脂肪肝・MASH治療の最前線:科学的根拠に基づく薬物療法の徹底解説
消化器疾患

脂肪肝・MASH治療の最前線:科学的根拠に基づく薬物療法の徹底解説

脂肪肝は、かつて「ただ太っているだけ」と軽視されがちでしたが、現在では日本の公衆衛生における重大な課題として認識されています。この記事では、歴史的な転換期にある脂肪肝および代謝機能障害関連脂肪性肝炎(MASH)治療の最前線を、科学的根拠に基づき網羅的に解説します。あらゆる治療の根幹である生活習慣の改善から、世界で初めて承認された画期的新薬、そして開発が続く次世代の治療選択肢まで、専門的な視点から深く掘り下げます。もはや脂肪肝は、なすすべなく進行を見守る病ではありません。新たな治療の選択肢が生まれつつある今、正確な知識を得ることが、自らの健康を守るための第一歩となります。

要点まとめ

  • 脂肪肝は日本の成人の9~30%が罹患する国民病で、進行すると肝硬変や肝がんのリスクが急増します13。疾患名は近年、病態をより正確に反映する「MASLD/MASH」へと国際的に変更されました5
  • 治療の根幹は、7~10%の体重減少を目標とした生活習慣の改善です。特に果糖や飽和脂肪酸を避け、バランスの取れた食事と定期的な運動が不可欠です14
  • 2024年、米国で世界初のMASH治療薬「Resmetirom」が承認され、薬物治療の新時代が到来しました12。日本でも糖尿病・肥満症治療薬であるインクレチン関連薬(セマグルチド、チルゼパチド)のMASHへの応用が期待されています19
  • 既存薬では、ビタミンEやピオグリタゾンなどが、特定の条件下で肝組織を改善する効果が示されており、現在の日本の臨床現場で重要な選択肢となっています29
  • 診断は、血液検査(FIB-4 index)と画像検査を組み合わせた非侵襲的な方法が主流となり、早期発見と適切なリスク管理が可能になっています14

序章:脂肪肝という「沈黙の病」への警鐘

日本における問題の規模

脂肪肝は、かつては「ただ太っているだけ」と軽視されがちな状態であったが、現在では日本の公衆衛生における重大な課題として認識されている。その有病率は驚くほど高く、日本の成人人口の9~30%が非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に罹患しており、患者数は少なくとも1,000万人以上に達すると推計されている1。特に男性ではその割合が30~40%に上るという報告もあり、もはや「ありふれた病気」と言える2
この問題の深刻さは、単に有病率の高さだけにあるのではない。脂肪肝は肥満者特有の疾患ではないという事実が、その複雑さを物語っている。体格指数(BMI)が25未満の非肥満者においても、7~20%という無視できない有病率が報告されており3、見た目では判断できない「かくれ脂肪肝」が社会に広く浸透していることを示唆している2
さらに憂慮すべきは、脂肪肝が進行するリスクである。NAFLD患者の一部は、より重篤な病態である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)へと進行する。日本のNASH有病率は人口の3~5%と推定され、これは数百万人規模の患者が存在することを意味する3。NASHは肝臓の炎症と線維化を特徴とし、放置すれば肝硬変や肝がん(肝細胞がん、HCC)といった生命を脅かす疾患へと至る危険な状態である4。実際に、肝がんの発生率は、単純な脂肪肝(NAFLD)が1,000人年あたり0.44人であるのに対し、NASHでは5.29人と10倍以上に跳ね上がるというデータが、そのリスクの大きさを明確に示している3

疾患概念のパラダイムシフト:NAFLD/NASHからMASLD/MASHへ

近年の脂肪肝領域における最も重要な進展の一つが、疾患名の国際的な変更である。2023年、欧米の肝臓学会が中心となり、従来の「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」および「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」という呼称を改めるコンセンサスが形成された5。この動きは、日本肝臓学会および日本消化器病学会も支持を表明しており、日本の臨床現場にも大きな影響を与えている6
この名称変更の背景には、従来の呼称が抱えていた複数の問題点があった。「非アルコール性(non-alcoholic)」という言葉は、アルコール摂取がないことを前提とする「除外診断」の概念に基づいているが、これは診断プロセスを煩雑にする一因となっていた8。また、「脂肪性(fatty)」という言葉は、患者に対してスティグマ(負の烙印)を与える可能性が指摘されていた7
これらの課題を克服するため、新たな包括的名称として「脂肪性肝疾患(Steatotic Liver Disease: SLD)」が提唱された7。その上で、病態をより正確に反映する新しい診断名が導入された。

  • MASLD(Metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患): 従来のNAFLDに代わる名称。肝臓への脂肪沈着に加え、肥満、2型糖尿病、脂質異常症、高血圧といった5つの心血管代謝リスク因子のうち、少なくとも1つを有する場合に診断される7。これは「アルコールの不在」ではなく「代謝機能障害の存在」を診断の根幹に据える「積極的診断」への転換であり、診断の迅速化と的確化に貢献する。
  • MASH(Metabolic dysfunction-associated steatohepatitis:代謝機能障害関連脂肪性肝炎): 従来のNASHに代わる名称で、MASLDの中でも炎症や肝細胞障害を伴う重症型を指す7
  • MetALD: MASLDの診断基準を満たし、かつアルコールの摂取量が多い(女性で週140g以上、男性で週210g以上)患者のための新しいカテゴリー。代謝異常とアルコールという二つの要因が肝障害を増悪させることを明確にするための分類である7

