【乳首(乳頭)のかゆみ】考えられる12の原因とセルフケア・受診の目安
女性の健康

【乳首(乳頭)のかゆみ】考えられる12の原因とセルフケア・受診の目安

「下着に触れるだけで乳首がムズムズする」「眠る前になると乳頭まわりがかゆくてつい掻いてしまう」「片方だけ湿疹のようになって治らない」――そんなお悩みを、恥ずかしくて誰にも相談できず、一人で抱えていませんか。

乳首(乳頭)や乳輪は皮膚が薄くデリケートな部位です。乾燥や下着とのこすれ、石けん・洗剤による刺激、ホルモンバランスの変化など、身近な理由でかゆくなることは珍しくありません。多くは保湿や生活習慣の見直しで改善します。

一方で、乳頭・乳輪のただれや出血、分泌物が続く場合、まれではありますが乳房パジェット病という乳がんの一種が隠れていることもあります。乳首のかゆみ自体が乳がんの「典型的な前兆」とは言えませんが、治りにくい湿疹や片側だけの変化は注意が必要です。

この記事では、日本の医療機関や公的情報、国際的な専門サイトの情報をもとに、乳首のかゆみでよく見られる12の原因と、それぞれの特徴・セルフケア・病院を受診すべきサインを整理して解説します。

「自分の場合はどれに当てはまりそうか」「どのタイミングで何科を受診すればよいか」がイメージできるよう、日常生活の工夫から、検査・治療の流れまで、できるだけ具体的にお伝えしていきます。

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。日本人の生活者が日常生活で活用しやすい形で、公的な医学情報や信頼できる文献を整理してお届けすることを目指しています。

本記事の内容は、乳首・乳頭のかゆみに関する国内の医療機関サイトや乳がん情報サイト、皮膚科学・乳腺疾患に関する国際的な専門サイト、査読付き論文などの一次情報源に基づき、JHO編集部がAIツールのサポートを受けながら、人の目で確認して作成しています。

  • 日本の公的機関・専門機関:乳がん情報サイト、皮膚がん・乳房パジェット病に関する解説、乳房のかゆみに関する医療機関のページなど、日本人向けの一次情報を優先して参照しています。
  • 国内外のガイドライン・査読付き論文:乳頭湿疹(nipple eczema)や授乳期の乳頭・乳房皮膚炎、乳房パジェット病に関するレビュー論文・ガイドラインを参考に、原因と対応策を整理しています。
  • 信頼性の高い医療情報サイト:世界的に評価されている医療情報サイトの「Itchy nipples(乳首のかゆみ)」解説記事などを補助的に使用し、日本人に合う形で翻案しています。

AIツールは文献の要約や構成案作成のアシスタントとして活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料や公的サイトと照合し、重要な記述・数値・URLを一つひとつ確認しています。

JHOの運営ポリシーや編集プロセスの詳細は、 運営者情報(JapaneseHealth.org) をご覧ください。

要点まとめ

  • 乳首(乳頭)のかゆみの多くは、乾燥、下着や衣類とのこすれ、石けん・洗剤などによる刺激性またはアレルギー性皮膚炎、ホルモン変動、授乳に伴うトラブルなど、身近な原因によるものです。
  • 妊娠・授乳中や更年期など、女性ホルモンの変化する時期には乳頭が敏感になり、かゆみやヒリヒリ感、乾燥が出やすくなります。
  • 片側だけに湿疹・ただれ・かさぶた・出血・分泌物が続く場合や、薬を塗っても良くならない「治りにくい乳頭湿疹」は、乳房パジェット病(乳がんの一種)を含む病気が隠れている可能性があり、早めの受診が重要です。
  • 乳頭湿疹(nipple eczema)は、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎の一部として生じることが多く、全身の乾燥やアレルギー体質とも関連します。適切な保湿と刺激回避、必要に応じた外用薬でコントロールできることが多いと報告されています。
  • 強い痛みを伴う、発熱や赤み・腫れが広がる、しこりを触れる、乳頭から血性分泌があるなどのサインは、乳腺炎や乳がんなどの可能性もあるため、自己判断で様子を見すぎず、乳腺外科や皮膚科、婦人科など専門科を受診しましょう。
  • 記事後半では、「今夜からできること」「1〜2週間様子を見てもよい場合」「すぐ受診したほうがよいサイン」を整理し、日常生活でのセルフケアと医療機関へのかかり方を具体的に紹介します。

