【2024年版】排卵日を狙っても妊娠しない?専門医が教えるタイミング法と、保険適用の不妊治療【日本生殖医学会ガイドライン準拠】
妊娠準備

【2024年版】排卵日を狙っても妊娠しない?専門医が教えるタイミング法と、保険適用の不妊治療【日本生殖医学会ガイドライン準拠】

「妊活」という言葉が社会に浸透して久しい現代の日本において、多くのカップルが新しい命を授かることを心から願っています。しかし、その道のりは必ずしも平坦ではありません。厚生労働省が2023年に発表した調査報告書によると、日本では4.4組に1組のカップルが不妊の検査や治療を経験しており、これは決して他人事ではない社会全体の課題であることを示しています1。さらに、国立国会図書館がまとめた資料によれば、2022年に生まれた子どものうち、約10人に1人は体外受精などの生殖補助医療(ART)によって誕生しているという事実もあります2。これらの事実は、不妊が特別なことではなく、多くの人が直面する可能性のある身近な問題であること、そして正しい知識と適切な医療サポートの重要性を浮き彫りにしています。本記事では、日本生殖医学会(JSRM)をはじめとする国内の主要な医学的ガイドラインに準拠し、月経周期が30日の場合の排卵日予測から、科学的根拠に基づいた妊娠確率を高めるための具体的な「タイミング法」、そして2022年から保険適用となった不妊治療の最新情報まで、皆様の妊活の道のりを力強く支えるための網羅的かつ信頼性の高い知識を、段階的に詳しく解説していきます。

この記事の科学的根拠

この記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下に示すリストは、実際に参照された情報源と、提示された医学的ガイダンスへの直接的な関連性のみを含みます。

  • 日本生殖医学会(JSRM): 本記事におけるタイミング法、人工授精、生殖補助医療(ART)といった治療の段階的アプローチ、診断基準、男女双方への推奨事項に関する指導は、同学会の「生殖医療ガイドライン」に基づいています345
  • 日本産科婦人科学会(JSOG): 月経不順の原因、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や子宮内膜症といった不妊に関連する婦人科疾患の診断と管理に関する記述は、同学会の「産婦人科診療ガイドライン」を典拠としています6
  • 日本泌尿器科学会(JUA): 男性の不妊原因、特に精索静脈瘤の診断や治療に関する最新情報は、同学会が2024年に発表した「男性不妊症診療ガイドライン」に基づき解説しています7
  • 厚生労働省(MHLW): 日本国内の不妊治療の実態、生殖補助医療による出生児の割合、治療と仕事の両立に関する統計データ、および2022年4月から開始された不妊治療の保険適用に関する詳細な情報は、同省の公式報告書および公開資料を引用しています128
  • 世界保健機関(WHO): 精液検査の国際的な基準値については、WHOが2021年に発行した第6版マニュアルを参照し、国内基準との比較情報を提供しています9

要点まとめ

  • 月経周期30日の場合、排卵日は一般的に次の月経開始予定日の約14日前と予測されますが、個人差が大きいため高精度な予測法の併用が不可欠です。
  • 排卵日予測の最も強力な方法は、基礎体温(BBT)で排卵の有無を確認しつつ、排卵検査薬(LHキット)で排卵のタイミングを「予測」する組み合わせです。
  • 不妊の原因は女性側だけでなく、男性側にも約半数の割合で関与しており、2024年の最新ガイドラインでは男性側の初期検査の重要性が強調されています7
  • 日本では、タイミング法から体外受精まで多くの基本的な不妊治療が2022年4月から公的医療保険の適用対象となり、経済的負担が大幅に軽減されました8
  • 1年間(35歳以上の女性は半年間)妊娠に至らない場合は、いたずらに時間を費やすことなく、日本生殖医学会が認定する「生殖医療専門医」在籍の医療機関へ相談することが強く推奨されます3

