はじめに
こんにちは、JHO編集部です。今日は、少し話題にはしたくないかもしれませんが、とても重要な健康上の問題についてお話ししたいと思います。それは「細菌性赤痢(細菌性しぎり)」についてです。この病気は、特に小さな子供たちや衛生状態の悪い地域で流行しやすく、日本国内だけでなく世界中で深刻な健康問題となっています。細菌性赤痢とはどのような病気で、どこで感染しやすいのか、そしてどうやって生活で予防できるのか、一緒に詳しく見ていきましょう。この情報が皆さんの健康管理の一助となれば嬉しいです。それでは、始めていきましょう。
免責事項
当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
専門家への相談
この記事では、参考にした重要な情報源の一つとしてメイヨークリニック(Mayo Clinic)の資料を活用し、正確な情報をお届けすることを目指しています。信頼できる機関からの情報を基に執筆していますので、安心してお読みください。ただし、本記事で扱う内容はあくまで一般的な情報提供を目的としたものであり、医師や専門家の正式な診断や治療に代わるものではありません。体調に不安のある方や、疑問点がある方は必ず医療機関に相談するようお願いいたします。
細菌性赤痢とは何か
細菌性赤痢、通称志賀菌(Shigella)感染症は、志賀菌によって引き起こされる腸と直腸の感染症です。特に学齢児や幼児など、抵抗力が十分に発達していない年代での発症が多く報告されています。この病気の主要な症状は激しい下痢で、その中には血が混じることもあります。感染は、感染者の糞便や汚染された食品を介して、人から人へと広がることが特徴です。また、衛生環境の整備が行き届いていない地域では集団発生のリスクが高まることが知られています。
感染しやすい環境の背景
日本国内でも衛生状態は比較的良好とされる一方で、学校や保育園などの集団生活の場では感染が起こりやすい状況があります。特に、小さな子供たちは手洗いが十分でない場合も多く、また抵抗力が弱いため一人が感染すると短期間で広がる懸念があります。さらに、海外旅行で発展途上国や衛生状態が十分でない地域を訪れる際には、現地の水や食事を介して感染するリスクが高くなるため注意が必要です。
世界的な視点
世界保健機関(WHO)なども、志賀菌は地球規模で見ると依然として重要な公衆衛生上の問題であると警告しています。特に水資源や食糧事情に課題を抱える国や地域では、細菌性赤痢が原因で子供の健康が脅かされる事例が多数報告されています。日本人が海外で生活や旅行をするときにも、渡航先の衛生状態を把握し、可能な限りの感染対策を行うことが推奨されています。
症状とサイン
細菌性赤痢は、通常、感染後1日から3日で症状が現れることが多いですが、潜伏期間が7日程度に及ぶケースも存在します。症状の出方や重症度は個人差がありますが、代表的なものは次のとおりです。
- 発熱
特に小児では高熱になることが多く、全身の不快感が強くなる傾向があります。高熱に伴い食欲が低下し、水分も取りづらくなります。 - 腹痛や痙攣
下腹部の痛みや強い痙攣が生じることがあります。小児の場合、痛みを上手く表現できないため、泣き続ける、ぐったりするなどの様子で異常に気づくこともあります。 - 水様性、時には血便を伴う下痢
頻繁に下痢を起こし、その便に血液が混じることが多いです。これは腸内での炎症が強いことを示す大切なサインです。 - 嘔気や嘔吐
胃腸の不快感から嘔気や嘔吐を伴うことがあり、食事や水分を摂りにくくなる恐れがあります。 - 筋肉痛や全身の疲労感
発熱や脱水に伴い、身体全体がだるい、筋肉が痛いなどの症状が出やすくなります。特に高齢者や小児はこの状態が長引くと体力が急激に低下する可能性があります。 - 便に血や粘液の混入
下痢便の中に血液や粘液が混じるのは、粘膜が大きく傷ついているサインです。症状が進行している可能性が高いので、注意が必要です。
これらの症状は急速に悪化する可能性もあるため、血便や高熱を伴う脱水症状が見られた場合には、できるだけ早く医師の診察を受けることが重要です。
脱水症状への警戒
特に小児や高齢者は脱水を起こしやすく、重症化しやすい傾向があります。下痢や嘔吐が続き、水分の摂取が不十分になると、体内の電解質が失われ、重大な合併症を引き起こすリスクが高まります。口が渇く、尿量が減る、皮膚の弾力が失われるなどの症状は脱水のサインです。こうした異常を感じたら、迅速に医療機関へ連絡し、指示を仰ぐことが勧められます。
原因
細菌性赤痢の主な原因は志賀菌(Shigella)であり、この菌が人間の腸内で増殖することで様々な症状を引き起こします。感染経路としては以下のようなパターンが代表的です。
- 人から人への直接感染
