【便秘解消に役立つ食べ物と飲み物】原因と今日からできる対策を解説
消化器疾患

【便秘解消に役立つ食べ物と飲み物】原因と今日からできる対策を解説

「トイレに座ってもなかなか出ない」「お腹が張って苦しい」「毎日出ないのが当たり前になっている」——そんな便秘の悩みを、誰にも相談できず一人で抱えていませんか。日本では人口の約1割程度が慢性的な便秘症に悩んでいると報告されており、特に女性や高齢の方に多いとされています。便秘は命に直結することは少ないものの、腹部の不快感や肌荒れ、仕事や家事・育児のパフォーマンス低下など、生活の質(QOL)に大きく影響します。

便秘というと「すぐ下剤に頼る」というイメージを持つ方もいますが、多くのケースでは、まず食事や水分、生活習慣を見直すことがとても大切です。特に、食物繊維や水分、発酵食品、良質な油などを意識してとることで、腸が動きやすい環境を整えることができます。一方で、闇雲に食物繊維だけを増やしてしまうと、お腹の張りや痛みが悪化してしまう場合もあります。

この記事では、厚生労働省や日本の専門学会、海外のガイドラインなどの信頼できる情報をもとに、便秘の仕組みから原因、便秘解消に役立つ代表的な食べ物・飲み物、今日からできる具体的な食事の工夫、そして医療機関を受診するタイミングまでを、できるだけわかりやすく整理してお伝えします。

「自分は何をどれくらい食べればいいのか」「どこまで自分で様子を見てよくて、どのラインで病院に行けばいいのか」がイメージできるようになることを目標に、一緒に整理していきましょう。

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。便秘や消化器の不調を含む幅広いテーマについて、公的機関や学会のガイドライン・査読付き論文などをもとに、日常生活で活用しやすい形で情報を整理することを目指しています。

本記事の内容は、次のような一次情報源に基づき、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています。

  • 厚生労働省・自治体・公的研究機関:e-ヘルスネット、日本人の食事摂取基準(2025年版)、国立研究機関や自治体の健康情報など、日本人向けの公式情報を優先して参照しています。
  • 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:日本消化器関連学会の資料や世界消化器病学機構(WGO)、世界保健機関(WHO)、米国国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(NIDDK)などが公表するガイドライン・レビューをもとに、便秘と食事の関係について整理しています。
  • 教育機関・医療機関・NPOによる一次資料:高齢者栄養、食物繊維、便秘症に関する病院サイトや公的な教育資料などを補助的に利用します。

AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。

私たちの運営ポリシーや編集プロセスの詳細は、運営者情報(JapaneseHealth.org)をご覧ください。

要点まとめ

  • 便秘の多くは、水分・食物繊維の不足や「トイレを我慢する」「運動不足」といった生活習慣が関わっており、食事と生活を見直すことで改善が期待できます。
  • 日本人は食物繊維の摂取量が不足しているとされており、食事摂取基準では成人で1日18〜22g以上、理想的には25g以上の摂取が推奨されています。実際の平均摂取量はそれより少ないと報告されています。
  • 便秘解消には、不溶性食物繊維(野菜・豆・穀類など)と水溶性食物繊維(果物・海藻・オート麦など)をバランスよくとり、同時に十分な水分を補うことが大切です。
  • 水、ヨーグルトなどの発酵食品、葉物野菜や根菜、果物、海藻・きのこ・豆類、チアシードや亜麻仁などの種子類、オリーブオイルなどの植物油は、適量であれば腸の動きを助ける「自然の緩下(かんげ)食」として役立ちます。
  • 一気に食物繊維を増やしすぎると、お腹の張りや痛みが出ることがあります。少しずつ増やしながら、自分の体調を見て調整することが重要です。
  • 血便を伴う便秘、急に便秘になり体重が減ってきた、強い腹痛や嘔吐を伴う場合などは、食事だけで様子を見るのではなく、早めに医療機関を受診する必要があります。
  • この記事の最後では、今日から始められる具体的な食事・生活のチェックリストと、受診の目安、診療科の選び方も整理しています。

第1部:便秘の基本と日常生活の見直し

まずは、便秘がどのように起こるのかという基本的な仕組みと、多くの人に当てはまりやすい生活習慣のポイントを整理します。いきなり病気を疑うのではなく、「自分の生活のどこに原因が隠れているか」を客観的に振り返ることから始めましょう。

