乱視は手術で矯正可能か?人気の手術方法とは
眼の病気

乱視は手術で矯正可能か?人気の手術方法とは

はじめに

こんにちは、JHO編集部です。多くの方が悩んでいる視力の問題として、乱視は非常に身近でありながら、しばしば理解が不足しがちな分野でもあります。乱視は角膜や水晶体の形状がわずかに不均一となり、光が網膜上に正確に集まらないことで、視界がぼやけたりにじんだりする状態を指します。日常生活では、教科書やスマートフォンなどの文字が読みにくい、遠くの看板がはっきり見えないといった困りごとが生じることが多く、学業や仕事、車の運転、趣味などに大きな影響を及ぼす場合もあります。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

こうした乱視に対する一般的な対処法としては、メガネやコンタクトレンズの使用がよく知られています。しかし、これらの光学的矯正だけでは不便を感じることもあるため、手術によって乱視を改善し、より快適な視力を得る方法が注目されています。乱視手術は、角膜の形状を適切に修正することで、光を正しく焦点に集め、視界をクリアにすることを目的とするものです。本記事では、乱視手術の考え方から適応条件、実際の手術法、そして術後の生活上の注意点などを総合的に解説します。

また、読者が抱える「どのようなケースで手術を受けられるのか」「どの程度効果があるのか」「リスクや注意点は何か」といった疑問に、最新の知見や具体的な事例を交えつつ掘り下げます。さらに、従来よりも踏み込んだ情報や、より幅広い視点を盛り込み、日常生活における実践的なアドバイスも付け加えています。記事の最後までお読みいただくことで、乱視手術を検討するうえで必要となる基礎知識をしっかりと身につけ、納得感のある決断を下すための参考にしていただければ幸いです。

専門家への相談

本記事の内容は、読者が安心して情報を得られるように、信頼性の高い医療機関や専門組織の資料・研究データを基礎に作成しています。たとえば、長年にわたり質の高い医療情報や臨床研究を提供してきた Mayo Clinic、あるいは広範な診療科を有し多くの臨床研究を行う Cleveland Clinic、公的医療システムとしての実績が豊富な NHS、視覚ケア専門職を代表する American Optometric Association、大学病院として幅広い医療サービスと研究を手がける Penn Medicine、眼の専門医によるガイドラインを発信している American Academy of Ophthalmology、さらに治療機器や医薬品に関する基準を示す FDA など、世界的に評価の高い機関が公表している情報が含まれます。記事末尾の「参考文献」でこれらの詳細な出典をご覧いただけます。

これら権威ある組織の研究データやガイドラインを基にすることで、記事全体の医学的な信頼性が高まり、読者はより安心して乱視手術に関する判断材料を得ることが可能になります。また、実際に医療現場で専門家と対話する際にも、こうした参照資料が議論の土台となることで、よりスムーズかつ納得感のあるカウンセリングに繋がるでしょう。

乱視は手術で治療できるのか?

乱視手術とは、角膜の形状をレーザーなどの技術で補正し、光が網膜上に正確に結像するように調整することで、視力を向上させる治療方法です。これによって、日常的にメガネやコンタクトレンズを使用しなくてはならない不便を減らし、より自然な視界を得ることを目指します。特に以下のような方にとっては、有力な選択肢となり得ます。

  • 視力が安定している成人: 一般的には21歳以上で、ここ数年視力が大きく変動していない方が望ましいとされています。若年層は成長に伴い視力が変化しやすいため、安定後に手術を考えるほうが再度の変化を最小限に抑えられるからです。
  • メガネやコンタクトレンズが不便に感じられる方: 仕事でパソコンを使う時間が多い場合や、スポーツを頻繁に行う場合、あるいはレンズのケアに負担を感じる場合などで、より手軽な視力改善を希望する方に適しています。
  • 重度の乱視でも角膜状態が良好な方: 乱視の度数が高い場合でも、角膜の厚みや形状が問題なく、全身的にも特に大きな制約がないようであれば、手術による改善効果が期待できます。

ただし、乱視手術を受ける際には必ず詳細な検査が行われ、角膜厚や角膜の形状、視力の変動傾向、涙液の状態などを総合的に判断します。これらの情報を踏まえてこそ、最適な手術法を選択し、安全性と効果を高めることができます。

どのようなケースで手術が適さないのか?

