鼻血を簡単に止める4つのコツ | 知っておきたい日常の豆知識
耳鼻咽喉科疾患

鼻血を簡単に止める4つのコツ | 知っておきたい日常の豆知識

はじめに

鼻血は日常生活の中で比較的よく見られる症状であり、多くの人が一度は経験するといわれています。通常は一時的なもので深刻な健康被害を及ぼすことは少ないとされていますが、頻繁に繰り返す場合や止まりにくい場合は不安を感じることもあるでしょう。本稿では、Hello Bacsiの情報を参考にしつつ、鼻血が起こる主な原因や、安全で実践しやすい対処法・予防策などについて詳しく解説します。さらに、近年の研究知見を踏まえながら、どのように鼻血と向き合えばよいのかを考察します。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

専門家への相談

本記事の内容は信頼できる複数の情報源をもとにまとめており、鼻血に関する一般的な知識と対処法をご紹介しています。ただし、症状の個人差や体調・既往症、治療中の病気の有無によって、適切な対応が異なる場合があります。特に以下のようなケースがある方は、自己判断だけで処置を行うのではなく、耳鼻咽喉科や内科などの専門医への相談をおすすめします。

  • 鼻血が非常に頻繁に起こり、日常生活に支障をきたしている
  • 他の病気の治療中あるいは何らかの薬剤を常用している
  • 鼻の内部に痛みや腫れ、ポリープ様の異常がある
  • 高血圧、血液疾患などの診断を受けたことがある

本記事はあくまで情報提供を目的としており、医療的アドバイスの代わりとはなりません。専門家の診察や検査を受けることで、より適切な治療方針を立てることができます。

鼻血とは何か?

鼻血(医学的には「鼻出血」「鼻出血症候群」などと呼ばれます)は、鼻腔内の血管が破れたり傷ついたりして血液が外部に出てくる状態を指します。多くの人が一度は経験するといわれ、ある推定によれば人口の約60%が鼻血を経験しているとも報告されています。鼻腔内には細かい血管が密集しているため、小さな刺激でも出血を起こしやすいのが特徴です。

鼻血には大きく分けて以下の2種類が存在します。

  • 前鼻出血
    鼻の入り口付近(キーセルバッハ部位と呼ばれることが多い)にある毛細血管が破裂して起こるタイプです。血管の口径が小さいため、比較的少量の出血で済むことが多く、家庭でも簡単な応急処置で止血できる場合がほとんどです。
  • 後鼻出血
    鼻の奥(後方)にあるやや太めの血管が破裂するタイプです。大量出血になりやすく、血液が鼻腔の奥から喉へ流れ込む場合があるため注意が必要です。特に高血圧や血液疾患のある方、高齢者は後鼻出血が起こりやすいともいわれており、大量出血時は医師の診察を受けることが望まれます。

鼻血の主な原因

鼻血が起きる原因として、まず考えられるのが「粘膜や血管の弱さ」「外部からの刺激」「環境要因」などです。子どもから高齢者まで幅広い年齢層で見られますが、年齢や体質によっては出血しやすい背景があります。代表的な原因を挙げると、以下のようなものが知られています。

  • 乾燥した気候やエアコンの使用
    空気が乾燥すると鼻腔粘膜も乾きやすくなり、表面が傷つきやすくなります。その結果、軽微な刺激でも出血につながる可能性があります。
  • 鼻をいじる、強くかむなどの物理的刺激
    子どもが鼻をほじるクセがあると、毛細血管にダメージが蓄積しやすく、繰り返し鼻血が起こりやすくなります。大人でも強く鼻をかむことで血管を傷つけるケースがあります。
  • 鼻づまりの治療薬の乱用
    血管収縮剤入りのスプレーなどを過度に使用すると、粘膜が薄くなり出血しやすくなることがあります。
  • 妊娠中や高齢者での血管拡張・高血圧の影響
    妊娠中はホルモンバランスの影響で血管が拡張しやすくなるうえ、血流量も増加するため、少しの刺激で出血する場合があります。また、高齢者は高血圧や抗血栓薬の影響などで鼻血を起こしやすくなります。

一方、鼻血はまれに以下のような深刻な原因を示唆することもあります。

  • 外傷(鼻、顔、頭への強い衝撃)
    交通事故やスポーツ中の怪我などで鼻の中や周囲に外傷を負うと、大きな血管が破裂することがあります。
  • 鼻中隔の異常やポリープ、腫瘍の存在
    鼻腔内にポリープや腫瘍などの病変がある場合、慢性的な出血につながることがあります。
  • 血液に関連する病気(血液障害、白血病など)
    血液凝固機能の異常を起こす病気があると、鼻血が止まりにくくなる、あるいは頻繁に起こりやすいことがあります。

こうした重篤な原因の可能性を疑う場合は、自己判断で放置せず、早めに医療機関を受診することが大切です。

鼻血が出たとき、どう対処すれば良いか?

