悪性貧血のすべて:原因、症状、最新治療法を専門医が徹底解説
血液疾患

悪性貧血のすべて:原因、症状、最新治療法を専門医が徹底解説

「悪性貧血」という病名を聞いて、深刻な病気ではないかと大きな不安を感じる方は少なくありません。しかし、その「悪性」という言葉は歴史的な背景によるもので、現代医学においてはこの病気はがんと全く関係がなく、適切に管理できる疾患です。この記事は、JapaneseHealth.org編集委員会が、最新かつ信頼性の高い医学的根拠に基づき、悪性貧血の正しい知識を包括的に提供することを目的としています。悪性貧血の正体、その多岐にわたる症状、正確な診断方法、そして生涯にわたる治療と健康管理の要点まで、専門的な観点から深く、そして分かりやすく解説します。この記事を通じて、患者さんとそのご家族が病気への不安を解消し、前向きに治療と向き合うための一助となることを目指します。

本記事の科学的根拠

この記事は、引用元として明記された最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下に示すリストは、実際に参照された情報源と、提示された医学的ガイダンスとの直接的な関連性を示したものです。

  • 世界保健機関(WHO)、米国国立医学図書館(NLM)、英国国民保健サービス(NHS)などの公的機関: 悪性貧血の定義、症状、治療法に関する一般的な医学情報や公衆衛生上の指針は、これらの機関が提供する信頼性の高い情報に基づいています。
  • 日本血液学会、日本内科学会: 日本国内における診断基準、治療ガイドライン、特に大球性貧血の鑑別診断フローや内視鏡検査の重要性に関する記述は、これらの学会が定める標準的な診療指針を参考としています5162833
  • Frontiers in Medicine誌、New England Journal of Medicine誌などの査読付き医学雑誌: 経口ビタミンB12補充療法の有効性や、診断における血清マーカーの解釈、病態生理に関する最新の研究成果は、これらの学術論文で発表されたエビデンスに基づいています1535
  • StatPearls、MSDマニュアルなどの専門家向け医学データベース: 悪性貧血の疫学、リスク因子、他の自己免疫疾患との関連性、神経症状の詳細なメカニズムに関する専門的な解説は、これらのデータベースに集約された専門家の知識に基づいています71011

要点まとめ

  • 悪性貧血は「がん」ではなく、胃の自己免疫疾患が原因でビタミンB12が吸収できなくなる病気です。
  • 治療法は確立されており、注射や高用量の経口薬による生涯のビタミンB12補充で、健康な生活を送ることが可能です。
  • 貧血症状だけでなく、手足のしびれなどの「神経症状」が重要なサインです。後遺症を防ぐため早期発見・早期治療が不可欠です。
  • 根本原因である「萎縮性胃炎」により胃がんのリスクが高まるため、定期的な胃カメラ検査が生涯にわたって非常に重要です。
  • 高齢者では、認知症と間違われることがあるため注意が必要です。悪性貧血は「治療可能な認知症」の原因の一つです。

第1部:悪性貧血とは?-その正しい理解のために

悪性貧血という病名は、診断された患者さんやそのご家族に大きな不安を与えることがあります。しかし、この病気について正しく理解することが、不安を和らげ、適切な治療に向き合うための第一歩となります。本セクションでは、悪性貧血の基本的な知識、その歴史的背景、そして現代医学における正確な位置づけについて詳しく解説します。

1.1. 「悪性」という名前の誤解を解く:歴史的背景と現代の治療

悪性貧血の「悪性」という言葉は、しばしば「悪性腫瘍(がん)」を連想させ、深刻な誤解を生むことがあります。まず最も重要な点として、悪性貧血はがんではありません。この名称は、治療法が確立されていなかった19世紀から20世紀初頭にかけての歴史的な経緯に由来します1。「Pernicious」という英語の原語は「致命的な」「破壊的な」という意味を持ちます1。ビタミンB12の役割が解明される以前、この病気は原因不明で有効な治療法がなく、発症すると多くの場合、死に至る予後不良の疾患でした1。そのため、「悪性の」貧血と呼ばれていたのです。しかし、1920年代以降の研究で、この病気がビタミンB12の欠乏によって引き起こされることが発見され、ビタミンB12の補充療法が確立されました。今日では、悪性貧血は原因が明確に解明され、治療法も確立された疾患です2。適切な治療を生涯にわたって継続することで、ほとんどの患者さんは症状をコントロールし、健康な人と変わらない日常生活を送ることが可能です1。したがって、その歴史的な名称とは裏腹に、現代において悪性貧血は「治癒可能な(管理可能な)疾患」と認識されています。この事実を最初に理解することは、病気に対する過度な恐怖心を取り除き、前向きに治療に取り組む上で極めて重要です。

1.2. 悪性貧血の正確な定義:自己免疫疾患としての一面

悪性貧血は、単なる貧血やビタミンB12不足とは一線を画す、特定の病態を指します。医学的に、悪性貧血は「巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)」の一種であり、その根本的な原因は「自己免疫疾患」にあります5。具体的には、体内の免疫システムが異常をきたし、自分自身の正常な細胞を異物と誤認して攻撃してしまう自己免疫反応が病気の引き金となります8。悪性貧血の場合、免疫システムが攻撃の標的とするのは、胃の粘膜に存在する「壁細胞(へきさいぼう)」と、この壁細胞が産生する「内因子(ないいんし)」というタンパク質です5。この自己免疫攻撃の結果、胃粘膜は慢性的な炎症を起こし、萎縮していきます(萎縮性胃炎)。そして、食物からのビタミンB12の吸収に不可欠な内因子が欠乏することで、ビタミンB12欠乏症に陥ります2。ビタミンB12は、正常な赤血球を骨髄で作り出すために必須の栄養素です。これが不足すると、赤血球の成熟が阻害され、骨髄内に「巨赤芽球」と呼ばれる巨大で未熟な赤血球前駆細胞が蓄積します11。これらの異常な細胞は脆く、正常に機能しないため、結果として貧血状態(酸素運搬能力の低下)を引き起こすのです13

