画期的な敗血症治療法が登場! 命を救う最新アプローチ
血液疾患

画期的な敗血症治療法が登場! 命を救う最新アプローチ

はじめに

こんにちは、JHO編集部です。現代社会において感染症の治療がますます重要になってきています。その中でも特に深刻な問題として注目されているのが敗血症(せっけつしょう)です。敗血症は、感染症が原因で引き起こされる非常に深刻な合併症であり、一見すると稀な病気に思われがちですが、実際には多くの人々が苦しんでいます。特に、迅速な診断と治療が求められる重大な疾患です。本記事では、敗血症の危険性、治療法、さらには予防策について詳しく解説していきます。日々の生活習慣が健康状態にどのような影響を与えるかを理解し、より健康的な暮らしを送るうえでの参考になれば幸いです。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

専門家からの助言

このトピックを深く理解するために、北寧省総合病院(Bệnh Viện Đa Khoa Tỉnh Bắc Ninh)の内科・一般内科に所属し、長年にわたり敗血症を含む重症感染症の診療に携わってこられたグエン・トゥオン・ハイン博士から助言をいただきました。彼は感染症に関する臨床経験が豊富であり、本記事の内容に多大な貢献をいただきました。ここでは、ハイン博士の知見をもとに、敗血症の実態や治療法、そして日常生活で気をつけるべき点などを整理してお伝えします。

敗血症はどの程度一般的ですか?

多くの人は「敗血症は滅多に起きないもの」と考えがちですが、実際にはアメリカ合衆国で毎年約170万人が敗血症を原因として入院しているとの報告があります。さらに、敗血症による入院患者の死亡率は15%から30%に達するとされ、世界的にも深刻な疾患の一つです。また、罹患数や報告件数は年々増加傾向にあり、より一層の警戒が必要です。

なぜ敗血症が増加しているのかについては、いくつかの要因が指摘されています。まず、平均寿命の延びが挙げられます。高齢化社会が進むにつれ、慢性的な疾患(肺炎や心臓病、尿路感染症など)を抱える人の数が増加し、それに伴い敗血症を発症しやすくなる群が拡大しています。もう一つの大きな要因としては、抗生物質の過剰使用があります。抗生物質の濫用によって耐性菌が増加し、感染症をコントロールすることが難しくなるケースが増えているため、敗血症のリスクを高めています。

こうした状況は日本国内でも同様に当てはまる部分が多く、高齢者人口の増加と医療の高度化によって、これまでは重篤化しなかった感染症でも敗血症へと移行しやすくなる恐れがあります。したがって、医療現場のみならず、個々の生活者が感染症予防や早期受診を心がけることがますます重要になっています。

なお、世界的な敗血症の発症率と死亡率については、2020年にThe Lancetに掲載された研究(Rudd KEら、doi:10.1016/S0140-6736(19)32989-7)で広範囲に分析されています。この研究では1990年から2017年にかけてのグローバルデータが対象となっており、地域によって発症率や死亡率は異なるものの、全世界で依然として高い負担を伴う疾患であることが明確に示されています。こうした統計は日本を含む各国にも当てはまるとされ、早急な対策が不可欠といえます。

敗血症の治療法

敗血症は放置すると急速に悪化し、敗血症性ショック多臓器不全へ進行する可能性があります。したがって、迅速かつ適切な治療が求められます。敗血症の典型的な症状としては、発熱、心拍数の増加、呼吸困難などが挙げられ、これらの症状が悪化すると呼吸困難の重症化や腹痛、めまいなどが生じる恐れがあります。以下では、主な治療法を概説します。

抗生物質による治療

敗血症の原因の多くは細菌感染ですが、必ずしも細菌だけが原因とは限りません。それでも、原因がウイルスや真菌であるかどうかが未確定の段階でも、まずは広域抗生物質を投与して早期に菌を抑えることが基本方針となります。例えば、セフトリアキソン、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、バンコマイシン、ピペラシリン、タゾバクタムなどが臨床で用いられる代表的な抗生物質です。

