「初めての性行為をしたのに血が出なかった。私は本当に“初めて”だったのだろうか」「パートナーに『血が出ないのは処女じゃない証拠だ』と言われてつらい」――こうした不安や傷つきは、日本でも今なお少なくありません。
しかし、医学的には「初回の性行為で必ず出血する」「出血の有無で性経験の有無が分かる」といったイメージは事実ではありません。処女膜(いわゆるおとめまく)は人によって形や厚さ、柔らかさが大きく異なり、生まれつきほとんど存在しない人もいます2,3,10。そのため、初めての性行為でも血が出ない人は少なくなく、出血の有無だけで「処女かどうか」を判断することはできません。
一方で、性行為のときの出血には、単なる小さな傷だけでなく、性感染症や子宮の病気など、早めの受診が望ましい病気が隠れている場合もあります1,9。また、強い痛みを伴う場合や、同意のない性行為による出血は、心身に大きな影響を与えます8。
本記事では、日本の医療機関や公的機関、海外の公的な医療情報をもとに、初めての性行為で出血しない・出血する場合のからだの仕組み、よくある誤解、妊娠や性感染症のリスク、受診の目安、そして今日からできるセルフケアや準備について、Japanese Health(JHO)編集部が分かりやすく解説します。
「血が出なかったからおかしいのでは?」という不安を少しでも軽くし、パートナーとの関係や自分自身のからだを大切にできるように、一緒に整理していきましょう。
Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。
本記事の内容は、イギリス国民保健サービス(NHS)の公式サイト1、日本の産婦人科クリニックによる解説2,3,4,7,10、日本政府・自治体の白書や啓発資料5,6,9、米国疾病対策センター(CDC)による性暴力予防の資料8などの一次情報源に基づいて、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています。
- 厚生労働省・内閣府・研究班などの公的情報:避妊や性感染症対策、性暴力被害者支援窓口に関する資料を参照しています5,6,9。
- 日本の専門学会・医療機関の情報:日本産科婦人科学会の診療ガイドラインや、婦人科クリニック・フェムテック関連の解説を参考に、処女膜や性交痛について整理しています2,3,4,7,10。
- 海外公的機関・査読付き文献:NHSやCDCなどが提供する、性交時出血や性暴力に関する最新の情報を補助的に用いています1,8。
AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。
私たちの運営ポリシーや編集プロセスの詳細は、運営者情報(JapaneseHealth.org)をご覧ください。
要点まとめ
- 初めての性行為でも出血しない人は珍しくなく、出血の有無だけで「処女かどうか」を判断することは医学的にできません2,3,10。
- 出血の多くは「処女膜そのもの」ではなく、緊張や潤い不足による腟の粘膜の小さな傷が原因で、適切な準備とコミュニケーションで減らせます2,7,16。
- 一方で、量が多い出血や長く続く出血、強い痛みがある場合は、子宮頸部の病変や性感染症などの可能性もあるため、婦人科や性の健康を扱う医療機関での検査が勧められます1,9。
- 初めてでも妊娠や性感染症のリスクはあり、コンドームは必須ですが、避妊効果としては完璧ではないため、低用量ピルとの併用なども選択肢になります6,9。
- 同意のない性行為や望まない性行為による出血は、性暴力にあたる可能性があります。日本には「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」などの相談窓口があり、ひとりで抱え込む必要はありません5,8,11。
「初めてだから血が出るはず」「出血しないのはおかしい」といったイメージは、ドラマやマンガ、インターネット上の情報によって作られていることが多く、医学的な事実とは異なる部分がたくさんあります2,10。
この記事では、まず処女膜や腟の構造といった基本から出発し、「なぜ出血しないことがあるのか」「逆にどんな出血は注意が必要なのか」を、できるだけ具体的なイメージを持てるように説明していきます。