1.3. 体内で何が起きているのか? – ビタミンB12吸収のメカニズムと破綻

悪性貧血の病態を深く理解するためには、正常なビタミンB12の吸収プロセスと、それがどのようにして破綻するのかを知ることが不可欠です。

正常なビタミンB12吸収のメカニズム

  1. 摂取と放出: 私たちが食事(主に肉、魚、卵、乳製品などの動物性食品)から摂取したビタミンB12は、まず胃の中で胃酸の働きにより食物中のタンパク質から切り離されます14
  2. Rタンパク質との結合: 切り離されたビタミンB12は、唾液や胃液に含まれるRタンパク質(ハプトコリン)と結合し、胃酸による分解から保護されます14
  3. 内因子との結合: 胃から十二指腸に送られると、膵臓から分泌される酵素によってRタンパク質が分解され、ビタミンB12が遊離します。ここで、胃の壁細胞から分泌された内因子(Intrinsic Factor, IF)が、遊離したビタミンB12と強固に結合します4
  4. 回腸での吸収: ビタミンB12と内因子の複合体(B12-IF複合体)は、小腸の最終部分である回腸末端(かいちょうまったん)まで運ばれます。そして、回腸の粘膜上皮細胞にある専用の受容体(キュバム受容体)に結合し、体内に吸収されます2

悪性貧血における吸収メカニズムの破綻

悪性貧血では、この精巧な吸収システムが自己免疫反応によって破壊されます5

  • 抗壁細胞抗体(Anti-Parietal Cell Antibody, APCA): この抗体は、内因子と胃酸を分泌する胃の壁細胞そのものを攻撃します。これにより壁細胞が破壊され、慢性的な萎縮性胃炎が引き起こされます。結果として、内因子の産生能力が著しく低下します5
  • 抗内因子抗体(Anti-Intrinsic Factor Antibody, IFAB): この抗体は、産生された内因子に直接結合し、その働きを阻害します。ビタミンB12が内因子に結合するのを妨げるタイプ(ブロッキング抗体)と、B12-IF複合体が回腸の受容体に結合するのを妨げるタイプ(結合抗体)があります7

これらの自己抗体の働きにより、たとえ食事から十分な量のビタミンB12を摂取しても、内因子が不足しているため回腸末端で吸収することができず、体外に排出されてしまいます。これが、悪性貧血におけるビタミンB12欠乏の根本的な原因です。

1.4. 悪性貧血とその他のビタミンB12欠乏症との違い

ビタミンB12欠乏症を引き起こす原因は悪性貧血だけではありません。正しい診断と長期的な管理方針を立てるためには、これらの原因を正確に区別することが極めて重要です。なぜなら、原因によって治療法や、特に胃がん検診などの長期的なフォローアップの必要性が異なるからです。

悪性貧血以外の主なビタミンB12欠乏症の原因

  • 食事からの摂取不足: ビタミンB12は主に動物性食品に含まれるため、サプリメントを摂取しない厳格な菜食主義者(ヴィーガン)や、極端な偏食、過度なダイエットを長期間続けている場合に欠乏することがあります6
  • 胃の切除手術後: 胃を全摘出した場合、内因子を産生する壁細胞が完全になくなるため、ビタミンB12の吸収が不可能になります。胃の一部を切除した場合(胃バイパス手術など)でも、内因子の産生が大幅に減少し、欠乏症のリスクが高まります6
  • 小腸の疾患や切除: ビタミンB12が吸収される回腸末端に影響を及ぼす疾患、例えばクローン病やセリアック病、あるいは回腸を切除する手術を受けた場合、吸収障害が起こります6
  • 薬剤の影響: 糖尿病治療薬であるメトホルミンや、胃酸分泌を抑制するプロトンポンプ阻害薬(PPI)などを長期間服用していると、ビタミンB12の吸収が阻害されることがあります18
  • その他の原因: 小腸内での細菌の異常増殖(SIBO)や、魚の生食で感染する広節裂頭条虫(こうせつれっとうじょうちゅう)という寄生虫が体内のビタミンB12を消費してしまうことでも欠乏症が起こり得ます2

悪性貧血は、これらの原因の中で唯一「自己免疫」を根本的なメカニズムとするものです。この自己免疫性の萎縮性胃炎は、単にビタミンB12の吸収を妨げるだけでなく、それ自体が胃がんや胃カルチノイド腫瘍の発生リスクを高めることが知られています4。したがって、悪性貧血と診断された場合は、ビタミンB12の補充療法に加えて、定期的な内視鏡検査による胃がんのサーベイランス(監視)が不可欠となります。これは、食事性欠乏や薬剤性欠乏など他の原因とは異なる、悪性貧血特有の重要な管理ポイントです。

表1:悪性貧血とその他のビタミンB12欠乏症の比較

特徴 悪性貧血 (Pernicious Anemia) 食事性欠乏 (Dietary Deficiency) 胃切除後 (Post-Gastrectomy) 腸疾患 (Intestinal Disease)
根本的な病態 自己免疫性萎縮性胃炎 ビタミンB12の摂取不足 内因子産生細胞の物理的喪失 回腸末端での吸収障害
内因子 (Intrinsic Factor) 産生低下または機能不全(自己抗体による) 正常 産生低下または喪失 正常(吸収部位に問題)
胃がんリスク 高い 通常リスク 高い(手術の種類による) 疾患による(クローン病など)
治療の主目的 ビタミンB12補充と胃がんサーベイランス 食事改善またはビタミンB12補充 ビタミンB12補充 原疾患の治療とビタミンB12補充

