【科学的根拠に基づく】タイズオンシャンプーの抜け毛・フケへの効果は?|全8種のハーブ成分の科学的根拠と日本の規制を徹底解説
皮膚科疾患

【科学的根拠に基づく】タイズオンシャンプーの抜け毛・フケへの効果は?|全8種のハーブ成分の科学的根拠と日本の規制を徹底解説

抜け毛やフケ、頭皮のかゆみといった悩みは、多くの方にとって切実な問題です。自然由来の成分でケアしたいと考える中で、ベトナムで人気のハーブシャンプー「Thái Dương(タイズオン)」に興味を持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、海外製品であるため「本当に効果はあるのか?」「日本の規制に適合しているのか?」といった疑問は尽きないでしょう。本記事では、JHO(JapaneseHealth.org)編集委員会が、皮膚科専門医の監修のもと、Thái Dươngシャンプーに配合される主要なハーブ成分について、最新の科学的知見と日本の法規制の両面から、徹底的かつ中立的に分析・解説します。

医学的レビュー担当者:
水島 豪太 医師
医療法人社団則由会 AGAヘアクリニック 院長13


この記事の科学的根拠

本記事は、以下に示すような、最高品質の医学的エビデンスにのみ基づいて作成されています。すべての主張は、読者が検証可能な一次情報源に裏付けられています。

  • 日本の皮膚科専門医および研究機関による研究: 桑名隆一郎医師や富士産業株式会社による「桑白皮」の育毛効果に関する研究18は、日本の伝統的な知見が科学的に検証された事例として、記事の重要な基盤となっています。
  • 国際的なランダム化比較試験(RCT): 「カッコウアザミ」の育毛効果を検証したPaul Clayton氏らの査読付き論文15は、成分の有効性を評価する上で最も信頼性の高いエビデンスとして詳細に分析しています。
  • 日本の公的機関の規制基準: 厚生労働省が定める化粧品基準や医薬品成分に関する通知1718は、各成分の日本国内における配合可否を判断する上での最終的な権威として引用しています。
  • 主要な学術団体による診療ガイドライン: 日本皮膚科学会が発行する「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」19は、標準的な治療法とハーブ製品の位置づけを比較するためのゴールドスタンダードとして参照しています。

この記事でわかること

  • ベトナムで人気のハーブシャンプー「Thái Dương」の概要と、伝統的な背景。
  • 配合されている主要8ハーブの、抜け毛やフケに対する科学的エビデンス(根拠)のレベルを、AからEの5段階で客観的に評価。
  • 日本の毛髪研究の専門家(桑名隆一郎医師など)が注目する成分「桑白皮」の作用機序と研究成果1
  • 海外の質の高い臨床試験で育毛効果が示された成分「カッコウアザミ」の詳細なデータ15
  • 各成分が日本の化粧品規制(医薬品医療機器等法)に適合しているかどうかの専門的分析。特に、日本では配合が許可されない可能性のある成分について詳述。
  • 科学的根拠に基づいた、賢明なハーブシャンプーの選び方と、標準的なAGA治療との比較。

タイズオン(Thái Dương)シャンプーとは?ベトナムの伝統と科学の融合

Thái Dươngシャンプーは、ベトナムの大手製薬・化粧品メーカーであるSao Thái Dương社が製造・販売する、ハーブを主成分とした製品です。現地では、日常的な頭皮ケアを目的とした「Thái Dương 3」と、フケやかゆみ対策を強化した「Thái Dương 7」の2種類が展開されています29。これらの製品の根底には、ベトナムの伝統医療である「南薬(Nam dược)」の考え方があります。南薬は、その土地で採れる植物を用いて健康を維持するという思想であり、日本の漢方医学が中国伝統医学を基盤としていることと通じる部分があります43。古くから髪や頭皮の健康に良いとされてきたハーブを配合している点が、このシャンプーの最大の特徴です。
しかし、伝統的な使用実績が、必ずしも現代科学における有効性や安全性を保証するものではありません。本記事の目的は、これらの伝統的なハーブが現代科学の視点からどのように評価されているか、そして、それらが日本の厳格な規制下でどのように位置づけられるかを、専門家の監修のもとで徹底的に検証し、消費者に中立的で正確な情報を提供することにあります。

