【いぼ除去】放置して大丈夫?種類別の対処と跡を残さないケア
皮膚科疾患

【いぼ除去】放置して大丈夫?種類別の対処と跡を残さないケア

首やまぶた、わきの下などに、1〜3mmほどの小さな突起ができて「これってイボ?放っておいていいの?」と気になっていませんか。人に見られる場所ほど、仕事や外出のたびに視線が気になり、誰にも相談できず一人で悩む方も少なくありません。

結論から言うと、いわゆる「いぼ」と呼ばれるものの多くは良性ですが、ウイルス性(うつるタイプ)や、まれに悪性腫瘍が紛れている可能性もあるため、自己判断で削ったり、市販薬やレーザーで処置を急ぐのは安全ではありません。日本皮膚科学会の「美容医療診療指針」では、肉眼やダーモスコピーで鑑別が難しい場合は生検などを検討し、鑑別できないのにレーザー治療を安易に行うべきではない、と注意喚起しています。1

この記事では、「いぼ」の代表的な種類(首のいぼ・スキンタッグ・ウイルス性いぼ・汗管腫など)を日本皮膚科学会や日本形成外科学会などの一次情報に基づいて整理し、皮膚科で受けられる除去法(液体窒素、切除、電気焼灼、炭酸ガスレーザーなど)と、跡を残しにくくするアフターケア、受診の目安を具体的に解説します。日本の医療制度(皮膚科受診・保険適用の考え方)に沿って、忙しい方でも行動に移しやすい形でまとめました。

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。

本記事の内容は、以下のような一次情報源に基づいて、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています。

  • 厚生労働省・自治体・公的研究機関:e-ヘルスネット、各種ガイドライン、統計資料など、日本人向けの公式情報を優先して参照しています。
  • 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:日本の学会やWHO、NICE、Cochraneレビューなど、科学的に検証されたエビデンスをもとに要点を整理しています。
  • 教育機関・医療機関・NPOによる一次資料:病気の背景説明や日本の医療制度に関する実務的な情報として利用します。

AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。

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要点まとめ

  • 日本皮膚科学会によると、「いぼ」と呼ばれるものにはウイルス性疣贅だけでなく、軟性線維腫(スキンタッグ)脂漏性角化症など複数の良性病変が含まれます。まずは種類の見極めが重要です。2
  • 日本皮膚科学会の「美容医療診療指針」は、悪性腫瘍が紛れる可能性があるため、鑑別できないままレーザー治療を安易に行わないよう注意しています。1
  • DermNetは、スキンタッグ(アクロコルドン)は首・わき・鼠径などの皮膚のしわにできやすく、肥満や2型糖尿病で増えやすいと説明しています。3
  • ウイルス性の「いぼ」は、皮膚科学会Q&AでHPV感染が原因で、状況によってうつる可能性があると解説されています。家族内感染を防ぐためにも自己処置より受診が安全です。4
  • 炭酸ガスレーザーなどの除去は、切開縫合より線状瘢痕が残りにくい一方で、感染・上皮化遅延・炎症後色素沈着・色素脱失・再発などが起こり得る、と日本皮膚科学会の指針に記載があります。術後ケアが結果を左右します。1
  • 創部ケアは、米国国立医学図書館(MedlinePlus)が、清潔保持・ワセリン等の保護・かさぶたを剥がさないなどの基本を示しています。6

第1部:いぼの基本と日常生活の見直し

最初に押さえるべきポイントは、「いぼ」という言葉がとても幅広いことです。日本皮膚科学会の尋常性疣贅診療ガイドラインでは、いわゆる「いぼ」はウイルス性疣贅に加えて、軟性線維腫(アクロコルドン/スキンタッグ)脂漏性角化症などに大別されると説明されています。2

つまり「取ればきれいになる」と単純には言い切れません。種類によって、うつるかどうか、再発しやすさ、最適な除去法、跡の残りやすさが変わるからです。

1.1. 基本的なメカニズム・体の仕組み

首の“ぶら下がる”小さな突起で多いのは、軟性線維腫(スキンタッグ)です。日本皮膚科学会のガイドラインでは、軟性線維腫は有茎性の柔らかい結節で、頸部や腋窩などに生じ、原因として摩擦・紫外線・加齢が挙げられています。2