この名称変更は単なる言葉の置き換えではない。それは、この疾患が本質的に代謝異常に根差した全身性疾患の肝臓における表現型であるという現代的な理解を反映した、根本的なパラダイムシフトである。MASLDという積極的な診断基準は、特にプライマリケアの現場において、肥満や2型糖尿病といったリスクを持つ患者の早期発見を促進する9。また、研究分野においても、より均質な病態を持つ患者群を対象とした臨床試験が可能となり、治療薬開発の効率化と成功率の向上が期待される10

本レポートの中心的なメッセージ

長年にわたり、脂肪肝、特にNASHに対しては「有効な治療薬は存在しない」というのが定説であった11。治療の選択肢は生活習慣の改善に限られ、多くの患者と医療者は進行を食い止めるための有効な手段を待ち望んでいた。しかし、その状況は劇的に変わりつつある。2024年、米国で史上初のMASH治療薬が承認されたことを皮切りに12、世界中で数多くの新薬開発が最終段階を迎えている13
本レポートは、この歴史的な転換期にある脂肪肝・MASH治療の最前線を、科学的根拠に基づいて網羅的に解説するものである。まず、あらゆる治療の根幹をなす生活習慣改善の重要性を再確認し、その具体的な方法を詳述する。その上で、現在注目されている9種類以上の薬物療法について、その作用機序、臨床試験で示された有効性と安全性、そして日本における開発状況と将来性を、専門的な視点から深く掘り下げていく。もはや脂肪肝は、なすすべなく進行を見守るだけの病ではない。新たな治療の選択肢が生まれつつある今、正確な知識を得ることが、自らの健康を守るための第一歩となる。

第1部:治療の礎 — 生活習慣の改善という最強の「処方箋」

脂肪肝・MASH治療における薬物療法の進展は目覚ましいが、その前に揺るぎない事実として強調されなければならないのは、生活習慣の改善がすべての病期において最も重要かつ効果的な治療法であるということである14。薬物療法は、あくまでこの強固な土台の上に成り立つ補助的な手段であり、決して生活習慣改善の代替にはならない。

体重減少:用量依存的な奇跡

MASLD治療における最も強力な介入は、体重の減少である。特に、7~10%の体重減少を達成することが一つの大きな目標となる14。このレベルの減量は、単に肝臓の脂肪(脂肪変性)を減少させるだけでなく、MASHの病態の中核である肝臓の炎症や線維化をも改善することが、数多くの研究で証明されている14。この効果は「用量依存的」であり、体重減少の幅が大きいほど、肝組織の改善効果も高まることが知られている15
肥満を合併する患者で、食事療法や運動療法だけでは十分な体重減少が困難な場合、肥満外科手術(代謝改善手術)が有効な選択肢となりうる。この手術は、適応基準を満たす患者において、大多数でMASHを寛解させ、心血管疾患や悪性腫瘍による死亡率を低下させることが示されている16

食事戦略:何を摂取し、何を避けるべきか

体重減少を達成するための食事戦略は、単なるカロリー制限にとどまらない。何を食べるか、という「質」の改善が極めて重要である。

  • 基本方針: 総摂取カロリーを抑え、栄養バランスの取れた食事を3食きちんと摂ることが基本となる14。特に、地中海食のような食事が心血管系の利益ももたらすため推奨されることが多い10
  • 避けるべき食品・栄養素:
    • 果糖: 特に清涼飲料水やジュースに多く含まれる果糖は、肝臓での脂肪合成(de novo lipogenesis: DNL)を強力に促進するため、摂取を厳しく制限する必要がある14。DNLはMASLDの病態形成における中心的なメカニズムの一つであり10、果糖の過剰摂取は、いわば肝臓内の脂肪生産工場をフル稼働させることに等しい。
    • 飽和脂肪酸とトランス脂肪酸: ラードやバターなどの動物性脂肪に多い飽和脂肪酸、マーガリンやショートニング、洋菓子などに含まれるトランス脂肪酸は、肝臓への脂肪蓄積を促すだけでなく、酸化ストレスを増加させ、肝炎を悪化させる要因となるため、摂取を控えるべきである14
  • 積極的に摂取すべき食品・栄養素:
    • 多価不飽和脂肪酸: 青魚などに豊富に含まれるn−3系多価不飽和脂肪酸(EPA、DHA)は、肝臓の炎症を抑制する効果が期待される14
    • 食物繊維とビタミンE: 緑黄色野菜やナッツ類に多く含まれる食物繊維やビタミンEは、抗酸化作用などを通じて肝臓を保護する働きがある14
    • コーヒー: 1日3杯程度のコーヒー摂取は、肝疾患の進行度が低いことと関連しているという興味深い報告がある15

運動の役割

定期的な運動は、体重減少とは独立して肝臓の脂肪を減らし、インスリン抵抗性を改善する効果がある16。ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動と、軽い筋力トレーニングを組み合わせることが理想的である。重要なのは継続することであり、個々の体力や生活スタイルに合わせた持続可能な運動計画を立てることが推奨される。