【成分別】主要8ハーブの科学的検証:あなたの髪の悩みにどう応えるか

ここからは、本製品の核となる主要8種のハーブ成分について、一つ一つ詳細に分析していきます。各成分の伝統的な役割から、最新の科学研究によって示された作用機序、エビデンスの信頼性レベル、そして日本国内での規制状況までを包括的に解説します。これにより、読者は各成分の真の価値を客観的に判断できるようになるでしょう。

1. 桑白皮(ソウハクヒ / Morus alba):日本の研究が注目するAGAへのアプローチ

概要:
桑白皮は、クワ科植物の根の皮を乾燥させた生薬です。日本では古くから民間療法として利用されてきましたが、近年、その育毛効果に着目した科学的な研究が進められています。特に、毛髪関連企業や皮膚科専門医がその可能性を追求しており、伝統知から科学的発見へと繋がった象徴的な成分と言えます。
作用機序と科学的根拠:

  • アデランスと桑名隆一郎医師による先駆的研究: 1990年代に、毛髪事業のリーディングカンパニーであるアデランスと、育毛専門医として知られる桑名隆一郎医師が共同研究を行いました14。この研究は、「焼酎に漬けた桑の根を頭に塗ると毛が生える」という患者からの伝承がきっかけであったと報告されています1。研究の結果、桑白皮エキスがウサギの毛の成長を促進すること、さらに男女の脱毛症患者においても有効性を示したことが報告されました1
  • 富士産業株式会社による細胞レベルの研究: 化粧品原料開発を行う富士産業株式会社は、桑白皮エキスが毛髪の成長期をコントロールする「毛乳頭細胞」の増殖を促進する効果をin vitro試験(実験室での細胞試験)で確認しました8。これは、桑白皮が毛髪を太く、強く育む上で重要な役割を果たす可能性を示唆しています。
  • 【専門的視点】「桑白皮」と「桑根皮」の違い: 株式会社バスクリンの研究開発部門による報告では、さらに踏み込んだ知見が示されています36。男性型脱毛症(AGA)の原因の一つである脱毛因子TGF-β1や、神経栄養因子BDNFの働きを阻害する活性を比較したところ、樹皮を剥がずに根をそのまま用いた「桑根皮」の方が、樹皮を取り除いた「桑白皮」よりも強力な活性を示しました。これは、有効成分が外側の樹皮(周皮)部分に多く含まれることを示唆しており、桑由来成分のポテンシャルを深く理解する上で重要な研究です36

日本の規制:
「ソウハクヒエキス」や「マグワ根皮エキス」という名称で、日本化粧品工業会(JCIA)の表示名称リストに収載されており、化粧品への配合が認められています24
結論:
桑白皮は、ヒトでの臨床研究の報告が存在し、日本国内でも企業による研究開発が活発に行われている、科学的根拠の比較的豊富な有望な成分です。
エビデンスレベル: B(ヒト試験の示唆的証拠または強力な動物・in vitro試験の証拠)

2. カッコウアザミ (Ageratum conyzoides): 5αリダクターゼ阻害に関する海外の臨床試験データ

概要:
カッコウアザミは、主に熱帯地域に自生するキク科の一年草です。伝統医療においては、その抗炎症作用や創傷治癒促進効果から、皮膚疾患の治療などに用いられてきました。
作用機序と科学的根拠:

  • 【最高レベルのエビデンス】ランダム化比較試験(RCT): この成分の評価を決定づける極めて重要な研究が、2022年に学術誌で発表されました15。この研究は、科学的信頼性が最も高いとされる「ランダム化二重盲検プラセボ対照試験」という手法で行われました。臨床栄養学の専門家であるPaul Clayton氏らが実施したこの試験では、カッコウアザミ抽出物を0.5%含有するゲルを男女の被験者に12週間塗布した結果、偽薬(プラセボ)を塗布した群と比較して、毛髪の密度が統計的に有意に増加したことが示されました1546
  • 作用機序の示唆: 同研究では、その作用機序についても考察されています。カッコウアザミには、AGAの主要な原因物質であるジヒドロテストステロン(DHT)を生成する酵素「5αリダクターゼ」を阻害する作用と、脱毛を促進する生理活性物質であるプロスタグランジンD2(PGD2)を抑制する作用がある可能性が示唆されています15。これらは、AGA治療薬であるフィナステリドやデュタステリドの作用機序とも関連しており、非常に興味深い点です。

日本の規制:
日本化粧品工業会(JCIA)が管理する化粧品の表示名称リストには、本稿執筆時点(2025年6月)で収載されていません24。日本国内で化粧品に配合するためには、事業者が安全性に関するデータ等を提出し、新規成分として手続きを行う必要があります。そのため、現時点では法的に「グレーゾーン」にあり、安易な配合はできない状況です。
結論:
質の高いヒト臨床試験によって有効性が証明された、科学的根拠のレベルが非常に高い注目すべき成分です。ただし、日本国内での使用には規制上の課題が残ります。
エビデンスレベル: A(強力なヒト試験の証拠)

3. サイカチ (Bồ kết / Gleditsia sp.): 伝統的利用と動物実験データ

概要:
サイカチはマメ科の落葉高木で、その果皮(莢)には「サポニン」という天然の界面活性剤が豊富に含まれています。このため、古くから石鹸の代わりとして洗浄目的に利用されてきた歴史があります。ベトナムでは髪を清潔にし、滑らかにするハーブとして広く知られています。
科学的根拠:

  • 動物実験による発毛促進効果: 2022年にベトナムのCần Thơ大学医学薬学部から発表された研究では、近縁種であるGleditsia sinensis(シナサイカチ)の抽出物が、毛を剃ったマウスの発毛を促進したことが報告されています33
  • 日本の特許情報: 日本においても、日本の在来種であるGleditsia japonica(和名:サイカチ)に育毛効果が期待できるとして、特許が出願された事例があります34

これらの情報は有望ではあるものの、いずれも動物実験や特許レベルの知見に留まります。ヒトの脱毛症に対する有効性を示す質の高い臨床試験の報告は、現時点では不足していることを明確に理解する必要があります。
日本の規制:
「サイカチ果実エキス」や「サイカチ種子エキス」といった名称で化粧品成分としてリストに収載されており、日本国内での配合は可能です24
結論:
長い伝統的な使用実績と、動物実験レベルでの発毛促進データは存在するものの、人間に対する効果はまだ科学的に確認されていません。
エビデンスレベル: C(限定的な動物・in vitro試験の証拠)

4. その他のハーブ成分(オヒシバ、アフリカンバジル)

本製品には、他にもいくつかのハーブが含まれています。

  • オヒシバ (Mần trầu / Eleusine indica): 伝統的にフケ治療や育毛に用いられてきましたが、育毛効果に関する現代的な科学研究(ヒト・動物)はほとんど見当たりません37。抗菌性を持つ成分を含むとの報告はありますが、その効果は逸話的なレベルに留まります。エビデンスレベルはDと評価されます。
  • アフリカンバジル (Hương nhu / Ocimum gratissimum): 動物実験において、化学療法によって脱毛したマウスの毛包増殖を促進したという報告があります30。しかし、ヒトでの育毛に関する質の高い研究は不足しています。これもエビデンスレベルはCと評価され、またJCIAリストにも未収載のため、日本での使用はグレーゾーンです24

【注意が必要な成分】科学的評価と日本の規制

Thái Dươngシャンプーに含まれる成分の中には、その効果について科学界で懐疑的な見方がされているものや、日本の法律上、化粧品への配合が認められていない可能性が極めて高いものが存在します。これらについて、正確な情報を提供することは、消費者の安全と賢明な製品選択のために不可欠です。

