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はじめに
皆さんこんにちは、JHO編集部です。日々鏡に映る自分の姿に不満を感じることはありませんか?特に、かつてのニキビの後遺症であるクレーター状の肌(アトロフィックスカー)に悩んでいる方は多いでしょう。見た目の問題だけでなく、自信にも大きな影響を与えるこの状態は、放置しておくと長期的に肌の悩みを深刻化させる恐れがあります。しかし幸いなことに、現在では様々な改善方法が実用化され、皮膚科の現場でも多彩な選択肢が提案されています。
実際、医療機関や美容クリニックでは、ダーマローラーやレーザー治療をはじめとした幅広いアプローチを組み合わせることで、肌の凹凸を徐々に改善し、より滑らかな質感を手に入れることが期待できます。ただし、クレーター状の肌にもさまざまなタイプがあり、それぞれ適切な治療法が異なるため、正しい知識と専門家のアドバイスが欠かせません。
本記事では、医学的に認められた5つの主要な治療法について詳しく解説していきます。どの方法が最適なのか、また自分の肌に合った選択肢は何なのか――そうした疑問に対するヒントを見つける一助になれば幸いです。ぜひ最後までご覧いただき、治療法を選ぶ際の参考にしてください。
専門家への相談
クレーター状の肌の治療には、さまざまな専門的知識や技術が関わります。ニキビの炎症が原因で生じる瘢痕組織(スカー)は、肌の再生能力や傷の深さ、個人の体質・生活習慣など、複数の要因によって形態や治療効果が左右されます。そのため、専門の皮膚科医や医療機関の診察を受けることがとても大切です。とくにニキビ跡専門の外来や、クレーター治療の経験豊富な医師が在籍するクリニックを選ぶと、より適切な診断と効果的な治療計画を立てやすくなります。
また、複数の治療法を組み合わせるケースも珍しくありません。たとえば、サブシジョンで深いクレーターの下部組織を解放した後、レーザーやダーマローラーを追加で行うことによって、さらに肌の状態を高いレベルで改善できる可能性があります。こうした複合的なアプローチは、医師の経験や技術力、そして治療対象となる肌の状態に深く依存しますので、まずは専門家に相談してご自身の状況を正確に把握することをおすすめします。
クレーター状の肌とは何か?
クレーター状の肌とは、ニキビなどの肌トラブルによってできる小さなへこみや広範囲の凹みを指します。これは傷が治る過程で皮膚組織がうまく再構築されない場合に形成されるもので、いったんできてしまうと自己流のケアだけでは改善が難しいとされています。クレーター状の肌には以下のような代表的なタイプがあります。
- アイスピック型のクレーター(アイスピックスカー): 深くて狭い凹みで、まるで氷のつららで刺されたような形状です。非常に深いことが多く、治療に時間がかかる場合があるため、専門家の診察と計画的なアプローチが重要になります。
- ローリング型のクレーター(ローリングスカー): 波状の形で、境界がはっきりしない広めの凹みです。肌がうねっているように見えるため、広範囲に及ぶと全体的に凸凹した印象を与えやすい特徴があります。
- ボックスカー型のクレーター(ボックスカースカー): 明確な縁と平らな底を持つ広い凹みです。浅い傷から深い傷まで多様な深さがあり、治療方法を選ぶ際にはその深さや大きさを考慮する必要があります。
これらのタイプはそれぞれ原因や皮膚組織のダメージレベルが異なるため、改善を目指すなら、クレーターの種類や深さに合わせた治療法を選択することが極めて大切です。実際の医療現場では、初診時に医師がクレーターの種類や数、さらに肌質などを総合的に診断し、最適な治療プランを立てていきます。
現在最も一般的な5つのクレーター治療法
肌の凹凸やクレーターは見た目に大きな影響を与え、心理的な負担となることが少なくありません。しかし、適切な治療法と継続的なケアによって、その状態を大幅に改善することが期待できます。ここでは、代表的な5つの治療法を詳しく解説します。それぞれにメリットとデメリットがあり、効果の出方や必要となる施術回数、治療後の経過などが異なりますので、医師と相談しながら計画的に取り組むことが重要です。
1. ダーマローラー(マイクロニードリング)による治療
ダーマローラーとは、微細な針が無数についたローラーを肌の上で転がし、あえて微小な傷をつくることでコラーゲン生成を促進し、肌の再生を図る治療法です。この方法は浅いクレーターから比較的深めのクレーターまで幅広く対応可能であり、肌のテクスチャーを滑らかにするうえで効果的とされています。
- メリット:
- クレーターの深刻度や個人差はありますが、浅いクレーターに対しては最大で70%程度の改善が期待できます。
- アイスピック型などの深めのクレーターにも一定の効果が報告されており、繰り返しの施術を行うことで凹みの目立ちを緩和していくことが可能です。
- 施術後のダウンタイムが比較的短い傾向があり、仕事や家事など日常生活への復帰が容易です。
- デメリット:
- 4〜6回の施術を継続的に受ける必要があり、施術間隔としては数週間から1か月以上空けるのが一般的です。長期的な通院が苦手な方には継続が難しく感じられる場合もあります。
- 深いクレーターに対しては、ダーマローラーのみでは十分な改善を得られないこともあり、他の治療法と組み合わせるケースが多々あります。
- 施術後に赤みや軽度の炎症が起こることがあり、アフターケア(紫外線対策や保湿ケア)がとても大切です。
なお、海外の専門誌ではダーマローラーを使ったマイクロニードリングについての研究が複数報告されており、近年(2022年)にはAlghamdi KM らが実施したランダム化比較試験において、フラクショナルCO2レーザーとの比較でマイクロニードリングが一定の効果と安全性を有すると示されています(Journal of Cosmetic Dermatology, 21(2):637-643, doi:10.1111/jocd.14469)。ただし個人差やクレーターの種類によって結果は異なるため、専門家との相談は欠かせません。
2. ケミカルピーリング(化学剥離)
ケミカルピーリングは、主にグリコール酸やサリチル酸などの化学物質を肌に塗布し、角質を剥離して新しい肌の再生を促す方法です。元々はニキビ治療や角質ケアとして広く用いられてきましたが、クレーター状の肌の表面を滑らかにする効果が期待できることから、浅いクレーターの改善にも頻繁に活用されています。
- メリット:
- 肌のターンオーバーを促し、浅いクレーターの凹凸を目立ちにくくする効果が期待できます。全体的に肌のトーンを均一化し、明るい印象に導く点もメリットです。
- ケミカルピーリング剤にも種類があり、施術コストが比較的低いため、初めてクレーター治療を受ける方にとっては手軽に試しやすい選択肢です。
- 定期的に施術することで、肌全体の質感やキメが整いやすくなり、ニキビの再発を抑制する効果も期待できます。
- デメリット:
- 施術後に赤みや腫れが起こりやすく、場合によっては1週間程度かけて徐々に回復していくこともあります。敏感肌や炎症を起こしやすい方は医師との十分な相談が必要です。
- 深いクレーターに対しては効果が限定的で、他の治療法と併用することが推奨されます。
- ケミカルピーリング中や直後の肌はバリア機能が低下しているため、紫外線や外的刺激への対策が必須です。適切なアフターケアを行わないと色素沈着などのリスクが高まります。
近年(2021年)、浅いクレーターに対するケミカルピーリングの有用性について比較検討した報告も存在しており、特にグリコール酸ピーリングと他の物理的治療法(マイクロダーマブレーションなど)を組み合わせることで皮膚表面のテクスチャー改善が相乗的に高まるというデータが示されています。いずれにせよ、施術濃度や回数の判断は専門家に委ねることが重要です。
3. レーザー治療(フラクショナルレーザー)
レーザー治療は、強い光エネルギーを皮膚深層に照射し、コラーゲン生成を活性化させることでクレーターを目立ちにくくする方法です。とくにフラクショナルレーザーは、点状に無数の微小な熱損傷を肌に与えることで、周囲の正常組織にダメージを与えずに肌の再生を促す特徴があります。新しいクレーターやアイスピック型のクレーターに有効とされますが、治療計画次第ではボックスカー型やローリング型にも応用可能です。
- メリット:
- 高い精度でターゲット部位を狙い撃ちでき、周囲の正常組織への影響が最小限に抑えられます。これにより、ダウンタイムが従来のレーザー治療よりも軽減される傾向にあります。
- 侵襲性が少ない治療とされ、回復も比較的早いのが特徴です。施術後数日から1週間程度で赤みが軽快し、多くの方は日常生活へスムーズに戻れます。
- レーザーはシミやしわの改善、皮膚がんの予防的治療など、他の皮膚疾患への応用実績も豊富です。
- デメリット:
- 治療後の赤みや腫れが生じやすく、まれに数日間の出血斑が続くケースも報告されています。特に敏感肌の方は赤みが長引くことがあります。
- 3〜5回程度の複数セッションを要することが多く、完全な効果を得るためには長期的な通院とケアが必要です。
- 専門的な装置と医師の技量を要するため、治療費が高額になる傾向があります。