アルコール:決定的な増悪因子

MASLDは「非アルコール性」という言葉が使われてきた歴史的経緯から、アルコールとの関連が軽視されがちだが、これは大きな誤解である。たとえ少量であっても、習慣的な飲酒は肝疾患の進行、特に肝硬変への移行を加速させる重大なリスク因子となる14
このため、主要な国際的診療ガイドラインでは、肝臓に有意な線維化(ステージF2以上)が認められる患者に対しては、完全な禁酒を強く推奨している10。MetALDという新しい疾患カテゴリーの創設7 も、代謝異常とアルコールの二重の負荷が肝臓に与える深刻なダメージを浮き彫りにしている。脂肪肝と診断されたら、まず自身の飲酒習慣を見直し、専門医と相談することが不可欠である。

第2部:注目の治療薬詳解 — 9つの選択肢と科学的エビデンス

生活習慣の改善という土台の上に、MASHの進行を抑制し、組織学的な改善を目指す薬物療法の開発が、今、大きな飛躍を遂げている。ここでは、世界で初めて承認された画期的な新薬から、既存薬の新たな可能性、そして開発競争が激化する次世代の候補薬まで、9種類以上の注目すべき治療薬を科学的エビデンスに基づいて詳細に解説する。

【世界初のMASH治療薬】Resmetirom(レズディフラ)- 新時代の幕開け

Resmetiromは、MASH治療の歴史において画期的な薬剤である。2024年3月、米国食品医薬品局(FDA)から、世界で初めてMASH治療薬として承認を取得した12。この承認は、肝線維化が中等度から進行期(ステージF2~F3)にある非肝硬変MASHの成人患者を対象としたものであり、長年治療薬が存在しなかったこの領域に新たな希望をもたらした17
作用機序: Resmetiromは、経口投与可能な肝臓選択的な甲状腺ホルモン受容体β(THR-β)作動薬である12。MASH患者の肝臓では、このTHR-βの機能が低下しており、脂質代謝の異常を招いている18。Resmetiromは、このTHR-βを特異的に活性化することで、肝臓内での脂肪酸の燃焼を促進し、脂肪蓄積を減少させる。さらに、脂肪毒性による肝細胞の障害、炎症、そして線維化を抑制する多面的な効果を発揮する17
画期的な臨床試験(MAESTRO-NASH): FDA承認の根拠となったのは、大規模な第3相臨床試験であるMAESTRO-NASHの結果である。この試験では、52週間の治療で、Resmetiromはプラセボ(偽薬)に対して、2つの主要評価項目をいずれも達成するという優れた有効性を示した18

  • MASHの寛解(線維化の悪化なし): Resmetirom投与群では患者の約26~30%が達成したのに対し、プラセボ群では約10%にとどまった。
  • 線維化の1ステージ以上の改善(MASHの悪化なし): Resmetirom投与群では約24~26%が達成したのに対し、プラセボ群では約14%であった。

安全性: 全体的な忍容性は良好であり、最も一般的に見られた副作用は、軽度から中等度の下痢と悪心であった18。重篤な有害事象の発生率はプラセボ群と差がなかった18
日本での状況と今後の展望: 現時点(2024年時点)で、Resmetiromの日本国内での開発は行われていない19。これは日本の患者にとって重要な情報である。現在進行中のMAESTRO-NASH試験は54ヶ月(4.5年)にわたる長期試験であり、将来的には肝硬変への進行抑制といった、より臨床的に重要なアウトカム(臨床的有用性)が評価される予定である17。Resmetiromの登場は、MASH薬物治療時代の幕開けを告げる象徴的な出来事と言える。

【糖尿病・肥満治療からの新星】インクレチン関連薬

MASH治療薬開発のもう一つの大きな潮流は、既存の糖尿病・肥満症治療薬であるインクレチン関連薬の応用である。これらの薬剤は、MASHの根底にある代謝異常そのものにアプローチするため、非常に有望視されている。
MASHは単なる肝臓の病気ではなく、肥満、2型糖尿病、脂質異常症といった全身の代謝異常が肝臓に現れたもの(肝臓での表現型)であるという考え方が主流である14。Resmetiromのような肝臓に直接作用する薬剤とは対照的に、インクレチン関連薬は、食欲抑制、体重減少、インスリン感受性の改善、全身の炎症抑制といった多面的な作用を通じて、MASHの根本原因に働きかける20。この「全身を治療して、結果として肝臓も良くする」というアプローチは、多くのMASH患者が抱える複数の併存疾患を同時に管理できるという点で、大きな臨床的利点を持つ。

Semaglutide(GLP-1受容体作動薬)

作用機序: Semaglutideは、血糖値に応じてインスリン分泌を促進するホルモンであるGLP-1の受容体に作用する薬剤。すでに2型糖尿病治療薬「オゼンピック」「リベルサス」や肥満症治療薬「ウゴービ」として承認・使用されている19。強力な体重減少効果と血糖改善効果に加え、脂肪毒性や炎症を軽減することで、MASHを改善すると考えられている20
画期的な臨床試験(ESSENCE – 第3相): The New England Journal of Medicine (NEJM)に掲載されたこの試験結果は、MASH治療におけるSemaglutideの強力な効果を証明した21。72週間の治療で、プラセボと比較して以下の点で有意に優れていた。

  • MASHの寛解: Semaglutide群で約63%に対し、プラセボ群では約34%。
  • 線維化の改善: Semaglutide群で約37%に対し、プラセボ群では約22%。