4.1. ウコン (Nghệ vàng / Curcuma longa): 期待と科学的懐疑論

概要:
ショウガ科の植物であるウコンの根茎から得られる成分で、その主成分「クルクミン」は抗炎症作用や抗酸化作用を持つとされ、健康食品として世界的に広く知られています。
科学的評価:
一般的に「体に良い」というポジティブなイメージが強いウコン(クルクミン)ですが、近年の医薬品化学の分野では、その評価は非常に慎重になっています。2017年に、医薬品化学の分野で世界トップレベルの権威を持つ学術誌Journal of Medicinal Chemistryに掲載された包括的なレビュー論文では、厳しい指摘がなされました27。この論文によると、クルクミンは実験系において誤った陽性結果(偽陽性)を示しやすい「PAINS (Pan-Assay Interference Compounds)」と呼ばれる化合物の一種であり、また経口摂取しても体内への吸収率が極めて低いことが問題視されています。その結果、「クルクミンが特定の疾患に対して治療効果を持つという明確な証拠はない」と結論付けられています27。外用(塗布)による育毛効果を検証した信頼性の高いヒト試験も、現時点では見当たりません。
日本の規制:
「ウコン根茎エキス」などの名称で化粧品成分として配合が認められています24
結論:
健康食品としての人気は高いものの、科学的な有効性、特に育毛効果に関しては、専門家の間では懐疑的な見方が強い成分です。
エビデンスレベル: E(懐疑的・否定的見解あり)

4.2. ソリザヤノキ (Núc nác / Oroxylum indicum) と センシンレン (Xuyên tâm liên / Andrographis paniculata): 日本の規制における「医薬品成分」

概要:
ソリザヤノキとセンシンレンは、いずれもアジアの伝統医療において、感染症や炎症性疾患の治療に用いられてきた歴史を持つ、強力な薬理作用を有する薬草です28
日本の規制:
問題は、これらの植物が持つ「強い薬理作用」そのものにあります。日本の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(通称:医薬品医療機器等法、旧薬事法)では、人の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことを目的とする物質は「医薬品」と定義されます。特にセンシンレンは、日本薬局方にも収載されている明確な生薬であり、医薬品成分に該当します17。ソリザヤノキも、その薬理活性の強さから、医薬品成分と見なされる可能性が極めて高いです28
日本の法律では、厚生労働大臣の承認を得ずに、化粧品に医薬品成分を配合することは固く禁止されています18。したがって、これらの成分を含むThái Dươngシャンプーが、日本市場向けに成分変更されることなくそのままの形で販売・広告された場合、未承認医薬品の販売・広告と見なされ、法律に抵触する可能性があります。個人輸入で入手する場合であっても、使用者はその製品が日本の法規制に適合していない可能性があることを十分に理解する必要があります。
結論:
製品が日本市場向けに特別な成分調整をされていない限り、日本の化粧品基準には適合しない可能性が極めて高い成分です。育毛目的での科学的エビデンスも確立されていません。
エビデンスレベル: D(逸話的・伝統的用途のみ)

日本の専門家から見た評価とAGA標準治療との比較

ハーブ製品の可能性を評価する一方で、現在、日本で科学的根拠に基づいて確立されている標準的な脱毛症治療との比較を冷静に行うことが重要です。その指標となるのが、日本皮膚科学会が策定した「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」です19
このガイドラインは、日本における脱毛症治療のゴールドスタンダードであり、様々な治療法がその科学的根拠の強さに応じてA(行うよう強く勧める)、B(行うよう勧める)、C1(行ってもよい)、C2(行わない方がよい)、D(行うべきでない)の5段階で厳格にランク付けされています1920
現在、推奨度Aと評価されているのは、男性では「フィナステリド内服」「デュタステリド内服」「ミノキシジル外用」の3つです19。これらは、世界中の大規模かつ長期的な臨床試験によって、その有効性と安全性が証明された治療法です。
Thái Dươngシャンプーに含まれる成分をこの基準に照らし合わせると、カッコウアザミ(エビデンスレベルA)や桑白皮(エビデンスレベルB)のように、有望な科学的データを持つ成分も確かに存在します。しかし、それらもガイドラインでA評価を受ける標準治療薬ほどの確固たるエビデデンス(数千人規模の長期試験など)が確立されているわけではありません。専門家の視点から見れば、シャンプーはあくまで頭皮環境を健やかに保つための「化粧品」または「医薬部外品」であり、AGAのような進行性の脱毛疾患に対する「治療」効果を期待するべきではありません。治療を検討している方は、まず皮膚科専門医に相談し、ガイドラインで推奨されている標準治療について正しい情報を得ることが不可欠です。

