【ニキビ(尋常性ざ瘡)】原因・種類・治療法と今日からできるケアを徹底解説
皮膚科疾患

【ニキビ(尋常性ざ瘡)】原因・種類・治療法と今日からできるケアを徹底解説

思春期から大人になっても、顔や背中にできるニキビがなかなか治らず、人前に出るのがつらい──そんな悩みを抱えていませんか。メイクで隠そうとしても限界があり、写真に写った自分の肌を見てショックを受けた経験がある方も少なくありません。

ニキビ(尋常性ざ瘡〈じんじょうせいざそう〉)は、皮脂の分泌や毛穴の詰まり、皮膚常在菌のバランス、ホルモンの変動など、さまざまな要因が重なって起こる「慢性的な皮膚の炎症」です。特に日本では、思春期だけでなく働き盛りの大人や女性にも多くみられ、仕事や学校、対人関係、メンタルヘルスにも影響しやすいことがわかっています。

本記事では、日本のガイドラインや公的機関の情報をもとに、ニキビの基礎知識から種類・症状、原因・悪化させる要因、病院で行われる標準的な治療、日常生活でできるケア、受診の目安までを一つひとつ丁寧に解説します。読み進めることで、「自分のニキビはどのタイプなのか」「まず何から始めればよいのか」「いつ皮膚科を受診すべきか」が整理できるようになることを目指しています。

ニキビは決して「不潔だから」できるものではありません。原因や肌質は人によって異なります。この記事を通して、自分を責める気持ちを少しでも手放し、今できるケアや相談先を一緒に考えていきましょう。

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。

本記事の内容は、厚生労働省の情報や日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」など、日本人向けの信頼性の高い資料を中心に、世界保健機関(WHO)や海外の診療ガイドラインなども参考にしながら、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています。

  • 厚生労働省・自治体・公的研究機関:e-ヘルスネットや各種統計・解説ページなど、日本人向けの公式情報を優先して参照しています。
  • 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:日本皮膚科学会ガイドラインや、海外のアクネ治療ガイドライン、システマティックレビューなど、科学的に検証されたエビデンスをもとに要点を整理しています。
  • 教育機関・医療機関・NPOによる一次資料:ニキビが生活の質(QOL)やメンタルヘルスに与える影響、日本の医療制度における治療選択肢に関する実務的な情報として利用します。

AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。

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要点まとめ

  • ニキビ(尋常性ざ瘡)は、毛穴の入り口が角質でふさがり、皮脂が詰まることで始まり、そこに皮膚常在菌が関わって炎症が起こる「慢性の皮膚疾患」です。
  • 白ニキビ・黒ニキビなどの「面皰(コメド)」から、赤ニキビ・膿を持ったニキビ・しこりのようなニキビまで、重症度によって種類が分かれ、治療方法も変わります。
  • 思春期のホルモン変動に加え、大人ではストレス・睡眠不足・スキンケアやメイクの影響、薬剤(ステロイドなど)、基礎疾患などが悪化要因になることがあります。
  • 日本皮膚科学会ガイドラインでは、外用薬(抗炎症作用を持つレチノイド様製剤や過酸化ベンゾイルなど)を基本とし、必要に応じて内服抗菌薬などを一定期間組み合わせる標準治療が示されています。
  • 市販薬やセルフケアで良くならない場合、痛みを伴う大きなニキビが多い場合、ニキビ跡やメンタル面のつらさが強い場合は、早めに皮膚科を受診することが勧められます。
  • 洗顔・保湿・紫外線対策・メイクやヘアスタイルの工夫など、日常生活の見直しだけでも症状が軽くなるケースが多く、正しい情報に基づいて「やりすぎない・さぼりすぎない」ケアを続けることが大切です。

第1部:ニキビの基本と日常生活の見直し

まずは「ニキビとは何か」という基本から整理し、次に、普段の洗顔やメイク、生活リズムなど、身近な要因を見直していきます。いきなり「ホルモン異常や病気かもしれない」と不安になる前に、多くの方に当てはまりやすいポイントから確認することが、遠回りに見えて最短ルートになることも少なくありません。