手術は万能ではありません。たとえ乱視を大幅に矯正したいという希望があっても、さまざまな要因によって実施が見送られる場合があります。手術適応が限定されるケースとしては、以下のような例が挙げられます。

  • 極端な屈折異常: 乱視や近視・遠視などの度数が非常に高い場合、現在のレーザー技術では十分な矯正が難しいケースがあります。角膜を削る量が過度に大きくなると安全性に問題が生じるため、他の方法(例えば眼内レンズ挿入など)を検討することも少なくありません。
  • 角膜の形状が不安定: 円錐角膜など、角膜の病的変化が進行中の場合、そもそもレーザーで角膜を削ること自体が危険な場合があります。
  • ライフステージや疾患の影響:
    • 年齢的要因: 一般に55歳以上になると、老視(加齢に伴う水晶体の調節力低下)も絡み合い、単純にレーザーで乱視や近視・遠視を矯正するだけでは十分な視力改善を得られない場合があります。この場合は、水晶体そのものを多焦点眼内レンズに置き換えるなど、より根本的な解決が期待できる手術法が選択されることが多くなります。
    • 妊娠・授乳中: ホルモン変化や体液バランスの影響で、視力が一時的に変化しやすい時期です。手術後の視力の安定を確保しにくいため、一般的に手術は見送る傾向にあります。
    • 基礎疾患(糖尿病、自己免疫疾患など)の存在: 術後の回復力が低下したり、感染リスクが高まったりする可能性があるため、眼科医や内科医と連携して慎重に判断を行う必要があります。

このように、手術を受けられるかどうかは、角膜や視力の安定度、全身的な健康状態に関わる複数の要素を総合的に考慮して見極める必要があります。十分な検査とカウンセリングを通じて、専門医と共に最適な選択を模索することが大切です。

乱視に対する手術方法

乱視手術にはいくつかの方法があり、それぞれに特性やリスク、手術後の回復具合などが異なります。以下の手術法は、いずれも近視や遠視など別の屈折異常を同時に矯正できる可能性があるため、乱視だけでなく総合的に視力を改善したい方にも適用されることがあります。

  • LASIK(レーシック)
    角膜表面を薄くフラップ(蓋)状に切り取ったのち、内側をエキシマレーザーで削って角膜形状を調整し、最後にフラップを元に戻す手術法です。
    特徴:

    • 術後の回復が比較的早く、数日~1週間程度で日常生活に戻りやすい。
    • 手術時の痛みが少ないとされる。
    • 具体例: デスクワーク中心で仕事に早く復帰したい方には魅力的な選択肢となる。
  • LASEK(ラセック)
    角膜上皮をアルコール溶液で一時的に剥離し、エキシマレーザーで角膜形状を調整した後、再び上皮を戻す方法です。
    特徴:

    • 角膜が薄くLASIKが難しい場合にも適応可能。
    • 術後、上皮が安定するまでに多少時間がかかり、痛みや異物感がLASIKよりも感じやすい傾向がある。
    • 具体例: 角膜の厚さが不足してレーシックが適応外だった方が、この方法で手術を受けるケースも多い。
  • PRK(フォトリフラクティブケラトミー)
    角膜上皮を完全に取り除き、レーザーで角膜の形状を整え、自然治癒で上皮が再生するのを待つ手術法です。
    特徴:

    • 術後の視力が安定するまでに時間を要するが、角膜がさらに薄い方や強めの近視・乱視にも適応可能。
    • スポーツ等で物理的衝撃を受ける可能性がある方に選ばれることもある(フラップがないためずれが起こりにくい)。
    • 具体例: 激しい運動を伴うスポーツ選手や警察・自衛関連職の方で、角膜の強度をより重視したい場合などに適する。
  • SMILE(スマイル)
    角膜内部にフェムトセカンドレーザーを用いて薄いレンズ状の組織(レンチクル)を作成し、小さな切開部分からそのレンチクルを取り出すことで屈折異常を矯正する比較的新しい手術法です。
    特徴:

