に対応が可能となります。
  • ストレス管理
    ストレスはホルモンバランスにも影響し、結果として母乳分泌が低下する要因になる可能性があります。深呼吸や軽いストレッチなど、リラックスできる方法を積極的に取り入れ、家族のサポートを得ながら無理せずに育児を続けていきましょう。母親自身の体調を整えることは、赤ちゃんを守るうえでも非常に大切なポイントです。

さらに、ワクチン接種も母親・赤ちゃん双方にとって有益な感染予防策となりえます。WHOの報告によると、ワクチンを接種した母親の母乳にはウイルスに対する抗体が含まれる可能性が指摘されており、新生児の追加的な防御となる可能性が示唆されています。2021年にAmerican Journal of Obstetrics & Gynecologyで発表された研究(Gray KJら, 2021, doi:10.1016/j.ajog.2021.03.023)によれば、妊娠中や授乳中にCOVID-19ワクチンを接種した母親は、ワクチン未接種の母親よりも高いレベルの中和抗体を獲得しやすいと報告されています。また、2022年にBMC Pregnancy and Childbirthに掲載されたシステマティックレビュー(Muñoz FMら, 2022, doi:10.1186/s12884-022-04651-0)でも、妊婦および授乳婦において接種後の安全性および免疫形成に関する肯定的な結果が示されており、これらの研究から得られる知見は国内外の医療現場でも注目されています。

結論と提言

以上の内容を総合すると、母親がCOVID-19に感染している場合でも母乳育児を続けることには大きな価値があります。母乳は栄養と免疫の両面で赤ちゃんにとって最良の選択肢であり、感染予防策を適切に実施することで安全に育児を継続することが可能です。本記事では、母乳育児の利点や感染予防のための具体的な対策、新生児の健康状態の観察ポイント、そして母乳の供給を維持するための方法を解説しました。

特にパンデミック下においては、正確な情報と適切な医療支援が一層重要となります。何らかの症状が疑われる場合や具体的な指導を受けたい場合には、信頼できる医療専門家や公的機関のアドバイスを仰ぎましょう。最終的な判断は各家庭の状況や母子の健康状態によって異なるため、個別の事情を考慮して専門家と相談することが肝要です。

重要な注意
本記事で紹介している情報はあくまで参考情報であり、医療専門家の診断や治療に取って代わるものではありません。育児や健康管理に不安がある場合は、必ず医師や専門家に相談してください。

参考文献

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