日本での状況: 日本国内でもMASHを対象とした第3相臨床試験が進行中であり、将来的に日本で承認される可能性が最も高い薬剤候補の一つである19

Tirzepatide(GIP/GLP-1受容体作動薬)

作用機序: Tirzepatideは、GLP-1に加えて、もう一つの消化管ホルモンであるGIP(ブドウ糖依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)の受容体にも同時に作用する、世界初のデュアルアゴニストである22。この二重の作用により、Semaglutideを上回るほどの強力な体重減少効果と代謝改善効果を発揮する。2型糖尿病治療薬「マンジャロ」や肥満症治療薬「ゼップバウンド」として承認されている。
画期的な臨床試験(SYNERGY-NASH – 第2相): こちらもNEJMに掲載された試験結果は、驚くべき有効性を示した23。52週間の治療で、用量依存的にMASHを改善した。

  • MASHの寛解: Tirzepatide投与群(最高用量)で62%が達成したのに対し、プラセボ群ではわずか10%であった。
  • 線維化の改善: Tirzepatide投与群では約51~55%が達成し、プラセボ群の30%を上回った。

日本での状況: 日本国内ではMASHを対象とした第2相臨床試験が進行中であり、Semaglutideに続く有力な候補として期待されている19

表1:主要MASH治療薬候補の臨床試験データ比較

薬剤名 作用機序 試験名 対象 MASH寛解率 (vs プラセボ) 線維化改善率 (vs プラセボ) 主な副作用 体重減少効果 日本での開発
Resmetirom (100mg) THR-β作動薬 MAESTRO-NASH (P3) F2-F3 MASH 29.9% (vs 9.7%)18 25.9% (vs 14.2%)18 下痢、悪心24 なし33 実施なし19
Semaglutide (2.4mg) GLP-1作動薬 ESSENCE (P3) F2-F3 MASH 62.9% (vs 34.3%)21 36.8% (vs 22.4%)21 悪心、下痢、便秘21 -10.5%25 第3相19
Tirzepatide (15mg) GIP/GLP-1作動薬 SYNERGY-NASH (P2) F2-F3 MASH 62.2% (vs 10.3%)23 50.9% (vs 29.7%)23 悪心、下痢、便秘26 -15.6%23 第2相19

この比較表から、インクレチン関連薬(Semaglutide, Tirzepatide)が、Resmetiromと比較してMASHの寛解において非常に高い有効性を示すこと、そして顕著な体重減少効果という付加価値を持つことが明確にわかる。これは、MASHが全身の代謝疾患であるという観点から、全身に作用するインクレチン関連薬が治療の主流となる可能性を示唆している。

【開発競争の主役たち】次世代のMASH治療薬候補

Resmetiromとインクレチン関連薬以外にも、多様な作用機序を持つ薬剤がMASH治療薬として開発競争を繰り広げている。

  • Lanifibranor(pan-PPAR作動薬): 肝臓の脂質代謝、炎症、線維化に関わる3種類のPPAR(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体)アイソフォーム(α、δ、γ)すべてをバランス良く活性化する経口薬27。この多角的な作用により、MASHの複雑な病態に幅広く対応することが期待される。第2b相臨床試験(NATIVE)において、経口薬としては初めて、MASHの寛解と線維化の改善という2つの主要評価項目を同時に達成し、統計的に有意な結果を示した27。この結果を受け、現在、国際的な第3相臨床試験(NATiV3)が進行中である27
  • その他の開発パイプライン: 日本国内でも、海外企業を中心に多様なアプローチによる開発が進められている19
    • FGF21アナログ: 線維芽細胞増殖因子21(FGF21)は、脂質や糖の代謝を改善する作用を持つ。ノボノルディスクファーマの「NN9500」19や89bio社の「Pegozafermin」28などが開発中である。
    • ACC阻害薬: 肝臓での脂肪合成(DNL)に重要な役割を果たす酵素であるアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)を阻害する。ギリアド社の「GS-0976」やファイザー社の「PF-05221304」などがこのクラスに属する19
    • FXR作動薬: 胆汁酸受容体であるFXRを活性化し、脂質・糖代謝を改善する。ギリアド社の「GS-9674」などが開発されている19
  • 併用療法: MASHの複雑な病態を考慮すると、将来的には異なる作用機序の薬剤を組み合わせる併用療法が標準となる可能性がある。実際に、ギリアド社は自社のACC阻害薬やFXR作動薬とSemaglutideを併用する臨床試験を実施しており、今後の治療戦略を占う上で注目される19

【既存薬の応用】併存疾患治療としてのMASH改善効果

現時点で、日本国内において「MASH」そのものを適応症として承認された薬剤はない13。しかし、MASH患者に高頻度で合併する生活習慣病(糖尿病、脂質異常症、高血圧)の治療薬の中には、MASHに対しても有益な効果をもたらすことが知られているものがある。これらの薬剤は、あくまで併存疾患の治療を目的として使用されるが、結果的に肝臓の状態を改善する可能性があり、現在の日本の臨床現場における重要な選択肢となっている。

