【医師監修】スキンケアメイクのすべて:ファンデーションでシワ改善?科学的根拠と日本の法律から学ぶ賢い選び方
皮膚科疾患

【医師監修】スキンケアメイクのすべて:ファンデーションでシワ改善?科学的根拠と日本の法律から学ぶ賢い選び方

近年、日本の化粧品市場では、単に美しく見せるだけでなく、日中の肌を積極的にケアする「スキンケアメイク」という考え方が主流になっています。美容液ファンデーションや薬用BBクリームなど、メイクアップとスキンケアの境界線を越える製品が次々と登場し、多くの消費者の支持を集めています。しかし、「美容液成分配合」や「シワ改善」といった魅力的な言葉の裏には、日本の厳格な法律による規制と、科学的なエビデンスに基づいた効果の限界が存在します。この記事は、健康と科学的根拠に関心が高い日本の皆様に向けて、JAPANESEHEALTH.ORG編集委員会が、氾濫する情報の中から真に価値ある製品を見抜くための羅針盤となることを目指し、制作されました。本稿では、日本の法規制、最新の科学研究、そして実際の市場動向を多角的に分析し、皆様がご自身の肌のために、情報に基づいた最も賢明な選択ができるよう、専門的かつ実践的な知識を詳細に解説します。

この記事の科学的根拠

この記事は、特定の医師個人の見解ではなく、以下に示すような公的機関の指針や査読付き学術論文など、信頼性の高い情報源にのみ基づいて作成されています。JAPANESEHEALTH.ORGは、読者の皆様に客観的で検証可能な情報を提供することをお約束します。

  • 厚生労働省 (MHLW): 本記事における「化粧品」「医薬部外品」の定義、および表示可能な効能効果の範囲に関する記述は、日本の医薬品医療機器等法(薬機法)を所管する厚生労働省の公式な通知・規制に基づいています12
  • 消費者庁 (CAA): 「機能性表示食品」に関する記述は、食品表示法を所管する消費者庁の届出情報およびガイドラインに基づいています3
  • 国際的な科学論文誌 (Peer-Reviewed Journals): ナイアシンアミド、ヒアルロン酸、ペプチドなどの成分に関する有効性や作用機序の解説は、PubMed(米国国立医学図書館)などで公開されている査読付きの臨床試験やレビュー論文(例: Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology, Dermatologic Surgery誌など)を根拠としています456
  • 日本化粧品工業会 (JCIA): 化粧品の安全性、パッチテストの方法、保管方法に関する記述は、化粧品業界の自主基準を定める日本化粧品工業会の消費者向け情報に基づいています7
  • 日本皮膚科学会 (JDA): アレルギー性接触皮膚炎の原因物質に関する記述は、日本皮膚科学会の診療ガイドラインおよび公式な見解に基づいています8

要点まとめ

  • 「スキンケアメイク」という言葉に法的な定義はなく、製品は「化粧品」「医薬部外品」「機能性表示食品」のいずれかに分類されます。この区別が効果の範囲を決定します。
  • 「シワを改善する」「美白」といった具体的な効果を謳えるのは、有効成分を配合し、国の承認を得た「医薬部外品」(薬用化粧品)に限られます。
  • ナイアシンアミド、ペプチド、ビタミンC誘導体などの成分は、科学的にその有効性が示されていますが、製品が「化粧品」の場合、その効果は保湿やキメを整える範囲に限定されます。
  • 製品を選ぶ際は、パッケージの「医薬部外品」や「機能性表示食品」といった表示を確認し、自身の目的に合ったカテゴリーの製品を選ぶことが極めて重要です。
  • 安全性も重要です。新しい製品を使用する前には、パッチテストを行い、アレルギー反応が出ないかを確認することが推奨されます。

第1部:スキンケアメイクを取り巻く市場と日本の法規制

「スキンケアメイク」という魅力的な言葉を正しく理解するためには、まず、それがどのような消費者ニーズから生まれ、日本の法律の下でどのように位置づけられているかを知る必要があります。

1.1. 「スキンケアメイク」の定義と潮流

概念の整理

「スキンケアメイク」や、国際的に用いられる「コスメシューティカル(Cosmeceuticals)」9という言葉は、消費者の間で広く使われていますが、日本の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(通称:薬機法)には、これらの公式な法的カテゴリーは存在しません1。これらの用語は主にマーケティングの文脈で、「スキンケア効果を持つ成分を配合し、その効果を訴求するメイクアップ製品」という消費者視点の概念として使われています。市場では「美容液ファンデーション」10、「美容液下地」11、「薬用BBクリーム」12、「スキンケアパウダー」といった名称で販売されており、メイクの仕上がりだけでなく、保湿、美白、シワ改善、紫外線防御といった付加価値を提供します。