海外の一次情報としてDermNetは、スキンタッグは皮膚色〜やや濃い色で、1mmから数cmまで幅があり、皮膚のしわ(首・わき・鼠径など)に多いと説明しています。また、肥満や2型糖尿病で数が増える傾向にも触れています。3

手足にできるザラザラした“いぼ”は、ウイルス性疣贅(尋常性疣贅など)が候補になります。日本皮膚科学会Q&Aは、原因はヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の感染であり、状況によりうつる可能性があると解説しています。4

まぶた周りの小さな粒が左右対称に増える場合は、汗管腫(syringoma)も候補です。DermNetは、汗管腫はエクリン汗管由来の良性腫瘍で、まぶたの周囲に群生しやすいと説明しています。7

そして重要なのが、見た目が似ていても別物が混ざり得ることです。日本皮膚科学会の「美容医療診療指針」は、「ホクロ・イボ」と呼ばれる良性小腫瘍の中に皮膚悪性腫瘍が含まれている可能性があるため、鑑別が難しい場合は切除や生検で組織学的確認を検討し、鑑別できないのにレーザーを安易に当ててはいけないと明記しています。1

1.2. 悪化させてしまうNG習慣

「気になるから触る・引っ張る・削る」は、ほぼすべてのタイプで避けるべきです。日本皮膚科学会の指針は、レーザーなどの処置後に二次感染や上皮化遅延が起こり得ることを挙げており、自己処置で傷を作るほど感染リスクが上がります。1

市販の“いぼ取り”の自己判断使用も注意が必要です。日本皮膚科学会Q&Aは、自己診断で治療した結果、重篤な事態を招いた例があるとして、まず皮膚科医の診断を受け、その指導のもとで自己治療を考えるべきだと説明しています。8

  • こすれを放置する:日本皮膚科学会ガイドラインでは、軟性線維腫は摩擦が関与するとされています。首のネックレス、襟、マスクのひも、ブラの縁など、日常のこすれを見直すことが基本です。2
  • ウイルス性の可能性があるのに共有する:日本皮膚科学会Q&Aは、ウイルス性疣贅はうつる可能性を秘めており、皮膚の小さな傷や免疫低下があるとできやすく治りにくいと述べています。家族でタオル・爪切り・カミソリを共有しないなど、基本の感染対策が重要です。9
  • 「レーザーなら絶対きれいになる」と決めつける:日本皮膚科学会の指針は、レーザー治療には利点がある一方、炎症後色素沈着や色素脱失、再発、瘢痕が目立つ可能性などのリスクも記載しています。期待とリスクをセットで理解することが大切です。1
表1:セルフチェックリスト(受診の優先度を判断するヒント)
こんな見た目・状況はありませんか? 考えられる主な背景(例)
首やわきの下に、柔らかく「ぶら下がる」小さな突起が増えてきた 軟性線維腫(スキンタッグ)など。日本皮膚科学会は摩擦・紫外線・加齢を要因として挙げています。2
手足にザラザラした盛り上がり。触ると引っかかる/増える ウイルス性疣贅(HPV感染)など。日本皮膚科学会Q&AはHPV感染が原因と説明しています。4
まぶた周りに2〜3mm程度の粒が左右対称に群れている 汗管腫など。DermNetはまぶた周囲に群生しやすいと説明しています。7
急に大きくなる/色がまだら/出血しやすい/治りにくい傷のように見える 悪性を含む別疾患の可能性。日本皮膚科学会は鑑別が難しい場合に生検等を検討し、鑑別不能なままレーザーを安易に行わないよう注意しています。1

第2部:身体の内部要因 — 体質・ホルモン・代謝と「増えやすさ」

いぼができる“きっかけ”は皮膚表面(摩擦・感染)に見えても、増えやすさには体質や代謝が関わることがあります。ここでは、過度に不安をあおらず、現実的にチェックできる観点に絞って整理します。

2.1. 【特に女性】ライフステージとホルモンバランス

妊娠期に首やわきの小さな突起が増えたという相談は珍しくありません。DermNetは、スキンタッグの要因として妊娠中などの成長因子の上昇が関与し得ると説明しています。3