そのうえで、生活習慣やコミュニケーション、避妊・性感染症予防など、今日から自分で整えられるポイントと、医療機関で相談した方がよいサインを段階的に整理します。必要に応じて、関連する総合ガイドや、詳細解説記事など、JHO内の関連記事に自然な文脈で橋渡しを行います。
読み進めることで、「自分のからだの状態をどう理解すればいいのか」「どのタイミングで、どこに相談すべきか」「パートナーとどう話し合えばいいのか」が具体的にイメージできるようになることを目指します。
第1部:初めての性行為とからだの基本 — 処女膜と出血のしくみ
まずは、「処女膜とは何か」「なぜ出血したりしなかったりするのか」といった基本から整理していきます。ここを理解しておくことで、「血が出なかった=自分やパートナーに問題がある」という短絡的な不安を減らすことができます。
1.1 処女膜と腟の構造をイメージで理解する
処女膜とは、腟の入口からおよそ1〜2cmほど奥にある、薄い粘膜のひだの総称です2,3,16。名前だけ聞くと、入口をふさぐ「膜」をイメージしがちですが、実際には中央に穴があいており、生理の血やおりものが自然に外に出られるようになっています。完全にふさがっている「一枚の膜」ではありません。
また、処女膜の形や厚さ、柔らかさには大きな個人差があります。例えば、以下のようなバリエーションがあります2,3,10,16。
- ひだが薄く、柔らかくて伸びやすいタイプ(性行為やタンポンで傷つきにくい)
- やや厚みがあり、縁がしっかりしているタイプ(伸びにくく、裂けるときに痛み・出血を感じやすい)
- 生まれつきひだがほとんどない、あるいはごくわずかなタイプ(いわゆる「処女膜がない」に近い状態)
さらに、スポーツや自転車、バレエなど日常の運動、指や生理用タンポンの使用などによって、性行為の経験がなくても処女膜の一部が自然に伸びたり、裂けたりすることがあります2,7,10。そのため、「見た目の処女膜」や「初回の出血の有無」から、性経験の有無を確実に判断することはできません。
こうした理由から、世界保健機関(WHO)や各国の専門機関は、「処女膜検査」や「処女検査」を処女性の証明に用いることは医学的にも倫理的にも不適切であると繰り返し指摘しています8,10。
1.2 「初体験=必ず出血する」という誤解
日本を含む多くの文化圏で、「処女は初めての性行為で必ず出血する」「シーツに血がつくのが証拠」といったイメージが根強く残っています。しかし、婦人科クリニックや専門家による解説では、「初体験で全員が出血するわけではない」「出血しても、その多くは処女膜ではなく腟の粘膜の小さな傷によるもの」とされています2,7,14,16。
具体的には、以下のようなパターンがあります。
- まったく出血しない:処女膜が柔らかくよく伸びる、あるいは生まれつきほとんど存在しないため、大きく裂けない。
- ティッシュに少し付く程度:粘膜の表面に小さな傷がつき、少量だけ出るがすぐに止まる。
- 下着に数滴〜少量付く:処女膜の縁や腟の粘膜が裂け、短時間の少量の出血がある。
いずれの場合も、「量が少なくすぐに止まる」「強い痛みやふらつきがない」のであれば、多くは自然におさまる軽い傷と考えられます1,2,7。ただし、後述するように、量が多い・長く続く・臭いを伴うといった場合は別の原因も考えられるため、注意が必要です1,9。
1.3 出血しないからといって「処女ではない」とは限らない
「初めてなのに血が出なかったから、処女膜はすでになかったのでは」と落ち込んだり、パートナーから疑われて傷ついてしまう人もいます。しかし、前述のように、処女膜は人によって大きく異なり、生まれつきほとんど存在しない、性行為以外の要因で自然に傷ついている、柔らかくて伸びるだけで裂けなかった、など多くの可能性があります2,3,7,10,16。
つまり、「出血しなかった=性経験があった」という証拠にはなりません。逆に、出血したからといって、それが必ずしも「処女膜の破れ」だけを意味するわけでもありません。大切なのは、「血が出るかどうか」ではなく、「本人がどう感じているか」「性行為が双方の同意に基づいて行われたか」です。
