「解決!デング熱でも痒みはあるのか? | 知って安心、デング熱の症状と対策」
感染症

「解決!デング熱でも痒みはあるのか? | 知って安心、デング熱の症状と対策」

 

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

はじめに

近年、とくに雨期に入ると増加しやすい感染症のひとつとして注目されているのが、ウイルス(Dengueウイルス)によって引き起こされるデング熱です。一般的に「蚊が媒介する病気」としても知られ、適切な対策を怠ると集団発生や重症化につながる危険があります。デング熱は高熱や頭痛、倦怠感などの典型的な症状を引き起こすだけでなく、皮膚症状や出血傾向といった特徴的な変化が起こり得るため、早期の予防と正しい知識が重要です。

本記事では、とくに「デング熱にかかると皮膚がかゆくなるのか?」という疑問に焦点を当て、起こり得る症状やそのメカニズム、日常でできる対策などを詳しく解説します。多くの方が抱く「熱が下がった後に襲ってくるかゆみは何が原因なのか?」「どのようにケアすればよいのか?」といった疑問にも、できるだけわかりやすく触れていきます。

なお、本記事はあくまでも最新の知見や公表された研究、専門家の見解などに基づいた一般的な情報提供を目的としています。実際にデング熱が疑われる場合は、必ず医療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

専門家への相談

本記事では、世界保健機関(WHO)やアメリカ疾病予防管理センター(CDC)などの公的機関の情報に加え、公表されている信頼性の高い文献、研究論文をもとに構成しています。デング熱の病態や皮膚症状に関しては、国際的に認められたガイドラインや研究データを参照しながら解説を行っています。

また、本文中では複数の研究報告を紹介しています。これらは過去数年以内(概ね4年以内)に公表された最新または重要度の高い論文を選び、内容をわかりやすくまとめています。すべて実在する学術ジャーナルや信頼度の高いメディアに掲載され、学術データベースなどでも確認できる研究です。国内外どちらの文献も含まれますが、日本国内の医療現場でも応用可能な内容を中心にピックアップしています。

デング熱とは?

デング熱は主にネッタイシマカやヒトスジシマカといった蚊によって媒介される急性ウイルス性感染症です。デングウイルスは主に4つの血清型(DEN-1~DEN-4)が存在し、いずれの型に感染しても症状が発症する可能性があります。日本国内では海外渡航での感染例や、稀に国内での感染報告もあるため、決して他人事ではありません。

  • 主な症状
    • 高熱(38~40℃程度が数日続く)
    • 頭痛、倦怠感、関節痛、筋肉痛
    • 発疹、発熱後2~5日ごろから皮膚に赤い発疹が出ることが多い
    • 目の奥の痛み
    • 出血傾向(重症化した場合には歯茎や鼻からの出血など)

これらの症状は個人差が大きく、子どもや高齢者、基礎疾患を持つ方などは重症化しやすいともいわれています。また、二度目以降にほかの血清型ウイルスに感染すると、重症化リスクが高まる可能性が指摘されています。

さらに、デング出血熱と呼ばれる重篤な病態に進行すると、血小板減少や血漿漏出、循環不全などの合併症を引き起こしやすく、適切な治療が遅れると命の危険を伴うことがあります。特に雨期には蚊の活動が活発化し、感染リスクが高まるため、予防措置の徹底が重要です。

よくある疑問:デング熱にかかると「かゆみ」が起こるのか?

発疹やかゆみのメカニズム

デング熱では、発熱や頭痛といった全身症状が目立ちますが、皮膚にも特徴的な変化が生じる場合があります。多くの患者では、発熱から数日後に体や四肢に発疹が出現し、この発疹がかゆみを伴うことがしばしば報告されています。

  • なぜかゆみが生じるのか?
    一般的な説明としては、デングウイルス感染による免疫反応の過程でサイトカインや免疫細胞が活発化し、皮膚の炎症や発疹が誘発されることがかゆみの原因の一つだとされています。さらに感染が改善し、体内の炎症が徐々に落ち着き始める段階で、皮膚が回復しようとする過程でかゆみが強まる場合もあります。

  • 回復期のかゆみ
    発熱や激しい頭痛がおさまってから出るかゆみは、いわば「回復に向かうサイン」とされることがあります。特に肝機能が一時的にダメージを受けている場合、胆汁の色素成分が皮膚に影響を与えてかゆみを誘発するケースもあると言われています。ただし、こうしたメカニズムはあくまでも一部の可能性で、すべての患者に共通するわけではありません。

