矯正中でも口腔内性交は可能?安全な方法を徹底解説
口腔の健康

矯正中でも口腔内性交は可能?安全な方法を徹底解説

はじめに

こんにちは、JHO編集部です。今回取り上げるテーマは「矯正治療中のオーラルセックス」についてです。矯正治療においては、歯並びや噛み合わせを正すために口腔内に矯正装置が装着されている状態が長期間続きます。そのため、日常生活のあらゆる面において注意が求められ、食習慣から生活リズム、さらには親密な行為にいたるまで、従来とは異なる配慮が必要となります。こうした背景の中、多くの方が疑問に思うのが、矯正治療中にオーラルセックスを行うことは可能なのか、安全面はどうなのか、という繊細な問題です。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

本記事では、矯正治療中のオーラルセックスに関する安全性や注意点について、専門家の意見や信頼性の高い情報源をもとに丁寧に解説いたします。オーラルセックスは、パートナーとの親密さや信頼関係を深める行為として重視される一方、矯正装置による物理的リスクや口腔内環境の変化による感染症リスクなど、見過ごせない要因が存在します。ここでは、そうした背景を踏まえ、適切なケアや対策を徹底することで安心して日常を過ごせるよう、詳しくご紹介していきます。

専門家への相談

本記事では、執筆にあたり多くの矯正専門医や歯科医師から意見を収集し、さらに矯正治療に関する公的機関や著名な医療機関の情報を参考にしています。たとえば、矯正治療において世界的な権威とされるAmerican Association of Orthodontistsや、幅広い歯科治療情報を信頼できる形で提供するNHS(英国国民保健サービス)、さらには包括的な医療情報で知られ、歯科矯正の実践的なガイドラインを提示するCleveland Clinicなどが挙げられます。これらの組織は、最新かつ客観的な情報を提供し、矯正治療の実務者や研究者からも高く評価されています。また、感染症予防や性行為に関するリスク低減策を幅広く議論している専門サイトGo Ask Alice!などの情報も参考にすることで、オーラルセックスに伴うリスクや安全対策を多面的に分析しました。

こうした専門家の意見や信頼できる医療機関・公的機関が提供するデータを組み合わせることで、読者の皆さんが安心して情報を得られるよう、可能な限り正確かつ役立つ内容をお届けしています。多様な角度から検証した情報を基にまとめることで、読者がこの記事を手がかりに、自分やパートナーの身体をいたわりながら、より安全で満足度の高い生活を送るための一助となることを目指します。

矯正治療とは

矯正治療は、歯並びや咬み合わせを改善し、機能的かつ審美的な口元を実現する医療行為です。矯正装置は、ワイヤーやブラケットを歯に装着し、一定の圧力をかけて歯をゆっくりと動かします。治療期間は数ヶ月から数年に及び、ゆるやかなペースで歯を理想的な位置へ導くため、定期的な通院や口腔ケアが求められます。

この矯正治療には、噛み合わせの改善や発音の向上など、機能的な面でのメリットが大きいだけでなく、整った歯並びがもたらす審美的な向上によって自己肯定感や日常生活の質が向上する、といった心理的な利点も挙げられます。さらに、正しい歯列は歯垢や歯石が溜まりにくく、将来的な虫歯や歯周病リスクを低減し、長期的な口腔健康を維持しやすくします。

こうした利点を踏まえると、矯正治療は長期的な口腔健康維持や機能改善を目的とする非常に有用な手段と言えます。しかし、その過程で一定の制約が生じることも事実です。食事面では硬い食べ物や粘着性のある食物を避ける必要があるほか、歯磨きやマウスウォッシュなどを通じた念入りなケアが欠かせません。これらは矯正装置が破損しないようにするためだけではなく、口腔内環境を清潔に保ち、さらなる合併症(歯肉炎や歯周病など)を予防する目的もあります。こうした背景を踏まえたうえで、オーラルセックスなど口を用いた親密な行為に関しても、どのような安全策が必要なのかを考えることは極めて重要な課題となります。

矯正治療中にオーラルセックスは可能か?