これらの薬剤は感染症が全身に拡がる段階を抑え込むうえで特に重要です。感染源となる微生物が特定された場合には、その病原体にピンポイントで作用する抗生物質へ切り替えることが推奨されています。最近の研究では、敗血症性ショックを含む重症患者に対して早期に的確な抗生物質を選択することが予後を大きく改善すると報告されています。具体的には、2020年にIntensive Care Medicineに掲載された研究(De Bus L.ら、doi:10.1007/s00134-020-06112-w)でも、重症患者への抗菌薬の適正使用とタイミングが、臨床的な治療成功率を左右する重要な因子であることが示唆されています。

抗ウイルス薬や抗真菌薬の使用

稀ではありますが、ウイルスや真菌が敗血症の原因となるケースも存在します。その場合、抗生物質では効果が十分に得られないため、原因となる病原体に応じた抗ウイルス薬や抗真菌薬による治療が必要です。通常は、静脈注射を通じて投与され、短期間で高い血中濃度を維持し、感染源を早期に抑制することを目指します。投与薬の種類や期間は、感染源の種類と重症度に応じて細かく変わりますので、専門医の判断が重要です。

輸液治療

敗血症になると、血管拡張や血液分布異常などが原因で血圧が低下することがよく見られます。このような場合に、輸液治療は不可欠です。輸液により体液量を補充し、脱水を防ぐことで、全身の血流を改善し、各臓器に十分な酸素や栄養素を届けやすくします。主に用いられる液体としては、生理食塩水や電解質入りの輸液が代表的です。

適切な輸液管理が行われないと、血圧の回復が遅れ、臓器障害が進行するリスクが高まります。特に心臓や脳、腎臓などの生命維持に重要な臓器への血流が不十分になると、回復が難しくなる場合があります。そのため、医療スタッフは血圧や尿量、臓器機能マーカーなどを連続的に観察しながら、輸液量や種類を調整します。

酸素療法

敗血症が進行すると、呼吸状態に大きな影響が出ることがあります。肺に炎症が及んだり、全身の循環不全が生じたりすると、十分なガス交換が行えずに低酸素状態に陥る可能性があるのです。このようなときは、鼻カニューレや酸素マスク、人工呼吸器などを用いた酸素療法が行われます。

酸素療法の目的は、血液中の酸素濃度を補い、臓器に十分な酸素を届けることです。酸素レベルの低下は、多臓器障害の進行を促す大きな要因の一つであるため、酸素吸入量や呼吸器の設定を患者の状態に合わせて逐次調整し、合併症を防ぐよう管理します。特に、敗血症性ショックを併発した場合や重症化が疑われる場合は、人工呼吸器による集中治療室(ICU)での管理が必須となります。

外科的介入(手術)

敗血症の原因が膿瘍(のうよう)や壊死組織など特定の部位に集中的に存在する場合は、外科的に感染源を取り除く手術が必要となります。例えば、膿瘍が腹腔内や肺などに形成されているときは、CTや超音波で正確な位置を評価し、外科的ドレナージ(排膿手術)を行います。感染源を直接除去することで菌の拡散を防ぎ、敗血症の進行を抑える効果が期待できます。

外科的処置はリスクを伴うため、患者の全身状態や合併症の有無を慎重に評価したうえで決定します。タイミングを誤ると症状が急激に悪化する可能性があるため、疑わしい場合は早めに専門医の判断を仰ぐことが望ましいです。

敗血症治療のサポート療法

敗血症の治療は原因療法(抗菌薬や外科的処置など)だけでなく、患者の体を全体的にサポートするサポート療法も重要です。臓器機能のモニタリングや栄養管理など、あらゆる面から包括的に患者を支援することで、回復を早め、合併症のリスクを最小限に抑えられます。ここでは、一般的なサポート療法の例を挙げます。