1.1. ニキビの基本的なメカニズムと種類

ニキビ(尋常性ざ瘡)は、主に顔(額・頬・あご)や胸、背中など、皮脂分泌が多い部位にできる慢性的な炎症性皮膚疾患です。毛穴(毛包)の入り口が角質でふさがり、内部に皮脂がたまることから始まり、そこに皮膚常在菌であるアクネ菌(Cutibacterium acnes)などが関わって炎症が起こります。

日本皮膚科学会のガイドラインでは、ニキビは大きく「面皰(コメド)」と呼ばれる初期段階と、赤みや腫れ・膿を伴う炎症性の段階に分けられます。白いプツプツとして見える「白ニキビ(閉鎖面皰)」、毛穴の入り口が開き黒く見える「黒ニキビ(開放面皰)」は、まだ炎症が強くない初期の状態です。一方、赤く盛り上がった「赤ニキビ(丘疹)」や、中心に膿がたまった「黄ニキビ(膿疱)」、触ると痛い「しこりのようなニキビ(結節・嚢腫)」は炎症が進行した状態で、放置するとニキビ跡(色素沈着や凹み)を残しやすくなります。

同じ「ニキビ」に見えても、部位や数、種類、炎症の強さによって治療方法や必要な期間は大きく異なります。そのため、日本皮膚科学会のガイドラインでは、顔のニキビの数やタイプから重症度(軽症・中等症・重症など)を評価し、それぞれに推奨される治療薬の組み合わせが示されています。自分で重症度を正確に判断することは難しいため、繰り返しやすい・広範囲にある・痛みが強い場合は、早めに皮膚科で相談することが大切です。

1.2. 悪化させてしまう日常のNG習慣

ニキビは「生活習慣だけ」が原因ではありませんが、日々のちょっとしたクセやスキンケアの仕方が悪化に関わっているケースは多く見られます。以下のような行動に心当たりはないか、チェックしてみましょう。

  • 顔をゴシゴシ洗いすぎる・1日に何度も洗顔する:強い摩擦は肌のバリア機能を壊し、乾燥→皮脂の過剰分泌という悪循環を招くことがあります。洗顔は基本的に朝晩2回、泡でやさしく撫でるように行うのが目安です。
  • アルコールやメントールが強いスキンケア・拭き取り化粧水の多用:一時的にさっぱりしても、刺激や乾燥からかえって皮脂分泌が増えたり、赤みやヒリつきの原因になることがあります。
  • カバー力の高いファンデーション・コンシーラーで厚塗りする:油分が多い製品や、毛穴をふさぎやすい成分を多く含むメイク用品は、コメド(毛穴の詰まり)を増やす一因になりえます。「ノンコメドジェニックテスト済み」などの表示も目安になります。
  • 前髪やマスク、マフラーが常に同じ場所に触れている:額の前髪、あごのマスクやマフラー、頬に触れるスマートフォンなどが、汗や皮脂、摩擦を生み、ニキビを悪化させることがあります。定期的に洗う・位置を調整するなどの工夫が役立ちます。
  • つい手で触る・つぶすクセがある:指先の雑菌が入り、炎症や色素沈着、凹みのあるニキビ跡を残す原因になります。鏡の前で長く観察しすぎない・手鏡を見過ぎないなど、「触らない工夫」も大切です。
  • 慢性的な睡眠不足や不規則な生活:夜更かしや交代勤務などで生活リズムが乱れると、自律神経やホルモンバランスにも影響し、皮脂分泌やストレス反応が強まってニキビが悪化しやすくなります。
  • ストレスの溜め込み:人間関係や仕事・学業のプレッシャー、家族の介護などのストレスは、皮膚の炎症やかゆみを強く感じやすくし、結果的にニキビや肌トラブルの増悪につながることがあります。

これらをすべて完璧にやめる必要はありませんが、「特に思い当たるもの」から1つずつ減らしたり、やり方を見直していくと、肌の調子が少しずつ変わってくる方も多くいます。