更年期以降に「首のポツポツが目立つ」と感じる方もいますが、これは日本皮膚科学会のガイドラインが挙げる加齢や、衣類・マスクひもなどによる慢性的な摩擦が積み重なることが一因になり得ます。2

ただし、ホルモンだけで説明できるわけではありません。「年齢のせいだから仕方ない」と我慢(がまん)し過ぎず、気になる場合は皮膚科で種類を確認するのが最も確実です。

2.2. 代謝(肥満・インスリン抵抗性)とスキンタッグの関係

スキンタッグが多発している場合、生活習慣(体重増加、血糖の問題)と関連する可能性が指摘されています。DermNetは、肥満の方や2型糖尿病の方でスキンタッグが多い傾向があると述べています。3

また、査読付き論文(インスリン抵抗性と皮膚所見を扱う総説)では、スキンタッグがインスリン抵抗性などの代謝異常と関連し得る皮膚所見の一つとして議論されています。ただし、これは「スキンタッグがある=必ず糖尿病」という意味ではなく、“体のサインとして一度健診結果を見直す価値がある”という位置づけです。10

具体的には、直近の健診で血糖(HbA1c)や脂質、体重変化が気になる方は、皮膚科受診と並行して内科で相談するのも合理的です。

2.3. 免疫・皮膚バリアの低下と「うつるいぼ」のできやすさ

ウイルス性疣贅(HPVによるいぼ)は、誰にでも起こり得ますが、皮膚に小さな傷があったり、免疫力が低下しているとできやすく、治りにくくなることが知られています。日本皮膚科学会Q&Aは、免疫低下や皮膚バリア機能の低下(例:アトピー性皮膚炎など)がある場合に特に注意が必要だと説明しています。9

「忙しいから」「迷惑をかけたくないから」と受診を先延ばしにすると、家族内で広がったり、治療が長引くことがあります。早めの相談は、結果的に時間と負担を減らす選択になり得ます。

第3部:専門的な診断が必要な皮膚疾患

見た目が似ていても、治療法が真逆になるケースがあります。このパートでは「自己判断の落とし穴」と「皮膚科で何を確認するのか」を具体化します。

3.1. ウイルス性疣贅(尋常性疣贅など)— うつる可能性と治療の基本

日本皮膚科学会の尋常性疣贅診療ガイドラインは、ウイルス性疣贅の原因としてHPVを示し、典型例では手足に多いこと、鑑別として脂漏性角化症や鶏眼(うおのめ)などが問題になることを述べています。2

日本皮膚科学会Q&Aも、ウイルス性疣贅はHPV感染であり、うつる可能性があると解説しています。9

医療機関での治療は複数あり、例えば凍結療法(液体窒素)や電気焼灼、外用療法などが患者ごとに選ばれます。日本皮膚科学会Q&Aは、いぼ治療には「どの患者さんにも一番効く特効法がない」ことが難しさだと述べています。11

3.2. 首のいぼ(軟性線維腫/スキンタッグ)— 美容目的の除去と注意点

軟性線維腫(スキンタッグ)は、ウイルス性疣贅ではないため「うつるいぼ」とは扱いが異なります。日本皮膚科学会ガイドラインは、いわゆる「いぼ」をウイルス性疣贅と軟性線維腫、脂漏性角化症に大別し、軟性線維腫はHPV感染症ではないと整理しています。2

除去自体は、医療機関でハサミ切除、電気メス、凍結療法、レーザーなどが選択されます。DermNetは、スキンタッグの美容目的の除去法として凍結、切除、電気メス、結紮などを挙げています。3

一方で、日本皮膚科学会の「美容医療診療指針」は、レーザー治療の副作用として紅斑・水疱、二次感染、上皮化遅延、炎症後色素沈着や色素脱失、取り残しによる再発などを記載しています。特に色素沈着が気になる方は、術後の紫外線対策と摩擦回避が重要です。1

3.3. まぶたのぶつぶつ(汗管腫)— 期待値調整が必要なタイプ

汗管腫は、見た目の悩みが強い一方で、治療は一回で完全に消えるとは限りません。日本形成外科学会の診療ガイドライン(皮膚良性腫瘍)では、汗管腫に対して様々な治療が試みられているが、どれが優れているかのエビデンスは十分でなく、電気切除、冷凍療法、CO2レーザー、切除、ケミカルピーリングなどが挙げられ、推奨度(提案)はC1として整理されています。また保険適用外となり得る点にも触れられています。12