第1部:乳首のかゆみと日常生活の見直し

乳首のかゆみは、「乾燥している季節だけ気になる」「新しいブラに変えたら急にかゆくなった」「運動した日だけヒリヒリする」といったように、生活環境と強く結びついていることがよくあります。まずは、身近な要因から振り返ることで、不要な心配を減らしつつ、悪化を防ぐことができます。

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1.1. 乾燥・寒さ・入浴習慣によるかゆみ

冬場の乾燥した空気や、熱いシャワーを長時間浴びる習慣は、皮膚のバリア機能を弱め、乳頭・乳輪のかゆみの大きな原因になります。乳頭の皮膚はもともと皮脂腺が多い一方で、強い洗浄剤を使いすぎると油分が落ち、カサカサして小さなひび割れが生じやすくなります。

乾燥によるかゆみは、乳首だけでなく腕や脚、腰まわりなど他の部位にもかゆみがあることが多いのが特徴です。入浴後に全身がかゆく、タオルで強くこすると余計にヒリヒリする場合は、乾燥性皮膚炎の可能性が高くなります。

対策としては、以下のような点を意識してみてください。

  • シャワーや入浴は長くても15〜20分程度にし、ぬるめ(38〜40℃)のお湯にする
  • ボディソープや石けんは、香料・着色料の少ない敏感肌用を少量使うか、乳頭まわりはぬるま湯洗いにとどめる
  • 入浴後5分以内に、乳頭・乳輪を含めた胸全体に低刺激の保湿剤(ワセリンやセラミド配合クリームなど)を塗る
  • 部屋の湿度が40〜60%になるよう加湿器などで調整する

1.2. 下着・衣類によるこすれとアレルギー

新しいブラジャーやスポーツブラに変えた直後から乳首のかゆみが出てきた場合、素材や縫い目、ワイヤー、レースなどによる摩擦、あるいは染料・ゴム・金属部品へのアレルギー(接触皮膚炎)が疑われます。

特に、激しい運動時に乳首がこすれて痛む「ランナーズ・ニップル(runners’ nipple)」は、ランナーやスポーツをする人に多いトラブルです。乾燥した肌に汗や衣類のこすれが重なることで、小さな傷ができ、ヒリヒリした痛みやかゆみとして感じられます。

下着・衣類によるトラブルを減らすポイントは次の通りです。

  • サイズの合っていないブラ(きつすぎる/カップが小さすぎる)は避ける
  • 縫い目やレース、ワイヤーが直接乳頭に当たらないデザインを選ぶ
  • 綿100%など、通気性・吸湿性のよい素材を選び、ポリエステルなど化学繊維が多いものは汗をかく場面では控える
  • スポーツ時はスポーツブラや乳首保護用のテープ・ニップレスなどを活用し、こすれを減らす
  • 新しい下着は、使用前に一度洗濯してから身につける(染料や糊剤を落とすため)

1.3. 洗剤・柔軟剤・ボディソープによる接触皮膚炎

洗濯洗剤や柔軟剤、香りの強いボディソープ・入浴剤に含まれる香料・防腐剤・界面活性剤などが、乳頭・乳輪の皮膚に炎症を起こし、赤みやかゆみ・ブツブツを引き起こすことがあります。これを「接触皮膚炎(かぶれ)」と呼びます。

乳首周りだけでなく、下着が触れる範囲(肩ひもやアンダーバスト部分など)にも赤みが出ている場合は、洗剤や柔軟剤が原因のことが多く、製品を変えることで改善するケースが多く報告されています。

心当たりがある場合は、次のような方法を試してみましょう。

  • 洗濯洗剤・柔軟剤を、香料・着色料無添加の敏感肌用に切り替える
  • すすぎ回数を1回増やし、成分が衣類に残らないようにする
  • ボディソープ・入浴剤もシンプルな処方のものに変える、あるいは一時的に使用をやめる
  • それでも改善しない場合、皮膚科でパッチテスト(原因物質の特定検査)を相談する

1.4. セルフチェック:生活習慣で説明できそう?