    • フラップを作成しないため、角膜の生体力学的強度を保ちやすく、ドライアイのリスクが低減しやすい。
    • 軽度~中等度の近視を中心に有効とされるが、乱視にも対応可能な機種が開発されている。
    • 具体例: ドライアイ傾向が強い人や、できるだけ角膜組織を温存したい人にとって、魅力的な選択肢となる。

上記の手術法のなかでも、LASIKは多くのクリニックで実施される標準的手法としてよく知られています。ただし、実際には患者ごとに角膜の厚み・形状、ライフスタイル、仕事の内容など様々な要素が絡み合うため、最適な方法は個別に判断されます。専門医の診断結果を踏まえ、患者本人の希望とすり合わせることで、満足度の高い結果を得ることが期待できます。

なお、最近ではSMILE手術の普及に伴い、角膜を大きく切開しないことによるメリット(フラップ関連合併症のリスク低減やドライアイ症状の軽減など)に注目が集まっています。Clinical Ophthalmologyに2021年に掲載されたReinsteinらの研究(DOI:10.2147/OPTH.S326306)でも、SMILEは従来のレーシックに比べて角膜組織への負担が軽減し、ドライアイリスクも少ないと報告されています。こうした研究成果は国内外で議論が進んでおり、日本国内でも徐々に導入が進んでいます。

また、重度の乱視を伴う患者に対してもレーシックで高い改善効果を狙う研究が進んでおり、たとえば2020年にBMC Ophthalmologyで発表されたWuらの研究(DOI:10.1186/s12886-020-01660-9)では、中国人成人を対象にレーシックが長期的にも高い矯正効果を維持していることが報告されました。ただし、角膜形状や個々の特性により適応が制限される場合もありますので、必ず専門医との相談が必須となります。

手術後の目のケア

手術後のアフターケアは、視力回復を確実なものにし、合併症を防止するうえで欠かせないプロセスです。レーザー手術であれ眼内レンズ手術であれ、術後の過ごし方定期検診の受け方によって、長期的な視力安定度が大きく左右されます。以下では、代表的な注意点を挙げます。

  • 医師の指示遵守
    手術直後は角膜や周辺組織が非常にデリケートな状態にあります。担当医から指示された点眼薬(抗炎症薬や抗生物質など)や内服薬を、用量・用法どおりにきちんと守ることが重要です。
  • 目をこすらない
    特にフラップを作成するレーシックでは、術後しばらくはフラップの癒着が完全ではありません。むやみに目をこするとフラップの位置ずれや炎症を引き起こす可能性があり、視力低下の原因となり得ます。
  • 化粧や異物侵入の回避
    少なくとも1か月間はアイメイクを控えることが推奨されます。アイメイク用品には細菌が繁殖しやすく、また塗布の際に目を触る機会が増えるため、感染や角膜の負担を避けることが大切です。洗顔や入浴時も、目に直接水や石鹸が入り込まないよう、慎重に行いましょう。
  • 視作業のコントロール
    1週間程度は、パソコンやスマートフォン、テレビなどを長時間使用するのを避ける、あるいは休憩をこまめに入れるなどして視力の安定を促します。無理に視力を酷使すると、角膜回復の遅れやドライアイ症状の悪化を招く場合があります。
  • 入浴・水泳・温泉の制限
    術後1〜2か月は、プールや温泉などに入ることを控えるのが一般的です。雑菌や刺激物が目に入りやすいため、感染リスクや炎症のリスクを高める可能性があります。
  • 飲食習慣の調整
    アルコールや極端に刺激の強い飲食物は、血行や免疫バランスに影響を与える可能性があるため、術後しばらくは摂取を控えることが望ましいとされています。
  • 運動制限
    術後約4週間は激しいスポーツを控えるように指示されることが多いです。軽いウォーキングなどは血流を促進し、ストレスを軽減するメリットもありますが、衝撃が加わるような運動は角膜や術部の負担となるリスクがあるため注意が必要です。
  • 定期検診の受診
    術後の経過を確認し、角膜の状態や視力の安定度、ドライアイや感染症の兆候などをチェックするために、定期検診は欠かせません。もし問題が早期に見つかった場合、迅速に対処が可能となるため、指示どおりのスケジュールで通院しましょう。