  • ビタミンE: 強力な抗酸化作用を持ち、肝細胞の酸化ストレスを軽減することで、肝臓の炎症や線維化を改善する効果が報告されている29。特に、2型糖尿病を合併していないMASH患者への使用が、日米のガイドラインで考慮される選択肢として挙げられている10。2010年の大規模臨床試験では、ビタミンEの投与が肝臓の脂肪化を有意に改善することが示された29。ただし、ビタミン剤とはいえ、過剰摂取には出血傾向の増大や、長期投与による死亡率の増加を示唆する報告もあり、必ず医師の監督下で使用されなければならない29
  • Pioglitazone(チアゾリジン誘導体): 2型糖尿病を合併しているMASH患者に対して、日米欧のガイドラインで治療選択肢として考慮されている14。インスリン抵抗性を改善する作用を持つ糖尿病治療薬であり、MASHの根源的な病態に働きかけることで、肝臓への脂肪蓄積を減少させる29
  • SGLT2阻害薬: 2型糖尿病治療薬の一つ。尿中に糖を排出させることで血糖値を下げると同時に、体重減少効果も併せ持つ29。この体重減少効果が、MASH患者にとって有益に働くと考えられており、糖尿病を合併するMASH患者において、肝機能の改善が報告されている14
  • 高血圧治療薬(ARB・ACE阻害薬): 高血圧を合併するMASH患者に使用される降圧薬。これらの薬剤は、肝臓の線維化において中心的な役割を果たす肝星細胞の活性化を抑制する可能性が示唆されており、肝臓の炎症や線維化の進行を抑える働きが期待されている29

第3部:臨床現場での実践 — ガイドラインと診断の流れ

MASH治療薬の登場は大きな進歩だが、その恩恵を最大限に受けるためには、まず治療が必要な患者を正確に特定し、適切な管理を行うプロセスが不可欠である。ここでは、患者がたどる典型的な診断と管理の流れを、最新のガイドラインに基づいて解説する。

患者の道のり:診断から管理まで

脂肪肝の発見から専門的な管理に至るまでのプロセスは、近年、大きく変化している。かつて診断の確定に必須とされた侵襲的な肝生検は、その役割を限定的なものへと変え、非侵襲的な検査を組み合わせた段階的なアプローチが主流となっている。

  • 最初のきっかけ: 多くの患者にとって、脂肪肝発見のきっかけは、健康診断などで行われる血液検査である。特に、肝機能を示す項目であるALT(GPT)値の異常が重要なサインとなる。日本肝臓学会は「奈良宣言2023」において、ALT値が30 U/Lを超えた場合は、まずかかりつけ医を受診することを推奨しており、早期発見への意識が高まっている30
  • 非侵襲的なリスク層別化: 肝生検は患者への負担が大きく、費用も高いため31、すべての脂肪肝疑いの患者に行うのは現実的ではない。そこで、まずは血液検査や画像検査を用いて、肝線維化が進行しているリスクの高い患者を絞り込む「リスク層別化」が行われる。
    • ステップ1(血液検査によるスクリーニング): 現在、国際的なガイドラインで第一選択として推奨されているのがFIB-4 indexというスコアである14。これは年齢、AST、ALT、血小板数という一般的な血液検査項目から簡単に計算できるスコアで、進行した線維化のリスクを評価する。
    • ステップ2(画像検査・専門的血液検査): FIB-4 indexで中等度〜高リスクと判定された場合(例:AASLDガイドラインではFIB−4≥1.315)、より専門的な非侵襲的検査へと進む。これには、肝臓の硬さを測定して線維化の程度を評価するVCTE(FibroScan®)やMRE(MRエラストグラフィ)、あるいは線維化マーカーを測定する血液検査(ELFテストなど)が含まれる5
  • 肝生検の役割: 現在では、肝生検は、非侵襲的検査の結果が不確定な場合や、他の肝疾患との鑑別が困難な場合、あるいは臨床試験への参加時など、限定的な状況で実施されるのが一般的である15

国際的な診療ガイドラインの統合的理解

MASHの管理戦略は、世界各国の主要な肝臓学会が発行する診療ガイドラインによって方向付けられている。これらのガイドラインは、最新の研究成果を反映して定期的に更新されており、臨床医の意思決定を支える重要な羅針盤となっている。

  • AASLD(米国肝臓学会): 2023年のガイダンスでは、FIB-4 indexによる初期スクリーニングを強く推奨。薬物療法については、当時FDA承認薬がなかったため、併存疾患の治療薬の活用を推奨。具体的には、2型糖尿病を合併するMASH患者にはSemaglutideやPioglitazoneを、糖尿病を合併しない患者にはビタミンEを考慮するよう提示している10。生活習慣改善の重要性も一貫して強調している。
  • EASL(欧州肝臓学会): 2024年に発表された最新のガイドラインは、Resmetiromの承認を受けて、初めてMASH特異的な治療薬を推奨した点で画期的である。非肝硬変で有意な線維化(ステージF2以上)を伴うMASH患者に対し、Resmetiromによる治療を考慮すべきであると明記した9。また、併存する2型糖尿病や肥満の管理のために、SemaglutideやTirzepatideといったインクレチン関連薬の使用も推奨しており、全身の代謝管理の重要性を強調している9。診断においても、FIB-4 indexとエラストグラフィを組み合わせた段階的アプローチを推奨している。
  • JSGE/JSH(日本消化器病学会/日本肝臓学会): 日本のガイドラインも、診断や生活習慣指導においては欧米のガイドラインと多くの点で軌を一にしている14。薬物療法に関しては、日本でMASHを適応とする承認薬がまだないため、糖尿病や高血圧などの併存疾患に対して、肝臓にも良い影響を与えることが知られている薬剤を選択するという、現実的かつ慎重なアプローチを推奨している14