この表は、なぜ正確な原因特定が重要なのかを視覚的に示しています。悪性貧血は単なる栄養欠乏ではなく、生涯にわたる特別な注意を要する全身性の自己免疫疾患であるという認識を持つことが、適切な自己管理への第一歩となります。

第2部:症状と原因

悪性貧血の症状は非常に多岐にわたり、ゆっくりと進行するため、初期段階では気づかれにくいことが少なくありません。しかし、早期にサインを捉え、適切な治療を開始することが、特に神経症状の不可逆的な進行を防ぐ上で極めて重要です。ここでは、注意すべき症状のチェックリストと、発症の背景にある原因やリスク要因について詳しく解説します。

2.1. 気づきにくい初期症状から重篤なサインまで:症状のチェックリスト

体内のビタミンB12は肝臓に貯蔵されており、その貯蔵量は通常3~5年分にもなります21。そのため、吸収障害が始まっても、すぐに欠乏症状が現れるわけではありません。症状は数年かけてゆっくりと進行するため、多くの人は体調の変化に慣れてしまい、病気と認識しないまま過ごしてしまうことがあります1。悪性貧血の症状は、大きく分けて「貧血に共通する症状」「神経系の特徴的な症状」「消化器系の特徴的な症状」「精神症状」の4つに分類できます。

① 貧血に共通する症状 (General Anemic Symptoms)

これらは赤血球が減少し、全身の組織に酸素が十分に行き渡らなくなるために生じます。

  • 労作時の息切れ、動悸: 階段の上り下りや少し速く歩くだけで息が切れたり、心臓がドキドキしたりします6
  • 倦怠感、疲労感: 十分に休んでも疲れが取れず、常にだるさを感じます1
  • めまい、立ちくらみ: 急に立ち上がった時などに、ふらついたり目の前が暗くなったりします6
  • 顔色不良(蒼白): 皮膚や粘膜が青白く見えます。時に、軽度の黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)を伴うこともあります1
  • 頭痛、胸痛、食欲不振なども見られることがあります1

② 神経系の特徴的な症状 (Specific Neurological Symptoms)

ビタミンB12は神経細胞の機能を維持する髄鞘(ミエリン鞘)の形成に不可欠なため、欠乏すると神経系に深刻な障害を引き起こします。これはビタミンB12欠乏症に非常に特徴的な症状であり、最も注意すべきサインです。

  • 手足のしびれ、ピリピリ感(錯感覚): 特に足の裏や指先に、正座の後のようなジンジン、ピリピリとした感覚が現れます5
  • 歩行障害、ふらつき(運動失調): バランスが取りにくくなり、歩行が不安定になります。暗い場所で特にふらつきが強くなることがあります22
  • 位置覚・振動覚の低下: 目を閉じると自分の手足がどこにあるか分からなくなったり、振動を感じにくくなったりします22
  • 筋力低下: 手足に力が入りにくくなります25
  • 認知機能の低下: 記憶力の低下、集中困難、判断力の低下など、認知症と間違われるような症状が現れることがあります6
【極めて重要な注意点】
これらの神経症状が、貧血の症状が現れる前に出現したり、あるいは貧血が軽度であるにもかかわらず重度の神経症状が見られたりすることがあるという点です7。貧血の治療によって血液データは比較的速やかに改善しますが、一度進行してしまった神経障害は回復が遅く、治療開始が遅れると永続的な後遺症として残る可能性があります4。したがって、「貧血気味ではないから大丈夫」と自己判断せず、持続するしびれやふらつきなどの神経症状があれば、専門医に相談することが不可欠です。

③ 消化器系の特徴的な症状 (Specific Gastrointestinal Symptoms)

  • ハンター舌炎(Hunter’s glossitis): 舌の表面にある乳頭が萎縮し、赤く、平滑になります。食べ物がしみたり、灼熱感を伴ったりすることがあります。これは悪性貧血に特徴的な所見の一つです5
  • 食欲不振、下痢、便秘: 消化器系の機能低下により、食欲がなくなったり、便通の異常が見られたりします6

④ 精神症状 (Psychiatric Symptoms)

ビタミンB12欠乏は脳の機能にも影響を与え、以下のような精神症状を引き起こすことがあります。

  • 抑うつ、無気力: 気分が落ち込み、何事にもやる気が起きなくなります7
  • 易刺激性(イライラしやすくなる)、性格の変化: 些細なことで怒りっぽくなるなど、以前とは性格が変わったように感じられることがあります7
  • 錯乱、幻覚: 重症化すると、意識が混乱したり、幻覚が見えたりすることもあります7

2.2. なぜ発症するのか? – 主な原因とリスク要因

悪性貧血の根本原因は、前述の通り「自己免疫の異常」ですが、特定の要因を持つ人は発症のリスクが高いことが知られています。

  • 自己免疫の異常 (Autoimmune Malfunction): これが悪性貧血の直接的な原因です。何らかのきっかけで免疫システムが胃の壁細胞や内因子を「敵」とみなし、攻撃を開始してしまいます。なぜこのような自己免疫反応が起こるのか、その正確な引き金はまだ完全には解明されていません18
  • 遺伝的素因と家族歴 (Genetic Predisposition and Family History): 悪性貧血は家族内で発症することがあり、特定の遺伝的背景が発症しやすさに関与していると考えられています7。血縁者に悪性貧血の患者さんがいる場合、発症リスクは高まります。
  • 関連する自己免疫疾患 (Associated Autoimmune Conditions): 悪性貧血は、他の自己免疫疾患と合併することが非常に多いという特徴があります。これは、根底に共通した免疫系の調節異常が存在することを示唆しています。特に以下の疾患を持つ人は、悪性貧血を発症するリスクが高いと考えられています。
    • 1型糖尿病7
    • 自己免疫性甲状腺疾患(橋本病、バセドウ病など)7
    • 白斑(はくはん)26
    • アジソン病(副腎皮質機能低下症)26
    • 関節リウマチ10