1.1. 便が作られる仕組みと、便秘になるメカニズム

食べ物は口から胃・小腸を通る間に、糖質や脂質、たんぱく質などの栄養が吸収され、残ったカスが大腸へ送られます。大腸では水分がゆっくり吸収され、適度にやわらかく成形されたものが「便」となり、直腸に溜まって排便されます。このとき、食物繊維は水分を含んで便のカサを増やし、腸の動きを刺激する役割を果たします1

一方で、大腸で水分が必要以上に吸収されたり、そもそも食物繊維や水分が足りなかったりすると、便は硬く・少なくなり、腸の動きも鈍くなります。トイレに行く回数が減ったり、強くいきまないと出ない状態が続くと、「便秘症」と呼ばれる状態に該当することがあります。最近の日本の報告でも、便秘症は人口の約10%前後にみられる一般的な疾患であり、女性や高齢者に多いとされています4

便秘には、「便が硬くて出にくいタイプ」「便は硬くないが、出しづらいタイプ」「大腸の動き自体が遅いタイプ」など、いくつかのパターンがありますが、多くの場合で、食事量や食物繊維、水分、運動量などの生活習慣が深く関わっています4

1.2. 便秘を悪化させてしまうNG習慣

次のような習慣は、知らず知らずのうちに便秘を悪化させてしまうことがあります。一つでも当てはまる場合は、まずここから見直してみましょう。

  • 水分不足:一日を通してほとんど水やお茶を飲まず、コーヒーやアルコールが中心になっている。
  • 食物繊維の少ない食事:白いパン・白米・麺類・肉類が中心で、野菜や果物、豆類、海藻類をあまり摂らない。
  • 朝食を抜く:朝食は、大腸の動きを活発にする「朝の合図」になりますが、朝食抜きが続くと腸のリズムが乱れやすくなります。
  • トイレに行きたいのに我慢する:仕事中や通勤中、「今は行きにくいから」と排便欲求を繰り返し我慢していると、直腸がその刺激に慣れてしまい、便意を感じにくくなります。
  • 運動不足:デスクワーク中心で一日中座りっぱなし。腹筋や骨盤底筋の力が弱いと、いきむ力も弱くなり、便が出にくくなります。
  • 自己判断で下剤を乱用する:刺激性の下剤を長期間・多量に使用すると、腸が薬に慣れてしまい、自力で動きにくくなるリスクがあります。
  • ストレス過多:緊張やストレスで自律神経が乱れると、腸の動きも乱れ、便秘や下痢を繰り返すことがあります。
表1:セルフチェックリスト — こんな便秘はありませんか?
こんな症状・状況はありませんか? 考えられる主な背景・原因カテゴリ
3日以上排便がなく、お腹が張って苦しい。便は硬くコロコロしている。 水分不足、食物繊維不足、排便を我慢する習慣
毎日少しずつは出るが、残便感が強く、スッキリしない。 直腸まで便が降りてきても押し出す力が弱い、排便姿勢が悪い
ダイエットで食事量を大きく減らしてから、便が極端に少なくなった。 食事量そのものの不足、脂質・食物繊維の不足
出張や旅行のたびに、数日トイレに行けなくなる。 生活リズムや食事内容の急な変化、トイレ環境の違いによる我慢
トイレに長く座っていきんでいるが、ほとんど出ない。 直腸まで便が降りてきていない、便が硬すぎる、骨盤底筋のトラブルなど

第2部:身体の内部要因 — 栄養・ホルモン・隠れた不調

生活習慣を見直しても便秘が続く場合、その背景には栄養バランスやホルモンの変化、持病、服用している薬など、身体の内側の要因が関わっていることがあります。ここでは、特に食事と関係の深いポイントを中心に整理します。

2.1. 食物繊維と水分の不足 — 「どれくらい足りていないのか」を知る

食物繊維は、腸内環境を整え、便の量を増やしてスムーズな排便を助ける重要な成分です。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、食物繊維は便通を整え便秘を防ぐうえで欠かせない成分であり、生活習慣病予防にも役立つと説明されています1

