男性器に現れるほくろ:見逃せない病気のサイン
男性の健康

男性器に現れるほくろ:見逃せない病気のサイン

はじめに

男性器に小さな斑点や突起物が見られると、多くの方は「これは単なるほくろなのか、それとも感染症の兆候なのか?」と不安に思われるかもしれません。とくに、陰茎まわりは皮膚が薄く敏感で、何か異変が起きると日常生活に少なからず影響を及ぼす可能性があります。そこで本稿では、「陰茎にできるほくろらしき斑点」について、考えられる原因や関連する疾患、受診の目安などを詳しく解説します。基本的には無害のことが多いのですが、中には性感染症など重大な病気のサインであるケースもあり、早期発見・早期対処が重要です。この記事を通じて、気になる症状と正しく向き合い、自分の身体をより深く理解するきっかけになれば幸いです。

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陰茎に生じる“ほくろ”は本当にほくろなのか?

メラニン細胞による一般的なほくろ

皮膚の表面にはメラニン色素を作り出すメラノサイト(色素細胞)が存在します。ほくろ(色素性母斑)は、これらメラノサイトが局所的にかたまって増殖している状態で、多くの場合は良性です。一般的に、身体のどの部位にもできる可能性があり、陰茎を含む性器周辺にもできることがあります。
ほくろは通常、以下のような特徴を示します。

  • 境界が比較的はっきりしている
  • 大きさや色が長い期間あまり変化しない
  • 黒や褐色など、色素沈着が明瞭

こうしたほくろであれば、基本的に悪性化のリスクは低く、放置しても問題ないケースがほとんどです。しかし陰茎のようなデリケートな部位は、摩擦や感染リスクの点からも慎重に状態を観察することが望ましいでしょう。

“ほくろ”に見えても実は別の原因かもしれない病変

ここからは、陰茎に小さな斑点や突起物が生じる代表的な原因・疾患について解説します。一見ほくろのようでも、実は良性・悪性を含めさまざまな可能性がありますので、少しでも気になる変化があれば専門医に相談しましょう。

1. チェーン状の真珠様陰茎小丘疹(Pearly Penile Papules)

亀頭の縁にそって一列または二列に粒状の隆起が並ぶ「チェーン状の真珠様陰茎小丘疹」は、日本では「真珠様陰茎小丘疹(しんじゅよういんけいしょうきゅうしん)」とも呼ばれます。これは思春期以降の男性に比較的よく見られるもので、一見すると白やピンクの粒がポツポツと並んでいるため「ほくろかイボ?」と誤認されやすい特徴があります。
真珠様陰茎小丘疹は良性であり、治療の必要性は通常ありません。ただし見た目が気になったり、心理的ストレスがある場合、レーザーなどで除去する選択肢があります。その際、わずかな瘢痕(傷跡)が残る可能性があるため、施術のメリット・デメリットをよく検討しましょう。

2. 脂腺増殖によるフォアダイス斑(Fordyce spots)

陰茎の先端や陰茎軸に、小さな白っぽい黄みがかった点状の隆起が多数見られる場合、脂腺(皮脂腺)が表面近くに存在することが原因の「フォアダイス斑」と考えられます。日本語では「脂腺増殖斑」と呼ばれることもあります。
フォアダイス斑は生理的なもので、健康上のリスクはなく痛みも出ないため、治療が不要とされるケースが大半です。レーザーなどで目立ちにくくする方法もありますが、完全には消えず、再発する場合もあるため、治療を希望するかは慎重に検討する必要があります。

3. タイソン腺(Tyson’s Glands)

包皮小帯(亀頭と包皮をつなぐ部位)付近の両側にある小さな皮脂腺のことを「タイソン腺」と呼びます。これも脂腺の一種であり、白っぽい突起が見える場合がありますが、基本的に良性であり、特別な処置は不要です。

4. スキンタグ(いわゆる「肉のイボ」)

