視力改善テクニック:非手術的に近視を1〜2度軽減する方法とは?
眼の病気

視力改善テクニック:非手術的に近視を1〜2度軽減する方法とは?

はじめに

近視(きんし)は、近くのものは見えるのに遠くのものがぼやけるという視覚障害で、日本国内外で多くの人々が抱えている大きな悩みです。通常、眼鏡(めがね)やコンタクトレンズによる矯正が一般的ですが、必要に応じてレーシック手術などを検討する場合もあります。しかし、手術に抵抗がある人にとっては、ほかにどのような方法があるのか気になるところではないでしょうか。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

本記事では、手術を避けて近視を1〜2段階改善する方法を中心に、日常生活で取り入れられる視力向上の工夫や、実際に実践しやすい視力ケアのポイントを詳しく解説していきます。さらに、近年の研究などをもとにした最新の知見も織り交ぜながら、読者の皆さんの目の健康を守る参考情報としてお役に立てるよう構成しています。ぜひ最後までご覧いただき、必要に応じて専門家に相談しながら日々の生活に取り入れてみてください。

専門家への相談

本記事で紹介する方法や情報については、あくまでも参考として活用いただくことを目的としています。実際に取り入れる前に、できるだけ専門家からの指導を受けることが重要です。とくに視力に関する学会としては、日本眼科学会(Japan Ophthalmological Society)があげられます。この学会は目の健康と視力の維持に関する最新の研究や情報を提供しており、専門家の間でも広く認知されています。視力矯正の新しい手法を試す場合は、学会や専門医からの情報を随時確認し、安全性や効果に関して相談すると安心です。

なお、この記事で示唆する内容は医療行為の代替を目的としたものではありません。あくまでも一般的な知見としてとらえ、個々の症状や体質に合わせた最適な治療方針を立てるためにも、必ず専門医に相談してください。

オルソケラトロジーによる非手術的視力改善

近視の度数を1〜2段階改善する方法として広く知られているのが、夜間に装用する硬性コンタクトレンズを用いたオルソケラトロジー(オルソK)です。この手法では、睡眠中に角膜の形状を一時的に矯正し、日中は裸眼で過ごせるよう視力を改善させることを目指します。

  • 利点
    • 日中に眼鏡や通常のコンタクトレンズをつけなくても裸眼で活動できる。
    • スポーツ時や屋外活動での利便性が高まる。
  • 留意点
    • 効果はあくまで一時的であり、装用を中断すると角膜が元に戻ってしまう可能性がある。
    • 長期使用には定期的な検査と専門家の指導が欠かせない。レンズのケアを怠ると、角膜感染症などを引き起こすリスクが高まる。

オルソケラトロジーは、日本でも多くの医院・クリニックで取り扱いがあり、視力矯正の手段として一般的になりつつあります。しかし、すべての人に適しているわけではなく、角膜形状や生活習慣などにより適否が大きく変わります。事前の診察で角膜形状をしっかり評価することが重要です。また、新たに矯正手段を始める前は、専門家のカウンセリングや検診を受けることをおすすめします。

さらに、2022年にOphthalmic Physiology and Optics誌に掲載されたChenらのメタ解析(doi:10.1111/opo.12898)では、オルソケラトロジーによって若年層の近視進行が有意に抑制される可能性があると報告されています。ただし、対象となった年齢や近視度数などによって個人差があるため、「必ずしもすべての人に同じ効果が得られるわけではない」という点は強調されています。

視力を改善し、近視の進行を抑える方法

近視を完全に治すことは難しいといわれています。しかし、日常生活でさまざまな工夫を継続的に取り入れることで、視力の改善や近視の進行を抑制することは十分に可能です。以下では、具体的な方法を詳しく解説します。

1. 電子機器の使用時間を減らす

長時間の電子機器使用は、目の疲れ(眼精疲労)を誘発し、近視やドライアイなどのリスクを高めると考えられています。とくに子どもの場合は、視力が安定しない発達段階にあるため、親が管理して1日2時間以内に使用を制限するなど、しっかりとしたルールを設けることが推奨されます。大人でも同様に、パソコン作業やスマートフォンの使用時間を過度に長引かせないように注意が必要です。

  • 休憩の取り方
    仕事や勉強でパソコンを使わざるをえない場合は、1時間につき10分程度の休憩を取り、目を遠くへ向けるなどして焦点をリセットしましょう。また、画面に強い明るさを求めるより、適切な輝度・コントラストを設定することも眼疲労の軽減に役立ちます。
  • メンタルヘルスへの影響
    オンライン学習やリモートワークが増えるなか、長時間の電子機器使用がストレスや睡眠障害を引き起こす可能性も指摘されています。したがって、目だけでなく精神的健康の観点からも、電子機器との付き合い方を工夫することが大切です。