DermNetも、汗管腫は良性である一方、治療で瘢痕や色素変化が起こり得るため慎重に検討する必要がある、といった臨床的な観点を含めて解説しています。7

目の周囲は皮膚が薄く、腫れや色素沈着が目立ちやすい部位です。大切なのは「何をどこまで目指すか(目立ちにくくするのか、完全消失を狙うのか)」を医療者と共有することです。

第4部:今日から始める改善アクションプラン

いぼは“今すぐ全部なくす”よりも、「安全に見極めて、跡を残しにくく取る」ことが結果的に近道です。ここでは受診前・治療当日・治療後で、やることをレベル別に整理します。

表2:いぼ対策・除去のアクションプラン
ステップ アクション 具体例
Level 1:今夜からできること 摩擦と刺激を減らす/触らない 首なら襟やネックレスを見直す(日本皮膚科学会は摩擦が軟性線維腫の要因になり得ると記載)2。手足のいぼ疑いは削らず、家族とタオルや爪切りを共有しない(日本皮膚科学会Q&Aはうつる可能性に言及)9
Level 2:今週中にやること “種類の仮説”を立てて皮膚科予約 スマホで同じ角度の写真を撮り、サイズ・色・出血の有無をメモ。鑑別が難しい場合は生検なども検討し、鑑別不能でレーザーを安易に行わないという日本皮膚科学会の注意点を前提に相談する1
Level 3:治療当日〜翌日 術後の基本ケアを徹底 MedlinePlusは、創部を清潔に保ち、医療者の指示に従い、ワセリン等で保護し、かさぶたを剥がさないことを推奨しています6。痛み・発赤・膿など感染徴候があれば早めに医療機関へ。
Level 4:治療後1〜数週間 色素沈着・瘢痕を防ぐ生活 日本皮膚科学会の指針はレーザー後の炎症後色素沈着や色素脱失が起こり得ると記載しています1。日焼けを避け、摩擦を減らし、医師の指示がある場合は遮光(帽子・日焼け止め等)を徹底。

「食べ物で瘢痕が決まる」といった情報を見かけることがありますが、少なくとも主要ガイドラインが“特定の食品を避ければ瘢痕が必ず防げる”と断定する形では示していません。ここは不安を抱え込みやすいポイントなので、根拠が比較的はっきりしていること(清潔、保護、紫外線対策、かさぶたを剥がさない)を優先しましょう。MedlinePlusが示す創部ケアの基本を軸にするのが現実的です。6

第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?

いぼ除去は「美容」だけの問題ではなく、診断(見極め)と安全管理がセットです。皮膚科では、見た目・触り心地・部位・経過に加え、必要ならダーモスコピーや組織検査で確認し、最適な方法を提案します。日本皮膚科学会の指針が「鑑別不能でレーザーを安易に行わない」と述べる背景には、この安全管理があります。1

5.1. 受診を検討すべき危険なサイン

  • 短期間で急に大きくなる/形がいびつになった
  • 色がまだら/黒く濃くなってきた、あるいは不自然に薄くなった
  • 出血しやすい/ただれて治りにくい
  • 痛み・強いかゆみが続く
  • 自己処置(削る・薬・テープなど)で悪化した

これらは必ずしも悪性を意味しませんが、日本皮膚科学会の指針が指摘するように鑑別が難しい場合もあるため、早めに皮膚科で確認するのが安全です。1

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • まず基本は皮膚科:いぼ、ほくろ、首のポツポツ、手足のいぼ、体幹の盛り上がりなど。
  • 目の周り(まぶた):皮膚科に加え、施設によっては形成外科と連携。汗管腫は形成外科学会ガイドラインでも扱われています。12
  • 陰部周囲のいぼ:尖圭コンジローマ等の鑑別が必要になることがあります。自己判断は避け、皮膚科・婦人科・泌尿器科など適切な窓口へ。

5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安

  • 経過メモ:いつから、増えたスピード、痛み・かゆみ、出血の有無。
  • 写真:同じ距離・照明で撮影すると変化が伝わりやすいです。
  • お薬手帳:抗凝固薬(血をサラサラにする薬)などは処置方法に影響し得ます。
  • 体質情報:ケロイド体質、金属アレルギー、糖尿病など。