  • 貧血を防ぐための輸血
    敗血症は全身炎症反応により赤血球の破壊や産生不足を招き、貧血を生じることが少なくありません。貧血が進行すると臓器への酸素運搬量がさらに低下し、深刻な合併症を引き起こす危険性があります。そのため、必要に応じて赤血球の輸血を行い、血中のヘモグロビン濃度を補正します。
  • 腎不全に対する治療
    敗血症は急性腎不全の大きな原因の一つとされており、腎臓機能の低下が進むと、体内の老廃物や水分を排泄できなくなります。そのため、血液透析が必要になる場合があります。透析は血液中の老廃物をろ過装置で除去する手法で、電解質バランスを維持し、患者の全身状態を安定させるうえで非常に重要です。さらに腎機能が著しく低下し、慢性腎臓病へと移行した場合、腎移植が検討されることもありますが、敗血症急性期の対応ではまず透析を駆使した管理が中心です。
  • 臓器機能のモニタリング
    敗血症の特性上、全身の複数臓器が同時に損なわれる可能性があります。特に、腎臓、心臓、肺機能の変化には注意が必要です。採血や画像検査、尿量の測定などを行い、臓器機能の低下を早期に捉えて迅速に対処することが患者の予後を左右します。たとえば、心臓機能が低下した場合は不整脈や低血圧を起こしやすくなるため、循環動態の安定化を図る薬剤の投与や、ペースメーカーの装着などが検討されることもあります。
  • インスリン投与
    敗血症状態では、ストレス反応やホルモンバランスの変化などにより血糖値の急激な変動がしばしば起こります。特に高血糖状態が長く続くと、免疫力の低下を招き、さらに感染症が悪化する悪循環に陥りかねません。そのため、インスリンを用いた血糖管理を実施し、できるだけ安定した血糖値を維持するようにします。適切な血糖管理は患者の免疫機能維持にもつながり、治療効果の向上に貢献します。
  • 血管収縮薬の使用
    敗血症性ショックでは、血管拡張や血液分配異常などが重なり、血圧が著しく低下する可能性があります。血圧が過度に下がると臓器への血流が十分確保できず、組織が壊死するリスクが一気に高まります。そのため、血管収縮薬(バソプレッサー)の投与によって血圧を維持し、各臓器に十分な血液を送り届けられるようサポートします。血管収縮薬は副作用を伴うこともあるため、輸液や他の薬剤と併用しつつ、血圧や心拍数、各種臓器指標を注意深く観察しながら投与量を調整します。

敗血症と最近のガイドライン

敗血症に関する診療ガイドラインは国内外でさまざまな研究をもとに定期的に更新されています。特に、世界的に利用されているSurviving Sepsis Campaignのガイドライン(Evans L.ら、2021年、Intensive Care Med. 47(11):1181-1247、doi:10.1007/s00134-021-06506-y)は、敗血症および敗血症性ショックの最適な治療戦略を示す重要な指針となっています。ここでは、早期診断と早期治療の意義が強調されており、初期治療として広域抗菌薬の迅速な投与適切な輸液管理血管作動薬の適時導入などが推奨されています。

このガイドラインでは、できる限り早期に血液培養を採取して感染源を特定し、より特異的な治療に移行することの重要性が繰り返し述べられています。また、感染管理チームや集中治療専門医との連携を強めることで、医療の質と患者の予後を改善できるとされています。こうした国際的なガイドラインが示す内容は日本国内でも標準的に取り入れられており、多くの医療機関で実践されています。

日常生活における予防策の重要性

敗血症の予防といっても、特別な処置が一般の人に常に必要というわけではありません。しかし、以下のような生活習慣の改善や基本的な感染対策を徹底することが、敗血症のみならず幅広い感染症の予防につながります。

  • こまめな手洗い
    日常生活で最も重要かつ簡単に実践できる感染予防対策は、石けんを使った手洗いです。外出先から戻ったとき、調理や食事の前後、トイレの後など、こまめに手を洗うことでウイルスや細菌を大幅に減らすことができます。
  • 適切な栄養と休養
    栄養バランスの良い食事をとり、十分な睡眠を確保することは免疫機能を整える基本です。偏食や睡眠不足は免疫力を低下させ、感染症への抵抗力を弱める原因になります。健康診断などを利用して、早期に体の変調を把握する習慣も大切です。
  • ワクチン接種
    インフルエンザや肺炎球菌など、ワクチンで予防できる感染症は可能な限り接種を検討するのが望ましいです。特に高齢者や基礎疾患を持つ方は、医師と相談しながら適切な時期にワクチン接種を行うことで、重症化や敗血症への進展を防ぐ可能性が高まります。
  • 傷口の適切な処置
    小さな切り傷や擦り傷でも、放置していると細菌が侵入し感染源になることがあります。傷口は清潔に保ち、市販の消毒液やガーゼを適切に使って管理しましょう。もし腫れや痛みが強まるようなら医療機関を受診し、処方薬など専門的な治療を受けることをおすすめします。
  • 医療機関の早期受診
    発熱や咳、倦怠感などの症状が長引く場合や、特に基礎疾患を持つ方や高齢者の場合、早期に医師の診断を受けることで重症化を防ぐことができます。医療現場では感染症の疑いがある場合、血液検査や画像検査を通して原因菌の特定を行い、早めに治療を開始することが可能です。