月経周期30日の排卵日予測:基本の「オギノ式」とその限界

妊活を始めるにあたり、多くの人が最初に取り組むのが「排卵日予測」です。月経周期が比較的安定している30日周期の方の場合、最も基本的な計算方法として「オギノ式」が知られています。この方法は、「次の月経開始予定日から14日を引く」という計算に基づいています10。例えば、次回の月経が8月30日に始まると予測される場合、排卵日は8月16日頃(30日 – 14日 = 16日)と推定されます。

しかし、この計算方法はあくまで平均的な排卵パターンに基づいた初期的な目安に過ぎません。日本女性心身医学会の情報によれば、女性の排卵はストレス、体調不良、生活環境の変化など、非常に多くの要因によって容易に変動します11。排卵が数日早まったり、遅れたりすることは珍しくありません。したがって、オギノ式だけでタイミングを合わせようとすると、最も妊娠しやすい「ゴールデンタイム」を逃してしまう危険性があります。重要なのは、性交のタイミングを排卵日当日に限定するのではなく、排卵日の数日前から排卵日後1日までの「妊娠しやすい期間(Fertility Window)」に合わせることです。これは、精子が女性の体内で2~3日(最長で5日)生存できるのに対し、卵子の受精可能な時間は排卵後約24時間と比較的短いためです10


自宅でできる!排卵日を特定する高精度な方法【精度順・完全解説】

オギノ式の限界を補い、より正確に「妊娠しやすい期間」を特定するためには、ご自身の体の変化を観察する、より精度の高い方法を組み合わせることが極めて重要です。ここでは、自宅で実践できる方法を、精度が高まる順に詳しく解説します。

2.1. おりものの変化(頸管粘液法)

最も手軽に始められるのが、おりもの(頸管粘液)の状態を観察する方法です。月経周期に伴い、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が変わることで、おりものの量や性状は周期的に変化します。一般的に、排卵日が近づくにつれて、おりものは以下のように変化します12

  • 月経直後:量が少なく、乾燥している時期。
  • 卵胞期(排卵前):徐々に量が増え、白っぽく、少し粘り気がある状態。
  • 排卵期直前~排卵期:量が最も多くなり、透明で水のように伸びる、生卵の白身のような状態になります。指で伸ばすと10cm以上も伸びることがあります。この状態は、精子が子宮内へ進入しやすくするための変化であり、最も妊娠しやすい時期のサインとされています。
  • 黄体期(排卵後):量は再び減少し、白く濁って粘り気が強くなります。

毎日のおりものの状態を記録することで、自身の排卵パターンを把握する手がかりになります。

2.2. 基礎体温(BBT)法:排卵の「証拠」を見つける

基礎体温(Basal Body Temperature: BBT)の測定は、排卵が実際に起こったかどうかを確認するための信頼性の高い方法です。基礎体温とは、生命維持に必要な最小限のエネルギーしか消費していない、安静時の体温を指します。専用の婦人体温計を用いて、毎朝目覚めた直後、体を動かす前に舌の下で測定します13

正常に排卵が起きている場合、基礎体温のグラフは低温相と高温相の二相性を示します。これは、排卵後に卵巣から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)に体温を上昇させる作用があるためです14

  • 低温相(卵胞期):月経開始から排卵日まで。比較的体温が低い状態が続きます。
  • 高温相(黄体期):排卵後から次の月経まで。体温が低温相より0.3~0.5℃程度上昇し、その状態が約12~14日間続きます。

重要なのは、基礎体温が上昇したときには、すでに排卵は終わっているということです13。そのため、BBTは「これから排卵する日」を予測するのではなく、「排卵が起こったこと」を後から確認し、自身の排卵リズムや黄体期の長さを把握するための「証拠」として非常に有効です。数ヶ月記録を続けることで、自分の排卵が周期の何日目頃に起こりやすいかという傾向が見えてきます。

もしグラフが二相性にならず、全体的にガタガタしていたり、高温期が短かったり(10日未満)、ずっと低温のままであったりする場合は、無排卵月経や黄体機能不全といった排卵障害の可能性も考えられるため、専門医への相談を検討する重要な指標となります15