表2:既存薬のMASHに対するエビデンスと推奨度(主要ガイドラインに基づく)

薬剤 対象患者 ガイドライン上の位置づけ 主要なエビデンス・根拠
ビタミンE 2型糖尿病を合併しないMASH患者 治療選択肢として考慮 (AASLD, JSGE/JSH) 酸化ストレス軽減による肝組織(炎症・脂肪化)の改善15
Pioglitazone 2型糖尿病を合併するMASH患者 治療選択肢として考慮 (AASLD, EASL, JSGE/JSH) インスリン抵抗性改善による肝組織(炎症・脂肪化)の改善14
SGLT2阻害薬 2型糖尿病を合併するMASH患者 併存疾患(糖尿病)の治療薬として推奨 血糖改善および体重減少効果による肝脂肪・肝機能の改善14
Semaglutide 2型糖尿病/肥満を合併するMASH患者 併存疾患の治療薬として推奨 (AASLD, EASL) 強力な体重減少と代謝改善。MASHの寛解と線維化改善のエビデンスあり9
Tirzepatide 2型糖尿病/肥満を合併するMASH患者 併存疾患の治療薬として推奨 (EASL) 非常に強力な体重減少と代謝改善。MASHの寛解と線維化改善のエビデンスあり9

この表は、日本の患者が医師と治療方針を相談する上で、現在の科学的根拠に基づいた選択肢を理解する助けとなる。MASHそのものを直接治療する承認薬がない現段階では、自身の併存疾患を適切に管理することが、結果として肝臓を守る最善の薬物療法戦略となりうることを示している。

よくある質問 (FAQ)

質問1:脂肪肝と診断されましたが、お酒は全く飲みません。なぜですか?

回答:アルコールを飲まない、あるいは少量しか飲まない人の脂肪肝は、現在「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」と呼ばれています7。これは、肥満、2型糖尿病、脂質異常症、高血圧といった代謝の問題が主な原因で肝臓に脂肪が溜まる状態です。見た目が痩せていても発症することがあり3、飲酒歴がなくても注意が必要です。

質問2:MASHの新しい治療薬は日本でいつ頃使えますか?

回答:2024年に米国で承認されたResmetiromは、現時点で日本での開発は行われていません19。しかし、糖尿病・肥満症治療薬であるSemaglutideやTirzepatideは、日本国内でもMASHを対象とした臨床試験が最終段階に進んでおり19、将来的に日本で承認される可能性が最も高い治療薬候補と考えられています。具体的な時期は未定ですが、数年以内の登場が期待されています。

質問3:薬を飲めば、食事制限や運動はしなくてもよくなりますか?

回答:いいえ、それは大きな誤解です。MASH治療の根幹は、あくまで食事療法、運動療法、そして適切な体重管理といった生活習慣の改善です14。新薬は非常に有効なツールですが、生活習慣の改善という土台の上に乗せることで初めて最大の効果を発揮します。薬物療法は、生活習慣の改善を補助するものであり、その代わりになるものではありません。

質問4:健康診断で「肝機能異常(ALT高値)」を指摘されました。どうすればよいですか?

回答:日本肝臓学会は、ALT値が30 U/Lを超えた場合、まずかかりつけ医を受診することを推奨しています30。かかりつけ医では、まずFIB-4 indexなどの簡単な血液検査で肝臓の線維化(硬さ)のリスクを評価します14。リスクが高いと判断された場合は、肝臓専門医に紹介され、より詳しい検査(腹部エコー、エラストグラフィ検査など)を受ける流れが一般的です。早期の受診が重症化を防ぐ鍵となります。

結論と将来展望:MASH治療の個別化医療へ向けて

脂肪肝・MASHの治療は、歴史的な転換点を迎えている。長らく「有効な治療薬はない」とされてきた時代11は終わりを告げ、科学的根拠に基づいた薬物療法が現実のものとなりつつある。Resmetiromの承認は、その象徴的な第一歩であり、MASHが治療可能な疾患であることを世界に示した。
日本における近い将来を展望すると、最も期待されるのはインクレチン関連薬、特にSemaglutideとTirzepatideであろう。これらの薬剤は、日本国内ですでに後期段階の臨床試験が進行中であり19、その強力な有効性と、MASHの根本原因である代謝異常全体を改善するという特性から、承認されれば多くの患者にとって福音となる可能性を秘めている。
MASH治療の未来は、より精密で個別化されたアプローチへと向かうだろう。治療の究極的な目標は、患者一人ひとりの病態や特性に合わせて最適な治療法を選択する「個別化医療」である。例えば、肥満や糖尿病が顕著な患者にはインクレチン関連薬が第一選択となり、一方で、非肥満のMASH患者やインクレチン関連薬が使用できない患者にはResmetiromのような肝臓選択的な薬剤が適応となる、といった使い分けが進むかもしれない。
さらに、高血圧やがん治療の領域で標準となっているように、異なる作用機序を持つ薬剤を組み合わせる「併用療法」が、MASH治療においても主流となる可能性がある19。例えば、全身の代謝を改善するインクレチン関連薬と、肝臓の線維化を直接抑制する薬剤を組み合わせることで、単剤では得られない相乗効果が期待される。
しかし、これらの目覚ましい薬理学的進歩の中にあっても、決して忘れてはならないことがある。それは、MASHが生活習慣に根差した代謝性疾患であるという本質である。いかに優れた新薬が登場しようとも、治療の根幹が、バランスの取れた食事、定期的な運動、そして適切な体重管理といった健全な生活習慣であることに変わりはない。新しい治療薬は、患者が自らの努力で築いた土台の上にさらなる改善をもたらす強力なツールであり、決して生活習慣の改善を不要にする「魔法の弾丸」ではない。
科学の進歩がもたらす新たな希望を胸に、日々の生活を見直す地道な努力を続けること。その両輪が揃ったとき、脂肪肝・MASHという現代の国民病を克服する道が、確かなものとなるだろう。