処女や処女膜を「人としての価値」と結びつける考え方は、本人に強い負担をかけるだけでなく、性暴力や同意のない性行為を正当化してしまう危険もあります8,10。パートナーから出血の有無を理由に責められたときは、「医学的に出血の有無で性経験は分からない」という事実を知り、必要であれば第三者(医療者やカウンセラー)に相談することも選択肢です。
1.4 緊張・潤い不足・急ぎすぎが出血を増やす
初めての性行為では、多くの人が緊張します。緊張すると骨盤周りの筋肉がこわばり、腟の入口がきゅっと締まった状態になりやすくなります。この状態で急いで挿入しようとすると、腟の粘膜に小さな裂け目ができやすく、出血や痛みが生じます2,7,16。
また、興奮が十分に高まる前に挿入しようとすると、腟内の潤い(分泌液)がまだ少なく、摩擦が大きくなります。その結果、粘膜がすれやすくなり、小さな傷や出血につながってしまいます。
以下のような行動は、「NG習慣」として出血や痛みを増やしてしまいやすいので、意識して避けるとよいでしょう。
- 相手のペースに合わせすぎて、「痛い」「怖い」と言えないまま急いで挿入してしまう。
- 十分にリラックスできていないのに、すぐに本番に進もうとする。
- 潤滑ゼリーを使わず、摩擦が強い状態のまま挿入を続ける。
- 避妊の確認やコンドーム装着を「雰囲気が壊れる」と言って後回しにする。
出血を減らすためには、「時間をかけてリラックスする」「痛みや怖さを言葉にする」「必要に応じて潤滑ゼリーを使う」といった、準備とコミュニケーションが非常に重要です2,7,16。
| こんな不安・状況はありませんか? | 考えられる主な背景・原因カテゴリ |
|---|---|
| 初めての性行為で出血がまったくなかった/ごく少量だった | 処女膜が柔らかい・薄い、生まれつきほとんどない、性行為以外の要因で既に伸びている など |
| 挿入時に強い痛みがあり、出血も多かった | 処女膜が厚い・伸びにくい、腟粘膜の裂傷、処女膜強靭症やその他の婦人科的要因の可能性4,13,16 |
| 少量の出血が何日も続いている、悪臭や膿のようなおりものがある | 性感染症や子宮頸部の病変など、医療機関での検査が必要な状態1,9,15 |
| 同意していないのに性行為を強いられ、出血した/からだも心もつらい | 性暴力の可能性。専門の相談窓口やワンストップ支援センターへの相談が推奨される5,8,11 |
第2部:出血の有無に影響する身体の要因と病気の可能性
出血の有無は、処女膜だけでなく、腟や子宮頸部、ホルモンバランス、性感染症など、さまざまな要因の影響を受けます。この章では、「出血しない理由」と「注意が必要な出血」の両方を、からだのしくみの面から整理します。
2.1 「出血しない」主な理由 — 処女膜の個人差とからだの準備
初めての性行為で出血しない主な理由として、以下のようなものが考えられます2,3,7,10,16。
- 処女膜が薄くて柔らかい/よく伸びる:挿入の際に縁の部分が横に押し広げられるだけで大きく裂けないため、傷がつきにくい。
- 生まれつき処女膜がほとんどない、または形が大きく開いている:そもそも裂ける部分が少ないため、出血を伴わないことが多い。
- 日常生活の中で少しずつ伸びている:スポーツや自転車、タンポンや月経カップの使用などで、少しずつ伸びたり一部が裂けており、初回の性行為で新たに大きく傷つく部分が少ない。
- 挿入前に十分リラックスし、潤いも足りている:筋肉がほぐれている・分泌液や潤滑ゼリーで摩擦が少ないため、粘膜の傷ができにくい。
また、相手のペニスや使う道具の太さ・硬さ・挿入のスピードも影響します。ゆっくり少しずつ挿入し、痛みがあればすぐに止める、角度を変える、潤滑剤を足すといった工夫により、粘膜へのダメージを減らすことができます。
重要なのは、「出血しない=からだがおかしい」「経験があるに違いない」と決めつけないことです。出血がなかった人は、「たまたま自分のからだのタイプや状況がそうだった」と理解して問題ありません。
2.2 「出血する」場合に考えられる原因 — 軽い傷から病気まで