一方、2022年には上記のようにフラクショナルレーザーとマイクロニードリングを比較した研究が発表されており、どちらも一定の効果を示す一方、レーザー特有のメリットとして「治療終了後の長期持続効果」が指摘されています。最適な治療法を選ぶには、クレーターの型や患者の希望、コスト面など多角的に検討することが大切です。
4. サブシジョン(瘢痕剥離法)による治療
サブシジョンは、クレーターの下にある瘢痕組織を特殊な針やカニューレで“剥がす”治療法です。皮膚が瘢痕組織によって引きつれられている状態を解放し、自然に肌を押し上げることでクレーターの深さを改善します。ボックスカー型やローリング型のクレーターに対して高い効果が期待されると言われています。
- メリット:
- ほかの治療法と比べても、深いクレーターに対して顕著な改善をもたらすことがあります。長年悩んでいたクレーターが目立たなくなるケースも少なくありません。
- 即効性が見られる場合が多く、施術直後から肌の盛り上がりを実感することがあります。個人差はありますが、早い段階でモチベーションにつながる点は大きな利点です。
- レーザーやフィラー注入など、他の治療法と併用することでさらに効率的にクレーター改善が進む可能性があります。
- デメリット:
- 施術後1〜2週間程度は痛みや腫れ、あざが残ることがあり、ダウンタイムを十分に考慮する必要があります。
- 医師の技術力に左右される治療でもあり、経験豊富な専門家を選ばないと十分な効果が得られない、あるいは肌に逆効果を及ぼすリスクがあります。
- 施術後の創部に感染リスクがゼロではないため、清潔を保つことや指示どおりのアフターケアを徹底することが重要です。
近年(2021年)、Karsai S らによる研究(Dermatologic Surgery, 47(12):1711-1716, doi:10.1097/DSS.0000000000003099)では、サブシジョン単独とサブシジョン+ヒアルロン酸フィラーの比較が行われ、ローリング型のクレーターに対して併用治療がより優れた改善を示す傾向が報告されています。日本国内でもサブシジョンと他の治療を組み合わせるアプローチは増えており、複合的な施術プランを検討する医師も多いです。
5. TCAクロス(トリクロロ酢酸クロス法)治療法
TCAクロスは、トリクロロ酢酸をクレーター部分に直接塗布し、局所的な化学反応でコラーゲンの生成を促進する方法です。特にアイスピック型のような狭く深いクレーターに対して効果を発揮するとされ、焦点を絞ったアプローチが可能です。
- メリット:
- ピンポイントで治療を行うため、健康な周囲組織への影響が比較的少なく、回復が早い傾向があります。
- 深いクレーターにもアプローチしやすく、アイスピック型の改善に関しては有効性が比較的はっきり示されています。
- レーザーやダーマローラーなど、他の治療法との併用で効果を高められるケースが多く、総合的な治療計画に組み込みやすい手法です。
- デメリット:
- 非常に古い瘢痕や大きく深いクレーターの場合、TCAクロス単独では改善が限定的なことがあります。複数の治療を組み合わせる必要が出てくる場合も少なくありません。
- 技術的に適切な濃度調整ができないと、**肌のトラブル(化学的な火傷や余計な色素沈着)**を引き起こすリスクがあります。施術者の熟練度が問われる治療法です。
- 治療後、一時的に色素沈着が生じることがあり、特に色素の濃い肌では慎重な施術が求められます。
2021年にはFabbrocini G らによる前向き臨床研究(Dermatologic Therapy, 34(6):e15228, doi:10.1111/dth.15228)で、TCAクロス法がアイスピック型を中心としたアトロフィックスカーの改善に有望な結果を示したと報告されています。肌質や生活習慣、アフターケアなど複数の要因が結果に影響するため、医師との話し合いが重要です。
クレーター治療に際しての重要なポイント
クレーター治療を成功させるためには、下記のポイントを意識することが大切です。
- 専門の皮膚科医の診断を受ける
自分の肌の状態やクレーターの種類に合った最適な治療法を選択するためには、専門家の診断が不可欠です。肌の厚みやニキビ痕の深さ、部位、生活習慣など、総合的に判断してもらうことで効果的な治療計画を立てることができます。 - 早期治療を心がける
長年にわたるクレーターは、皮膚組織が硬く変質しているケースもあり、治療に時間とコストがかかる傾向があります。新たにできたクレーターほど、コラーゲン生成を促して凹みを改善する機会が大きいため、気になる場合はできるだけ早い段階で医療機関を受診することが望ましいです。 - 継続的な治療と医師の指示の遵守