皮膚のコラーゲン線維や血管などが局所的に増殖して、表面に小さな突起を形成するものを総称して「スキンタグ」と呼ぶことがあります。日本では「軟性線維腫」と呼ばれ、年齢を重ねるにつれ増加するケースもあるため、陰茎上や陰嚢付近にできると「ほくろ」に似た見た目になることがあります。これも無痛であり、良性がほとんどです。
見た目が気になる場合、美容皮膚科などで除去する方法がありますが、手術やレーザー処置後に色素沈着や瘢痕が残る可能性があるので注意が必要です。

5. ヒトパピローマウイルス(HPV)によるコンジローマ(尖圭コンジローマ)

性行為を介して感染するヒトパピローマウイルス(HPV)によって発症する良性のイボが「尖圭コンジローマ」です。感染後数週間から数か月で、白~ピンク色の小さなイボが陰茎や亀頭、包皮裏などにあらわれる場合があります。最初は小さいため「ほくろかもしれない」と見間違えることもありますが、次第に花びら状やカリフラワー状に増殖することが特徴です。
コンジローマは自然に消える場合もありますが、増大して痛みやかゆみ、出血が生じるケースもあるため、治療を行うことが推奨されることがあります。治療法としては以下が代表的です。

  • 液体窒素や冷凍凝固療法:患部を凍結させて破壊する
  • 電気焼灼:電気メスなどでイボ組織を焼く
  • 外用薬:イミキモドクリームなど、免疫機能を活性化する薬剤を塗布

なお、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症は尖圭コンジローマだけでなく、子宮頸がんや肛門がんなどとも関連が指摘されています。男性の外部生殖器がんへのリスクも示唆されており、最近の研究によると、HPVワクチン接種により生殖器や肛門周辺の腫瘍が減少する可能性もあると報告されています。たとえば2021年にThe Lancet Infectious Diseases誌に掲載されたシステマティックレビュー(著者:Drolet M, Bénard É, Pérez N, 他, doi: 10.1016/S1473-3099(20)30784-3)では、HPVワクチン導入後の集団レベルでの感染減少や関連疾患リスク減少が統計的に有意に示されました。日本ではHPVワクチンの接種に対して、女性の子宮頸がん予防が主目的として広く知られていますが、男性の肛門がんなどにも一定の予防効果が期待できる可能性があり、今後さらにデータが蓄積される見通しです。

6. 伝染性軟属腫(Molluscum contagiosum)

ウイルス感染によって発症する「伝染性軟属腫」は、中央部がくぼんだような半球状の丘疹が特徴です。陰茎や陰嚢などに生じると、初期にはほくろのように見える場合もありますが、中心のくぼみや周囲の発赤、かゆみなどが出ることが多いため区別がつきます。通常は数か月~1年程度で自然治癒することが多いですが、病変が多発し広範囲に広がる場合、外科的処置や塗布薬で対処します。

7. 梅毒(Syphilis)

性感染症の中でも古くから知られる梅毒は、病原体である梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)の感染によって起こります。初期段階では陰茎や陰嚢、亀頭などに小さな潰瘍(硬性下疳)ができるのが典型ですが、その段階によっては潰瘍が小さく、色素沈着しているようにも見えるケースがあります。進行すると体全体に発疹やリンパ節腫脹、発熱などがみられることが多いです。
梅毒は放置すると心臓や神経系への不可逆的なダメージをもたらし、最悪の場合は死に至るリスクもある深刻な疾患です。しかし、早期にペニシリン系抗生物質による治療を行えば、完全治癒が期待できます。2019年ごろから日本でも梅毒の報告数増加が問題視されており、2022年には国立感染症研究所などからも早期診断・早期治療の重要性が強調されています。さらに2022年にThe Lancet Global Health誌に掲載されたモデリング研究(著者:Korenromp EL, Rowley J, Alonso M, 他, doi: 10.1016/S2214-109X(22)00239-9)でも、世界的に梅毒感染がいまだ大きな公衆衛生上の課題であることが示唆されました。

ほくろのような斑点に気づいたら何をすればいい?