一方で、初めての性行為で出血する場合、その原因はさまざまです。主なものを大きく3つのカテゴリに分けて整理します1,2,7,9,14,16。
- ① 一過性の軽い傷による出血
緊張や潤い不足によって、腟の入口や内部の粘膜に小さな裂け目ができた状態です。量は少なく、ティッシュやおりものシートに付く程度で、1〜2日でおさまることが多いとされています。痛みも「しみる」「少しヒリヒリする」程度で、日常生活に支障がないことが一般的です。 - ② 処女膜が硬い/処女膜強靭症などの体質
処女膜が厚くて硬いタイプや、いわゆる処女膜強靭症の場合、挿入のたびに強い痛みや出血を繰り返すことがあります4,13,16。ペニスや指がほとんど入らない、毎回裂けるような痛みがある、タンポンも入らないなどの場合は、婦人科での診察・相談が勧められます。必要に応じて、局所麻酔を使った小さな手術で症状を軽減できるケースもあります。 - ③ 病気や感染症による出血
子宮頸部の炎症やポリープ、子宮の良性ポリープ、性感染症(クラミジアや淋菌など)、子宮頸がんなどが、性行為のあとに出血する原因となることがあります1,9,15。特に、性交のたびに出血する・量が多い・長く続く・不正出血が続いているといった場合は、病院での検査が必要です。
英国NHSの情報でも、「月経と月経の間の出血」や「性行為後の出血」は、軽い原因から重大な病気までさまざまな要因があり、特に繰り返す場合は受診がすすめられています1。
2.3 妊娠・性感染症のリスク — 出血の有無とは別の問題
初めての性行為で「血が出たかどうか」と同じくらい大切なのが、妊娠と性感染症(STI)のリスクです。出血の有無にかかわらず、膣内に精液が入れば妊娠する可能性がありますし、避妊をしていない性行為があれば性感染症にかかるリスクもあります6,9,15。
日本の研究班による避妊に関する解説では、コンドームのみを避妊法として1年間使用した場合、約7組に1組(約14%)が妊娠していると報告されています6。これは、コンドームの「つけ忘れ」「途中で外す」「破れる・抜ける」など、人間側のミスも含めた現実的な数値です。
そのため、妊娠をできるだけ確実に避けたい場合は、低用量ピルとコンドームの併用が推奨されます6,9。コンドームは妊娠予防だけでなく、HIVを含む多くの性感染症の予防にも有効なため、ピルを飲んでいる場合でもコンドームを併用することが重要です。
また、男女ともに自覚症状がほとんどない性感染症(とくにクラミジア感染症)は、日本でも問題になっており、治療せず放置すると不妊や流産・早産のリスクが高まることが指摘されています15。心当たりがある場合は、検査キットや保健所、医療機関での検査を検討しましょう。
第3部:医療機関での診断が必要なケースと受診の目安
「少しだけ血がついた」「すぐに止まった」という程度であれば、多くの場合は様子を見てよいと考えられます。しかし、なかには早めの受診が望ましい出血もあります。この章では、「どんなときに婦人科などを受診すべきか」を具体的に整理します。
3.1 すぐに受診を検討したいサイン
以下のような場合は、なるべく早めに婦人科や性の健康を扱う医療機関、あるいは救急外来に相談することをおすすめします1,9,17。
- ナプキンやタオルが1時間に何枚も必要なほどの大量の出血がある。
- 出血が2日以上続く、もしくは日をおいて繰り返し起こる。
- 下腹部の強い痛み、発熱、吐き気、ふらつきなどを伴う。
- 生理予定日からかなり遅れている/妊娠の可能性がある状態で出血があった。
- 悪臭のあるおりものや、膿のような分泌物、排尿時の痛みなどを伴う。
- 性交のたびに毎回出血したり、強い痛みが続く。
英国NHSも、月経の合間の出血や性行為後の出血がある場合には、がんを含む病気の早期発見・治療のために医療機関での相談をすすめています1。不安をひとりで抱えるよりも、「念のため聞いてみる」つもりで受診する方が安心です。
3.2 処女膜強靭症・性交痛など、からだの特徴による問題
「そもそも挿入がほとんどできない」「毎回裂けるような痛みと出血がある」といった場合、処女膜が非常に硬い「処女膜強靭症」や、骨盤底筋の過度な緊張、腟の入り口が狭い構造などが影響している可能性があります4,13,16。