表1:ニキビに悩む人のセルフチェックリスト(例)
こんな症状・状況はありませんか? 考えられる主な背景・原因カテゴリ
額・こめかみに細かいブツブツが多い/前髪をおろしている・ヘルメットをよくかぶる 皮脂分泌が多い部位への摩擦・前髪やヘルメットによるムレ
マスクが触れる頬〜あごにニキビが集中している マスクによる摩擦・ムレ・ファンデーションや口紅の付着
夜更かしや残業が続くと、決まってニキビが悪化する 生活リズムの乱れ・睡眠不足・ストレスによるホルモンバランスの変化
強くこするとスッキリする感じがあり、洗顔やスクラブを多用してしまう 過度な洗顔・摩擦によるバリア機能低下と皮脂分泌の増加
仕事・学校では人と会うために厚めのメイクが欠かせない 油分の多い化粧品・クレンジングの負担・長時間のメイクによる毛穴の閉塞

第2部:身体の内部要因 — 皮脂・ホルモン・隠れた不調

洗顔やスキンケア、生活習慣を整えてもニキビがなかなか良くならない場合、その背景にはホルモンバランスの変動や体質、内服薬、基礎疾患など、身体の内側の要因が関わっている可能性があります。この章では、特に日本人に多いパターンを中心に整理します。

2.1. ライフステージとホルモンバランスの変化

ニキビは、思春期に急増する男性ホルモン(アンドロゲン)だけでなく、大人になってからもホルモンバランスの変動と深く関係しています。特に女性では、月経周期や妊娠・出産、更年期などライフステージごとにホルモンが大きく変動するため、同じ人でも時期によってニキビの出方が変わることがあります。

  • 思春期ニキビ:小・中学生〜高校生にかけて、額や鼻などTゾーンに多発しやすいのが特徴です。成長ホルモンやアンドロゲンの分泌増加により皮脂が増え、一時的に毛穴が詰まりやすくなります。
  • 大人ニキビ(成人期のニキビ):20〜30代以降でも、あご・口周り・フェイスラインに繰り返しできるタイプのニキビがあります。仕事や家事・育児のストレス、睡眠不足、不規則な食生活に加え、低用量ピルや黄体ホルモンの影響、ホルモンバランスの揺らぎなどが複雑に絡み合います。
  • 月経前に悪化するニキビ:排卵後から月経直前の時期は、黄体ホルモンの影響で皮脂が増えやすく、あごやフェイスラインに硬くて痛いニキビが出現しやすくなります。毎月同じタイミングで悪化する場合は、スキンケアや生活リズムを「悪化しやすい期間」に合わせて調整する工夫も役立ちます。
  • 妊娠・産後・更年期のニキビ:妊娠初期にニキビが増える方もいれば、逆に落ち着く方もいます。授乳や育児による睡眠不足・ストレスも重なり、自己判断で市販薬を使い続けると、かえって肌荒れを起こすこともあるため注意が必要です。更年期では皮脂のバランスが変わり、乾燥とニキビが混在するケースも見られます。

こうしたホルモンの影響は、自分の努力だけではコントロールしにくい部分です。「生活を整えても同じ場所に繰り返しできる」「月経前に必ず悪化してつらい」といった場合は、皮膚科だけでなく婦人科や内科と連携して対処するケースもあります。

2.2. 栄養・食事とニキビの関係

「チョコレートを食べるとニキビができる」「油っぽいものが好きだからニキビ体質」など、食べ物とニキビの関係は昔からよく話題になります。ただし、最新の研究では「特定の食品だけがニキビの直接の原因になる」と断定することは難しく、食事はあくまで「多くの要因の一つ」と考えられています。

近年の海外の研究では、血糖値を急激に上げやすい食事(白米・パン・甘い飲み物などが中心の食生活)や、乳製品の大量摂取がニキビの悪化と関連している可能性が示されていますが、結果は必ずしも一致しておらず、個人差も大きいとされています。一方、野菜・果物・魚・大豆製品などをバランスよく摂る和食に近い食事パターンは、体重管理や生活習慣病予防にもつながるため、肌だけでなく全身の健康の観点からもおすすめできます。