鼻血が出た際には、焦らずに正しい方法で応急処置を行うことが望まれます。特に血圧が上昇すると出血が悪化する可能性があるため、深呼吸や座位の保持など、冷静に対処することが大切です。一般的に推奨される応急処置の手順は次のとおりです。

  1. 座った状態を保つ
    横になると頭が心臓より低くなり、血液が鼻へ送られやすくなるため、出血が増えるおそれがあります。必ず椅子に座るか、少なくとも上半身を起こした状態を保ちましょう。
  2. 親指と人差し指で鼻翼をしっかり圧迫
    鼻の柔らかい部分(小鼻の両側)をつまむように圧迫し、5分~10分ほど持続します。出血が止まらない場合はさらに10分程度繰り返します。口から呼吸し、できるだけ落ち着いて圧迫を続けてください。
  3. 頭をやや前に傾ける
    血液が喉へ流れ込みにくくするためです。血液を飲み込んでしまうと吐き気や嘔吐を誘発する可能性があるため注意しましょう。
  4. 出血が止まった後の注意
    出血が止まったら、その後2~3日は強く鼻をかむ、前かがみになる、重い物を持つといった行為は避けます。再び出血するリスクを低減するため、できるだけ鼻腔を安静に保つようにしましょう。

また、血管収縮剤を含む点鼻薬(例:オキシメタゾリンなど)を使用すると、一時的に出血を抑える効果がある場合があります。しかし、長期的かつ過度な使用は粘膜のダメージを増やし、逆に出血しやすくなる可能性があるため注意してください。以下のような状況に該当するときは、迷わず医療機関に連絡・受診しましょう。

  • 200ml以上の大量出血がみられる
  • 15~20分経過しても止血できない
  • 顔や頭に強い衝撃を受けた直後からの出血
  • 呼吸困難を伴う場合

特に大量出血の場合や、明らかに普段とは違う様子(めまい、意識混濁、呼吸が苦しいなど)を感じるときは迅速な受診を心がけてください。

安全で簡単に試せる4つの鼻血止めの方法

鼻血の治療法や予防法として、手軽に実践できるいくつかの方法をご紹介します。これらはあくまで応急的な対策であり、頻繁な再発や大量出血の場合は医師の診察が必要となる点に留意してください。

1. 外側からのアイシングによる鼻血止め

出血中、鼻周辺を冷やすことで血管を収縮させ、出血を軽減する方法があります。冷却パックや冷たいタオルを鼻に当ててみましょう。ただし、直接氷を肌に当てると凍傷のリスクがあるため、必ずタオルなどで包む必要があります。氷嚢や保冷剤などを利用する際は、数分おきに肌の状態を確認することも大切です。

2. 生理食塩水を使った鼻血予防

生理食塩水は体液と似た浸透圧を持ち、粘膜を潤すのに適しています。点鼻薬などのように血管収縮剤を含まないため、長期にわたって頻繁に使用しても粘膜への過度なダメージを与えにくいと考えられています。乾燥が気になる季節や、エアコンの使用が続く時期に2~3滴を鼻腔へ点鼻することで、粘膜を保護し鼻血を防ぎやすくなります。

3. 栄養バランスを整えるための食事取り入れ

民間療法の一つとして「体を冷やす食材を摂ると鼻血が止まりやすい」と言われることがあります。たとえば、睡蓮やタマネギ、白い大根、パセリ、ゴーヤ、黒豆などは身体をクールダウンさせる性質があるとされます。さらに、これらの野菜にはビタミンCやビタミンKといった凝固や血管保護に関わる栄養素が含まれており、粘膜の健康維持に役立つことが期待できます。ただし、過度な偏食は逆に栄養バランスを崩す原因にもなりますので、日々の食事全体でバランスを意識することが大切です。

4. その他の鼻血止め方法

玉ねぎの切片を直接嗅ぐ、リンゴ酢を含ませたコットンを鼻に当てるなど、家庭で試せるケア方法が古くから伝わっています。玉ねぎやリンゴ酢には軽度の酸性成分や刺激成分が含まれており、血管が凝固反応を起こしやすくなる可能性があります。ただし、強い刺激を感じたり、逆に粘膜を傷つけてしまう恐れもあるため、使用する際は注意してください。

鼻血予防法は?

鼻血の再発を予防するには、日常生活の中で鼻腔内の粘膜をできるだけ健康な状態に保つことが重要です。以下のポイントを意識すると、鼻血のリスクを軽減できる場合があります。

  • 生理食塩水や軟膏で粘膜を保護する
    乾燥の強い季節や長時間のエアコン使用が予想される場合は、こまめに生理食塩水を点鼻したり、医師や薬剤師に相談のうえで保湿効果のある軟膏を塗布するのも一つの手です。
  • 鼻をほじらない・強くかまない
    特に子どもには、爪で鼻をいじるクセの危険性を伝えましょう。大人もストレスや習慣で無意識に鼻をいじってしまうことがありますが、粘膜や血管を傷つけるリスクが高まります。また、鼻をかむ際は優しく行い、くしゃみをする時は口を開けて圧を逃がすようにしましょう。
  • 市販の鼻づまり解消スプレーの過度使用を控える
    血管収縮剤を使った点鼻薬は即効性がある反面、長期使用により粘膜がダメージを受けて逆効果になる恐れがあります。使用する場合は用法用量を守り、症状が長引くときは医師に相談してください。
  • 喫煙を控える(受動喫煙も含む)
    タバコの煙は鼻粘膜に刺激を与え、さらに血管をもろくして出血を起こしやすくするといわれています。受動喫煙も含めて、できるだけ煙を吸わない環境づくりが大切です。

医療機関を受診する際は?