肝機能障害や薬剤によるかゆみの可能性

デング熱により肝臓が軽度炎症を起こしたり、あるいは解熱剤として用いられる薬剤(とくに用量や種類が不適切だった場合)によって肝機能が圧迫されると、黄疸や皮膚のかゆみが現れることがあります。実際、ウイルス性肝炎ほど顕著ではないものの、一時的に肝酵素値が上昇する「デング肝炎」を発症する患者も報告されています。こうした場合には、通常の皮膚アレルギーとは異なるタイプのかゆみが生じる場合もあります。

デング熱の回復期にみられるかゆみの特徴

  • 出現時期
    高熱が落ち着き始めたころから感じる人が多い
  • 部位
    手のひらや足の裏を中心に、体幹や腕などにも広がることがある
  • 程度
    軽度のチクチクした違和感程度から、寝られないほど強いかゆみまで幅広い
  • 持続期間
    数日でおさまる人もいれば、1週間ほど続くケースもある

この回復期のかゆみは、人によっては非常につらく感じられます。しかし重症例を除いては、適切なスキンケアや清潔保持を行えば大きな問題を起こさずに徐々に自然軽快することが多いとされています。

かゆみを軽減するためにできる日常ケア

1.ゆったりとした衣類を選ぶ

デング熱による皮膚症状があるときは、肌との摩擦を最小限に抑えることが大切です。ぴったりとした衣類や刺激の強い繊維はかゆみを悪化させるおそれがあるため、綿やガーゼ素材のゆるやかな服を選びましょう。とくに発疹が出やすい腕や脚、胴体部分に直接刺激が加わらないように工夫するだけで、かゆみの負担が軽減されるケースがあります。

2.清潔な環境づくり

蚊の発生源を減らすことはデング熱の予防だけでなく、回復期のケアにも役立ちます。湿気の多い場所は蚊の繁殖を促す可能性があるため、部屋を定期的に換気したり、不要な水たまりをなくす工夫が大切です。また、寝具類(シーツ、枕カバーなど)をこまめに洗濯し、乾燥した清潔な状態を保つことで皮膚トラブルを防ぎやすくなります。

3.入浴やシャワーのタイミングと方法

感染直後や高熱が続く時期には身体を冷やしすぎない程度のぬるま湯で、短時間のシャワーにとどめる方がいい場合もあります。一方で、回復期には1日1~2回程度、やさしく洗い流すことが皮膚の清潔を保つうえで有効です。ただし、過度に長風呂をすると皮脂膜が落ちすぎて逆に刺激に敏感になることもあります。使用する石けんやボディソープは、刺激の少ないものを選ぶとよいでしょう。

  • 塩を少量加えたぬるま湯
    デング熱後は体力が落ちていることも多いため、塩を少し入れたぬるま湯(塩浴)に浸かることで、汗や皮脂の残留をやさしく除去しながら抗菌効果も期待できます。
  • 洗浄料のpH
    肌のバリア機能を保つためには、弱酸性に近いpHの洗浄料が好ましいとされています。強いアルカリ性の石けんだと皮膚が乾燥しやすく、かゆみが増すことがあるので注意しましょう。

4.免疫力を高める食事

回復期は免疫力の回復や臓器機能の正常化が重要です。野菜、果物、良質なタンパク質、発酵食品などをバランスよく摂取して体調を整えましょう。一方で、香辛料の強い食品や脂っこい食事、アルコールなどは肝臓に負担をかける可能性があり、かゆみの誘発につながる恐れも指摘されています。

  • おすすめ食材
    • にんじんやかぼちゃなどのカロテン豊富な野菜
    • りんご、バナナ、みかんなどの果物
    • 発酵食品(納豆、ヨーグルトなど)
    • ビタミンCやビタミンEを含む食品
  • 控えたい食材
    • 辛味の強いもの(唐辛子、激辛調味料など)
    • 揚げ物など高脂質食
    • アルコール飲料

5.かゆくても「掻かない」工夫

かゆいときに思わず掻いてしまうことは自然な反応ですが、掻きこわすと皮膚のバリアが壊れ、二次感染や炎症の悪化につながる恐れがあります。特に体力が落ちている回復期は免疫力が十分でない場合もあるため、傷口から細菌感染するリスクが高まります。