「特定の食べ物を完全に禁止する」よりも、以下のようなバランスを意識すると続けやすくなります。

  • 甘いお菓子や清涼飲料水は「毎日大量」ではなく、「楽しむ日」を決めて少量にする。
  • 揚げ物やファストフードが続いた日は、翌日以降を野菜・魚中心の食事にして帳尻を合わせる。
  • 長時間の空腹とドカ食いを避けるため、間食にはナッツ・ヨーグルト(合う人)・果物などを取り入れる。

「この食べ物を食べると翌日必ず悪化する」と自分で感じるものがある場合は、日記にメモして少し減らしてみるなど、体からのサインを参考にしながら調整していくとよいでしょう。

2.3. 薬や基礎疾患が関わるニキビ

なかには、服用中の薬や基礎疾患がニキビのようなブツブツを引き起こしているケースもあります。ステロイド薬や一部のホルモン剤、てんかん治療薬、リチウム製剤などは、海外・国内の報告で「薬剤性ざ瘡」として知られています。これらの薬は命に関わる病気の治療に必須なことも多く、自己判断で中止すると危険です。

「特定の薬を飲み始めてから急にニキビが増えた」「いつもと出来方が違うブツブツが全身に出てきた」と感じる場合は、薬を処方している医師や薬剤師に必ず相談しましょう。皮膚科と連携し、薬の変更やスキンケアの工夫で対応することもあります。

また、まれに多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など、ホルモンバランスの異常を伴う病気の症状としてニキビが目立つこともあります。「月経不順が強い」「体毛が濃くなってきた」「急に体重が増えた」など、他の症状も伴う場合は、婦人科や内分泌内科などで全身状態の評価を受けることが重要です。

第3部:専門的な診断が必要なニキビ・似た病気

セルフケアや市販薬、生活習慣の見直しだけでは改善が難しいニキビや、見た目はニキビに似ていても別の病気である場合もあります。この章では、専門的な診断・治療が必要となる主なパターンと、受診の目安を解説します。

3.1. 重症ニキビ(結節・嚢腫・広範囲の炎症)

顔全体や背中・胸に赤く腫れたニキビが多数あり、触ると強い痛みを伴う、しこりのような硬いニキビ(結節)や、押すと中に液体や膿が溜まっているのが分かるような嚢腫(のうしゅ)を伴う場合は、「重症ニキビ」に分類されることがあります。これらは放置するとクレーター状の凹みや硬いしこりとしてニキビ跡を残しやすく、早期から皮膚科での治療を検討すべき状態です。

日本皮膚科学会のガイドラインでは、重症ニキビに対しては外用薬だけでなく、内服抗菌薬を一定期間併用する治療などが推奨されています。日本では欧米と異なり、イソトレチノインやホルモン療法など一部の治療は保険診療の適応外ですが、保険診療の範囲内でも複数の選択肢があります。自己判断でつぶしたり、市販薬を塗り続けるだけでは、炎症をこじらせてしまうことも少なくありません。

3.2. ニキビに似ている別の病気(酒さ・毛包炎など)

頬や鼻の周りが常に赤く、細かいブツブツや膿を伴う状態は「酒さ(しゅさ)」という別の慢性皮膚疾患であることがあります。また、髭剃り後のブツブツや頭皮・体幹にできる赤いブツブツの中には、「毛包炎」や真菌による皮膚炎など、ニキビとは異なる原因によるものも含まれます。

ニキビと似ていても、原因や好発部位、治療方法は病気ごとに大きく異なります。「赤みが広範囲に続く」「一見ニキビに見えるがかゆみが強い」「ステロイド外用薬を塗ったらかえって悪化した」などの場合は、早めに皮膚科を受診して診断を受けることが重要です。

第4部:今日から始めるニキビ改善アクションプラン

原因が何であれ、今の生活の中で少しずつ変えられることは必ずあります。この章では、「今夜からできること」「今週から始めたいこと」「数カ月単位で取り組みたいこと」のレベル別に、ニキビ改善のアクションプランを整理します。完璧を目指す必要はありません。できるところから一つずつ試してみましょう。