費用は、病変の種類・数・部位・方法(切除/凍結/電気焼灼/レーザー等)と、保険適用か自費かで大きく変わります。日本形成外科学会ガイドラインが汗管腫の治療について保険適用外となり得る点に触れているように、整容目的の範囲では自費になることがあります。12

5.4. 代表的な除去法(医療機関)— メリットと注意点

どの方法にも「向き・不向き」があります。ここでは、日本皮膚科学会の指針やDermNetなどの一次情報に基づき、イメージしやすく整理します。

  • 液体窒素(凍結療法):ウイルス性疣贅でよく用いられる基本治療として、日本皮膚科学会のガイドラインが位置づけています。2
  • ハサミ切除/外科的切除:DermNetはスキンタッグの除去法として外科的切除を挙げています。3
  • 電気焼灼(電気メス):DermNetは電気的処置(electrosurgery)をスキンタッグの除去法に挙げています。3
  • 炭酸ガスレーザー(CO2レーザー):日本皮膚科学会の「美容医療診療指針」は、皮膚の良性小腫瘍に対し、炭酸ガスレーザー等の蒸散レーザーが選択され得るとし、利点と副作用を具体的に説明しています。1

5.5. 炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)を「誤解なく」理解する

CO2レーザーは「美容の救世主」と言われることがありますが、正確には“適切な診断と出力設定、そして術後ケアが揃って初めて満足度が上がりやすい手段”です。

日本皮膚科学会の指針によると、CO2レーザーは波長が10600nmで水に吸収されやすく、組織を蒸散させるだけでなく凝固・止血作用も有するため、皮膚科・形成外科領域で良性小腫瘍の治療に多用されている、と説明されています。1

PMDA(医療機器基準等情報提供ホームページ)の一般的名称定義でも、炭酸ガスを基質として外科処置等に用いるガスレーザとして整理されています。13

一方で、日本皮膚科学会の指針は副作用として照射直後の紅斑・水疱、二次感染、上皮化遅延、炎症後色素沈着や色素脱失、取り残しによる再発、深く削ると瘢痕が目立つ可能性などを具体的に列挙しています。1

「レーザー=跡が残らない」ではありません。むしろ、跡を残しにくくする鍵は、次のアフターケアです。

5.6. 施術後のアフターケア:跡を残しにくくする現実的なコツ

創部ケアは、情報が散らばりやすい分野です。ここでは、MedlinePlusが示す一般的な皮膚病変除去後のケアと、日本皮膚科学会が挙げるレーザー後の起こり得る反応を組み合わせ、現場で役立つ形に落とし込みます。61

  • 清潔に保つ:MedlinePlusは、医療者の指示に従い、創部を清潔にすることを基本にしています。6
  • 乾かし過ぎない(保護する):MedlinePlusは、ワセリン等で保護し、適切に覆うことを含むケアを案内しています。6
  • かさぶたを剥がさない:MedlinePlusは、かさぶたを剥がすと出血や瘢痕の原因になり得るため避けるよう説明しています。6
  • 紫外線対策:日本皮膚科学会の指針は、治療後に炎症後色素沈着や色素脱失が起こり得ると記載しています。外出時は帽子・日焼け止め等の遮光を医療者の指示に沿って行いましょう。1
  • 感染サインを見逃さない:痛みの増悪、強い赤み、腫れ、膿、発熱などは受診の目安です(一般的な創部管理としてMedlinePlusが注意喚起しています)。6

「いつから洗顔・メイク・入浴ができるか」は、処置部位と深さで変わります。大切なのは、医療機関からの指示(いつ洗うか、何を塗るか、テープは必要か)を優先することです。

よくある質問

Q1: 「首のいぼ」と「ウイルス性のいぼ」はどう違いますか?

日本皮膚科学会のガイドラインでは、いわゆる「いぼ」はウイルス性疣贅軟性線維腫(スキンタッグ)脂漏性角化症などに大別されます。2

ウイルス性疣贅は日本皮膚科学会Q&AでHPV感染が原因と説明され、うつる可能性がある点が特徴です。4

一方、軟性線維腫は日本皮膚科学会ガイドラインで摩擦・紫外線・加齢が要因とされ、HPV感染症ではないと整理されています。自己判断が難しい場合は皮膚科で確認しましょう。2

Q2: いぼ除去は痛いですか?麻酔は必要ですか?