表1:乳首のかゆみセルフチェック(生活習慣・環境編)
こんな症状・状況はありませんか? 考えられる主な背景・原因カテゴリ
冬だけ乳首がカサカサして、入浴後に特にかゆい 乾燥・熱いシャワー・保湿不足
新しいブラに変えた直後から乳首がムズムズする ブラの素材・縫い目・サイズ不適合、染料やゴムへの接触皮膚炎
運動した日だけ乳首がヒリヒリして、Tシャツにこすれると痛い ランナーズ・ニップル(こすれによる刺激・微小な傷)
柔軟剤を変えてから、下着が当たる部分全体が赤くかゆい 洗剤・柔軟剤・ボディソープなどによる接触皮膚炎

これらに当てはまる場合でも、「強い痛み」「ジュクジュクしたただれ」「出血」「しこり」などがある時は、生活習慣だけでは説明できない病気の可能性もあるため、後述の「受診の目安」も必ず確認してください。

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第2部:身体の内部要因 ― ホルモン・皮膚疾患・感染症

生活習慣を見直してもかゆみが続く場合、背景にはホルモンバランスの変化や、アトピー性皮膚炎などの皮膚の病気、カンジダなどの感染症が隠れていることがあります。特に妊娠・授乳中、更年期の女性では、乳頭が敏感になりやすく、複数の要因が重なって症状が長引くことも少なくありません。

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2.1. アトピー性皮膚炎・乳頭湿疹(nipple eczema)

乳頭湿疹(nipple eczema)は、乳首や乳輪に生じる湿疹で、赤み・かゆみ・皮むけ・ジュクジュク・かさぶたなどが見られる状態です。アトピー性皮膚炎の一部として現れることもあれば、乳首周りだけに限局して見られることもあります。

最近の研究では、アトピー性皮膚炎患者の6〜23%に乳頭湿疹がみられ、特に思春期から若年成人女性に多いと報告されています。

乳頭湿疹の特徴として、次のようなポイントが挙げられます。

  • 左右どちらか、または両側の乳頭・乳輪に赤みと強いかゆみがある
  • 掻くと皮膚が破れてしみる、黄色いかさぶたがつくことがある
  • 長期的には皮膚が厚くゴワゴワ(苔癬化)してくる
  • 全身にもアトピーや乾燥肌の症状があることが多い

基本的な対策は、①石けんやボディソープを控え、ぬるま湯と低刺激の保湿剤でケアすること、②必要に応じて医師の指導のもとでステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などを使用することです。授乳中でも、適切な強さ・使い方を守れば安全に使用できる薬があると報告されていますが、自己判断で濃度の強い薬を長期使用するのは避け、必ず皮膚科・産婦人科に相談してください。

2.2. 接触性皮膚炎(アレルギー性・刺激性)

第1部で触れたように、洗剤・柔軟剤・ボディソープ・入浴剤・ボディクリーム・日焼け止めなど、肌に触れるさまざまな製品が乳頭のかゆみの原因になることがあります。短時間で赤くなりヒリヒリする「刺激性接触皮膚炎」と、繰り返し触れることで徐々にかゆみやブツブツが出てくる「アレルギー性接触皮膚炎」に大別されます。

原因物質がはっきりしない場合は、皮膚科でパッチテスト(原因アレルゲンを特定する検査)を行うこともあります。原因が分かれば、避けることが最も効果的な治療です。症状が強い場合には、一時的に外用ステロイドなどが使われることもあります。