表2:ニキビ改善アクションプラン(例)
ステップ アクション 具体例
Level 1:今夜からできること 洗顔・スキンケアを「やさしく・シンプル」に見直す ぬるま湯で顔を濡らし、よく泡立てた洗顔料でこすらず洗う/タオルで押さえるように拭く/刺激の少ない保湿剤を薄く塗る
Level 1:今夜からできること つぶさない・触らない工夫をする 鏡を見る時間を減らす/スマホの手鏡アプリを控える/どうしても気になる場合は、マスクや絆創膏などで一時的に視界から隠す
Level 2:今週から始めたいこと 生活リズムを「少しだけ」整える 就寝・起床時間を毎日30分以内の幅に揃える/寝る1時間前からスマホをベッドに持ち込まない/カフェインは夕方以降控える
Level 2:今週から始めたいこと メイク・ヘアスタイルをニキビにやさしいものに ノンコメドジェニックと表示のあるベースメイクを選ぶ/前髪を少し上げて額に空気が通るようにする/帽子やヘルメットの内側をこまめに洗う
Level 3:数カ月単位で取り組みたいこと 体調・食事・ストレスとの関係を記録してみる カレンダーやアプリで「ニキビの状態」「睡眠時間」「月経周期」「仕事の忙しさ」などを簡単にメモし、悪化パターンを探る
Level 3:数カ月単位で取り組みたいこと 皮膚科での治療を併用しながら、セルフケアを継続 外用薬の塗り方・回数を医師や薬剤師に確認し、指示どおりに2〜3カ月継続する/改善してきても自己判断で急にやめず、維持療法の相談をする

ニキビ治療は、「塗った翌日に劇的に変わる」ものではなく、数週間〜数カ月単位で少しずつ変化が現れるケースがほとんどです。途中で良くなったり悪くなったりを繰り返すこともありますが、焦らず、「トータルで見て良くなっているか」を確認していくことが大切です。

第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?

「皮膚科に行くほどではない気がする」「忙しくて受診のタイミングがつかめない」と感じているうちに、ニキビが長期化してしまう方も少なくありません。ここでは、受診を検討すべきサインや、診療科の選び方、診察時に役立つ情報のまとめ方などを解説します。

5.1. 受診を検討すべき危険なサイン

  • 顔全体や背中・胸など、広い範囲に赤いニキビや膿を持ったニキビが多数ある。
  • 触らなくてもズキズキ痛む・熱を持っているような大きなニキビが繰り返しできる。
  • 市販の薬やセルフケアを3カ月以上続けてもほとんど改善がみられない。
  • ニキビ跡の赤み・茶色のシミ・凹みが増え、「このまま跡が残りそうで不安」と感じる。
  • ニキビのせいで人前に出るのがつらく、学校や仕事に行けない・外出を避けてしまうなど、メンタル面の落ち込みが強い。
  • 急に高熱や全身のだるさ、関節の痛みなどを伴う皮疹が出てきた場合(ニキビとは別の病気の可能性を含む)。

特に「痛みや腫れが強い」「急に症状が悪化した」「発熱や全身症状を伴う」場合は、早めの受診が必要です。夜間や休日に急激な悪化がみられ、呼吸が苦しい・意識がおかしいなどの症状がある場合は、迷わず119番で救急要請を検討してください。

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • 基本は皮膚科(一般皮膚科・美容皮膚科を含む):ニキビかどうかの診断、重症度の評価、外用薬・内服薬の選択、ニキビ跡の治療方針などを相談できます。
  • 婦人科・産婦人科:月経不順や不妊症、妊娠・産後、更年期症状など、ホルモンバランスとの関連が疑われる場合に役立ちます。
  • 内科・内分泌内科:糖尿病や甲状腺疾患、副腎疾患など、全身のホルモンや代謝の異常が疑われる場合に考えられます。
  • 心療内科・精神科:ニキビによる外見のコンプレックスやうつ状態、不安障害など、メンタル面のつらさが強い場合には、心理的サポートも重要です。