痛みは方法と部位で変わります。日本皮膚科学会の「美容医療診療指針」は、CO2レーザーなどの蒸散レーザー治療では照射直後の紅斑や水疱が起こり得ることを記載しており、刺激感の程度は個人差があります。1

多くの医療機関では、必要に応じて局所麻酔(外用・注射など)を併用します。痛みが心配な方は、事前に「どの麻酔を使うか」「施術中の痛みの見込み」「帰宅後の痛み対策」を確認すると安心です。

強い痛みや出血が続く場合は、創部トラブルの可能性があるため医療機関に連絡してください(創部管理の一般原則としてMedlinePlusが注意点をまとめています)。6

Q3: 市販のいぼ取りや自己切除をしてもいいですか?

結論として、自己判断の処置はおすすめできません。日本皮膚科学会Q&Aは、自己診断で治療した結果、重篤な事態を招いた例があるとし、まず皮膚科医の診断を受け、その指導と管理の下であれば市販薬を用いた自己治療もあり得る、と説明しています。8

また、日本皮膚科学会の「美容医療診療指針」も、鑑別ができない場合にレーザー治療を安易に行わないよう注意しています。市販薬や自己切除では鑑別ができないため、まず受診が安全です。1

糖尿病などがある方は感染リスクが上がり得るため、特に自己処置を避けてください(Q&Aでも自己治療の有害例に触れられています)。8

Q4: まぶたのぶつぶつ(汗管腫)はレーザーで消えますか?

汗管腫は、治療で目立ちにくくできる可能性はありますが、どの治療が最も優れているかの確立したエビデンスは十分ではないと、日本形成外科学会の診療ガイドラインは整理しています(推奨度C1)。12

DermNetも汗管腫を良性腫瘍として説明しつつ、治療では瘢痕や色素変化が起こり得る点を含めて解説しています。7

目の周りは皮膚が薄いので、完全消失よりも「自然に見える範囲まで整える」など現実的なゴール設定が満足度につながります。腫れや視界への影響がある場合は早めに相談してください。

Q5: 施術後は何日で治りますか?洗顔やメイクはいつから?

治るまでの期間は、病変の大きさ・深さ・部位・方法で変わります。日本皮膚科学会の指針は、レーザー治療後に上皮化遅延が起こり得ることを挙げており、個人差がある前提で考える必要があります。1

一般的な創部ケアとしてMedlinePlusは、清潔保持、ワセリン等での保護、かさぶたを剥がさないことを案内しています。洗顔・メイク・入浴の可否は「医療機関の指示」を優先してください。6

赤みや痛みが強くなったり、膿が出る場合は感染の可能性があるため、早めに医療機関へ連絡しましょう。6

Q6: 跡(色素沈着・凹み・盛り上がり)を残さないコツは?

日本皮膚科学会の「美容医療診療指針」は、レーザー後の炎症後色素沈着や色素脱失、再発、瘢痕が目立つ可能性を記載しています。1

現実的に重要なのは、(1)かさぶたを剥がさない、(2)摩擦を避ける、(3)紫外線対策、(4)感染を防ぐ、の4点です。創部管理の基本としてMedlinePlusは清潔保持と保護を案内しています。6

「早く治したい」と触りたくなる時ほど、保護して触らない工夫(テープ・マスクの当たり方調整など)を医療者と相談してください。

Q7: いぼは再発しますか?増えないようにできますか?

再発・再燃のリスクは種類で違います。日本皮膚科学会の指針は、レーザー治療で「取り残しによる再発」がよくみられる合併症だと述べています。1

スキンタッグはDermNetが摩擦やインスリン抵抗性などを要因として挙げており、摩擦軽減や体重管理が“増えにくくする”観点で役立つ可能性があります。3

ウイルス性疣贅は日本皮膚科学会Q&Aがうつる可能性に触れているため、家族内での共有物を避ける、皮膚の小さな傷をケアするなどが現実的です。9

Q8: 受診の目安は?「急ぎ(今日〜数日以内)」のサインはありますか?