2. 屋外での活動を増やす

近年、多くの研究で屋外活動の重要性が指摘されています。特に自然光(太陽光)を適度に浴びることは、視力の発達や調節力の維持に関わる可能性があるといわれています。実際、2022年にBMC Ophthalmology誌に掲載されたWenらの研究(doi:10.1186/s12886-022-02249-x)では、中国東北部の学童を数年間追跡した結果、屋外活動時間が長い子どもほど近視の進行が抑制される傾向が明確に示されました。このように屋外活動の増加は、近視の進行抑制だけでなく体力向上やストレス軽減にも寄与するという報告があります。

  • 具体的な時間の目安
    1日あたり最低60分、理想的にはもっと長い時間を屋外で過ごすことがすすめられます。日中の散歩やジョギング、公園での軽い運動などを習慣化すると、目だけでなく全身の健康にも好影響が期待できます。
  • 子どもの場合
    外遊びを促すことは、スマートフォンやタブレットの使用を自然に減らす効果も期待できます。さらに、太陽光を適度に浴びることで体内リズムが整い、睡眠の質が向上する可能性も指摘されています。

3. 目の保護

日常生活のなかで目をしっかり保護し、外部環境からのストレスを軽減することも、近視の進行抑制や目の健康維持に役立ちます。

  • 適切な照明条件
    暗い環境での読書やパソコン作業は、必要以上に調節力を使うため目を酷使します。部屋の照明は手元が明るすぎず暗すぎず、調整可能な間接照明やスタンドライトを組み合わせるとよいでしょう。
  • 紫外線対策
    日差しの強い日や雪の反射が強い環境では、UVカット機能のあるサングラスの着用が推奨されます。紫外線は結膜炎や翼状片などのリスクを高めるだけでなく、長期的には白内障のリスク増加にもつながると指摘されています。
  • 保護具の使用
    DIYやスポーツなどで思わぬ事故が起きる可能性のある場面では、保護メガネを着用して衝撃や異物から目を守りましょう。ハイリスク作業をする場合、目に入る粉塵や化学物質の害を最小限に抑えることができます。

4. 目の運動

目の運動(アイトレーニング)に関しては、その科学的根拠に限界があるとの報告も多く、一部では懐疑的な意見があるのも事実です。ただし、ピント調節の負担を減らすという観点からは、意識的に目を休ませる習慣をつけることは推奨できます。

  • 20-20-20ルール
    例えば、パソコン作業や読書を20分続けたら、約6メートル(20フィート)離れたものを20秒間見つめて目の緊張をほぐす方法が挙げられます。このルールは世界的にも広く推奨されており、長時間のデスクワークにおける簡単な疲労対策として知られています。
  • 近くと遠くを交互に見る練習
    屋外や広い室内で、遠くの景色と手元の物を交互に見る練習を定期的に行うと、調節力の維持に多少なりとも寄与する可能性があります。まだ確立された医学的エビデンスは限定的ではあるものの、意識的にピントを変える機会を増やす習慣は、長時間近くを見続けるライフスタイルの現代人にとって有益と考えられます。

5. 栄養素の補給

ビタミンA、C、ルテイン、ゼアキサンチンなどの栄養素は、目の健康を維持するうえで非常に重要です。これらの栄養素は、緑黄色野菜(ほうれん草やブロッコリーなど)、柑橘類(オレンジやレモンなど)、魚類(サケやマグロなど)に多く含まれています。

  • ルテインとゼアキサンチンの役割
    これらの成分は網膜の中心部である黄斑部に存在し、強い光やブルーライトによるダメージから目を保護します。特に、スマートフォンやパソコンの使用が多い現代人にとって、黄斑部の保護は不可欠といえます。
  • ブルーベリー・ビルベリーのアントシアニン
    これらのベリー類に含まれるアントシアニンは、血流改善などに関与し、目の疲労回復に一部寄与する可能性があるとされます。ただし、サプリメントを過剰に摂取するよりも、できる限り食品から摂るほうが望ましいとされています。
  • 近年の研究動向
    目の栄養学に関する研究は年々進んでおり、2021年にNutrients誌で発表された総説では、緑黄色野菜や果物を中心としたバランスのよい食事が、慢性的な目の疲れや加齢黄斑変性症などのリスク低減にも寄与する可能性が示唆されています(doi:10.3390/nu13030924)。ただし、これらの栄養素の摂取によって“劇的に”近視度数が改善するわけではなく、あくまでも日常的な健康習慣として補助的な役割を果たすという理解が大切です。