まずは近くの皮膚科で相談し、必要に応じて他の診療科に紹介してもらう方法も一般的です。日本では健康保険が使える保険診療と、自費診療(美容皮膚科など)の両方があり、費用や治療内容が異なります。初診時に「保険診療でできる範囲を中心に相談したい」「ニキビ跡についても将来的に検討したい」など、希望を伝えると方針が立てやすくなります。

5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安

  • これまで使ってきたスキンケア・市販薬のリスト:現物を持参するか、商品名・使用頻度を書いたメモがあると、重複や刺激の強い組み合わせを避けるのに役立ちます。
  • ニキビの写真:受診日に症状が落ち着いていても、悪化していた時期の写真があると、重症度の評価や治療方針の検討に役立ちます。
  • 生活リズムや月経周期のメモ:睡眠時間、仕事の忙しさ、ストレスのピーク、月経の周期などを簡単にメモしておくと、ホルモンや生活習慣との関係を推測しやすくなります。
  • お薬手帳:ほかの病気で飲んでいる薬との相互作用や、薬剤性ざ瘡の可能性を検討するために重要です。

費用は医療機関や地域によって異なりますが、保険診療の皮膚科初診であれば、3割負担の方で数千円〜程度が一般的です。外用薬や内服薬を処方された場合は、別途薬局での薬代がかかります。自費診療によるレーザー治療やケミカルピーリング、光治療などを検討する場合は、事前に見積もりや回数の目安を確認しておくと安心です。

よくある質問

Q1: 思春期ニキビと大人ニキビは何が違うのですか?

A1: 思春期ニキビは、主に額や鼻など皮脂分泌が多いTゾーンに多くみられ、急激なホルモンの増加により皮脂が一時的に増えやすい時期に起こります。一方、大人ニキビは20〜30代以降でも、あごやフェイスライン、口周りなどに繰り返しできるのが特徴です。

大人ニキビでは、ストレス・睡眠不足・メイクやスキンケア・ホルモンバランスの乱れ・職場環境など、多くの要因が重なります。「思春期が終われば自然に治る」とは限らないため、早めに生活習慣とスキンケアを見直し、必要に応じて皮膚科に相談することが大切です。

Q2: 食べ物でニキビは本当に悪くなりますか?

A2: 最新の研究では、「特定の食べ物だけがニキビの原因」と断定することは難しいとされています。ただし、甘い飲み物やお菓子・精製された炭水化物・脂質の多い食事が続くと、血糖値やホルモンバランス、体重などに影響し、結果的にニキビが悪化しやすくなる可能性があります。

一方で、野菜・果物・魚・大豆製品などをバランスよく摂る和食に近い食事は、全身の健康にもつながります。「これを食べたら必ずニキビが出る」と感じる食品があれば、日記に記録しながら少しずつ量や頻度を調整してみるとよいでしょう。

Q3: 市販のニキビ薬だけで治しても大丈夫ですか?

A3: 軽い白ニキビや黒ニキビ、数が少ない赤ニキビであれば、市販のサリチル酸やイオウ、殺菌成分を含む外用薬で改善するケースもあります。ただし、3カ月以上続けても改善が乏しい場合や、赤み・痛み・膿を伴うニキビが多い場合、背中や胸など広い範囲に広がっている場合は、皮膚科での治療を検討した方が安全です。

市販薬を何種類も重ね塗りしたり、説明書以上の頻度で使用すると、かえって刺激が強くなって肌荒れや乾燥を招くことがあります。自己判断での長期使用には注意が必要です。

Q4: ニキビはつぶした方が早く治るのでしょうか?

A4: 自分でニキビをつぶすことは基本的におすすめできません。指先や器具についた雑菌が入り、炎症が悪化したり、膿が周囲に広がってさらに大きなニキビになってしまうことがあります。また、強い力でつぶすと、皮膚の深いところまで傷つき、凹んだニキビ跡や色素沈着を残しやすくなります。

医療機関では、必要に応じて清潔な環境で専用の器具を使い、適切な方法で膿を出す処置(面皰圧出など)が行われます。「どうしても気になる」という場合は、自己処理ではなく皮膚科で相談しましょう。

Q5: 妊娠中や授乳中にニキビが悪化した場合、どのようにケアすればいいですか?