2.3. 妊娠・授乳期の乳首のかゆみ

妊娠中は女性ホルモンの分泌が増え、乳腺が発達して胸全体が張りやすくなります。その際、乳頭や乳輪の色が濃くなり、皮膚が伸びることでかゆみやヒリヒリ感を伴うことがあります。これは多くの妊婦さんにみられる生理的な変化です。

一方、授乳中は、赤ちゃんの吸啜による摩擦や、母乳のつきっぱなし、乳頭の亀裂などによって炎症が起こりやすくなります。乳頭や乳輪に赤み・痛み・かゆみがあり、白い膜のようなものが付着したり、ピリピリした灼けるような痛みがある場合、カンジダ性乳頭炎が疑われます。

妊娠・授乳期のケアのポイントは以下の通りです。

  • 授乳後は、軽くぬるま湯で乳頭を洗い流し、やさしく水分を拭き取る
  • 乳頭保護クリームやランシノール(羊毛脂由来の保湿剤)など、授乳中でも使用できる保湿剤を活用する(必ず製品表示を確認)
  • 乳房パッドを頻繁に交換し、常に湿った状態を避ける
  • 痛みやかゆみが強い場合、授乳の姿勢や赤ちゃんのくわえ方(ラッチ)を助産師や医療者に確認してもらう
  • 白い膜や強いピリピリ感が続く場合は、産婦人科や乳腺外来でカンジダ感染などの診断を受ける

2.4. 更年期以降のホルモン変化と乾燥

更年期以降は女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下し、全身の皮膚が薄く乾燥しやすくなります。乳頭・乳輪も例外ではなく、これまで何ともなかった下着や洗浄剤でも刺激を感じやすくなります。

更年期の乳首のかゆみは、保湿と刺激回避が基本ですが、「長く続く一側性(片側だけ)の湿疹・かさぶた・出血」がある場合には、年齢的にも乳房パジェット病などを疑う必要があり、早めの受診が推奨されます。

2.5. 感染症(細菌・カンジダなど)

乳首や乳輪に小さな傷があると、そこから細菌やカビ(真菌)が侵入し、かゆみ・痛み・赤み・腫れを引き起こすことがあります。授乳期の乳腺炎では、乳房の一部が熱を持って痛み、発熱を伴うことも少なくありません。

カンジダ性乳頭炎では、乳頭に光沢のある赤み、小さな白い斑点、ピリピリするような痛みやかゆみが生じることが多く、母子ともに治療が必要になることがあります。抗真菌薬の外用・内服が行われることがありますが、授乳との兼ね合いもあるため、必ず医療機関で相談しましょう。

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第3部:放置してはいけない乳首のかゆみ ― 乳房パジェット病など

乳首のかゆみの多くは良性のトラブルですが、まれに乳がんの一種である乳房パジェット病や、炎症性乳がんなどが隠れていることがあります。「単なる湿疹」と自己判断して市販薬で様子を見続けると、診断が遅れるおそれもあります。ここでは、専門的な診断が必要な疾患の特徴を整理します。

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3.1. 乳房パジェット病(Paget病)

乳房パジェット病は、乳頭や乳輪の皮膚に現れる乳がんの一種で、全乳がんの約0.5%程度と比較的まれな疾患ですが、見た目が湿疹とよく似ているため、長期間見逃されることがあります。

代表的な症状は次の通りです。

  • 主に片側の乳頭・乳輪に、赤み・ただれ・かさぶた・うろこ状の皮むけが続く
  • かゆみや灼けるような痛みがあり、薬を塗っても良くならない、あるいは一時的に良くなってもすぐ再発する
  • 乳頭から血が混じった分泌液や黄色っぽい液体が出ることがある
  • しこりが触れない場合もある(しこりがないから安心とは限らない)

乳房パジェット病の確定診断には、「生検」と呼ばれる皮膚や乳腺組織の一部を採取して顕微鏡で調べる検査が必要です。マンモグラフィや乳房超音波検査も併用されます。

乳首の湿疹が「3か月以上続く」「外用薬で改善しない」「片側だけ」「かさぶたや出血を伴う」といった場合は、皮膚科だけでなく乳腺外科(乳腺科)を受診して、乳がんの可能性も含めて評価してもらうことが重要です。