感染者の糞便と接触した後に手を洗わないまま生活すると、あっという間に周囲へ感染が広がります。特に集団生活でトイレの後の手洗いが徹底されていない場合、集団発生の原因となり得ます。 - 汚染された食品による感染
調理器具や手指の清潔が保たれていない、あるいは安全な水が使われていないと、食品が簡単に汚染されてしまいます。加熱が不十分な食品や長時間常温に放置された食品もリスクを高める要因です。 - 汚染された水の摂取や水遊び
井戸水や河川水など、衛生的に問題がある水が原因で感染する場合があります。海外旅行やキャンプなどで清潔な水が手に入りにくい状況では特に注意が必要です。
志賀菌の特性
志賀菌は少量の菌数でも発症するため、他の食中毒菌よりも感染力が強いとされています。そのため、あまり大量に菌が体内に入らなくても感染が成立しやすいのが特徴です。さらに、便を通じて排出された菌が周囲の物や手を介して二次感染を引き起こすことが多く、一度拡散が始まると封じ込めるのが難しい病原体として知られています。
感染リスクを高める要因
細菌性赤痢に対するリスクを高める要因は多岐にわたります。自分や家族がこうした状況に当てはまらないかを把握することで、感染予防の意識を高めることができます。
- 2歳から4歳の子供
小児は免疫システムが未熟なため、感染症全般に対して弱い傾向があります。とりわけ、トイレの後の手洗いが徹底されにくい年齢層であることもリスクを高める要因です。 - 衛生状態が不十分な地域に住んでいる、または旅行する人々
発展途上地域だけでなく、自然災害などで上下水道が十分に機能しない状況でも感染が広がる可能性があります。海外旅行では、現地の水道水をそのまま飲まない、屋台や露店での食事を避けるなどの対策が必要となります。 - 露店や屋台などでの食事
衛生基準が統一されていない場所では、調理過程や保存方法に不備がある可能性が高く、食中毒全般のリスクが高まります。特に加熱が不十分な肉や魚、長時間常温にさらされた食品には注意が必要です。 - 男性同士での肛門を介した性交渉
粘膜を介した接触で菌が体内に入りやすくなります。通常の性行為に比べても、より直接的に病原体が伝播するリスクが高まるとされています。
注意すべき集団感染のリスク
集団生活を営む施設(保育園、学校、老人ホーム、寮など)では、一度発生すると短時間で多数の感染者が出る恐れがあります。こうした施設での感染予防の基本は、手洗いの徹底や共用部分の消毒、トイレ環境の衛生強化などです。管理者やスタッフが日ごろから衛生教育を行い、利用者・入居者に徹底することで大規模な流行を防ぐことが期待できます。
治療方法
大人であれば、軽症の場合は自然治癒するケースもありますが、特に子供や高齢者の場合は適切な治療が必要になることが多いです。治療の基本は脱水の予防と症状の緩和であり、以下の方法が一般的に行われます。
- 十分な水分補給
スポーツドリンクや経口補水液(ORS)など、電解質を含む水分をこまめに摂取することが勧められます。嘔吐がある場合でも少量ずつ継続的に飲むように心がけ、脱水症状を防ぎます。 - 医師による抗生物質の処方
症状が重い場合、または集団発生を早期に終息させる必要がある場合などには医師の判断で抗生物質が使用されます。効果的に菌を抑える反面、自己判断での使用は薬剤耐性を生む可能性があるため、必ず専門家の指示を仰ぎましょう。 - 消化に負担の少ない食事
体調が回復してきたら、お粥や野菜スープなど胃腸に優しい食事から始めるのが望ましいです。急激に油っこいものやタンパク質の多い食品を摂ると、再び下痢や腹痛を起こすリスクが高まります。
重症例における入院
小児や高齢者、基礎疾患のある人などで症状が悪化し、重度の脱水や電解質異常を起こしている場合には入院が検討されます。点滴による水分・栄養補給、医師の管理下での治療が必要となることも少なくありません。万が一、意識障害や血圧の低下などがみられる場合は、すぐに救急対応を行うようにしてください。
生活習慣と予防策
以下の習慣を守ることで、細菌性赤痢の拡大を防ぐことが期待できます。日常生活の中で当たり前のように行われる行動ですが、あらためて意識し、徹底することが大切です。
- 病気の間は安静を保ち、使用する寝具や衣服をこまめに洗濯する
細菌性赤痢は感染力が高いので、患者が使うタオルやリネン類は別に分けて洗うことが望ましいとされています。また、衣服やシーツ類を洗う際には十分な洗剤と適切な水温での洗濯を行うと効果的です。 - トイレの後や食事前には、必ず石鹸と水で手を洗う
手洗いは20秒以上行い、指の間や爪の下までしっかり洗浄するよう心掛けましょう。石鹸で十分に泡立てた後、流水で完全に洗い流すことが重要です。 - 調理する際や食事前には、手を正しく洗う