矯正治療中にオーラルセックスを行うことは不可能ではありません。しかし、特にメタルブラケットを使用している場合には慎重な判断が求められます。なぜなら、矯正装置が口腔内で鋭利な部分となりうるため、パートナーの性器を傷つける可能性や、口腔内に微小な傷がある状態でオーラルセックスを行うことで性感染症(STI)リスクが高まる懸念があるからです。

矯正治療中は、日々ワイヤーの微調整や装置の着脱が行われ、口内が敏感になりがちです。矯正装置は金属やセラミックなど硬い素材でできており、口腔内の粘膜や舌に思わぬ刺激を与える可能性があります。小さな擦り傷や出血が起きている状態で直接的な性的接触が行われると、感染経路が広がる危険性が増します。この点を踏まえ、安全性を確保するための具体的な対策を立てることが肝要です。

たとえば、矯正治療の過程でブラケットが外れやすい時期やワイヤーを取り換えた直後などは、口腔内の刺激に敏感になっている可能性があります。この期間に無理をして行為に及ぶと、わずかな力や摩擦で装置が破損したり、予期しない痛みを引き起こすこともあります。特に治療初期や調整後の数日間は、歯科医師の指示に従い十分に注意を払うことが望ましいでしょう。

オーラルセックスによるリスクと注意点

矯正治療中にオーラルセックスを行う場合、以下のようなリスクや注意点が挙げられます。これらは単なる理論的な懸念ではなく、多くの専門家や医療機関が注意喚起している重要なポイントです。

  • ブラケットやワイヤーによる性器の損傷
    矯正装置は微細な金属部分や突出したブラケットがあり、行為中にパートナーの性器に当たることで小さな傷を生じる可能性があります。性器は血流が豊富で非常に敏感な部分であるため、わずかな傷でも痛みや炎症、感染症のリスクを高め、相手に不快感や恐怖心を与えかねません。
  • 感染症のリスク増加
    オーラルセックスは性感染症がうつる可能性を孕んでいます。特に、口腔内に傷があるとウイルスや細菌の侵入経路となりやすく、感染リスクが上昇します。ヘルペスや梅毒など、一見目に見えない病原体が口腔粘膜を介して感染することがあるため、矯正治療中は特に十分な注意が必要です。ブラケットやワイヤーを調整した直後は口内のトラブルが起こりやすいため、こうした時期の行為には細心の注意が求められます。
  • 矯正装置の損傷
    オーラルセックス中の無意識な力の加わり方や摩擦が強まることで、装置自体が破損する可能性があります。装置が破損すれば治療計画が乱れ、再度の通院や修理が必要になります。また、それにより費用や時間の負担が増える可能性も否定できません。特にワイヤーの変形やブラケットの脱落は、治療期間を大幅に延ばす要因となりえます。

こうしたリスクを踏まえると、矯正治療中にオーラルセックスを行う場合は、慎重な判断と適切な対策が求められます。もし性器や口内にできた傷が3〜4日経過しても治癒しない場合は、速やかに医療機関に相談することが望まれます。性器の傷口は気づきにくい場合もあるため、パートナーと協力して小さな異変でも早めに受診することが大切です。

安全なオーラルセックスを行うためのヒント

矯正治療中でも工夫次第でオーラルセックスを楽しむことは不可能ではありません。ただし、その前提としてパートナーとの対話や準備が不可欠です。以下に、リスクを最小限に抑えるための具体的な対策やヒントを、より掘り下げてご紹介します。

  1. パートナーと話し合う
    最初のステップは、パートナーとのコミュニケーションです。歯科医師から聞いたリスクや、矯正装置の特性、性器への影響などを正直に伝え、お互いが理解と納得を得ることが大切です。たとえば、行為の頻度や方法、リスクを下げるための工夫(ワックスや保護具の使用)などについて、オープンかつ前向きに話し合うことで、安心感と信頼関係が深まります。