消費者ニーズの分析

日本の大手コスメ・美容情報サイト(@cosme、LIPSなど)の膨大なユーザーレビューを分析すると、現代の消費者がスキンケアメイク製品に寄せる期待が極めて複合的であることがわかります10。消費者はもはや単一の機能を求めておらず、「高い保湿力」「肌への優しさ」「強力なUVカット効果」「化粧崩れの防止」「自然なカバー力」といった複数の要求を同時に満たす製品を求めています10。これは「ハイブリッド需要」とも呼べる潮流であり、製品は「審美性」「肌の健康」「保護」という複数の軸で高い性能を発揮することが求められています。消費者は、朝のメイク時間が、夜のスキンケアと同様に、肌の健康に貢献する時間となることを期待しているのです。

1.2. 日本の法的枠組み:化粧品・医薬部外品・機能性表示食品の厳密な区別

消費者に誤解のない情報を提供するためには、日本の法規制の根幹をなす「化粧品」「医薬部外品」「機能性表示食品」の三つのカテゴリーを厳密に区別することが絶対条件です。これは、製品がどのような効果を法的に主張できるかを決定づけるため、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)における権威性と信頼性の基盤となります。

三つのカテゴリーの定義と根拠法

  • 化粧品 (Cosmetics): 薬機法において「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つ」もので、人体への作用が緩和なものと定義されています1。その目的はあくまで「美化」や「保清」であり、病気の治療や予防といった薬理的な効果は謳えません13
  • 医薬部外品 (Quasi-Drugs): 薬機法に基づき、厚生労働省がその効果を承認した「有効成分」が一定濃度配合され、「防止」や「衛生」を目的とする製品です13。「ニキビを防ぐ」「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」といった、化粧品より一歩踏み込んだ具体的な「効能効果」の表示が許可されています1。一般に「薬用化粧品(Medicated Cosmetics)」と呼ばれる製品がこれに該当します1
  • 機能性表示食品 (Foods with Function Claims): 食品表示法に基づき、事業者の責任において科学的根拠を届け出ることで、特定の保健の目的(例:「肌のうるおいを保つのを助ける」)を表示できる食品です3。これは体の内側からアプローチするものであり、外用する化粧品や医薬部外品とは全く異なるカテゴリーです。

これらのカテゴリー間には有効性と安全性のトレードオフが存在し、一般的に有効性の期待値は「医薬品 > 医薬部外品 > 化粧品」の順、安全性の高さは「化粧品 > 医薬部外品 > 医薬品」の順と考えられています1。この構造を理解することが、賢明な製品選択の鍵となります。

表1: 日本における化粧品・医薬部外品・機能性表示食品の比較
項目 化粧品 医薬部外品 機能性表示食品
定義 作用が緩和で、体を清潔・美化し、健やかに保つもの1 厚労省が許可した有効成分を含み、防止・衛生を目的とするもの13 科学的根拠に基づき機能性を表示した食品3
根拠法 医薬品医療機器等法(薬機法)2 医薬品医療機器等法(薬機法)2 食品表示法3
目的 美化、魅力アップ、皮膚・毛髪を健やかに保つ2 ニキビ・肌荒れ防止、美白、シワ改善など2 健康の維持及び増進に役立つ特定の保健の目的3
効能効果の表示 定められた56項目の範囲内(例:「肌にうるおいを与える」)2 承認された効能効果(例:「シワを改善する」)14 届け出た機能性(例:「肌のうるおいを保つ」)3
事前承認/届出 原則不要(届出は必要)15 品目ごとに厚労大臣の承認が必要2 消費者庁長官へ届出が必要3
具体例 ファンデーション、口紅1 薬用化粧品、薬用石けん1 「肌のうるおいを保つ」と表示されたサプリ3