これらの自己免疫疾患をすでに診断されている方が、原因不明の疲労感やしびれなどの新たな症状に気づいた場合、悪性貧血の可能性を念頭に置いて医師に相談することが重要です。

  • 年齢と性別 (Age and Gender): 悪性貧血はどの年齢でも発症する可能性がありますが、一般的には60歳以上の高齢者に最も多く見られます1。性別では、やや女性に多い傾向があります1
  • 人種 (Ethnicity): 疫学的には、北欧(スカンジナビアなど)や西ヨーロッパ系の人々で有病率が高いと報告されています。一方で、アジア系の人々では有病率が比較的低いとされています7

これらのリスク要因を理解することは、自分や家族がどの程度のリスクを持っているかを把握し、疑わしい症状が出た際に早期に医療機関を受診するきっかけとなります。特に、他の自己免疫疾患を持つ方は、定期的な健康診断に加え、体調の微妙な変化にも注意を払うことが推奨されます。

第3部:日本の医療現場における診断

悪性貧血の診断は、患者さんの症状や病歴の聴取から始まり、一連の血液検査や特殊検査を経て確定されます。日本の医療現場では、日本血液学会や日本内科学会などの診療ガイドラインに基づいた標準的なアプローチが取られています。ここでは、診断に至るまでの具体的なステップと、各検査が持つ意味について詳しく解説します。

3.1. 診断へのステップバイステップガイド:問診から確定診断まで

診断プロセスは、まず医師による丁寧な問診と身体診察から始まります6

  • 問診: 医師は以下のような点について詳しく質問します。
    • 症状: いつから、どのような症状があるか(息切れ、しびれ、舌の痛みなど)33
    • 既往歴: 胃の手術歴、クローン病などの消化器疾患、糖尿病や甲状腺疾患などの自己免疫疾患の有無19
    • 家族歴: 血縁者に悪性貧血や他の自己免疫疾患の患者さんがいるか33
    • 食生活: 菜食主義など、ビタミンB12摂取が少なくなるような食生活を送っていないか19
    • 服用中の薬剤: メトホルミンや胃薬(PPI)などを長期間服用していないか。
  • 身体診察: 医師は視診、触診、聴診などを行い、以下のような悪性貧血を示唆する所見がないかを確認します。
    • 皮膚や眼瞼結膜の蒼白、眼球結膜の黄疸33
    • 舌の状態(赤く平滑になっていないか、ハンター舌炎の所見)28
    • 神経学的診察(手足の感覚、振動覚、反射、歩行の安定性など)7

これらの問診と身体診察で悪性貧血が疑われた場合、診断を確定するために血液検査やその他の専門的な検査に進みます。

3.2. 血液検査でわかること:貧血のタイプと重症度

血液検査は、貧血の有無、種類、重症度を客観的に評価し、診断の方向性を決定するための最初の重要なステップです。

  • 血算(けっさん、Complete Blood Count – CBC):
    • ヘモグロビン(Hb)値の低下: 貧血の基本的な指標です。
    • 平均赤血球容積(MCV)の高値: 悪性貧血の診断において最も重要な手がかりの一つです。赤血球一つひとつの平均的な大きさを表す指標で、正常値(約83~100 fL)を超える「大球性貧血(たいきゅうせいひんけつ)」であることが特徴です16。悪性貧血では、MCVが120 fLを超えることも珍しくありません16
    • 白血球・血小板の減少: 重症化すると、赤血球だけでなく白血球や血小板の産生も障害され、汎血球減少症を呈することがあります19
  • 末梢血塗抹標本(まっしょうけつとまつひょうほん):採取した血液をスライドガラスに薄く塗り、染色して顕微鏡で観察する検査です。これにより、赤血球や白血球の形態を詳細に評価できます。悪性貧血では、以下のような特徴的な所見が見られます。
    • 大楕円赤血球(Macro-ovalocytes): 通常の円盤状ではなく、大きくて楕円形をした赤血球27
    • 過分葉好中球(Hypersegmented neutrophils): 通常は3~5つに分かれている好中球(白血球の一種)の核が、6つ以上に過剰に分かれている状態27。これはビタミンB12欠乏によるDNA合成障害を強く示唆する所見です。
  • 血清ビタミンB12値:血中のビタミンB12濃度を直接測定します。一般的に、200 pg/mL未満で欠乏状態と判断されます20
    ビタミンB12値の解釈における注意点
    診断を進める上で、血清ビタミンB12値の測定結果には注意深い解釈が必要です。なぜなら、悪性貧血の患者さんの一部では、体内のビタミンB12が実際に欠乏しているにもかかわらず、血液検査の値が「偽正常値」あるいは「偽高値」を示すことがあるからです7。これは、血中に存在する抗内因子抗体が検査キットの測定系に干渉し、見かけ上の値を高くしてしまうために起こります。この現象は、診断の遅れや誤診につながる可能性があるため、非常に重要な臨床的課題です。したがって、典型的な症状(特に神経症状)や末梢血塗抹標本の所見があるにもかかわらず、ビタミンB12値が正常範囲内であったとしても、悪性貧血の可能性を安易に否定すべきではありません。このような場合には、後述するより特異的な検査に進む必要があります。