日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人の食物繊維の目標量として、男性は年齢に応じて1日20〜22g以上、女性は18〜21g以上と設定されています。また、生活習慣病予防の観点からは、1日25g以上摂ることが理想的とも述べられています23。しかし、国の調査では、実際の平均摂取量は18g前後と報告されており、多くの人が目標量に達していません3

水分についても、食物繊維だけ増やして水分が足りないと、逆に便が硬くなってしまうことがあります。特に高齢の方では、のどの渇きを感じにくくなり、水分摂取量が減少しがちです。食事からの水分に加え、こまめに水やカフェインの少ないお茶などをとることが大切です5

2.2. 腸内細菌バランスと発酵食品(ヨーグルト・納豆など)

腸には数兆個ともいわれる腸内細菌がすみついており、そのバランスは便通や免疫、代謝に大きく関わっています。いわゆる「善玉菌」が優位な状態では、腸の動きが整いやすく、便通も安定しやすいと考えられています。

ヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆・味噌などの発酵食品には、乳酸菌やビフィズス菌など腸内環境に良い影響を与える菌や、そのエサとなる成分が含まれています。これらを毎日少しずつ続けて摂ることで、「善玉菌が住みやすい腸内環境」を支えることが期待されます。ただし、どの菌種がどの程度効くかは個人差があり、「この商品なら必ず効く」とは言い切れません。自分のお腹の調子と相談しながら、2〜3週間程度は同じものを試し、合うかどうかを見ていくとよいでしょう。

2.3. 女性ホルモン・ライフステージと便秘

特に女性の場合、月経周期や妊娠・出産、更年期などホルモンバランスの変化に伴い、便秘が悪化しやすくなります。黄体ホルモンが優位になる周期では腸の動きがやや鈍くなり、妊娠中は子宮が大腸を圧迫することもあります。また、出産直後は会陰部の痛みや不安からいきみにくくなり、一時的に便秘が続くことも少なくありません。

こうした場合も、食物繊維と水分を意識した食事、無理のない範囲での運動、規則正しい生活リズムが土台になりますが、妊娠中・授乳中は使える薬が限られるため、無理に市販の下剤を自己判断で使わず、産婦人科で相談することが大切です。

2.4. 薬や持病が関わる便秘

次のような薬や持病は、便秘の一因になることがあります。

  • 鎮痛薬(特にオピオイド系)、一部の抗うつ薬・睡眠薬
  • 鉄剤、カルシウム剤、アルミニウムを含む制酸薬
  • 糖尿病、甲状腺機能低下症、パーキンソン病、脊髄疾患など

こうした薬や病気が関わる便秘では、食事だけで解決するのが難しい場合も多く、薬の調整や専門的な治療が必要になることがあります。持病があって新たに便秘が気になり始めた場合や、薬を飲み始めてから急に便が出にくくなった場合は、自己判断で市販薬を増やす前に、処方を出している医師やかかりつけ医に相談しましょう。

第3部:専門的な診断が必要な便秘と病気

生活習慣や食事を見直しても長期間改善しない便秘や、急に始まった便秘の裏には、病気が隠れている場合があります。ここでは、代表的な疾患と、「食べ物・飲み物だけで様子を見てはいけない」サインについて整理します。

3.1. 機能性便秘・過敏性腸症候群(IBS)

器質的な異常(がんや狭窄など)が見つからないにもかかわらず、慢性的な便秘が続く場合、「機能性便秘」や「過敏性腸症候群(便秘型IBS)」と診断されることがあります4。これらは腸の動きや知覚の異常、自律神経のバランス、ストレスなどが複雑に関わると考えられており、食事・生活指導に加えて、薬物療法や心理的サポートが必要になることもあります。

食事面では、食物繊維や水分、発酵食品のバランスを取りつつ、腹部症状が強い場合には、医師や栄養士の指導のもとで、特定の糖質や脂質を控える食事法(例:FODMAPを意識した食事)を取り入れることもあります。ただし、自己流で極端な制限を行うと、かえって栄養バランスを崩し、症状が悪化することもあるため注意が必要です。