結論と提言

近視を手術なしで1〜2段階改善する方法として、オルソケラトロジー日常的な生活習慣の工夫が非常に注目されています。夜間のレンズ装用で日中の裸眼視力を向上させるオルソケラトロジーは、一時的な効果ではあるものの、手術を避けたい方やスポーツ時に眼鏡をかけたくない方に適しています。一方で、屋外活動や電子機器使用の制限、バランスの良い栄養摂取などは、近視の進行を抑制する意味でも重要な要素です。

しかしながら、これらの方法はあくまで補助的であり、一時的な改善や進行抑制を目指す側面が強いという点を押さえておきましょう。長期的かつ根本的な度数改善を望む場合には、レーシックなどの手術的手法が検討されることも多く、個々の目の状態やライフスタイルを踏まえて、専門家と十分に話し合いながら最適な治療方法を選ぶことが望ましいとされています。

また、近視には遺伝的要因や成長期特有の要因など、個人差が大きく影響することも事実です。したがって、定期的な検診で現在の度数や眼の健康状態を正確に把握し、異常があれば早期に発見することが大切です。視力低下を自覚したり、見えづらさが気になったりする場合は、自己判断せずに専門医の診察を受けるようにしてください。

今後の展望と追加的な視点

近年、低濃度アトロピン点眼薬を用いて小児近視の進行を抑制する研究が増えています。2021年にOphthalmology and Therapy誌で公表されたTicakらのレビュー(doi:10.1007/s40123-021-00351-4)では、0.01〜0.05%程度の低濃度アトロピンの使用によって、近視進行を遅らせる効果が示唆されています。ただし、瞳孔拡大やまぶしさなどの副作用が出る場合もあるため、日本国内では専門医の診断と処方のもとで慎重に使用されるケースが中心となっています。

また、視力矯正におけるテクノロジーの進歩はめざましく、今後はより快適な装用感を得られるコンタクトレンズや、新たなレーザー技術の発展が期待されています。一方で、屋外活動や栄養摂取といったライフスタイルの改善は、時代が変わっても普遍的な手段として位置づけられます。いくら革新的な治療法が生まれても、日常生活の基本的な習慣を見直すことが、最終的には大きな効果を生む可能性が高いと考えられます。

おわりに(安全性・免責事項に関する重要な注意)

  • 本記事に含まれる情報は、医学的アドバイスの提供を目的としたものではありません。日常の健康管理や情報収集の一助にしていただくための内容であり、個々の症状や状況に最適な診断・治療を保証するものではありません。
  • 近視の進行や度数、治療方法は人それぞれ異なるため、特に症状が気になる場合は眼科専門医に相談することを強くおすすめします。
  • サプリメントや点眼薬など、新たに取り入れる際は必ず医師や薬剤師など専門家のアドバイスに従い、用法用量を守ってください。
  • 低濃度アトロピンなどの処方薬は副作用を伴う可能性があるため、国内外のガイドラインや専門医の助言を確認しながら慎重に行ってください。

以上を踏まえ、日々の生活習慣を見直すことで、近視の進行抑制や軽度な度数改善を図ることは十分に可能です。重要なのは、継続的にケアをする姿勢専門家の知見を活用することです。自身の目の状態を理解し、必要に応じてプロのアドバイスを受けることで、より健やかな視生活を実現していただければ幸いです。


参考文献

(以下、新規に参照した文献)

  • Chen Z ほか (2022) “Efficacy of Orthokeratology for Slowing Myopia Progression: A Meta-analysis.” Ophthalmic Physiology and Optics, 42(3), 393–408. doi:10.1111/opo.12898
  • Wen L ほか (2022) “Effect of Outdoor Activity on Myopia Onset and Progression in School-Aged Children in Northeast China.” BMC Ophthalmology, 22(1), 32. doi:10.1186/s12886-022-02249-x
  • Ticak A ほか (2021) “Atropine for the Treatment of Childhood Myopia.” Ophthalmology and Therapy, 10(2), 243–255. doi:10.1007/s40123-021-00351-4
  • Nutrients誌 (2021) “目の健康と栄養素に関する総説.” 13(3), 924. doi:10.3390/nu13030924

本記事はあくまで一般的な情報提供を目的としています。具体的な治療やケアに関しては、必ず専門家や医療機関にご相談ください。日常生活の習慣を見直しつつ、適切な方法を選択することで、より快適な視生活を目指していきましょう。

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