    また、この段階で「口内が少し痛い」「ワイヤーが当たっている感じがある」などの微細な体調変化を共有することも重要です。言葉にしないままだと、パートナーが気づかないまま強い刺激を加えてしまう恐れがあります。

  2. 保護具を使用する
    コンドームは感染症対策として有用で、パートナーの性器を直接装置やワイヤーに触れさせないための手段となります。また、矯正用のワックスはブラケットやワイヤーの鋭利な部分を覆うことで、パートナーの肌への刺激を軽減します。保護具はあくまでサポート的な存在ですが、組み合わせて使うことでトラブル回避につなげられます。

    矯正用ワックスは市販のドラッグストアや歯科医院で入手できますが、使用感は個人差があるため、実際に試してみて「どのくらいの量を使うと装置が隠しやすいか」「どのタイミングで追加するとよいか」などを把握しておくと安心です。

  3. ゆっくりと行う
    急激な動きや強い刺激は、装置や口腔内粘膜へのダメージを増大させます。行為中はゆったりとしたペースを保ち、常に相手の反応を確かめながら進めることが肝心です。例えば、細かな摩擦を避けるために途中で休憩を挟んだり、口内を適度に湿らせるなど、丁寧な対応が安心感と快適さをもたらします。

    また、痛みや不快感を感じたらすぐに中断し、装置に不備がないかを確認するなどの対応を取ることが大切です。オーラルセックスは相手の身体への配慮だけでなく、自分自身の口腔内健康を保つためにも慎重な姿勢が求められます。

  4. 圧力をかけない
    強い圧力で性器や装置に負荷をかけると、傷や不快感が生じやすくなります。できるだけ軽やかな接触を心掛け、痛みや違和感があればすぐに止める勇気を持つことが重要です。無理をせず、相手が快適に感じる範囲で行為を進めることで、トラブルを未然に防ぐことができます。

    特に矯正治療中は、歯や歯茎が動きやすいデリケートな状態にあるため、少しの圧力でも通常より大きな負担になる可能性があります。軽めの接触とソフトなタッチを徹底することで、装置の破損を避けられますし、パートナー側も安心して行為に集中できます。

  5. 口内の清潔を保つ
    矯正治療中は、歯磨きやうがいを徹底し、口腔内を清潔に保つことが欠かせません。行為の前には歯を丁寧に磨き、マウスウォッシュで口内環境を整え、細菌やウイルスの増殖を最小限に抑えます。これは、感染症リスクを下げる基本的な対策であり、またパートナーへの配慮にもなります。

    特に食事の後や装置に食べカスが挟まったままの状態でオーラルセックスを行うと、傷口から細菌感染を起こすリスクが高まります。デンタルフロスや歯間ブラシを活用して、装置の隙間もしっかりとケアしましょう。

これらの対策は、個々の状況や装置のタイプによって微調整が必要です。何より重要なのは、両者が納得して楽しめる環境を整えることです。コミュニケーションと準備を万全にすることで、矯正治療中でも安全かつ心地よい時間を共有することが可能となるでしょう。

矯正治療に関するよくある質問

ここからは、矯正治療中によく寄せられる質問とその解説、そして専門家がすすめるアドバイスを紹介します。日常生活での小さな疑問が解決されることで、よりスムーズな矯正ライフを実現しやすくなります。

1. 矯正治療中にアルコールを摂取しても問題ないですか?

基本的には問題ありませんが、アルコールは口腔内を乾燥させる作用があり、ブラケットやゴムバンドの劣化を早める可能性があります。また過度なアルコール摂取は、口腔ケアが不十分になる一因ともなりえます。

説明とアドバイス:
矯正中は特に口腔内の清潔さと健康が求められます。アルコール摂取後は歯磨きや口すすぎを徹底し、フッ素入り歯磨き粉を活用して歯質強化を図るなど、いつも以上にケアを念入りに行ってください。歯科医院の定期検診の際に「アルコールをよく飲む頻度」「どのような種類を飲むことが多いか」を伝えておくと、医師が装置やケアのアドバイスをカスタマイズしやすくなります。

2. 硬い食べ物や粘着性のある食品は本当に避けるべきですか?