3.2. 大腸がん・腸閉塞など、危険な便秘のサイン

次のような場合は、食事で様子を見る段階を過ぎている可能性があり、消化器内科や大腸肛門外科など専門の診療科への受診が強く勧められます。

  • 今まで便秘ではなかったのに、最近になって急に便秘になった(特に中高年以上)。
  • 細い便しか出なくなった、または血が混じった便が続く。
  • 強い腹痛、嘔吐、お腹の張りがひどくてガスや便がまったく出ない。
  • 原因不明の体重減少や食欲不振を伴う。
  • 家族に大腸がんなどの既往が多く、自分も便秘が続いている。

これらは大腸がんや腸閉塞などのサインである可能性があり、早期発見・早期治療が重要です。激しい腹痛や嘔吐を伴い、まったくガスも便も出ない場合は、救急外来や119番通報を検討する状況です。無理に食物繊維や水分をとって「出そう」とするのではなく、医療機関で原因を確かめてもらうことが大切です。

第4部:今日から始める便秘改善アクションプラン

ここからは、便秘解消に役立つ具体的な「食べ物・飲み物」と、その取り入れ方を、段階ごとに整理します。一気に完璧を目指すのではなく、「今日から」「今週から」「少し長い目で見て」という3つのレベルで考えてみましょう。

表2:便秘改善アクションプラン
ステップ アクション 具体例
Level 1:今日からできること 水分をこまめにとり、朝食と一緒に常温~やや温かい飲み物を飲む。 朝起きてコップ1杯の水、朝食時に白湯やカフェインの少ないお茶を飲む。1日を通して合計1.2〜1.5Lを目安に(持病がある方は医師の指示を優先)。
Level 2:今週から始めること 食物繊維の多い食材を1日1〜2品増やす。 白米を雑穀ご飯に変える、昼食にサラダ+豆料理を追加する、夕食にひじきや切り干し大根を足すなど。
Level 3:1〜2か月かけて整えること 腸内環境に良い発酵食品や種子類、良質な油を習慣にする。 毎朝ヨーグルト+果物+チアシード、週数回の納豆や味噌汁、サラダや和え物にオリーブオイルや亜麻仁油を少量かけるなど。
Level 4:長期的に続けたいこと 適度な運動と規則正しい排便習慣をつくる。 毎日20〜30分のウォーキング、毎朝同じ時間にトイレに座る習慣づけなど。

4.1. 便秘解消に役立つ7つの代表的な食べ物・飲み物

ここでは、便秘解消に役立つ代表的な「7つのグループ」の食べ物・飲み物と、その取り入れ方のポイントを紹介します。

① 水・ノンカフェインのお茶などの水分

食物繊維が十分にあっても、水分が不足していると便は硬くなりやすくなります。米国NIDDK(国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所)も、便秘の予防・改善には「十分な食物繊維とともに、たっぷりの水分をとること」が重要だとしています89。日本でも、便秘症の生活指導では水分摂取が重要なポイントとされており、高齢者では特に意識して増やすことが勧められています5

持病(心不全・腎臓病など)で水分制限がない場合、目安として1日1.2〜1.5L程度を、こまめに分けて飲むとよいでしょう。冷たい水が合わない方は、常温の水や白湯、麦茶、ほうじ茶などカフェインの少ない飲み物がおすすめです。

② ヨーグルト・発酵乳製品

ヨーグルトや乳酸菌飲料は、腸内環境を整える手助けをしてくれる代表的な発酵食品です。ビフィズス菌や乳酸菌が含まれるものを選び、毎日一定量を続けて摂ることで、便通が整う人も少なくありません。海外の研究でも、食物繊維と発酵食品を組み合わせることで、便通改善効果が得られた報告があります10

ただし、ヨーグルトなら何でもよいわけではなく、砂糖の多いデザートタイプを大量に食べると、カロリー過多や血糖の問題につながることもあります。無糖または砂糖控えめのものを選び、果物やオートミール、チアシードなどと組み合わせると、食物繊維も一緒にとることができます。

③ 葉物野菜・根菜などの野菜類

ほうれん草、小松菜、キャベツ、にんじん、ごぼう、れんこん、ブロッコリーなどの野菜は、便のカサを増やして腸を刺激する不溶性食物繊維の代表的な供給源です。健康長寿ネットの解説では、日本人の食物繊維摂取量の内訳として、穀類に続き、野菜類・いも類・豆類・果物類が大きな割合を占めるとされています3

