はじめに
こんにちは、JHO編集部です。今回は、赤ちゃんに対するプロバイオティクスの使用、とりわけビオガイア(BioGaia)と呼ばれるプロバイオティクスが赤ちゃんの健康にどのように影響を与えるのか、詳しく探ってみたいと思います。近年、赤ちゃんの腸内フローラのバランスを整え、消化器の健康をサポートする方法として、さまざまなプロバイオティクス製品が注目されています。その中でもビオガイアは、赤ちゃんの繊細な体に対して比較的安全に使える製品といわれており、親御さんにとっては検討の価値が高い選択肢です。
免責事項
当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
しかしながら、赤ちゃんに実際にビオガイアを使うかどうかは、多くの親御さんにとって判断が難しいところでもあります。とりわけ、「本当に安全なのか」「どんな利点があるのか」「いつから使い始めるべきか」「どのくらい続けていいのか」など、疑問が次々と湧いてくるかもしれません。本記事では、ビオガイアの成分や期待される効果、使用法、安全性などを包括的に解説し、専門家の意見や研究結果もふまえて詳しく説明します。赤ちゃんの毎日の健康管理において、ビオガイアを取り入れるかどうか迷っている方のために、検討材料として役立つ情報を提供できれば幸いです。
専門家への相談
この記事では、医療の専門家である修士 – 小児科専門医 Lê Chí Hiếu博士(ホーチミン市こども病院)が助言を提供しています。赤ちゃんの健康は個々の体質や発育状況によって異なるため、プロバイオティクスを含むあらゆるサプリメントや補助的な製品を使用する際には、できるだけ専門家の指導を受けることが望ましいと考えられています。特に、赤ちゃんの体調やアレルギーの有無、既往症の状況などによっては、使い方や開始時期を慎重に検討する必要があります。ここで触れる情報はあくまで一般的なものであり、実際には小児科専門医などに相談しながら、赤ちゃん一人ひとりに合ったケアをしていくことが大切です。
赤ちゃんにビオガイアを使うべきか?
ビオガイアは、一般的に消化器系の不調(腹痛、逆流症、下痢、便秘など)を緩和するのに役立つと考えられているプロバイオティクスです。赤ちゃんの場合、腸内フローラがまだ十分に整っていないことも多く、ちょっとした刺激や食事内容の変化で便秘やお腹の張り、下痢などが起こりやすいとされています。こうした理由から、腸内環境をサポートする方法としてプロバイオティクスが注目されてきました。
しかし、「果たして赤ちゃんが飲んでも本当に大丈夫なのか」という疑問は、多くの親御さんが抱く当然の心配だと思います。そこで以下では、ビオガイアが持つ特性や安全性などを解説しつつ、「どのような赤ちゃんにおすすめか」「注意点はあるのか」など、具体的な情報を整理していきます。
赤ちゃんの腸内環境の特徴とビオガイアの重要性
赤ちゃんの腸内フローラは、大人と比べてまだ未成熟であり、日々のミルクや母乳、離乳食の内容などによって大きく変動すると考えられています。特に免疫力がまだ十分に確立されていない時期には、有害な菌に対する抵抗力が弱いことがあり、下痢や便秘、腹痛などが起きやすくなるケースも少なくありません。
こうした背景から、腸内に「善玉菌」とされる乳酸菌などを補うことで、赤ちゃんの腸内バランスを整え、不調を予防・緩和するという考え方が注目されています。ビオガイアに含まれるラクトバチルス・ロイテリDSM 17938(Lactobacillus reuteri DSM 17938)は、ヒトの体にもともと存在することのある乳酸菌であり、赤ちゃんを含めてさまざまな年齢層の腸内環境をサポートすると期待されています。
ビオガイアの自然由来の成分
ビオガイアが赤ちゃんにも使いやすいといわれる理由の一つが、自然由来の成分で作られている点です。以下の特徴が挙げられます。
- 人工的な保存料不使用:赤ちゃんの体に余計な負担を与えないよう、保存料を加えていません。
- アルコール不使用:成分の抽出や保存の工程でアルコールを用いないため、赤ちゃんの未成熟な臓器にも比較的安心だと考えられています。
- 香料不使用:人工的な香料を添加していないので、赤ちゃんにとっては自然で負担の少ない風味となります。
ビオガイアには、5滴中に10億個のラクトバチルス・ロイテリDSM 17938が含まれているとされ、これは赤ちゃんの腸内に補給することで、消化器系の働きをサポートし、腸内フローラのバランスを整えることを目的としています。こうした自然由来の構成要素を持つことから、赤ちゃんの繊細な体にも優しい選択肢として評価されてきました。