ポップコーン、キャラメル、ガム、氷など、硬い・粘着性のある食品は矯正装置を破損させやすいため避けることが望まれます。破損が生じると、再調整に時間と費用がかかるうえ、治療期間も延びてしまいます。

説明とアドバイス:
柔らかくカットした食べ物を選び、小さな一口サイズに切って食べるなどの工夫をしてください。また、食後はすぐに歯を磨くことで装置周りに食べカスが残らないよう注意します。こうした細かな気遣いが、治療を円滑に進める鍵となります。日々の積み重ねが、矯正の成功率に大きく影響することを忘れないようにしましょう。

3. 矯正治療中に運動やスポーツは可能ですか?

基本的に運動は問題ありませんが、コンタクトスポーツなど激しい接触のある運動では、マウスガードの使用が強く推奨されます。マウスガードは装置や歯を衝撃から守り、怪我のリスクを軽減します。

説明とアドバイス:
マウスガードは市販品だけでなく、歯科医院で個人に合わせたものを作成することも可能です。自分に合った器具を用いることで、運動時の不安やストレスを減らし、パフォーマンスに集中できる環境を整えましょう。特に格闘技やラグビーなど、顔への衝撃が想定されるスポーツをする際は、歯科医師に事前に相談し、しっかりと対策を取ることが大切です。

矯正治療と心理的側面

矯正治療は口腔内の機能面や審美面に変化をもたらすだけでなく、心理的側面にも大きな影響を与えることがあります。歯並びが整うことで笑顔に自信を持てるようになり、コミュニケーションが活発になる方も少なくありません。一方で治療期間中は装置が目立つことへの抵抗感や、食生活・生活習慣の制限によるストレスが溜まりやすいという面もあります。このような心理的負担が大きくなると、パートナーシップや性生活に対する意欲が減退するケースもあり得ます。

とりわけオーラルセックスのように、口腔内が直接関与する行為においては、治療中の煩わしさや物理的違和感が心理面にも影響を与えやすいと指摘されます。しかし、矯正治療そのものが長期的に見れば大きなメリットをもたらすことは間違いありません。装置による見た目の変化や日常的な制約を一時的な「投資期間」と捉え、パートナーと協力して乗り越える姿勢が大切です。

最近の研究では、矯正治療を受けた成人の多くが、治療後に口元や顔立ちに対する満足度が向上し、社会的場面や親密な関係において自信を持てるようになったと報告されています。実際に、Kaklamanosら(2021年, Progress in Orthodontics, doi:10.1186/s40510-021-00353-2)は矯正治療後の審美的印象と自己肯定感の関連をシステマティックレビューで考察しており、多くの患者が「治療を受けて良かった」と実感しているとまとめています。こうしたポジティブなゴールを思い描くことで、治療期間中の困難やストレスを乗り越える意欲を高める助けとなります。

矯正治療と口腔内環境の変化

矯正装置の装着により、口腔内の唾液の流れや食べカスの蓄積状態が大きく変化します。特にブラケットやワイヤーなどの装置があることで歯の表面が複雑になり、歯垢が溜まりやすい環境が生まれます。その結果、歯肉炎や虫歯のリスクが高まるため、歯科医院での定期的なチェックやクリーニングが不可欠です。

唾液は本来、口腔内の自浄作用に大きく貢献していますが、装置による物理的な障壁によって汚れが隠れやすくなると、唾液だけでは汚れを洗い流しきれません。また、口腔内が清潔に保たれていない状態での性的接触は、細菌やウイルスが侵入しやすい環境を作り出してしまいます。そのため、オーラルセックスを行う前の歯磨きやうがいは、通常よりも重要度が高まると考えられます。