生野菜だけで必要量を満たすのは難しいため、煮物や蒸し野菜、スープなどでかさを減らしながら量を確保するのがおすすめです。例えば、みそ汁に根菜や海藻をたっぷり入れる、常備菜として切り干し大根やひじきの煮物を作っておく、などが取り入れやすい方法です7

④ 果物(特に水溶性食物繊維を多く含むもの)

りんごやみかん、キウイ、バナナ、プルーンなどの果物には、水溶性食物繊維やソルビトール(糖アルコールの一種)、有機酸が含まれ、便をやわらかくし、腸内細菌のエサにもなります。特にドライプルーンは、海外の研究で便秘改善効果が示された食品として知られています10

ただし、果物にも糖分が含まれるため、「便秘にいいから」といって大量に食べるのは避け、1日1〜2個程度(または片手2杯程度)を目安にしましょう。ヨーグルトやオートミールと組み合わせると、朝食としても取り入れやすくなります。

⑤ 海藻・きのこ・豆類

わかめ・ひじき・こんぶ・もずくなどの海藻類、しいたけ・えのき・しめじ・エリンギなどのきのこ類、納豆・豆腐・大豆・あずきなどの豆類は、食物繊維が豊富でカロリーが比較的低く、日本人の食事に取り入れやすい食材です37

例えば、「ご飯+味噌汁+納豆+海藻サラダ+きのこのソテー」という和食の組み合わせは、主食・主菜・副菜のバランスが良く、便秘予防にも役立つ一例です。豆類はたんぱく質源にもなる一方、人によってはガスが出やすくなることもあるので、少量から試してみましょう。

⑥ チアシード・亜麻仁などの種子類

チアシードや亜麻仁(フラックスシード)は、水分を含むとゼリー状に膨らむ性質があり、腸内で便のカサを増やしてやわらかくするのに役立つと考えられています。海外の資料でも、「水分と一緒にとることで便の通過を助ける食品」として紹介されています10

小さじ1〜2杯程度を、水やヨーグルト、スムージー、サラダにふりかけるなどして取り入れるとよいでしょう。ただし、一度に大量に摂るとお腹の張りや痛みにつながることがあるため、必ず少量から始め、十分な水分と一緒に摂ることが重要です。

⑦ オリーブオイルなどの植物油

オリーブオイルや亜麻仁油、えごま油などの植物油は、適量であれば腸の滑りを良くし、便をコーティングするようにして排便を助ける作用が期待できます。便秘に関する病院サイトなどでも、食物繊維に加えて、良質な油を適度にとることの重要性が紹介されています7

サラダや温野菜に小さじ1杯のオリーブオイルをかける、納豆に少量のオイルを足す、パンにバターではなくオリーブオイルをつけるなど、日常の食事に無理なく取り入れてみましょう。ただし、油はカロリーが高いため、摂りすぎると体重増加につながります。「少量を質よく」がポイントです。

4.2. 食物繊維を増やすときの注意点

便秘に効くと聞くと、「とにかく食物繊維をたくさんとればいい」と考えてしまいがちですが、急に大量に増やすと、お腹の張りや痛み、ガスの増加などが起こることがあります。特に、過敏性腸症候群(IBS)の方では、不溶性食物繊維を増やしすぎると症状が悪化することもあり、注意が必要です10

一般的には、次のような順番を意識するとよいでしょう。

  • まずは全体の水分量を確認し、カフェインやアルコールに偏っていないか見直す。
  • 白米の一部を雑穀ご飯や玄米に変える、野菜・海藻・きのこ・豆類を「一品プラス」するなど、1日あたり3〜4g程度を目安に少しずつ増やす7
  • お腹の張りが強い場合は、不溶性食物繊維の多い食材(ごぼう・豆の皮など)をとり過ぎていないか見直し、水溶性食物繊維の多い果物や海藻、オートミールなどを増やしてみる。
  • 症状が強い、自己調整が難しいと感じたら、早めに医師や管理栄養士に相談する。

第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?