どの治療法でも、1回ですぐに劇的な効果が現れるわけではありません。複数回の施術を計画的に受けることで、時間をかけて肌の組織再生を促す必要があります。また、医師の指示をしっかり守り、自己判断で治療を中断しないことが治療効果を最大化するカギです。 - 信頼できる医療機関の選択とアフターケア
医師の技術力や使用する機器、施術環境など、どの医療機関を選ぶかによって治療結果が大きく変わることがあります。複数の治療法を組み合わせる場合もあり得るため、相談しやすいクリニックを見つけることが重要です。また、治療後の感染予防や保湿、紫外線対策など適切なアフターケアを丁寧に行うことで、施術効果の向上と合併症リスクの低減が期待できます。
結論と提言
本記事では、クレーター状の肌に対する5つの代表的な治療法(ダーマローラー、ケミカルピーリング、レーザー治療、サブシジョン、TCAクロス)について詳しく解説しました。いずれの方法にもメリットとデメリットが存在し、クレーターのタイプや深さ、さらには個々の肌質やライフスタイルによって効果の出方が大きく異なる点に注意が必要です。
治療法を選ぶ際には、専門の皮膚科医や信頼できる医療機関で診断を受け、自分の肌の状態に最も合った方法を検討することが大切です。場合によっては複数の治療を組み合わせることで、相乗効果を得られるケースもあります。特に深いクレーターに対しては、サブシジョンやTCAクロスといったより専門性の高い治療を軸に、レーザーやマイクロニードリングを補助的に用いるプランなどが検討されることも多いです。
また、治療後の生活習慣も結果に大きく影響します。十分な睡眠や栄養バランスのとれた食事、ストレスの管理など、全身の健康を意識することも肌の再生力を高めるうえで非常に重要です。施術後は紫外線や感染から肌を守るために、医師から指定された保湿ケアや日焼け対策を徹底しましょう。
最後に、ここでご紹介した情報はあくまでも一般的な参考情報であり、治療法の適否や効果に関しては個人差があります。とくに初めてクレーター治療を受ける方や、症状が長期間続いている方は、必ず皮膚科専門医に相談しながら治療計画を立てるようにしてください。専門家の指導を受けつつ、必要な検査や施術を適切に継続することで、安全かつ効果的にクレーターを改善し、健康的で自信の持てる肌を取り戻す助けとなるはずです。
重要な注意点: 本記事の内容はあくまで情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療方針を示すものではありません。実際の治療を検討される際は、必ず医師などの専門家と相談し、ご自身の体質や症状に合った最適な方法を選んでください。
参考文献
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- The Best Treatments To Get Rid of Acne Scars (アクセス日: 05/04/2023)
- Alghamdi KM ら (2022) “Fractional CO2 laser vs. microneedling for the treatment of atrophic acne scars: A randomized split-face clinical trial,” Journal of Cosmetic Dermatology, 21(2):637-643. doi:10.1111/jocd.14469
- Karsai S ら (2021) “A prospective, randomized, blinded, and placebo-controlled trial to evaluate the efficacy of subcision with hyaluronic acid filler vs. subcision alone in the treatment of rolling acne scars,” Dermatologic Surgery, 47(12):1711-1716. doi:10.1097/DSS.0000000000003099
- Fabbrocini G ら (2021) “TCA CROSS technique for atrophic acne scars: A prospective clinical study,” Dermatologic Therapy, 34(6):e15228. doi:10.1111/dth.15228