1.3. 広告表現と効能効果の範囲

製品カテゴリーによって、広告やパッケージで表現できる「効能効果」の範囲は厳格に定められています。

  • 化粧品の効能効果56項目: 化粧品が表示できる効果は、厚生労働省の通知により「肌にうるおいを与える」「肌のキメを整える」といった56項目に限定されています2。これを超える「ニキビを治す」や「シワを改善する」といった医学的な表現は一切認められていません16
  • 医薬部外品の効能効果: 厚生労働省が承認した有効成分を配合しているため、その成分が持つ効能効果を明確に表現できます15。例えば、ナイアシンアミド配合であれば「シワを改善する」、トラネキサム酸であれば「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」といった表現が可能になります1
  • 景品表示法と優良誤認: 薬機法に加え、「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)も広告を規制します。製品の性能を実際より著しく優れていると誤解させる「優良誤認表示」は禁止されています16。例えば、「シワを完全に消し去る」といった表現は承認範囲を超えた過大な表現と見なされる可能性があります。近年では、広告であることを隠した「ステルスマーケティング」も規制対象となっています16

第2部:主要な機能性成分の科学的エビデンス

スキンケアメイクの価値は、配合成分の科学的根拠によって裏付けられます。ここでは主要な成分を深く掘り下げ、その専門性を解説します。

2.1. 肌バリア機能と保湿

健康な肌の基本は、外部刺激から肌を守り、内部の水分を保つ「皮膚バリア機能」です。この機能をサポートする代表的な保湿成分を見ていきましょう。

ナイアシンアミド (Niacinamide)

ビタミンB3の一種であるナイアシンアミドは、表皮におけるセラミドの合成を促進し、皮膚のバリア機能を強化する作用が科学的に報告されています4。これにより、肌の水分保持能力が高まります。さらに、抗炎症作用や、メラニンが表皮細胞へ移動するのを阻害することによる色素沈着抑制効果も確認されています4。複数の臨床試験でシワ、色素沈着、赤み、黄ぐすみの改善が示されており17、特にアジア人女性を対象とした試験では、4%ナイアシンアミド含有製品が色素沈着と肌水分量を改善したというデータがあります4。また、アトピー性皮膚炎患者のバリア機能を改善したとの報告もあり18、刺激が少なく敏感肌にも使いやすい点も大きな利点です19

ヒアルロン酸 (Hyaluronic Acid)

ヒアルロン酸は、自身の重量の約1000倍もの水分を保持する能力を持つ、極めて強力な保湿成分です20。元々、私たちの皮膚に存在し、肌の水分量やハリを維持する中心的な役割を担っています21。その効果は分子サイズによって異なり、高分子量のものは肌表面で水分の蒸発を防ぎ、低分子量のものは角層に浸透して内側から水分を補給します22。ある臨床試験では、外用ヒアルロン酸美容液を6週間使用した結果、皮膚科医の評価によって肌の滑らかさが64%、ふっくら感が60%、水分量が63%改善したと客観的に証明されています5

セラミド (Ceramides)

セラミドは、角層の細胞間を埋める「細胞間脂質」の主成分(約50%)であり、皮膚バリア機能の根幹をなす物質です20。角層内で水分を挟み込む層状構造(ラメラ構造)を形成し、外部刺激の侵入を防ぎ、内部からの水分蒸散を抑制します。加齢やアトピー性皮膚炎では、このセラミドが減少し、バリア機能が低下することが知られています。

2.2. エイジングケア

加齢に伴うシワやたるみといった悩みに対し、肌の構造に働きかける成分が注目されています。

ペプチド (Peptides)

ペプチドはアミノ酸が結合した化合物で、特定の細胞機能に働きかける「シグナル伝達分子」として機能します。「シグナルペプチド」は、真皮の線維芽細胞に働きかけ、肌のハリを支えるコラーゲンやエラスチンの産生を促進する能力を持ちます6。代表的なものにパルミトイルペンタペプチド-4があり、複数の臨床試験でシワの深さや面積の有意な減少が報告されています6。また、銅トリペプチド-1はコラーゲン産生促進に加え、創傷治癒促進や抗炎症作用など多彩な機能が知られています23

ビタミンA誘導体(レチノイド) (Vitamin A Derivatives – Retinoids)

レチノイドは、コラーゲン産生促進や表皮ターンオーバー正常化により、シワ改善に豊富なエビデンスを持つ成分群です24。化粧品に配合されるレチノール等は、医薬品のレチノイン酸より作用は穏やかですが、人によっては赤み、皮むけ、乾燥といった「レチノイド反応」や光線過敏症を引き起こす可能性があります25。使用する際は、夜間に限定し、日中は必ずSPF30以上の日焼け止めを併用するなど、注意深い使用が推奨されます。