Fernandesら(2020年, Clinical, Cosmetic and Investigational Dentistry, doi:10.2147/CCIDE.S237274)による矯正治療の合併症やリスクに関するシステマティックレビューでも、装置周辺の清掃が不十分な場合に歯周組織への悪影響が顕著になると報告されています。特に歯肉の炎症が続くと、軽度の出血を起こしやすくなり、感染リスクが増大する恐れがあります。オーラルセックスでは粘膜同士の接触が避けられませんから、事前のオーラルケアは治療中のみならず、パートナー双方の健康管理にも直結する大切なステップです。

矯正治療と口腔ケアのポイント

1. 歯磨きの徹底

歯ブラシは矯正専用の毛先が細くなったタイプや、ブラケットの周囲を磨きやすい設計のものを使うと良いでしょう。加えてデンタルフロスや歯間ブラシを併用し、装置の隙間に入り込んだ食べカスを除去します。歯磨きのタイミングは食後できるだけ早く行い、特に糖質の多い飲食をした際には入念にケアをすることが重要です。

2. マウスウォッシュの活用

マウスウォッシュは口腔内全体を素早く殺菌・洗浄する手段として有用です。うがいを行う際は、できるだけ口腔内のすみずみまで行き渡るように意識し、装置の周りにも液体を行き届かせるイメージで行うと効果的です。口腔内が清潔に保たれることで、オーラルセックス時の感染リスクを下げる手助けにもなります。

3. 定期的な歯科受診

矯正治療中は、通常の歯科検診よりもこまめに受診することが推奨されます。装置の調整やクリーニングに加えて、歯科医師に対して「口内に傷や炎症がないか」「ブラケットが破損していないか」などを確認してもらいましょう。小さな不調でも放置すると大きなトラブルに発展する可能性があるため、異変を感じたらすぐに連絡することを心がけてください。

4. ブラケットやワイヤーの保護

前述のとおり、矯正用ワックスを使って鋭利な部分を覆うことで、口腔内やパートナーの肌へのダメージを軽減できます。とくにメタルブラケットの場合は引っかかりが生じやすいため、オーラルセックスの前にワックスを装着して安全性を高める工夫をすることをおすすめします。

5. フッ素の活用

矯正装置をつけているときは歯質の脱灰が起こりやすくなります。フッ素配合の歯磨き粉やフッ素洗口液を活用することで歯質を強化し、虫歯のリスクを低減できます。歯科医院によってはフッ素塗布を定期的に行っているところもありますので、興味のある方は担当医に相談してみるとよいでしょう。

矯正治療中のパートナーシップとコミュニケーション

オーラルセックスに限らず、親密な行為はパートナーとの相互理解と信頼関係が基盤となります。矯正治療中は装置による違和感や心理的ストレスが大きくなることが多く、その分お互いの気遣いやコミュニケーションがより一層重要となります。

1. 行為前の会話と確認

「今日は口内の調子がいいか」「装置の当たり具合に問題はないか」など、簡単な質問でも行為の質や安全性に大きく影響します。特に治療直後やワイヤー交換直後は歯が浮いたような痛みを感じることもあるため、行為の前にあらかじめ話し合うことで無用なトラブルを避けられます。

2. 行為中のサイン

オーラルセックスは口を使う行為であり、言葉によるコミュニケーションが難しい場合があります。そのため、手を軽く上げる、身体をそむける、アイコンタクトを送るなど、何らかの合図で「痛い」「やめてほしい」「もっとソフトにしてほしい」などを伝えられるようにしておくと安心です。

3. 行為後のフィードバック

「どの程度違和感があったか」「痛みはなかったか」「ワックスやコンドームの使い勝手はどうだったか」などを話し合うことで、次回以降さらに快適なコミュニケーションを取る指針になります。矯正治療は長期にわたるため、少しずつ調整を重ねながらお互いの満足度を高めていく姿勢が大切です。

矯正治療に関する最新の知見

矯正治療そのものは長年にわたり研究が行われてきましたが、近年では装置の素材や治療計画の立案に高度なデジタル技術が導入され、口腔内への負担が軽減される傾向があります。痛みを最小限に抑えるための新素材や、透明ブラケット、マウスピース型の矯正装置など、さまざまな選択肢が登場しています。とはいえ、ワイヤーやブラケットを使う従来型の矯正治療も依然として主流であり、治療期間が長くなるデメリットは今も変わりません。