こうした状態は、本人の努力やガマンだけで解決しようとすると、性行為への恐怖心が強まり、パートナーとの関係にも影響することがあります。婦人科では、以下のような対応が行われることがあります。
- 診察で処女膜や腟の状態を確認し、体質かどうかを見極める。
- 骨盤底筋のリラックス方法や、ゆっくり慣らしていくためのアドバイスを行う。
- 必要に応じて、局所麻酔下での処女膜切開などの処置を提案する。
診察そのものに不安を感じる場合は、女性医師がいるクリニックや、処女膜強靭症や性交痛を専門に扱っているクリニックを選ぶと安心感が高まるでしょう4,13。
3.3 同意のない性行為・性暴力が疑われる場合
相手に押し切られて同意できないまま性行為になってしまったり、暴力や脅しを伴う性行為による出血は、医学的な問題だけでなく、心の傷も非常に大きなものになります。CDCの資料では、「同意のない性行為」は明確に性暴力と定義されており、心身への長期的な影響が指摘されています8。
日本では、内閣府や警察庁などが連携して、「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」を各都道府県に設置しています。この窓口では、医療、警察、法律相談、心理的支援などをワンストップで受けられる体制が整えられています5,11。
電話番号「#8891(はやくワンストップ)」にかけると、最寄りのワンストップ支援センターにつながります5,11。今すぐ通報するかどうか決められない場合でも、「自分の体験が性暴力に当たるのか知りたい」「誰かに話を聞いてほしい」という段階で相談して構いません。
緊急に命の危険を感じる場合や、重い怪我がある場合は、ためらわずに119番通報や最寄りの救急外来の受診を検討してください。
第4部:今日からできる準備とセルフケア — 不安を減らし、安全に初めてを迎えるために
「初めての性行為」が不安なのは、ごく自然なことです。この章では、出血や痛み、妊娠・性感染症のリスクをできるだけ減らし、自分のペースで安心して向き合うための具体的なアクションプランを整理します。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今日からできること | 自分の気持ちと境界線を確認する | 「いつならいいか」「どこまでなら大丈夫か」「嫌なときはどう伝えるか」をノートに書き出し、必要であればパートナーと共有する。 |
| Level 2:性行為の前日〜当日にできること | 避妊と性感染症予防の準備をする | コンドームを自分でも用意しておく、低用量ピルの使用を婦人科で相談する、緊急避妊や性感染症検査の情報を事前に調べておく6,9,15。 |
| Level 3:当日の過ごし方 | リラックスとコミュニケーションを大事にする | 「痛かったら必ず止める」「今日はできそうにないときはやめる」ことを事前に約束しておく。照明や音楽、部屋の温度など、自分が安心できる環境を整える。 |
| Level 4:性行為の最中 | からだのサインを優先する | 痛みや怖さを感じたら、すぐに伝えて中断する。濡れにくいと感じたら、潤滑ゼリーを追加する。挿入を急がず、触れ合いや会話の時間を長めに取る。 |
| Level 5:性行為のあと | からだと心のフォローをする | 出血の量や体調を数日観察し、気になる症状があれば婦人科などに相談する。気持ちがモヤモヤしている場合は、信頼できる友人やカウンセラーに話を聞いてもらう。 |
とくに、避妊と性感染症予防については、「相手が用意するもの」「相手任せにするもの」ではなく、自分の健康を守るための大切なツールとして主体的に準備することが重要です6,12,15。コンドームを自分で用意したからといって、「遊んでいる」と評価されるべきものでは決してありません。
また、「今日はどうしても怖い」「気分が乗らない」と感じたときは、性行為そのものをやめる選択も尊重されるべきです。同意は、「一度OKと言ったら最後まで続けなければならない」という契約ではなく、いつでも撤回してよいものです8。
第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?