よくある質問(FAQ)

Q1: このシャンプーを使えば、本当に髪は生えますか?
「髪が生える」という医学的な保証はありません。本記事で解説した通り、一部の成分には育毛の可能性を示唆する質の高い科学研究(例:カッコウアザミ15)も存在しますが、その効果には個人差が大きく、また製品全体として医薬品のような効果が承認されているわけではありません。AGA(男性型脱毛症)などの進行性の脱毛症でお悩みの場合、自己判断に頼るのではなく、皮膚科専門医へ相談し、医学的に証明された治療法(例:フィナステリド、ミノキシジル19)を検討することを強くお勧めします。
Q2: 日本でこのシャンプーを購入できますか?
一部の個人輸入代行サイトなどで見かけることがあります4347。しかし、購入と使用には注意が必要です。本記事で詳述したように、配合されている「センシンレン」や「ソリザヤノキ」といった成分は、日本の医薬品医療機器等法において「医薬品成分」と見なされ、化粧品への配合が許可されていません17。日本市場向けに成分が変更されていない限り、これらの製品は日本の法律に適合しない可能性があります。購入・使用を検討する場合は、これらの法的な背景と安全性のリスクを十分に理解した上で、完全に自己の責任において判断する必要があります。
Q3: 副作用の心配はありませんか?
天然成分やハーブが必ずしも安全とは限りません。どのような成分であっても、アレルギー反応(接触皮膚炎によるかぶれ、かゆみ、赤みなど)を引き起こす可能性は常にあります。特に、このシャンプーのように多種多様なハーブが配合されている製品は、いずれかの成分がご自身の肌に合わないリスクも考えられます。初めて使用する際は、腕の内側など目立たない部分で少量を試し、24時間〜48時間様子を見る「パッチテスト」を行うことを強くお勧めします。使用中に何らかの異常を感じた場合は、直ちに使用を中止し、製品を持参して皮膚科専門医にご相談ください。

結論

ベトナムの伝統的なハーブシャンプー「Thái Dương」は、その成分を科学的に分析すると、非常に興味深い側面と、同時に注意すべき重大な問題を併せ持つ製品であることが明らかになりました。
ポジティブな側面として、配合されている「桑白皮」18や「カッコウアザミ」15は、それぞれ日本国内の研究や海外の質の高い臨床試験において、育毛に対する有望な可能性が示唆されています。これらは、伝統的な知恵が現代科学によってその価値を再発見されつつある好例であり、今後のさらなる研究が期待されます。
しかし、その一方で看過できない問題点も存在します。「ウコン(クルクミン)」27のように、一般に広まるイメージとは裏腹に、科学的な有効性が専門家から疑問視されている成分。そしてさらに重要なのが、「センシンレン」17や「ソリザヤノキ」28のように、その強い薬理作用から日本の化粧品規制には適合しない可能性が極めて高い医薬品成分が含まれている点です。
結論として、ハーブシャンプーは、あくまで頭皮環境を健やかに保つための数ある選択肢の一つとして捉えるべきです。もし抜け毛や薄毛の悩みが深刻であるならば、安易に未承認の海外製品に解決策を求めるのではなく、まずは日本の皮膚科専門医に相談してください。そして、日本皮膚科学会のガイドライン19が示すような、科学的根拠に基づいた適切な診断と、ご自身の状態に最も合った治療法を選択することが、悩みを解決するための最も賢明で確実な道筋です。

免責事項
本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイスを構成するものではありません。健康上の懸念がある場合、またはご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

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