2.3. 排卵検査薬(LHキット):排卵を「予測」する最強ツール

現在、自宅でできる排卵日予測法として最も精度が高いのが、排卵検査薬(一般にLHキットと呼ばれる)の使用です。この検査薬は、尿中に排出される黄体形成ホルモン(Luteinizing Hormone: LH)の濃度を検出します16

LHは、普段はごく微量しか分泌されていませんが、排卵の直前に急激に濃度が上昇する「LHサージ」という現象を起こします。排卵検査薬が陽性になるのはこのLHサージを捉えた時であり、陽性反応のピークから約24~36時間以内に排卵が起こると予測されます17。これにより、まさにこれから訪れる妊娠のゴールデンタイムを、高い精度で予測することが可能になります。

【JHO編集委員会推奨:効果を最大化する戦略的活用法】

  • タイミング戦略:多くの製品説明では「陽性になったらタイミングを取る」とされていますが、より確率を高めるためには段階的な戦略があります。ロート製薬の製品情報などによると、LHサージの持続時間には個人差があるため、「初めて陽性反応が出た日」と「その翌日」が最も妊娠しやすいタイミングとされています18。一部の専門家の意見では、LHが上昇し始めた段階、つまり検査薬の線がうっすらと出始めた時点からタイミングを取り始めることで、さらに機会を広げることができるとされています19
  • コスト効率戦略:排卵検査薬は継続的に使用すると費用がかさむため、BBTとの組み合わせが非常に効果的です。まず数ヶ月間BBTを記録し、自分の排卵が周期の何日目頃に起こりそうか、大まかな「予測期間」を把握します。そして、その予測期間に合わせて排卵検査薬の使用を開始することで、無駄な使用を減らし、コストを抑えながら精度を保つことができます。

なぜ妊娠しないのか?日本における不妊の原因【男女別・最新ガイドライン解説】

タイミング法を試みてもなかなか妊娠に至らない場合、背景に何らかの医学的な原因が隠れている可能性があります。不妊は決して女性だけの問題ではありません。日本生殖医学会(JSRM)のガイドラインによれば、不妊の原因は女性側のみにある場合が約41%、男性側のみにある場合が約24%、男女双方にある場合が約24%と報告されており、男性側に何らかの原因が関与するケースは約半数にものぼります5。ここでは、日本の最新ガイドラインに基づき、男女別の主な不妊原因を解説します。

3.1. 女性側の原因

女性側の不妊原因は多岐にわたりますが、JSRMおよび日本産科婦人科学会(JSOG)のガイドラインでは、主に以下の5つが挙げられています36

  1. 排卵因子:月経不順や無月経など、排卵が順調に行われない状態です。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や高プロラクチン血症、甲状腺機能の異常などが原因となります。
  2. 卵管因子:クラミジア感染症などによる炎症や子宮内膜症により、卵子と精子が出会う場所である卵管が詰まったり(卵管閉塞)、狭くなったり(卵管狭窄)する状態です。
  3. 子宮因子:子宮筋腫や子宮内膜ポリープが受精卵の着床を妨げたり、先天的な子宮の形態異常がある場合です。
  4. 頸管因子:子宮の入り口(子宮頸管)から分泌される粘液の量が少なかったり、精子の通過を妨げる抗体(抗精子抗体)が存在したりする状態です。
  5. 免疫因子:女性の体内に精子を異物とみなす抗精子抗体が存在し、精子の運動を妨げてしまう場合などです。

3.2. 男性側の原因:見過ごされがちな重要因子【2024年版JUAガイドライン準拠】

男性不妊は、しばしば見過ごされがちですが、不妊全体の大きな要因です。2024年に改訂された日本泌尿器科学会(JUA)の「男性不妊症診療ガイドライン」は、男性側の検査と治療の重要性を改めて強調しています7。主な原因は以下の通りです。