A5: 妊娠中や授乳中はホルモンバランスが大きく変化し、ニキビが増える方もいれば、逆に落ち着く方もいます。この時期は使える薬が限られるため、自己判断で市販薬や海外製品を使用するのは避けた方が安全です。

まずは、やさしい洗顔と保湿、紫外線対策、髪型やマスクの摩擦を減らすなど、生活習慣とスキンケアの調整が基本になります。ニキビが広範囲にありつらい場合は、産婦人科と連携している皮膚科や、妊婦・授乳婦への薬の使用経験が多い医療機関で相談すると安心です。受診の際には、妊娠週数や授乳の有無を必ず伝えてください。

Q6: ニキビ跡(赤みや凹み)は完全に消せますか?

A6: 赤みや茶色いシミのように見えるニキビ跡は、時間の経過とともに少しずつ薄くなることが多いですが、完全に元通りになるまでには数カ月〜1年以上かかることもあります。凹み(クレーター状)のニキビ跡は、皮膚の深いところまでダメージを受けているため、自然に目立たなくなるのは難しい場合が多いです。

赤みや色素沈着には、紫外線対策と保湿、必要に応じて美白成分を含むスキンケアが役立つことがあります。凹みのあるニキビ跡には、レーザー治療やピーリング、マイクロニードルなどの自費診療が選択肢になる場合がありますが、費用や回数、リスクもあるため、皮膚科や美容皮膚科でよく相談してから決めましょう。

Q7: 皮膚科でのニキビ治療はどのくらい通院が必要ですか?

A7: 個人差はありますが、日本のガイドラインでは、外用薬や内服薬を用いたニキビ治療は、少なくとも数週間〜数カ月単位で継続することが推奨されています。多くの方は、2〜3カ月ほどで「新しいニキビが減ってきた」「炎症が落ち着いてきた」と感じ始め、その後は再発を防ぐための維持療法に切り替えていきます。

最初の数週間は「むしろニキビが増えたように感じる」こともありますが、薬が効き始めているサインの一つである場合もあります。自己判断で中断せず、気になる点があれば受診時に医師に相談しながら調整していくことが大切です。

結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

ニキビは「思春期だけの一時的な悩み」ではなく、年齢や性別に関わらず多くの人が長期的に向き合う皮膚の病気です。清潔さや努力の問題ではなく、皮脂や毛穴の構造、ホルモンバランス、生活習慣やストレスなど、さまざまな要因が重なって起こります。

今日からできることは、ゴシゴシ洗いや自己流の強いケアをやめ、やさしい洗顔と保湿、摩擦や厚塗りメイクを減らすといった「肌に負担をかけない習慣」に切り替えることです。それでも改善が乏しい場合や、痛みを伴う大きなニキビやニキビ跡が増えて不安な場合は、遠慮せず皮膚科を受診してください。

自分一人の努力だけでコントロールできない要素も多いため、「治らないのは自分のせい」と責めすぎる必要はありません。信頼できる情報源と医療者、身近な人のサポートを借りながら、少しずつ自分のペースで肌と向き合っていきましょう。

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。

本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。

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免責事項 本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言や診断、治療に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合や、治療内容の変更・中止等を検討される際には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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  2. 日本医療機能評価機構 Minds. 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023. https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00827/ (最終アクセス日:2025-11-26)

  3. Hayashi N, et al. Japanese Dermatological Association Guidelines: Guidelines for the treatment of acne vulgaris 2017. J Dermatol. 2018. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1346-8138.14355 (最終アクセス日:2025-11-26)

  4. 厚生労働省. 肌の症状・疾患(Skin Conditions). eJIM(イーイム). https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c05/31.html (最終アクセス日:2025-11-26)

  5. Reynolds RV, et al. Guidelines of care for the management of acne vulgaris. Journal of the American Academy of Dermatology. 2024. https://www.jaad.org/article/S0190-9622(23)03389-3/fulltext (最終アクセス日:2025-11-26)

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