2.3. 美白と透明感

シミやくすみといった色素沈着の悩みには、メラニンの生成を抑制する成分が対応します。

ビタミンC誘導体 (Vitamin C Derivatives)

純粋なビタミンC(L-アスコルビン酸)は、強力な抗酸化作用、メラニン生成抑制作用、コラーゲン産生促進作用を持ちますが、非常に不安定です26。この欠点を克服するため、安定性を高めた「ビタミンC誘導体」が開発され、広く利用されています27。これらの誘導体は皮膚に吸収された後、酵素によってビタミンCに変換され効果を発揮します。その効果は製品の処方に大きく依存し、例えばビタミンEやフェルラ酸と組み合わせることで、抗酸化効果や紫外線防御効果が相乗的に高まることが研究で示されています28

表2: 主要な機能性成分の効果と科学的根拠
成分名 主な効果 作用機序の概要 臨床試験データ(例) 参考文献
ナイアシンアミド シワ改善、美白、バリア機能強化 セラミド合成促進、メラノソーム輸送阻害 5%含有製品でメラノソーム輸送を35–68%阻害。 4
ヒアルロン酸 保湿、ハリ向上 高い保水力で角層水分量を維持 外用6週間で肌の滑らかさ64%、水分量63%改善。 5
パルミトイルペンタペプチド-4 シワ改善、コラーゲン産生促進 線維芽細胞を刺激しコラーゲン産生を促進 12週間の使用でシワの有意な減少を確認。 6
ビタミンC誘導体 美白、抗酸化 メラニン生成抑制、活性酸素消去 フェルラ酸との併用で紫外線防御能が倍増。 26
コラーゲンペプチド(経口) 肌の水分・弾力向上、シワ減少 経口摂取で皮膚に到達しコラーゲン産生を刺激 8週間の摂取で目元のシワ体積が有意に減少。 29

重要な注意点:これらの成分に科学的エビデンスがあったとしても、日本国内で製品が「シワを改善する」といった効果を法的に標榜するためには、その製品が「医薬部外品」として厚生労働省の承認を得る必要があります2。同じ成分が配合されていても、製品が「化粧品」である限り、その効果を謳うことはできません。この「科学」と「法律」のギャップを理解することが、製品選びで最も重要です。

第3部:製品カテゴリー別分析と賢い選択法

市場に溢れる製品の中から、自身のニーズに合ったものを選ぶためには、カテゴリーごとの特徴と製品ラベルの情報を読み解く力が必要です。

3.1. 美容液ファンデーション&薬用BBクリーム

これらの製品群を選ぶ際の最も重要なステップは、自身の目的を明確にすることです。もしあなたが「シワ改善」や「美白」といった特定の「効能効果」を期待するなら、製品のパッケージや容器にある「医薬部外品」または「薬用」という表示を探してください1214。この表示が、厚生労働省がその効果を認めた証です。この表示がない製品は、法的には「化粧品」であり、その効果は保湿や仕上がりの美しさの範囲に留まることを理解する必要があります。

3.2. スキンケア効果のある化粧下地

人気の化粧下地は、「高いUVカット効果(SPF50+・PA++++)」「高い保湿力」「トーンアップ効果」という三つのトレンドを共通して持っています11。ファンデーション同様、美白有効成分トラネキサム酸などを配合した「医薬部外品」も存在し、UVカットと同時に本格的な美白ケアを求める層に支持されています11。選択の際は、皮脂崩れや乾燥といった自身の肌悩みに合った機能性を優先し、@cosmeなどのレビューサイトで自分と似た肌質のユーザーの意見を参考にすることが有効です11

3.3. 内側からのアプローチ:機能性表示食品

真の美肌は外側からのケアだけでは完成しません。「内外美容」の考えに基づき、体の内側から肌の健康をサポートする機能性表示食品も有効な選択肢です。外用のスキンケアが肌の表面に働きかけるのに対し、機能性表示食品は有効成分を体内に届け、全身レベルで肌の健康をサポートします。
市場には「肌のうるおい(水分)を保つのを助ける」機能を持つアスタキサンチンやパイナップル由来グルコシルセラミド、「紫外線刺激から肌を保護するのを助ける」機能を持つ製品などが多数存在します3。2023年5月時点で、肌に関する機能性を表示した製品は700品目を超えています30。選ぶ際は、パッケージ裏面の「機能性関与成分」と、どのような「届出表示」(期待できる機能性)で消費者庁に届け出られているかを正確に把握することが最も重要です。また、これらは医薬品ではないため、継続して摂取することが推奨されます。