  1. 造精機能障害:精子をうまく作れない状態で、男性不妊の中で最も多い原因です。原因不明の特発性のものが大半を占めますが、中には精索静脈瘤(下記参照)や染色体異常などが原因の場合もあります。
  2. 精索静脈瘤:精巣の上にある静脈の集まり(静脈叢)にこぶ(瘤)ができる状態で、男性不妊患者の約30~40%に見られます7。精巣の温度が上昇し、精子の質を低下させる主要な原因と考えられており、手術による治療が可能な代表的な疾患です。
  3. 精路通過障害:精子は作られているものの、精子の通り道(精路)が詰まっているために体外に射出できない状態です。
  4. 性機能障害:勃起障害(ED)や射精障害などです。

JSRMのガイドラインでは、特に重度の精子減少症や無精子症が疑われる場合には、男性が泌尿器科(特に生殖医療を専門とする医師)を受診することが「推奨度A(強く勧められる)」と明記されています5。妊活はカップル二人で取り組むべきものであり、早期に男性側の検査を受けることが、問題解決への近道となる場合があります。

3.3. 原因不明不妊

夫婦双方に一通りの検査を行っても、明らかな原因が見つからない場合、「原因不明不妊(機能性不妊)」と診断されます。これは不妊カップルの約10~30%を占めるとされています3。原因が特定できないからといって治療法がないわけではなく、タイミング法から開始し、効果が見られない場合には人工授精や体外受精へと段階的に治療を進める(ステップアップ)ことが一般的です。


専門医への相談:いつ、どこへ行くべきか?【保険適用とクリニック選び】

セルフケアでうまくいかない場合、次のステップとして専門医への相談が重要になります。適切なタイミングで、信頼できる医療機関を受診することが、後悔しない妊活への鍵となります。

4.1. 受診を考えるべきタイミング

不妊症の定義は、「妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないもの」とされています。この「一定期間」とは、一般的に「1年間」を指します。ただし、JSRMやJSOGのガイドラインでは、女性の年齢が35歳以上の場合には、この期間を「半年」として、より早期の検査・治療の開始を推奨しています36。これは、年齢とともに卵子の質と数が低下し、妊娠率が著しく下がるためです。

4.2. 2022年4月からの不妊治療保険適用:何が変わり、いくらかかるのか?

2022年4月、日本の不妊治療は大きな転換点を迎えました。これまで多くが自費診療であった基本的な不妊治療に、公的医療保険が適用されるようになったのです8。これにより、経済的な負担は大幅に軽減されました。

保険適用の主な治療法

  • 一般不妊治療:タイミング法指導、人工授精(AIH)など。
  • 生殖補助医療(ART):採卵、体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)、受精卵・胚培養、胚移植など。

注意点:保険適用には年齢や回数の制限があります。原則として、治療開始時の女性の年齢が43歳未満であることが条件です。また、胚移植の回数については、40歳未満の女性は通算6回まで、40歳以上43歳未満の女性は通算3回までと定められています8。詳細な条件や自己負担額については、必ず医療機関で確認してください。

4.3. 信頼できるクリニックの選び方【JSRM基準に基づくチェックリスト】

数あるクリニックの中から、自分たちに合った信頼できる施設を選ぶことは非常に重要です。日本生殖医学会(JSRM)は、質の高い生殖医療を提供するための施設認定制度を設けています。以下の点を参考に、クリニックを選んでみましょう。

  • 日本生殖医学会認定の「生殖医療専門医」が在籍しているか?20
    生殖医療に関する高度な知識と技術を持つことを認定された専門医です。施設のウェブサイトなどで確認できます。
  • 施設の実績は十分か?
    JSRMの認定研修施設は、一定数以上の体外受精・胚移植を実施していることが要件の一つです3。治療実績を公開している施設も多いため、参考にするとよいでしょう。
  • 男性不妊の診療体制は整っているか?
    泌尿器科医、特に男性不妊を専門とする医師と連携しているか、あるいは院内に専門外来があるかは重要なポイントです5
  • 説明は丁寧で、質問しやすい雰囲気か?
    治療は長期間にわたることもあります。医師やスタッフとの相性や、納得して治療を進められるコミュニケーションが取れるかどうかも大切です。
  • 心理的サポート体制はあるか?
    不妊治療は精神的な負担も大きいため、専門のカウンセラーによるカウンセリングを受けられる体制があるかどうかも確認しましょう。

よくある質問

基礎体温(BBT)のグラフがガタガタで安定しません。妊娠は可能でしょうか?