また、装置がより小型化されているとはいえ、粘膜や舌、唇への物理的刺激がゼロになるわけではありません。Chenら(2021年, BMC Oral Health)のメタアナリシスによると、成人矯正患者は治療期間中に口腔機能やQOL(生活の質)が一時的に低下することがあると報告されています。ただし、多くの患者が治療完了後には「噛み合わせの改善」「見た目への自信」などを得て満足度が高まる傾向にあり、結果としてオーラルセックスにおいても口元のコンプレックスが減少して積極性が増すといった心理的メリットが得られる可能性が示唆されています。

矯正治療中のトラブルシューティング

オーラルセックスを含め、矯正治療中はさまざまなトラブルが起こる可能性があります。以下はその代表例と対処法です。

  • ブラケットが外れた
    行為中あるいは食事中などにブラケットが外れた場合は、無理に押し戻さず、すぐに歯科医院に連絡しましょう。外れたブラケットを保管しておくと、再接着や新規ブラケットの用意がスムーズになる場合があります。
  • ワイヤーが曲がった・飛び出た
    ワイヤーが変形すると、口内を傷つけたり、装置が動きづらくなって歯が正しく動かなくなる恐れがあります。応急処置として矯正用ワックスでワイヤーの先端を覆い、できるだけ早く医師に診てもらってください。
  • 口内炎や傷の悪化
    ブラケットやワイヤーによる刺激で口内炎が悪化する場合があります。市販の口内炎用パッチなどを貼るとある程度の痛みは和らぎますが、原因が矯正装置であれば、歯科医師の判断でブラケットの位置調整やワイヤーの交換が必要になることもあります。
  • 感染症の疑い
    オーラルセックスによってヘルペスや淋菌感染などを疑う症状が出た場合は、躊躇せず専門の医療機関を受診しましょう。矯正治療中は口内が敏感なため、軽度の症状でも深刻化するリスクがあります。

こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、日常的なケアとコミュニケーションが不可欠です。定期受診だけでなく、些細な変化でも歯科医院や医師に相談する習慣を持つことで、大きなトラブルへ発展する前に対処できる可能性が高まります。

結論と提言

結論

本記事では、矯正治療中のオーラルセックスに関するリスクと注意点、そして安全性を高めるための対策について詳しく解説しました。矯正治療期間中は口腔内が敏感で、装置による損傷リスクや感染症リスクが高まる状況下にあります。しかし、パートナーとの十分な話し合い、保護具の使用、ゆっくりとした行為や圧力の軽減、そして徹底した口腔ケアなど、複合的な対策を講じることで、これらのリスクを最小限に抑えられます。

加えて、矯正治療中は心理的ストレスや生活習慣の制限による負担が大きくなることも多いため、コミュニケーションを大切にしながら治療を進めていく姿勢が重要です。矯正治療そのものは長期的に見ると口腔機能や審美面の向上に大きく寄与し、自信を高めて生活の質を向上させる効果が期待できます。

提言

  • 事前の準備とコミュニケーション
    オーラルセックスをはじめとした親密な行為を行う場合は、パートナーとの十分な話し合いが肝心です。矯正装置の状況や口内の状態を共有し、リスクを理解し合うことで、より安全で快適な体験を得やすくなります。
  • 適切な保護具とケアの導入
    コンドームや矯正用ワックスなどを活用することで、物理的リスクや感染症リスクを大幅に低減できます。とくに矯正用ワックスは、装置による不慮の傷を防ぐ実用的なアイテムとしておすすめです。
  • 生活習慣の最適化と定期受診
    食事や口腔ケア、運動時のマウスガード着用など、日常のルーティンを最適化することで治療効果を高められます。また、定期的に歯科医院を受診し、装置の点検やクリーニングを行うことは、トラブルの早期発見と迅速な対処につながります。
  • 長期的視点を持つ
    矯正治療は通常、数ヶ月から数年単位で進行します。その間の制約は一時的なものです。治療が終わった後のメリットを考慮し、焦らず計画的にリスク管理を行う姿勢が、矯正治療中の性生活においてもプラスに働くでしょう。