ビオガイアの安全性
臨床研究に基づく評価
ビオガイアの安全性は、複数の臨床研究で検証されてきました。とりわけ、ビオガイア プロテクティス ベビードロップ(BioGaia ProTectis Baby Drops)に関しては、新生児を含むさまざまな年齢層での使用が検討されており、これまでの研究では深刻な副作用が報告されていないといわれています。免疫力が低下している大人や新生児など、より慎重なケアを要する人々にも使える可能性があるという報告もあり、これらの結果がビオガイアの安全性を裏付けています。
また、米国食品医薬品局(FDA)によって安全性が認められ、GRAS(Generally Recognized As Safe:一般に安全と認められるもの)として分類されています。FDAのような公的機関の認証は、科学的根拠に基づいて審査されるため、この点もビオガイアが赤ちゃんに使用可能な製品として安心材料を得ている要因といえます。
近年の研究動向
赤ちゃんに対するプロバイオティクスの有用性については、ここ数年の間にさらに多くの研究が行われています。特に、Lactobacillus reuteri DSM 17938をはじめとした乳酸菌が、乳幼児の腹部膨満や便秘、腹痛などを緩和する可能性が示唆されており、その中には「ビオガイアの継続摂取がある程度の改善傾向をもたらす」という趣旨の研究も見られます。
例えば、2020年にNutrients誌に掲載された系統的レビューおよびネットワークメタ分析(Hoら, Nutrients, 2020, 12(7), 2019, doi:10.3390/nu12072019)では、赤ちゃんの「乳幼児疝痛(いわゆるコリック)」に対するいくつかのプロバイオティクスの効果を比較検討し、Lactobacillus reuteri株が泣き時間の減少につながる可能性があると示唆されています。日本国内の赤ちゃんにも同様の効果が期待できるかどうかは、体質や生活環境の違いなどによって個人差がありうるものの、ビオガイアをはじめとした安全性の高いプロバイオティクスは一つの選択肢になると考えられます。
ビオガイアの具体的な利点
ビオガイアを赤ちゃんが摂取することで期待できる主な利点を、以下に詳しくまとめます。これらの利点は主に腸内フローラのバランスを整えることで得られるとされますが、同時に赤ちゃんの健康全般に対しても好ましい影響をもたらす可能性があります。
- 腹痛を防ぎ軽減
ラクトバチルス・ロイテリDSM 17938のような乳酸菌が、腸内環境をより健全に保ち、ガスの過剰生成や腸管の収縮異常を抑えることで、腹痛を軽減すると考えられています。腹痛で頻繁に泣く赤ちゃんをケアするうえで、腸内環境の改善は大きな助けになることがあります。 - 逆流症の発生を減少
ミルクや母乳を飲んだあとに逆流が多い赤ちゃんは、しばしば不快感から泣き出したり、体重増加が滞ることがあります。ビオガイアが腸内フローラを整え、胃腸の機能をサポートすることで、逆流症の発生が減少する可能性があるとされています。 - 便秘を軽減
赤ちゃんは便が硬くなって出にくくなったり、何日も便が出ないなど、便秘になりやすいことがあります。乳酸菌が腸の蠕動運動を促進し、スムーズな排便をサポートする可能性が示唆されており、ビオガイアを継続的に摂取することで便秘が改善したとの報告もあります。 - 感染による下痢を軽減
ウイルスや細菌などに感染すると、赤ちゃんは下痢を起こすことが少なくありません。下痢に伴う脱水や体力低下は、赤ちゃんにとって大きな負担となります。腸内環境を整えることで、感染症の進行をある程度食い止められる可能性があり、下痢の症状を軽減しやすくなると考えられています。 - 感染性下痢の予防
そもそも腸内フローラが良好に保たれていると、病原性微生物が腸管内で増殖しにくいと考えられています。ビオガイアを含むプロバイオティクスの摂取が、感染性下痢を起こすリスクを減らすのではないかと期待されています。 - 腸内環境を改善・維持
腸内には多種多様な細菌が存在し、バランスが崩れると消化機能の乱れや免疫機能の低下につながる可能性があります。ビオガイアに含まれる乳酸菌は、有益な菌を補給することで腸内環境をより良い状態に導き、健康的な消化と免疫力のサポートにつながるとされています。
ビオガイアの効果の証明