はい、グラフが多少ガタガタでも妊娠する可能性は十分にあります。睡眠不足やストレス、飲酒、風邪など、些細なことでも基礎体温は変動します21。重要なのは、全体として低温相と高温相の二相に分かれている傾向が見えるかどうかです。数ヶ月続けても全く二相性が確認できない場合は、排卵が起きていない可能性(無排卵月経)も考えられますので、一度婦人科で相談することをお勧めします15

排卵検査薬(LHキット)がずっと陰性のままです。なぜでしょうか?

いくつかの可能性が考えられます。まず、検査のタイミングがLHサージの時期とずれている可能性があります。LHサージは短時間で終わることもあるため、1日1回の検査では捉えきれないことがあります。陽性反応がなかなか出ない場合は、1日2回(例えば朝と夜)検査してみるのも一つの方法です18。また、非常に稀ですが、実際にLHサージが起こらない、あるいは非常に弱い排卵障害の可能性も否定できません。数周期試しても陽性にならない場合は、医療機関の受診を検討してください。

私の月経周期は不規則で、28日の時もあれば35日の時もあります。どうやって排卵日を予測すれば良いですか?

月経周期が不規則な方こそ、オギノ式のような計算方法ではなく、排卵検査薬(LHキット)の使用が最も効果的です。過去数ヶ月で最も短かった周期を基準に、少し早めのタイミングから検査薬の使用を開始すると良いでしょう。例えば、最短周期が28日であれば、月経開始11日目頃から検査を始めるのが目安です。周期の変動が大きいこと自体が、ホルモンバランスの乱れを示唆している場合もありますので、根本的な原因を知るためにも、婦人科で相談することをお勧めします22

不妊治療は仕事に影響しますか?

影響が出る可能性はあります。厚生労働省の調査では、不妊治療と仕事の両立ができずに、女性の約16%が退職し、他にもパートへの変更や異動を余儀なくされた人がいると報告されています1。しかし、近年は治療と仕事の両立を支援する社会的な動きが活発化しています。不妊治療のための休暇制度や柔軟な勤務形態を導入する企業も増えています。また、男女雇用機会均等法に基づき、事業主は労働者が不妊治療を受けるための配慮をすることが努力義務とされています。まずは会社の制度を確認し、必要であれば上司や人事部に相談してみましょう。


結論

月経周期30日の方が妊娠を目指す道のりは、まず自身の体のサインを正確に読み解くことから始まります。基礎体温と排卵検査薬を賢く組み合わせることで、妊娠の可能性が最も高い期間を科学的に特定できます。しかし、1年(35歳以上は半年)という期間を超えても結果に結びつかない場合は、いたずらに時間を費やすことなく、専門家の扉を叩く勇気が重要です。現代の日本では、不妊は4.4組に1組が経験する身近な課題であり1、その原因は男女双方にあります。特に、見過ごされがちな男性側の検査は、問題解決の鍵を握ることも少なくありません。幸いなことに、2022年からの保険適用拡大により、経済的負担を抑えながら質の高い治療を受ける環境が整いました8。この記事で得た知識は、皆さんの不安を和らげ、進むべき道を照らすための羅針盤となるはずです。この情報を武器に、ぜひ主治医と積極的に対話し、ご自身たちにとって最適な妊活プランを二人三脚で築き上げてください。

免責事項本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。健康に関する懸念や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