「病院に行くほどではないかもしれないけれど、不安」「婦人科は恥ずかしくて行きづらい」と感じる人も多いかもしれません。この章では、受診の目安と、日本で相談しやすい窓口についてまとめます。
5.1 受診を検討すべき危険なサイン
- 大量の出血や、2日以上続く出血がある。
- 強い腹痛・発熱・めまい・吐き気などを伴う。
- 悪臭のあるおりもの、膿のような分泌物が出る。
- 性交のたびに出血や強い痛みを繰り返す。
- 妊娠の可能性があり、不正出血がある。
- 同意のない性行為・暴力を伴う性行為による出血があり、心身のつらさが続いている。
これらに当てはまる場合は、早めに婦人科や性の健康を扱う医療機関、ワンストップ支援センターなどに相談することが勧められます1,5,9,11。夜間や休日であっても、命に関わる症状が疑われる場合は、救急外来や救急相談窓口に連絡することをためらわないでください。
5.2 症状に応じた診療科の選び方
- 主に出血・痛み・おりものの変化が気になる場合:婦人科(レディースクリニックなど)。
- 性暴力・同意のない性行為が関わる場合:ワンストップ支援センター、性暴力相談窓口、必要に応じて警察や弁護士への相談5,11。
- 妊娠の心配が大きい場合:婦人科・産婦人科での妊娠検査、緊急避妊薬の相談5,6。
- 心のつらさが続く場合:心療内科・精神科、スクールカウンセラー、自治体やNPOの相談窓口など。
どこに行けばよいか迷うときは、自治体の保健センターや、内閣府の性暴力相談窓口のページから最寄りの相談先を探すこともできます5,11。
5.3 診察時に持参すると役立つものと費用の目安
- 生理周期や出血の様子をメモしたノートやアプリの画面。
- 性行為のあった日付や回数、避妊の方法(コンドーム使用の有無・トラブルの有無など)。
- 服用中の薬やサプリメントのリスト、お薬手帳。
- 健康保険証。保険診療の場合、3割負担で診察・検査料が数千円〜1万円前後になることが多く、追加検査や治療内容により増減します。
「初めて婦人科に行く」「性のことを話すのが恥ずかしい」と感じるのは自然なことです。医療者は、同じような悩みを持つ人を日々たくさん診ており、あなたひとりが特別ではありません。どう伝えればよいか不安な場合は、「初めての性行為で出血や痛みが心配です」と一文だけでも言えれば十分です。
よくある質問
Q1: 初めての性行為で出血しませんでした。処女ではないという意味ですか?
A1: 出血の有無だけで「処女かどうか」を判断することはできません。処女膜は人によって形や厚さ、柔らかさが大きく異なり、生まれつきほとんど存在しない人や、スポーツやタンポンなどで自然に伸びている人もいます2,3,7,10,16。
また、処女膜が柔らかくてよく伸びるタイプの人は、初めての性行為でもほとんど傷つかず、出血しないことが少なくありません。「血が出なかった=経験がある」という証拠にはならないので、必要以上に自分を責める必要はありません。
どうしても不安が続く場合は、婦人科でからだの状態について説明を受けたり、信頼できる情報源(公的機関・医療機関のサイトなど)を一緒に確認してくれる人に相談してみてください。
Q2: パートナーから「血が出なかったから処女じゃない」と言われてつらいです。
A2: 医学的には、初回の性行為で全員が出血するわけではなく、出血の有無で性経験の有無を判定することはできません2,7,10,14。そのため、「血が出なかったから処女じゃない」と決めつける発言は、事実に反しているだけでなく、あなたを傷つける行為でもあります。
まずは、「医療機関の情報では、出血の有無と処女かどうかは一致しないと説明されている」と事実を伝えることが一つの方法です。それでもなお、出血の有無にこだわって責め続けるようであれば、その関係性があなたにとって安全で尊重のあるものかどうか、あらためて考えてみる必要があるかもしれません。
心がつらいときは、カウンセリングサービスや信頼できる友人に話を聞いてもらうことも選択肢です。あなたの価値は「処女かどうか」や「出血したかどうか」で決まるものではありません。
Q3: 初めての性行為で少し出血しましたが、病院に行くべきですか?
A3: ティッシュに少し付く程度の出血で、すぐに止まり、その後も強い痛みや発熱、ふらつきなどがなければ、多くの場合は腟の粘膜の軽い傷で、様子を見てよいとされています1,2,7。
ただし、以下のような場合は受診を検討してください。
- 出血が2日以上続く、または量が多い。
- 強い腹痛、発熱、悪臭のあるおりものなどを伴う。
- 性交のたびに毎回出血がある。
不安が強い場合は、「初めての性行為のあとに出血があって心配です」と、そのまま伝えてかまいません。医療者は同じような相談を日常的に受けているので、恥ずかしがりすぎる必要はありません。
Q4: 初めてでもコンドームをつければ妊娠しませんか?