最後に、「どこまで自分で様子を見てよくて、どのタイミングで医療機関に相談すべきか」を整理します。食べ物や飲み物での工夫はとても大切ですが、すべての便秘が食事だけで解決できるわけではありません。

5.1. 受診を検討すべき危険なサイン

  • 突然、今までとは違うタイプの便秘になり、数週間以上続いている。
  • 便に血が混じる、黒いタール状の便が出る。
  • 強い腹痛や嘔吐、お腹の張りがひどく、ガスや便がほとんど出ない。
  • 原因不明の体重減少や発熱を伴う。
  • 市販の下剤を使ってもほとんど効果がない、もしくは必要量がどんどん増えている。
  • 高齢者や基礎疾患のある方で、急に便秘になった。

これらのサインがある場合は、早めに消化器内科や大腸肛門外科などを受診しましょう。特に「激しい腹痛+嘔吐+ガス・便がまったく出ない」という状態は、腸閉塞などの可能性があり、救急対応が必要なケースもあります。迷ったときは、近くの医療機関や救急相談窓口に電話で相談することも一つの方法です。

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • まず相談しやすい窓口:かかりつけの内科、総合内科。
  • 消化管の検査が必要そうな場合:消化器内科、大腸肛門外科。
  • 女性特有の要因が疑われる場合:産婦人科(妊娠中・産後・月経に関連した便秘など)。
  • 子どもの便秘:小児科(ミルク・離乳食・トイレトレーニングと絡む便秘は、小児科で相談)。
  • 持病を持っている場合:まずはその病気を診ている専門科(例:糖尿病内科や神経内科など)に相談し、必要に応じて消化器科を紹介してもらう。

5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安

  • ここ1〜2週間の排便日誌(いつ・どのくらい・どのような便が出たか、便の硬さ、いきみ具合など)。
  • 現在飲んでいる薬・サプリメントのリスト、お薬手帳。
  • 腹痛やお腹の張り、吐き気、体重変化など、気になる症状のメモ。

費用は、健康保険の自己負担割合(多くの人は3割負担)や受ける検査内容によって変わります。一般的な問診と診察、必要に応じた血液検査や腹部レントゲン検査、便潜血検査などが行われることがあります。大腸内視鏡検査が必要な場合は、検査費用が別途かかるため、事前に医療機関で説明を受けておくと安心です。

よくある質問

Q1: 便秘解消に効く食べ物を食べたら、どのくらいで効果が出ますか?

A1: 個人差がありますが、食物繊維や水分を意識した食事に切り替えてから、数日〜1週間ほどで「便の量や硬さが変わってきた」と感じる人が多いようです。ただし、長年の便秘がある場合や、腸の動き自体がかなり落ちている場合は、食事だけではすぐに効果が出にくいこともあります。

まずは1〜2週間、表2のようなアクションプランを続けてみて、それでも変化が乏しい場合は、医療機関で相談してみるとよいでしょう。急激な痛みや出血を伴う場合は、その前に受診が必要です。

Q2: コーヒーやアルコールは便秘に良いですか?悪いですか?

A2: コーヒーは、カフェインや温かさの刺激で腸の動きを促すことがあり、「コーヒーを飲むとトイレに行きたくなる」という人もいます。一方で、カフェインには利尿作用があり、飲みすぎると体内の水分が減って便が硬くなる可能性もあります。

アルコールも利尿作用が強く、飲みすぎると脱水を招き、便秘を悪化させることがあります。そのため、便秘対策としては、コーヒーやアルコールを「便秘解消の薬」として頼るのではなく、水やノンカフェインのお茶をベースにしつつ、嗜好品として適量を楽しむくらいにとどめるのが安心です。

Q3: ヨーグルトとバナナだけで便秘は治りますか?

A3: ヨーグルトやバナナは、腸内環境を整える食品として人気がありますが、それだけで長年の便秘が「完全に治る」とは限りません。食物繊維や乳酸菌は、あくまで便秘対策の一部であり、全体のバランスが大切です。

主食の種類(白米か雑穀か)、野菜・海藻・きのこ・豆類の量、水分、運動、排便習慣などを総合的に見直すことで、効果が出やすくなります。「朝はヨーグルト+バナナ+チアシード、昼・夜は野菜と豆類を意識して増やす」といった組み合わせを考えてみましょう。

Q4: 食物繊維を増やしたらお腹が張って痛くなりました。どうすればいいですか?