免責事項この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイスに代わるものではありません。健康上の問題や症状がある場合は、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

  1. 日本生活習慣病予防協会. 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の有病率は9~30%。少なくとも1000万人以上と推計 [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://seikatsusyukanbyo.com/statistics/2024/010795.php
  2. 名古屋学芸大学. 脂肪肝患者における生活習慣病の実態に関する検討 [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.nuas.ac.jp/IHN/report/pdf/12/02.pdf
  3. 日本生活習慣病予防協会. 脂肪肝/NAFLD/NASH | 生活習慣病の調査・統計 [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://seikatsusyukanbyo.com/statistics/disease/fatty-liver/
  4. 神戸大学. 脂肪肝の重症型である非アルコール性脂肪肝炎の原因を解明 [インターネット]. 2023年5月24日. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.kobe-u.ac.jp/ja/news/article/2023_05_24_01/
  5. 日本消化器病学会, 日本肝臓学会. 『NAFLD/NASH 診療ガイドライン」 (2020年11月) [インターネット]. 2023年10月. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/nafldnash202310_AR.pdf
  6. 日本消化器病学会. 脂肪性肝疾患の日本語病名に関して [インターネット]. 2024年8月20日. [引用日: 2025年6月19日]. [リンク切れの可能性あり]
  7. AASLD. New MASLD Nomenclature [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.aasld.org/new-masld-nomenclature
  8. 虎の門病院. 脱・脂肪肝!見逃さない [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://toranomon.kkr.or.jp/cms/info/files/tora_magazine_vol16.pdf
  9. Loomba R, et al. EASL–EASD–EASO Clinical Practice Guidelines on the management of metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease (MASLD). J Hepatol. 2024;81(1):215-238. doi:10.1016/j.jhep.2024.03.023. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11519095/
  10. AASLD. AASLD Practice Guidance on the clinical assessment and management of nonalcoholic fatty liver disease. Hepatology. 2023;77(5):1797-1835. Available from: https://www.giboardreview.com/wp-content/uploads/2023/09/AASLD-Guidelines-2023-on-NAAFLD.pdf
  11. ふれあいの丘内科内視鏡健診クリニック. 脂肪肝を治す薬はない!? [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://fureai.cmg.or.jp/column/fatty-liver/
  12. AnswersNews. 米国初のNASH治療薬やベイジーンの抗PD-1抗体など8新薬が承認―米FDAが2024年3月に承認した新薬 [インターネット]. 2024年3月. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://answers.ten-navi.com/pharmanews/27685/
  13. 中島淳. 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)〔メタボリック関連脂肪肝炎(MASH)〕[私の治療]. 日本医事新報. 2024;5233:38-42. Available from: https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=24782
  14. 日本消化器病学会, 日本肝臓学会. NAFLD/NASHガイド 2023 – 患者さんと ご家族のための [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/disease/pdf/nafld_2023.pdf
  15. Emory University School of Medicine. AASLD 2023 Practice Guidelines on the Clinical Assessment and Management of Nonalcoholic Fatty Liver Disease [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://med.emory.edu/departments/medicine/_documents/khakoo-aasld-assessment-management-of-nafld.pdf
  16. Global Liver Institute. Clinical Care Guidelines & Guidances in NAFLD/NASH [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://globalliver.org/clinical-care-guidelines-and-guidances-in-nafld-nash/
  17. U.S. Department of Veterans Affairs. Resmetirom (REZDIFFRA) Tablets in Metabolic Dysfunction-associated Steatohepatitis National Drug Monograph April 2024 [インターネット]. 2024年4月. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.va.gov/formularyadvisor/DOC_PDF/MON_Resmetirom_REZDIFFRA_in_Metabolic_Dysfunction-associated_Steatohepatitis_Monograph_Apr_2024.pdf
  18. Harrison SA, et al. A Phase 3, Randomized, Controlled Trial of Resmetirom in NASH with Liver Fibrosis. N Engl J Med. 2024;390:604-617. Available from: https://www.natap.org/2024/HIV/nejmoa2309000.pdf
  19. AnswersNews. NASH治療薬が米国で初承認…海外勢中心に国内でも開発競争 [インターネット]. 2024年3月. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://answers.ten-navi.com/pharmanews/27603/
  20. Shehadeh M, et al. Semaglutide for nonalcoholic steatohepatitis: closer to a solution? Ann Transl Med. 2021;9(15):1216. doi:10.21037/atm-21-2748. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8351017/
  21. Loomba R, et al. ESSENCE phase 3 trial of semaglutide showed significant improvements at 72 weeks in adults with MASH, published in NEJM. PR Newswire. 2024年7月. Available from: https://www.prnewswire.com/news-releases/essence-phase-3-trial-of-semaglutide-showed-significant-improvements-at-72-weeks-in-adults-with-mash-published-in-nejm-302443359.html
  22. Eli Lilly and Company. Lilly’s tirzepatide was superior to placebo for MASH resolution, and more than half of patients achieved improvement in fibrosis at 52 weeks [インターネット]. 2024年. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://investor.lilly.com/news-releases/news-release-details/lillys-tirzepatide-was-superior-placebo-mash-resolution-and-more