3.3. 確定診断の鍵となる特殊検査

血液検査でビタミンB12欠乏による大球性貧血が強く疑われた場合、その原因が悪性貧血(自己免疫)であることを証明するために、以下の特殊な検査が行われます。

  • 自己抗体の測定:
    • 抗内因子抗体(IFAB): この抗体の存在は、悪性貧血の確定診断において最も特異性が高い(陽性であれば、ほぼ確実に悪性貧血であると言える)検査です7。しかし、感度は40~60%とそれほど高くなく、悪性貧血の患者さんでも陰性となる場合があります。したがって、抗内因子抗体が陰性であっても、悪性貧血を完全に否定することはできません26
    • 抗胃壁細胞抗体(APCA): 感度は約90%と高いですが、特異性は低く、健常な高齢者や他の自己免疫疾患でも陽性になることがあります5。そのため、補助的な診断材料として用いられます。
  • 代謝マーカーの測定:血清ビタミンB12値が境界域である場合や、偽正常値が疑われる場合に特に有用な検査です。ビタミンB12は体内の代謝酵素の補酵素として働くため、B12が欠乏すると、その酵素が担当する代謝物(基質)が血中に蓄積します。
    • 血清メチルマロン酸(MMA): ビタミンB12欠乏に特異的に上昇するマーカーで、組織レベルでのB12欠乏を鋭敏に反映します4
    • 血清ホモシステイン: ビタミンB12欠乏と葉酸欠乏の両方で上昇します14
  • 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)と生検:悪性貧血の診断と長期管理において、内視鏡検査は極めて重要な役割を果たします。日本の臨床現場では特に重視されています2
    • 診断: 内視鏡で胃の内部を直接観察し、悪性貧血の背景にある萎縮性胃炎(特に胃体部優位の萎縮)の存在を確認します5。同時に組織の一部を採取(生検)し、病理学的に萎縮の程度や炎症の状態を評価します。
    • がんのスクリーニング: 悪性貧血の患者さんは胃がんや胃カルチノイド腫瘍の発生リスクが高いため、診断時にこれらの悪性疾患が併存していないかを確認する目的でも行われます5

3.4. 日本の診療ガイドラインの視点

日本の医療現場における悪性貧血の診断と治療は、日本血液学会や日本内科学会が発行する診療ガイドラインに準拠して行われます5。これらのガイドラインは、最新の医学的エビデンスに基づいて作成されており、医療の質を標準化し、すべての患者さんが適切な医療を受けられるようにすることを目的としています。例えば、貧血の鑑別診断においては、まずMCVの値によって小球性、正球性、大球性に分類し、それぞれに応じた検査フローを進めることが推奨されています16。大球性貧血と判断された場合には、血清ビタミンB12・葉酸の測定、自己抗体の検査、そして必要に応じて内視鏡検査や骨髄検査を行い、原因を特定していくという体系的なアプローチが示されています。患者さんにとっては、自身の受けている検査がこのような標準的な手順に沿ったものであると知ることで、安心して治療に臨むことができます。

表2:悪性貧血の診断に用いられる主要な検査とその意義

検査項目 目的 正常値の目安 悪性貧血での典型的な所見 検査のポイント・注意点
血算 (CBC) 貧血の有無と種類の評価 MCV: 83-100 fL Hb低下、MCV高値 (>100) 大球性貧血を確認する最初のステップ。
末梢血塗抹標本 赤血球・白血球の形態評価 大楕円赤血球、過分葉好中球 診断の強力な手がかりとなる特徴的所見。
血清ビタミンB12値 B12の血中濃度測定 > 200 pg/mL 低値 (< 200 pg/mL) 抗体により偽正常値を示すことがあるため、値だけで判断せず総合的に評価する必要がある。
抗内因子抗体 (IFAB) 悪性貧血の確定診断 陰性 陽性 特異度が非常に高いが、感度は高くない。陰性でも悪性貧血を否定できない。
抗胃壁細胞抗体 (APCA) 自己免疫性胃炎の確認 陰性 陽性 感度は高いが特異度は低い。補助診断に用いる。
血清MMA/ホモシステイン 組織レベルのB12欠乏評価 正常 高値 B12値が境界域の場合や偽正常値が疑われる場合に有用。
上部消化管内視鏡 萎縮性胃炎の確認とがんの除外 正常な胃粘膜 胃体部優位の萎縮性胃炎 診断と長期的ながんサーベイランスの両方で不可欠な検査。

この表は、診断プロセスを透明化し、患者さんが自身の状態を理解する手助けとなります。各検査がパズルのピースのように組み合わさり、一つの診断に至る過程を把握することで、医療への信頼感と治療への主体的な参加意欲を高めることができます。

第4部:治療と長期的な管理

悪性貧血の診断が確定したら、次は治療と生涯にわたる管理の段階に移ります。現代の治療法は非常に効果的であり、患者さんのQOL(生活の質)を大きく改善します。ここでは、標準的な治療法から新しい選択肢、回復のタイムライン、そして最も重要な長期的視点での健康管理について詳しく解説します。

4.1. 治療の基本方針:失われたビタミンB12を生涯補い続ける

悪性貧血の治療における根本的な原則は、生涯にわたるビタミンB12の補充です7。この病気の原因は、ビタミンB12を吸収する体内の仕組みが自己免疫反応によって永続的に破壊されてしまうことにあります。したがって、この失われた吸収機能を補うためには、治療を中断することなく継続する必要があります41。治療の目的は、消化管からの吸収という通常のルートを迂回し、ビタミンB12を直接体内に届けたり、あるいは吸収障害を乗り越えられるほど大量に経口摂取したりすることです14。これにより、血液中のビタミンB12濃度を正常に保ち、赤血球の産生を正常化させ、神経症状をはじめとする様々な症状の進行を防ぎ、改善を図ります。