A4: 急に食物繊維を増やした場合や、不溶性食物繊維(ごぼう・豆の皮・生野菜など)を多くとりすぎた場合、お腹の張りや痛み、ガスが増えることがあります。過敏性腸症候群(IBS)の方では特に注意が必要です。

いったん量を減らし、海藻や果物、オートミールなど水溶性食物繊維が多い食品を中心に、少しずつ量を増やすようにしてみてください。それでも腹痛や下痢・便秘を繰り返す場合は、消化器内科などで相談し、必要に応じて食事指導や薬物療法を受けることをおすすめします。

Q5: 子どもの便秘にも、大人と同じ食べ物を使って大丈夫ですか?

A5: 子どもの便秘でも、水分と適度な食物繊維、規則正しい生活が重要な点は大人と共通していますが、年齢によって必要な栄養や食べられるものが異なります。米国NIDDKは、子どもの年齢や性別に応じて、1日14〜31g程度の食物繊維摂取を目安として示していますが、1歳未満の乳児には別の配慮が必要だとしています12

乳児や幼児では、無理に繊維の多い食品を与えすぎると、かえって消化に負担がかかることもあります。便秘が続く場合は、小児科で相談し、ミルクや離乳食の内容、トイレトレーニングの進め方などについてアドバイスを受けましょう。

Q6: 妊娠中の便秘に、市販の下剤やハーブティーを飲んでも大丈夫ですか?

A6: 妊娠中はホルモンや子宮の影響で便秘になりやすく、つらい思いをしている方も多いと思います。しかし、妊娠中・授乳中は使用できる薬やサプリメント、ハーブの種類が限られます。自己判断で市販の下剤やハーブティーを長期に飲むのは避けたほうが安全です。

まずは水分・食物繊維・適度な運動など生活面を整えたうえで、それでもつらいときは産婦人科で相談し、妊娠中でも比較的安全性が確認されている薬や生活指導を受けましょう。妊娠中は「お腹に力を入れてはいけないのでは」といきむのを我慢しすぎてしまう方もいますが、無理のない範囲で自然な排便を目指すことが大切です。

Q7: サプリメントの食物繊維と、自然の食べ物からの食物繊維はどちらが良いですか?

A7: 食物繊維サプリメント(難消化性デキストリンなど)は、忙しい方や食事だけではどうしても十分な量をとれない方にとって、補助的な選択肢になり得ます。一方で、自然の食べ物からとる食物繊維には、ビタミンやミネラル、ポリフェノールなど、他の有用な栄養素も一緒に含まれています。

基本的には、まず食事で野菜・果物・豆類・海藻・きのこなどを増やし、それでも足りない部分をサプリメントで補うという考え方がよいでしょう。持病や薬との飲み合わせが気になる場合は、事前に医師や薬剤師に相談してください。

Q8: どれくらい便秘が続いたら、病院に行くべきですか?

A8: もともと便秘気味の方でも、「今までと明らかに違う」「食事を見直しても2〜3週間以上改善しない」と感じる場合は、一度医療機関で相談することをおすすめします。特に、中高年以降になってから新たに便秘が始まった場合や、前述の危険なサイン(出血・激しい腹痛・体重減少など)がある場合は、早めの受診が大切です。

「受診して何もなければそれで安心」という気持ちで構いません。自己判断で我慢を続けるよりも、早めに原因を確かめてもらうほうが、結果的に自分の体を守ることにつながります。

結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

便秘は「よくあること」と軽く見られがちですが、放置すればするほど、腹部の不快感や生活の質の低下、痔などのトラブルにつながりやすくなります。一方で、多くの便秘は、食事や水分、生活習慣を丁寧に見直すことで、少しずつでも改善していく可能性があります。

今日からできる一歩として、「水分をこまめにとる」「野菜・海藻・豆類・果物を一品プラスする」「ヨーグルトや発酵食品を毎日少しずつ続ける」「自分の排便パターンを観察し、日誌をつけてみる」といった行動を試してみてください。そして、「これは自分だけのせいではない」「体質やホルモン、薬や病気など、さまざまな要因が関わっていることもある」と知り、一人で抱え込まずに、必要なときには医療機関に相談することも大切です。

この記事が、便秘の原因や対策を整理し、「自分の体と丁寧に付き合っていくための地図」のような役割を果たせれば幸いです。

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。

本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。

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免責事項 本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言や診断、治療に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合や、治療内容の変更・中止等を検討される際には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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