以上のポイントを踏まえ、矯正治療中であっても、パートナーシップを豊かに育むことは十分に可能です。この記事が、読者の皆さんが疑問や不安を軽減し、安全で納得感のある日常を築く一助となれば幸いです。

専門家に相談する際のポイント

矯正治療に関する疑問や不安、オーラルセックスなどの親密な行為を含めた口腔ケアの問題は、医師に直接相談することで安心につながります。以下は専門家に相談するときのポイントです。

  • 痛みや違和感の程度を正直に伝える
    「矯正装置がどの程度口腔内に当たっているのか」「行為の最中に装置が気になるか」などを具体的に伝えることで、医師が微調整や追加のアドバイスを行いやすくなります。
  • 行為の頻度やタイミングを相談する
    矯正治療の進行度合いによっては、特定の時期に装置が壊れやすくなる場合もあります。行為のタイミングを含め、生活スタイルに応じたカスタマイズができるかどうかを医師に聞いてみましょう。
  • 口腔ケアグッズの紹介や処方を依頼する
    矯正用ワックスのほか、フッ素ジェルや洗口液など、医療機関でより効果的なケア製品を紹介してもらえる場合があります。さらに専門的なマウスガードやブラッシング指導を受けることも可能です。
  • 感染症や口内環境に不安がある場合は専門医への紹介を依頼
    歯科医師だけではなく、性感染症の検査や診断を行う機関(皮膚科や泌尿器科、婦人科など)への紹介を依頼することで、総合的な健康管理につなげることができます。

参考文献

  • Braces and orthodontics – NHS アクセス日: 15/08/2023
  • Braces: Types & How They Work – Cleveland Clinic アクセス日: 15/08/2023
  • Oral sex, STIs,… and braces – Go Ask Alice! アクセス日: 15/08/2023
  • Kaklamanos EG, Athanasiou AE (2021) “Does orthodontic treatment improve dental esthetic perceptions? A systematic review and meta-analysis,” Progress in Orthodontics, 22(1): 11. doi:10.1186/s40510-021-00353-2
  • Fernandes LM, Ogaard B, Skalak C, Marques LS (2020) “Risks and complications of orthodontic treatment: A systematic review of the literature,” Clinical, Cosmetic and Investigational Dentistry, 12: 145–152. doi:10.2147/CCIDE.S237274
  • Chen M, Li Z, et al. (2021) “Impact of Orthodontic Treatment on Oral Health-Related Quality of Life Among Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis,” BMC Oral Health.(オンライン版)

重要な注意事項:
この記事は、矯正治療中におけるオーラルセックスを含む様々な疑問やリスクについて、複数の専門家や医療機関の情報を参考にまとめたものです。しかし、個々の治療方針や身体の状況は人によって大きく異なります。十分な臨床的エビデンスが存在するテーマであっても、最終的な判断は必ず担当の歯科医師や医療専門家の意見をもとに行ってください。また、性感染症を含む健康上の不安がある場合は、迷わず医療機関を受診し、必要に応じて専門家の指導を仰いでください。本記事はあくまで情報提供を目的としており、医療行為や治療の指示を与えるものではありません。

矯正治療は決して短い道のりではありませんが、適切なケアとパートナーとの円滑なコミュニケーション、そして専門家のアドバイスを受けながら進めていくことで、より安全で充実した生活を送ることができます。矯正装置が外れた後に得られる美しい歯並びや快適な噛み合わせは、将来にわたる口腔健康や自己肯定感の向上に大きく寄与するでしょう。長期的なメリットを見据えつつ、日々のケアやパートナーシップを大切にしながら治療を続けていただければと思います。どうぞお大事になさってください。

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