4.2. 標準治療:ビタミンB12の筋肉内注射

ビタミンB12の筋肉内注射(IM)は、悪性貧血に対する伝統的かつ最も確実な治療法として長年確立されています29

  • 薬剤: 日本では、主にメコバラミン(商品名:メチコバールなど)やヒドロキソコバラミンといったビタミンB12製剤が用いられます2。ヒドロキソコバラミンは体内に長く留まるという利点があります41
  • 初期集中治療(導入期): 治療開始時には、体内に枯渇したビタミンB12の貯蔵を速やかに満たすため、集中的な投与が行われます。例えば、最初の1~2週間は毎日または週に数回、注射を行います26
  • 維持療法: 体内のビタミンB12レベルが正常化した後は、そのレベルを維持するために、定期的な注射を生涯にわたって継続します。投与間隔は患者さんの状態や症状に応じて調整されますが、一般的には1ヶ月から3ヶ月に1回の頻度となります22

筋肉内注射は、吸収の確実性が高く、医師の管理下で投与されるため治療効果を確実に得られるという大きな利点があります。

4.3. もう一つの選択肢:ビタミンB12の経口補充療法

近年、筋肉内注射に代わる有効な選択肢として、高用量のビタミンB12経口補充療法が注目され、その有効性が多くの研究で示されています15

  • 作用機序: 悪性貧血では内因子を介した主要な吸収経路は機能しませんが、それとは別に、摂取したビタミンB12の約1%が「受動拡散」という仕組みで消化管から吸収されることが分かっています15。通常量の摂取ではこのルートからの吸収量はごくわずかですが、1日あたり1,000~2,000 mcg (マイクログラム) という非常に高用量のビタミンB12を内服することで、この受動拡散だけで十分な量を体内に取り込むことが可能になります14
  • 有効性: 複数の臨床研究やレビュー論文において、高用量の経口B12療法は、筋肉内注射と同等の効果で貧血や神経症状を改善させることが証明されています15
  • 適応と利点: この治療法は、注射の痛みや通院の負担を避けたい患者さんにとって優れた選択肢となります。特に、頻繁な通院が困難な高齢者や地方在住の患者さんにとっては、アドヒアランス(服薬遵守)の向上とQOLの維持に大きく貢献します43

注射と経口投与のどちらを選択するかは、患者さん一人ひとりの病状、ライフスタイル、そして価値観を考慮した上で、医師と十分に話し合って決定すべきです。例えば、注射による確実な投与を好む方もいれば、毎日の服薬で自己管理したいと考える方もいます。このような患者さん中心の意思決定(Shared Decision-Making)は、長期にわたる治療を成功させる上で非常に重要です。

4.4. 治療の経過とモニタリング:回復のタイムライン

ビタミンB12補充療法を開始すると、体は劇的に反応し始めます。多くの場合、比較的早期に体調の改善を実感できますが、完全に回復するまでには時間がかかります。治療効果の現実的なタイムラインを理解しておくことは、治療へのモチベーションを維持する上で役立ちます。

  • 治療開始後1週間以内: 血液中のメチルマロン酸(MMA)やホモシステインの値が正常化し始めます。骨髄では新しい赤血球の産生が活発になり、網状赤血球(若い赤血球)の数が急増します(レチクロサイトーシス)38
  • 数週間以内: 倦怠感や息切れなどの貧血症状が改善し、気力や体力が回復してくるのを実感できます6
  • 6~8週間以内: ヘモグロビン値が正常化し、貧血の状態はほぼ解消されます。MCVの高値や白血球・血小板の異常も改善します21
  • 6週間~3ヶ月以上: 手足のしびれなどの神経症状も改善に向かいます。しかし、神経の回復は血液の回復よりもはるかに時間がかかります。特に、症状が長期間にわたって存在していた場合や、重度であった場合には、回復が不完全であったり、一部の症状が後遺症として残ったりする可能性もあります22

この回復のタイムラインの違いを理解することは、治療への期待を現実的なものにする上で重要です。特に神経症状については、焦らず根気強く治療を続けることが求められます。そして、この事実は、疑わしい神経症状があれば一日も早く診断・治療を開始することの重要性を改めて浮き彫りにします。

4.5. 長期的な健康管理:胃がんリスクへの備え

悪性貧血の治療は、ビタミンB12を補充して貧血や神経症状を管理するだけでは終わりません。最も重要な長期的管理目標の一つが、胃がんリスクへの備えです。前述の通り、悪性貧血の根本原因である自己免疫性萎縮性胃炎は、胃粘膜の慢性的な炎症と萎縮を引き起こします。この状態は、胃がんおよび胃カルチノイド腫瘍(神経内分泌腫瘍の一種)の発生母地となることが確立されています4。したがって、悪性貧血と診断された患者さんは、症状がなくても、定期的に上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を受けることが強く推奨されます2。これにより、万が一がんが発生しても早期に発見し、根治的な治療につなげることが可能になります。ビタミンB12の補充療法は貧血を改善しますが、胃がんのリスクそのものを低下させるわけではありません。この点を十分に理解し、生涯にわたる定期検診を欠かさず受けることが、長期的な健康を守る上で不可欠です。

表3:ビタミンB12補充療法:注射と経口投与の比較

項目 筋肉内注射 (Intramuscular Injection) 高用量経口投与 (High-Dose Oral Administration)
投与方法 腕やお尻の筋肉に注射 錠剤を毎日服用
頻度 初期:週数回 → 維持期:1~3ヶ月に1回 毎日1回
吸収の確実性 非常に高い(消化管を経由しない) 高い(ただし毎日の服薬遵守が前提)
利便性 定期的な通院が必要 自宅で服用でき、通院負担が少ない
医療機関への通院 維持期でも1~3ヶ月に1回必要 処方箋をもらうための定期受診は必要
自己負担額の目安 薬剤費に加え、再診料・注射手技料がかかる 薬剤費のみ(比較的安価な場合が多い)
主な利点 ・吸収が確実
・服薬を忘れがちな人でも治療を継続しやすい
・痛みがなく、自己管理が容易
・通院の負担が少ない
主な注意点 ・注射時の痛み
・通院の手間と時間
・毎日の服薬を忘れないようにする必要がある
・自己判断で中断しないことが重要