ビオガイアの効果を裏付けるデータとして、これまでにさまざまな研究や症例報告が示されています。記事の冒頭でも触れたように、赤ちゃんのコリック(いわゆる激しい泣き)や便秘、逆流症などを緩和する可能性があることが、複数の研究から報告されているのです。ただし、以下で挙げる数値はすべての赤ちゃんにあてはまるわけではなく、研究の方法や対象、評価基準などによっても結果が変わる可能性があります。
- 便秘を100%改善
ある特定の研究では、ビオガイアを使用した赤ちゃんの便秘症状がほぼ完全に解消されたという報告もあります。腸内バランスの乱れが原因となる便秘の場合、乳酸菌の補給は特に効果的とみなされることが多いです。 - 逆流症を80%減少
逆流症に悩む赤ちゃんを対象とした臨床試験では、ビオガイアを一定期間使用したことで逆流症状が大幅に減少したという結果が示されています。母乳やミルクの吐き戻しが減ることで、赤ちゃんもより快適に日々を過ごせる可能性があります。 - 抗生物質の副作用を75%軽減
抗生物質は、病原菌を殺菌するだけでなく、有益な腸内細菌も減らしてしまうことがあるといわれています。ビオガイアのような乳酸菌を補うことで、腸内細菌のバランスが崩れにくくなり、抗生物質に伴う下痢や胃腸障害などの副作用を軽減できる可能性があるとする研究もあります。 - 泣き虫症候群の時間を55%減少
赤ちゃんの激しい泣き(コリック)は、親御さんにとって精神的な負担が大きいものです。腸内環境の改善とともに不快感やガス溜まりが緩和され、泣き続ける時間が短縮されたという報告があります。 - 医薬品使用を85%減少
プロバイオティクスの摂取によって、例えば整腸剤や胃腸薬などの医薬品に頼る頻度が下がるという報告も見られます。薬の使用が減ることで、赤ちゃんへの負担や副作用リスクも軽減できるかもしれません。 - 消化器系感染症を75%減少
乳酸菌を含むプロバイオティクスは、腸管の免疫バリア機能を強化すると考えられています。実際に、消化器系の感染症発生率が大幅に下がったというデータも存在し、ビオガイアの継続利用が感染予防につながる可能性があります。 - 呼吸器系感染症を65%減少
腸内環境が整うと、免疫機能全体の底上げにも寄与するという考え方があります。その結果、風邪などの呼吸器系感染症にかかる頻度が下がるのではないかと推測されており、ビオガイアの継続的な使用がこうした効果をサポートするとも報告されています。 - 発熱を60%減少
体調不良からくる発熱が減ることで、赤ちゃん本人が苦しむ時間も短くなり、看病する側の負担も軽減すると考えられます。これは免疫機能の向上によるものか、あるいは腸内バランスの安定によって二次的に得られる利点なのか、引き続き研究が進められています。
ただし、上記の数字はいずれも「ある条件下で」「特定のサンプル集団において」報告されたケースが含まれ、すべての赤ちゃんに100%同じように当てはまるわけではありません。そのため、過度な期待は禁物ですが、ビオガイアの安全性を前提に、こうしたポジティブな結果を得られる可能性は十分に検討に値するでしょう。
ビオガイアの正しい使い方
用法・用量
ビオガイア プロテクティス ベビードロップを使用する際には、大人、子供、新生児を問わず1日5滴が一般的な目安量として推奨されています。ただし、赤ちゃんの体重や健康状態によって調整が必要な場合もあるため、主治医や小児科専門医の指導を仰ぐことが最も安全です。使用上のポイントを以下にまとめます。
- ボトルを10秒間よく振ってから使用
乳酸菌が沈殿したり固まったりしている可能性があるので、しっかり振ることで成分を均一化します。 - 約45°の角度でボトルを傾けてスプーンに5滴を落とす
角度が浅すぎるとうまく滴下できないことがあるため、45°程度を目安にします。5滴を正確に落とすことで、適切な摂取量を確保します。 - 母乳やミルク、離乳食等に混ぜて与える
直接口に垂らす方法もありますが、むせやすい赤ちゃんには母乳やミルクに混ぜて与えるほうが自然です。離乳食が始まっている場合は、ドロップを食事に混ぜても構いません。
保存時の注意点
プロバイオティクスである乳酸菌は、高温や直射日光に弱い性質があります。以下に注意して保存することが大切です。
- 40°Cを超える熱に触れさせない
加熱したままのスープやお湯などに直接混ぜると、乳酸菌が死滅してしまう可能性があります。必ず40°C以下に冷ましてから混ぜるようにしましょう。 - 液体と直接触れないようにする
滴下部分に哺乳瓶などの口が触れてしまうと、雑菌が繁殖する可能性があります。ボトルの先端に触れないよう気をつけ、使用後はしっかりキャップを閉めて保管しましょう。 - 直射日光を避け、冷暗所に保管