  23. Loomba R, et al. Tirzepatide for Metabolic Dysfunction-Associated Steatohepatitis with Liver Fibrosis. N Engl J Med. 2024;391(4):307-319. doi:10.1056/NEJMoa2401147. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38856224/
  24. NEJM Group. Resmetirom for NASH with Liver Fibrosis | NEJM [インターネット]. 2024年2月8日. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: http://www.youtube.com/watch?v=wwKhWt0pFh8
  25. King’s College London. Semaglutide treats liver disease in two thirds of patients [インターネット]. 2024年. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.kcl.ac.uk/news/semaglutide-treats-liver-disease-in-two-thirds-of-patients
  26. NEJM Group. Tirzepatide for MASH with Liver Fibrosis | NEJM [インターネット]. 2024年7月25日. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: http://www.youtube.com/watch?v=RkmHTAOUXA0
  27. Inventiva. The New England Journal of Medicine publishes the results of the NATIVE Phase IIb clinical trial with lanifibranor in NASH [インターネット]. 2024年. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.biospace.com/the-new-england-journal-of-medicine-publishes-the-results-of-the-native-phase-iib-clinical-trial-with-lanifibranor-in-nash
  28. 89bio. Randomized, Controlled Trial of the FGF21 Analogue Pegozafermin in NASH [インターネット]. 2024年9月. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.89bio.com/wp-content/uploads/2024/09/NEJMoa2304286.pdf
  29. ひまわり医院(内科・皮膚科). 脂肪肝の原因と薬物治療による改善方法について解説 [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/fatty-liver/
  30. ノボ ノルディスク ファーマ. 肥満症とNAFLD/NASH | 肥満症に関するトピックス | 医療従事者向けサイト [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://pro.novonordisk.co.jp/disease/obesity/obesity-and-NAFLD-NASH.html
  31. 量子科学技術研究開発機構. 非アルコール性脂肪性肝炎の進行や治療効果の可視化に成功~負担が少ない診断法や治療評価法として応用に期待~ [インターネット]. 2024年10月2日. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.qst.go.jp/site/press/20241002.html
  32. 日本肝臓学会. 『NAFLD/NASH 診療ガイドライン』(2020 年 11 月) [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/nafldnash2020_add.pdf
  33. Straight Healthcare. [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.straighthealthcare.com/
  34. ResearchGate. (PDF) Resmetirom in the management of metabolic associated steatohepatitis (MASH): a review of efficacy and safety data from clinical trials [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.researchgate.net/publication/392326060_Resmetirom_in_the_management_of_metabolic_associated_steatohepatitis_MASH_a_review_of_efficacy_and_safety_data_from_clinical_trials
  35. PMC. Outbreak of metabolic dysfunction-associated steatohepatitis pharmacotherapies in 2024: From resmetirom to tirzepatide [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11745866/
  36. J-Watch. Semaglutide Linked to NASH Resolution [インターネット]. 2020年11月15日. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.jwatch.org/fw117235/2020/11/15/semaglutide-linked-nash-resolution
  37. SciTechDaily. Reversing Liver Disease? Scientists Discover New Health Benefit of Semaglutide [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://scitechdaily.com/reversing-liver-disease-scientists-discover-new-health-benefit-of-semaglutide/
  38. UChicago Medicine. CLINICAL TRIAL / NCT04849728 [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.uchicagomedicine.org/find-a-clinical-trial/clinical-trial/irb221026
  39. 厚生労働省. 平成22年国民健康・栄養調査報告 [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/dl/h22-houkoku-02.pdf
  40. Echosens. AASLD Practice Guidance – 2023 update [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.echosens.com/aasld-practice-guidance-2023-update/
  41. PubMed. EASL-EASD-EASO Clinical Practice Guidelines on the management of metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease (MASLD) [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38851997/
  42. EASL. EASL–EASD–EASO Clinical Practice Guidelines for the management of non-alcoholic fatty liver disease [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://easl.eu/wp-content/uploads/2018/10/NAFLD-English-report.pdf
  43. Karger. EASL-EASD-EASO Clinical Practice Guidelines on the Management… [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://karger.com/ofa/article/17/4/374/908875/EASL-EASD-EASO-Clinical-Practice-Guidelines-on-the
  44. 厚生労働省. 年代別・世代別の課題(その2) [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000528279.pdf
  45. さいとう内科クリニックブログ. 肝硬変の新薬情報や最新の臨床試験の動向 [インターネット]. [引用日: 2025年6月19日]. Available from: https://saito-naika-cl.com/blog/post-359/
この記事はお役に立ちましたか?
はいいいえ