この表は、患者さんが自身のライフスタイルや価値観に合った治療法を医師と相談するための情報を提供します。どちらの治療法も有効性が確立されているため、自分にとって続けやすい方法を選択することが、生涯にわたる治療を成功させる鍵となります。

第5部:悪性貧血と向き合う日常生活

悪性貧血と診断された後も、適切な治療と自己管理によって、充実した日常生活を送ることが可能です。このセクションでは、日々の生活の中で患者さん自身がコントロールできる、食事の役割、特別な注意が必要な状況、そして社会的な側面についての実用的な情報を提供します。

5.1. 食事の役割と注意点:治療を支える栄養の知識

悪性貧血の治療において、食事の役割を正しく理解することは非常に重要です。

  • 食事だけでは治療できないことを理解する:まず強調すべき点は、悪性貧血の原因はビタミンB12の「摂取不足」ではなく「吸収障害」であるため、ビタミンB12を多く含む食品をたくさん食べるだけでは治療にはならないということです40。内因子がなければ、いくら食事から摂取しても体内に取り込むことはできません。治療の基本は、あくまで医師から処方される注射または高用量の経口薬によるビタミンB12の補充です。
  • 造血をサポートするためのバランスの取れた食事:一方で、ビタミンB12補充療法が始まると、骨髄は新しい赤血球を活発に作り始めます。この「造血」をスムーズに進めるためには、赤血球の材料となる他の栄養素も十分に摂取することが大切です。バランスの取れた食事は、治療効果を最大限に引き出し、全体的な健康状態を維持するために不可欠です47
    • たんぱく質: 赤血球の主成分であるヘモグロビンの材料です。肉、魚、卵、大豆製品など、良質なたんぱく質を毎食取り入れるよう心がけましょう47
    • 鉄分: ビタミンB12補充療法の開始直後は、赤血球の急激な産生によって体内の鉄分が大量に消費され、二次的な鉄欠乏に陥ることがあります2。この現象は、いわば「材料不足」の状態です。これを防ぐため、赤身の肉、レバー、魚、ほうれん草、小松菜、ひじきなど、鉄分を多く含む食品を意識的に摂取することが推奨されます。治療開始時には、医師が鉄分の値もモニタリングすることがあります。
    • 葉酸: ビタミンB12と協力してDNA合成を行い、正常な赤血球の成熟を助ける重要なビタミンです。緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリーなど)、豆類、レバーなどに豊富に含まれています47
  • 参考:ビタミンB12を多く含む食品:治療のためではありませんが、一般的な栄養知識として、またご家族の食事の参考として、ビタミンB12が豊富な食品を知っておくことは有益です。牛や豚のレバー、あさりやしじみなどの貝類、さんまやいわしなどの魚類、卵、乳製品(チーズなど)に多く含まれています6

5.2. 特別な注意が必要な人々

悪性貧血は、特定のライフステージや状況にある人々にとって、特有の課題をもたらすことがあります。

  • 高齢者:高齢者では、悪性貧血による記憶障害や錯乱、無気力といった神経症状が、加齢に伴う認知症と誤診されやすいという大きな問題があります21。ビタミンB12欠乏症は「治療可能な認知症(Treatable Dementia)」の代表的な原因の一つです。高齢者の認知機能低下が見られた場合、安易に年齢のせいやアルツハイマー病と決めつけず、鑑別診断の一つとして必ずビタミンB12欠乏症を考慮し、検査を受けることが極めて重要です51。適切な治療で認知機能が改善する可能性があるため、この視点は高齢者のQOLを維持する上で欠かせません。
  • 妊娠を希望する女性・妊婦:治療を受けていない悪性貧血は、女性不妊の原因となることが報告されています32。しかし、ビタミンB12補充療法によって貧血や全身状態が改善すると、多くの場合、妊娠機能は回復します。妊娠中のビタミンB12欠乏は、母体の健康だけでなく、胎児の正常な神経系の発達にも影響を及ぼす可能性があるため、妊娠を計画している、あるいは妊娠中の悪性貧血患者さんは、産婦人科医と血液内科医の両方と緊密に連携し、厳格な管理のもとで治療を継続することが必須です32

5.3. 日本における患者数と疫学:データから見えること

悪性貧血が日本でどのくらいの頻度で発生しているのか、正確な統計データを得ることは、実は非常に困難です。これは、公的な統計調査において、貧血が原因別に細かく分類されていないことが多いためです。

  • データの欠如と混同: 厚生労働省などの公的機関が発表する統計では、「再生不良性貧血」53や「自己免疫性溶血性貧血」55といった、悪性貧血とは異なる種類の稀な貧血の患者数が報告されることはありますが、「悪性貧血」に特化した全国規模の正確な患者数データは公表されていません。このため、専門家でない人がこれらのデータを誤って引用してしまう可能性があります。権威ある情報を提供するためには、このデータの欠如を正直に認め、情報の透明性を確保することが不可欠です。
  • 国際的なデータからの推計: 参考として国際的なデータを見ると、悪性貧血の有病率は60歳以上の人々で約2%と報告されています1。アジア人では欧米人に比べて有病率が低いとされていますが7、日本の高齢化社会を考えると、決して稀な疾患ではないと推測されます。