3.2. 炎症性乳がんなど、その他の乳がん

乳首ではなく、乳房全体の皮膚が赤く腫れ、オレンジの皮のように毛穴が目立って見える場合は、炎症性乳がんと呼ばれる進行の早い乳がんの可能性があります。しこりがはっきり触れないこともあり、「皮膚炎かな?」と見逃されやすいため注意が必要です。

また、乳頭から血の混ざった分泌物が出る場合や、片側だけ分泌物が続く場合には、乳管内乳頭腫(良性腫瘍)や乳がんなどが原因になっていることもあります。こうした場合は、乳腺外科での画像検査・必要に応じた組織検査が推奨されます。

3.3. 皮膚がん・その他の皮膚疾患

乳頭・乳輪に生じる湿疹の中には、基底細胞がんやボーエン病など、皮膚がんの一部として出現するものもあります。また、乾癬(psoriasis)や脂漏性皮膚炎など、全身の皮膚疾患の一部として乳頭周囲に症状が出ることもあります。

「他の部位にも同じような発疹がある」「長年繰り返す」「境界がはっきりした赤い斑がある」といった場合は、乳腺外科だけでなく皮膚科で全身の皮膚の状態を評価してもらうことが大切です。

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第4部:今日から始める乳首のかゆみ改善アクションプラン

原因が何であれ、「今この瞬間からできること」「1〜2週間程度は自宅で様子を見てもよい場合」「すぐに受診すべきサイン」を整理しておくと、必要以上に不安にならず、逆に受診のタイミングを逃すことも減らせます。ここでは、レベル別のアクションプランを紹介します。

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表2:乳首のかゆみ 改善アクションプラン
ステップ アクション 具体例
Level 1:今夜からできること(セルフケア) 乾燥と刺激を減らす ・シャワーをぬるま湯・短時間にする
・乳首に石けんを直接つけず、ぬるま湯で優しく流す
・入浴後5分以内に保湿剤を塗る
・寝るときだけでも締めつけの少ないソフトブラや綿素材インナーに変える
Level 2:1〜2週間続けてみること 原因になりそうなものをひとつずつ減らしてみる ・洗濯洗剤・柔軟剤を敏感肌用・無香料に切り替える
・新しいブラをいったん使用中止し、以前問題のなかったものに戻す
・スポーツ時は乳首保護用テープやニップレスを使用する
・授乳中の場合は、授乳後のケアとパッド交換を丁寧に行う
Level 3:セルフケアでも改善しないとき 医療機関で原因を確認する ・2週間以上かゆみが続く
・保湿や下着・洗剤の見直しでも改善しない
・かさぶたやジュクジュクが長引く
→ 皮膚科・乳腺外科・婦人科で相談する
Level 4:すぐ受診・救急も検討すべきサイン 重い病気のサインの可能性がある ・片側の乳頭にただれ・かさぶた・出血が続く
・乳房にしこりや硬い部分がある
・乳房全体が赤く腫れ、熱を持っている(発熱を伴う)
・乳頭から血の混じった分泌物が出る
→ 早急に乳腺外科を受診、夜間・休日は救急相談窓口に相談

セルフケアで改善してきた場合でも、同じ原因が繰り返されれば再発しやすくなります。自分の「かゆみやすいパターン」を把握し、季節やライフステージに応じてケアの強さを調整していくことが大切です。

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第5部:専門家への相談 ― いつ・どこで・どのように?