専門家への相談

敗血症は医学的にも極めて重要かつ難易度の高い疾患であり、症状の進行が早いことが特徴です。そのため、専門家の意見を取り入れた対応が必要不可欠です。今回の記事を執筆するにあたり助言をいただいたグエン・トゥオン・ハイン博士のような、感染症や内科領域に精通した医師に相談することで、早期診断や最適な治療が実現しやすくなります。

また、各種公的医療機関や大学病院などでも敗血症の最新治療ガイドラインに基づいた診療が行われています。たとえば、感染管理チームと集中治療部門が協力し、院内の耐性菌対策を徹底したり、電子カルテを用いて敗血症が疑われる症例を早期に抽出するシステムを導入したりと、さまざまな工夫がなされています。自分自身や家族の命を守るうえでも、こうした専門的な助言を求めることが大切です。

結論

敗血症は迅速な対応が生命予後を左右する非常に危険な状態ですが、早期発見と適切な治療を行うことで回復が可能です。特に、高齢者や慢性疾患を持つ方々はリスクが高いため、日常的な感染対策や生活習慣の見直しが重要となります。感染症の症状が続く、あるいは悪化していると感じたときは、自己判断で放置せず、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

また、敗血症予防の観点からは、手洗いやワクチン接種などの基本的な感染対策が効果的であることがわかっています。普段からの体調管理と専門家の助言のもとで、適切な治療につなげることが大切です。この記事が、敗血症に関する理解を深める一助となり、読者の皆さまの健康管理に役立つことを願っています。

重要な注意
本記事の内容はあくまでも一般的な情報提供を目的としたものであり、医療行為における正式な診断や治療方針を示すものではありません。気になる症状やご不安な点がある場合は、必ず医師などの専門家にご相談ください。

参考文献

  • Sepsis – Mayo Clinic アクセス日: 07/06/2021
  • Sepsis – CDC アクセス日: 07/06/2021
  • Sepsis – Cleveland Clinic アクセス日: 07/06/2021
  • Treatment – Sepsis.org アクセス日: 16/08/2019
  • Treatment and recovery – Sepsis (NHS) アクセス日: 07/06/2021
  • Rudd KEら (2020) “Global, regional, and national sepsis incidence and mortality, 1990–2017: analysis for the Global Burden of Disease Study.” The Lancet, 395(10219), 200-211, doi:10.1016/S0140-6736(19)32989-7
  • De Bus L.ら (2020) “Antimicrobial de-escalation in the critically ill patient and assessment of clinical cure: the DIANA study.” Intensive Care Med, 46(8), 1404-1417, doi:10.1007/s00134-020-06112-w
  • Evans L.ら (2021) “Surviving Sepsis Campaign: International Guidelines for Management of Sepsis and Septic Shock 2021.” Intensive Care Med, 47(11), 1181-1247, doi:10.1007/s00134-021-06506-y

上記の情報は文献や専門家の助言に基づいてまとめたものですが、敗血症は非常に重篤な疾患であり、個々の病状や合併症によって必要な治療は大きく異なります。少しでも異常を感じる場合には、早急に医療機関を受診し、専門の医師と相談することを強くおすすめします。日常生活の中での予防策や、基礎疾患がある場合の注意点についても、主治医や専門の医療従事者から具体的なアドバイスを得ると安心です。皆さまの健康と安全を心より願っています。

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