この情報の不透明さは、日本における悪性貧血の疾患負担が過小評価されている可能性を示唆しており、今後のより詳細な疫学調査が待たれます。

表4:造血をサポートする栄養素と多く含む食品

栄養素 主な役割 多く含む食品(日本食の例)
ビタミンB12 赤血球の成熟、DNA合成、神経機能の維持 (治療は薬剤補充が基本)参考:レバー、あさり、しじみ、さんま、いわし、卵、チーズ
葉酸 ビタミンB12と協調して赤血球の成熟を助ける ほうれん草、ブロッコリー、枝豆、納豆、レバー、アスパラガス
鉄分 ヘモグロビンの主成分、酸素運搬 赤身肉、レバー、かつお、あさり、小松菜、ひじき、大豆製品
たんぱく質 赤血球やヘモグロビンの構成材料 肉類、魚介類、卵、豆腐・納豆などの大豆製品、乳製品
ビタミンC 鉄分(特に非ヘム鉄)の吸収を高める ピーマン、ブロッコリー、柑橘類(レモン、みかん)、いちご、キウイフルーツ

この表は、悪性貧血の治療中に健康な体を維持するための食事の指針となります。治療の主役はあくまで薬剤ですが、バランスの取れた食事という脇役が、治療効果を最大限に高め、より良い毎日を送るための土台となるのです。

結論

悪性貧血は、その歴史的な名称から多くの誤解を受けがちですが、本質はビタミンB12の吸収障害を伴う自己免疫疾患です。現代医学において、この病気はがんとは全く異なり、生涯にわたるビタミンB12補充療法によって効果的に管理できることが確立されています。貧血症状だけでなく、手足のしびれといった不可逆的な後遺症につながりかねない神経症状に早期に気づき、適切な診断と治療を開始することが、QOL(生活の質)を維持する上で極めて重要です。治療の選択肢には確実な筋肉内注射と利便性の高い高用量の経口薬があり、患者さん一人ひとりの生活に合わせて医師と相談し決定することができます。そして何よりも忘れてはならないのは、悪性貧血が胃がんのリスクを高めるという事実です。したがって、ビタミンB12の補充療法と並行して、生涯にわたる定期的な内視鏡検査(胃カメラ)を受けることが、長期的な健康を守るための最も重要な責務となります。正しい知識を力に変え、医療者と良好なパートナーシップを築きながら、この病気と前向きに付き合っていくことが可能です。

よくある質問

Q1: 悪性貧血は治りますか?

根本原因である自己免疫の異常そのものを完治させる方法は現在のところありません。しかし、それによって引き起こされるビタミンB12欠乏症と、それに伴う貧血や神経症状は、生涯にわたるビタミンB12補充療法によって効果的に管理することが可能です6。適切な治療を続けることで、ほとんどの症状は改善し、健康な人と同様の生活を送ることができます。その意味で、「完治」はしませんが、「コントロール可能な」疾患と言えます。

Q2: 悪性貧血は遺伝しますか?

悪性貧血は、親から子へ直接的に遺伝するような単一遺伝子疾患ではありません。しかし、発症しやすい遺伝的素因(体質)が存在し、家族内で発症することがある(家族集積性)と知られています25。血縁者に悪性貧血や、1型糖尿病、甲状腺疾患などの自己免疫疾患を持つ方がいる場合は、そうでない方よりも発症リスクが高いと考えられます。

Q3: 食事だけでビタミンB12を補うことはできますか?

いいえ、悪性貧血の場合、食事だけでは治療できません。問題はビタミンB12の摂取量が足りないことではなく、胃からの吸収ができないことにあるからです40。いくらビタミンB12が豊富な食品を食べても、吸収に必要な内因子がなければ体内に取り込まれません。治療には、この吸収過程を迂回する注射や、受動拡散を利用した高用量の経口薬が必須です。

Q4: 治療を始めたら、どのくらいで良くなりますか?

回復の速さは症状によって異なります。倦怠感などの貧血症状は、治療開始後数週間で改善を実感できることが多いです6。血液検査の異常(ヘモグロビン値など)は約2ヶ月で正常化します38。一方で、手足のしびれなどの神経症状の回復には数ヶ月以上かかることがあり、治療開始が遅れた場合は一部が後遺症として残る可能性もあります22

Q5: 妊娠・出産はできますか?

はい、可能です。治療を受けていない悪性貧血は不妊の原因となることがありますが、ビタミンB12補充療法で全身状態が改善すれば、多くの場合、妊娠機能は回復します32。妊娠中および授乳中は、母体と胎児の両方にとってビタミンB12が非常に重要になるため、血液内科医と産婦人科医の緊密な連携のもとで、厳格な治療管理を続ける必要があります。

Q6: 認知症と診断されましたが、悪性貧血の可能性はありますか?

はい、その可能性はあります。ビタミンB12欠乏は、記憶障害、錯乱、判断力低下など、認知症と酷似した症状を引き起こすことがあります。特に高齢者では、これらの症状が加齢によるものと見過ごされがちです21。ビタミンB12欠乏症は治療によって改善する可能性があるため、認知症と診断された場合でも、その原因の一つとして悪性貧血の可能性を鑑別することは非常に重要です51

Q7: なぜ胃カメラを定期的に受ける必要があるのですか?

悪性貧血の患者さんは、その背景にある自己免疫性萎縮性胃炎が原因で、一般の人よりも胃がんや胃カルチノイド腫瘍を発症するリスクが高いからです4。ビタミンB12の補充は貧血を改善しますが、胃がんのリスク自体を減らすものではありません。定期的な胃カメラ検査は、これらの腫瘍を早期に発見し、根治的な治療につなげるために不可欠な、命を守るための検診です。

免責事項本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。健康に関する懸念がある場合、あるいは健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

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