  1. 厚生労働省. 令和5年度「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての調査研究事業」報告書. 2023. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001073887.pdf
  2. 国立国会図書館. 不妊治療と生殖補助医療の現状と課題. 2024. Available from: https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info:ndljp/pid/14166605
  3. 日本生殖医学会. 生殖医療ガイドライン. 2021. Available from: https://www.jsrm.or.jp/guideline/guideline.pdf
  4. 大須賀穣, 久慈直昭, 辻村晃, 他. 生殖医療ガイドライン(原案). 健やか親子21; 2021. Available from: https://sukoyaka21.cfa.go.jp/wp-content/uploads/2021/10/%E5%B0%82%E9%96%80%E3%88%B0-5%E7%94%9F%E6%AE%96%E5%8C%BB%E7%99%82%E3%82%AB%E3%82%99%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%99%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%EF%BC%88%E5%8E%9F%E6%A1%88%EF%BC%89.pdf
  5. 日本生殖医学会. 患者さんのための 生殖医療ガイドライン. 厚生労働科学研究成果データベース; 2023. Available from: https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202327003B-sonota1.pdf
  6. 日本産科婦人科学会. 産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2020. 2020. Available from: https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2020.pdf
  7. 日本泌尿器科学会. 男性不妊症診療ガイドライン 2024年版. リッチヒルメディカル; 2024. Available from: https://med.m-review.co.jp/merebo/products/detail/978-4-7792-2789-9
  8. こども家庭庁. 不妊治療に関する取組. Available from: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/funin-01_00004.html
  9. World Health Organization. WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen. 6th ed. 2021. Available from: https://www.who.int/publications/i/item/9789240030787
  10. torch clinic. 排卵日はいつ?妊娠しやすいタイミングと計算方法について解説. 2023. Available from: https://www.torch.clinic/contents/1836
  11. 日本女性心身医学会. 月経不順. Available from: https://www.jspog.com/general/details_07.html
  12. varinos株式会社. 一番妊娠しやすい日はいつ?オギノ式での排卵日の計算方法や体の. 2024. Available from: https://varinos.com/contents/ovulation-day_2501/
  13. NIPT Japan. 妊娠したかも?基礎体温の変化. Available from: https://niptjapan.com/column/basal-body-temperature/
  14. シチズン・システムズ株式会社. 妊活中の基礎体温の測り方!グラフの変化でわかる妊娠のサイン. 2023. Available from: https://www.citizen-systems.co.jp/health/column/article/article_11.html
  15. dヘルスケア. 基礎体温グラフの見方 正常パターンとガタガタ・低温期・高温期の異常パターンを解説. 2024. Available from: https://ssw.web.docomo.ne.jp/femtech/column/25040003/
  16. あかほし. 排卵検査薬の仕組みと正しい使い方、排卵日を予測できるタイミングをご紹介【医師監修】. 2024. Available from: https://akahoshi.net/article/detail/8374/
  17. ルカレディースクリニック住吉. 排卵検査薬の使い方. 2023. Available from: https://luca-ladies.com/blog/%E6%8E%92%E5%8D%B5%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E8%96%AC%E3%81%AE%E4%BD%BF%E3%81%84%E6%96%B9
  18. ロート製薬株式会社. ドゥーテストLH排卵日予測検査薬. Available from: https://jp.rohto.com/dotest/products/lh/
  19. 更紗はり灸院. LHピークでのタイミングは遅い. Available from: https://sarasahariq.com/column/hun7.html
  20. 日本産科婦人科学会. 登録・調査小委員会. Available from: https://www.jsog.or.jp/medical/641/
  21. ヒロクリニック. 基礎体温の正しい測り方とガタガタグラフでも妊娠できる理由|妊娠超初期症状はいつから現れる?主なサインも解説【医師監修】. 2024. Available from: https://www.hiro-clinic.or.jp/nipt/basal-body-temperature/
  22. Ubie株式会社. 生理周期がおかしい という症状の原因と、関連する病気をAIで無料チェック. Available from: https://ubie.app/lp/search/abnormal-menstruation-s375
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