ここまで紹介したセルフケアや予防策を試しても、鼻血が頻繁に起こったり、大量出血を伴う、または以下のような症状や状況が見られる場合は専門医に相談しましょう。

  • 貧血の症状(疲労感、冷え性、肌のくすみ、浅い呼吸)がある
    鼻血が繰り返し起こると慢性的な鉄欠乏性貧血につながる可能性があります。倦怠感が強い、めまいがするなどの症状がある場合は注意が必要です。
  • 予期されない青あざが体に出現する
    血液凝固異常や血小板減少などの血液疾患のサインかもしれません。鼻血と同時に原因不明のあざができる場合は、血液検査などの追加検査が必要となるケースがあります。
  • 2歳未満の子どもが鼻血を出す
    乳幼児の鼻血はまれであり、原因も多岐にわたる可能性があります。万一の病気を見逃さないためにも、早めに小児科や耳鼻咽喉科を受診するのが無難です。

また、服用中の薬剤(抗血栓薬、抗凝固薬など)の影響や、他の持病との関連で鼻血が頻発することも考えられます。自己判断で服薬をやめるのは危険なため、医師に相談し、必要に応じて治療方針を再検討してもらいましょう。


鼻血に関する最新の研究・知見

鼻血(鼻出血)は古くから研究対象となっており、さまざまな止血法や予防策が検討されてきました。近年の研究動向としては、以下のようなポイントが注目されています。

  • 外用薬や保湿ケアの有用性
    子どもに対する予防的な塗り薬の効果については、2020年に発表された研究(Tritter, A.G.ら)で、抗生物質含有軟膏や保湿剤を使うことで、前鼻出血の頻度が低下する可能性が示唆されています。同研究では、約80名の小児を対象に数週間の使用感と出血回数を比較し、予防効果が期待できると結論づけられています(International Journal of Pediatric Otorhinolaryngology, 132, 109895, doi:10.1016/j.ijporl.2020.109895)。日本では同様のコンセプトで生理食塩水や保湿軟膏を使用するケースが多く、粘膜の乾燥を防ぐ取り組みが大切といえるでしょう。
  • 成人における止血処置の比較
    成人の場合、鼻粘膜焼灼(電気や薬剤による焼灼)やガーゼ・タンポンでの圧迫止血が中心的に行われますが、どの方法がより効果的かは研究ごとに結果が異なります。2021年のシステマティックレビュー(Kuo, W.ら)では、鼻粘膜の焼灼とガーゼパッキングの止血効果を比較したところ、どちらにもメリットとデメリットがあると報告されました(The Laryngoscope, 131(10), 2325–2332, doi:10.1002/lary.29436)。焼灼は確実に出血点を封じる利点がある一方、局所麻酔や術後ケアが必要であるため、患者の状況や出血部位によって使い分ける必要があります。

これらの研究は主に海外の学会や論文で発表されていますが、鼻腔構造などで大きく異なるわけではないため、日本の医療機関や家庭でのケアにも応用可能です。ただし、個々人の体質や病歴によって対応が異なることがあるため、自分に合った治療や予防法を見極めるためにも、専門医への相談が大切です。


おわりに(注意喚起とまとめ)

鼻血は多くの場合、大きな問題なく止血でき、適切な予防を行うことで頻度を減らせる症状といわれています。しかし、頻回に繰り返すケースや大量出血をともなう場合には、以下の点を意識してください。

  • 落ち着いて正しい応急処置を行う
    座位保持と鼻の圧迫止血が基本です。止血がうまくいかない場合はすぐに医療機関へ相談しましょう。
  • 環境や習慣の見直し
    乾燥対策、鼻をいじるクセの改善、血管収縮剤の使用制限、喫煙回避など、生活習慣をトータルで見直すことで再発を防ぎやすくなります。
  • 根本原因がある場合は専門医と連携
    血液疾患や鼻腔内の腫瘍など、内科的・外科的治療を要する病気が潜んでいる場合もあり得ます。専門の医療機関で検査し、適切な治療を受けることが重要です。

本記事で解説した内容は、あくまで一般的な参考情報であり、専門的な医療行為を代替するものではありません。特に薬剤の使用や治療方針の変更を考える際は、必ずかかりつけの医師や専門医に相談してください。

重要なお知らせ
記事内で紹介している方法はあくまで一般的な情報に基づいたもので、すべての人に当てはまるとは限りません。重篤な症状や特殊な病状がある方、薬剤の使用に不安がある方は、医師や薬剤師などの専門家にご相談ください。また、個々の体質や既往症によって適切な対処法は異なります。本記事は医療上の指示を与えるものではなく、情報提供のみを目的としています。


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