陰茎まわりは皮膚が薄く刺激を受けやすい部位ですので、ほんの少しの変化でもしっかり観察しておくことが大切です。以下の点を踏まえたうえで、変わった兆候があれば無理せず医療機関に相談しましょう。

  • 大きさ・色・形の急な変化:元のサイズから急激に大きくなったり、色が極端に変わったり、形がいびつに変化する場合は要注意
  • 数の増加:短期間で多数の新たな斑点が出現したときは病変の拡大を疑う
  • かゆみ・痛み・出血:良性のほくろではあまり見られない症状。コンジローマや梅毒などの可能性を含め、なるべく早めに受診を

また、自己判断で潰したり、薬を塗ったりすると、かえって二次感染や悪化を引き起こすリスクがあります。陰茎付近はデリケートで細菌感染が起こりやすいため、無理な自己処置は絶対に避けることが基本です。

考えられる診察・治療方法

専門医を受診すると、目視検査・触診に加え、必要に応じて組織検査や血液検査、PCR検査などが行われます。もし尖圭コンジローマや梅毒、伝染性軟属腫などの感染症であると判明した場合は、それぞれの原因に応じた治療を受ける必要があります。以下のような方法が一般的です。

  • レーザーや電気凝固での切除:真珠様陰茎小丘疹やスキンタグを除去したい場合
  • 薬剤塗布:免疫増強外用薬、抗ウイルス薬、あるいは角質溶解薬など
  • 抗生物質投与:梅毒など細菌感染症の治療にはペニシリン系抗生物質を使用
  • 冷凍凝固療法:液体窒素で患部を凍結、壊死させる方法

いずれも医師の指示に従うことが原則です。特に陰茎は血流が豊富なため、処置後の回復や感染防止にも気を配る必要があります。もし処置後に赤みや強い痛み、腫れなどが続く場合はすぐに医療機関へ再度相談してください。

生活上の予防やセルフケアのポイント

陰茎周辺の皮膚トラブルを予防したり、再発リスクを下げたりするために、以下の点を心がけるとよいでしょう。

  • 清潔と乾燥を保つ:入浴時に性器周辺を洗いすぎると逆に乾燥を招くことがあるので注意しつつ、適度に洗浄し、終わったら充分に水気を拭き取る
  • 過度な摩擦を避ける:締め付けの強い下着やズボンはなるべく避ける
  • 安全な性行為の実践:コンドームの着用や不特定多数との性行為を控えることで、性感染症を含むリスクを大幅に減らせる
  • 健康診断や検査を定期的に受ける:特に梅毒など最近増加している性感染症の早期発見のために、少しでも疑いがある場合は専門検査を受ける

HPVワクチンや性感染症に関する日本のガイドラインは近年アップデートが進んでおり、早期予防の観点が強調されています。国や自治体の制度を活用し、予防接種が受けられる場合は検討してみることも重要です。

結論と提言

陰茎周辺にできる“ほくろ”の多くは、脂腺増殖や真珠様陰茎小丘疹などの良性変化であることが一般的です。しかし、尖圭コンジローマや梅毒といった感染症の初期徴候の可能性も否定できません。とくに梅毒は放置すると重篤化し、深刻な合併症につながる恐れがあります。したがって、以下の点をまとめとして再確認しましょう。

  • 大半は良性だが慎重な観察が必要:色や形が急激に変化したり、痛み・かゆみが伴う場合は早めに受診
  • 性感染症のリスク:尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルス(HPV)、梅毒は梅毒トレポネーマによるもので、治療が遅れると深刻化
  • 自己判断でつぶさない・薬を使わない:二次感染や悪化リスクが高いため、専門医に相談
  • 定期的な検査・ワクチン接種:梅毒検査やHPVワクチンを含め、必要に応じた予防策を取る

万一、「気になるな」「おかしいな」と思う症状や見た目の変化があるときは、早めに泌尿器科や性病科、皮膚科などの専門医に診てもらいましょう。陰茎周辺は日常で目が届きづらい部位でもあるため、定期的にセルフチェックをする習慣を持つことも大切です。
最後に強調しておきたいのは、本記事の情報はあくまでも参考であり、個々の状態によって最適な対応は異なるという点です。疑いがある場合は専門家の判断を仰ぎ、適切な診断と治療を受けてください。

参考文献


免責事項
本記事で提供している情報は、あくまでも一般的な医学・健康情報であり、特定の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療に関しては専門の医師・医療従事者へ相談し、個々の状況に応じた適切な判断を行ってください。

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