これらの術後ケアをしっかりと行うことで、手術で得られた視力改善効果を長期的に維持しやすくなり、より快適な視生活を送りやすくなります。術後はどうしてもケアが面倒に思われることもありますが、数か月単位でみれば大きなメリットを享受できるはずです。

結論と提言

結論

乱視は、角膜や水晶体の形状不均一が原因で視界にゆがみが生じる極めて一般的な屈折異常です。メガネやコンタクトレンズによる補正が選択肢として広く普及していますが、術後のケアを適切に行えば、レーザー手術や眼内レンズ置換などの外科的アプローチによって、長期的かつ安定した視力改善を得られる可能性があります。特に、年齢や角膜の状態、職業・生活習慣などに合った手術法を専門医と共同で検討することで、よりクリアで自然な視界を手に入れることが期待できます。

なお、乱視だけでなく老視や白内障など他の目の問題を同時に抱える方にとっては、レーザーではなく水晶体を多焦点眼内レンズに置き換える方法が有力候補になる場合もあります。これら複数のオプションを比較検討し、自分のライフステージに適した方法を総合的に判断することが大切です。

提言

  • 定期的な眼科検診
    乱視の進行度合いや視力の変動を早期に把握し、適切な時期に手術を検討する材料を得るためには、定期的な検診が欠かせません。乱視以外の疾患(緑内障や網膜疾患など)を早期発見するうえでも非常に有効です。
  • 医療専門家との対話の重視
    手術にはメリットだけでなくリスクも伴うため、不安や疑問点は必ず医師や看護師などの専門家に相談し、納得のいくまで説明を受けることが重要です。手術法の選択や術後のケアなど、個別の状況に合わせたアドバイスを得られるでしょう。
  • 信頼できる情報源の活用
    本記事でも参照したような、世界的に評価の高い医療機関や学会、ガイドラインの情報を積極的に参照することで、正確性の高い知識を身につけることができます。インターネットにはさまざまな情報があふれていますが、信頼度にばらつきがあるため注意が必要です。
  • ライフスタイルと医療の両立
    乱視手術は視力を改善する大きなチャンスですが、術後に一定期間のケアや生活制限が必要となる点は見落とせません。仕事や家事、スポーツなど、日常生活との兼ね合いを考慮し、自分のライフスタイルに合った時期や方法を慎重に選ぶことが望ましいでしょう。
  • 無理をしない・早期受診の推奨
    術後に異常を感じたり、視力低下を自覚したりした場合には、我慢せず早めに受診することが大切です。小さなトラブルでも放置すると大きな問題に発展することがあるため、こまめなフォローアップを怠らないようにしてください。

免責事項と医療機関への相談

本記事の情報はあくまでも一般的な医学知識および参考資料に基づくものであり、個別の診断や治療方針を提示するものではありません。乱視手術を含む屈折矯正手術は、人によっては適応外となる場合や、別の治療法が適している場合もあります。したがって、実際に手術を検討される方は、必ず専門の医療機関で詳細な検査と診断を受け、担当医の指導に従ってください。

乱視を含む視力障害は、放置すると日常生活の質(QOL)に大きく影響を及ぼすことがあります。しかし適切な検査と治療を経ることで、より明瞭で快適な視界を得るチャンスが高まるのも事実です。この記事が、その一助となれば幸いです。


参考文献

補足参考文献(本記事内で言及された研究)

  • Reinstein DZ ら (2021)「Small Incision Lenticule Extraction (SMILE): Current Perspectives」Clinical Ophthalmology, 15, 4089–4100. DOI: 10.2147/OPTH.S326306
  • Wu D ら (2020)「Long-term Efficacy of LASIK for the Correction of High Astigmatism in Chinese Adults」BMC Ophthalmology, 20(1), 384. DOI: 10.1186/s12886-020-01660-9

※この記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。乱視やその他の目の病状に関して気になる点がある場合は、必ず医療専門家に相談してください。

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