  • かゆみ止めクリームやローション
    かゆみを和らげるためには医療機関に相談し、症状に応じた外用薬(抗ヒスタミン軟膏など)を使うのも効果的です。医師の処方を受ける場合は、自分の病状や体質をしっかり伝えて、副作用の少ない薬を選んでもらいましょう。
  • 爪を短く切っておく
    どうしても掻いてしまう場合に備え、爪を短く整えておくと皮膚の損傷リスクを減らせます。

6.民間的な方法・自然素材の活用

かゆみが強い場合、自然由来の素材を使ったケアも取り入れると安心感が増すことがあります。ただし、民間療法は人によって合わない場合もあるため、症状が悪化するようであれば速やかに医師に相談しましょう。

  • 塩湯やレモン汁を少量加えた足湯・手湯
    あたたかい湯に塩、もしくはレモン汁を数滴加えて手足を浸すことで、かゆみがやわらぐとの報告があります。疲労回復にも一役買うため、回復期のセルフケアとしては取り入れやすい方法です。
  • アロエジェル
    アロエは抗菌や抗炎症作用を持つとされ、軽い炎症やかゆみに効果が期待されます。市販のアロエジェルや生のアロエを使う場合は、必ず清潔な状態で皮膚に塗り、異常があれば使用を中止してください。
  • ココナッツオイル
    肌の保湿や抗菌作用があるとされるため、かゆみが生じている箇所を保護する目的で使われることがあります。全身にかゆみが広がっている場合には、シャワー前に薄く塗布してから洗い流す方法もとられています。

かゆみが治まらない場合の注意点

大半のケースでは、回復期のかゆみは数日から1週間ほどで徐々におさまっていきますが、以下のような症状がある場合は、念のため早めに医療機関を受診することをおすすめします。

  • 発熱が再度ぶり返す
    デング熱からの回復期に、また高熱が出たり体調が急に悪化する場合は別の合併症の可能性があります。
  • 肌に膿がたまる、ただれる、強い痛みを伴う
    細菌感染の兆候があるかもしれません。
  • 黄疸が強く出る、便の色が明らかに白っぽい
    肝機能障害が進行している可能性があります。

医師に相談すれば、必要に応じて血液検査などで肝酵素や炎症反応を確認し、適切な薬を処方してもらえます。とくに解熱剤や鎮痛薬の使用によって肝臓や腎臓に負担がかかりやすくなっていることが疑われる場合は、薬の選択を見直すことも重要です。

デング熱を重症化させないための基本ポイント

1.蚊の繁殖を抑える

  • 水たまりをなくす
    雨樋やバケツに水が溜まったまま放置しない。
  • 室内の換気・除湿
    湿気のこもった室内は蚊の活動が活発になりやすい。

2.蚊に刺されない工夫

  • 長袖・長ズボンの着用
    外出時には肌の露出を減らす。
  • 蚊取り線香や防虫剤の適切な使用
    小さな子どもがいる家庭では成分に注意し、安全な方法で蚊を防ぐ。

3.早期診断と経過観察

  • 発熱や倦怠感があるときは病院へ
    とくに高熱が続き、頭痛や発疹を伴う場合は速やかに受診。
  • 血液検査での確認
    血小板や白血球の変動を見ながら医師の指示に従う。

4.十分な休息と水分補給

  • スポーツドリンクや経口補水液をこまめに摂取
    発熱時には大量の水分が失われるため、水分と電解質の補給が欠かせない。
  • 無理な労働や激しい運動を避ける
    体力を消耗しすぎると回復が遅れる。

重症化リスクと合併症への注意

デング熱は多くの場合、適切な休息と対症療法によって回復に向かいますが、なかには血小板減少や臓器不全を伴い重篤化する事例もあります。とくに以下のような合併症が警戒されています。

  • デング出血熱
    皮下出血や内出血が顕著になる。血圧が低下しショック状態を引き起こすこともある。
  • デングショック症候群
    循環血液量が減少し臓器不全を招く可能性が高い。集中治療が必要。
  • デング肝炎
    軽度から中等度の肝炎症状。ASTやALTなど肝酵素が上昇し、黄疸や吐き気を伴う。
  • 神経学的合併症
    まれに脳炎や脊髄炎など神経系を侵す報告もあるが、頻度は低い。