A4: コンドームはとても大切な避妊法ですが、「100%妊娠を防げる」わけではありません。日本の研究班の解説では、コンドームのみを1年間避妊法として使用した場合、約7組に1組(約14%)は妊娠してしまうと報告されています6。
これは、コンドームのつけ忘れ、途中からつける、破れる・抜けるなど、人の使い方のミスも含めた現実的な数字です。そのため、妊娠をできるだけ確実に避けたい場合は、低用量ピルとコンドームの併用が推奨されます6,9。ピルで排卵を抑えつつ、コンドームで性感染症を予防する「二重の防御」が理想的です。
コンドームを使っていても、射精前に抜けてしまった、破れていたかもしれないと感じた場合は、緊急避妊薬や妊娠検査、婦人科への相談を検討してください5,6。
Q5: 初めての性行為がとても痛くて、それ以来こわくてできません。
A5: 初回の性行為で強い痛みを感じると、その記憶から「もう二度としたくない」と感じる人もいます。痛みの原因は、緊張や潤い不足などの一時的な要因のほか、処女膜強靭症や骨盤底筋の過度な緊張など、からだの特徴によるものもあります4,13,16。
まずは、「痛かったことは自分のせいではない」と理解し、自分のペースで休むことが大切です。無理に再チャレンジする必要はありません。痛みや恐怖心が続く場合は、婦人科や性に関するカウンセリングを行っている医療機関で相談すると、からだと心の両面からのサポートが受けられます。
パートナーには、「前回とても痛かったので、しばらくは性行為はお休みしたい」「まずは手をつなぐ・抱きしめ合うなど、安心できるスキンシップから始めたい」といった具体的な希望を伝えるとよいでしょう。あなたのペースを尊重してくれる相手かどうかも、大切な判断材料になります。
Q6: 強引に性行為をされて出血しました。どこに相談すればいいですか?
A6: あなたの意思に反して強引に性行為をされた場合、それは性的同意がなかった可能性があり、性暴力にあたるおそれがあります8。まずは、あなたの安全を最優先に考えることが何よりも大切です。
日本には、「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」が全国に設置されています。電話番号「#8891(はやくワンストップ)」にかけると、最寄りのセンターにつながり、医療・法律・心理的支援などについて相談することができます5,11。
今すぐに警察に届け出るかどうか決められない場合でも、「自分の体験が性暴力に当たるのか知りたい」「誰かに話を聞いてほしい」といった段階で相談して構いません。一人で抱え込まず、信頼できる第三者に助けを求めてよいのだということを忘れないでください。
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
初めての性行為で出血するかどうかは、処女膜の個人差やそのときの状況によって大きく変わります。出血の有無だけで、「処女かどうか」「純粋かどうか」といった、あなた自身の価値が決まることは決してありません2,7,10,14。
一方で、量が多い出血や長く続く出血、強い痛みや体調不良を伴う出血は、からだからの大切なサインかもしれません。そのようなときは、ひとりで我慢せずに、婦人科や性暴力被害者支援の窓口など、専門家へ相談することが大切です1,5,9,11。
なによりも大切なのは、「自分のからだは自分のもの」という感覚を持ち続けることです。性行為をするかどうか、いつするか、どこまでならよいかを決める権利は、あなた自身にあります。この記事が、「血が出なかった/出た」という不安や罪悪感から少し離れて、自分のからだと気持ちを大切にする一歩につながれば幸いです。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。
本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。
ただし、本サイトの情報はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。気になる症状がある場合や、治療の変更を検討される際は、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。
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日本産科婦人科学会. 産婦人科 診療ガイドライン 婦人科外来編 2023. 2023年. https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2023.pdf(最終アクセス日:2025-11-26)
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Femtech College/関連クリニック等の情報および複数の日本の婦人科医によるオンライン解説に基づく処女膜の構造・個人差に関する記述(例:https://fujito.clinic/column/index.php/2022/03/11/745/ など)。(最終アクセス日:2025-11-26)
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内閣府 男女共同参画局. 男女共同参画白書 第2節 男女の健康支援. https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h30/zentai/html/honpen/b1_s00_02.html(最終アクセス日:2025-11-26)