急な増大、出血、治りにくいびらん、色のまだらなどがある場合は、できるだけ早く皮膚科へ。日本皮膚科学会の指針は、悪性腫瘍が含まれている可能性を考慮し、鑑別が難しい場合には組織学的確認を検討する必要があると述べています。1

高熱や広がる強い赤み、膿など感染の疑いがある場合も早めに連絡してください(創部管理の一般原則としてMedlinePlusが注意点をまとめています)。6

皮膚の症状で命に関わる緊急は多くありませんが、呼吸困難など明らかな救急症状がある場合はためらわず119へ連絡してください。

結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

「いぼ」は一つの病名ではなく、ウイルス性疣贅、軟性線維腫(スキンタッグ)、脂漏性角化症、汗管腫など複数の可能性を含む“俗称”です。日本皮膚科学会が示すように、鑑別が難しい場合にレーザーを安易に当てるのは安全ではありません。12

きれいに取るための近道は、(1)皮膚科で種類を確認する、(2)自分に合う方法(凍結・切除・電気・レーザー等)を選ぶ、(3)MedlinePlusが示す基本に沿って術後ケアを徹底する、の3点です。6

「忙しい」「相談しづらい」と感じる方ほど、早めに一度診断を受けるだけで不安が大きく減ることがあります。あなたの悩みは珍しいものではありません。安全に、そして納得感のある形で対処していきましょう。

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

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本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。

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免責事項 本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言や診断、治療に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合や、治療内容の変更・中止等を検討される際には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

  1. 日本皮膚科学会. 美容医療診療指針(令和3年度改訂版) 第3節:イボ・ホクロに対するレーザー治療. https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/biyo2v.pdf(最終アクセス日:2025-12-21)

  2. 日本皮膚科学会尋常性疣贅診療ガイドライン策定委員会. 尋常性疣贅診療ガイドライン 2019(第1版). 2019. https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/yuzei_gl2019.pdf(最終アクセス日:2025-12-21)

  3. DermNet NZ. Skin tag — extra information(Acrochordon, Soft fibroma). https://dermnetnz.org/topics/skin-tag(最終アクセス日:2025-12-21)

  4. 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A. Q2 イボ(ウイルス性疣贅)は、どうしてできるのですか?. https://qa.dermatol.or.jp/qa23/q02.html(最終アクセス日:2025-12-21)

  5. 日本皮膚科学会. 美容医療診療指針(令和3年度改訂版)— レーザー治療の利点と副作用(炎症後色素沈着・色素脱失・再発など). https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/biyo2v.pdf(最終アクセス日:2025-12-21)

  6. MedlinePlus(U.S. National Library of Medicine). Skin lesion removal – aftercare. https://medlineplus.gov/ency/patientinstructions/000918.htm(最終アクセス日:2025-12-21)

  7. DermNet NZ. Syringoma. https://dermnetnz.org/topics/syringoma(最終アクセス日:2025-12-21)

  8. 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A. Q14 イボやウオノメやタコの薬が市販されています。自分で治療してもいいのですか?. https://qa.dermatol.or.jp/qa23/q14.html(最終アクセス日:2025-12-21)

  9. 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A. Q4 イボ(ウイルス性疣贅)はうつるのですか?. https://qa.dermatol.or.jp/qa23/q04.html(最終アクセス日:2025-12-21)

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  11. 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A. イボの治療(液体窒素、電気焼灼、外用など)に関する解説(Q&A内該当ページ). https://qa.dermatol.or.jp/qa23/index.html(最終アクセス日:2025-12-21)

  12. 日本形成外科学会. 形成外科診療ガイドライン1 皮膚良性腫瘍:CQ10 汗管腫に対しどのような治療法が有効か?. https://jsprs.or.jp/member/disease/guideline/keiseigeka1.pdf(最終アクセス日:2025-12-21)

  13. PMDA 医療機器基準等情報提供ホームページ. 一般的名称(定義)— 炭酸ガスレーザ(JMDN). https://www.std.pmda.go.jp/scripts/stdDB/JMDN/stdDB_jmdn_resr.cgi?Select=1&Sig=1&jmdn_no=2981&kjn_no=0(最終アクセス日:2025-12-21)

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