食材と触れる前後で手洗いを徹底することが交差汚染の予防につながります。特に生の肉や魚を扱った後は、包丁やまな板も含めて洗浄・消毒を行いましょう。 - 胃に優しい食品から始め、徐々に固形の食物を摂取する
急に固い食べ物や脂っこいものを摂ると、弱った胃腸に負担をかけ、症状が悪化する恐れがあります。お粥、野菜スープ、煮込みうどんなど消化しやすい食品を選ぶのが望ましいでしょう。 - 下痢を伴う薬の使用は極力避ける
下痢止めの薬は腸管からの菌や毒素の排出を妨げることがあり、回復を遅らせる原因になると言われています。使用の可否や種類については必ず医師に相談して判断してください。
集団予防の重要性
細菌性赤痢は症状が軽減しても、一定期間は便中に菌が排出される場合があります。集団生活をする場合や家族内に感染者がいる場合は、二次感染の防止を徹底する必要があります。例えば、感染者が使ったトイレの便座、ドアノブ、蛇口などは適切な消毒液(次亜塩素酸ナトリウムを含む製品など)で定期的に清拭し、手洗いをいっそう徹底するといった対策が挙げられます。
結論と提言
細菌性赤痢についての情報をここまでご覧いただき、いかがでしたでしょうか。この病気は感染力が非常に強く、特に小さな子供や衛生環境が整っていない地域での感染が多い一方で、日本国内でも油断はできません。日常生活における基本的な手洗いや食品の取り扱い、衛生管理を徹底することで、感染リスクを大きく低減させることが可能です。
また、何らかの異常を感じた際には早期に医療機関に相談し、適切な対策を講じることが重要です。特に、小児や高齢者、基礎疾患を持つ方は重症化のリスクが高いため、軽視せずに早めの対応を行ってください。感染者が出た場合は、家庭内や施設内での二次感染を防ぐために、手洗いや物品の消毒、リネンの管理などを細心の注意をもって行いましょう。
皆さんの健康を守るため、この情報が少しでも役立つことを願っています。家族や友人とも共有していただき、正しい知識にもとづいた感染予防を実践してみてください。
医師による診断・治療の必要性について
ここまで説明してきた内容はあくまで一般的な情報であり、個々の症状や状況に応じて対応が異なります。実際に下痢や嘔吐、高熱などの症状がある場合は、医師の診察を受けることが最優先です。自己判断や市販薬の安易な使用により症状が悪化したり、他の疾患を見落とす可能性も否定できません。また、海外渡航の予定がある方や集団生活を営む施設で働く方は、感染症予防策や衛生管理について医療専門家から直接指導を受けると安心です。
参考文献
- Shigella infection – Mayo Clinic (アクセス日: 2023年10月15日)
- 国立感染症研究所 (2023)「細菌性赤痢(Shigellosis)に関する情報」2023年10月20日参照
https://www.niid.go.jp/niid/ja/shigellosis.html - Centers for Disease Control and Prevention (2023) “Shigella – Shigellosis”, 2023年11月2日参照
https://www.cdc.gov/shigella/ - Troeger C.ら (2022) “Global burden of Shigella in children under 5 years old in 2019: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2019”, The Lancet Infectious Diseases, 22(10):1469–1480, doi:10.1016/S1473-3099(22)00274-2
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本記事は一般的な医療・健康情報の提供を目的としており、専門的な診断・治療を代替するものではありません。体調に不安がある場合や、実際の治療方針については医師や医療専門家にご相談ください。本記事の情報は執筆時点で確認可能な資料にもとづいており、最新の研究やガイドラインによって変更される可能性があります。
以上が、細菌性赤痢に関する包括的な情報と予防のためのポイントです。多くの方にとっては身近な病気ではないかもしれませんが、子供や高齢者を含む家族やコミュニティを守るためにも、正しい知識と対策を知っておくことはとても大切です。適切な衛生管理や早期受診を心がけ、安心して毎日を過ごすために活用していただければ幸いです。
(この記事はあくまで情報提供を目的としたものであり、医療上のアドバイスとして利用することはできません。症状に応じた最適な治療や対策については、必ず医療専門家の意見を求めてください。読者の皆さまが健康的な生活を送れるよう願っています)