「どの程度なら様子を見てよいのか」「病院に行くなら何科に行けばいいのか」「どんな検査をされるのか」――こうした不安があると、受診をためらってしまいがちです。ここでは、受診の目安と、診察時に役立つ準備についてまとめます。

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5.1. 受診を検討すべき危険なサイン

  • 片側の乳頭・乳輪だけに、3週間以上続く湿疹・ただれ・かさぶたがある
  • 乳頭から血液が混じった分泌物や、黄色っぽい液体がにじむ
  • 乳房にしこり・硬い部分・ひきつれ(皮膚のくぼみ)がある
  • 乳房全体が赤く腫れ、熱を持ち、発熱や全身のだるさを伴う
  • 授乳中で、乳房の一部が強く痛み、赤みと発熱がある(乳腺炎の可能性)
  • 市販薬や保湿を1〜2週間続けても、かゆみや皮膚の状態がほとんど変わらない

これらに当てはまる場合は、自己判断で様子を見過ぎず、乳腺外科や皮膚科、産婦人科などを早めに受診しましょう。日本乳がん学会関連の情報サイトでも、「乳頭のただれが改善しない場合は、乳房パジェット病の可能性があるため専門医に相談を」と呼びかけています。

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • かゆみや湿疹が主で、全身の乾燥やアトピーもある場合:まずは皮膚科へ。乳頭湿疹かどうか、接触皮膚炎かどうかを含めて評価してもらえます。必要に応じて乳腺外科への紹介が行われます。
  • しこり・分泌物・片側の長引く湿疹など、乳がんが気になる場合:乳腺外科(乳腺科)へ。マンモグラフィ、乳房超音波検査、必要に応じて生検などが行われます。
  • 妊娠・授乳中のかゆみ・痛み:産婦人科、母乳外来、乳腺外科。授乳との両立を踏まえた治療方針を一緒に考えてくれます。
  • 更年期以降で、全身の乾燥・ホットフラッシュなどもある場合:婦人科や更年期外来でホルモンバランス全体の評価を受け、皮膚科と連携しながらケアすることもあります。

5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安

  • 症状メモ・セルフチェック表:いつから・どのようなタイミングで・どちら側に・どの程度のかゆみがあるか、写真があればスマートフォンに保存しておくと診断の助けになります。
  • お薬手帳:現在使用している塗り薬・飲み薬・サプリメントなどが分かるようにしておきましょう。市販薬も含めて、自己判断で使っている薬はすべて伝えることが大切です。
  • 使っている下着やスキンケア製品の情報:現物か写真、成分表示ラベルの写真があると、原因の推定に役立ちます。
  • 費用の目安:保険適用の初診料・再診料に加えて、乳房超音波やマンモグラフィなどの検査が行われると、それぞれ数千円〜程度かかることがあります(3割負担の場合)。具体的な金額は医療機関や検査内容によって異なるため、事前に問い合わせると安心です。

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よくある質問

Q1: 乳首がかゆいだけでも、乳がんの可能性はありますか?

乳首のかゆみだけで、すぐに乳がんを疑う必要はありません。多くの場合は乾燥や下着・洗剤による刺激、乳頭湿疹など良性の原因によるものです。

ただし、「片側だけに湿疹・ただれ・かさぶたが続く」「血が混じった分泌物が出る」「薬を塗っても良くならない」といった場合は、乳房パジェット病など乳がんの可能性も否定できません。そのような症状がある場合には、自己判断せず、乳腺外科や皮膚科を早めに受診しましょう。

Q2: かゆいときに乳首を掻いてしまいますが、大丈夫でしょうか?

強く掻くと、皮膚に小さな傷ができてさらにかゆみが悪化したり、細菌やカンジダなどの感染症のきっかけになることがあります。どうしても我慢できないときは、爪で引っかくのではなく、指の腹で軽く押さえたり、冷やしたタオルを当てるなど、皮膚を傷つけない方法を試してみてください。

掻かずにいられないほど強いかゆみが続く場合や、掻き壊してジュクジュクしてきた場合は、早めに皮膚科で相談しましょう。

Q3: 市販のステロイド軟膏を乳首に塗っても問題ありませんか?

一般的な市販の弱めのステロイド軟膏は、短期間・限られた範囲であれば、多くの人にとって安全に使えるよう設計されています。ただし、乳頭・乳輪は皮膚が薄く吸収がよいため、長期間の自己判断での使用はおすすめできません。

妊娠中・授乳中の場合は、使用する薬の種類や塗るタイミング(授乳前後)などに注意が必要です。自己判断で続けるのではなく、皮膚科や産婦人科で相談し、適切な薬と使い方を指示してもらいましょう。

Q4: 妊娠中や授乳中の乳首のかゆみは、どこまで様子を見ても大丈夫?