冷蔵庫に入れる必要がある製品もあれば、室温で保存できるものもありますが、いずれにしても直射日光は避けて保管することが推奨されます。購入時の製品説明をよく読み、適切に保管しましょう。
いつから与え始め、どのくらいの期間与えるか
ビオガイアを含むプロバイオティクス製品は、新生児の段階からでも使えるとされていますが、実際に「いつから始めるべきか」は赤ちゃんの体調や必要性によって異なります。たとえば、便秘がちな子や、ミルクの吐き戻しが激しい子は、早めに始めたほうが改善が見込めるケースもあります。一方で、特に大きな問題がなければ無理に早期から使う必要はないかもしれません。
使用期間についても、研究によって推奨される期間が異なります。一般的には、効果を実感するには少なくとも数週間から数か月程度の継続使用が望ましいという報告が多いです。ただし、長期的な使用については、専門家の意見を仰ぎながら調整するのが理想的でしょう。
結論と提言
ビオガイアは、自然由来の成分で構成され、FDAのGRAS認証をはじめとする各種科学的根拠や臨床研究によって、高い安全性が示唆されています。また、赤ちゃんの腹痛、逆流症、便秘、下痢などの消化器系のトラブルを緩和し、腸内フローラのバランスを整える可能性があると多くの研究で報告されています。こうした利点から、赤ちゃんの健康管理にビオガイアを取り入れることは、有望な選択肢の一つといえます。
ただし、赤ちゃんの体は個々によって大きく異なるため、プロバイオティクスの効果も一様ではありません。使用を開始する際には、主治医や小児科専門医に相談し、赤ちゃんの状態に合った使用法や開始時期、用量を見極めることが重要です。腸内環境のトラブルが続く場合や、使用後に異変を感じた場合は、速やかに専門家に連絡しましょう。
さらに、ビオガイアを含むプロバイオティクスは医薬品ではなくサプリメントである点も考慮すべきです。医師が処方する薬とは役割が異なるため、症状の原因が明確で重症の場合は、プロバイオティクスだけに頼らず、適切な医療処置を受けることが欠かせません。あくまでサポート的な役割として、赤ちゃんの身体に無理のない範囲で取り入れていくのが望ましいでしょう。
情報提供のみを目的としており、必ずしも医学的アドバイスを置き換えるものではありません。赤ちゃんの健康や体調については、必ず専門家(小児科専門医や医療従事者)にご相談ください。
参考文献
- Lactobacillus reuteri to Treat Infant Colic: A Meta-analysis (アクセス日: 02/02/2024)
- Prophylactic use of a probiotic in the prevention of colic, regurgitation, and functional constipation: a randomized clinical trial (アクセス日: 02/02/2024)
- Role of Lactobacillus reuteri DSM 17938 on Crying Time Reduction in Infantile Colic and Its Impact on Maternal Depression: A Real-Life Clinic-Based Study (アクセス日: 02/02/2024)
- Prophylactic Use of a Probiotic in the Prevention of Colic, Regurgitation, and Functional Constipation A Randomized Clinical Trial (アクセス日: 02/02/2024)
- Lactobacillus reuteri DSM 17938 for the Management of Infantile Colic in Breastfed Infants: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Trial – ScienceDirect (アクセス日: 02/02/2024)
- Ho T., Song Y., Nguyen G.ら, Nutrients. 2020; 12(7):2019. “Probiotics for the Treatment of Infantile Colic: A Systematic Review and Network Meta-Analysis.”