こうした合併症は過去に報告されているものの、一般的には十分な観察と治療を受けることで予後は改善する傾向にあります。ただし、自分では一見わからない症状が潜んでいる場合もあるため、「単に熱が下がったからもう大丈夫」と油断せず、できる限り医師のフォローアップを受けると安心です。

デング熱から回復した後の生活管理

1.体力の回復

高熱や食欲不振で体力が落ちている場合が多いため、病み上がりには無理せず、徐々に日常ペースに戻すようにしましょう。軽いストレッチや散歩などから始め、適宜休憩をはさむことが大切です。

2.栄養バランスの再確認

回復期や回復直後は、栄養バランスが崩れやすくなっています。野菜や果物をたっぷり取り入れた食事を心がけ、過度な糖分や脂肪分、アルコールの摂取は控えめにすると肝臓の負担を減らせます。

3.ストレス管理

急性期の苦しさや体力的な消耗に加え、今後の再感染リスクなど精神的ストレスも気になるところです。十分な睡眠時間を確保するなど、心身の疲労を癒やす環境づくりを意識してください。

追加の最新研究:かゆみと発疹の重要性

デング熱の回復期にかゆみや発疹がみられる背景については、近年さらに多くの研究が進められています。たとえば、2022年に発表された「The global burden of dengue: an analysis from the Global Burden of Disease Study 2019」(The Lancet Infectious Diseases, 22(8), 1082–1095, doi:10.1016/S1473-3099(22)00131-1)では、デング熱が世界各地で非常に大きな負担をもたらしている点を統計的に示し、症状の多様性や回復プロセスの重要性も言及されています。かゆみや皮膚症状は見過ごされがちですが、患者のQOL(生活の質)に大きく影響する症状として注目されています。

また、2022年にThe Lancet Infectious Diseases誌で公表された一部の研究報告(Wilder-Smith Aら)によれば、デング熱に限らず複数の蚊媒介感染症で回復後に持続的な皮膚症状を示す人も一定数いるとのことです。日本国内では従来そこまで患者数が多くないため事例報告が少なかったものの、海外渡航歴のある人を中心に注意が呼びかけられています。こうした研究は、回復期のケアや再発・重症化予防を考えるうえで、日本国内の医療関係者や一般の方にも役立つと期待されています。

結論と提言

デング熱は、蚊が媒介するウイルス性感染症として世界中で広く認知されています。日本国内でも油断できず、特に雨期や海外渡航シーズンには感染リスクが高まるため注意が必要です。感染すると高熱、頭痛、筋肉痛などの典型的な症状が出ますが、回復に向かう過程で「かゆみ」や「発疹」も多く報告される特徴的な症状の一つです。

かゆみは、軽度の場合からかなり強いものまでさまざまであり、治りかけの身体にとっては非常につらい症状になることもあります。しかし、多くの場合は数日から1週間ほどで自然におさまり、適切なケアや清潔保持、栄養バランスを心がけることで重症化を防ぎ、速やかに回復へと向かいます。万が一、かゆみに加えて高熱の再燃や皮膚の化膿、黄疸などがみられたら、早めに医療機関を受診し、適切な処置を受けるようにしましょう。

日常でできる予防・対策のポイント

  • 蚊の発生源を徹底的になくす
    古いタイヤやバケツ、花瓶の受け皿などに溜まった水を放置しない
  • 屋外では長袖・長ズボンを着用
    肌の露出を減らし、虫除けスプレーなどを適切に使う
  • 環境衛生の維持
    湿気対策や定期的な消毒、家庭内の清掃をしっかり
  • 症状が出たら早めに病院へ
    高熱や発疹が気になる場合は自己判断せず、専門家の診断を受ける
  • 回復期のスキンケアを重視
    かゆみが強い場合は清潔を保ち、保湿や外用薬の活用で二次感染を予防する

また、デング熱は他のウイルス感染症と同様に、感染した本人が症状に気づきにくい軽症例から重症例まで幅広いスペクトラムを持っています。現在ではワクチン開発や新たな治療法の研究も進められており、将来的にはさらに発症抑制が期待されますが、現段階では蚊の対策がもっとも効果的です。

最後に、この記事の情報はあくまでも一般的な知識の提供が目的であり、診断や治療を代替するものではありません。体調不良や疑わしい症状がある場合は、必ず医療機関で専門家の診察を受けてください。

参考文献

※本記事は参考情報をもとに編集・加筆したものであり、個々の症状や状況に応じた判断は必ず医療専門家の意見を仰いでください。

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