第4部:安全な使用と信頼できる情報活用のために

効果だけでなく、安全に製品を使いこなし、信頼できる情報に基づいて判断することが、賢い消費者への第一歩です。

4.1. 安全性に関する重要な注意点

どんなに優れた製品でも、すべての人に安全とは限りません。以下の点に注意してください。

  • アレルギー情報: 日本皮膚科学会は、日本人のアレルギー性接触皮膚炎(かぶれ)の原因として、香料、防腐剤、金属などを挙げています8。肌が敏感な方は、これらの成分に注意が必要です。
  • パッチテストの推奨: 肌が敏感な方や新しい化粧品を試す際には、事前に自身の肌で安全性を確認するためのセルフパッチテストが強く推奨されます。日本化粧品工業会が推奨する方法では、腕の内側など目立たない部位に少量を塗り、24時間〜48時間後の反応を確認します3132
  • 適切な保管・使用方法: 化粧品は、開封後は早めに使い切り、高温多湿や直射日光を避けて保管することが品質を保つ上で重要です33

4.2. 信頼できる情報源の活用

製品選択に迷った際は、公的機関や専門機関の情報を参考にすることが重要です。

  • 厚生労働省 (MHLW): 医薬部外品の承認情報など、法規制に関する一次情報を提供しています。
  • 日本化粧品工業会 (JCIA): 業界の自主基準や安全性に関する情報、消費者向けのQ&Aなどを公開しています7
  • 日本皮膚科学会 (JDA): 皮膚疾患に関する専門的な診療ガイドラインなどを公開しており、肌トラブルの際には参照すべき権威ある情報源です34

よくある質問

Q1: 敏感肌でも使えるスキンケアメイク製品の選び方は?
A1: まず、購入前に腕の内側などでパッチテストを行い、刺激やアレルギー反応が出ないことを確認することが最も重要です31。製品選びでは、「敏感肌向け」「アレルギーテスト済み」といった表示も参考になりますが、全ての人にアレルギーが起きないわけではありません。成分表示を確認し、過去に刺激を感じたことがある成分(特定の香料や防腐剤など8)が含まれていないかチェックするのも一つの方法です。最終的には、ご自身の肌との相性が最も大切です。
Q2: どのくらいの期間使えば効果を実感できますか?
A2: 製品のカテゴリーと目的によって大きく異なります。保湿効果のような「化粧品」の範囲の効果は、使用直後から感じられることが多いです。一方、「医薬部外品」が謳う「シワ改善」や「美白」といった効果は、肌のターンオーバー(通常約28日、年齢と共に長くなる)を考慮すると、最低でも1〜2ヶ月以上、継続して使用することが推奨されます。機能性表示食品も同様に、継続的な摂取が前提となります。
Q3: 「医薬部外品」と「化粧品」、結局どちらが良いのですか?
A3: どちらが優れているかという問題ではなく、「目的が違う」と理解することが正解です。日中の保湿や美しい仕上がりを主な目的とするならば、高機能な「化粧品」で十分満足できるでしょう。「シワ改善」や「シミ予防」といった、特定の肌悩みの改善を積極的に目指すのであれば、その効能効果が国によって承認された「医薬部外品」が明確な選択肢となります14。ご自身の肌の悩みと、製品に何を求めるのかを明確にすることが、最適な選択への近道です。

結論

スキンケアメイクの世界は、科学の進歩と消費者の期待を反映し、日々進化しています。しかし、その核心にあるのは、日本の厳格な法規制と、検証された科学的エビデンスです。本記事で解説したように、「化粧品」「医薬部外品」「機能性表示食品」という三つの法的カテゴリーの違いを理解し、製品パッケージの表示を正しく読み解くことが、情報に惑わされずに自分に合った製品を選ぶための最も重要なスキルです。「美容液ファンデーション」という言葉の響きに期待するだけでなく、それが法的に「化粧品」なのか、あるいは「シワ改善」という効能を認められた「医薬部外品」なのかを自ら判断すること。その一歩が、より賢明で、より満足度の高いスキンケアライフへと繋がります。JAPANESEHEALTH.ORGは、皆様が自らの健康と美のために、信頼できる情報を見極める力を身につけられるよう、今後も科学的根拠に基づいた正確な情報を提供し続けることをお約束します。

免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、専門的な医学的アドバイスに代わるものではありません。健康に関する懸念や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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