妊娠中の軽いかゆみやピリピリ感は、乳腺の発達や皮膚が伸びることによる生理的な変化であることが多く、保湿や下着の見直しで様子を見ることができます。

一方、授乳中に「白い膜のようなものが付く」「ピリピリと刺すような痛みが続く」「赤みが強く、赤ちゃんが触れただけで痛い」といった場合は、カンジダ感染や乳腺炎の可能性もあるため、早めに産婦人科や乳腺外来で相談してください。発熱や乳房の強い痛みを伴う場合は、速やかな受診が必要です。

Q5: 更年期になってから乳首がかゆくなりました。ホルモンのせいでしょうか?

更年期にはエストロゲンの分泌が低下し、全身の皮膚が乾燥しやすくなります。その一環として、乳頭・乳輪も敏感になり、かゆみやヒリヒリ感が出ることがあります。保湿や刺激の少ない下着・洗浄剤への変更で改善することが多いとされています。

ただし、更年期の年齢は乳がんの好発年齢とも重なります。片側だけの長引く湿疹やかさぶた、分泌物、しこりなどがある場合は、ホルモンのせいと決めつけず、乳腺外科でチェックを受けることが大切です。

Q6: 乳首のかゆみがあるとき、婦人科と乳腺外科のどちらを受診すべきですか?

「かゆみが中心で、他にもアトピーや湿疹がある」という場合は皮膚科、「乳首のかゆみに加えてしこり・分泌物・片側だけの長引く湿疹がある」場合は乳腺外科が第一選択になります。妊娠・授乳中であれば産婦人科や母乳外来でも相談できます。

迷った場合は、まず身近な皮膚科や婦人科を受診し、必要に応じて乳腺外科へ紹介してもらうという流れでも構いません。

Q7: 男性の乳首がかゆい場合も、乳がんの可能性はありますか?

男性にも乳房組織があり、頻度は低いものの男性乳がんも存在します。多くの場合、男性の乳首のかゆみも乾燥や下着・洗剤による刺激、乳頭湿疹などが原因ですが、「片側の乳頭の形が変わる」「しこりがある」「血の混じった分泌物が出る」などの症状がある場合は、必ず乳腺外科で検査を受けてください。

結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

乳首(乳頭)のかゆみは、とてもデリケートな悩みでありながら、人に相談しづらく、一人で不安を抱え込んでしまいやすい症状です。この記事で見てきたように、原因の多くは乾燥やこすれ、洗剤・下着による刺激、ホルモン変化、乳頭湿疹やカンジダ感染など、適切なケアや治療で改善が期待できるものです。

一方で、「片側だけに続く湿疹やかさぶた」「出血や分泌物」「しこり」「乳房全体の赤みと腫れ」などは、乳房パジェット病や炎症性乳がん、乳腺炎など、放置すべきでない病気のサインである可能性があります。その場合は、自己判断で市販薬を塗り続けるのではなく、早めに乳腺外科や皮膚科、産婦人科など専門家に相談することが大切です。

「こんなことで受診していいのかな」と迷う気持ちは自然なものですが、医療者は日々さまざまな相談を受けています。心配な症状があるときは、遠慮せずに相談して構いません。この記事が、ご自身の状態を振り返り、適切なセルフケアと受診のタイミングを考える一助になれば幸いです。

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。本記事では、乳首のかゆみに関する国内外の医学情報を整理し、日本に暮らす方々が日常生活の中で活用しやすい形にまとめました。

原稿作成にあたっては、最新のAI技術を活用して文献の下調べや構成案の作成を行ったうえで、JHO(JapaneseHealth.org)編集委員会が、一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。

ただし、本サイトの情報はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。気になる症状がある場合や、現在の治療内容の変更・中止等を検討される際には、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。

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免責事項 本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言や診断、治療に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合や、治療内容の変更・中止等を検討される際には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

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